JP2006207059A - 人工イ草糸、その製造方法、及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 人工イ草の優れた特長を阻害することなく、人工イ草畳の表面において生じ易いフクレや凹凸の問題を解消する。即ち、耐摩耗性や耐久性に優れるとともに、日射を受けて高温状態となり易い条件下でも殆ど伸長しない人工イ草であって、畳とした場合におけるフクレや凹凸の問題を解消できる人工イ草糸を提供する。
【解決手段】 紡績糸及び/又はフィラメント糸を内部芯材(1)とし、該内部芯材の外周に熱可塑性樹脂又は熱可塑性発泡樹脂からなる塗膜層(2)が形成されてなる線状体であって、内部芯材と塗膜層との間にホットメルト型接着剤(3)が介在し、内部芯材と塗膜層とが接着固定されてなる人工イ草糸である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天然イ草に酷似した外観や風合い等の性質を有する人工イ草糸であって、高温下や日光照射下でも畳のフクレ現象が生じない人工イ草畳を製造するために好適な人工イ草糸に関するものである。
天然イ草を畳表に用いてなる畳は、四季のある日本の風土に合った好適なものであり、長年にわたって使用されてきている。その反面、天然イ草は、セルロースを主成分とする天然繊維であるため、摩耗性などの耐久性が劣り、また、吸水や吸湿によるカビの発生、腐敗等が生じ易いという欠点を有するものである。
更に、天然イ草は、長さに限界があるので、例えば、ホテル、旅館、料亭等の廊下に敷く畳では、異寸法の製畳品を敷き込むことになり、必然的に畳どうしの間に隙間等が出来易いという、材料自身から生ずる限界点を有するものである。
このような状況下にあって、近年、天然イ草の代替品が数多く商品化されてきている。例えば、ポリプロピレン樹脂製の独立発泡型線状体からなる人工イ草は、既に20〜30年前から商品化されている。また、熱可塑性樹脂よりなるテープ状体を加熱部材中を通過させ、該テープ状体の表面を溶融被膜化して、人工イ草を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。更に、熱可塑性樹脂からなるフィルムが無秩序に折畳まれた内部芯材を樹脂塗膜で被覆した人工イ草が提案されている(特許文献2参照)。
これらの人工イ草からなる畳表を用いた畳は、一見すると天然イ草畳と殆ど遜色無く、吸湿性が無く、色調変化が無く、耐摩耗性に優れケバ立ちが少ない等の特長を有している。
しかし、この人工イ草は、その主原料が熱可塑性樹脂であるため、日射をうけて高温になり易い環境下の畳(例えば、部屋の南側窓際に敷き込まれた畳)では、畳表面が凸状にふくれ、凹凸状態になり易いという問題がある。このようなフクレ現象は、人工イ草の種類により程度差はあるものの人工イ草畳全般においてみられ、畳業界においては実用上の大きな問題と言われている。
特開平1−92443号公報 特許第3149551号公報
そこで、本発明は、人工イ草の優れた特長を阻害することなく、人工イ草畳の表面において生じ易いフクレ(凸状にふくれること)や凹凸の問題を解消することを主たる目的とする。即ち、耐摩耗性や耐久性に優れるとともに、日射を受けて高温状態となり易い条件下でも殆ど伸長しない人工イ草であって、畳とした場合におけるフクレや凹凸の問題を解消できる人工イ草糸を提供することを主たる目的とする。
また、このような人工イ草糸を工業的に安定的に製造することができる人工イ草糸の製造方法を提供することを別の目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の人工イ草糸は、紡績糸及び/又はフィラメント糸を内部芯材とし、該内部芯材の外周に熱可塑性樹脂又は熱可塑性発泡樹脂からなる塗膜層が形成されてなる線状体であって、内部芯材と塗膜層との間にホットメルト型接着剤が介在し、内部芯材と塗膜層とが接着固定されたことを特徴とするものである。
