JP2020186302A - プロピレン系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れた材料で、高光沢、成形性、バリア性、さらには耐薬品性に優れたプロピレン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】MFR1が0.1〜1.0g/10分であるプロピレン単独重合体(A)5〜50重量部及びMFR2が3〜150g/10分であるプロピレン単独重合体(B)95〜50重量部の合計100重量部に対して、4成分からなる造核剤(C)を0.01〜0.5重量部含有し、MFR2/MFR1が10〜500、MFRが2〜50g/10分、曲げ弾性率が2150MPa以上、光沢が70%以上であるプロピレン系樹脂組成物(D)。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物に関し、詳しくは、フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れた材料で、高光沢、成形性、バリア性、さらには耐薬品性に優れたプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレンは、一般に耐薬品性、特に酸や塩基に対して優れており、また、水蒸気バリア性も良いことが知られており、各種の化粧品容器等の容器やそれを構成する関連部品に使用されている。
化粧品容器においては、化粧品の長期保存に耐え得るような特性や、機械的な物性面で、より高い剛性が求められることもあり、更に化粧品容器においては、イメージ商品としての側面もあるところから、消費者に訴えるような外観、とくに美観及び高級感を有していることが重要である(例えば、特許文献1を参照。)。ポリプロピレン系樹脂組成物に高い剛性を付与させる手法としては、タルクなどのフィラーを添加する方法が挙げられるが、製品の光沢は低下し、意匠性が損なわれる場合がある。意匠性を維持しつつ、市場より要望されるより高い剛性を保持できるポリプロピレン系樹脂組成物及び各種の化粧品容器等の容器やそれを構成する関連部品は提供されていなかった。
特開平2−180137号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、プロピレン系樹脂組成物に関し、詳しくは、フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れた材料で、高光沢、成形性、バリア性、さらには耐薬品性に優れたプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特定のプロピレン系重合体2種を基材とし特定の造核剤を含有するプロピレン系樹脂組成物は、フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れた材料で、高光沢、成形性、バリア性、さらには耐薬品性に優れ化粧品容器やそれを構成する関連部品として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のプロピレン系樹脂組成物及び成形品を提供するもので、特に、フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れたプロピレン系樹脂組成物及び成形品として主に化粧品容器やそれを構成する関連部品を提供するものである。
[1]JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、試験温度230℃、公称荷重2.16kgにて測定したメルトフローレート(以下、MFRと略称することがある。)が0.1〜1.0g/10分であるプロピレン単独重合体(A)5〜50重量部及びMFRが3〜150g/10分であるプロピレン単独重合体(B)95〜50重量部の合計100重量部に対して、下記造核剤(C)を0.01〜0.5重量部含有し、下記の特性(v)〜(viii)を満たすプロピレン系樹脂組成物(D)。
(C−i)脂肪酸リチウムが10〜20重量部であること。
(C−ii)脂肪酸ナトリウムが10〜20重量部であること。
(C−iii)安息香酸ナトリウムが20〜30重量部であること。
(C−iv)ビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩が40〜50重量部であること。
(C)造核剤(C)が(C−i)〜(C−iv)の合計100重量部からなる造核剤であること。
(v)プロピレン単独重合体(A)のMFR(MFR1)とプロピレン単独重合体(B)のMFR(MFR2)との比MFR2/MFR1が10〜500であること。
(vi)プロピレン系樹脂組成物(D)のMFRが2〜50g/10分であること。
(vii)JIS K7171に準拠した曲げ弾性率が2150MPa以上であること。
(viii)JIS Z8741に準拠した光沢が70%以上であること。
[2][1]に記載のプロピレン系樹脂組成物(D)を用いてなる成形品。
[3][2]に記載の成形品が化粧品用途向けである成形品。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は成形性に優れており、本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて製造した成形品、特に化粧品容器やそれを構成する関連部品は、化粧品容器やそれを構成する関連部品に求められる特性、すなわち、高外観性、及び製品特性や形状を保持するために必要な高い剛性、高光沢、化粧品溶液を保持するためのバリア性や耐薬品性を有する化粧品容器やそれを構成する関連部品として有用である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、特定のプロピレン系重合体2種を基材とし、フィラーを添加せずとも高い剛性が発現できる高外観性に優れた材料で、高光沢、成形性、バリア性、さらには耐薬品性に優れることを特徴とする。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物及び成形品について、詳細に説明する。
[1] プロピレン系樹脂組成物
(1) プロピレン単独重合体(A)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン単独重合体(A)は、高い剛性を発現させる観点でプロピレン単独重合体である。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体(A)は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR1)が0.1〜1.0g/10分の範囲のものであり、0.2〜0.8g/10分が好ましく、0.2〜0.6g/10分がより好ましい。メルトフローレート(MFR1)が0.1g/10分以上であると、剛性向上を発現させたうえで成形加工性がよく、製品として満足できるものが得られる。また、1.0g/10分以下であると、剛性向上がもたらされ製品として満足できるものが得られる。
