JP2019154596A - 屋外対応カーペット - Google Patents
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Abstract
【課題】屋外に敷設した際に降雨や散水を受けても皺やヨレが発生しにくく、雨が浸透しても裏面の樹脂層から気泡が発生しない屋外対応カーペットを提供する。【解決手段】繊度3.3〜33dtの通常のポリエステル繊維50〜92重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維8〜50重量%を含む上方フェルト層と、繊度3.3〜11dtの通常のポリエステル繊維8〜55重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維45〜92重量%を含む下方フェルト層とからなり、得た両フェルト層の裏面にゴム系樹脂をコーティングして目付5〜30g/m2の樹脂層を形成する。【選択図】図1
Description
本発明は、屋外に敷設した際に降雨や散水を受けても皺やヨレが発生しにくく、雨が浸透しても裏面の樹脂層から気泡が発生しない屋外対応カーペットに関する。
ニードルパンチフェルトは、比較的安価で見栄えがするので、公共の会場や個人住居などにおいて敷きカーペットとして広く使用されている。特に、展覧会、見本市、博覧会のような展示会、催し物、コンサートなどでは、展示物に会わせた色と大きさのカーペットを会場の床にそのつど敷設すると、これらの広い会場では単に屋内だけでなく、出入口や玄関先、庭園などの屋外の一部にもカーペットの敷設が及ぶことも多い。
敷きカーペットとして、合成繊維や羊毛繊維製のフェルトを使用する例には、実開昭55−125184号、特表2001−501682号などが存在し、本出願人も、既に実開昭60−125984号および実用新案登録第3200900号などを提案している。これらのカーペットは、比較的安価なニードルフェルトを表面層として用いることが多く、その裏側に発泡樹脂層を接着するかまたは熱融着することにより、該カーペットのクッション性を高め、滑り止め効果も発揮させる。敷きカーペットの裏面樹脂層は、ポリウレタン、ポリスチレンまたはポリオレフィンなどからなり、一般的に表面フェルト層と同程度の厚みにするかまたはそれ以上の厚みに定める。
ニードルフェルト製の敷きカーペットは、屋外に敷設した際に、表面フェルト層が雨水や散水を受けるとフェルト繊維が伸びて変形しやすくなり、雨水や散水が表面層に浸透して裏面樹脂層まで達すればその裏面樹脂層が軟化する。軟化した裏面樹脂層を有するカーペットが踏まれ続けると、発泡樹脂製の裏面樹脂層から気泡が放出され、厚みが減少するとともに硬くなって使用不能になってしまう。また、表面層のフェルト繊維が伸びて変形しやすくなると、カーペットにシワの発生したり、周辺が部分的に伸びて波立つことにより、歩行者がつまづくなどの危険が伴うことになる。一方、日差しの強い時期では屋外で気温が急上昇し、カーペットの構成繊維自体が軟らかくなり、該カーペットの強度低下に繋がる。
裏面樹脂層からの軟化時の気泡放出に関し、実用新案登録第3200900号に開示のカーペットは、実開昭55-125184号、実開昭60-125984号および特表2001-501682号と比べて薄く、裏面樹脂層は目付252〜308g/m2および厚さ0.8〜1.0mmである。このため、実用新案登録第3200900号に開示のカーペットは、裏面樹脂層の軟化時に気泡放出は比較的少ないけれども、軟化時に気泡放出が多少でも発生することに変わりはない。
前記のカーペットでは、表面フェルト層は、通常のポリエステル繊維85〜90重量%と、低融点の熱融着性繊維10〜15重量%とを含む単層であるため、この表面フェルト層が雨水や散水を受けると、より多量のポリエステル繊維が伸びてカーペットが変形しやすく、シワの発生したり、周辺が部分的に伸びて波立つことが起こりうる。一方、日差しの強い時期では屋外で気温が急上昇し、カーペットのポリエステル繊維自体が軟らかくなり、該カーペットの強度低下に繋がることが懸念される。
