JP2004050788A - 金型とその金型による成形体の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部に所定形状のキャビティ(6)と、ゲート(8)を介して前記キャビティ(6)に連通し、キャビティ(6)に流動状の計量された成形材料(9)を供給する成形材料注入路(12)と、前記成形材料注入路(12)内にてゲート(8)に挿脱可能に配設されているバルブピン(7)とを備えた金型(1)において、
キャビティ(6)が、筒状の型窩(4)と、前記型窩内(4)に同軸にて挿脱される柱状のコア(5)とで構成され、前記型窩(4)の中心軸(CL)に一致して成形材料注入用のゲート(8)が形成されており、コア(5)の先端側から計量樹脂を射出・充填する」事を特徴とする。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂は勿論、燒結用粉末と樹脂バインダの混練物のような成形材料の成形において、成形体が円筒状の場合、偏肉のない成形が可能であり、特に非常に高い清浄度と精密度とが要求される注射器のシリンダのようなものの成形に最適な省資源タイプの金型とその金型を用いた成形体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のシリンダ成形用の金型(101)は、図7に示すように雌型(102)の中心部分に配設されたホットランナ(107)から直角にコールドランナ(108)を形成し、シリンダ(110)の鍔部(110c)から計量樹脂(109)をキャビティ(106)内に高圧充填するようにしていた。このような方式では、シリンダ(110)の鍔部(110c)から計量樹脂(109)がキャビティ(106)内に高圧注入された時、図8に示すように鍔部(110c)のゲート(111)に近い部分から次第に計量樹脂(109)が充填されて行く。
【0003】
計量樹脂(109)の射出充填圧力は1,000〜2,000kg/cm2の高圧に達し、先に樹脂(109)が充填されるゲート(111)に近い方のコア(105)の側面部分からコア(105)の中心軸(CL)に向かって直角方向の力(F)が加わり、コア(105)をゲート(111)に遠い方向に極く僅か撓ませる。このような撓みが発生すると、コア(105)と雌型(102)に形成された型窩(104)とで構成されるキャビティ(106)のゲート側幅(t1)と反対側の幅(t2)に異同[(t1)>(t2)]が発生し、成形されるシリンダ(110)に偏肉が発生することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような偏肉が発生するコールドランナ方式から、偏肉が発生しないホットランナ方式の金型および該金型を使用した成形体の成形方法の開発をその解決課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
「請求項1」に記載の金型(1)は、本発明の基本的思想で「内部に所定形状のキャビティ(6)と、ゲート(8)を介して前記キャビティ(6)に連通し、キャビティ(6)に流動状の計量された成形材料(9)を供給する成形材料注入路(12)と、前記成形材料注入路(12)内にてゲート(8)に挿脱可能に配設されているバルブピン(7)とを備えた金型(1)において、
キャビティ(6)が、筒状の型窩(4)と、前記型窩内(4)に同軸にて挿脱される柱状のコア(5)とで構成され、前記型窩(4)の中心軸(CL)に一致して成形材料注入用のゲート(8)が形成されており、コア(5)の先端側から計量樹脂を射出・充填する」事を特徴とする。
【0006】
これによればゲート(8)が型窩(4)とコア(5)の中心軸(CL)上に形成されているので、ゲート(8)からキャビティ(6)内に射出された計量成形材料(9)はコア(5)の周囲を均等に流れ、コア(5)の側面に対して一方向から力が加わるようなことがなく、成形材料射出充填の全期間にわたってコア(5)が一方向に倒れるようなことがなく、常に型窩(4)の中心に位置することになり、その結果、成形された成形品(10)は偏肉を生ずることがない。
【0007】
「請求項2」はキャビティ(6)の形状を限定したもので「型窩(4)がシリンダの外面を構成し、コア(5)がシリンダ内面形成用である」事を特徴とする。
