JP2000204175A - プロピレン系樹脂シ―トおよびそれを用いた成形体 - Google Patents
プロピレン系樹脂シ―トおよびそれを用いた成形体Info
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Abstract
法により成形品を製造する際に、透明性にすぐれ、白化
が少ない偏肉が少なく深絞り性に優れたプロピレン系樹
脂シート、および成形体。 【解決手段】 結晶性ポリプロピレンおよびプロピレン
−エチレンコポリマーからなり、プロピレン−エチレン
コポリマーの極限粘度[η]RCが1.7〜2.8dl/gであ
り、結晶性ポリプロピレンの極限粘度を[η]PPとしたと
きの結晶性ポリプロピレンとプロピレン−エチレンコポ
リマーの極限粘度比([η]RC/[η]PP)が0.7〜1.2
であり、かつ、結晶性ポリプロピレンの重量をWPPと
し、プロピレン−エチレンコポリマーの重量をWRCとし
たときの前記結晶性ポリプロピレンとプロピレン−エチ
レンコポリマーの重量比(WPP/WRC)とそれらの極限粘
度比([η]RC/[η]PP)との積(WPP/WRC)×([η]RC/[η]
PP)が1.0〜3.0であるプロピレン系樹脂組成物を
用いる。
Description
形品の製造に好適なプロピレン系樹脂シートおよびそれ
を用いた成形体に関する。詳しくは、延展性や深絞り性
に優れ、真空成形法もしくは圧空成形法などの熱成形法
による成形品の製造に好適なプロピレン系樹脂シート、
およびそれを用いた偏肉の少ない成形体に関する。
成形体が各種の包装容器やブリスターパッケージなどに
広く用いられている。中でも塩化ビニル樹脂シートやポ
リスチレンのシートは、真空成形性や圧空成形性が優れ
るためこれらの用途に多く用いられてきた。近年、環境
問題に対する関心が高まり、廃棄物を焼却する際の有害
ガスなどの発生防止が強く求められるようになった。こ
のため、塩化ビニル樹脂シートやポリスチレンのシート
に代えて、焼却において有害ガスの発生が殆どないオレ
フィン系樹脂シートの真空成形体や圧空成形体が多く使
用されるようになってきた。
量で価格も安いことから、多様な用途に用いられるよう
になった。従来、真空成形法や圧空成形法などの熱成形
法による成形品の製造に用いられるシート用のプロピレ
ン系樹脂としては、成形性や製品の耐衝撃性などの点か
らプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体が用い
られてきたが、熱成形における予熱時の垂下量が大きく
延展性が不十分なため、特に広幅・大面積製品、深絞り
製品および充填剤添加製品では偏肉などの成形不良が多
発していた。また、食品包装に使用される場合には、熱
処理における変形の発生や衝撃白化による透明性の低下
などの問題があった。
もしくは圧空成形法などの熱成形法により成形品を製造
する際に、偏肉が少なく深絞り性に優れたプロピレン系
樹脂シート、および前記のプロピレン系樹脂シートを真
空成形法もしくは圧空成形法などによって熱成形するこ
とにより得られる、熱処理における変形の発生、衝撃白
化およびベタツキが少なく、かつ、無機充填剤を添加し
ない場合は透明性に優れた成形体を提供することを課題
とする。
題点を解決するため鋭意検討の結果、特定のプロピレン
系樹脂組成物を用いた配合物をシート成形して得られた
熱成形用プロピレン系樹脂シートおよびそれを用いて得
られる成形体が、前記課題を解決することを見出し本発
明を完成した。
エチレンコポリマー(RC)からなり、プロピレン−エチ
レンコポリマー(RC)の極限粘度[η]RCが1.7〜2.
