JP3645609B2 - パイル状敷物およびその製造方法 - Google Patents

パイル状敷物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パイル状敷物およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、軽量性に優れ、ソフトな風合を有し、形態安定性、弾力性、耐久性などの特性に優れるパイル状敷物を、簡単な工程で円滑に製造する方法、およびそれにより得られるパイル状敷物に関するものであり、特にパイル状敷物を構成する各種素材が熱溶融性の材料から形成されている本発明のパイル状敷物は、加熱溶融や再成形などによって再生利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来のタフトカーペットは、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維などを用いて製造された織物や不織布からなる一次基布にパイル糸をタフティングした後、一次基布の裏面にゴムラテックスなどのゴム系接着剤を施し、更に二次基布としてジュート織物または塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ゴムなどのシートを重ね合わせて、前記したゴム系接着剤によってパイル糸の一次基布への固定および一次基布と二次基布との接着一体化を行って製造されている。そしてかかる従来のタフトカーペットでは、一次基布と二次基布との間の剥離強度を増加させてその形態安定性を高めたり、パイル糸の抜けを防止するために、ゴム系接着剤層の厚さを厚くしたり、二次基布を厚くしたり重くすることが一般に行われている。
【0003】
そのため、かかる従来のタフトカーペットは、厚く、且つ重量が大きいので、運搬時や敷設時などの作業時の取り扱い性に劣っており、しかもソフトさに欠けるという欠点を有している。そして、そのような従来のタフトカーペットの厚みや重量を低減させるために二次基布を省略することが試みられているが、その場合には、カーペットの形態安定性が失われて、皺になったり、伸び易くなり、しかも耐久性に劣ったものとなる。
また、かかる従来のタフトカーペットは、合成樹脂、ゴム、天然繊維などの異種の素材を組み合わせて製造されているため、使用済みになった際に、その再生利用が困難であり、その大半が、そのまま、または切断して、或いは焼却して廃棄処分されており、各自治体などでは粗大ごみとしてその取り扱いに苦慮しているのが現状である。
【0004】
また、タイルカーペットとして用いられているタフトカーペットは、一次基布にパイル糸をタフティングした後に、一次基布の裏面に塩化ビニル樹脂、石油系ピッチ、ゴムなどの層をカレンダー加工などによって厚く成形して裏打層として施し、その裏打層によってパイル糸の固定を行うと共に裏打層をそのまま二次基布として機能させて、形態安定性をカーペットに付与している。しかしながら、そのような従来のタイルカーペットでは、一次基布の裏面に塩化ビニル樹脂、石油系ピッチ、ゴムなどの厚い成形層(裏打層)が形成されているために、形態安定性はある程度有しているものの、その反面、重量が重く、運搬や敷設などの作業を行う際にその取り扱いに多大の労力を要し、取り扱い性に劣っており、しかも弾力性に欠ける。そして、そのような従来のタイルカーペットにおいても、裏打ち材料としてゴムなどを用いた場合には、互いに性質が大きく異なる異種の素材からカーペットが形成されているために、使用後に再生利用が極めて困難である。
【0005】
【発明の内容】
上記の点から、本発明者らは、軽くて取り扱い性に優れ、しかも形態安定性、耐久性、弾力性などにも優れ、その上再生利用が可能なタフトカーペットを得ることを目的として検討を続けてきた。そして、再生利用が可能なパイル状敷物を得るためには、ゴムラテックス系の接着剤を使用せずに、加熱すると溶融したり可塑化して再生利用できる熱可塑性の重合体からなる接着剤を用いるのが望ましく、しかもパイル糸を一次基布に強固に接着固定するためには接着剤は液状であるのが望ましいということに想い到って、かかる観点に立って、熱可塑性ポリエステル樹脂などの熱可塑性重合体の水溶液または水性分散液を用いて、一次基布へのパイル糸の固定および一次基布と二次基布との接着を行うことを試みた。
【0006】
しかしながら、液状の熱可塑性重合体接着剤を用いた場合には一次基布へのパイル糸の接着固定はある程度強固に行われてパイル糸の耐引き抜き性は良好であるものの、弾力性を有している二次基布が一次基布に強固に接着されず、通常のテンター式のドライヤーを用いて接着操作を行っても上方からの圧力がかからないために一次基布と二次基布との密着および接着が不充分であった。そこで、テンター式のドライヤーを出た直後にマングルロールなどによって圧着したり、また別工程で熱プレスによって上方より圧力を加えて一次基布と二次基布を接着させるべく試みたところ、それでも一次基布と二次基布との間の接着強度は充分ではなく、マングルロールや熱プレスなどによって高い圧力をかけたことによってパイルの斜向や倒れが生じてしまい、弾力性が失われ、しかも外観的にも不良なパイル状敷物となった。
【0007】
そこで、本発明者らは、液状の熱可塑性重合体接着剤を用いる上記の接着力不足などを解消するために、二次基布として熱融着性ポリエステル系繊維などの熱融着性バインダー繊維を混紡した糸から得られた布帛を用いて、該バインダー繊維が熱融着する温度で5kg/cm2以上の高い圧力をかけて一次基布と二次基布との接着を行ってパイル状敷物を製造することを試みた。しかしながら、この場合にも、パイルの斜向や倒れが生じて、弾力性が失われ、且つ外観的にも不良なパイル状敷物となった。この原因は、二次基布が嵩高で弾力性に富んでいて界面の間隙が大きく、接着に要する熱融着性バインダー繊維の有効面積が少ないために、高い圧力を加えることによりはじめて接着有効面積が増すためであるものと推測される。
