JP2019156910A - マット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
(B−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.01〜2g/10分
(B−ii)密度が0.940〜0.960g/cm3
(B−iii)[プロピレン系(共)重合体(A)のMFR]/[高密度ポリエチレン(B)のMFR]=200〜1000となる高密度ポリエチレン
(C−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.001〜5g/10分
(C−ii)エチレン含有量が25〜80重量%
(C−iii)密度が0.85〜0.92g/cm3
(AC−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が10〜150g/10分
(AC−ii)プロピレン系(共)重合体(A2)55〜95重量部及びプロピレン−エチレン共重合体(C)5〜45重量部の合計100重量部からなる多段重合体
(AC−iii)エチレン含有量が2〜30重量%
[5][4]に記載のマット調射出成形品が化粧品関連部材であるマット調射出成形品。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物及び成形品について、詳細に説明する。
(1) プロピレン系(共)重合体(A)
本発明のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系(共)重合体(A)は、プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満(0重量%超)のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、これらの混合物であってもよい。
プロピレン系(共)重合体(A)は、剛性の観点では単独重合体が望ましく、発色性に関連する透明性の観点ではプロピレンとα−オレフィンとからなるランダム共重合体が望ましい。共重合に用いられるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上用いてもよい。このうちエチレン、1−ブテンが好適である。より好ましくはエチレンが好適である。
ここで、より好ましいα−オレフィンであるエチレンとからなるプロピレン系共重合体の場合、プロピレン及びエチレンの含有量は、後述の実施例に記載の測定方法、すなわち13C−NMR法により組成を検定した基準物質を用いて、赤外分光法により作成した検量線に基づき赤外分光法によって計測される値である。
また、これらプロピレン系(共)重合体(A)は、二種以上混合して使用してもよい。また、α−オレフィンの含有量が1重量%未満であると製品剛性の観点から、好ましい。
プロピレン系(共)重合体(A)の具体的な例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などのような、共単量体を任意に若干量組み合わせたプロピレン単独重合体、プロピレン系二元又は三元共重合体が例示できる。
本発明で用いられるプロピレン系(共)重合体(A)は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR)が5〜400g/10分の範囲のものであり、5〜200g/10分が好ましく、10〜100g/10分がより好ましい。メルトフローレート(MFR)が5g/10分以上であると、成形加工性が向上し、製品として満足できるものが得られる。また、400g/10分以下であると、機械的強度の向上や十分な混練による外観の向上がもたらされ製品として満足できるものが得られる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系(共)重合体(A)を製造する際の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
ここで、MFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠し、試験温度230℃、公称荷重2.16kgで測定する値である。
マット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系(共)重合体(A)の重量割合は、50〜95重量部であり、好ましくは、50〜80重量部である。50重量部以上であると、製品の剛性が十分であり、95重量部以下であると、マット感が十分に得られる。(ここで、プロピレン系(共)重合体(A)50〜95重量部と、高密度ポリエチレン(B)5〜50重量部とからなるプロピレン系樹脂は100重量部となる)
チーグラー触媒の一例としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、さらにそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム等が挙げられるが具体的には、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化し得る助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
メタロセン化合物(i)としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素中で行うことができる。バルク重合法の場合には、液状の重合モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン系(共)重合体(A)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
本発明のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられる高密度ポリエチレン(B)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.01〜2g/10分であり、好ましくは、0.05〜1g/10分である。0.01g/10分以上であると、分散性良好により外観が向上し、2g/10分以下であると、マット感が十分に得られる。さらに[プロピレン系(共)重合体(A)のMFR]/[高密度ポリエチレン(B)のMFR]=200〜1000である必要があり、200以上であると、マット感が十分に得られ、1000以下であると、高密度ポリエチレン(B)の分散性良好により、外観が向上する。
ここで、MFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠し、試験温度230℃、公称荷重2.16kgで測定する値である。
また、密度は0.940〜0.960g/cm3であり、0.940g/cm3以上であると剛性が十分であり、0.960g/cm3以下であると耐衝撃性が十分である。