また、紡績糸及び/又はフィラメント糸にホットメルト型接着剤を塗布した後、その周囲を溶融熱可塑性樹脂で被覆し、冷却することにより、上記人工イ草糸を製造することを特徴とする人工イ草糸の製造方法である。
従来の人工イ草を用いた人工イ草畳において、日射や高温の条件下で生じる畳表面でのフクレ現象は、人工イ草が伸長することに起因するものである。つまり、人工イ草が伸長しても、人工イ草はその両端が畳の縁で固定されているため、人工イ草の伸長分が非固定部分で湾曲し、畳表面が外側に膨れたり、表面が凹凸になるというフクレ現象が生じるのである。
また、人工イ草では、高温下で膨張し易い樹脂素材を用いている。紡績糸及び/又はフィラメント糸を内部芯材とし、該内部芯材の外周に熱可塑性樹脂又は熱可塑性発泡樹脂からなる塗膜層が形成されてなる線状体の構造をとる人工イ草の場合、内部芯材に比べ、塗膜層が高温下で膨張して伸長し易い。
そこで、本発明の人工イ草糸では、日射を受けて高温化した場合に生じる伸長を防止するために、内部芯材と塗膜層との間にホットメルト型接着剤を介在させ、両層を接着固定化させている。このように両層が接着固定されているので、高温下で伸長し易い塗膜層の伸長は、伸長し難い内部芯材によって抑制され、人工イ草糸全体の伸長を大幅に抑制することができる。また、両層間にホットメルト型接着剤を介在させているので、両層間の界面部分への空気混入を防止することができ、この結果、両層間に存在する空気の膨張によって促進される人工イ草糸の伸長現象を、防止することができる。
本発明によると、人工イ草の優れた特長(優れた耐摩耗性や耐久性等)を有するとともに、人工イ草畳を製造して使用した場合にフクレ現象が生じない人工イ草糸を得ることができるので、人工イ草畳の実用上の大きな問題を解消することができる。即ち、本発明の人工イ草糸を用いて人工イ草畳を製造すると、耐摩耗性や耐久性に優れ、日射を受けて高温状態となっても、表面にフクレや凹凸が生じない優れた畳とすることができる。
また、本発明法によると、このような人工イ草糸を工業的に安定的に製造することができる。
本発明の人工イ草糸は、内部芯材と、その周囲の塗膜層と、その両層間に介在するホットメルト型接着剤とから構成され、このホットメルト型接着剤により、内部芯材と塗膜層とが接着固定されている。例えば図1(人工イ草糸の一例の横断面図)に示すように、内部芯材(1)と、塗膜層(2)と、その両層の界面部分に存在する接着剤(3)とから構成される人工イ草糸(4)である。
この人工イ草糸において、内部芯材は、紡績糸及び/又はフィラメント糸で構成され、また、塗膜層は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性発泡樹脂でもって構成される。
内部芯材(1)を構成する紡績糸及び/又はフィラメント糸は、綿糸、羊毛糸、蚕糸、ポリオレフィン糸、ポリアミド糸、ポリエステル糸、アクリル糸等の、天然繊維や合成繊維からなる糸条であり、これら繊維の単一糸条でも、任意の割合で混紡又は混繊された糸条でもよい。この内部芯材(1)のために供する糸条は、重さ(目付量)が0.05〜1g/mが好ましく、さらには0.1〜0.3g/mが望ましい。また、その糸直径は、製造しようとする人工イ草糸の直径よりも10〜25%程度細いことが好ましく、例えば、0.7〜2mmが好ましく、特に1.0〜1.5mmが好ましい。この糸径が細すぎる場合には、人工イ草糸の製造工程において芯材糸切れが生じ易くなり、また、太過ぎると延伸工程での自由度が阻害されるので好ましくない。また、上記した範囲が、製織性、製畳性、畳の品質、例えば素足で歩く時の感触面、の点から好適である。
また、内部芯材の周りを被覆する塗膜層(2)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。この塗膜層(2)は、これら樹脂を発泡させた熱可塑性樹脂組成物から構成されてもよい。
特に、柔軟性や耐久性の観点からはエラストマー系樹脂が望ましいが、汎用的には、ポリオレフィン系共重合体樹脂や、それからなる発泡樹脂が好適である。