【0008】
そして、本発明者らは、上記の改良技術として、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面にポリエステル樹脂の水性溶液または水性分散液からなる接着剤を塗り、また二次基布としてその接着面に熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を含有している不織布を準備し、一次基布の裏面に塗った前記ポリエステル樹脂の接着剤層と、二次基布との間に、熱をかけると溶融する熱融着性ポリエステルバインダー不織布を別途介在させて、それらを積層一体化してタイルカーペットを製造することを試みた。しかし、この方法による場合は、熱融着性ポリエステルバインダー不織布を別途余分に使用する必要があり、しかも一次基布の裏面に塗布した接着剤を乾燥した後に該熱融着性ポリエステルバインダー不織布を一次基布と二次基布との間に別途挿入する操作が必要であるため、多数の材料を要し且つ工程的にも複雑であって、手間や経費がかかるという問題があり、改良の余地があること、しかも一次基布と二次基布との間の接着強度がそれほど高くならないことが判明した。
【0009】
そこで本発明者らは、軽くてソフトな風合を有し、形態安定性、弾力性、耐久性などの特性に優れ、加熱溶融や再成形などによる再生利用が可能で、しかも簡単な工程で製造することのできるタフトカーペットなどのパイル状敷物を開発することを目的として、更に色々検討を重ねた。その結果、一次基布にタフティングしたパイル糸の固定および一次基布と二次基布と接着を行うための接着剤として、上記した液状の接着剤をそのまま用いずに、液状の接着剤をベース接着剤とし、その中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させたものを用いると、熱融着性ポリエステルバインダー不織布を別途一次基布の裏面側と二次基布との間に挿入して介在させなくても、パイル糸の一次基布への接着固定、および一次基布と二次基布との間の接着が、高い圧力をかけなくても極めて強固に且つ簡単に達成できて、パイル糸の斜向や倒れなどの発生を防止しながら、軽量性に優れていて、ソフトな風合を有し、パイル糸の耐抜け性が大きく、一次基布と二次基布との剥離強度が大きくて、形態安定性、弾力性、外観、耐久性、風合などの諸特性に優れるパイル状敷物を極めて簡単な工程で円滑に製造できることを見出した。更に、本発明者らは、その際に、パイル糸、一次基布、二次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体成分のそれぞれを熱可塑性樹脂などの熱可塑性重合体、特に熱可塑性ポリエステル樹脂から主として形成しておくと、それにより得られるパイル状敷物は、その全体が熱溶融、再成形などが可能で、再生利用できることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、重合体成分からなる固形分を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状の接着剤をベース接着剤とし該ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた接着剤であって、[熱融着性重合体粒子]:[ベース接着剤中の重合体成分からなる固形分]の含有割合が5:95〜60:40の重量比である接着剤を、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面側に、一次基布の裏面1m 2 に対して、ベース接着剤中の重合体成分からなる固形分の塗工量が20〜300g、熱融着性重合体粒子の塗工量が30〜250gになる量で施し、接着剤を施した一次基布の裏面側に更に二次基布を配置して、熱融着処理を行って一次基布と二次基布との接着を行うことを特徴とするパイル状敷物の製造方法である。
更に、本発明は、前記の方法により得られたパイル状敷物である。
【0011】
そして、上記した本発明において、パイル糸、一次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体成分からなる固形分(以下「重合体固形分」ということがある)のそれぞれが主として熱可塑性樹脂などの熱可塑性重合体が形成されているのが好ましく、特に熱可塑性のポリエステル系樹脂から形成されているのが好ましく、その場合には再生可能なパイル状敷物を得ることができる。
【0012】
以下に本発明について詳細に説明する。
限定されるものではないが、本発明のパイル状敷物の厚さ方向の基本的な断面構造の典型例を図1に示すと、本発明のパイル状敷物では、パイル糸1が一次基布2にタフティングされていて、そのパイル糸1が一次基布2の裏面側に施した、重合体固形分を溶媒ま たは分散媒に溶解または分散させた液状の接着剤をベース接着剤とし該ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた液状の接着剤3によって一次基布2に抜けないように強固に固定されており、更にその接着剤3の層を介して一次基布2の裏側に二次基布4が強固に熱融着されている。
【0013】
前記したように、本発明では、パイル糸1の一次基布2への接着固定、および一次基布2と二次基布4との接着のために、重合体固形分を溶媒または分散媒(以下、溶媒または分散媒体を総称して「液体媒体」ということがある)に溶解または分散させた液状の接着剤をベース接着剤とし該ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散させた接着剤3を用いた点に大きな特徴があり、そのような接着剤3を用いることによって、一次基布2にパイル糸1が強固に接着固定され、且つ一次基布2と二次基布4との間が強固に接着されていて、パイル糸1の抜けや、一次基布2と二次基布4との間の剥離がなく、軽量性、形態安定性、弾力性、外観、耐久性に優れ、ソフトな風合を有する本発明のパイル状敷物を、高い押圧力を施すことなく簡単に製造することができるのである。