メルトフローレート(MFR1)は、プロピレン単独重合体(A)を製造する際の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
ここで、MFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠し、試験温度230℃、公称荷重2.16kgで測定する値である。
プロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン単独重合体(A)の重量割合は、5〜50重量部であり、好ましくは、10〜45重量部である。5重量部以上であると、製品の剛性向上が期待でき、50重量部以下であると、製品を得るための成形性が得られる。(ここで、プロピレン単独重合体(A)5〜50重量部と、プロピレン単独重合体(B)95〜50重量部とからなる合計は100重量部となる。)
プロピレン単独重合体(A)の製造方法としては、メタロセン触媒又はチーグラー触媒を用いる製造方法であればよいが、特に分子量分布が広く高い剛性が得られやすいチーグラー触媒を用いる方が好ましい。
チーグラー触媒の一例としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、さらにそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム等が挙げられるが具体的には、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化し得る助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
メタロセン化合物(i)としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
プロピレン単独重合体(A)を製造するための重合方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー重合法、溶液重合法、実質的に溶媒を用いない気相重合法、重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素中で行うことができる。バルク重合法の場合には、液状の重合モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン単独重合体(A)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
(2)プロピレン単独重合体(B)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン単独重合体(B)は、高い剛性を発現させる観点でプロピレン単独重合体である。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体(B)は、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR2)が3〜150g/10分の範囲のものであり、5〜100g/10分が好ましく、15〜50g/10分がより好ましい。メルトフローレート(MFR2)が3g/10分以上であると、剛性向上を発現させたうえで成形加工性がよく、製品として満足できるものが得られる。また、150g/10分以下であると、プロピレン単独重合体(A)との混和性が向上し剛性向上がもたらされるので製品として満足できるものが得られる。
メルトフローレート(MFR2)は、プロピレン単独重合体(B)を製造する際の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
ここで、MFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠し、試験温度230℃、公称荷重2.16kgで測定する値である。
プロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン単独重合体(B)の重量割合は、95〜50重量部であり、好ましくは、90〜55重量部である。50重量部以上であると、製品の成形性向上が期待でき、95重量部以下であると、製品の剛性向上が期待できる。(ここで、プロピレン単独重合体(A)5〜50重量部と、プロピレン単独重合体(B)95〜50重量部とからなる合計は100重量部となる。)
プロピレン単独重合体(B)の製造方法としては、メタロセン触媒又はチーグラー触媒を用いる製造方法であればよいが、特に分子量分布が広く高い剛性が得られやすいチーグラー触媒を用いる方が好ましい。
チーグラー触媒の一例としては、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、さらにそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム等が挙げられるが具体的には、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化し得る助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
メタロセン化合物(i)としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
プロピレン単独重合体(B)を製造するための重合方法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー重合法、溶液重合法、実質的に溶媒を用いない気相重合法、重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素中で行うことができる。バルク重合法の場合には、液状の重合モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧(0.10〜6.08MPa)が好ましく、また得られるプロピレン単独重合体(B)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
プロピレン単独重合体(A)のMFR(MFR1)とプロピレン単独重合体(B)のMFR(MFR2)との比MFR2/MFR1は10〜500の範囲のものであり、20〜150が好ましく、30〜100がより好ましい。MFR2/MFR1が10以上であると、剛性向上を発現させたうえで成形加工性がよく、製品として満足できるものが得られる。また、MFR2/MFR1が500以下であると、プロピレン単独重合体(A)との混和性が向上し分散不良による外観悪化を防ぎ、剛性向上がもたらされるので製品として満足できるものが得られる。