本発明は、従来の敷きカーペットを屋外に敷設する際の前記の問題点を改善するために提案されたものであり、比較的薄い下方フェルト層を基布の代わりに使用するとともに、形態変化が少ない下方フェルト層で上方フェルト層を支持することにより、屋外で湿潤後に長時間曝露されてもシワの発生および周辺の波立ちが少ない屋外対応カーペットを提供することを目的としている。本発明の他の目的は、裏面樹脂層が非常に薄いことにより、屋外で湿潤後に踏み付けられても気泡の放出が殆ど生じない屋外対応カーペットを提供することである。
本発明に係る屋外対応カーペットは、屋内はもとより屋外に敷設した際にも形態変化が少ないので長期間使用可能である。このカーペットは、繊度3.3〜33dtの通常のポリエステル繊維50〜92重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維8〜50重量%を含む上方フェルト層と、繊度3.3〜11dtの通常のポリエステル繊維8〜55重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維45〜92重量%を含む下方フェルト層とからなり、低融点ポリエステル繊維の添加量は上方層よりも下方層の方が多く、両フェルト層を重ねてニードルパンチして一体化させ、得たフェルト層の裏面にゴム系樹脂をコーティングして目付5〜30g/m2の樹脂層を形成する。
本発明の屋外対応カーペットにおいて、上方フェルト層が厚み2.0〜4.0mmおよび目付250〜650g/m2であり、下方フェルト層が厚み0.5〜2.0mmおよび目付100〜250g/m2であると好ましい。また、上方フェルト層が通常のポリエステル繊維70〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜30重量%を含み、下方フェルト層が通常のポリエステル繊維10〜30重量%および低融点ポリエステル繊維70〜90重量%を含むと好ましい。より好ましくは、上方ラップが通常のポリエステル繊維85〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜15重量%を含み、下方フェルト層が通常のポリエステル繊維10〜15重量%および低融点ポリエステル繊維85〜90重量%を含む。
本発明の屋外対応カーペットのリサイクル方法では、該カーペットを敷設期間を終えた後に回収し、該カーペットを短冊状に裁断した後に機械的に揉み洗いして脱水し、次にリサイクル可能な上層部を製綿化するとともにリサイクル不可能な下層部を取り除き、製綿化した上層部に含水させながら開繊することにより、得たポリエステル反毛は新規の繊維マットに約30%まで混綿可能である。このリサイクル方法において、廻切機によって、短冊状のカーペット片をリサイクル可能な上層部とリサイクル不可能な下層部とに分離し、複数の廻切機を通過させることで不要な下層部を落下させ、つぎにガーネット反毛機において下層部の残存物を除去しながら開繊すると好ましい。
本発明に係る屋外対応カーペットは、フェルト層および樹脂層だけで基布を介在させずに該フェルト層が2層からなり、下方フェルト層によって上方フェルト層を支持する。本発明の屋外対応カーペットでは、上方および下方フェルト層において通常のポリエステル繊維がともに加熱処理後に低融点ポリエステル繊維で融着されるので、屋外において雨水や散水を受けても形態変化が少なく、しかもより形態変化が少ない下方フェルト層で上方フェルト層を支えることにより、屋外に長時間曝露されてもシワの発生および周辺の波立つフレアーも起こらない。
本発明に係るカーペットは、裏面の樹脂層にクッション性を付与することなく、該樹脂層が非常に薄いことにより、屋外において湿潤後に踏み付けられても樹脂層から気泡の放出が生じず、長期間敷設しても厚みの低下が殆ど起こらないので長期間使用可能である。本発明のカーペットは、比較的軽くて薄いので展示会の床面に敷設する作業が容易であり、会場から撤去する際にも軽量であるので回収作業が容易になり、さらにトラックなどへの荷積み、荷下ろしの際にも軽量であるので作業員の負担を軽減できる。
本発明に係る屋外対応カーペットは、薄い樹脂層を除いてほぼ全量がポリエステル繊維で構成されている。このため、本発明のカーペットは、裏面の樹脂量がごく少量であるので、ポリエステルとしてリサイクルが可能であり、リサイクルによってカーペット廃棄物の多量発生による公害を未然に防ぐ。また、本発明に係るカーペットのリサイクル方法を適用すると、屋外対応カーペットから効率良く反毛を製造でき、得たポリエステル反毛は、新規の繊維マットに対して一定の品質を維持しながら従来よりも多量に混綿することが可能である。