【0008】
「請求項3」は成形材料(9)に関するもので、通常の樹脂のほかに「燒結用粉末と樹脂バインダの混練物」を本発明の成形材料(9)の対象とするものである。
【0009】
「請求項4」は前記金型(1)を使用した成形方法であって、
(a) ゲート(8)を介して成形材料供給側(12)から計量された成形材料(9)をキャビティ(6)に射出充填し、
(b)充填後、所定の圧力をキャビティ内の充填材料に印加する保圧を行い、
(c)前記保圧工程終了後、ゲートカットした時に、ゲート(8)部分に溜まった余剰成形材料(9a)を成形材料供給側(12)に戻し
(d)続いて冷却してキャビティ(6)内の成形材料(9)を固化して成形体(10)とし、然る後、前記成形体(10)を取り出す成形体の成形方法であって、
キャビティ(6)が、筒状の型窩(4)と、前記型窩(4)内に同軸にて挿脱される柱状のコア(5)とで構成され、前記型窩(4)の中心軸(CL)に一致して成形材料注入用のゲート(8)が形成されており、コア(5)の先端側から計量樹脂を射出・充填する」事を特徴とする。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。本発明は全てのランナレス円筒成形に適用することができるのであるが、その実施例として柱状コア(5)と円筒状型窩(4)とを用いて円筒状成形品(10)を製造する場合を代表例として説明する。また、上記説明は通常の樹脂を成形材料として使用する場合を中心に説明するが、その他の材料として燒結用粉末と樹脂バインダの混練物も使用することが出来るものであり、このような材料として以下のものが挙げられる。
【0011】
この成形材料(9)は、焼結用粉末と、溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂との均一混合物で構成される2種類の樹脂を主とするバインダ樹脂とで構成されているものである。焼結用粉末としては、焼結される主材となる金属材料、酸化物或いは窒化物又は石英、ガラスと、これらを結合するバインダとで構成される。
【0012】
前記焼結が可能な焼結主材としては、金属材料(ステンレス粉末、Ni、W、Mo、Fe)、炭化物(WC、TiC、炭化クロム)、窒化物(窒化ボロン、窒化珪素、窒化アルミナ)、酸化物(石英、アルミナ、ガラス、ジルコニア)、などがその例として挙げられ、これら焼結主材を結合するバインダとしてCo、Niが挙げられる。酸化物(石英、アルミナ、ガラス、ジルコニア)の場合はバインダなしで焼結してもよい。これらの焼結物として超硬部材、サーメット部材、セラミックス部材、石英ガラス部材、タングステン部材、ステンレス部材、ニッケル部材、モリブデン部材、ガラス部材或いはその複合材などが挙げられる。また、その用途によって焼結主材の平均粒度は最適のものがあるが、例えば、超硬部材の場合は0.2〜0.5μm程度の平均粒径を持つものがエッジ(刃)部分の耐久性を確保する上で好ましい。一般のグレードは2μm程度の平均粒径である。
【0013】
これら焼結用粉末を担持するバインダ樹脂は、1の溶剤に溶ける溶剤可溶性樹脂と該溶剤に溶けない溶剤不溶性樹脂を主材とし、可塑剤及び離型材など必要添加物とで構成されている。前記溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂とは使用温度では完全に混ざり合って並存していることがより好ましく、本実施例では溶融温度(高温)では両者共1の溶剤に溶け、使用温度では均一に混ざり合った状態で分離しているような樹脂が使用される。
【0014】
更には、単に溶剤可溶性樹脂と溶剤不溶性樹脂とが混ざり合っているだけの場合より脱脂後の保形性や焼結用粉末の均一分散性を高めるために溶剤不溶性樹脂に繊維状或いは羽毛状となる樹脂を使用する事が望ましい。即ち、溶剤不溶性樹脂が繊維状或いは羽毛状となる樹脂の場合、高温(=両者の溶融温度)では溶剤可溶性樹脂中に完全に均一に溶け合っている。これを冷却すると次第に溶剤不溶性樹脂が繊維状にて析出し、その繊維間に溶剤可溶性樹脂と焼結用粉末が絡まった状態で存在するようになり、極めて微細且つ均一に溶剤可溶性樹脂と焼結用粉末が繊維状溶剤不溶性樹脂間に分散した状態となる。