【0014】
上記した構造を有する本発明のパイル状敷物において、パイル糸1の素材の種類はパイル状敷物の用途や使用形態などに応じて選択することができ、綿、羊毛、麻、絹などの天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、塩化ビニル系重合体繊維、塩化ビニリデン系重合体繊維、アクリル繊維、ビニロンなどの各種合成繊維を挙げることができる。それらのうちでも、パイル糸1が熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性重合体繊維から形成されているのが再生利用可能なパイル状敷物を得ることができる点から好ましい。特に、パイル糸1が熱可塑性ポリエステル繊維から形成されているのが、パイル状敷物の再生利用性、耐久性、風合などの点から一層好ましい。
【0015】
また、パイル糸1は、紡績糸、フィラメント糸、タスラン加工糸、捲縮加工糸、交絡糸、撚糸、無撚糸などのいずれの形態であってもよい。パイル糸の太さも特に限定されず、パイル状敷物の用途や使用態様などに応じて選択することができるが、一般に、一本のパイル糸の太さを約1000〜5000デニール程度としておくのが、一次基布への植設の容易性、得られるパイル状敷物の耐久性、風合、軽量性などの点から好ましい。
【0016】
また、図1ではパイル糸1はカットパイルの形態になっているが、それに限定されるものではなく、カットパイルの形態であっても、ループパイルの形態であっても、またはカットパイルとループパイルの両方が存在する形態であってもよい。更に、パイル糸1の毛足(長さ)も特に制限されず、それぞれの用途や使用態様に応じて適宜選択することができる。また、一枚のパイル状敷物において、パイル糸の長さはすべて同じであっても、また場合によっては長さの異なるパイル糸が存在するようにしてあってもよい。
【0017】
本発明のパイル状敷物において用いる一次基布2は、敷物としての使用に耐え得る基布であればいずれも使用でき、例えば綿、麻、ウールなどの天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ビニロン、アクリル、レーヨンなどの合成繊維または半合成繊維などの繊維、糸、テープヤーンなどを用いて製造された織編物、不織布などを挙げることができるが、熱可塑性重合体繊維、それよりなる糸、熱可塑性重合体よりなるテープヤーンから形成された織編物や不織布からなる一次基布を用いると、加熱溶融によって再生利用が可能なパイル状敷物を得ることができるので望ましい。そのうちでも、特に熱可塑性ポリエステル繊維または熱可塑性ポリエステルテープヤーンから主として形成された織物または不織布から一次基布を形成するのが、パイル状敷物の再生利用性、耐久性、形態安定性などの点から好ましい。
【0018】
また、一次基布2は、その目付を90〜180g/ 2 程度としておくのが好ましい。一次基布2の目付が90g/ 2 よりも小さいと一次基布にパイル糸をタフティング(植設)する際に一次基布のパイル糸の把持力が不足して均一なタフト生機が得られにくくなり、一方180g/ 2 を超えるとパイル糸の把持力は良好になるものの、タフティング時のニードル貫通抵抗が高くなってニードルの寿命が短くなり、しかも得られるパイル状敷物の重量が重くなり易い。
【0019】
一次基布2へのパイル糸のタフティング方法は何ら制限されず、パイル状敷物において従来から使用されているタフティング方法のいずれもが使用できる。一次基布2へのパイル糸のタフティング密度も特に制限されず、パイル状敷物の用途などに応じて選択することができるが、一般に、ゲージ間隔が1/16〜5/32(インチ)の範囲、ステッチが5〜15本/インチであるのが好ましい。
【0020】
また、本発明のパイル状敷物において用いる二次基布4は、従来この種のパイル状敷物で二次基布として用いられているのと同種の素材が使用でき、例えば綿、麻などの天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ビニロン、アクリル、レーヨンなどの合成繊維または半合成繊維などの繊維、糸、テープヤーンなどを用いて製造された織編物、不織布などを挙げることができるが、熱可塑性重合体繊維、それよりなる糸、熱可塑性重合体よりなるテープヤーンから形成された織編物や不織布からなる二次基布を用いると、加熱溶融によって再生利用が可能なパイル状敷物を得ることができるので望ましい。そのうちでも、特に熱可塑性ポリエステル繊維または熱可塑性ポリエステルテープヤーンから主として形成された織物または不織布を二次基布4として用いるのが、パイル状敷物の再生利用性、耐久性、形態安定性などの点から好ましい。
特に、二次基布4として、見かけ密度が0.03〜0.2g/cm3で厚みが0.3〜1.0cmの熱可塑性ポリエステル系繊維から本質的になる不織布を使用した場合には、柔らかすぎず且つ硬すぎず、適度の柔軟性や硬さを有し、しかも弾力性に富むパイル状敷物を得ることができるので、一層望ましい。
【0021】
そして、熱可塑性ポリエステル繊維から本質的になる布帛を二次基布4として用いる場合に、二次基布4における、少なくとも一次基布2と積層させる面の側に熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を混綿(存在)させた二次基布を用いると、一次基布2と二次基布4とをその間に施した熱融着性重合体粒子を分散含有する接着剤を熱融着させて接着させる際に、二次基布4中に含まれる熱融着性ポリエステル系バインダー繊維も熱融着接着剤(バインダー)として機能して、一次基布2に二次基布4が一層強固に接着固定されて、耐久性および形態安定性に一層優れるパイル状敷物を得ることができる。