本発明を図面によって説明すると、本発明に係る屋外対応カーペット1は、図1に示すように、上方フェルト層2、下方フェルト層3および裏面の薄い樹脂層5とで構成する。両フェルト層2,3は、図4に示すように重ね合わせてからニードルパンチして一体化させると好ましく、得たフェルト層の裏面にゴム系樹脂をごく薄くコーティングして樹脂層5を形成する。
カーペット1に使用する通常のポリエステル繊維は、一般に、合成繊維の中でも耐熱性と価格の点でコストパフォーマンスが良く、例えば、融点が255〜260℃であるポリエチレンテレフタレート繊維を主としている。通常のポリエステル繊維は、屋外対応カーペット1において2種以上混ぜて使用することも可能である。通常のポリエステル繊維として、所望に応じて一部に反毛(回収再生綿)を用いても、ポリプロピレンやアクリルなどの他の合成繊維を加えることなく、PETボトルリサイクル繊維を50重量%以上使用して、エコマークの取得も可能である。
一方、低融点ポリエステル繊維は、通常のポリエステル繊維の融点よりも約80〜170℃低い融点であり、一般に融点が90〜180℃であり、並列や芯鞘構造などの複合繊維でもよい。低融点ポリエステル繊維の添加量は、上方層2よりも下方層3の方が多いことを要し、その差は20%以上であることが望ましい。
通常のポリエステル繊維は、糸の発色性を改善するために、スルホン酸基を導入したカチオン可染のポリエステル繊維でもよく、導入されたスルホン酸基の染着座にカチオン染料を結合させる。この場合、通常のポリエステル繊維は、カチオン染料でしか出ない鮮やかな色に染めることが可能であり、または分散染料と合わせて2色以上に染め分けすることもできる。また、通常のポリエステル繊維は、潜在捲縮のポリエステル繊維でもよく、溶融高分子を細孔口金から押し出して冷却する溶融紡糸法で製造されるため、2種の高分子を同時に同じ細孔から押し出して2成分の複合繊維を形成したり、繊維の断面形状の異形化や中空化を行ってもよい。
潜在捲縮の通常のポリエステル繊維は、複合繊維化において熱収縮が異なる2成分のポリエステル繊維を紡糸することによって製造する。潜在捲縮繊維は、紡糸後において通常の糸と同様に直線状であり、得た糸に熱を加えるとその糸が捲縮され、僅かに伸縮性のある糸となる。また、繊維の中空化により、見掛け比重が小さく且つ嵩高で軽量なフェルトを作ることもでき、異型断面化では、三角形断面にすると絹に似た風合を付与できる。潜在捲縮のポリエステル繊維をカーペット1に添加すると、該フェルトの伸縮性および弾性回復性を良化させることができる。
上方フェルト層2は、繊度3.3〜33dtの少なくとも1種の通常のポリエステル繊維50〜92重量%と、繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維8〜50重量%とを含むと好ましい。この際に、低融点ポリエステル繊維が8重量%未満であると水によって強度劣化が起こりやすくなり、45重量%を超えるとカーペットして表面が硬くなる。また、上方フェルト層2は、通常のポリエステル繊維70〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜30重量%を含むとより好ましく、最適では、通常のポリエステル繊維85〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜15重量%を含む。この際に、低融点ポリエステル繊維が10〜30重量%であると水による強度劣化がいっそう起こりにくくなり、低融点ポリエステル繊維が10〜15重量%であるとカーペットしての触感の点でもいっそう望ましい。
下方フェルト層3は、繊度3.3〜11dtの少なくとも1種の通常のポリエステル繊維8〜55重量%と、繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維45〜92重量%とを含むと好ましい。この際に、低融点ポリエステル繊維が45重量%未満であると基布代用機能が低下して使用時にシワなどが発生しやすく、92重量%を超えるとカーペットして硬くなりすぎてロール状に巻いて搬送しにくくなる。また、下方フェルト層3は、通常のポリエステル繊維10〜30重量%および低融点ポリエステル繊維70〜90重量%を含むとより好ましく、最適では、通常のポリエステル繊維10〜15重量%および低融点ポリエステル繊維85〜90重量%を含む。この際に、低融点ポリエステル繊維が70〜90重量%であると水が浸透してもシワなどがより発生しにくく、低融点ポリエステル繊維が85〜90重量%であるとシワなどがいっそう発生しなくなる。
