JP4675932B2 - 金型 - Google Patents

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本発明は、ダイカスト鋳造に係る技術に関する。
コールドチャンバー方式によるダイカスト鋳造用の金型は、固定型と、この固定型に組み合わされる可動型とを有する。固定型には、鋳込み口部材が設けられている。鋳込み口部材とは、鋳造機のスリーブが連結され、溶融金属(以下、溶湯)を金型内に導き入れる部分である。鋳造後、この鋳込み口部材にはビスケットと呼ばれるゲートの始点が残る。ビスケットは、高速で前進する射出プランジャーの停止時の衝撃を緩和する緩衝部としての役割と、サイクルごとの溶湯の供給量の違いを調整する調整部としての役割とを有し、例えば20mm程度の厚みを必要とする。
近年、例えば肉厚が1.0mm以下といった薄肉の成形品が所望されている。このような薄肉の成形品の鋳造では、溶湯の充填時に製品部分の固化が極めて短時間のうちに進むが、一方でビスケットは厚肉のために固化しにくい。ここで、ビスケットの固化を待っていたのでは薄肉の製品部分は固化が進み過ぎ、収縮して金型に食い付いてしまう。
そこで本発明者は、ビスケットが成形される領域を取り囲むように鋳込み口部材の外周面に沿って冷却水が流れる冷却回路を設け、ビスケットの冷却を図ることを考えた。これによりビスケットの固化を促進し、製品部分が金型に食い付く前に鋳造品を金型から取り出すことができる。
ここで特許文献1には、冷却装置を備えたダイカスト装置を開示している。このダイカスト装置は、金型と、射出装置と、冷却液路を有する冷却装置とを備える。冷却装置は、射出装置のスリーブの外面に装着される。これによりスリーブの受湯部の冷却が図られている。
特開2005−34867号公報
近年ではさらに薄肉の成形品が所望され、例えば肉厚が0.6mm以下といった超薄肉の成形品が望まれている。上述のようにビスケットが成形される領域を取り囲むように冷却回路を配置すると、金型への溶湯注入時に溶湯の温度がある程度低下するが、この溶湯温度の低下は上記のような超薄肉成形品を鋳造する場合にその鋳造性に極めて重大な影響を与える。すなわち溶湯の温度が大きく低下してしまうと、それに伴い溶湯の流動性が損なわれ、成形品を所望の形状に鋳造することができなくなる。
また、特許文献1のようにスリーブを冷却すると、スリーブのなかで溶湯が冷やされて溶湯の流動性が低下してしまう。
本発明の目的は、薄肉成形品の鋳造性を向上させた金型を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るダイカスト鋳造用の金型は、固定型と、上記固定型に組み合わされる可動型と、鋳込み口部材と、冷却回路とを具備する。鋳込み口部材は、上記固定型に設けられ、鋳造機のスリーブが連結される連結端部と、鋳造によりビスケットが成形されるビスケット成形領域と、このビスケット成形領域と同じ外径を有して上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域とを備える。冷却回路は、上記鋳込み口部材の外周面において上記ビスケット成形領域を外れて上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域に設けられ、液体冷媒が流されて上記ビスケットを冷却する。
この構成によれば、薄肉成形品の鋳造性が向上する。
以下、本発明の一つの実施形態について、図1ないし図7を参照して説明する。
図1は、コールドチャンバー方式によるダイカスト鋳造用の金型1を示す。この図1は、本発明が適用される金型の一例として、ポータブルコンピュータの筐体の一部を鋳造する金型を示している。
図2は、金型1によって鋳造された成形品2を示す。図2に示すように、成形品2の一例は、ポータブルコンピュータの筐体の一部である筐体ベースである。ただし本発明が適用可能な金型および成形品はこれに限らず、例えば筐体カバーを含む種々の成形品を鋳造する金型に適用可能である。成形品2は、例えばマグネシウム合金製であるとともに、基本肉厚が0.6mm以下の超薄肉の成形品である。なお「基本肉厚」とは、その成形品のなかで最も広く全体に採用されている厚さのことを指す。