【0022】
上記の場合に、熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を混綿(存在)させた二次基布4の製法などは特に制限されないが、例えば、(i)単繊維繊度が5〜20デニール程度の汎用のポリエステル繊維に、単繊維繊度が2〜10デニール程度の熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を好ましくは20%以上混合してカードウエッブをつくり、このカードウエッブを所定厚さに複数枚積層した後ニードリングする方法、(ii)汎用のポリエステル繊維またはポリエステルテープヤーンなどから通常のパイル状敷物用の二次基布をつくり、その一方または両方の面に、熱融着性ポリエステル系バインダー繊維を混合して得られた上記の(i)のカードウエッブを積層した後、ニードリングなどによって繊維同士を絡ませる方法などによって製造することができる。そして、特に前記(ii)の方法による場合は、形態安定性のある二次基布を得ることができる。
【0023】
上記した二次基布4で用いる熱融着性ポリエステル系バインダー繊維は、従来から種々知られているが、本発明では、パイル状敷物の形態安定性を良好なものとし且つパイル状敷物における一次基布と二次基布との接着を強固に行うために、熱融着性ポリエステル系バインダー繊維として、低融点のポリエステル単独からなるバインダー繊維を用いるよりも、低融点のポリエステルと高融点のポリエステルとがサイドバイサイド型または芯鞘型に複合している複合繊維を用いるのが好ましい。限定されるものではないが、そのような複合繊維としては、エチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位に対してエチレンイソフタート単位が20〜50モル%の割合で共重合している低融点ポリエステル共重合体と高融点のポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートとがサイドバイサイド型または芯鞘型(低融点ポリエステル共重合体が鞘部分)の複合繊維などを上げることができる。
【0024】
また、二次基布4は、その目付を90〜500g/ 2 程度としておくのが好ましい。二次基布4の目付が90g/ 2 よりも小さいと、パイル状敷物の形態安定性、耐久性などが低下し易くなり、一方500g/ 2 を超えるとパイル状敷物の重量が重くなって運搬や敷設時などの作業時における取り扱い性が不良になり易い。
【0025】
そして、本発明では、パイル糸1をタフティングした一次基布2の裏面側に、熱融着性重合体粒子を分散含有させた液状の接着剤3を施す。液状の接着剤3は、重合体成分からなる固形分(重合体固形分)を溶媒や分散媒に溶解または分散させた液状の接着剤をベース接着剤とし、該ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた接着剤である。その際に熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体固形分として熱可塑性や熱溶融性の重合体、特に熱可塑性樹脂を用いると、それにより得られるパイル状敷物が加熱溶融や再成形などにより再生利用が可能になるので好ましい。また液状のベース接着剤における溶媒または分散媒としては、水、熱可塑性重合体粒子を溶解しない有機溶媒、それらの混合溶媒などを使用することができるが、安全性、人体への無害性、環境汚染の防止などの点から水を用いるのが好ましい。
【0026】
また、ベース接着剤の種類は、パイル糸1や一次基布2を構成する素材、二次基布4の素材などに応じて、それらの素材に対してより大きな接着力などを発揮するものを選択して使用するのが好ましい。特に、パイル糸1、一次基布2および二次基布3のそれぞれが熱可塑性ポリエステル系重合体から主として形成されている場合は、ベース接着剤としてポリエステル系樹脂接着剤を用いるのが好ましく、例えばエポキシ系ポリエステル樹脂接着剤、ジカルボン酸成分としてフタル酸を用いたポリエステル樹脂接着剤、ジオール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどを用いて得られたポリエステル樹脂接着剤などを挙げることができ、これらのポリエステル系接着剤は従来既に知られており販売されている。また、パイル糸1、一次基布2および/または二次基布4がポリオレフィン系重合体から形成されている場合は、ベース接着剤としてエチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体などのエチレン共重合体系の接着剤が、更にパイル糸1、一次基布2および/または二次基布4がポリアミド系重合体から形成されている場合は、ベース接着剤としてポリアミド系の接着剤が好ましく用いられる。
【0027】
そして、本発明では、上記した液状のベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた接着剤を用いることが重要である。その場合の熱融着性重合体粒子としては、パイル糸1をタフティングした一次基布2および二次基布4を熱融着処理して接着(積層一体化)する際の加熱温度で溶融して、パイル糸1の一次基布2への接着固定、一次基布2と二次基布4との接着固定および熱融着性重合体粒子間の熱融着を円滑に行うことが可能な比較的低融点の熱溶融性重合粒子を用いることが必要であり、一般に、融点が約100〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲のものを用いるのがよい。
【0028】