上方フェルト層2で用いる通常のポリエステル繊維は繊度が3.3〜33dtであると、同じ目付量であってもフェルト生地にスケが生じにくい。その繊度が3.3dt未満であるとフェルト層2の繊維の耐久性や耐ピリング性が劣り、その繊度が33dtを超えるとフェルト生地の触感が低下する。一方、低融点ポリエステル繊維は繊度が4.4〜11dtであると、フェルト生地が硬くならず、耐ピリング性能の点でも好ましい。
下方フェルト層3で用いる通常のポリエステル繊維は繊度が3.3〜11dtであると、前記と同様にフェルト生地にスケが生じにくくなる。その繊度が3.3dt未満であると前記と同様の欠点が生じ、その繊度が11dtを超えると上方フェルト層2との絡合性が低下しやすい。一方、低融点ポリエステル繊維は繊度が4.4〜11dtであると、前記と同様にフェルト生地が硬くなりにくく、耐ピリング性能の点で好ましい。
両フェルト層2,3について、通常のポリエステル繊維および低融点ポリエステル繊維は、一般に、ブレンド後にカード機7,12(図3、図4)を通してカーディングを行って全体を均一に混綿し、ついでクロスラッパーで混綿ラップをクロス重ねし、ついで該混綿ラップをニードルパンチ機8,10または14などによってニードルパンチする。例えば、このニードルパンチングでは、通常のロッキングニードルを用いて20〜200本/cm2の針密度で行う。両フェルト層2,3は、最後に仕上ニードルパンチ機16(図4)で上下方向からニードルパンチすることによって絡合させる。
両フェルト層2,3では、白および黒色または適宜のカラーを有する通常のポリエステル繊維と低融点ポリエステル繊維とを混綿し、両繊維の含有量はフェルト層によって異なっている。好ましくは、上方フェルト層は厚み2.0〜4.0mmおよび目付250〜650g/m2、密度0.0625〜0.3250g/cm3であり、下方フェルト層は厚み0.5〜2.0mmおよび目付100〜250g/m2、密度0.05〜0.50g/cm3である。フェルト層2,3の全体が、目付が350g/m2未満であるとフェルト生地のスケを防止できないうえにカーペットとして薄くなりすぎ、900g/m2を超えると重くなりすぎて搬送作業および床面への敷設作業を阻害する。また、厚さが2.5mm未満であるとフェルト生地のスケ防止が不可能でカーペットして長期間使用できず、6.0mmを超えても品質が向上しないうえに、搬送作業および敷設作業を阻害する。
両フェルト層2,3を絡合したカーペット素材18(図4)は一旦巻き取られ、ついで樹脂加工設備20(図5)においてSBR、BR、CR、NBR、IIRなどのゴム系樹脂をごく薄くアンダーコートして薄膜の樹脂層5を形成する。一例として、カーペット素材18の裏面に樹脂をバスロールコーティングし、その後に、熱シリンダー22によるロールプレスによって樹脂を浅く含浸させるとともに予備乾燥する。樹脂の目付は、5〜30g/m2であり、目付5g/m2未満では両面テープとの接着性が低下し、一方、目付30g/m2を超えるとポリエステルとしてリサイクルが困難になりやすく、廃棄物が多量に発生することになる。
薄い樹脂層5を形成したカーペット1は、予備乾燥を経た後に熱処理機24へ送り込んで、フェルト層2,3の低融点ポリエステル繊維を溶融させ、同時に樹脂層5を乾燥する。このカーペット1は、主体となる繊維がポリエステルであるため、約180℃の高温加熱が可能であり、これによって熱セット性が向上する。屋外対応カーペット1の物性は、例えば、下記の実施例で製造したカーペットについて下記の表のようになり、総ての項目について許容範囲の中にある。
屋外対応カーペット1は、基布を介在させなくても、より形態変化が少ない下方フェルト層で上方フェルト層を支持することにより所定の寸法安定性を有する。屋外対応カーペット1は、屋外において雨水や散水を受けても形態変化が少なく、屋外に長時間曝露されてもシワおよびフレアーが発生しない。屋外対応カーペット1は、裏面の樹脂層が非常に薄いことにより、屋外において湿潤後に踏み付けられても樹脂層から気泡の放出が殆ど生じず、長期間敷設しても安定して使用できる。