8dl/gであり、結晶性ポリプロピレン(PP)の極限粘度
を[η]PPとしたときの結晶性ポリプロピレン(PP)とプ
ロピレン−エチレンコポリマー(RC)の極限粘度比
([η]RC/[η]PP)が0.7〜1.2であり、かつ、結晶
性ポリプロピレン(PP)の重量をWPPとし、プロピレン
−エチレンコポリマー(RC)の重量をWRCとしたときの
結晶性ポリプロピレン(PP)とプロピレン−エチレンコ
ポリマー(RC)の重量比(WPP/WRC)とそれらの極限粘
度比([η]RC/[η]PP)との積(WP P/WRC)×([η]RC/[η]
PP)が1.0〜3.0であるプロピレン系樹脂組成物を
用いた配合物をシート成形して得られた熱成形用プロピ
レン系樹脂シート。 (2)(1)項に記載のプロピレン系樹脂組成物が20
〜99重量%、充填剤が80〜1重量%の割合で添加さ
れてなる配合物をシート成形して得られた熱成形用プロ
ピレン系樹脂シート。 (3)(1)もしくは(2)項に記載の熱成形用プロピ
レン系樹脂シートを熱成形法によって成形することによ
り得られた成形体。
する。本発明のプロピレン系樹脂シートおよびそれを用
いた成形体において、プロピレン系樹脂シートを製造す
るための配合物に用いられるプロピレン系樹脂組成物の
構成成分である結晶性ポリプロピレン(PP)としては、
結晶性ポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレン含
有量が90重量%以上の結晶性プロピレン−エチレンラ
ンダムコポリマーを好適に用いることができる。結晶性
プロピレン(PP)中のプロピレン含有量が多い程、前記
のプロピレン系樹脂組成物の剛性が高くなる。
であるプロピレン−エチレンコポリマー(RC)は、25
〜55重量%、好ましくは30〜55重量%のエチレン
重合単位を含有するプロピレン−エチレンランダムコポ
リマーである。プロピレン−エチレンコポリマー(RC)
中のエチレン重合単位含有量が25重量%より著しく少
ない場合は、前記成形体の柔軟性や耐衝撃性が低下し、
55重量%を大きく越える場合は結晶性ポリプロピレン
(PP)へのプロピレン−エチレンコポリマー(RC)の分
散性が低下し前記成形体の透明性、光沢および難白化性
が低下する。更にはプロピレン−エチレンコポリマー
(RC)中のエチレン重合単位含有量が25〜55重量%
の範囲を越える場合、プロピレン系樹脂組成物を用いた
配合物をシート成形して得られるプロピレン系樹脂シー
トの熱成形における予熱時の垂下量が増加し延展性が劣
るため、成形不良率の増加もしくは成形不能に陥る。
ー(RC)は、135℃のテトラリン(テトラクロロナフ
タレン)中で測定した極限粘度[η]RCが1.7〜2.8d
l/gの範囲にあり、かつ結晶性ポリプロピレン(PP)の
同一条件で測定した極限粘度[η]PPとの間の極限粘度比
[η]RC/[η]PPが0.7〜1.2、好ましくは0.8〜
1.2の範囲にある。極限粘度[η]RCが1.7dl/g未満
では、前記成形体の機械的特性が低下する傾向があり、
2.8dl/gを越えると機械的特性は向上するが成形サイ
クル性が低下する傾向がある。また、極限粘度比[η]RC
/[η]PPが0.7〜1.2の範囲を外れると前記成形体
の低温耐衝撃性と熱処理における難白化性が低下する傾
向がある。さらに、極限粘度比が0.7より著しく小さ
い場合は、前記成形体の柔軟性が不足し、1.2を大き
く越える場合は前記成形体の成形時の収縮率が大きくな
り透明性が悪くなる。
C)は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上の
20℃キシレン可溶成分を含有する。20℃キシレン可
溶成分が80重量%未満では、前記成形体の低温での耐
衝撃性が不十分である。前記のプロピレン系樹脂組成物
において、結晶性ポリプロピレン(PP)とプロピレン−
エチレンコポリマー(RC)との重量比WPP/WRCは、前
記両成分の極限粘度比[η]RC/[η]PPとの積([η]RC/
[η]PP)×(WPP/WRC)が1.0〜3.0となる範囲であ
る。前記の極限粘度比と重量比の積が1.0未満では前
記成形体の耐熱性や剛性の低下が大きくなる傾向があ
り、3.0を越えると前記成形体の成形時の収縮率が大
きくなり、熱処理における難白化性が低下する傾向があ
る。
レン−エチレンコポリマー(RC)の含有量は、22〜4
0重量%、好ましくは25〜40重量%である。22重
量%未満の場合は前記成形体の低温耐衝撃性が不十分で
あり、40重量%を越える場合は前記成形体の熱処理に
おいて変形や融着が発生するおそれがある。また、前記
プロピレン系樹脂組成物は、Q値(Mw/Mn)が5以
下、好ましくは、4.5以下の狭分散性分子量分布を有
する。Q値が5を越え分子量分布幅が大きくなると前記
成形体の光沢が低下する。
れを用いた成形体の製造に用いられるプロピレン系樹脂
組成物のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜
5.0g/10分、好ましくは0.5〜3.0g/10分であ
る。メルトフローレートが、0.5g/10分未満の場合
は、前記プロピレン系樹脂シートを押出成形する場合
に、サージングやメルトフラクチャーが発生して押出成
形性が低下したり、得られるプロピレン系樹脂シートの
表面に肌荒れが生じ透明性が低下する恐れがあり、5.