図1に示すように、金型1は、固定型4と可動型5とを有する。固定型4は、図示しない固定盤に固定される。固定型4は、固定型板11、キャビティ部材12、および鋳込み口部材13を備える。固定型板11は、固定盤に固定されるとともに、可動型5に対向する面にキャビティ部材12が取り付けられる凹部(図示しない)を有する。キャビティ部材12は、この凹部に取り付けられるとともに、可動型5に対向する。キャビティ部材12は、例えば製品の表側に対応した型面を有する。
鋳込み口部材13は、鋳造機の射出プランジャー17が挿入される貫通孔13aを備え、筒状に形成されている。固定型板11は、鋳込み口部材13が取り付けられる開口部11aを有する。またキャビティ部材12は、鋳込み口部材13を避ける切欠き部12aを有する。鋳込み口部材13は、固定型板11の開口部11aとキャビティ部材12の切欠き部12aに沿って取り付けられ、図5に示すように、固定型4の下面(すなわち可動型5側の面)から上面(すなわち固定盤側の面)に亘って設けられている。
図5に示すように、鋳込み口部材13は、可動型5に当接する第1の端部14と、この第1の端部14の反対側に設けられ、固定盤側に露出する第2の端部である連結端部15とを備える。この連結端部15は、鋳造機のスリーブ18が連結される(図6参照)。
一方、可動型5は、図1に示すように、可動型板21、コア部材22、および分流子23を備える。可動型5は、図示しない可動盤に固定されるとともに、固定型4に組み合わされて型締される型閉め位置と、鋳造品31(図4参照)を金型1内から取り出すために固定型4から離間する型開き位置との間で進退自在である。
可動型板21は、可動盤に固定されるとともに、固定型4に対向する面にコア部材22が取り付けられる凹部21aを有する。コア部材22は、この凹部21aに取り付けられるとともに、固定型4に対向する。コア部材22は、例えば製品の裏側に対応した型面を有する。図5に示すように、分流子23は、鋳込み口部材13に対向するとともに、鋳込み口部材13に当接する。分流子23は、溶湯を分流させ、鋳込む形状に合わせて充填量を制御するものである。
図3は、金型1の内部空間41を模式的に示す。固定型4の型面と可動型5の型面とが互いに合わされると、固定型4と可動型5との間には、図3に示すような内部空間41が形成される。この内部空間41は、ビスケット部43、ゲート部44、製品部45、オーバーフロー部46、およびチルベルト部47を備える。ビスケット部43は、鋳込み口部材13の内部に設けられるとともに、鋳造機の射出装置より高温の溶湯を高速で受け取る部分である。なお、このビスケット部43については、詳しく後述する。
ゲート部44は、ビスケット部43に射出された溶湯を製品部45に導く流路であり、例えばフィン状に形成されている。製品部45は、製品形状に対応した空間であり、ここに溶湯が充填されることで任意の製品形状が得られる。オーバーフロー部46は、金型1内の空気を排気して溶湯の充填抵抗を下げるとともに、流動先端の劣化した溶湯を製品部45の外に押し出すための部位である。チルベルト部47は、劣化した溶湯が金型1外に飛び出さないようにする部分である。
このような金型1を用いると、図4に示すように、ビスケット部43に対応したビスケット51と、ゲート部44に対応したゲート部分52と、製品部45に対応した製品部分53とが一体に成形された鋳造品31が得られる。ビスケット51は、スリーブ18の内径に依存した円柱状に形成され、例えば70mm〜100mm程度の直径を有する。ビスケット51は、高速で前進する射出プランジャー17の停止時の衝撃を緩和する緩衝部としての役割と、サイクルごとの溶湯の供給量の違いを調整する調整部としての役割とを有し、例えば20mm程度の厚さTを必要とする。
金型1は、溶湯の固化を遅らせる目的で例えば常に300度近くまで昇温されている。図1に示すように、金型1には、この金型1を昇温するための第1ないし第4の昇温回路61,62,63,64が設けられている。これら第1ないし第4の昇温回路61,62,63,64には、それぞれ鋳造機に設けられた加熱装置との間で循環される高温の油が流され、金型1を約300度の高温に保つ。すなわち固定型4および可動型5は、水の沸点を超える温度まで昇温される。
詳しく説明すると、図1および図5に示すように、第1の昇温回路61は、固定型板11の側面に開口する開口部から固定型板11の内部に延びており、固定型板11を昇温する回路である。第2の昇温回路62は、固定型板11の側面に開口する開口部からキャビティ部材12の内部に亘るように設けられており、キャビティ部材12を昇温する回路である。第3の昇温回路63は、可動型板21の側面に開口する開口部からコア部材22の内部に亘るように設けられており、コア部材22を昇温する回路である。第4の昇温回路64は、可動型板21の側面に開口する開口部から可動型板21の内部に延びており、可動型板21を昇温する回路である。
