JP2017095664A - セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、安定に分散されているセルロースナノファイバー(CNF)分散液を乾燥させたCNF乾燥固形物を、水に再分散させたCNF分散液の粘度、透明性などの物性が、乾燥前のCNF分散液と比較して変化が少ない特性(再分散性)を有するCNFの乾燥固形物を提供する。【解決手段】 セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法であって、(A)セルロース原料を解繊して、平均繊維径が2〜500nmのセルロースナノファイバーを得る工程、(B)前記(A)で得られたセルロースナノファイバーを平均繊維長が0.2〜1.0μmとなるよう短繊維化する工程、及び(C)前記(B)で得られたセルロースナノファイバーを乾燥する工程を含むことを特徴とする、セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法に関する。さらに、該乾燥固形物を溶媒に再分散させたセルロースナノファイバー分散体の製造方法に関する。
セルロースナノファイバー(以下、CNFということがある)は、水系分散性に優れている約4〜数百nm程度の大きさの微細繊維であり、食品、化粧品、医療品又は塗料等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤として利用されていることが期待されている。
水に分散している状態(湿潤状態)のCNFを乾燥させた固形物は、微細なセルロース繊維間に水素結合が形成されるため、この乾燥固形物に水を加えても、乾燥前(湿潤状態)の溶解性、分散性、沈降度、及び粘度などの諸特性が復元しない。このため、CNFは水に分散している状態(湿潤状態)で製造され、乾燥させずに湿潤状態のままで各種用途に使用されることが通常行われている。
しかしながら、この湿潤状態のCNFを安定させるためには、CNFに対して数倍〜数百倍の重量の水が必要であり、保存スペースの確保、保存及び輸送コストの増大等、種々の問題点がある。
この問題を解決する手段として、凍結乾燥法や臨界点乾燥法などの他に、有機溶剤で置換処理した後に乾燥する方法(特許文献1)などが提案されている。
特開平6−233691号
しかしながら、CNFを凍結乾燥した場合、膨大なエネルギーが必要になるとともに、条件によってはCNFの微細繊維間の水が凍結される際に、微細なセルロース繊維間の空隙よりも大きな氷晶の成長が起こり、CNFの微細繊維同士の会合が発生するなどの問題が発生する。
また、CNFの微細繊維の間の空隙は非常に小さい上に、微細なセルロース繊維の表面には多量の水が水和しているため、溶剤置換によって乾燥させるには、多量の溶剤と時間が必要となる。さらに、溶剤に置換することができない水分が内在してしまうために、溶剤の乾燥過程でCNFの微細なセルロース繊維の表面同士が水素結合によって強固に結合してしまう。このため、もとのCNFの状態に復元することは困難である。
そこで、本発明は、安定に分散されているCNF分散液を乾燥させたCNF乾燥固形物を水に再分散したCNF分散液の粘度、透明性などの物性が、乾燥前のCNF分散液と比較して変化が少ない特性(再分散性)を有するCNFの乾燥固形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1] セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法であって、
(A)セルロース原料を解繊して、平均繊維径が2〜500nmのセルロースナノファイバーを得る工程、
(B)前記(A)で得られたセルロースナノファイバーを平均繊維長が0.2〜1.0μmとなるよう短繊維化する工程、及び
(C)前記(B)で得られたセルロースナノファイバーを乾燥する工程
を含むことを特徴とするセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[2] 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.6mmol/g〜3.0mmol/gのセルロースナノファイバーであることを特徴とする[1]に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[3] 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50のセルロースナノファイバーであることを特徴とする[1]に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[4] 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02〜0.50のセルロースナノファイバーであることを特徴とする[1]に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[5] 前記(B)の短繊維化する工程が、過酸化水素を用いた短繊維化処理であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法により得られたセルロースナノファイバーの乾燥固形物を、溶媒に再分散させてセルロースナノファイバー分散体を得る工程を含む、セルロースナノファイバー分散体の製造方法。
本発明によれば、安定に分散されているCNF分散液を乾燥させたCNF乾燥固形物を水に再分散したCNF分散液の粘度、透明性などの物性が、乾燥前のCNF分散液と比較して変化が少ない特性(再分散性)を有するCNFの乾燥固形物を提供することができる。
本発明によって得られるCNFの乾燥固形物は、その固形物を水に分散させた湿潤状態のCNFが、乾燥前の湿潤状態のCNFの溶解性、分散性、沈降度、及び粘度などの諸特性の変化が少ない特性(再分散性)を有する。
本発明のCNFの乾燥固形物が、優れた再分散性を発現する理由は明らかではないが、CNFを短繊維化処理した結果、再分散性を低下させる要因と考える繊維間の水素結合の生成や繊維同士の絡まりを抑制、制御することができるため、乾燥固形物の再分散性を大幅に改善する事ができると推測される。
本発明において、乾燥固形物とは、水分量が20質量%以下になるように乾燥させた状態をいう。水分量は0〜20質量%であることが好ましく、輸送にかかる費用を低減させるという観点からは0〜15質量%であることがさらに好ましい。乾燥時には、水分量0%(絶乾)まで乾燥させてもよい。例えば、105℃で3時間の乾燥により、絶乾させることができる。
セルロースナノファイバーの乾燥固形物としては、セルロースナノファイバーの分散液を乾燥させたもの、あるいはセルロースナノファイバーと水溶性高分子と混合液を乾燥させたものを例示することができる。なお、再分散性の点では後者が好ましい。上記水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物をいう。この中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩を用いることが相溶性の点から好ましい。
上記セルロースナノファイバーの乾燥固形物は、セルロースナノファイバーの水分散液、あるいはセルロースナノファイバー分散液と水溶性高分子を含有した混合液を、pHを9〜11に調整した後に、脱水・乾燥することが再分散性の点から好ましい。セルロースナノファイバーの分散液に水溶性高分子を配合する場合、水溶性高分子の配合量は、セルロースナノファイバーの絶乾固形分に対して、5〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満であると十分な再分散性の効果が発現しない。一方、50重量%を超えるとセルロースナノファイバーの特徴である粘度特性、分散安定性の低下などの問題が生じる。
(セルロースナノファイバー)
本発明において、CNFは、繊維幅が2〜500nm程度、アスペクト比が100以上の微細繊維であり、パルプなどのセルロース原料を解繊することによって得ることができる。