0g/10分を越える場合は真空成形もしくは圧空成形など
の熱成形を行なう場合の垂下が顕著になり、得られる成
形体の強度も低下する恐れがある。
系樹脂組成物においては、プロピレン−エチレンコポリ
マー(RC)は、結晶性ポリプロピレン(PP)のマトリッ
クス中に幅数十〜200nm、樹脂の流動方向に数μm〜
十数μmの長さで、棒状ないしは板状の形でドメインと
して存在することが透過型電子顕微鏡により観察されて
おり、従来のプロピレン系ブロックコポリマー組成物の
グロビュール構造と比べて、プロピレン−エチレンコポ
リマー(RC)のドメインの分散形状が著しく異なる。
プロピレン系樹脂組成物の持つ前記のような独特の構造
により、真空成形もしくは圧空成形などの熱成形の際、
垂下量が小さく延展性に優れる結果、偏肉が少なく深絞
り性に優れたプロピレン系樹脂シートになる。前記の性
能が発現する理由は、プロピレン−エチレンコポリマー
(RC)のモルフォロジーが棒状ないしは板状のため、従
来のグロビュール構造と比較して、1)線膨張係数が小さ
いため熱成形時の垂下量が小さくなる。2)延伸時にマト
リックスとドメインとの界面剥離が小さく、かつ、ドメ
イン自身のの延伸性が非常に大きい結果、熱成形時の延
伸性に優れる。特に充填剤が添加される場合、前記充填
剤はマトリックスとドメインの両者に分散されるため、
グロビュール構造に比べて充填剤分散性に優れる結果、
延伸性に優れ深絞りが可能になる。前記シートを前記熱
成形することにより得られる成形体は、熱処理における
変形の発生や処理後の白化が少なく、低温での耐衝撃性
に優れ、かつ無機充填剤を用いない場合は透明性に優れ
た成形体となる。
諸特性を満足すればいかなる方法で製造してもよい。例
としては、別々に製造した結晶性ポリプロピレン(PP)
とプロピレン−エチレンコポリマー(RC)とを混合装置
を用いて混合して製造する方法、及び結晶性ポリプロピ
レン(PP)とプロピレン−エチレンコポリマー(RC)と
を多段重合により連続的に製造する方法が挙げられる。
は、チタン担持触媒などのチグラーナッタ触媒を用いて
重合したプロピレン−エチレンコポリマー(RC)や市販
のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレン
(PP)とを溶融混合する方法が例示できる。また、多段
重合により連続的に製造する方法としては、複数の重合
器を使用して、1段目で結晶性ポリプロピレン(PP)を
製造し、2段目でプロピレン−エチレンコポリマー(R
C)を製造する方法が例示できる。この連続重合法は、
上記の溶融混合する方法に比べて製造コストが安価で、
かつ、結晶性ポリプロピレン(PP)中にプロピレン−エ
チレンコポリマー(RC)が均一に分散したプロピレン系
樹脂組成物が得られるため好ましい方法である。
脂組成物を製造する場合は、プロピレン−エチレンコポ
リマー(RC)の極限粘度[η]RCは直接測定できないの
で、直接測定可能な結晶性ポリプロピレン(PP)の極限
粘度[η]PPおよび前記のプロピレン系樹脂組成物全体の
極限粘度[η]WHOLE、ならびにプロピレン−エチレンコ
ポリマー(RC)の重量%WRCから、下記式(1)により
求められる。 [η]RC={[η]WHOLE−(1−WRC/100)[η]PP}/(WRC/100) (1) また、前記プロピレン−エチレンコポリマー(RC)の2
0℃キシレン可溶成分重量%CXSRCも直接測定できな
いので、結晶性ポリプロピレン(PP)の20℃キシレン
可溶成分重量%CXSPPおよび前記のプロピレン系樹脂
組成物全体の20℃キシレン可溶成分重量%CXS
WHOLE、ならびに前記プロピレン−エチレンコポリマー
(RC)の重量%WRCから、下記式(2)により求められ
る。 CXSRC={CXSWHOLE−(1−WRC/100)CXSPP}/(WRC/100) (2)
合により連続的に製造するより具体的な方法について以
下に述べる。前記のプロピレン系樹脂組成物は、大粒径
のチタン含有固体触媒成分(I)と有機アルミニウム化合
物(II)および有機ケイ素化合物(III)からなる立体規則
性触媒の存在下、気相中において第一段階で結晶性ポリ
プロピレン(PP)を製造し(第1重合工程)、第二段階
でプロピレン−エチレンコポリマー(RC)を連続的に製
造する(第2重合工程)ことによって得られる。
ネシウム化合物、シリカおよびアルミナなどの無機担体
やポリスチレンなどの有機担体にチタン化合物を担持し
たもの、またかかる担持体に必要に応じてエーテル類、
エステル類の電子供与体(例えば、ジイソアミルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルなど)を反
応せしめたものなら公知のどのようなものでも使用でき
る。たとえば、マグネシウム化合物−アルコール溶液を
スプレーし、得られた固体成分を部分乾燥し、しかる
後、前記の乾燥固体成分をハロゲン化チタンおよび電子
供与体で処理してなるチタン含有固体触媒成分(特開平
3−119003号公報)、マグネシウム化合物をテト
ラヒドロフラン/アルコール/電子供与体に溶解させ、
四塩化チタン単独または電子供与体の組合せで析出させ
たマグネシウム単体をハロゲン化チタンまたは電子供与
体で処理してなるチタン含有固体触媒成分(特開平4−
103604号公報)などが挙げられる。
均粒径が25〜300μm、好ましくは30〜150μm
のものが用いられる。前記の平均粒径が25μmを大き
く下回ると製造されるプロピレン系樹脂組成物のパウダ
ーの流動性が著しく損なわれ、重合器の器壁や攪拌翼な
どへの付着による重合系内の汚染が発生したり、重合器
のから排出されたパウダーの搬送が困難になるなど、製
造設備の安定運転の妨げになる。また、チタン含有固体
触媒成分(I)の粒径は、正規分布における均一度が2.