次に、ビスケット部43について説明する。
図5に示すように、分流子23は、鋳込み口部材13に向いて突出した凸部67を有する。凸部67は、鋳込み口部材13の内周面13bに沿うとともに、この凸部67の先端部は鋳込み口部材13の内部に挿入される。図6に示すように、鋳込み口部材13の貫通孔13aには、鋳造機の射出プランジャー17が挿入される。上述のビスケット部43は、分流子23の端面67aと、金型1に押し込まれた射出プランジャー17の端面17aと、鋳込み口部材13の内周面13bとによって形成される。このように、鋳込み口部材13は鋳造時にビスケット51が成形されるビスケット成形領域69を有する。本発明でいうビスケット成形領域69をさらに詳しく定義すると、鋳込み口部材13の径方向からビスケット51に対向する領域のことであり、図5中に一点鎖線で囲む領域のことである。
次に、鋳造時にビスケット51を冷却する冷却回路71について説明する。
図5に示すように、冷却回路71は、固定型4に設けられ、ビスケット成形領域69を外れた鋳込み口部材13の他の領域に沿って設けられている。詳しくは、ビスケット成形領域69と連結端部15との間に領域に沿って設けられている。
冷却回路71は、鋳込み口部材13の外周面13cに周方向に掘られた溝73,74と、鋳込み口部材13の外周面13cに取り付けられたリング状のカラー部材75とによって形成されている。カラー部材75は、鋳込み口部材13の外周面13cに例えば溶接などで隙間なく強固に接合され、溝73,74に蓋をして液密にする。これにより、鋳込み口部材13の外周面13cに沿って、例えば冷却水が流れる冷却水路77が形成されている。なお、冷却水は、ビスケット51を冷却する液体冷媒の一例であり、冷却水路77は、液体冷媒が流れる流路の一例である。
より詳しくは、冷却回路71の第1および第2の溝73,74は、それぞれ鋳込み口部材13の外周面13cの周方向に沿って形成されているとともに、互いに鋳込み口部材13の軸方向に沿って離間している。第1の溝73は、二つの溝73,74のなかでビスケット成形領域69に近い方の溝である。
図5に示すように、カラー部材75には、第1の溝73に連通する流入口75aと、第2の溝74に連通する流出口75bとが開口している。さらに固定型板11には、この流入口75aに連通する流入路78aと、流出口75bに連通する流出路78bとが設けられている。
上記第1の溝73と第2の溝74と間には、第1の溝73と第2の溝74とを互いに連通させる図示しない連通路が設けられている。この連通路は、例えば流入口75aおよび流出口75bとは鋳込み口部材13の周方向に沿った反対側に設けられている。第1の溝73は、この連通路よりも下流となる部分が塞がれている。第2の溝74は、この連通路よりも上流となる部分が塞がれている。これにより第1および第2の溝73,74は、協働して鋳込み口部材13を周方向に360度取り囲む一本の冷却水路77を形成することになる。
このような構成によれば、鋳込み口部材13の外周面13cを360度取り囲むとともに、流入口75aと流出口75bとを周方向の同じ位置に開口させた冷却回路71を、単純な構成によって実現することができる。
図5に示すように、第1の溝73は、ビスケット51の端面51aから例えば5mm〜10mmの間隔Sを空けて配置されている。第2の溝74は、ビスケット51の端面51aから第1の溝73よりも大きな間隔を空けて配置されている。
固定型板11に設けられた流入路78aと流出路78bには、鋳造機に設けられた循環装置(図示しない)が接続される。循環装置は、流入路78aに冷却水を送出するとともに、流出路78bに流れる冷却水を回収する。循環装置はさらに鋳造機に設けられた冷却装置(図示しない)に接続されている。冷却装置は、循環装置が回収した冷却水を冷却する。
冷却水路77は、鋳造機に設けられた冷却装置との間で循環される冷却水が流れる。詳しくは、循環装置から固定型板11の流入路78aに送出された冷却水は、カラー部材75の流入口75aを通じて第1の溝73に流れ込む。第1の溝73に流れ込んだ冷却水は、第1の溝73に沿って鋳込み口部材13の外周面13cを約半周に亘り流れた後、連通路を通じて第2の溝74に流れ込む。