例えば、パイル糸1、一次基布2および二次基布4のそれぞれが同種または異種のポリエステル系重合体から主として形成されている場合は、熱融着性重合体粒子として、パイル糸1、一次基布2および二次基布4を構成するポリエステルよりも低融点の熱可塑性ポリエステルからなる粒子を用いるとよい。特に、パイル糸1、一次基布2および二次基布4がポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの汎用のポリエステル繊維から形成されている場合は、該ポリエステル系繊維の融点よりも約80〜150℃程度低い融点を有する熱融着性ポリエステル系重合体粒子を用いるのが好ましく、そのような熱融着性ポリエステル粒子の例としては、限定されるものではないが、エチレンイソフタレート単位を20〜50モル%の割合で共重合させたエチレンテレフタレートおよび/またはブチレンテレフタレート系のポリエステル重合体からなる粒子を挙げることができる。
【0029】
また、パイル糸1、一次基布2および/または二次基布4が、ポリオレフィン系重合体から主として形成されている場合は、それらを構成しているポリオレフィン系重合体よりも低い融点を有するオレフィン系重合体(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体)の粒子を用いるのが、更にパイル糸1、一次基布2および/または二次基布4がポリアミド系重合体から主として形成されている場合は、それらを構成しているポリアミド系重合体よりも融点の低いポリアミド系重合体の粒子などが用いられる。しかしながら、勿論、熱融着性重合体粒子の種類は上記のものに限定されず、特に一次基布2と二次基布4との間の接着が強固に行われる限りは、一次基布2および/または二次基布4を構成している素材(重合体)の種類とは異なる熱融着性重合体粒子を用いてもよい。
【0030】
また、液状のベース接着剤中に分散含有させる熱融着性重合体粒子の粒径は、熱融着性重合体粒子を分散含有する接着剤3の一次基布2の裏面への施し方、一次基布2および/または二次基布4の目の粗さ(目付)などに応じて調節するのがよい。例えば、ベース接着剤中に熱融着性重合体粒子を更に分散含有させた液状の接着剤3を予め起泡させた状態にしてパイル糸1をタフティングした一次基布2の裏面に施す場合は、起泡が行われ易いように、熱融着性重合体粒子の粒径を50メッシュ以下にしておくのが好ましく、100メッシュ以下であるのがより好ましい。この場合に、熱融着性重合体粒子の粒径が50メッシュよりも大きいと、熱融着性重合体粒子が液体部分から分離して均一な起泡物が得られない。一方、起泡を行わないで例えば通常のローラー塗工、流延塗工、カレンダー塗工などによって一次基布2の裏面に施す場合は、熱融着性重合体粒子の粒径は20メッシュ以下、好ましくは30メッシュ以下であればよい。
【0031】
液状の接着剤3中における熱融着性重合体粒子の含有割合は、接着剤3中に含まれるベース接着剤に由来する重合体成分(熱融着性重合体粒子以外の重合体固形分)、液体媒体および熱融着性重合体粒子をも含めた液状の接着剤3の全重量に基づいて、約5〜50重量%であるのが、接着強度、接着剤の一次基布2の裏面への塗工の均一性や塗工作業の行い易さなどの点から好ましく、10〜40重量%であるのが好ましい。また、液状の接着剤3中における、熱融着性重合体粒子:[ベース接着剤中の重合体固形分(液体媒体および熱融着性重合体粒子以外の重合体固形分)]の割合は、接着剤の一次基布2への施し易さ、接着強度などの点から、重量比で5:95〜60:40である
【0032】
更に、一次基布2の裏面への接着剤の単位面積当たりの塗工量について見ると、一次基布2からパイル糸1が抜けるのを防止し、且つ一次基布2と二次基布4との接着を強固にするために、一次基布2の裏面1m2に対して、ベース接着剤中の重合体固形分(液体媒体および熱融着性重合体粒子以外の重合体固形分)の塗工量が20〜300g、好ましくは40〜250gであり、熱融着性重合体粒子の塗工量が30〜250gであるベース接着剤中の重合体固形分および熱融着性重合体粒子の塗工量が上記の範囲よりも少ないと、パイル糸1の抜け防止および一次基布2と二次基布4との間の充分な接着が達成されにくくなり、一方上記の範囲よりも多いと、パイル状敷物が硬くなって風合が損なわれ、しかも経済的ではない。
【0033】
そして、パイル糸1をタフティングした一次基布2の裏面に対して上記したベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた液状の接着剤3を上記のようにして施した後に、二次基布4を一次基布2の接着剤3を施した面(裏面)に重ね合わせて配置し、次いで接着剤3中の熱融着性重合体粒子の熱融着温度以上の温度(二次基布が熱融着性バインダー繊維を含む場合は熱融着性重合体粒子および熱融着性バインダー繊維の熱融着温度以上の温度)に加熱して、熱融着性重合体粒子の溶融、および場合によってはそれ以外の接着剤成分の溶融や反応、熱融着性バインダー繊維の熱融着なども行わせて、一次基布2と二次基布4とを接着させて積層一体化して、本発明のパイル状敷物を製造する。
【0034】
上記において、接着剤3を施した一次基布2の裏面への二次基布4の配置(重ね合わせ)は、接着剤3が乾燥する前に直接そのまま行っても、または一次基布2の裏面に施した接着剤3の層をそこに含まれる熱融着性重合体粒子の熱融着が生じないような温度で乾燥処理して接着剤中の水などの媒体を除去する乾燥処理を行ってからであってもよく、特に乾燥処理を経てから行う後者の方法を採用した場合には、一次基布2と二次基布4とを膨れなどを生ずることなく、強固に且つ円滑に接着させることができるので望ましい。
【0035】