0以下が好ましい。均一度が2.0を大きく越えると製
造されるプロピレン系樹脂組成物のパウダーの流動性が
悪化し、製造設備の安定運転の妨げになる。
は、一般式R1 mAlX3-m(式中は、炭素数1〜20の炭
化水素基を、Xはハロゲン原子を表し、mは3≧m≧
1.5の正数である)で表される有機アルミニウム化合
物を用いることができる。具体的には、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピ
ルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ
−i−ブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロ
ライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキメチ
ルアルミニウムセスキクロライド、ジ−n−プロピルア
ルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムセス
キクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエ
チルアルミニウムアイオダイド、エトキシジエチルアル
ミニウムなどを挙げることができる。中でもトリエチル
アルミニウムが好ましい。これらの有機アルミニウム化
合物は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
R2 XR3 YSi(OR4)Z(式中R2およびR4は炭化水素
基、R3は炭化水素基あるいはヘテロ原子を含む炭化水
素基を表し、0≦X≦2、1≦Y≦3、1≦Z≦3、か
つX+Y+Z=4である)で表される有機ケイ素化合物
が使用される。具体的にはメチルトリメトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシ
シラン、フェニルメチルジメトキシシラン、t−ブチル
トリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メ
チルエチルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−
i−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキ
シシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリメチルメ
トキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシランなどを挙げることができ
る。好ましくは、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、ジ
−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメ
トキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン
およびジフェニルジメトキシシランが使用される。これ
らの有機ケイ素化合物は単独で使用しても、2種以上を
併用してもよい。
アルミニウム化合物(II)および必要に応じて有機ケイ素
化合物(III)を組合せた立体規則性触媒を第1重合工程
のプロピレン重合に用いるが、前記チタン含有固体触媒
成分(I)は、不活性溶剤中においてα−オレフィンを予
め反応させて予備活性化処理した触媒として用いること
が好ましい。前記チタン含有固体触媒成分(I)の予備活
性化処理においては、有機アルミニウム化合物(II')が
用いられる。前記有機アルミニウム化合物(II')の使用
量は特に限定されるものではないが、通常チタン含有固
体触媒成分(I)中のチタン原子1モルに対して0.1〜4
0モル、好ましくは0.3〜20モルの範囲で用い、α−オ
レフィンを10〜80℃で10分〜48時間かけてチタ
ン含有固体触媒成分(I)1g当り0.1〜100g、好
ましくは0.5〜50gを反応させる。予備活性化処理
においては、予め有機ケイ素化合物(III')を前記有機ア
ルミニウム化合物(II')1モルに対して0.01〜10モ
ル、好ましくは0.05〜5モルの範囲で用いてもよい。
ルミニウム化合物(II')としては、有機アルミニウム化
合物(II)として例示した化合物を挙げることができる。
有機アルミニウム化合物(II')は、有機アルミニウム化
合物(II)と同一化合物でも、異種の化合物でもよいが、
トリエチルアルミニウムが好適である。
られる有機ケイ素化合物(III')としては、有機ケイ素化
合物(III)として例示した化合物を挙げることができ
る。有機ケイ素化合物(III')は、有機ケイ素化合物(II
I)と同一化合物でも、異種の化合物でもよいが、ジ−i
−ブチルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキ
シシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘ
キシルメチルジメトキシシランおよびジフェニルジメト
キシシランが好適である。
性化処理において用いられるα−オレフィンとしては、
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘ
キセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−