第2の溝74に流れ込んだ冷却水は、第2の溝74に沿って鋳込み口部材13の外周面13cを残りの半周に亘り流れ、カラー部材75の流出口75bから固定型板11の流出路78bへと流れ込む。流出路78bへ流れ込んだ冷却水は、循環装置に回収され、冷却装置により冷却された後、再び流出路78bへと送出される。
ここで、固定型4は上述の第1および第2の昇温回路61,62により約300度の高温に保たれる。冷却水路77は、冷却水が固定型4内で沸騰しないように所定以上の流速で流される。
図1に示すように、鋳込み口部材13を冷却する冷却回路71とは別に、分流子23を冷却する冷却回路81が設けられている。この冷却回路81は、可動型板21の側面に開口した開口部から分流子23の内部に亘って延びているとともに、鋳造機に設けられた循環装置および冷却装置に接続されている。
次に、金型1を用いたダイカスト鋳造による成形品2に製造方法について説明する。
まず、上述の金型1を備えた鋳造機を準備する。金型1は、昇温回路61,62,63,64に高温の油を流し、約300度程度まで昇温されるとともに、冷却回路71,81に液体冷媒を循環させた状態に準備される。また、原材料の金属(例えばマグネシウム合金)を溶融して溶湯とする。溶湯の温度は、例えば約700度である。
次いで鋳造サイクルに入る。まず、可動型5が動いて、固定型4に組み合わされて型締される。次に、鋳込み口部材13に連結されたスリーブ18内に溶湯を注入し、射出プランジャーを高速で押し出し、鋳込み口部材13から金型1内に溶湯を充填する。このとき、金型1が昇温されているので、溶湯の温度低下が抑制されて、溶湯はゲート部44を介して製品部45に充填される。また、鋳込み口部材13の内部に形成されたビスケット部43には、ビスケット51が成形される。このビスケット51は、上述のゲート部分52および製品部分53と一体に成形される。
製品部分53の基本肉厚は、例えば0.6mm以下であり、充填後に急激に固化が進む。一方、ビスケット51は、例えば厚さTが20mmもあり、製品部分53に比べて厚肉のため固化しにくいが、冷却回路71が鋳込み口部材13の連結端部15とビスケット成形領域69との間の領域を冷却することで、ビスケット51の固化が促進される。これにより、薄肉の製品部分53の固化が進み過ぎないうちにビスケット51の固化が完了する。
ビスケット51の固化を待って、可動型5が動いて型が開き、金型1内から製品部分53とビスケット51とを含む鋳造品31を取り出す。これにより、ダイカスト鋳造の1サイクルが終了する。金型1から取り出された鋳造品31は、ビスケット51およびとゲート部分52を含む不要部分が製品部分53から切り離され、所望の成形品2が得られる。
このような構成の金型1によれば、薄肉成形品の鋳造性が向上する。
例えば、ビスケット成形領域69を取り囲むように冷却回路が配置されている(すなわちビスケット51の厚みの中心部が冷却回路内に収まるように冷却水路が通っている)と、金型注入時に溶湯の温度が大きく低下してしまい、溶湯の流動性が低下してしまう。
金型注入時の溶湯の温度低下を抑制するために、例えば冷却回路71の冷却性能を下げることも考えられる。冷却回路71の冷却性能を下げる方法として、例えば冷却回路71を流れる液体冷媒の温度をある程度高く設定することが考えられる。しかしながら、この液体冷媒は約300度まで昇温されている金型1内に繰り返し循環されるため、例え液体冷媒の温度を設定しようとしても、金型1からの熱伝導で液体冷媒の温度は時間が経つに従い設定値から掛け離れてしまうため、実質的に液体冷媒の温度管理を行うことは不可能に近い。
また一般に、循環装置の液体冷媒の吐出圧力は鋳造機ごとに決まっていることが多く、液体冷媒の吐出量を制御できないことが多い。そこで本発明者は、冷却回路71の溝73,74の断面積を大きくすることで液体冷媒の流速を低下させ、それによって冷却回路71の冷却性能を下げ、金型注入時に溶湯の温度低下を抑制することができないかと考えた。しかしながら、液体冷媒の流速を低下させると、固定型4内での液体冷媒の温度上昇幅が大きくなる。例えば冷却水のような沸点が低い液体冷媒を用いるためには、この液体冷媒が金型1内で沸騰しないように所定以上の流速で固定型4内を通過させる必要があることがわかった。特に液体冷媒が流れる流路が鋳込み口部材13を周方向に取り囲むような比較的長い流路長を有すると、液体冷媒の流速をある程度以上に設定する必要があるため、溶湯の温度低下をあまり抑制することができないことがわかった。