【0015】
このような溶剤可溶性樹脂の例として、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、遷移素プラスチックがある。また、溶剤不溶性樹脂の例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタールなどがあり、これらを高温で溶かす(但し、室温では溶剤不溶性樹脂は析出する)溶剤としては例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族溶剤や、ジクロルメタンやジクロルエタンなどの塩素化溶剤などがある。 その他、可塑剤としてはジオクチルフタレートやジブチルフタレートなどが、離型材としてはステアリン酸亜鉛やステアリン酸アマイドが挙げられる。これら溶剤不溶性樹脂と溶剤可溶性樹脂の混合比は、体積比で1:0.5〜4.0である。また、バインダ樹脂と焼結用粉末の体積比が40:60〜65:35である。これらは通常のペレット状に成形されて従来の樹脂と同様に使用される。
【0016】
まず、(図1〜6)に付いて説明する。金型(1)は、雌型(2)と、雄型(3)とで構成され、雌型(2)及び雄型(3)は固定ダイプレート(15)及び移動ダイプレート(16)にそれぞれ取り付けられており、雌型(2)に対して雄型(3)が型開・型締可能となっている。(勿論、図示してないがその逆でもよいことはいうまでもない。)
【0017】
雌型(2)は、パーティング面(P2)を有する第1雌型部材(2a)、前記第1雌型部材(2a)に取り付けられ、型窩(4)が凹設されているキャビティ部材(30)、第1雌型部材(2a)の背部に設けられた第2雌型部材(2b)、前記第2雌型部材(2b)に取り付けられたホットランナブッシュ(20)及びバルブピン作動桿(25a)を介して前記バルブピン(7)を前進・後退させる油圧又は空圧駆動のピン駆動部(25)、第2雌型部材(2b)の背部に取り付けられたスプルー取付ブロック(27)、雌型(2)の背部を構成し、雌型(2)を固定ダイプレート(15)に取着する第3雌型部材(2d)、第2雌型部材(2b)と第3雌型部材(2d)との間に配設されて当該部材(2b)(2d)間にスプルー取付ブロック(27)の収納空間(28)を構成するためのスペーサ部材(2c)、第3雌型部材(2d)とバルブ作動棹(25a)との間に配設され、ゲートカット方向にバルブピン(7)を押圧し、ピン駆動部(25)のゲートカット動作を助勢する補助バネ(25d)及びバルブピン(7)とで構成されている。
【0018】
第1雌型部材(2a)には、1乃至複数の凹所(18)がそのパーティング面(P2)から背面にかけて形成されており、パーティング面(P2)側に開口する型窩(4)が形成されているキャビティ部材(30)が前記凹所(18)内に収納されている。ここでは前記型窩(4)はシリンダ(10’)の外径形状に合わせて凹設されている。
【0019】
前記キャビティ部材(30)の型窩(4)の詳細を図5、6に従って説明する。キャビティ部材(30)のホットランナブッシュ(20)との対向部分にホットランナブッシュ(20)の成形材料注入路(12)と連通する細いゲート(8)が穿設されており、このゲート(8)に続いてゲート(8)より若干径の大きい、注射針が取り付けられるシリンダ(10’)の細径先端部(10a)の外形部分が形成され、更にこれに続いてシリンダ本体(10b)の外形部分が形成され、そのパーティング面側において最も径の大きい鍔部(10c)の外形部分が形成されている。
【0020】
前記ゲート(8)は図5のゲート部分拡大図からわかるように、細径先端部(10a)から後方[成形材料供給側(1)]に向かう部分(8a)がストレートな円筒状に形成され、この円筒部分(8a)から後方に向かってラッパ状に開いたラッパ状部分(8b)とで構成されており、このゲート(8)部分に後述するバルブピン(7)の先端部分が精密に嵌り込むようになっている。そしてこのゲート(8)には後述するバルブピン(7)の先端部分が挿脱され、ゲート(8)の開閉がなされるようになっている。
【0021】