マット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられる高密度ポリエチレン(B)の重量割合は、5〜50重量部であり、好ましくは、20〜50重量部である。5重量部以上であると、マット感が十分に得られ、50重量部以下であると、製品の剛性が十分である。(ここで、プロピレン系(共)重合体(A)50〜95重量部と、高密度ポリエチレン(B)5〜50重量部とからなるプロピレン系樹脂は100重量部となる)
この様な高密度ポリエチレン(B)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックHD、グレード名HF313等を挙げることができる。
本発明のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられるチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)は、プロピレンとエチレンの共重合体であり、このエチレン含有量は、25〜80重量%であり、好ましくは35〜60重量%である。エチレン含有量が25重量%以上であると耐衝撃性が十分であり、また、80重量%以下であっても耐衝撃性が十分である。
密度は0.85〜0.92g/cm3の範囲であり、0.85g/cm3以上であると成形品がベタつく懸念がなく、0.92g/cm3以下であると耐衝撃性が十分である。
MFR(230℃、2.16kg荷重)は0.001〜5g/10分であり、好ましくは、0.001〜1g/10分である。0.001g/10分以上であると、分散性良好により外観が向上し、5g/10分以下であると、ベタツキによる成形性の悪化がない。
マット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物に用いられるチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)の重量割合は、プロピレン系(共)重合体(A)50〜95重量部と高密度ポリエチレン(B)5〜50重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であり、好ましくは、1〜20重量部である。1重量部以上であると耐衝撃性が十分であり、30重量部以下であると剛性が十分である。
また、プロピレン−エチレン共重合体(C)が多段重合体の一部を構成する場合、プロピレン−エチレン共重合体(C)のMFRを直接測定できないので、以下に述べる直接測定可能なMFRを用いて下記式にて算出することができる。
なお、プロピレン系(共)重合体(A2)及びプロピレン−エチレン共重合体(C)が多段重合体を構成し、多段重合体であるチーグラー系プロピレン系重合体(AC)の最も好ましい態様として、プロピレン系(共)重合体(A2)がプロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満のエチレンとからなるプロピレン系共重合体である場合、プロピレン系(共)重合体(A2)及びプロピレン−エチレン共重合体(C)から構成されるチーグラー系プロピレン系重合体(AC)において、プロピレン−エチレン共重合体(C)のエチレン含有量、密度及びMFRは、以下の各式により算出することができる。MFRの算出式は、粘度の対数加成則と呼ばれる経験式であり、当業界で日常的に使われるものである。
100×E(AC)=W(A2)×E(A2)+W(C)×E(C)
E(C)={100×E(AC)−W(A2)×E(A2)}÷W(C)
100×D(AC)=W(A2)×D(A2)+W(C)×D(C)
D(C)={100×D(AC)−W(A2)×D(A2)}÷W(C)
100×loge[MFR(AC)]=W(A2)×loge[MFR(A2)]+W(C)×loge[MFR(C)]
MFR(C)=exp〔{100×loge[MFR(AC)]−W(A2)×loge[MFR(A2)]}÷W(C)〕
(式中、E(AC)、E(A2)、E(C)はそれぞれ、プロピレン系重合体(AC)、プロピレン系(共)重合体(A2)、プロピレン−エチレン共重合体(C)のエチレン含有量である。D(AC)、D(A2)、D(C)はそれぞれ、プロピレン系重合体(AC)、プロピレン系(共)重合体(A2)、プロピレン−エチレン共重合体(C)の密度である。MFR(AC)、MFR(A2)、MFR(C)はそれぞれ、プロピレン系重合体(AC)、プロピレン系(共)重合体(A2)、プロピレン−エチレン共重合体(C)のMFRである。logeはeを底とする対数である。W(A2)、W(C)はそれぞれ、プロピレン系重合体(AC)100重量%におけるプロピレン系(共)重合体(A2)、プロピレン−エチレン共重合体(C)の重量割合(重量%)である。)
チーグラー触媒の一例としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、さらにそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム等が挙げられるが具体的には、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化し得る助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
メタロセン化合物(i)としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素中で行うことができる。バルク重合法の場合には、液状の重合モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
チーグラー系プロピレン系重合体(AC)のメルトフローレート(MFR)は、プロピレン系(共)重合体(A2)及びプロピレン−エチレン共重合体(C)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤である分子量調整剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
また、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)100重量部におけるプロピレン−エチレン共重合体(C)の重量割合は、好ましくは5〜45重量部であり、5重量部以上であると耐衝撃性が十分となり、45重量部以下であると、剛性が十分となり成形性も良好となる。チーグラー系プロピレン系重合体(AC)のエチレン含有量は好ましくは2〜30重量%であり、2重量%以上であると耐衝撃性が十分となり、30重量%以下であると、剛性が十分となり成形性も良好となる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、JIS Z8741に準拠した光沢が30%以下の範囲のものであり、25%以下が好ましく、より好ましくは20%以下で、15%以下がさらに好ましい。光沢が30%以下であると、マット感が得られ、優れた意匠性が発現できる。
光沢は、下記(B−i)〜(B−iii)の特性を満たす高密度ポリエチレン(B)を本発明にて規定された量含有させることで30%以下が発現され、含有量などで調整を行なうことができる。