すなわち、本発明の実施形態の前提となる金型1は、その全体は溶湯の固化を遅らせる目的で常に300度近くまで昇温されており、そのなかで鋳込み口部材13の内部に成形されるビスケット51を冷却しなければならないという特殊性を有する。
しかしながら、上記のような構成によれば、冷却回路71の冷却性能を精度良く管理することなく、ビスケット51の固化促進と溶湯の温度低下の抑制とのバランスを取ることで薄肉成形品の鋳造性を向上させた金型1を提供することができる。すなわち、ビスケット51を冷却するための冷却回路71をビスケット成形領域69の周囲から敢えて外し、この冷却回路71を鋳込み口部材13の連結端部15とビスケット成形領域69との間の領域に沿って配置することで、溶湯の温度低下を抑制し、且つ、ビスケット51の固化促進を図ることができる。
この構成によれば、冷却回路71の冷却性能をコントロールする必要がないため、簡単な構成で上記効果を得ることができる。冷却回路71を含む冷却装置関連の構造を単純にできることは、高温高圧を取り扱う鋳造機および金型1において極めて有利である。さらに冷却回路71の冷却性能をコントロールしなくてすむので、液体冷媒の吐出量や吐出圧力を調整する必要がなく、以前の鋳造機をそのまま使用することができる。
上記のような構成の成形品2の製造方法によれば、冷却回路71の冷却性能を精度良く管理することなく、ビスケット51の固化促進と溶湯の温度低下の抑制とのバランスを取ることで薄肉成形品の鋳造性を向上させた成形品の製造方法を提供することができる。また、そのような鋳造方法による成形品を提供することができる。
図7は、冷却回路71をビスケット成形領域69を外して設けた場合の効果を示す実験結果の一例を示す。図7は、横軸に成形品としてのB5サイズのポータブルコンピュータの筐体ベースの基本肉厚を取り、縦軸に流動比を取る。なお「流動比」とは、流動長を基本肉厚で除した値である。また「流動長」とは、溶湯が流れる長さである。
図7に示すように、「冷却回路がビスケット成形領域を外れて設けられている場合」(図7中、実線)の方が「冷却回路がビスケット成形領域に沿って設けられている場合」(図7中、破線)に比べて溶湯の流動性が良好であることがわかる。また、別の実験データから金型注入時の溶湯温度が約100度上昇し、流動性が約2倍に上昇することがわかった。さらに、金型1から取り外した直後の鋳造品31のビスケット51の温度測定を行うと、「冷却回路がビスケット成形領域を外れて設けられている場合」の方が「冷却回路がビスケット成形領域に沿って設けられている場合」に比べてビスケット51の温度が100度近く高くなることも確認されている。
また本発明の実施形態は、例えば基本肉厚が0.6mm以下の薄肉成形品の鋳造において特に有利であるといえる。例えば図7中の「冷却回路がビスケット成形領域に沿って設けられている場合」から明らかなように、基本肉厚が0.6mmを超える場合は、基本肉厚が薄くなるに従い流動比は比例的に低下するが、基本肉厚が0.6mm以下の場合は、基本肉厚が薄くなるに従い流動比は急激に低下することがわかる。溶湯の流動性を改善する本発明の実施形態は、このような流動比が急激に低下する領域において特に顕著な効果を発揮するといえる。
また別の観点からいえば、本発明の実施形態は、例えば基本肉厚が0.4mm以上0.5mm以下の薄肉成形品の鋳造において特に有利であるといえる。「冷却回路がビスケット成形領域に沿って設けられている場合」では、B5サイズの筐体ベースを0.5mm以下の薄肉で鋳造しようとしても流動長が不足して鋳造することができなかった。これを図7に当てはめると、B5サイズ程度の大きさの鋳造品においては、流動比が400程度必要であることがわかる。
一方、「冷却回路がビスケット成形領域を外れて設けられている場合」は、基本肉厚が0.4mm以上0.5mm以下の範囲においても流動比を400以上確保することができる。なおこの実験結果は筐体ベースについてであるが、筐体カバーでも同様の効果を得られるのはもちろんである。
以上、本発明の一つの実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。なお本発明が適用される成形品は、基本肉厚が0.6mm以下の成形品に限定されるものではなく、広く一般に適用することができる。
例えば上記実施形態では第1の溝73が液体冷媒の流れの上流側で第2の溝74が下流側であったが、第1の溝73が下流側で第2の溝74が上流側であってもよい。