1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセ
ン−1、エイコセン−1、4−メチル−1−ペンテン、
3−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらの
α−オレフィンは単独で使用しても、2種以上を併用し
てもよい。また、予備活性化処理における前記α−オレ
フィンの反応によって生成するポリマーの分子量を調節
するために水素などの分子量調節剤を使用することがで
きる。
性化処理において用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラ
フィンなどの液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサ
ンの構造を持ったシリコンオイルなど重合反応に著しく
影響を及ぼさない不活性溶剤である。これらの不活性溶
剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。こ
れらの不活性溶剤は、重合に悪影響を及ぼす水分やイオ
ウ化合物などの不純物を取り除いた後で使用することが
好ましい。
予備活性化処理されたチタン含有固体触媒成分(I)の存
在下に、気相中において結晶性ポリプロピレン(PP)を
重合する第1重合工程、次いでプロピレン−エチレンコ
ポリマー(RC)を共重合する第2重合工程を連続実施し
て得られる。第1重合工程は気相重合法に限定されずス
ラリー重合法や塊状重合法を採用してもよいが、それに
続く第2重合工程は気相重合法であることが好ましいこ
とから、第1重合工程も気相重合法を採用することが好
ましい。第2重合工程としてスラリー重合法や塊状重合
法を採用した場合、プロピレン−エチレンコポリマー
(RC)が溶剤中に溶出し安定運転の継続が困難になる。
P)の重合条件は、重合法で異なるが、気相重合法の場
合、一定量の結晶性ポリプロピレン(PP)のパウダーを
混合攪拌しながら予備活性化処理されたチタン含有固体
触媒成分(I)、有機アルミニウム化合物(II)および有機
ケイ素化合物(III)からなる立体規則性触媒の存在下、
重合温度20〜120℃、好ましくは40〜100℃、
重合圧力大気圧〜9.9MPa、好ましくは0.59〜
5.0MPaの条件下にプロピレンを供給して、結晶性ポ
リプロピレン(PP)を重合する。有機アルミニウム化合
物(II)とチタン含有固体触媒成分(I)の割合は、Al/Ti
=1〜500(モル比)、好ましくは10〜300であ
る。
ム化合物(II)の割合はIII/II=1〜10(モル比)、好ま
しくは1.5〜8である。III/IIの割合(モル比)が著し
く大きい場合、結晶性ポリプロピレン(PP)の結晶性が
低下して成形体の剛性が低下し、III/IIの割合(モル比)
が著しく小さい場合、重合活性が低下し結晶性ポリプロ
ピレン(PP)の生産性が低下する。結晶性ポリプロピレ
ン(PP)の分子量の調節には、重合時に水素のような分
子量調節剤の使用が可能であり、結晶性ポリプロピレン
(PP)の極限粘度が本発明の要件を満たすように調整す
る。結晶性ポリプロピレン(PP)を重合後、生成したパ
ウダーの一部を抜き出し、極限粘度、メルトフローレー
ト、20℃キシレン可溶成分量およびアイソタクチック
ペンタッド分率(P)の測定ならびに触媒単位重量当りの
ポリマー収量の測定に供する。
P)の重合に引続き、重合温度20〜120℃、好まし
くは40〜100℃、重合圧力大気圧〜9.9MPa、好
ましくは0.59〜5.0MPaの条件下にプロピレンと
エチレンの混合モノマーを共重合して、プロピレン−エ
チレンコポリマー(RC)を生成させる第2重合工程を実
施する。プロピレン−エチレンコポリマー(RC)中のエ
チレン単位含有量はコモノマーガス中のプロピレンモノ
マーとエチレンモノマーのガスモル比を制御して、プロ
ピレン−エチレンコポリマー(RC)中のエチレン単位含
有量が25〜55重量%になるように調節する。
るプロピレン−エチレンコポリマー(RC)の重量は、重
合時間の調節や一酸化炭素や硫化水素などの触媒の重合
活性調節剤を使用して、プロピレン−エチレンコポリマ
ー(RC)の重量が22〜40重量%になるように調節す
る。さらにプロピレン−エチレンコポリマー(RC)の分
子量は、プロピレン−エチレンコポリマー(RC)の極限
粘度が本発明のプロピレン系樹脂組成物の要件を満たす
ように、水素のような分子量調節剤を前記コポリマーの
重合時に加えて調節する。水素の供給はプロピレン系樹
脂組成物のQ値(Mw/Mn)が5以下になるように行われ
る。重合方式は、回分式、半連続式あるいは連続式のい
ずれも採用できるが、工業的には連続式重合が好まし
い。第2重合工程の終了後、重合系から未反応モノマー
を除去し粒子状のプロピレン系樹脂組成物を得ることが
できる。得られたプロピレン系樹脂組成物を極限粘度、
20℃キシレン可溶成分量、Mw/Mnおよびエチレン含
有量の測定ならびに触媒単位重量当りのポリマー収量の
測定に供する。
れを用いた成形体においては、プロピレン系樹脂シート
を製造するために、前記のプロピレン系樹脂組成物が2
0〜99重量%、充填剤が80〜1重量%の割合で添加
されてなる配合物を用いることができる。前記の充填剤
は前記プロピレン系樹脂シートのおよびそれを用いた成
形体の弾性率、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性および外
