JP2019155663A - 射出成形金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャビティ内への溶融樹脂の充填後におけるバルブピンの弁部によるゲートの閉止は弁部をゲートに当接させることなく行えると共にキャビティ内の溶融樹脂を冷却固化させる際に、冷却熱がゲートを閉止しているバルブピンの弁部に伝達するのを抑えてスラグの発生を防止する。【解決手段】 キャビティ3に溶融樹脂を充填するゲート8は下端にゆくに従って縮径した円錐形状のテーパ面8aとキャビティ3に臨ませている円環形状の充填口8bとからなる一方、バルブピン9の弁部10は外周面が下端にゆくに従って縮径したテーパ面に形成された円錐部10a とその下端に突設した円板形状の弁端部10b とからなり、この弁端部10b をゲート8の上記充填口8bに挿嵌させてゲート8を閉止した際に、弁部10の円錐部10a とゲート8のテーパ面8aとの間に隙間11を形成するように構成している。【選択図】 図4

Description

本発明は、キャビティに溶融樹脂を射出するゲートをバルブピンによって開閉するように構成しているバルブゲート方式の射出成形金型、特に、ゲートからキャビティに射出、充填する樹脂量をキャビティの大きさに応じて微調整可能に構成した射出成形金型に関する。
この種の射出成形金型は、特許文献1や特許文献2に記載されているように、上下型板の対向面間にキャビティを形成すると共に、下端部にキャビティに連通する樹脂通路を有するバルブブッシュ(ヒータポット)を上記上側型板に設けて、上記樹脂通路に上下方向に往復動可能に挿入しているバルブピンの下端に形成している弁部によって樹脂通路の下端ゲートを開閉するように構成している。
上記ゲートを開閉する上記バルブピンの弁部は、その下端面がバルブピンの径よりも小径の円形端面に形成され、外周面がこの円形端面の周縁に向かって縮径するように傾斜した円錐形状のテーパ面に形成されている一方、上記樹脂通路のゲートは、樹脂通路の下端部を上記バルブピンの弁部のテーパ面と同一傾斜角度でもって下端に向かうに従って縮径させた円錐状孔に形成されてあり、バルブピンを下動させてその弁部の外周テーパ面を樹脂通路のゲートの円錐状孔壁面に密接させることによってゲートを閉止するように構成している。
なお、上記上側型板の上面側には、マニホールドが配設されてあり、このマニホールドの上面には、マニホールド内に設けている樹脂流通路に溶融樹脂を注入するためのスプールが設けられていて、スプールから樹脂流通路内に注入された溶融樹脂を樹脂流通路を通じて上記バルブブッシュに設けている樹脂通路に供給し、ゲートからキャビティ内に射出、充填するように構成している。
特表2003−522654号公報 特開平3−162921号公報
しかしながら、上記のように構成した射出成形金型においては、バルブピンによって樹脂通路の下端ゲートを閉じるには、バルブピンの弁部の円錐状の外周面をゲートの円錐孔形状に形成しているテーパ面に密接させることによって行っているので、バルブピンの弁部の外周面を全面に亘ってゲートの円錐孔壁面に均一に面接触するように精度よく形成していないと、隙間が生じて樹脂漏れが生じる虞れがある。
さらに、樹脂通路を通じてキャビティ内に溶融樹脂を充填したのち、バルブピンを下動させてその下端弁部によりゲートを閉止し、上下型板を冷却してキャビティ内に充填した溶融樹脂を冷却、固化させる際に、上型板の冷却熱がゲートを通じてこのゲートに密接しているバルブピンの弁部に伝わり、バルブピンの弁部の上方近傍部における樹脂通路の下端部内の溶融樹脂がバルブピンを介して過度に冷却されてスラグが発生し、次の成形品の品質を低下させるといった事態も発生することになる。