(3)造核剤(C)
本発明で用いられる造核剤(C)は下記(C−i)〜(C−iv)の合計100重量部からなる造核剤である。造核剤(C)の含有量は、プロピレン単独重合体(A)5〜50重量部とプロピレン単独重合体(B)95〜50重量部の合計100重量部に対して、0.01〜0.5重量部であり、好ましくは0.05〜0.3重量部である。造核剤(C)の含有量が0.01重量部以上であると剛性や透明性の発現が期待でき、0.5重量部以下であると、成形品表面へのブリードの懸念が少なくなり、剛性や透明性についての費用対効果(コスト・パフォーマンス)及び溶出性の点から有利である。
(C−i)脂肪酸リチウムが10〜20重量部であること。
(C−ii)脂肪酸ナトリウムが10〜20重量部であること。
(C−iii)安息香酸ナトリウムが20〜30重量部であること。
(C−iv)ビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩が40〜50重量部であること。
脂肪酸リチウム及び脂肪酸ナトリウムを構成する脂肪酸としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)−リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8,11−エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられ、好ましくはパルミチン酸及びステアリン酸であり、より好ましくはステアリン酸である。 この様な造核剤(C)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、ミリケン・ジャパン合同会社製 商品名:「ハイパーフォーム(登録商標、HYPERFORM)HPN−715」を挙げることができる。
プロピレン系樹脂組成物(D)は、MFR1が0.1〜1.0g/10分であるプロピレン単独重合体(A)5〜50重量部及びMFR2が3〜150g/10分であるプロピレン単独重合体(B)95〜50重量部の合計100重量部に対して、造核剤(C)を0.01〜0.5重量部含有しているもので、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレート(MFR)が2〜50g/10分の範囲のものであり、3〜40g/10分が好ましく、5〜35g/10分がより好ましい。メルトフローレート(MFR)が2g/10分以上であると、剛性向上を発現させたうえで成形性が優れ、製品として満足できるものが得られる。また、50g/10分以下であると、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン単独重合体(B)との混和性が向上し剛性向上がもたらされるので製品として満足できるものが得られる。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン単独重合体(B)を製造する際の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。また、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン単独重合体(B)の重量比率でも調整できる。
(4)JIS K7171に準拠した曲げ弾性率(23℃)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、JIS K7171に準拠した曲げ弾性率(23℃)が2150MPa以上の範囲のものであり、2200MPa以上が好ましく、2300MPa以上がより好ましい。曲げ弾性率(23℃)が2150MPa以上であると、製品特性や形状を保持するために必要な剛性が得られる。曲げ弾性率(23℃)の上限値は特に限定されないが、通常、2700MPaである。
曲げ弾性率は、プロピレン単独重合体(A)及び(B)の重量比率や、造核剤の含有量などで調整を行なうことができる。
(5)JIS Z8741に準拠した光沢
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、JIS Z8741に準拠した光沢が70%以上の範囲のものであり、75%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、85%以上がさらに好ましい。光沢が70%以上であると、高外観が得られ、優れた意匠性が発現できる。光沢の上限値は特に限定されないが、通常、130%である。
光沢は、フィラーを用いないことで70%以上が発現される。
(6)添加剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物(D)においては、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤や、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤(C)以外の造核剤、中和剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない程度に配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、耐NOxガス変色性が良好な下記式(1)や下記式(2)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記式(3)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
造核剤(C)以外の造核剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、有機リン酸金属塩化合物、ソルビトール系造核剤、ノニトール系造核剤、1,3,5−トリス[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼンなどがある。
中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業(株)製のマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製のリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられるが、ステアリン酸カルシウムが経済的であり、成形性向上にも寄与し、最も好ましい。
さらに、その他に、既知の各種添加剤、例えば、滑剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、染料、顔料等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