以下にいくつかの構成を付記する。これらは、薄肉成形品の鋳造性を向上させるものである。
一つの形態に係る成形品の製造方法は、鋳造時に鋳込み口部材にビスケットが成形され、このビスケットの固化を待って金型内から鋳造品を取り出すダイカスト鋳造による成形品の製造方法であって、上記鋳込み口部材は、鋳造機のスリーブが連結される連結端部と、鋳造によりビスケットが成形されるビスケット成形領域と、このビスケット成形領域と同じ外径を有して上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域とを備え、鋳造時に上記ビスケットを冷却して固化を促進し、このビスケットの冷却は、上記鋳込み口部材の外周面において上記ビスケット成形領域を外れて上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域を冷却することで行われる。
一つの形態に係る成形品は、鋳造時に鋳込み口部材にビスケットが成形され、このビスケットの固化を待って金型内から鋳造品を取り出すダイカスト鋳造による成形品であって、上記鋳込み口部材は、鋳造機のスリーブが連結される連結端部と、鋳造によりビスケットが成形されるビスケット成形領域と、このビスケット成形領域と同じ外径を有して上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域とを備え、鋳造時に上記ビスケットが冷却されて固化が促進され、このビスケットの冷却は、上記鋳込み口部材の外周面において上記ビスケット成形領域を外れて上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域を冷却することで行われる。
本発明の一つの実施形態に係る金型を分解して示す斜視図。 図1中に示された金型により成形される成形品の斜視図。 図1中に示された金型の内部空間を模式的に示す平面図。 図1中に示された金型により鋳造される鋳造品を模式的に示す斜視図。 図1中に示された金型の断面図。 図5中に示された金型の鋳造時の状態を示す断面図。 本発明の実施形態に係る効果を示す図。
符号の説明
1…金型、2…成形品、4…固定型、5…可動型、13…鋳込み口部材、13c…外周面、15…連結端部、17…射出プランジャー、18…スリーブ、23…分流子、31…鋳造品、61,62,63,64…昇温回路、69…ビスケット成形領域、71…冷却回路、77…冷却水路。

Claims (5)

  1. 固定型と、
    上記固定型に組み合わされる可動型と、
    上記固定型に設けられ、鋳造機のスリーブが連結される連結端部と、鋳造によりビスケットが成形されるビスケット成形領域と、このビスケット成形領域と同じ外径を有して上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域とを備えた鋳込み口部材と、
    上記鋳込み口部材の外周面において上記ビスケット成形領域を外れて上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域に設けられ、液体冷媒が流されて上記ビスケットを冷却する冷却回路と、
    を具備したことを特徴とするダイカスト鋳造用の金型。
  2. 請求項1に記載の金型において、
    上記鋳込み口部材は、上記連結端部とは反対側に位置して上記可動型に当接する先端部を有し、この先端部から上記ビスケット成形領域を介して上記連結端部と上記ビスケット成形領域との間に位置した領域に亘り同じ外径を有して外周面が滑らかに連続したことを特徴とする金型。
  3. 請求項2の金型において、
    上記可動型は、上記鋳込み口部材の先端部から上記鋳込み口部材の内部に挿入される凸部を有した分流子を備え、上記ビスケットの全体が上記鋳込み口部材のビスケット成形領域の内部で成形されることを特徴とする金型。
  4. 請求項1に記載の金型において、
    基本肉厚が0.6mm以下の薄肉成形品を鋳造することを特徴とする金型。
  5. 請求項1に記載の金型において、
    上記固定型および上記可動型を水の沸点を超える温度に昇温する昇温回路を備え、
    上記冷却回路は、上記鋳込み口部材を周方向に取り囲むとともに、鋳造機に設けられた冷却装置との間で、冷却水が上記固定型内で沸騰しないように所定以上の流速で流されることを特徴とする金型。
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