塗膜層(2)の膜厚みは、内部芯材(1)を構成する繊維糸の形状、例えば、紡績糸、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸の状態により変動し、均一な塗膜厚みにはなり難いが、人工イ草糸の直径(平均値)が0.3〜3.0mm程度となるように、可能な限り均一化して塗膜層を形成することが好ましい。塗膜層が形成された人工イ草糸(4)の断面構造は円形や楕円に近い略円形形状であればよく、例えば、外形が不規則な凹凸を有し、フリーハンドで描いた円のような不定形のものであってもよい。
人工イ草糸(4)は、その線径(直径)が0.3〜3.0mmであることが好ましく、さらに0.8〜1.8mmが好ましい。また、その重さ(平均目付量)は0.2〜3g/mであることが好ましく、より望ましくは0.4〜1.0g/mの範囲である。この範囲が製織面から好適である。
また、人工イ草糸(4)において、塗膜層(2)と内部芯材(1)との重量比は55/45〜80/20であることが好ましい。
本発明において、内部芯材(1)と塗膜層(2)との間に介在させる接着剤(3)は、ベース樹脂として、汎用のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン系共重合樹脂、α−オレフィン系樹脂、変性α−オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が使用され、比較的低融点をもつホットメルト型の接着剤である。この融点は、DSC(示差走査熱量分析装置)で測定される最大吸熱ピーク温度で、50〜200℃の範囲が好ましく、さらに70〜120℃の範囲が好ましい。この範囲内の融点であれば、畳が太陽光線の熱によって温度上昇しても、畳の表面におけるフクレ現象を十分に防止することができる。
このホットメルト型接着剤を内部芯材(1)と塗膜層(2)との間に介在させるためには、内部芯材(1)を構成する繊維糸(紡績糸及び/又はフィラメント糸)の表面にホットメルト型接着剤を塗布した後に、この繊維糸を人工イ草糸の製造用口金に供給すればよい。なお、繊維糸の表面に塗布した接着剤は、内部芯材(1)と塗膜層(2)との間の接着性を阻害しないならば、塗布接着剤の一部が繊維糸の内部に浸透してもよい。
この際の接着剤の塗布量は、内部芯材(1)と塗膜層(2)とを接着固定することができる量であれば特に限定されないが、得られる人工イ草糸の柔軟性等を阻害しないためには、なるべく少ない量であることが望ましい。例えば、内部芯材(1)の繊維糸の重量に対する接着剤塗布量が20〜70重量%程度、特には20〜40重量%程度であることが好ましい。また、内部芯材(1)の繊維糸が1000〜5000dtexである場合には、ホットメルト接着剤の塗布量を0.01〜0.5g/mとすることが好ましい。
また、本発明の人工イ草糸では、内部芯材(1)と塗膜層(2)とを接着剤でもって接着固定させているので、内部芯材の材質と塗膜層の熱可塑性樹脂との親和性が不十分であった場合でも、内部芯材の周囲に塗膜層を容易に形成することができる。従って、本発明によると、内部芯材と塗膜層との界面での親和性を考慮せずに材質選定することができ、材質の選定の自由度が高まり、実用化可能な材質組合せを多様化することができる。
内部芯材(1)のための繊維糸(紡績糸及び/又はフィラメント糸)にホットメルト型接着剤を塗布した後、その周りを溶融熱可塑性樹脂で被覆し、冷却することにより人工イ草糸を製造するには、特許第3149551号公報に記載した樹脂被覆方法を利用すればよい。
例えば、図2に示すような人工イ草糸の製造工程で、繊維糸にホットメルト型接着剤を塗布した後に供給して樹脂被覆を行い人工イ草糸を製造することができる。
内部芯材層を構成する繊維糸(紡績糸又はフィラメント糸)は、パッケージ(11)から供給され、その周囲に、接着剤ミスト噴射装置(12)によって、ホットメルト接着剤をミスト状にして吹き付け、所定の塗布量で接着剤が塗布された繊維糸の状態で、口金(14)(例えば、プロファイルやパイプ口金)へと供給される。この際のホットメルト型接着剤の塗布は、ホットメルトガン(23)で溶融させた接着剤液を、口金(14)内の内部芯材の糸の上に、一定の空気圧でもって滴下する方法によって行ってもよい(図3)。また、ホットメルト型接着剤として機能する低融点合成繊維を、芯材層の繊維糸の外周に介在させた状態で(例えば、巻き付けたり、引き揃えたりした状態で)口金(14)へと供給してもよい(図示なし)。