一方、バルブピンの下端弁部における下端面の外周端縁をゲートの円錐孔形状のテーパ面の所定部分に線接触させることによってゲートを閉止するように形成した場合には、その接触部分が短期間で摩損等して、ゲートを形成しているチップ等を頻繁に交換しなければならなくなるといった問題点がある。
なお、上記のように、バルブピンの下端部に形成している弁部の外周面を下端に向かうの従って縮径した円錐形状のテーパ面に形成する一方、この弁部によって開閉される上記ゲートを下端弁部のテーパ面と同一傾斜角度でもって下端に向かうに従って縮径させた円錐状孔に形成しておくと、バルブピンを下動させるに従って弁部の円錐形状のテーパ面とゲートの円錐状孔の孔壁面との間の隙間が漸次、狭くなるので、キャビティに充填する溶融樹脂量を調整することができる。
従って、上記マニホールド内の溶融樹脂流通路をスプールの吐出口から放射状に分岐させる一方、上側型板の複数数箇所に、これらの分岐した溶融樹脂流通路にそれぞれ連通する樹脂通路を有するゲートブッシュを配設しておけば、各ゲートブッシュに備えているバルブピンの作動量を制御することによって、それぞれのゲートからキャビティ内に充填する溶融樹脂量をキャビティの大きさに応じて調整することができて多数個取りが可能となるが、上記のように、バルブピンの弁部の外周面をゲートの孔壁面に密接させることによってゲートを閉止するように構成しているので、キャビティ内に充填した溶融樹脂を冷却、固化させる際に、バルブピンが過度に冷却されて品質の良い成形品を得ることが困難になる虞れがあるといった問題点がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ゲートを通じて溶融樹脂をキャビティ内に充填したのち、バルブピンの弁部によってゲートを閉止した際に、弁部とゲートとの対向面間からのキャビティ内への樹脂漏れを阻止することができると共に、ゲートを閉止しているバルブピンの弁部が過度に冷却されるのを防止してスラグの発生を抑止することができ、さらに、バルブピンの弁部やゲートを摩損させることなくゲートの閉止を確実に行うことができ、また、品質の良い成形品の多数取りを可能にした射出成形金型を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の射出成形用金型は、請求項1に記載したように、対向面間でキャビティを形成する上下一対の型板と、上側の型板内に配設され、上記キャビティに連通する樹脂通路を有するバルブブッシュとを備え、この樹脂通路内に軸方向に往復移動可能に挿入しているバルブピンの下端部に形成した弁部により上記キャビティに連通する樹脂通路の下端に設けているゲートを開閉するように構成した射出成形金型において、上記ゲートは下端にゆくに従って縮径した円錐形状のテーパ面と、このテーパ面の下端から下方に連なり、その開口下端をキャビティに臨ませている円環形状の充填口とからなり、上記バルブピンの弁部は外周面が下端にゆくに従って縮径したテーパ面に形成されている円錐部と、この円錐部の下端から下方に突出し、その下端部を上記ゲートの充填口に嵌挿させて射出口を閉止する円板形状の弁端部とからなり、この弁端部で射出口を閉止した際に、弁部の上記円錐部の外周面とゲートの上記テーパ面との間に隙間を生じさせるように構成したことを特徴とする。
このように構成した射出成形金型において、請求項2に係る発明は、バルブピンの軸線に対するゲートのテーパ面と弁部の円錐部の外周面との傾斜角を同一傾斜角に形成していることを特徴とする。