屋外対応カーペット1は、薄い樹脂層を除いてほぼ全量がポリエステル繊維で構成され、裏面の樹脂量がごく少量であるので、ポリエステルとしてリサイクルが可能な商品である。屋外対応カーペット1を敷設使用すると、回収後にカーペット廃棄物の多量発生による公害を未然に防止できる。また、屋外対応カーペット1は、展示会用のカーペットとして比較的軽くて薄く、展示会の床面に敷設する作業が容易であり、会場から撤去する際にも軽量であるので撤去作業が容易である。
屋外対応カーペット1をリサイクルする場合には、展示会などに敷設されたカーペットについて、敷設期間を終えた後に敷地から剥がして工場に回収し、回収したカーペットを集め、公知の回転式またはギロチン式などの裁断機によって短冊状に裁断する。裁断した多量のカーペット片は、例えば、横置き型のスクリュー洗浄機に送り込み、該スクリュー洗浄機によって機械的に強力に揉み洗いし、さらに該スクリュー洗浄機に接続した垂直設置の高速遠心脱水機によって強力に脱水する。
洗浄したカーペット片は、廻切機によって、短冊状のカーペット片をリサイクル可能な上層部とリサイクル不可能な下層部とに分離する。廻切機は、ノコギリ刃のような針を植設した高速回転のシリンダ(ドラム)を備え、フィードローラに挟まれて徐々に送り込まれたカーペット片を引きちぎりながら製綿化する。廻切機は、通常、3台6リンクを連続設置する。複数の廻切機を通過させることにより、カーペット片の上層部における未開繊部分が減少し、不要な下層部を廻切機の下へ徐々に落下させて取り除く。
次に、製綿化した上層部は、ガーネット反毛機において、下層部の残存物である綿粒や樹脂片などを除去しながらさらに開繊する。この際に、この上層部に含水させ、静電気の発生を防止することで開繊工程をスムースに進める。ガーネット反毛機は、カード機と似た構造であるが、カード機は繊維方向を揃えるの対し、ガーネット反毛機は製綿化した上層部をさらに開繊する点で異なる。ガーネット反毛機は、回転ローラの針がカード機と異なり、ガーネット反毛機には回転ローラの上に3または4列の山があり、これらの山を越えるごとに繊維の開繊状態が良化する。
ガーネット反毛機を通過したポリエステル反毛は、一定に束ねながらクリンパーに送り込む。このクリンパーにおいて、繊維マットやフェルトの製造段階で繊維同士が絡合し易いようにクリンプ(縮れ)を付ける。さらに、ポリエステル反毛の繊維長を揃えるため、クリンパーを通った後に回転式カット機によって寸断していくと好ましい。
本発明のカーペットリサイクル方法を用いると、屋外対応カーペットから効率良くポリエステル反毛を製造でき、得たポリエステル反毛は従来よりも繊維の損傷が少なく、新規の繊維マットに対して従来よりも多量に混綿することが可能である。例えば、実用新案登録第3210080号に開示のマット素材について、マット全量の約30%まで混綿でき、しかも該マット素材における一定の品質を維持する。このリサイクル方法で得たポリエステル反毛は、新規の繊維マットに約30%まで混綿可能であることにより、該繊維マットの品質を低下させることなく、該繊維マットをより安価に製造できる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。下方フェルト層3として、繊度6.6dt×繊維長64mmの白色ポリエステル繊維(商品名:東レエステル201)を10重量%、繊度4.4dt×繊維長51mmの黒色低融点ポリエステル繊維(商品名:HUVIS)を90重量%用いる。図3に示すように、2種の繊維をブレンド後にカード機7を通してカーディングを行って全体を均一に混綿し、混綿ラップを展綿してからプレニードルパンチ機8で下方向からニードルパンチすることによって繊維を絡合させ、ついで混綿ラップを仕上ニードルパンチ機10で上下方向からニードルパンチすることによって下方フェルト層3を得る。得た下方フェルト層3は一旦巻き取られ、該フェルト層の目付は150g/m2である。
次に、上方フェルト層2として、繊度17dt×繊維長51mmの黒色ポリエステル繊維(商品名:大島エステル)を50重量%、繊度8.9dt×繊維長51mmの黒色ポリエステル繊維(商品名:高木エステル)を40重量%、繊度4.4dt×繊維長51mmの黒色低融点ポリエステル繊維(商品名:HUVIS)を10重量%用いる。図4に示すように、3種の繊維をブレンド後にカード機12を通してカーディングを行って全体を均一に混綿し、混綿ラップを展綿してからプレニードルパンチ機14で上下方向からニードルパンチすることによって上方フェルト層2を得る。得た上方フェルト層の目付は300〜330g/m2である。