ホットランナブッシュ(20)には、バルブピン(7)が挿入され且つ成形材料連通路(24)に接続される成形材料注入路(12)が穿設されており、その先端部分は前記ゲート(8)と接続していて、ゲート(8)のラッパ状部分(8b)と同じテーパーにて形成されている。このホットランナブッシュ(20)には例えばヒータ(29)が配設されており、ホットランナブッシュ(20)の成形材料注入路(12)内の成形材料(9)をゲート(8)に至るまで加熱してこれを溶融状態に保っている。なお、(19)はホットランナブッシュ(20)の収納孔である。
【0022】
スプルー取付ブロック(27)には前述のようにスプルーブッシュ(22)が取り付けられており、このスプルーブッシュ(22)に連通し、且つ、1乃至途中で複数に分岐し、前述の成形材料注入路(12)に接続される成形材料連通路(24)がスプルーブッシュ(22)からスプルー取付ブロック(27)にかけて穿設されている。加えて、後述するバルブピン(7)をガイドするガイド孔(21)がスプルー取付ブロック(27)に穿設されている。
【0023】
バルブピン(7)は、先端の一部がテーパー状に形成された棒状のもので、その後端はバルブピン作動桿(25a)に固定されており、前記ガイド孔(21)に摺動可能に挿通され、スプルー取付ブロック(27)から突出している部分は、ホットランナブッシュ(20)の成形材料注入路(12)内に挿入されている。バルブピン(7)の先端部分は前記ゲート(8)に精密に嵌り込むように形成されている。即ち、バルブピン(7)の先端部分は図6の拡大断面図に示すように、ゲート(8)の円筒部分(8a)に合わせてキャビティ側端面(11)から後方に向けてストレートに伸びた部分(7a)と、前記ストレートに伸びた部分(7a)から後方に次第にその径を後方に向けて拡径するテーパ部分(7b)とで構成されている。前記テーパ部分(7b)のテーパー角度は前記ラッパ状部分(8b)より若干緩角度で小さい。これによりゲート(8)にその先端部分を挿入する際、前記ラッパ状部分(8b)にて先端部がガイドされ、先端部のストレートに伸びた部分(7a)がゲート(8)の円筒部分(8a)にぴったりと嵌り込み、確実なゲートカットが行われる。換言すれば、ストレートに伸びた部分(7a)の直径とゲート(8)の円筒部分(8a)の内径とが誤差ゼロに近い嵌め合いに成形されている。
【0024】
更に前記キャビティ側端面(11)は後述するコア(5)の先端の円錐部分(5e)が精密に嵌り込む円錐凹所(7c)が形成されている。キャビティ側端面(11)のこの円錐凹所(7c)の直径(d)と前記コア(5)の先端の円錐部分(5e)の最大径(d)とは等しく形成されているが円筒部分(8a)の内径(D)より小さく、図5に示すように円筒部分(8a)と円錐部分(5e)との間に間隙(K)が形成される。バルブピン(7)の先端部分がゲート(8)から離脱している場合、図5に示すように前記間隙(K)から成形材料(9)がキャビティ(6)内に流入し、逆にバルブピン(7)の先端部分がゲート(8)には嵌り込んでいる時、前記間隙(K)はキャビティ側端面(11)の先端リング部分(11a)にて閉塞されるようになっている。勿論、この時、前記ゲート(8)の円筒部分(8a)にはストレートに伸びた部分(7a)が隙間なく嵌まり込んでいるので、成形材料(9)がこの円筒部分(8a)内に入り込むことはない。なお、前記先端リング部分(11a)はキャビティ側端面(11)の外周と円錐凹所(7c)の最大内周との間の平坦リング面をいう。
【0025】
更に、バルブピン(7)の先端部分には、円錐凹所(7c)の天井部分から軸方向に穿設された先端細孔(13a)とこれに直角で先端細孔(13a)とバルブピン(7)の外面とを繋ぐ直角細孔(13b)とが形成されており、この先端細孔(13a)と直角細孔(13b)とで連通孔(13)が形成される。
【0026】
ピン駆動部(25)は第2雌型部材(2b)に形成されたシリンダ孔(25b)とピストン部材(25c)とで構成されており、ピストン部材(25c)にバルブピン作動桿(25a)が架設され、ピストン部材(25c)を作動することによりバルブピン作動桿(25a)を介してバルブピン(7)を摺動させるようにしている。(M)(N)はピストン部材(25c)を作動させるための圧油又は圧縮空気の出入り口である。なお、前記補助バネ(25d)の作用によりピストン駆動部(25)の寸法を小さくでき、これによって金型(1)全体の形状小さくすることができる。