観意匠性の向上、ならびにコストダウンなどを目的とし
て用いられる。添加量が80重量%を超えると熱成形時
のシートの自重による垂下が大きくなり過ぎたり、強度
が低下する傾向がある。前記の充填剤には特に制限は無
く、従来プロピレン系樹脂に慣用されている中から任意
の物を選択できる。すなわち有機充填剤及び無機充填剤
の何れも用いる事ができ、形状についても粉末、粒状、
板状、繊維状、ウイスカー状等が列挙される。
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、タルク、クレ
ー、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ケイ酸カルシ
ウム、カーボンブラック、グラファイト、ボロン繊維、
ホウ酸カルシウム等が列挙でき特にタルク、炭酸カルシ
ウムが好適である。有機充填剤としては、木粉、木綿、
ジュート、竹粉、セルロース繊維、ポリエステル繊維等
が列挙でき特に木粉が好適である。これらの充填剤は1
種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また、前
記充填剤には、ハンドリング性、コンパウンディング
性、成形体の機械物性や外観意匠性などの向上のため、
必要に応じて表面処理剤、例えばシラン系カップリング
剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル、脂肪
酸、脂肪酸金属塩、アルコール、ワックス等を用いる事
ができる。
ための配合物においては、前記のプロピレン系樹脂組成
物に対して、前記充填剤の他、本発明の効果を損なわな
い範囲で、酸化防止剤、中和剤、耐候剤、滑剤、帯電防
止剤、防曇剤、着色剤、ガス吸収剤、鮮度保持剤等の添
加剤および低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンラバー、エ
チレン−ブテンラバー、エチレン−オクテンラバー、ス
チレン−ブタジエンラバー、水添スチレン−ブタジエン
ラバー等のポリマーを配合することができる。前記酸化
防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸
化防止剤、ラクトン系酸化防止剤およびこれらの混合物
が例示でき、前記中和剤としてはステアリン酸カルシウ
ムなどの高級脂肪酸金属塩類が例示できる。前記耐候剤
としては紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤
(HALS)が例示できる。前記滑剤としては、ステアリン酸
アミドなどの高級脂肪酸アミド類が例示でき、帯電防止
剤および防曇剤としてはグリセリンモノステアレートな
どの脂肪酸エステル類が例示できる。
加剤やポリマーを配合する方法は、ヘンシェルミキサー
(商品名)やスーパーミキサー(商品名)などの高速攪拌混
合機、およびブレンダーまたはタンブラーなどの通常の
ミキサーを用いて混合する方法(ドライブレンド)が例示
できる。また、前記の方法により得られた配合物を一般
的な単軸押出機または二軸押出機を用いて溶融混練しペ
レット状の配合物にする方法が例示できる。
ン系樹脂シートを得る方法としては、通常、ポリオレフ
ィンのフィルム・シートの製造に用いられるTダイ法ま
たはインフレーション法などが挙げられる。前記のシー
トは未延伸、一軸延伸および二軸延伸シートを含む。延
伸する場合の方法としては、テンター方式による逐次二
軸延伸法やチューブラー方式による同時二軸延伸法など
を例示することができる。前記シートの厚みは通常0.
1〜1mmである。
形法や圧空成形法などの熱成形法による成形体の製造に
好適であり、得られた成形体は食品包装容器、医薬品や
菓子のプッシュスルーパッケージ(PTP)、ブリスター
パッケージ、フルーツ包材など広い用途に用いることが
できる。
具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定される
べきものではない。下記に実施例と比較例で用いるプロ
ピレン系樹脂組成物を詳細に説明する。 1)プロピレン系樹脂組成物 物性測定方法 実施例および比較例において採用した物性測定方法は下
記の通りである。 a)極限粘度(単位;dl/g):溶媒としてテトラリン(テ
トラクロロナフタレン)を用い135℃の温度条件下、
自動粘度測定装置(AVS2型、三井東圧化学(株)製)を使用
し測定した。 b)エチレン単位含有率(単位;重量%):赤外線吸収ス
ペクトル法により測定した。 c)ポリプロピレン分子鎖中のアイソタクチックペンタ
ッド分率(P):macro-molecules 8687(1975)に準拠し、
13C−NMRを使用して測定した。
ジクロロベンゼンに溶解させて濃度0.5mg/mlの溶液
とし、GPC(Gel Permeation Chromatograph)装置
(150C型、WATERS社製、使用カラム;TSK GEL GMH6-H
T)を用いて135℃にて測定した。 e)20℃キシレン可溶成分(単位;重量%):ISO/
DIS 1873−1に従って測定した。 f)メルトフローレート(単位;g/10分):JIS K
7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の
条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定し