更に、上記において、タフティングされたパイル糸1の一次基布2への接着固定は、ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた液状の接着剤3を一次基布2の裏面に塗工した際に行っても、一次基布2の裏面に塗工した接着剤3を乾燥処理する際に行っても、熱融着性重合体粒子を加熱溶融して一次基布2と二次基布4とを熱融着一体化する際に行っても、またはそれらの一連の工程を通して徐々に行ってもよいが、熱融着性重合体粒子を加熱溶融して一次基布2と二次基布4とを熱融着一体化する際にパイル糸1の一次基布2への接着固定を同時に行うのがパイル糸1を一次基布2に接着固定するための特別の熱処理工程を必要としないので望ましい。
【0036】
また、一次基布2と二次基布4との接着は、熱融着性重合体粒子の熱融着作用によって、また二次基布4が熱融着性バインダー繊維を含んでいる場合は熱融着性重合体粒子の熱融着性作用と該熱融着性バインダー繊維の熱融着作用の両方によって行われるが、それらの熱融着処理は、重ね合わせた一次基布2と二次基布4を、熱融着性重合体粒子および熱融着性バインダー繊維の熱融着温度以上の温度に加熱した加熱装置を用いて、連続的にまたはバッチ式に行うことができる。前記の加熱装置の例として、テンター式ドライヤー、シュリンクサーファーなどを挙げることができ、特にテンター式ドライヤーを使用した場合には、一次基布2および二次基布4を縦および横方向から軽く引っ張って平坦さを保ちながら加熱、積層処理を連続的に行うことができるので、一次基布2と二次基布4をその全面に亙って均一に接着させることができる。
【0037】
そして、テンター式ドライヤーなどの加熱装置によって一次基布2と二次基布4との間に介在する熱融着性重合体粒子などを熱融着した積層体は、加熱装置から出た直後に、例えばマングルロールやその他の押圧手段を通して、パイル糸1の斜向や倒れなどが生じないようにしながら、重ね合わせた一次基布2と二次基布4に適当な圧力をかけて両者を圧着してその接着をより強固なものにするのが好ましい。
【0038】
上記した一連の加熱処理時の温度や時間などの処理条件は、ベース接着剤中の重合体固形分種類、ベース接着剤中に分散含有させた熱融着性重合体粒子、二次基布4中に含まれる熱融着性バインダー繊維の内容、パイル糸1、一次基布2、二次基布4の素材の種類などに応じて選択調節することが必要であるが、一般に、110〜180℃の温度で5〜20分の熱処理条件で行うようにするのが好ましい。また、加熱装置を出た後のマングルロールの間隙(押圧力)、他の押圧手段の圧力なども、パイル糸1の斜向や倒れなどが生じないように調節することが必要である。
【0039】
本発明のパイル状敷物は、先染め(綿染めなど)またはパイル状敷物を製造した後の染色などによって任意の色調に染色したり、模様付けしておくことができる。また必要に応じて、帯電防止剤、湿潤剤、難燃剤、防黴剤、殺菌・殺虫剤、光安定剤、酸化防止剤などの任意の剤をパイル糸、一次基布、二次基布などを構成する材料中に予め含有させておいても、またはパイル状敷物の製造後にそれらの剤を用いて処理を行ってもよい。
【0040】
本発明のパイル状敷物は、その優れた軽量性、形態安定性、弾力性、耐久性、ソフトな風合、外観などの特性を活かして、室内用のカーペット、玄関マット、部屋の入り口用マット、浴室用マット、台所用マット、廊下用マットなどの家庭や各種の建物内で使用することができ、更に自動車、鉄道車両、航空機などの種々の分野でも有効に使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例中、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度およびカーペットの風合は、それぞれ下記のようにして測定または評価した。
【0042】
一次基布と二次基布との間の剥離強度
幅が2cmのサンプルを用いて、JIS L−1021の「6.14 裏張り材のはく離強さ測定法」に準拠して測定した。
【0043】
パイル糸の引き抜き強度
JIS L−1021の「6.13 パイル糸引抜き強さ測定法」に準拠して測定した。
【0044】
カーペットの風合
カーペットに直接手で触れてみて、ソフトで底つき感のない風合である場合を○(良好)、一方粗硬な風合である場合を×(不良)として評価した。
【0045】
《実施例1》
(1) 綿の状態でグレーに先染めしたポリエステル短繊維(ポリエチレンテレフタレート短繊維;単繊維繊度8デニール、繊維長131mm)を用いてセミ梳毛方式によってポリエステル紡績糸(番手W−1/4)を製造し、これをパイル糸として用いた(以下単にポリエステル繊維という場合はポリエチレンテレフタレート繊維を表す)。
(2) 上記(1)で得られたパイル糸を、ポリエステル繊維不織布よりなる一次基布(目付120g/m2)に、パイル部の目付が700g/m2(毛足の長さ:約7mm)となるようにゲージ間隔1/10(インチ)、ステッチ10本/インチの条件でタフティングした。
【0046】
(3) 熱融着性バインダー繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなり鞘成分がイソフタール酸単位を45モル%の割合で共重合させたエチレンテレフタレート系共重合体(芯:鞘の重量比=1:1、単繊維繊度=3デニール、繊維長=64mm)からなる芯鞘型複合繊維を準備し、この複合繊維の100重量部を、ポリエステル繊維[単繊維繊度4デニールと単繊維繊度6デニールのポリエステル繊維の50:50(重量比)混合物、繊維長=64mm]100重量部とを混合して、目付200g/m2の繊維ウエブを形成し、この繊維ウエブを、ポリエステル繊維織布からなる芯基布(目付120g/m2)の両面にそれぞれ重ねてニードリングして、二次基布を製造した。
【0047】