一方、請求項3に係る発明は、バルブピンの軸線に対する弁部の円錐部の外周面の傾斜角をゲートのテーパ面の傾斜角よりも小さくして円錐部の外周面を下端から上端に向かってゲートのテーパ面から徐々に離間させるように形成していることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ゲートは、円錐形状のテーパ面と、このテーパ面の下端に連設した円環形状の充填口とからなる一方、バルブピンの下端に形成した弁部は、円錐部と、この円錐部の下端に突設した円板形状の弁端部とからなり、この弁端部の下端部を上記ゲートの充填口の上端部に嵌挿して充填口を閉止した際に、弁部の上記円錐部の外周面とゲートの上記テーパ面との間に隙間が生じるように構成しているので、ゲートを通じてキャビティ内に溶融樹脂を充填したのち、バルブピンを下動させてその下端弁部によりゲートを閉止し、上下型板を冷却してキャビティ内に充填した溶融樹脂を固化させる際に、上記弁部の円錐部の外周面とゲートのテーパ面との間の隙間が断熱作用を奏して型板の冷却熱がバルブピンの弁部に直接伝わるのを抑止することができる。
この際、バルブピンの弁部の下端に突設した円板形状の弁端部の下端部のみをゲートの充填口の上端部に挿嵌することによってゲートを閉止しているので、ゲートとバルブピンの弁部との接触面積は極く僅かであり、従って、バルブピンの弁部の上方近傍部における樹脂通路の下端部内の溶融樹脂がバルブピンを介して過度に冷却されるのを防止することができ、スラグの発生を抑制して品質のよい成形品を製造することができる。
さらに、上述したように、バルブピンによるゲートの閉止は、バルブピンの弁部の円錐部外周面とゲートのテーパ面とを当接させることなく、弁部の弁端部の下端部をゲートの充填口に挿嵌することによってのみ行っているので、弁部とゲートとの当接によるゲート等の損傷をなくすることができると共に、弁部の円板形状に形成している弁端部の外周面とゲートの円環形状の充填口との密接によって充填口からの樹脂漏れをなくすることができる。
その上、バルブピンの下端に形成している上記円板形状の弁端部は、その下端部をゲートの下端充填口における上端部内に挿嵌させることによってゲートを閉止した状態にすると、弁端部の上端部は充填口の上端からゲートの円錐形状のテーパ面の下端部内に突出してその突出端から上方に向かって拡開している円錐部の外周面をゲートの上記円錐形状のテーパ面に対して隙間を介して対向した状態にすることができ、閉止時には確実に隙間を設けることができる。
また、上記バルブピンの弁部における円錐部の外周面と上記ゲートの円錐形状のテーパ面との間の隙間は極めて狭くなるようにバルブピンの下動量を制御してゲートの充填口の閉止度合いを調整することができるから、隙間に存在する樹脂量は僅かであり、キャビティ内に充填した樹脂の冷却、固化時に上記バルブピンの弁部の上方近傍部における樹脂通路の下端部内に残存した溶融樹脂と共に、所定の溶融温度に再溶融させながら次の射出を行うことができる。
さらに、キャビティ内への溶融樹脂の射出工程時においては、バルブピンの作動量を制御することによって、上記バルブピンの弁部における円錐部とゲートの円錐形状に形成したテーパ面との隙間の幅を微調整することができる。
従って、対向面間に複数のキャビティを形成してなる上下型板における上側の型板上に配設したマニホールド内の溶融樹脂流通路をスプールの吐出口から放射状に分岐させる一方、上記上側型板の複数数箇所に、これらの分岐した溶融樹脂流通路にそれぞれ連通する樹脂通路を有するバルブブッシュを配設し、各バルブブッシュのゲートを上記複数のキャビティにおける対向するキャビティにそれぞれ臨ませてなる射出成形金型にあっては、各バルブブッシュに備えているバルブピンの作動量を制御することによって、それぞれのゲートからキャビティ内に充填する溶融樹脂量をキャビティの大きさに応じた適切な樹脂量に調整することができ、バリなどが発生していない品質のよい成形品を製造することができる。