また、一軸又は二軸の押出機のような樹脂溶融押出機(13)から、溶融された熱可塑性樹脂が、口金(14)へと供給される。この口金(14)において、内部芯材の繊維糸の周りは溶融樹脂により被覆される。続いて、口金を出た後に、水冷又は空冷により冷却され(図2では水冷による冷却槽(15))、さらに必要に応じて延伸される(延伸槽(16))。続いて、乾燥炉(17)を通過した後に引き取られ、人工イ草糸(4)が製造され、続いて巻き取られるか、又は、所定長さに切断される。
この製造工程のように、樹脂溶融押出機とプロファイル口金もしくはパイプ口金とを組み合わせた装置によって樹脂被覆を行う場合、塗膜厚みや人工イ草糸径をより均一化できる利点があり、さらに、口金の構造を変えることにより、任意の表面構造とすることができる。例えば、口金の樹脂流れの表面に縦筋の凹凸を付与した口金を用いると、塗膜表面に縦筋状の模様が付与された人工イ草糸を製造することができる。
塗膜層(2)が発泡熱可塑性樹脂で構成される場合には、その見かけの発泡倍率が1.02〜2倍であることが好ましい。この場合には、熱可塑性樹脂に発泡剤を含有させた樹脂組成物を使用すればよい。この発泡剤としては熱分解型発泡剤、例えば、アゾジカルボンアミド、重曹、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、パラトルエンスルフォニルヒドラジド等を使用することができる。その添加量は、その発泡剤の分解ガス量にもよるが、一般的には、樹脂に対して0.2〜1重量%程度の範囲で使用すればよい。
また、塗膜層(2)を形成する熱可塑性樹脂に、無機質の充填剤を配合して、イ草的な風合を高めてもよい。かかる無機質充填剤としては、例えば、炭酸カルシュウム、酸化チタン、水酸化マグネシュウム、ステアリン酸マグネシュウム等の金属石鹸が使用できるが、なかでも、イ草的風合のためには炭酸カルシュウムが特に好ましい。その配合量は、樹脂に対して2〜40重量%が好ましく、7〜30重量%がより好ましい。2重量%より少ないとテカリやヌメリ感が観察されイ草的風合とすることが難しい。40重量%より多いと、押出工程での被覆斑が生じ易く、均一な線径の人工イ草糸とすることが難しい。
この人工イ草糸の品質をさらに向上させるためには、紫外線吸収剤、防虫剤、撥水剤、感熱変色性染料、防カビ剤、顔料、酸化劣化防止剤などの各種機能性薬剤を、塗膜樹脂に任意に添加してもよい。例えば、耐紫外線性を向上させるためには、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、べンゾエート系等の薬剤が使用できる。酸化劣化防止のためには、例えば、フェノール系、硫黄系、燐系の酸化防止剤が使用できる。これら薬剤の配合量は、塗膜樹脂に対して0.2〜5重量%の範囲が好ましい。
本発明の人工イ草糸は、通常のイ草畳表織物の場合と同様に緯糸として用いられ、例えば、平田機械製、浅越機械製、中村機械製等のイ草織機でもって畳表織物に製織される。また、本発明の人工イ草糸はイ草織機以外の織機で製織することもできる。例えば、レピアー、ウイルトン、等の製織機で、平織り、綾織り、斜織りされ、更に、色違いの人工イ草糸を組み合わせ、任意の模様を織り込むことにより、イ草織込み織物とすることもできる。
本発明の人工イ草糸を用いて製織された畳表織物は、畳の大きさに応じた寸法に裁断された後、その下側に骨材(例えば、藁床、合成樹脂シート、合成樹脂発泡体)や芯材等を重ね合わせて固定することにより、人工イ草畳が製造される。
また、畳表織物やイ草織込み織物を敷物(カーペット)に用いる場合には、その下側に、裏打ち材(バッキング材)として、合成樹脂発泡体、合成樹脂フイルム、不織布、ゴム系樹脂を貼り合わせることにより敷物を製造すればよい。