【0027】
雄型(3)は、移動ダイプレート(16)に取り付けられる雄型本体(3a)、雄型本体(3a)の内側にて型窩(4)に一致して取り付けられている1乃至複数個のコア(5)、雄型本体(3a)の内側に当接・離間可能に配設され、前記コア(5)が挿脱する中間型(3b)および型開した後、中間型(3b)を離間方向に押し出して成形されたシリンダ(10’)を離型させる押出部材(26)とで構成されている。
【0028】
コア(5)の埋設端部(5d)は雄型本体(3a)内に埋設されており、コア(5)は雄型本体(3a)の内側から突出している基部(5c)、前記基部(5c)より先端側で型窩(4)の円筒状部分の内周形状と相似形であり、シリンダ(10’)の鍔部(10c)及びシリンダ部分(10b)の内周形状を構成する円柱状部(5b)、円柱状部(5b)の先端中央に突設され、シリンダ(10’)の注射針取付部(10a)の内周面を形成する突起部(5a)とを有する。突起部(5a)の先端部分は前述のように円錐形となっており、前記円錐部分(5e)の直径は(d)である。
【0029】
次に、本発明にかかる金型(1)の作用について説明する。まず、移動ダイプレート(16)を作動させて雄型(3)を雌型(2)に押圧・型締する。この時、ゲート(8)がバルブピン(7)の先端部分で閉塞され且つバルブピン(7)の円錐凹所(7c)にコア(5)の先端の円錐部分(5e)が密嵌した図1の状態となる。
【0030】
続いて、図2のようにピン駆動部(25)が作動してバルブピン(7)を引き戻し、ゲート(8)を開く。この状態で射出成形機を作動させ、ノズル(23)から計量された成形材料(9)を射出する。射出された計量成形材料(9)はスプルーブッシュ(22)、成形材料通流路(24)、成形材料注入路(12)を通り、前記ゲート(8)からキャビティ(6)内に高圧(例えば、1,000〜2,000kg/cm2)で圧入される。図5の拡大詳細図にその状態を示す。
【0031】
図から分かるように、コア(5)の中心軸(CL)上にゲート(8)が形成されているので、ゲート(8)の円筒部分(8a)とコア(5)の突起部(5a)とで構成される間隙(K)は全周にわたって同幅[(D−d)/2]となり、ゲート(8)からキャビティ(6)内に高圧流入する計量成形材料(9)はキャビティ(6)内の全周にわたって均等に流入し、コア(5)の外周面ににかかる力は全周にわたって均等になり、コア(5)を従来例のように撓ませて一方向に傾斜させることがない。それ故、キャビティ(6)は射出成形の最初から最後まで偏肉を発生させることがなく、成形されたシリンダ(10’)の肉厚に偏肉が生じない。
【0032】
このようにしてキャビティ(6)に計量成形材料(9)の充填が完了すると保圧工程に移り、射出成形機のノズル(23)からの圧力をキャビティ(6)内の充填成形材料(9)に掛け続ける。充填成形材料(9)は冷却と共に次第に固化して行くと同時に収縮するが、前記の圧力によりゲート(8)から成形材料(9)が補給され、シリンダ(10’)のヒケ発生を防止する。シリンダ(10’)がある程度冷却し、殆ど収縮しなくなった状態で保圧工程が終了し、ピン駆動部(25)を逆作動させてバルブピン(7)を前進させ、図6の拡大詳細図に示すようにバルブピン(7)の先端部分にてゲート(8)を閉塞する。
【0033】
このときゲート(8)部分において、バルブピン(7)のキャビティ側端面(11)とコア(5)の先端(14)との間に挟まれ、逃げ場のなくなった余剰成形材料(9a)が前記連通孔(13)を通って成形材料注入路(12)に逃げることができ、バルブピン(7)のキャビティ側端面(11)の円錐凹所(7c)にバルブピン(7)の先端の円錐部分(5e)が密嵌して先端細孔(13a)を閉塞し、且つゲート(8)の円筒部分(8a)にバルブピン(7)のストレートに伸びた部分(7a)がほぼゼロ嵌合にて嵌まり込んでゲート(8)を閉塞すると同時に前記間隙(K)をバルブピン(7)のキャビティ側端面(11)の外周部分の先端リング部分(11a)が閉塞しゲートカットを小さい力で確実に行う。これによりキャビティ(6)は成形材料注入路(12)から確実に遮断されることになる。
【0034】