請求項2に係る発明によれば、上記バルブピンの軸線に対する上記ゲートのテーパ面と弁部の円錐部の外周面との傾斜角を同一傾斜角に形成しているので、バルブピンの作動によってゲートの円錐形状のテーパ面とバルブピンの弁部における円錐部との間の隙間の大きさを簡単且つ正確に調整することができる。
一方、請求項3に係る発明によれば、上記バルブピンの軸線に対する弁部の円錐部の外周面の傾斜角をゲートのテーパ面の傾斜角よりも小さくして円錐部の外周面を下端から上端に向かってゲートのテーパ面から徐々に離間させるように形成しているので、射出成形時に、マニホールド内の溶融樹脂流通路からバルブブッシュの樹脂通路に供給される溶融樹脂を幅広く開口している弁部の円錐部の上端外周面とゲートの円錐形状のテーパ面の上端内周面間を通じてこれらの対向面で形成している隙間内に円滑に流入させることができると共に、幅狭くなった上記弁部の円錐部の下端外周面とゲートの円錐形状のテーパ面の下端内周面間の隙間によって樹脂量を調整しながらキャビティ内に射出、充填することができる。
本発明射出成形用金型の一実施例を示す縦断正面図。 その要部の拡大縦断正面図。 バルブピンの下端弁部とゲートとの間に溶融樹脂を充填するための隙間を設けた状態の縦断正面図。 バルブピンの弁部によってゲートの充填口を閉止している状態の縦断正面図。 本発明の別な実施例を示す要部の拡大縦断正面図。
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1において、射出成形金型は、一対の型板1、2を上下に対向させて配設し、これらの型板1、2の対向面間で成形品を得るためのキャビティ3を形成するように構成してあり、固定金型1の上面にはマニホールド4が配設、固定されている。
上記上側の型板1は固定型板であり、下側の型板2は可動型板であって、上側の型板1に対して接近、離間自在に設けられている。
マニホールド4内にはスプール(図示せず)から注入される溶融樹脂をスプールの下端から水平方向に放射状に分岐した複数の樹脂流通路5が設けられてあり、上記上側の型板1内にはこれらの複数の樹脂流通路5に対応させて複数のバルブブッシュ6が装着されている。
これらのバルブブッシュ6の上端部は上記マニホールド4内にマニホール4を上下方向に貫通した状態で装着されてあり、各バルブブッシュ6の中心部には上下方向に垂直に貫通するように樹脂通路7が穿設されているこの樹脂通路7の上端部に上記マルホールド4内の分岐した樹脂流通路5の端部が連通していると共に、樹脂通路7の下端部を上記キャビティ3に連通するゲート8に形成している。
なお、図においてはマニホールド4内に設けている分岐した複数の樹脂流通路における一つの樹脂流通路5とこの樹脂流通路5にその樹脂通路7を連通させている一つのバルブブッシュ6のみを示し、その他の樹脂流通路5やバルブブッシュ6は省略している。
バルブブッシュ6の下端部は下端に向かって漸次小径となる漏斗状に形成されてあり、この下端部内に上記ゲート8が設けられている。このゲート8は図2に示すように、下端にゆくに従って縮径して内周面が円錐形状のテーパ面8aに形成されている円錐状孔と、この円錐状孔の下端からバルブブッシュ6の下端面に向かって垂直に貫通した円環形状の充填口8bとからなり、充填口8bの開口下端を上記キャビティ3に臨ませている。
なお、上記樹脂通路7の径はゲート8の径よりも大径に形成されていて、樹脂通路7の下端から皿状に湾曲した傾斜面7aを通じてゲート8の開口上端に連通している。また、上記ゲート8を有する漏斗状に形成したバルブブッシュ6の下端部は取り替え可能な漏斗状のゲートチップ(図示せず)によって形成しておくことが望ましい。
上記バルブブッシュ6内に設けている樹脂通路7内には上記ゲート8の上端開口部の径に略等しい外径に形成されている一定長さを有する棒状のバルブピン9が軸方向(上下方向)に往復動可能に挿入されており、このバルブピン9の下端部に上記ゲート8を開閉する弁部10が形成されている。