(B−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.01〜2g/10分
(B−ii)密度が0.940〜0.960g/cm3
(B−iii)[プロピレン系(共)重合体(A)のMFR]/[高密度ポリエチレン(B)のMFR]=200〜1000となる高密度ポリエチレン
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7111に準拠したシャルピー衝撃強度(23℃)が3kJ/m2以上の範囲のものであり、4kJ/m2以上が好ましく、5kJ/m2以上がより好ましい。シャルピー衝撃強度(23℃)が3kJ/m2以上であると、耐衝撃性が十分となり、成形品が割れにくくなる。
シャルピー衝撃強度は、チーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)のエチレン含有量で調整を行なうことができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、収縮率(MD)及び収縮率(TD)が好ましくは1.5〜3.5%であり、収縮率比(MD/TD)が好ましくは0.5〜2.0である。
収縮率(MD:射出成形時の樹脂の流れ方向)及び収縮率(TD:射出成形時の樹脂の流れ方向の垂直方向)が3.5%以下であると、寸法変化が小さく、品質のバラツキの懸念がなく、1.5%以上であると、寸法の安定性が優れ、マット感が十分に得られる。これは、収縮率が高密度ポリエチレン(B)の含有量にも依存しているためである。また、収縮率比(MD/TD)が0.5〜2.0の範囲内であると、両者の収縮率の差が小さくなることにより、成形品が反る可能性が小さくなるので、この範囲が好ましい。
収縮率は、チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A)のエチレン含有量や高密度ポリエチレン(B)の含有量で調整を行なうことができる。例えば、高密度ポリエチレン(B)の含有量を多くすることで収縮率は大きくなる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7171に準拠した曲げ弾性率が好ましくは、700〜2000MPaの範囲であり、より好ましくは900〜1800MPa、さらに好ましくは、900〜1500MPaである。曲げ弾性率が700MPa以上であるとは、射出成形時に座屈する懸念がなく、2000MPa以下であると、耐衝撃性が十分となる。
曲げ弾性率は、チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A)のエチレン含有量や高密度ポリエチレン(B)の含有量で調整を行なうことができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤や、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤、中和剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
なお、本発明のプロピレン系樹脂組成物の性質、機能、透明性などの特性を損なわない範囲で、プロピレン系(共)重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)及びチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)以外の他の重合体、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、アクリレート重合体のような単独重合体、又は二元若しくは三元共重合体を、プロピレン系(共)重合体(A)50〜95重量部と高密度ポリエチレン(B)5〜50重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、0〜30重量部任意に添加することもできる。同様に、天然ゴム、ブチルゴム、ジエン系ゴム、EPM、EPDM、EBM、EHM、EOM、PBMのような、エラストマーをブレンドすることも可能である。さらに、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、石膏、マイカのような汎用の無機フィラーを併用することも可能である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系(共)重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)及びチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)、並びに、必要に応じて他の添加剤の各所定量を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
本発明の成形品は、上記マット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物を公知の方法である射出成形法によって成形することにより得られる。
本発明のマット調射出成形品としては、キャップ、容器、スプレー部材など化粧品関連部材を挙げることができる。
なお、各実施例及び比較例において用いた物性測定法、並びにプロピレン系(共)重合体(A)、高密度ポリエチレン(B)、チーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)及び公知の樹脂用配合剤は、以下のとおりである。
(ア)密度
JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管)で測定した。
なお、多段重合体を構成するチーグラー系プロピレン−エチレンブロック共系重合体(AC)中のプロピレン系(共)重合体(A2)は、その第1重合工程の重合後に抜き出した重合体の密度D(A2)を測定した。前記重合体(AC)中のプロピレン−エチレン共重合体(C)のDは直接測定が困難なため、前述のとおり、直接測定可能な前記重合体(AC)のD(AC)を測定し、密度Dの算出式からD(C)を算出した。
(イ)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点(Tm)とした。
(ウ)エチレン含有量
13C−NMRにより組成を検定したエチレン−プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収帯を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含有量を測定した(検量線作成)。作成した検量線に基づき、プロピレン系重合体の試料をプレス成形により約500μmの厚さのフィルムとしたものを用いて、赤外分光法によりエチレン含有量を測定した。
ここで、検量線作成用の基準物質のプロピレン及びエチレンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。13C−NMRのスペクトルの解析は特開2006−307120号公報に記載の解析方法に従って行い、プロピレン及びエチレンの含有量を算出した。