図4において、得た上方フェルト層2をそのまま走行させ、ついで下方から下方フェルト層3を送り込んで重ね合わせ、仕上ニードルパンチ機16で上方向からニードルパンチすることによって両層を絡合する。得たカーペット素材18を一旦巻き取る。
カーペット素材18の裏面には、図5に示すように、樹脂加工設備20においてSBR樹脂などのゴム系樹脂をバスロールコーティングでアンダーコートし、ついで熱シリンダー22によるロールプレスによって樹脂を浅く含浸させるとともに予備乾燥する。樹脂層5の目付は15g/m2である。樹脂をアンダーコートしたカーペット素材18は、予備乾燥を経た後に熱処理機24へ送り込んで、フェルト層2,3の低融点ポリエステル繊維を溶融させ、同時に樹脂層5の乾燥を行う。
得た屋外対応カーペット1について、防炎性能を試験した結果を下記の表1に示す。表1から明らかなように、屋外対応カーペット1の防炎性能は、縦横両方向において良好であった。
次に、カーペットの耐水性および耐熱性について、実施例で得た屋外対応カーペット1を下記の既存カーペット1および既存カーペット2と比較する。
既存カーペットA:
通常の300g/m2のポリプロピレン繊維100%の間に75g/m2のポリプロピレン基布を介在させ、全体をニードルパンチングで一体化させた後に、フェルト生地裏面に目付250g/m2のSBR樹脂層を塗布・乾燥する。全体重量が625g/m2である。
既存カーペットB:
200g/m2の通常のポリプロピレン繊維(繊度7.8dt)100%の間に75g/m2のポリプロピレン基布を介在させ、全体をニードルパンチングで一体化させた後に、フェルト生地裏面に目付290g/m2のSBR樹脂層を塗布・乾燥する。全体重量が565g/m2である。
既存カーペットA:
通常の300g/m2のポリプロピレン繊維100%の間に75g/m2のポリプロピレン基布を介在させ、全体をニードルパンチングで一体化させた後に、フェルト生地裏面に目付250g/m2のSBR樹脂層を塗布・乾燥する。全体重量が625g/m2である。
既存カーペットB:
200g/m2の通常のポリプロピレン繊維(繊度7.8dt)100%の間に75g/m2のポリプロピレン基布を介在させ、全体をニードルパンチングで一体化させた後に、フェルト生地裏面に目付290g/m2のSBR樹脂層を塗布・乾燥する。全体重量が565g/m2である。
カーペットの耐水性に属する泡立ち試験として、40cm角に裁断した各カーペット片をアスファルト面の上に置き、水で十分に濡らした後に足で300回踏み、各カーペット片を目視判定する。
目視判定の結果、既存カーペットAおよびBでは、水が浸透した樹脂層が軟化し、足で50回程度踏まれ続けると樹脂層から気泡が大量に発生し、カーペットとして使用できなくなった。一方、実施例のカーペットは、300回踏み続けても樹脂層から気泡が全く発生せず、カーペットとして使用を続けることができる。
カーペットの耐水性に属する強度試験として、下記の表2の右端欄の試験方法に従って、各カーペットサンプルについて浸水前および浸水後の引張り強度を測定し、浸水後の強度低下を確認する。その結果を表2に示す。
試験の結果、実施例のカーペットは、既存カーペットAおよびBと比べて浸水後の強度低下が非常に少ないことが明らかになった。つまり、縦方向の引張り強度では、浸水前では実施例のカーペットは既存カーペットAよりも高いが、既存カーペットBとほぼ同じであるのに対し、浸水後では実施例のカーペットは既存カーペットAおよびBのいずれよりも遙かに高い。横方向の引張り強度では、浸水前では実施例のカーペットは既存カーペットAおよびBのいずれよりもかなり低いけれども、浸水後では既存カーペットAよりも高く、既存カーペットBとほぼ同じである。
カーペットの耐熱性試験として、下記の表3の右端欄の試験方法に従って、各カーペットサンプルについて常態時および60℃環境下での引張り強度を測定し、60℃環境下での強度低下を確認する。その結果を表3に示す。
試験の結果、実施例のカーペットは、既存カーペットAおよびBと比べて60℃環境下で強度低下が少なく、最も引張り強度が高いことが明らかになった。つまり、既存カーペットBは、常態時には縦方向の1%伸度時を除いて実施例のカーペットよりも引張り強度が高いが、実施例のカーペットは、60℃環境下では縦横方向の1%および3%伸度時のいずれにおいても引張り強度が高くなる。