上記バルブピン9弁部10は外周面が下端にゆくに従って縮径したテーパ面に形成されている円錐部10a と、この円錐部10a の下端から下方に突設していて、その下端部を上記ゲート8の充填口8bに嵌挿させて充填口8bを閉止する円板形状の弁端部10b とからなる。なお、円錐部10a は、上記ゲート8の円錐形状のテーパ面8aと同様に下端部が切除されていてそれ以上先細となることなく一定径を有する端部に形成されている。
バルブピン9の弁部10における上記円錐部10a の外周テーパ面と上記ゲート8の円錐形状のテーパ面8aとのバルブピン9の軸線(樹脂通路7の中心線)に対する傾斜角は同一角度に形成されてあり、バルブピン9を下方に移動させてその弁部10をゲート8の円錐状孔内に挿入した際に、弁部10の円錐部10a の外周面とゲート8の円錐形状のテーパ面8aとの間の隙間11が弁部10が下動するに従って徐々に狭くなり、弁部10の円錐部10a の下端から下方に突出している円板形状の弁端部10b の下端部をゲート8の円環形状の充填口8bの上端部に嵌合してゲート8を閉止した状態においては、弁部10の円錐部10a とゲート8のテーパ面8aとは接触することなくこれらの対向面間の僅かな隙間11が設けられるように構成している。
なお、図においては、弁部10の円錐部10a の長さとゲート8のテーパ面8aの長さとを略等しくなるように形成しているが、長さが異なっていてもよい。また、これらの円錐部10a とテーパ面8aとの上記傾斜角度は特に限定されないが、小さい程、上記長さ(軸芯方向の長さ)が長くなるように形成することができ、長くすれば、弁部10の円錐部10a の外周面とゲート8の円錐形状のテーパ面8aとの間の隙間11を調整することができるバルブピン9の上下方向の作動量(作動範囲)が長くなって、上記隙間11を通じてキャビティ3に充填する樹脂量を精度よく微調整することができる。そのため、上記円錐部10a とテーパ面8aとの傾斜角度は20度以下にしておくことが好ましい。
バルブピン9の上部は樹脂通路7の上端部を閉塞している軸受部材12に上下摺動自在に支持されてあり、この軸受部材12から上方に突出している上端部をマニホルド4上に設置している駆動手段13に連結してこの駆動手段13の作動によって上下方向に進退させることによりバルブピン9の弁部10によってゲート8を開閉するように構成している。
上記バルブピン9の駆動手段13は電動モータ13a と、電動モータ13a の回転を噛合歯車列等の減速機構(図示せず)とボールねじ機構(図示せず)とを介して水平方向に往復動する水平摺動体13b と、水平摺動体13b の往復動によって直角方向への変向機構を介してガイド部材13d 内で上下方向に往復動する垂直摺動体13c とからなり、この垂直摺動体13c にバルブピン9の頭部(上端部)を連結してバルブピン9を垂直摺動体13c と一体的に上下方向に往復動させるように構成している。
このように駆動手段13を構成しているので、電動モータ13a の回転を減速機構とボールネジ機構とによってバルブピン9に対して微小単位の位置設定が可能となり、キャビティ3に溶融樹脂を充填するゲートの開度、即ち、上記弁部10の円錐部10a の外周面とゲート8の円錐形状のテーパ面8aとの間の隙間11を精度良く調整することができる。なお、バルブピン9はその弁部10の円板形状の弁端部10b の下端部がゲート8の円環形状の充填口8bの上端部に挿嵌してゲート8を閉止した時に、その位置が下死点となってそれ以上、下動させることなく電動モータ13a の作動を停止させるように制御回路を設けている。
図中、14は上記バルブブッシュ6の周囲を囲んでいるゲートブッシュであり、15はバルブブッシュ6の外周面に装着しているバンドヒータである。なお、対向面間でキャビティ3を形成する上記上下型板1、2内には冷却水を流通させる通路が設けられている。