ここで用いられる合成樹脂発泡体としては、独立気泡型ポリオレフィン樹脂発泡体が好ましく、より好ましくは、エチレンに酢酸ビニルやアクリル酸エチル等を共重合させた共重合樹脂からなる発泡体が用いられる。不織布としては、例えば、ポリエステル系やポリプロピレン系の長繊維や短繊維からなる不織布が使用できるが、より好ましくは長繊維からなる不織布である。また、ゴム系樹脂としては、例えば、スチレン/ブタジェンゴム、イソプレンゴム等が使用できる。なお、敷物の用途等によっては、これら以外の素材を裏打ち材(バッキング材)として用いてもよい。
以下、本発明の具体例を示す実施例により説明する。
[実施例1]
目付量0.18g/m(1800dtex)であるポリエステル紡績糸(稲留紡績(株)製)を、内部芯材として用い、この紡績糸の周りに、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト型接着剤(ノーテープ工業(株)製、品番G−6335、DSC吸熱ピーク温度101℃、160℃での粘度1500Pa・s)をミスト状にして吹き付け、紡績糸に対する塗布量が29重量%となる量で塗布した後、パイプ口金に通すように供給した。このパイプ口金内にて、溶融押出機から供給されたポリオレフィン系樹脂組成物(溶融樹脂)を押出し塗膜し、次いで、常温の水槽を通過させて冷却し、乾燥した後に引き取り、長さ106cmに定尺で裁断し、塗膜層の厚みが300μm、平均線径が1.3mm、平均目付量が0.8g/mの人工イ草を製造した。
ここで塗膜用に供給したポリオレフィン系樹脂組成物は、次の組成からなる樹脂組成物であり、塗膜層(2)は見かけ発泡倍率1.65倍で発泡したポリオレフィン樹脂から構成されていた。また、塗膜層(2)と内部芯材(1)との重量比は76/24であった。
得られた人工イ草は、内部芯材(1)と塗膜層(2)とが接着固定されていて、内部芯材(1)の糸端を引っ張っても引き抜くことができなかった。
[比較例1]
内部芯材の紡績糸に接着剤を塗布せずに供給した以外は実施例1と同様にして人工イ草を製造した。得られた人工イ草では、内部芯材の糸端を引っ張ると塗膜層から分離されて抜き取ることができた。
実施例1又は比較例1で得られた人工イ草による畳表のフクレ性を、次の方法で評価した。
[人工イ草の太陽光照射による伸長性]
長さ25cmに裁断した人工イ草の5本を、温度上昇による伸長の小さい厚紙の上に、直線状態で平行に並べ、その両端部と中央部をステープラーで針止めし、試料とした。この試料を、南面45度で太陽光の照射を受ける環境下(気温35℃)に2.5時間放置し、放置直後の時点における人工イ草の状態を観察し、針止めされていない部分における湾曲によって伸長性を判断した。
[人工イ草畳の熱風乾燥炉でのフクレ性]
長さ106cmの人工イ草を緯糸に用いて、通常の方法によって畳表織物(緯糸の打ち込み本数44本/インチ、引き目織り)を製造し、これを畳表にし、発泡ポリスチレンボード、芯材と組み合わせて、850mm角の置き敷き畳を製造した。この置き敷き畳を70℃に温度調整した熱風乾燥炉中で2時間加熱し、加熱直後における畳表面のフクレ性を観察した。
人工イ草に太陽光を2.5時間照射した直後における状態は、図4に示すとおりであった。図4の(a)が実施例1による人工イ草であり、(b)が比較例1による人工イ草である。実施例1による人工イ草(a)は、太陽光照射後でも湾曲は殆ど生じずに直線性を維持しており、伸長は殆ど生じていなかった。これに対し、比較例1による人工イ草(b)では、両端部及び中央部で針止めされていた箇所を支点にして5本とも湾曲が生じており、太陽光照射による加熱によってかなりの伸長が生じていた。
人工イ草畳を熱風乾燥炉で70℃、2時間加熱した場合、実施例1による人工イ草の畳では畳表面の全面においてフクレ現象は生じなかった。しかし、比較例1による人工イ草の畳では、織り目に直角の方向の端部にフクレが2筋、生じていた。
それら結果を表2に示す。
[実施例2]