た。試料はポリプロピレン樹脂組成物またはポリプロピ
レンのパウダー100重量部に対して、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾール0.1重量部およびステアリ
ン酸カルシウム0.1重量部を混合し、混合物を口径4
0mmφの単軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒した
ペレットを用いた。 g)ポリマー収量:ポリマー中のMg含量を誘導結合プ
ラズマ発光分析法(IPC法)で定量し、触媒単位重量当
りのポリマー収量を算出すると共にポリプロピレン樹脂
組成物および結晶性ポリプロピレン(PP)の中のMg含
量の差から、ポリプロピレン樹脂組成物中のプロピレン
−エチレンコポリマー(RC)の含有量を算出した。
ブに、無水MgCl2を95.3g、乾燥エタノール(E
tOH)352mlを入れ、この混合物を攪拌下に105
℃に加熱し溶解させた。1時間攪拌後、この溶液を10
5℃に加熱した加圧窒素(1.1MPa)で二流体スプレー
ノズルに送入した。窒素ガスの流量は38リットル/分であ
った。スプレー塔中には冷却用液体窒素を導入し、塔内
温度を−15℃に保持した。生成物を塔内に導入した冷
却ヘキサン中に集め256gを得た。分析の結果、生成
物の組成は出発溶液の組成と同じMgCl2・6EtO
Hであった。この生成物を触媒の担体として用いるため
に篩い分けを行ない、45〜212μmの粒径で球形の
担体205gを得た。得られた担体を室温で、181時
間、3リットル/分の流量の窒素を用いて通気乾燥して組成
がMgCl2・1.7EtOHの乾燥担体を得た。
g、四塩化チタン160ml、精製1,2ジクロルエタン
240mlを混合し、攪拌下に100℃に加熱した後、ジ
イソブチルフタレート6.8mlを加え、さらに100℃
で2時間加熱した後、デカンテーションにより液相部を
除き、再び、四塩化チタン160ml,精製1,2ジクロ
ルエタン320mlを加えた。100℃で1時間加熱保持
した後、デカンテーションにより液相部を除き、精製ヘ
キサンで洗浄した後、乾燥してチタン含有固体触媒成分
(I)を得た。得られたチタン含有固体触媒成分(I)の平
均粒径は115μmであり、組成の分析値は、Mg;1
9.5重量%、Ti;1.6重量%、Cl;59.0重
量%、ジイソブチルフタレート;4.5重量%であっ
た。
化処理 内容積15リットルの傾斜羽根付きステンレス鋼製反応器内
を窒素ガスで置換した後、40℃での動粘度が7.3セン
チストークスである飽和炭化水素溶剤(CRYSTOL-52、エッソ石
油(株)製)8.3リットル、トリエチルアルミニウム525ミ
リモル、ジイソプロピルジメトキシシラン80ミリモル、前項
で調製したチタン含有固体触媒成分(I)700gを室温
で加えた後、40℃まで加温し、プロピレン分圧0.1
5MPaで7時間反応させ、予備活性化処理を行なった。
分析の結果、チタン含有固体触媒成分(I)1g当りプロ
ピレン3.0gが反応していた。
る横型重合器1(L/D=6、内容積100リットル)に前記
の予備活性化処理したチタン含有固体触媒成分(I)を
0.5g/hr、有機アルミニウム化合物(II)としてトリエ
チルアルミニウム、および有機ケイ素化合物(III)とし
てジイソプロピルジメトキシシランを表1および表2に
示すAl/Siモル比になるように連続的に供給した。
反応温度70℃、反応圧力2.5MPa、攪拌速度40rp
mの条件を維持するようにプロピレンを連続供給し、さ
らに生成する結晶性ポリプロピレン(PP)の分子量を調
節するために水素ガスを循環配管2より連続的に供給
し、反応器の気相中の水素濃度にて生成する結晶性ポリ
プロピレン(PP)の極限粘度を制御した。
ロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出され
る未反応ガスは配管4を通して反応器系外で冷却、凝縮
させて重合器1に還流した。重合器1で得られた結晶性
ポリプロピレン(PP)は、結晶性ポリプロピレン(PP)
の保有レベルが反応容積の50容積%となるように配管
5を通して重合器1から連続的に抜き出し第2重合工程
の重合器10に供給した。この時、配管5から結晶性ポ
リプロピレン(PP)の一部を間欠的に抜き出して、アイ
ソタクチックペンタッド分率(P)、20℃キシレン可
溶成分量、極限粘度および触媒単位重量当りの結晶性ポ
リプロピレン(PP)収量を求める試料とした。
00リットル)に第1重合工程からの結晶性ポリプロピレン
(PP)およびプロピレン−エチレン混合ガスを連続的に
供給し、プロピレンとエチレンの共重合を行なった。反
応条件は攪拌速度40rpm、温度60℃、圧力2.1MP
a、気相のプロピレンとエチレンのモル比により、プロ
ピレン−エチレンコポリマー(RC)中のエチレン単位含
有量を調節した。プロピレン−エチレンコポリマー(R
C)の重合量を調節するために重合活性抑制剤として一
酸化炭素、またプロピレン−エチレンコポリマー(RC)
の分子量を調節するため水素ガスを配管7よりそれぞれ
供給した。反応熱は配管6から供給される原料液状プロ
ピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される
未反応ガスは、配管8を通して反応器系外で冷却、凝縮
させて重合器10に還流した。
成物は、プロピレン系樹脂組成物の保有レベルが反応容