装置:日本電子(株)製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
なお、多段重合体を構成するチーグラー系プロピレン−エチレンブロック共系重合体(AC)中のプロピレン系(共)重合体(A2)は、その第1重合工程の重合後に抜き出した重合体のエチレン含有量E(A2)を測定した。前記重合体(AC)中のプロピレン−エチレン共重合体(C)のEは直接測定が困難なため、前述のとおり、直接測定可能な前記重合体(AC)のE(AC)を測定しエチレン含有量Eの算出式からE(C)を算出した。
(エ)MFR
JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、試験温度230℃、公称荷重2.16kgにて測定した。
なお、多段重合体を構成するチーグラー系プロピレン系重合体(AC)中のプロピレン系(共)重合体(A2)は、その第1重合工程の重合後に抜き出した重合体のMFR(A2)を測定した。前記重合体(AC)中のプロピレン−エチレン共重合体(C)のMFRは直接測定が困難なため、前述のとおり、直接測定可能な前記重合体(AC)のMFR(AC)を測定し、MFRの算出式である粘度の対数加成則と呼ばれる経験式からMFR(C)を算出した。
JIS K7171に準拠して測定した。
JIS K7111に準拠して23℃のシャルピー衝撃強度を測定した。
JIS Z8741に準拠して光沢を測定した。
12cm×12cm×2mmの射出成形品において、成形1週間後の収縮率を測定した。
(ケ)外観
12cm×12cm×2mmの射出成形品において、輝点を目視で確認した。
○:輝点が気にならない。
△:輝点が気になる。
×:輝点が顕著。
2−1.添加剤
(IF168)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト。BASF社製 商品名:「Irgafos168」
(IR1010)テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン。BASF社製 商品名;「IRGANOX 1010」
(CAST)ステアリン酸カルシウム。日油(株)製
(PHA25B)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン。
日油(株)製 商品名「パーヘキサ25B」
(i)製造例1 PP1
(a)触媒の調製
1)メタロセン化合物
メタロセン化合物として、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムを用いた。
2)化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けたガラス製3Lセパラブルフラスコに、純水1,750gを投入し、続いて98%硫酸1160gをゆっくり添加した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト〔水澤化学工業(株)製、ベンクレイSL、平均粒子径:18.5μm〕を400g添加後、撹拌した。その後90℃に昇温し、9時間その温度を維持して反応させた。反応後40℃まで冷却し、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに純水を2L加えて再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、4.0を超えるまで実施した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、280gの化学処理体を得た。その後、1Lフラスコに全量投入し、200℃にて2hr減圧乾燥を行った。
3)固体触媒の調製
内容積13Lの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た化学処理体である乾燥珪酸塩0.223kgとn−ヘプタン1.45Lの混合物を導入し、トリノルマルオクチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(0.04M)13.94Lを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、n−ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0Lに調整した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2.18g(3.00mmol)にn−ヘプタンを0.86L加え、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(0.71M)を10.6mL加えて、室温にて1時間反応させて反応混合物を調製した。この反応混合物を前記珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後n−ヘプタンを追加して5.6Lに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを111.8g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合を行った。予備重合終了後、残モノマーをパージし、触媒をn−ヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のn−ヘプタン溶液を84.6mL添加した後に、40℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、固体触媒として乾燥した予備重合触媒0.68kgを得た。
(b)重合
内容積200Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液を470mL(0.12mol)、水素を5.0NL、さらにエチレンを0.50kg加え、30℃に維持した。その後、上記固体触媒1.59gをアルゴンで圧入し、35分かけて68℃まで昇温し、2時間重合を行った。
次いで、エタノール100mLを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン−エチレン共重合体PP1のパウダー23.5kgを得た。得られたプロピレン−エチレン共重合体PP1は、MFR=30g/10分、融点(Tm)=142℃、エチレン含有量=0.9重量%であった。
<固体触媒成分の製造>