なお、本発明のプロピレン系樹脂組成物の性質、剛性、機能などの特性を損なわない範囲で、プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン単独重合体(B)以外の他の重合体、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、アクリレート重合体のような単独重合体、又は二元若しくは三元共重合体を、プロピレン系樹脂組成物(D)100重量部に対して、0〜30重量部任意に添加することもできる。同様に、天然ゴム、ブチルゴム、ジエン系ゴム、EPM、EPDM、EBM、EHM、EOM、PBMのような、エラストマーをブレンドすることも可能である。さらに、光沢が悪化する懸念があるが、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、石膏、マイカのような汎用の無機フィラーも本発明の効果を損なわない範囲で添加することが可能である。
[2]プロピレン系樹脂組成物(D)の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物(D)は、プロピレン単独重合体(A)、プロピレン単独重合体(B)及び造核剤(C)、並びに、必要に応じて他の添加剤の各所定量を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で190〜260℃の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
なお、造粒時の混練強度を上げたり、プロピレン単独重合体(A)と造核剤(C)をブレンド後に溶融混練しペレットを得て、また、プロピレン単独重合体(B)と造核剤(C)も、別途、ブレンド後に溶融混練しペレットを得て、更に、これらのいずれか1種類のペレット又は2種類のペレットと必要に応じた他の添加剤をブレンド後に溶融混練すると、プロピレン系樹脂組成物(D)の輝点(外観)がより改善されるので好ましい。これらの1種類のペレットを用いる場合は、次のいずれかの方法、具体的には(1)プロピレン単独重合体(A)と造核剤(C)をブレンドして得られたペレット、プロピレン単独重合体(B)のパウダー及び必要に応じた他の添加剤をブレンド後に溶融混練する方法、(2)プロピレン単独重合体(B)と造核剤(C)をブレンドして得られたペレット、プロピレン単独重合体(A)のパウダー及び必要に応じた他の添加剤をブレンド後に溶融混練する方法、によってプロピレン系樹脂組成物(D)を製造することができる。
[3]成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物(D)を公知の方法である射出成形法、押出成形法、押出ブロー成形法、射出ブロー成形法、プレス成形法等によって成形することにより得られる。本発明の成形品は、これら成形法の内、射出成形法によって成形することにより得られる射出成形品が好ましい。
本発明の成形品としては、キャップ、容器、スプレー部品など化粧品容器やそれを構成する関連部品を挙げることができ、これら成形品としては射出成形品であることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例において用いた物性測定法、並びにプロピレン単独重合体(A)、プロピレン単独重合体(B)、造核剤(C)及び公知の樹脂用配合剤は、以下のとおりである。
<1.測定の方法>
(ア)MFR
JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、試験温度230℃、公称荷重2.16kgにて測定した。
(イ)曲げ弾性率
JIS K7171に準拠して23℃で測定した。
(ウ)シャルピー衝撃強度
JIS K7111に準拠して23℃のシャルピー衝撃強度を測定した。
(エ)光沢
JIS Z8741に準拠して光沢を測定した。
(オ)分散不良による輝点(外観不良)
12cm×12cm×2mmの射出成形品において、輝点を目視で確認した。
○:輝点が気にならない。
×:輝点が顕著。
<2. 樹脂、添加剤>
2−1.添加剤
(IF168)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト。BASF社製 商品名:「Irgafos168」
(IR1010)テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン。BASF社製 商品名;「IRGANOX 1010」
(CAST)ステアリン酸カルシウム。日油(株)製
(DHT4A)ハイドロタルサイト。協和化学工業株式会社製 商品名「DHT−4A」
(タルク)タルク。松村産業株式会社製 商品名「ハイフィラー P7PK」
(HPN−715)造核剤(C)相当品。ミリケン・ジャパン合同会社製 商品名「ハイパーフォーム(登録商標、HYPERFORM)HPN−715」
(NA11)2−ヒドロキシ−2−オキソ−4,6,10,12−テトラ−tert−ブチル−1,3,2−ジベンゾ[d,g]ペルヒドロジオキサホスファロシンのナトリウム塩。株式会社ADEKA製 商品名「アデカスタブ NA−11」
(ALPTB)アルミニウムヒドロキシ−ビス(p−ターシャリーブチル安息香酸)。ジャパンケムテック株式会社製 商品名「AL−PTBBA」
(PHA25B)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン。
日油(株)製 商品名「パーヘキサ25B」
2−2.プロピレン単独重合体(A)相当のPPパウダーの製造例
(i)製造例1 PP1パウダー
(1)第1重合工程
水平軸回りに回転する攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m)の第1重合器、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.25MPaGにおいて特開2011−153287号公報記載の実施例1に即した条件下にて、第1重合工程のプロピレン単独重合体の製造を実施した。ただし、触媒の供給については第1重合工程の目標生産量となるように特開2008−150466号公報記載の実施例1に沿って調製されたチーグラー系重合触媒を生産レート8t/hになるようフィードした。トリイソブチルアルミニウムは予備重合後の触媒中のMgに対してAl/Mgモル比が10となるようにフィードした。また、目標MFRとなるように、水素、プロピレンをフィードし、水素/プロピレンモル比=0.002に調整して、プロピレン単独重合体成分を製造した。
(2)第2重合工程