(セルロース原料)
本発明において、セルロース原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
(カルボキシメチル化)
本発明において、化学変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよく、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エ
タノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
(カルボキシル化)
本発明において、化学変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)したセルロースを用いる場合、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、カルボキシル化の際には、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.6〜3.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO−)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)及びその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100重量部とした際に、0.1〜30重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0
〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
酸化セルロースのカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
(カチオン化)
本発明において、化学変性セルロースとして、カルボキシル化(酸化)したセルロースを用いる場合、上記のセルロース原料にグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト又はそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって、カチオン変性されたセルロースを得ることができる。なお、この方法において、得られるカチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、調整することができる。
カチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.50より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得た酸化されたセルロース系原料は洗浄されることが好ましい。
(エステル化)
本発明において、化学変性セルロースとして、リン酸基を導入したセルロースを用いる場合、セルロース原料に、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用してリン酸基を導入することができる。セルロース原料に対するリン酸基を有する化合物の割合は、セルロース原料の固形分100重量部に対して、リン元素に換算した添加量が0.1〜500重量部であることが好ましく、1〜400重量部であることがより好ましく、2〜200重量部であることがさらに好ましい。
(解繊)
本発明において、解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、上記のCNFに予備処理を施すことも可能である。解繊後のセルロースナノファイバーの平均繊維径は2〜500nmであることが好ましく、再分散を向上するという観点から平均繊維径は3〜150nmであることが特に好ましい。
(短繊維化処理)
上記CNFを短繊維化処理する。本工程では助剤を用いる。助剤としては特に限定されるものではないが、酸化剤または還元剤が好ましい。酸化剤または還元剤としては、アルカリ領域で活性を有するものを使用できる。酸化剤の例には、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩等が含まれ、これらの1種または2種以上を併用して使用してもよい。また、還元剤の例には、水素化ホウ素ナトリウム、ハイドロサルファイト、亜硫酸塩等が含まれ、これらの1種または2種以上を併用して使用してもよい。反応効率の観点から、過酸化水素が好ましく、過酸化水素を用いる場合、その添加量は絶乾したCNFに対して0.01〜10重量%が好ましいが、0.1〜5重量%がより好ましく、0.2〜2重量%がさらに好ましい。
また、上記CNFの短繊維化処理はアルカリ条件下で行ってもよい。その場合の短繊維化処理反応における系のpHは、8〜14が好ましく、9〜13がより好ましく、9〜11がさらに好ましい。用いるアルカリは水溶性であれば水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いてよいが、製造コストの観点から、水酸化ナトリウムが最適である。
上記CNFの短繊維化処理の温度は40〜100℃が好ましくは、50〜100℃がより好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。反応時間は0.5時間以上が好ましく、1〜24時間がより好ましく、1.5〜12時間がさらに好ましい。系中のCNFの濃度は、1〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。
(製造方法)
本発明のCNFの乾燥固形物は、CNFの水性懸濁液を、脱水・乾燥させることで得ることができる。また、上記水性懸濁液のpHを9〜11に調整することで、更に再分散性の良好なセルロースナノファイバーの乾燥固形物を得ることができる。
(乾燥方法)
本発明方法において、脱水・乾燥方法としては、従来公知のものであれば良く、例えば、スプレイドライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。本発明方法で具体的に用いる乾燥装置の例としては、以下のようなものである。すなわち、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置等、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等の乾燥装置を単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ドラム乾燥装置を用いることが、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給するためエネルギー効率の点から好ましい。また、乾燥前の水を含んだセルロースナノファイバーに於いて、乾燥処理効率を上げるために、水分をできるだけ少なくする前濃縮処理を行うことが通常行われるが、この際液粘度の上昇が乾燥処理の障害となる。これに対して、ドラムにブレードやダイ等により薄膜を形成させて乾燥させる事により、乾燥処理をより効率的に、均一に短時間で行うことができる。更に、ドラム乾燥装置は必要以上に熱を加えずに、直ちに乾燥物を回収できる点からも好ましい。
(再分散工程)
本発明により得られたセルロースナノファイバーの乾燥固形物は、溶媒に再分散(ナノ分散)させることによって、セルロースナノファイバー分散体とすることができる。乾燥固形物を溶媒に再分散(ナノ分散)する装置は特に限定されないが、ホモミキサーなどの分散機で分散することができる。分散媒は最も好ましくは水であり、分散媒中の固形分濃度は、特に限定されないが、0.1〜10質量%程度が好ましく、1〜5質量%程度がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<カルボキシル化(TEMPO酸化)CNF分散液の製造>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mgと臭化ナトリウム514gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5.5mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(以下、カルボキシル化セルロース、カルボキシル化パルプ、TEMPO酸化パルプということがある)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