積の50容積%となるように配管9を通して重合器10
から抜き出した。プロピレン系樹脂組成物の生産速度は
8〜12kg/hrであった。抜き出されたプロピレン系樹
脂組成物は、モノマーを除去し、一部は極限粘度、Q値
(Mn/Mw)、20℃キシレン可溶成分量および赤外線分
析によるプロピレン−エチレンコポリマー(RC)のエチ
レン単位含有率の測定に供され、またプロピレン−エチ
レンコポリマー(RC)の重合比率を求めるため前記組成
物中のMg分のICP法による測定に供された。重合の
変動条件と得られたプロピレン系樹脂組成物の性質を表
1と表2に示す。
ピレン系樹脂組成物100重量部に対し、テトラキス
[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1重量
部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部をタン
ブラーミキサーで混合した後、得られた混合物を口径6
5mmφ単軸押出造粒機を用いて230℃で溶融混練し、
造粒してペレット状のプロピレン系樹脂シート用配合物
を得た。 プロピレン系樹脂シート 多層Tダイを備えたフィルム・シート押出装置(押出機
は、口径65mmφ単軸押出機)を用い、前記のプロピレ
ン系樹脂シート用配合物を単軸押出機に供給し、230
℃で溶融させ、押出を行ない、エアーチャンバーおよび
表面温度30℃の冷却ロールで冷却固化し、厚み0.4
mm、幅50cmのプロピレン系樹脂シートを成形した。
トを、開口部が300×300mmの大きさの枠に固定
し、この固定されたシートを180℃に保持された加熱
炉中に一定時間水平に保持した。この状態において、プ
ロピレン系樹脂シートには、次のような現象が起きる。
最初に、加熱によってシートの中央部が垂れ下がる。次
に、垂れ下がりの一部分が戻りを起こし、その後、再度
垂れ下がりが起り、今度は戻り現象は起らない。上述の
最初に垂れ下がった量を「垂下量」(mm)とし、垂れ下がり
の一部分が戻った量を「戻り量」(mm)とし、戻った状態が
継続した時間を「保持時間」(秒)とした。また、「戻り量」
/「垂下量」×100を以って「戻り率」%とした。垂下量
の数値が小さく、戻り率の数値が大きく、保持時間が長
いほど真空成形性や圧空成形性に優れたシートである。
トを用い、幅20cm、長さ20cm、深さ5〜60cm(可
変)の箱型キャビティを有する真空成形機にてヒーター
温度400℃で真空成形し、箱型の成形体を作る。深さ
を変えて成形時に成形体が破れない最大深さX(cm)を求
め、最大深さ/幅をもって延展性(限界絞り比)とし
た。数値が大きいほど延展性が良好である。 (3)ヘーズ 積分球式光線透過率測定装置(スガ試験機(株)製)を使用
し、JIS−K−7105「プラスチックの光学的特性
試験方法」により前記プロピレン系樹脂シートのヘーズ
(曇価)を測定した。数値が小さいほど透明性がよい。
0mmの大きさの水平の枠に固定し、この固定されたシー
トの真上1mの位置より重さ100gの鋼球を落下さ
せ、シートの鋼球が当った部分の白化の有無を観察し
た。白化が少ないほど良好。 ○:白化殆どなし △:やや白化する ×:明瞭な
白化が認められる (5)粘着性 前記プロピレン系樹脂シートの表面の素手による触感で
評価した。ベタツキが少ないほど良好。 ○:ベタツキなし △:少しベタツキあり ×:ベ
タツキ大
およびそれに添加剤を配合し押出し成形して得られたプ
ロピレン系樹脂シートの性能評価結果を表1に示す。
およびそれに添加剤を配合し押出し成形して得られたプ
ロピレン系樹脂シートの性能評価結果を表2に示す。
空成形法もしくは圧空成形法などの熱成形法により成形
品を製造する際に、偏肉が少なく深絞り性に優れたプロ
ピレン系樹脂シートであり、前記のプロピレン系樹脂シ
ートを前記の熱成することにより得られる成形体は、透
明性に優れ衝撃による白化が少なくベタツキの少ない成
形体である。
Claims (3)
- 【請求項1】結晶性ポリプロピレン(PP)およびプロピ
レン−エチレンコポリマー(RC)からなり、プロピレン
−エチレンコポリマー(RC)の極限粘度[η] RCが1.7
〜2.8dl/gであり、結晶性ポリプロピレン(PP)の極
限粘度を[η] PPとしたときの結晶性ポリプロピレン(P
P)とプロピレン−エチレンコポリマー(RC)の極限粘
度比([η]RC/[η]PP)が0.7〜1.2であり、かつ、
結晶性ポリプロピレン(PP)の重量をWPPとし、プロピ
レン−エチレンコポリマー(RC)の重量をWRCとしたと
きの結晶性ポリプロピレン(PP)とプロピレン−エチレ
ンコポリマー(RC)の重量比(WPP/WRC)とそれらの極
限粘度比([η]RC/[η]PP)との積(WPP/WRC)×([η]RC/
[η]PP)が1.0〜3.0であるプロピレン系樹脂組成
物を用いた配合物をシート成形して得られた熱成形用プ
ロピレン系樹脂シート。 - 【請求項2】請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物
が20〜99重量%、充填剤が80〜1重量%の割合で
添加されてなる配合物をシート成形して得られた熱成形
用プロピレン系樹脂シート。 - 【請求項3】請求項1もしくは2に記載の熱成形用プロ
ピレン系樹脂シートを熱成形法によって成形することに
より得られた成形体。
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