(4) また、水分散型ポリエステル樹脂接着剤[吉村油化学(株)製「ユカレジンPES−102」;樹脂固形分30重量%](ベース接着剤)100重量部に、熱融着性重合体粒子としてポリエステル共重合体粒子(イソフタル酸単位を45モル%の割合で共重合させたエチレンテレフタレート系共重合体粒子;熱融着温度110℃、粒径100メッシュ)30重量部を加えてよく混合して分散させ、熱融着性ポリエステル共重合体粒子を分散含有する水分散型ポリエステル樹脂接着剤を調製した(この接着剤中における熱融着性ポリエステル共重合体子:それ以外のポリエステル樹脂接着剤固形分の重量比=1:1)。
【0048】
(5) 上記(2)において得られた、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面に、上記(4)で調製した熱融着性ポリエステル共重合体粒子を分散含有する水分散型ポリエステル樹脂接着剤を、熱融着性ポリエステル共重合体粒子の目付が200g/m2、それ以外のポリエステル樹脂接着剤固形分の目付が200g/m2になるようにして手作業で塗布した後、100℃の温度で5分間乾燥室内で乾燥して、中間製品を得た。
(6) 次いで、上記(5)で得られた中間製品の裏面側に上記(3)で製造した二次基布を重ね合わせた後、テンター式乾燥機(大栄科学機器製作所製「ピンタンター型ベーキング試験装置」)中で150℃の温度で15分間熱処理し、乾燥機から出た直後にマングルロール(ロール間隙=2mm)を通過させて圧着して、本発明のパイル状敷物(パイル状カーペット)を製造した。その結果得られたパイル状カーペットについて、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度および風合を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0049】
《実施例2》
実施例1における工程(5)において、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面に工程(4)で調製した熱融着性の共重合ポリエステル樹脂粒子を分散含有する水分散型ポリエステル樹脂接着剤を塗工する際に、熱融着性共重合ポリエステル樹脂粒子の目付が50g/m2、それ以外のポリエステル樹脂接着剤固形分の目付が50g/m2になるようにその塗工量を変えた以外は実施例1と全く同様にして、本発明の本発明のパイル状カーペットを製造した。その結果得られたパイル状カーペットについて、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度および風合を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0050】
《比較例1》
(1) イソフタール酸単位を45モル%の割合で共重合したエチレンテレフタレート系共重合体をスパンポンド法で溶融紡糸して単繊維繊度が3デニールの共重合ポリエステル繊維を製造し、この繊維を用いてニードルパンチ法によってサンドイッチ用バインダー不織布(目付50g/m2)を製造した。
(2) 一方、実施例1における工程(5)において、熱融着性ポリエステル共重合体粒子を含有しない水分散型ポリエステル樹脂接着剤[吉村油化学(株)製「ユカレジンPES−102」;樹脂固形分30重量%](ベース接着剤)をそのまま接着剤として用いて、この接着剤を実施例1の工程(5)におけるのと同様にして、実施例1の工程(2)で得られたのと同じパイル糸をタフティングした一次基布の裏面に、ポリエステル樹脂接着剤固形分の目付が200g/m2になるようにして手作業で塗布した後、100℃の温度で5分間乾燥室内で乾燥して、中間製品を得た。
【0051】
(3) 次いで、上記(2)で得られた中間製品の裏面側と、実施例1における工程(3)で得られたのと同じ二次基布との間に、上記(1)で得られたサンドイッチ用バインダー不織布を挟んで、実施例1の工程(6)で用いたのと同じテンター式乾燥機中で150℃の温度で15分間熱処理し、乾燥機から出た直後にマングルロール(ロール間隙=2mm)を通過させて圧着して、パイル状カーペットを製造した。その結果得られたパイル状カーペットについて、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度および風合を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0052】
《比較例2》
比較例1の工程(3)において、サンドイッチ用バインダー不織布を挟まなかった以外は比較例1と同様にしてパイル状カーペットを製造し、得られたパイル状カーペットについて、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度または風合を上記した方法で測定および評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0053】
《比較例3》
実施例1の工程(2)で得られたのと同じパイル糸をタフティングした一次基布の裏面に、ゴムラテックスを、ゴム固形分の目付が800g/m2になるようにして塗布した後、これに二次基布としてジュート織布(目付100g/m2)を重ね合わせて、実施例1の工程(6)で用いたのと同じテンター式乾燥機中で130℃の温度で15分間熱処理してパイル状カーペットを製造した。その結果得られたパイル状カーペットについて、一次基布と二次基布との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度または風合を上記した方法で測定および評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0054】
《比較例4》