目付量0.25g/mのポリプロピレン製モノフィラメント糸を内部芯材として用い、このモノフィラメント糸の周囲に、ポリオレフィン系ホットメルト型接着剤(ノーテープ工業(株)製、品番G−6353A、DSC吸熱ピーク温度99℃)をミスト状にして吹き付け、モノフィラメント糸に対する塗布量が40重量%となる量(0.07g/m)で塗布した後、プロファイル口金に通すように供給する。このプロファイル口金にて、溶融押出機から供給されたポリオレフィン系樹脂組成物(溶融樹脂)を押出し塗膜し、次いで冷却し、乾燥した後に引き取り、塗膜層の厚み210μm、原糸の平均線径が1.1mm、平均目付量0.65g/mの人工イ草糸を製造し、ボビン上に巻き取った。
ここで塗膜用に供給したポリオレフィン系樹脂組成物は、次の組成からなる樹脂組成物であり、塗膜層(2)は、見かけ発泡倍率2.0倍で発泡したポリオレフィン樹脂から構成されていた。また、塗膜層(2)と内部芯材(1)との重量比は55/45であった。
この人工イ草糸を経糸とし、ポリプロピレン捲縮糸を緯糸として、レピア織機で織り巾2mのジャガード織り品を製織した。この製織品の下側に、芯材、木質ボード、ポリエチレン発泡体を固定して850mm角の置き敷き畳を製作した。
[比較例2]
内部芯材のモノフィラメント糸に接着剤を塗布せずに供給した以外は実施例2と同様にして、人工イ草糸を製造し、置き敷き畳を製作した。
実施例2又は比較例2で得られた人工イ草糸の置き敷き畳について、畳表面におけるフクレ性を、次の方法で評価した。
[人工イ草畳の熱風乾燥炉でのフクレ性]
置き敷き畳を60℃に温度調整した熱風乾燥炉中で2時間加熱し、加熱直後における畳表面のフクレ性を観察した。
[人工イ草畳の太陽光照射によるフクレ性]
置き敷き畳を南面45度で太陽光の照射を受ける環境下(気温32℃)に2時間放置し、放置直後の時点における畳表面のフクレ性を観察した。
その結果、実施例2による人工イ草糸の置き敷き畳の場合は、熱風乾燥炉での強制加熱試験でも、自然環境下での太陽光線照射試験の場合でも、畳表面の全面においてフクレ現象は生じなかった。
一方、比較例2による人工イ草糸の置き敷き畳の場合は、畳表面がジャガード織り品であって経糸と緯糸とに張り応力があることから、比較例1のような特定位置のフクレ現象ではなく、畳表面の全体にわたる凹凸が生じていた。
それら結果を表4に示す。
[実施例3]
アクリル紡績糸(毛番6、目付量0.17g/m)を、内部芯材として用い、この紡績糸の周りに、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト型接着剤(実施例1で用いたと同じもの)を、紡績糸に対する塗布量が29重量%となる量で塗布した後、プロファイル口金に通すように供給した。この際、ホットメルト型接着剤はメルトガンで溶融させ、口金内の内部芯材の糸の上に、一定空気圧で滴下する方法によって塗布した。この口金内において、溶融押出機から供給されたポリオレフィン系樹脂組成物(溶融樹脂)を押出し塗膜し、次いで冷却し、乾燥した後に引き取り、長さ106cmに定尺で裁断し、塗膜層の厚み250μm、平均直径が1.3mm、平均目付量0.7871g/mの人工イ草糸を製造した。
ここで塗膜用に供給したポリオレフィン系樹脂組成物は、次の組成からなる樹脂組成物であり、塗膜層(2)は、見かけ発泡倍率1.4倍で発泡したポリオレフィン樹脂から構成されていた。また、塗膜層(2)と内部芯材(1)との重量比は77/23であった。
この人工イ草糸を緯糸に用いて、平田式製織機を用い通常の方法によって畳表織物(緯糸の打ち込み本数40本/インチ、引き目織り)を製造し、これを畳表にし、木質ボードと組み合わせて、850mm角の置き敷き畳を製造した。
[比較例3]
内部芯材の紡績糸に接着剤を塗布せずに供給した以外は実施例3と同様にして、人工イ草糸を製造し、置き敷き畳を製作した。