その後、TEMPO酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で5回処理して、平均繊維径が4nmのTEMPO酸化CNF分散液を得た。
<カルボキシル基量の測定方法>
カルボキシル化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
<カルボキシメチル化CNF分散液の製造>
パルプを混ぜることが出来る撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥重量で111g加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。その後、カルボキシメチル化したパルプを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、平均繊維径が11nmのカルボキシメチル化CNF分散液を得た。
(グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定方法)
カルボキシメチル化セルロース繊維(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CM化セルロース)を水素型CM化セルロースにした。水素型CM化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLで水素型CM化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定した。カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出した:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型CM化セルロースの絶乾重量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのH2SO4のファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
<カチオン化CNF分散液の製造>
パルプを撹拌することができる撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥重量で24g加え、パルプ固形濃度が15重量%となるように水を加えた。その後、30℃で30分撹拌した後に70℃まで昇温し、カチオン化剤として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを190g(有効成分換算)添加した。1時間の反応の後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカチオン置換度0.04のカチオン変性されたセルロースを得た。その後、カチオン変性セルロースを水で固形濃度1%(w/v)とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、平均繊維径が15nmのカチオン変性セルロース由来のセルロースナノファイバー分散液を得た。
(グルコース単位当たりのカチオン置換度の測定方法)
カチオン基の置換度は、試料(カチオン変性されたセルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN−10(三菱化学)で窒素含有量を測定し、次式により算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
カチオン置換度=(162×N)/(1−151.6×N)
N:窒素含有量
(実施例1)
上記カルボキシル化CNF(平均繊維長:2.78μm、アスペクト比:150)の0.5重量%水分散液を80℃に加温した。プロペラ羽で600rpmの速度で撹拌しながら過酸化水素をCNF絶乾重量に対し0.2重量%添加して2時間撹拌し、短繊維化処理した。この水分散液を、蒸気圧力0.5MPa.G、ドラム回転数2rpmのドラム乾燥機D0303(カツラギ工業)で乾燥し、水分量5重量%のカルボキシル化CNFの乾燥固形物を得た。
次に、上記で得られた乾燥固形物に1重量%水性懸濁液になるように水を添加し、TKホモミキサー(6,000rpm)を用いて60分間攪拌し、カルボキシル化CNFを再分散した水性懸濁液を得た。
<CNFの平均繊維径、平均繊維長、アスペクト比の測定方法>
CNFの平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析した。なおアスペクト比は下記の式により算出した:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径。
<B型粘度の測定>
CNF(固形分1.0%、25℃)のB型粘度を測定した。なおB型粘度の測定条件は、回転数60rpm、3分とした。
<透明度の測定>
CNF分散液(固形分0.1%)の透明度(660nm 光の透過率)をUV分光光度計 U−3000(日立ハイテク)を用いて測定した。
<復元率の評価>
B型粘度、透明度の復元率は以下の式で算出した。
復元率(%)=(再分散後の粘度あるいは透明度)/(乾燥前の粘度あるいは透明度)×100
(実施例2)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0.02重量%とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例3)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から8重量%とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例4)
短繊維化処理での処理温度を80℃から50℃とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例5)
短繊維化処理での処理温度を80℃から90℃とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例6)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.75時間とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例7)
短繊維化処理でのpHを7から9とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例8)
上記カルボキシメチル化CNF(平均繊維長:1.45μm、アスペクト比:110)の0.5重量%水分散液を80℃に加温した。プロペラ羽で600rpmの速度で撹拌しながら過酸化水素をCNF絶乾重量に対し0.2重量%添加して2時間撹拌し、短繊維化処理した。この水分散液を、蒸気圧力0.5MPa.G、ドラム回転数2rpmのドラム乾燥機D0303(カツラギ工業)で乾燥し、水分量5重量%のカルボキシメチル化CNFの乾燥固形物を得た。次に、上記で得られた乾燥固形物に1重量%水性懸濁液になるように水を添加し、TKホモミキサー(6,000rpm)を用いて60分間攪拌し、カルボキシメチル化CNFを再分散した水性懸濁液を得た。
(実施例9)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0.02重量%とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例10)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から8重量%とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例11)