次に、上記のように構成した実施例の作用を説明すると、上下型板1、2を閉じてこれらの型板1、2間にキャビティ3を形成した状態において、マルホールド4内に設けている樹脂流通路5内にスプールを通じて溶融樹脂を供給し、樹脂流通路5からバルブブッシュ6内に設けている樹脂通路7に導入する。
溶融樹脂が樹脂通路7を流動する前では図1、図2に示すように、バルブピン9の弁部10がゲート8の上端から上方に所定距離だけ離間した位置にあってゲート8を全面的に開放してあり、溶融樹脂が樹脂流通路5を通じて樹脂通路7に導入させる際には、バルブピン9が下方に移動して図3に示すように、弁部10の下半部をゲート8内に進入させ、弁部10の円錐部10a とゲート8の円錐形状に形成したテーパ面8aとの間に隙間11を形成して、この隙間11を通じて溶融樹脂をゲート8の下端充填口8bからキャビティ3内に射出、充填する。
溶融樹脂の充填圧が一定の場合、上記隙間11の大きさに比例してキャビティ3に射出、充填される溶融樹脂量が変化するので、キャビティ3の大きさ、厚みに応じて上記隙間11を調整して、バリ等の生じない成形品を得ることができる。
さらに、上下型板1、2の対向面間に大小、複数のキャビティが設けられている場合には、各キャビティに対応して上型板側に装着しているバルブブッシュ6の樹脂通路7にマニホールド4内の分岐した樹脂流通路5を通じて溶融樹脂を導入した際に、キャビティの大きさ、厚み等に応じてこれらのキャビティにそれぞれ溶融樹脂を射出、充填するバルブブッシュ6のゲート8の上記隙間11の大きさをバルブピン9の作動量を制御することによって調整し、それぞれのゲートからキャビティ内にキャビティの大きさに応じた適切な量の溶融樹脂を充填して品質のよい成形品を多数取りすることができる。
キャビティ3内に所定量の溶融樹脂が充填されると、上記駆動手段13を作動させてバルブピン9を下動させ、その弁部10の下端部に形成している円板形状の弁端部10b の上端部を図4に示すようにゲート8の円環形状の充填口8bの上端部内に挿入、嵌合させ、弁端部10b の外周面を充填口8bの内周面に密接させることによってゲート8を閉じ、この状態にしてキャビティ3内の溶融樹脂を冷却、固化させる。
駆動手段13を制御して上記のようにバルブピン9の弁部10の下端部に形成している円板形状の弁端部10b の下端部をゲート8の円環形状の充填口8bの上端部内に挿入、嵌合させることによりゲート8を閉じると、上記弁端部10b の上端部は上記充填口8bの上端から上方に突出した状態になるから、弁端部10b の上端から上方に向かって拡径する方向に傾斜している弁部10の円錐部10a の外周面とこの外周面に平行するゲート8の円錐形状のテーパ面8aとの間に僅かな隙間11が形成される。
そのため、上記隙間11が断熱作用を奏してキャビティ3内の溶融樹脂を冷却させる際に、冷却熱がゲート8の円錐形状のテーパ面8aから弁部10の円錐部10a に直接、伝わるのを抑止することができる。
さらに、バルブピン9の弁部の下端に突設した円板形状の弁端部10b の下端部のみをゲート8の充填口8bの上端部に挿嵌することによってゲート8を閉止しているので、ゲート8とバルブピン9の弁部10との接触面積は極く僅かであり、従って、バルブピン9の弁部10の上方近傍部における樹脂通路7の下端部内の溶融樹脂がバルブピン9を介して過度に冷却されるのを防止することができ、スラグの発生を抑制して品質のよい成形品を製造することができる。
また、バルブピン9の弁部10をゲート8に当接させることなく上記のように弁部10の下端部に形成している円板形状の弁端部10b をゲート8の充填口8bに挿嵌させることによって閉止しているので、充填口8bからの樹脂漏れを防止することができる。