十分に窒素置換した内容積50Lの攪拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20Lを導入し、次いで塩化マグネシウム(MgCl2)を10モル、テトラブトキシチタン〔Ti(O−n−C4H9)4〕を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、メチルヒドロポリシロキサン〔動粘度:20センチストークス(cSt)=2×10−5m2/sのもの〕を12L導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5L導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5Lにテトラクロロシラン(SiCl4)5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次に、前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5L導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。続いて、テトラクロロチタン(TiCl4)を2L導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(a)を製造するための固体成分(a1)を得た。この固体成分のチタン含有量は、2.0重量%であった。
その後、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8L、上記で合成した固体成分(a1)を400g導入し、成分(a2)としてSiCl4を0.6L導入して、90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(a3)としてビニルトリメチルシラン〔(CH2=CH)Si(CH3)3〕を0.54モル、成分(a4)としてt−ブチルメチルジメトキシシラン〔(t−C4H9)(CH3)Si(OCH3)2〕0.27モル及び成分(a5)としてトリエチルアルミニウム〔Al(C2H5)3〕1.5モルを順次導入して、30℃で2時間接触させた。
接触終了後、n−ヘプタンで十分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(a)390gを得た。この固体触媒成分(a)のチタン含有量は、1.8重量%であった。
内容積230Lの流動床式反応器を連続反応装置として用いてプロピレン重合を行った。反応器が、重合温度85℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.010となるように、プロピレン及び水素を連続的に供給した。さらに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hr、上記記載の固体触媒成分(a)0.50gをポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、プロピレン単独重合体を製造した。
反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン単独重合体を得た。
このプロピレン単独重合体のMFRは11g/10分、融点(Tm)は160℃であった。これをPP2とした。
(i)製造例 PP3
1)第1重合工程
水平軸回りに回転する攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m3)、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.25MPaGにおいて特開2011−153287号の実施例に即した条件下にて、第1重合工程のプロピレン単独重合体の製造を実施した。さらに第1重合工程の目標生産量となるように特開2008−150466号の実施例1に沿って製造されたチーグラー系重合触媒170g及びトリイソブチルアルミニウム750gをフィードした。また、目標MFRとなるように、プロピレン及び水素をフィードし、水素/プロピレンモル比=0.11に調整して、プロピレン重合体成分(プロピレン系(共)重合体(A2))を製造した。
2)第2重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m3)の第2重合器に第1重合工程からのプロピレン重合体成分を受け入れ、非晶成分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(チーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C))を製造した。このとき、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.20MPaGとし、特開2008−150466号の実施例に即した条件下にて、プロピレン−エチレンランダム共重合体の重合量、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)に含まれるエチレン含有量及びチーグラー系プロピレン系重合体(AC)の目標MFR、第2重合工程の重量割合になるよう、活性抑制剤として酸素量を酸素/有機アルミニウムモル比=0.10に、プロピレン、エチレン及び水素をフィードし、エチレン/プロピレンモル比=0.35、水素/エチレンモル比=0.014にそれぞれ調整した。
第1重合工程でMFR=50g/10分のプロピレン単独重合体(プロピレン系(共)重合体(A2))を得て、第2重合工程でMFR=2.30g/10分でエチレン含有量が44.5重量%となるプロピレン−エチレンランダム共重合体(チーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C))を得た。ここで、第二重合工程で得られたプロピレン−エチレン共重合体(C)の重量割合は、重合槽に供給する液化プロピレン量から各重合工程の生産量を算出して求めた結果、22.5重量%であった。プロピレン系重合体(AC)(PP3)の組成を表1に示す。
HDPE1:京葉ポリエチレン(株)製、商品名KEIYOポリエチ、グレード名F3001。MFR(230℃、2.16kg荷重)=0.08g/10分。密度=0.950g/cm3。
HDPE2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックHD、グレード名HF313。MFR(230℃、2.16kg荷重)=0.10g/10分。密度=0.950g/cm3。
HDPE3:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックHD、グレード名HF133。MFR(230℃、2.16kg荷重)=0.70g/10分。密度=0.943g/cm3。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP1、高密度ポリエチレン(B)としてHDPE2、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP1、高密度ポリエチレン(B)としてHDPE1、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP2及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、さらに分子量調整剤である添加剤として、PHA25Bを(A1)100重量部に対して0.01重量部の割合で加え、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。ペレット(PP2CR)のMFRは21g/10分であった。