短繊維化処理での処理温度を80℃から50℃とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例12)
短繊維化処理での処理温度を80℃から90℃とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例13)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.75時間とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例14)
短繊維化処理でのpHを7から9とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例15)
上記カチオン化CNF(平均繊維長:2.18μm、アスペクト比:180)の0.5重量%水分散液を80℃に加温した。プロペラ羽で600rpmの速度で撹拌しながら過酸化水素をCNF絶乾重量に対し0.2重量%添加して2時間撹拌し、短繊維化処理した。この水分散液を、蒸気圧力0.5MPa.G、ドラム回転数2rpmのドラム乾燥機D0303(カツラギ工業)で乾燥し、水分量5重量%のカルボキシメチル化CNFの乾燥固形物を得た。次に、上記で得られた乾燥固形物に1重量%水性懸濁液になるように水を添加し、TKホモミキサー(6,000rpm)を用いて60分間攪拌し、カルボキシメチル化CNFを再分散した水性懸濁液を得た。
(実施例16)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0.02重量%とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(実施例17)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から8重量%とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(実施例18)
短繊維化処理での処理温度を80℃から50℃とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(実施例19)
短繊維化処理での処理温度を80℃から90℃とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(実施例20)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.75時間とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(実施例21)
短繊維化処理でのpHを7から9とした以外は実施例8と同様にして実施した。
(比較例1)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0重量%とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(比較例2)
短繊維化処理での処理温度を80℃から30℃とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(比較例3)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.25時間とした以外は実施例1と同様にして実施した。
(比較例4)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mgと臭化ナトリウム514gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5.5.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することでカルボキシル化パルプを得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。得られたカルボキシル化パルプの平均繊維長は1.86mmであった。
<カルボキシル化パルプの平均繊維長測定方法>
ISO 16065−2に準拠して測定した。
得られたカルボキシル化パルプを5%(w/v)水分散液に調製し、当該分散液に、カルボキシル化パルプに対して1%(w/v)の過酸化水素を添加し、1M水酸化ナトリウムでpHを12に調整した。この水分散液を80℃で2時間加熱してカルボキシル化パルプを短繊維化処理した後、十分に水洗し、脱水した。
上記短繊維化処理したカルボキシル化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で5回処理して、カルボキシル化(TEMPO酸化)CNF分散液を得た。
(比較例5)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0重量%とした以外は実施例5と同様にして実施した。
(比較例6)
短繊維化処理での処理温度を80℃から30℃とした以外は実施例5と同様にして実施した。
(比較例7)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.25時間とした以外は実施例5と同様にして実施した。
(比較例8)
短繊維化処理でのアルカリ添加量を0.2重量%から0重量%とした以外は実施例15と同様にして実施した。
(比較例9)
短繊維化処理での処理温度を80℃から30℃とした以外は実施例15と同様にして実施した。
(比較例10)
短繊維化処理での処理時間を2時間から0.25時間とした以外は実施例15と同様にして実施した。
Figure 2017095664

Claims (6)

  1. セルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法であって、
    (A)セルロース原料を解繊して、平均繊維径が2〜500nmのセルロースナノファイバーを得る工程、
    (B)前記(A)で得られたセルロースナノファイバーを平均繊維長が0.2〜1.0μmとなるよう短繊維化する工程、及び
    (C)前記(B)で得られたセルロースナノファイバーを乾燥する工程
    を含むことを特徴とするセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
  2. 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.6mmol/g〜3.0mmol/gのセルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
  3. 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50のセルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
  4. 前記(A)で得られたセルロースナノファイバーが、該セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02〜0.50のセルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
  5. 前記(B)の短繊維化する工程が、過酸化水素を用いた短繊維化処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーの乾燥固形物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られたセルロースナノファイバーの乾燥固形物を、溶媒に再分散させてセルロースナノファイバー分散体を得る工程を含む、セルロースナノファイバー分散体の製造方法。
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