また、上述したように、バルブピン9の弁端部10b の下端部でゲート8を閉止した状態においては、バルブピン9の弁端部10b の上端から上方に向かって拡径する方向に傾斜している弁部10の円錐部10a の外周面とこの外周面に平行するゲート8の円錐形状のテーパ面8aとの間で形成される上記隙間11は僅かであり、そのため、この隙間11に存在している樹脂は、次の射出成形時に樹脂通路7に供給される高温の溶融樹脂によって所定の溶融温度に再溶融させることができる。
キャビティ3内に充填された溶融樹脂は、上記のようにして冷却、固化され、型開きして金型から取り出される。
なお、以上の実施例においては、ゲート8における円錐形状のテーパ面8aと、バルブピン9の弁部10における円錐部10a の外周テーパ面とをバルブピン9の軸線に対して同一傾斜角に形成して互いに全長に亘って平行に対向するように構成しているが、図5に示すように、バルブピン9の軸線に対する弁部10の円錐部10a の外周テーパ面の傾斜角をゲート8の円錐形状のテーパ面8aの傾斜角によりも小さくして上記弁部10の円錐部10a の外周テーパ面を下端から上端に向かってゲート8の円錐形状のテーパ面8aから徐々に離間させるように構成しておいてもよい。
このように構成しておくと、射出成形時に、ゲート8の円錐形状のテーパ面8aとバルブピン9の弁部10における円錐部10a との間で形成される上記隙間11が、上端から下端に向かって徐々に幅狭くなり、バルブブッシュ6の樹脂通路7内に供給された溶融樹脂を隙間11内に円滑に導入するができ、また、バルブピン9の弁部10における円板形状の弁端部10b をその上端にまでゲート8の円環形状の充填口8b内に挿嵌することによってゲート8を閉止するように調整しても、ゲート8の円錐形状のテーパ面8aとバルブピン9の弁部10における円錐部10a との間に隙間11を設けることができる。
1 上側型板
2 下側型板
3 キャビティ
4 マニホールド
5 樹脂流通路
6 バルブブッシュ
7 樹脂通路
8 ゲート
8a 円錐形状のテーパ面
8b 円環形状の充填口
9 バルブピン
10 弁部
10a 円錐部
10b 円板形状の弁端部
11 隙間
13 駆動手段

Claims (3)

  1. 対向面間でキャビティを形成する上下一対の型板と、上側の型板内に配設され、上記キャビティに連通する樹脂通路を有するバルブブッシュとを備え、この樹脂通路内に軸方向に往復移動可能に挿入しているバルブピンの下端部に形成した弁部により上記キャビティに連通する樹脂通路の下端に設けているゲートを開閉するように構成した射出成形金型において、上記ゲートは下端にゆくに従って縮径した円錐形状のテーパ面と、このテーパ面の下端から下方に連なり、その開口下端をキャビティに臨ませている円環形状の充填口とからなり、上記バルブピンの弁部は外周面が下端にゆくに従って縮径したテーパ面に形成されている円錐部と、この円錐部の下端から下方に突出し、その下端部を上記ゲートの充填口に嵌挿させて射出口を閉止する円板形状の弁端部とからなり、この弁端部で射出口を閉止した際に、弁部の上記円錐部の外周面とゲートの上記テーパ面との間に隙間を生じさせるように構成したことを特徴とする射出成形金型。
  2. バルブピンの軸線に対するゲートのテーパ面と弁部の円錐部の外周面との傾斜角を同一傾斜角に形成していることを特徴とする請求項1に記載の射出成形金型。
  3. バルブピンの軸線に対する弁部の円錐部の外周面の傾斜角をゲートのテーパ面の傾斜角よりも小さくして円錐部の外周面を下端から上端に向かってゲートのテーパ面から徐々に離間させるように形成していることを特徴とする請求項1に記載の射出成形金型。
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