水平軸回りに回転する攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m)の第2重合器に第1重合工程からのプロピレン単独重合体成分を受け入れ、第1重合工程と同様のプロピレン単独重合体成分を製造した。このとき、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.20MPaG、重合温度70℃とし、プロピレン単独重合体成分の目標MFRとなるように、水素、プロピレンをフィードし、水素/プロピレンモル比=0.0006、に調整して、プロピレン単独重合体成分を製造した。
得られたプロピレン単独重合体(A)PP1パウダーは、MFR=0.4g/10分であった。
2−3.プロピレン単独重合体(B)相当のPPパウダーの製造例
(i)製造例2 PP2パウダー
<固体触媒成分の調製>
十分に窒素置換した内容積50Lの攪拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20Lを導入し、次いで塩化マグネシウム(MgCl)を10モル、テトラブトキシチタン〔Ti(O−n−C〕を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、メチルヒドロポリシロキサン〔動粘度:20センチストークス(cSt)=2×10−5/sのもの〕を12L導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5L導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5Lにテトラクロルシラン(SiCl)5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次に、前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5L導入し、フタル酸クロリド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。続いて、テトラクロルチタン(TiCl)を2L導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(a)を調製するための固体成分(a1)を得た。この固体成分(a1)のチタン含有量は、2.0重量%であった。
その後、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8L、上記で合成した固体成分(a1)を400g導入し、成分(a2)としてSiClを0.6L導入して、90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(a3)としてビニルトリメチルシラン〔(CH=CH)Si(CH〕を0.54モル、成分(a4)としてt−ブチルメチルジメトキシシラン〔(t−C)(CH)Si(OCH〕0.27モル及び成分(a5)としてトリエチルアルミニウム〔Al(C〕1.5モルを順次導入して、30℃で2時間接触させた。
接触終了後、n−ヘプタンで十分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(a)390gを得た。この固体触媒成分(a)のチタン含有量は、1.8重量%であった。
<予備重合>
上記で得られた固体触媒成分(a)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒成分(a)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、Al(Cのn−ヘプタン希釈液をAl(Cとして10g添加し、210gのプロピレンを4時間かけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分間反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で十分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで十分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合された固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体触媒成分(A)1gあたり2.0gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、(i−CSi(OCHが8.2重量%含まれていた。
<プロピレン単独重合体(B)相当のPPパウダーの製造>
内容積230Lの流動床式反応器を連続反応装置として用いてプロピレン重合を行った。反応器が、重合温度85℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量調整剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.010となるように、プロピレン及び水素を連続的に供給した。さらに、トリエチルアルミニウムを5.25g/時間、上記記載の予備重合された固体触媒成分(A)0.50gをプロピレン重合速度が20kg/時間になるように供給し、プロピレン単独重合体を製造した。
反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン単独重合体を得た。
このプロピレン単独重合体のMFRは9g/10分であった。これをPP2パウダーとした。
2−4.プロピレン単独重合体(B)相当のPPペレットの製造例
(i)製造例3 PP3ペレット
PP2パウダーに表1に記載の配合割合(重量部)で、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度230℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットのMFRは40g/10分であった。これをPP3ペレットとした。
(ii)製造例4 PP4ペレット
PP2パウダーに表1に記載の配合割合(重量部)で、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度230℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットのMFRは17g/10分であった。これをPP4ペレットとした。
(iii)製造例5 PP5ペレット
PP2パウダーに表1に記載の配合割合(重量部)で、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度230℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットのMFRは17g/10分であった。これをPP5ペレットとした。
(iv)製造例6 PP6ペレット
PP2パウダーに表1に記載の配合割合(重量部)で、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度230℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットのMFRは17g/10分であった。これをPP6ペレットとした。