このペレットと、表2に記載の高密度ポリエチレン(B)としてHDPE1、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3を表2に記載の配合割合(重量部)で加え、手でドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。この得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP1及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、さらに分子量調整剤である添加剤として、PHA25Bを(A1)100重量部に対して0.04重量部の割合で加え、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。ペレット(PP1CR1)のMFRは90g/10分であった。このペレットと、表2に記載の高密度ポリエチレン(B)としてHDPE1、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3を表2に記載の配合割合(重量部)で加え、手でドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。この得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP1及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、さらに分子量調整剤である添加剤として、PHA25Bを(A1)100重量部に対して0.08重量部の割合で加え、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。ペレット(PP1CR2)のMFRは165g/10分であった。このペレットと、表2に記載の高密度ポリエチレン(B)としてHDPE1、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3を表2に記載の配合割合(重量部)で加え、手でドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。この得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP1、高密度ポリエチレン(B)としてHDPE3、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
チーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)としてPP2及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、さらに分子量調整剤である添加剤として、PHA25Bを(A1)100重量部に対して0.01重量部の割合で加え、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。ペレット(PP2CR)のMFRは21g/10分であった。このペレットと、表2に記載の高密度ポリエチレン(B)としてHDPE1、チーグラー系プロピレン系重合体(AC)としてPP3を表2に記載の配合割合(重量部)で加え、手でドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度220℃で溶融混練し、ペレット化した。この得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
なお、実施例及び比較例に用いた上述のプロピレン系(共)重合体(A)、プロピレン−エチレン共重合体(C)及びチーグラー系プロピレン系重合体(AC)の各組成をまとめて表1に示す。
Claims (5)
- プロピレン単独重合体又はプロピレンと含有量が1重量%未満のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体であり、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が5〜400g/10分であるプロピレン系(共)重合体(A)50〜95重量部と、下記(B−i)〜(B−iii)の特性を満たす高密度ポリエチレン(B)5〜50重量部とからなるプロピレン系樹脂100重量部に対して、下記(C−i)〜(C−iii)の特性を満たすチーグラー系プロピレン−エチレン共重合体(C)を1〜30重量部含有し、JIS Z8741に準拠した光沢が30%以下であり、JIS K7111に準拠したシャルピー衝撃強度(23℃)が3kJ/m2以上であるマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
(B−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.01〜2g/10分
(B−ii)密度が0.940〜0.960g/cm3
(B−iii)[プロピレン系(共)重合体(A)のMFR]/[高密度ポリエチレン(B)のMFR]=200〜1000となる高密度ポリエチレン
(C−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.001〜5g/10分
(C−ii)エチレン含有量が25〜80重量%
(C−iii)密度が0.85〜0.92g/cm3 - プロピレン系(共)重合体(A)が、MFRが3〜30g/10分であるチーグラー系プロピレン系(共)重合体(A1)20〜92重量部及びMFRが30g/10分を超えて450g/10分以下であるプロピレン系(共)重合体(A2)3〜30重量部からなる合計50〜95重量部であり、プロピレン系(共)重合体(A2)及びプロピレン−エチレン共重合体(C)が多段重合体を構成し、多段重合体が下記(AC−i)〜(AC−iii)の特性を満たすチーグラー系プロピレン系重合体(AC)として含有されている請求項1に記載のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
(AC−i)MFR(230℃、2.16kg荷重)が10〜150g/10分
(AC−ii)プロピレン系(共)重合体(A2)55〜95重量部及びプロピレン−エチレン共重合体(C)5〜45重量部の合計100重量部からなる多段重合体
(AC−iii)エチレン含有量が2〜30重量% - 請求項1又は2に記載のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物の収縮率(MD)及び収縮率(TD)が1.5〜3.5%であり、収縮率比(MD/TD)が0.5〜2.0であるマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマット調射出成形用プロピレン系樹脂組成物を用いてなるマット調射出成形品。
- 請求項4に記載のマット調射出成形品が化粧品関連部材であるマット調射出成形品。
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