1 屋外対応カーペット
2 上方フェルト層
3 下方フェルト層
5 樹脂層
2 上方フェルト層
3 下方フェルト層
5 樹脂層
Claims (6)
- 屋内はもとより屋外に敷設した際にも形態変化が少ないので長期間使用可能な屋外対応カーペットであって、繊度3.3〜33dtの通常のポリエステル繊維50〜92重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維8〜50重量%を含む上方フェルト層と、繊度3.3〜11dtの通常のポリエステル繊維8〜55重量%および繊度4.4〜11dtの低融点ポリエステル繊維45〜92重量%を含む下方フェルト層とからなり、低融点ポリエステル繊維の添加量は上方層よりも下方層の方が多く、両フェルト層を重ねてニードルパンチして一体化させ、得たフェルト層の裏面にゴム系樹脂をコーティングして目付5〜30g/m2の樹脂層を形成する屋外対応カーペット。
- 上方フェルト層が厚み2.0〜4.0mmおよび目付250〜650g/m2であり、下方フェルト層が厚み0.5〜2.0mmおよび目付100〜250g/m2である請求項1記載の屋外対応カーペット。
- 上方フェルト層が通常のポリエステル繊維70〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜30重量%を含み、下方フェルト層が通常のポリエステル繊維10〜30重量%および低融点ポリエステル繊維70〜90重量%を含む請求項1記載の屋外対応カーペット。
- 上方フェルト層がポリエステル繊維85〜90重量%および低融点ポリエステル繊維10〜15重量%を含み、下方フェルト層がポリエステル繊維10〜15重量%および低融点ポリエステル繊維85〜90重量%を含む請求項3記載の屋外対応カーペット。
- 請求項1記載の屋外対応カーペットを敷設期間を終えた後に回収し、該カーペットを短冊状に裁断した後に機械的に揉み洗いして脱水し、次にリサイクル可能な上層部を製綿化するとともにリサイクル不可能な下層部を取り除き、製綿化した上層部に含水させながら開繊することにより、得たポリエステル反毛は新規の繊維マットに約30%まで混綿可能である屋外対応カーペットのリサイクル方法。
- 廻切機によって、短冊状のカーペット片をリサイクル可能な上層部とリサイクル不可能な下層部とに分離し、複数の廻切機を通過させることで不要な下層部を落下させ、つぎにガーネット反毛機において下層部の残存物を除去しながら開繊する請求項5記載のリサイクル方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018042590A JP2019154596A (ja) | 2018-03-09 | 2018-03-09 | 屋外対応カーペット |
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Cited By (1)
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JP2023501199A (ja) * | 2019-11-08 | 2023-01-18 | コーロン インダストリーズ インク | スパンボンド不織布およびそれを用いたタイルカーペット |
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2018
- 2018-03-09 JP JP2018042590A patent/JP2019154596A/ja active Pending
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JP2023501199A (ja) * | 2019-11-08 | 2023-01-18 | コーロン インダストリーズ インク | スパンボンド不織布およびそれを用いたタイルカーペット |
JP7425866B2 (ja) | 2019-11-08 | 2024-01-31 | コーロン インダストリーズ インク | スパンボンド不織布およびそれを用いたタイルカーペット |
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