(v)製造例7 PP7ペレット
PP2パウダーに表1に記載の配合割合(重量部)で、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度230℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットのMFRは350g/10分であった。これをPP7ペレットとした。
<3−1−1.実施例1〜3>
パウダー、ペレット及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度240℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度230℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
<3−1−2.比較例1〜5>
パウダー、ペレット及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度240℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度200℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
<3−1−3.比較例6>
パウダー及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、さらに分子量調整剤である添加剤として、PHA25Bを0.022重量部の割合で加え、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度240℃で溶融混練し、ペレット化した。ペレットのMFRは6g/10分であった。このペレットは分子量調整剤によって、プロピレン単独重合体(B)相当となった。この得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度230℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
<3−1−4.比較例7〜9>
パウダー、ペレット及び添加剤を表2に記載の配合割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製TEM−35B二軸押出機を用いて、ダイ出口部温度240℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを東芝機械(株)製EC100SX射出成形機(鏡面金型/♯2500仕上げ)により、樹脂温度230℃及び金型温度40℃で射出成形し、試験片を作製した。得られたペレット又は試験片をそれぞれ用いて、前記各物性を測定した。それらの評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜3は、本発明のプロピレン系樹脂組成物(D)を用いたものであり、高剛性で高光沢、外観に優れた材料であることが判る。比較例1と2は、本発明の造核剤(C)を用いたものであるが、プロピレン単独重合体(B)のみのため、剛性が十分ではないことが判る。比較例3は、本発明とは異なる造核剤を用いたもので、また、比較例4は、造核剤を使用しなかったもので、いずれも剛性が十分ではないことが判る。比較例5はフィラーとしてタルクを添加し剛性を向上させたもので、高い剛性が得られるが、一方で、フィラーの影響で光沢が下がり、意匠性が悪くなることが判る。比較例6は、分子量調整剤でMFRを調整し、プロピレン単独重合体(B)相当に本発明とは異なる造核剤を用いたもので、剛性が不十分であることが判る。比較例7は、本発明のプロピレン単独重合体(A)とプロピレン単独重合体(B)を用いているが、比較例6で使用した本発明とは異なる造核剤を用いたもので、剛性が不十分であることが判る。また、比較例8は、本発明のプロピレン単独重合体(A)とプロピレン単独重合体(B)を用いているが、造核剤を使用していないもので、剛性が不十分であることが判る。比較例9は、MFR2/MFR1が500を超えるもので、外観不良が発生することが判る。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は成形性に優れており、本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて製造した成形品、特に化粧品容器やそれを構成する関連部品は、化粧品容器やそれを構成する関連部品に求められる特性、すなわち、高外観性、及び製品特性や形状を保持する為に必要な高い剛性、化粧品溶液を保持するためのバリア性や耐薬品性を有する化粧品容器やそれを構成する関連部品用途に供することができる。

Claims (3)

  1. JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、試験温度230℃、公称荷重2.16kgにて測定したメルトフローレート(以下、MFRと略称する。)が0.1〜1.0g/10分であるプロピレン単独重合体(A)5〜50重量部及びMFRが3〜150g/10分であるプロピレン単独重合体(B)95〜50重量部の合計100重量部に対して、下記造核剤(C)を0.01〜0.5重量部含有し、下記の特性(v)〜(viii)を満たすプロピレン系樹脂組成物(D)。
    (C−i)脂肪酸リチウムが10〜20重量部であること。
    (C−ii)脂肪酸ナトリウムが10〜20重量部であること。
    (C−iii)安息香酸ナトリウムが20〜30重量部であること。
    (C−iv)ビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩が40〜50重量部であること。
    (C)造核剤(C)が(C−i)〜(C−iv)の合計100重量部からなる造核剤であること。
    (v)プロピレン単独重合体(A)のMFR(MFR1)とプロピレン単独重合体(B)のMFR(MFR2)との比MFR2/MFR1が10〜500であること。
    (vi)プロピレン系樹脂組成物(D)のMFRが2〜50g/10分であること。
    (vii)JIS K7171に準拠した曲げ弾性率が2150MPa以上であること。
    (viii)JIS Z8741に準拠した光沢が70%以上であること。
  2. 請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物(D)を用いてなる成形品。
  3. 請求項2に記載の成形品が化粧品用途向けである成形品。
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