実施例3又は比較例3で得られた人工イ草糸について、引っ張り試験機で引っ張り試験を行って、強度−伸び曲線を求め、破断点における強度、伸度を求めた。実施例3による人工イ草糸の場合は、内部芯材と被膜層とが接着固定されていたので、両層ともに同じ破断点で破断した。これに対し、比較例3による人工イ草糸の場合は、各層間が接着されてないのでそれぞれ独立に伸長し、第1段目の破断点では内部芯材が破断し、その後の第2段目の破断点で被膜樹脂層が破断した。それぞれの破断時の強度、伸度は、表6に示すとおりであった。
また、実施例3又は比較例3で得られた人工イ草の置き敷き畳について、畳表面におけるフクレ性を、次の方法で評価した。
[人工イ草畳の熱風乾燥炉でのフクレ性]
置き敷き畳を60℃に温度調整した熱風乾燥炉中で4時間加熱し、加熱直後における畳表面のフクレ性を観察した。
この結果、実施例3による人工イ草糸の畳の場合は、熱風乾燥炉での強制加熱試験しても、畳表面の全面においてフクレ現象は生じなかった。一方、比較例3による人工イ草糸の畳の場合は、畳の端部から約100mmの位置ににフクレが2筋、生じており、そのフクレの山の高さは約7mmであった。
本発明の人工イ草糸は、畳の表面材を構成するイ草素材として有用である。また、天然イ草や人工イ草が使用される他の用途にも使用することができ、例えば、イ草筵の敷物、座布団の表地等に用いることもできる。
本発明の人工イ草糸の一実施態様を示す横断面図である。 本発明の人工イ草糸の製造工程の一実施態様を示す工程概略図である。 ホットメルト型接着剤を繊維糸に塗布する部分の他の実施態様を示す工程部分概略図である。 本発明の人工イ草糸の太陽光照射試験による伸長状態を示す図である。
符号の説明
1.内部芯材
2.塗膜層
3.接着剤
4.人工イ草糸
11.内部芯材の糸条のパッケージ
12.接着剤ミスト噴射装置
13.樹脂溶融押出機
14.口金
15.冷却槽
16.延伸槽
17.乾燥炉
23.ホットメルトガン
24.空気圧調節弁

Claims (8)

  1. 紡績糸及び/又はフィラメント糸を内部芯材とし、該内部芯材の外周に熱可塑性樹脂又は熱可塑性発泡樹脂からなる塗膜層が形成されてなる線状体であって、内部芯材と塗膜層との間にホットメルト型接着剤が介在し、内部芯材と塗膜層とが接着固定されたことを特徴とする人工イ草糸。
  2. ホットメルト型接着剤が、DSCによる最大吸熱ピーク温度が50〜200℃の範囲内にあるホットメルト型接着剤であることを特徴とする請求項1記載の人工イ草糸。
  3. 内部芯材の重さが0.05〜1g/mであり、人工イ草糸の重さが0.2〜3g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工イ草糸。
  4. 人工イ草糸の線径が0.3〜3.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工イ草糸。
  5. 紡績糸及び/又はフィラメント糸にホットメルト型接着剤を塗布した後、その周囲を溶融熱可塑性樹脂で被覆し、冷却することにより請求項1記載の人工イ草糸を製造することを特徴とする人工イ草糸の製造方法。
  6. ホットメルト接着剤の塗布量が、紡績糸及び/又はフィラメント糸の重量の20〜70重量%であることを特徴とする請求項5記載の人工イ草糸の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の人工イ草糸を用いて製織された人工イ草織物。
  8. 請求項7記載の人工イ草織物を畳表に用いてなる畳。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101039739B1 (ko) 2010-11-11 2011-06-09 박종헌 발포수지가 함침된 재봉사 및 그를 이용한 재봉사 제조방법
JP2014095187A (ja) * 2012-11-07 2014-05-22 Ttn Corporation:Kk 畳表及びその製造方法
JP2016061096A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 大建工業株式会社 化粧材

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