続いて、冷却工程を経てキャビティ(6)内の充填成形材料(9)は次第に冷却固化する。成形材料(9)が固化したところで、図3に示すように移動ダイプレート(16)を作動させ雄型(3)を雌型(2)から離間させ型開を行う。成形品(10)はコア(5)に装着され、雌型(2)の型窩(4)から引き抜かれる。
【0035】
この時、図6の拡大詳細図からわかるようにシリンダ(10’)の注射針取付部(10a)の先端は成形材料注入路(12)から確実に遮断されているが、この成形材料注入路(12)内のは成形材料(9)はホットランナブッシュ(20)によって溶融状態に保持されているので、成形品であるシリンダ(10’)は、従来のようなコールドランナが付着していない無駄のない完全に成形された状態で型窩(4)から取り出される。それ故、従来無駄となっていたコールドランナが発生しなくなる。
【0036】
最後に、押出部材(26)を作動させて中間型(3b)を雄型本体(3a)から離間させ、シリンダ(10’)の鍔部(10c)を係合させて押し出し、コア(5)からシリンダ(10’)を離脱させる。シリンダ(10’)の取り出しが完了するとパーティング面を清掃した後、再度型締工程に入り、前述の作業繰り返す。
【0037】
【発明の効果】
以上、本発明によればゲートがコアの中心軸上に形成されているので、ゲートからキャビティ内に射出された計量成形材料はコアの周囲を均等に流れ、コアの側面に加わる力は全周にわたって均一となり、コアが一方向に倒れるようなことがなく、常に型窩の中心に位置することになり、成形された成形品は偏肉を生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の金型の型締状態を示す断面図
【図2】図1において、バルブピンによるゲートカットが行われた状態の断面図
【図3】本発明の第1実施例の金型の型開状態を示す断面図
【図4】本発明の第1実施例の金型の製品エジェクト状態を示す断面図
【図5】本発明の第1実施例の金型のゲートカット状態の拡大断面図
【図6】本発明の第1実施例の金型のゲートオープン状態の拡大断面図
【図7】従来例の断面図
【図8】従来例の計量成形材料充填状態の拡大断面図
【符号の説明】
(1)金型
(2)雌型
(3)雄型
(4)型窩
(5)コア
(6)円筒状キャビティ
(7)バルブピン
(8)ゲート
(CL) コアの中心軸
Claims (6)
- 内部に所定形状のキャビティと、ゲートを介して前記キャビティに連通し、キャビティに流動状の計量された成形材料を供給する成形材料注入路と、前記成形材料注入路内にてゲートに挿脱可能に配設されているバルブピンとを備えた金型において、
キャビティが、筒状の型窩と、前記型窩内に同軸にて挿脱される柱状のコアとで構成され、前記型窩の中心軸に一致して成形材料注入用のゲートが形成されている事を特徴とする請求項1に記載の金型。 - 型窩がシリンダの外面を構成し、コアがシリンダ内面形成用である事を特徴とする請求項1のいずれかに記載の金型。
- 成形材料が、燒結用粉末と樹脂バインダの混練物であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の金型。
- (a) ゲートを介して成形材料供給側から計量された成形材料をキャビティに射出充填し、
(b) 充填後、所定の圧力をキャビティ内の充填材料に印加する保圧を行い、(c) 前記保圧工程終了後、ゲートカットした時に、ゲート部分に溜まった余剰成形材料を成形材料供給側に戻し、
(c) 続いて冷却してキャビティ内の成形材料を固化して成形体とし、
(d) 然る後、前記成形体を取り出す成形体の成形方法において、
キャビティが、筒状の型窩と、前記型窩内に同軸にて挿脱される柱状のコアとで構成され、前記型窩の中心軸に一致して成形材料注入用のゲートが形成されており、コアの先端側から計量樹脂を射出・充填する事を特徴とする成形体の成形方法。 - 型窩がシリンダの外面を構成し、コアがシリンダ内面形成用である事を特徴とする請求項4に記載の成形体の成形方法。
- 成形材料が、燒結用粉末と樹脂バインダの混練物であることを特徴とする請求項4、5のいずれかに記載の成形体の成形方法。
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