実施例1の工程(2)で得られた、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面に、180℃の温度に加熱溶融した塩化ビニル樹脂をカレンダーロールを用いて塩化ビニル樹脂の目付が2200g/m2になるようにして積層成形して、塩化ビニル樹脂層がそのまま裏打層(二次基布)を兼用するパイル状カーペットを製造した。その結果得られたパイル状カーペットにおける一次基布と二次基布(塩化ビニル樹脂裏打層)との間の剥離強度、パイル糸の引き抜き強度および風合を上記した方法で測定および評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0055】
【表1】
Figure 0003645609
【0056】
上記の表1の結果から、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面と二次基布との間に、液状のベース接着剤(水分散型ポリエステル樹脂接着剤)中に更に熱融着性重合体粒子(熱融着性ポリエステル共重合体粒子)を分散含有させた液状の接着剤を施して、一次基布へのパイル糸の接着固定および一次基布と二次基布との接着を行ったパイル状カーペットを製造している本発明の実施例1および実施例2の場合には、得られるパイル状カーペットは、その全体の目付が小さく軽量であるにも拘わらず(特に比較例4のカーペットに比べて)、一次基布と二次基布との間の剥離強度が大きくて形態安定性および耐久性に優れており、パイル糸の抜けがなく、しかも風合も良好であることがわかる。
【0057】
それに対して、熱融着性重合体粒子(熱融着性ポリエステル共重合体粒子)を含まない水分散型ポリエステル樹脂接着剤(ベース接着剤)をそのまま用いた比較例1では、一次基布と二次基布との間に熱融着性バインダー不織布を挿入して一次基布と二次基布との接着を行っているにも拘わらず、一次基布と二次基布との間の剥離強度が実施例1および実施例2のカーペットに比べて大幅に小さくて、形態安定性おより耐久性に劣っていることがわかる。
そして、比較例1と同様に熱融着性重合体粒子(熱融着性ポリエステル共重合体粒子)を含まない水分散型ポリエステル接着剤(ベース接着剤)のみを使用し熱融着性バインダー不織布を挿入しないカーペットを製造している比較例2の場合は、そこで得られたパイル状カーペットにおいて、一次基布と二次基布との間の剥離強度が実施例1および実施例2のカーペットに比べて著しく劣っており、形態安定性およ耐久性がほとんどないことがわかる。
【0058】
また、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面にゴムラテックスを施して一次基布へのパイル糸の接着固定および一次基布と二次基布(ジュート織布)接着を行っている比較例3で得られたパイル状カーペットは、軽量ではあるものの、やはり一次基布と二次基布との間の剥離強度が実施例1および実施例2のカーペットに比べて大幅に劣っており、形態安定性および耐久性が不良であることがわかる。
そして、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面に塩化ビニル樹脂をそのまま接着剤兼二次基布として成形して積層している比較例4で得られたパイル状カーペットは、その重量(目付)が極めて大きくて取り扱い性に劣っており、しかもその重量が実施例1のカーペットの約1.7倍もあるにも拘わらず、一次基布と二次基布との間の剥離強度が、実施例1のカーペットの約6割程度でしかないことがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の方法による場合は、軽量性に優れ、ソフトな風合を有し、形態安定性、弾力性、耐久性、外観などの特性に優れるパイル状敷物を、極めて簡単な工程で円滑に製造することができる。
そして、本発明のパイル状敷物は、軽量であることによって取り扱い性に優れ、運搬や敷設などの作業時の労力の負担を大幅に軽減することができる。
更に、本発明において、パイル状敷物を構成するパイル糸、一次基布、二次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体固形分として、熱可塑性の重合体から主として形成されたものを用いた場合には、パイル状敷物の使用が済んだあとに、加熱溶融したり、再成形などを行って、簡単に再生利用することができ、従来大型の粗大ごみとしてその取り扱いが苦慮されてきた、パイル状敷物の有効利用を達成することができる。
特に、本発明において、パイル状敷物を構成するパイル糸、一次基布、二次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体固形分のそれぞれとして、同種または異種の熱可塑性ポリエステル系重合体で形成されたものを使用した場合には、パイル状敷物の軽量性、耐久性、弾力性、形態安定性などの上記した特性が一層優れたものとなり、しかもパイル状敷物を構成する各種の材料を熱可塑性ポリエステル系重合体に統一してあるので、その再生処理を極めて簡単に且つ円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパイル状敷物の厚さ方向の断面図の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 パイル糸
2 一次基布
3 接着剤
4 二次基布

Claims (6)

  1. 重合体成分からなる固形分を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状の接着剤をベース接着剤とし該ベース接着剤中に更に熱融着性重合体粒子を分散含有させた接着剤であって、[熱融着性重合体粒子]:[ベース接着剤中の重合体成分からなる固形分]の含有割合が5:95〜60:40の重量比である接着剤を、パイル糸をタフティングした一次基布の裏面側に、一次基布の裏面1m 2 に対して、ベース接着剤中の重合体成分からなる固形分の塗工量が20〜300g、熱融着性重合体粒子の塗工量が30〜250gになる量で施し、接着剤を施した一次基布の裏面側に更に二次基布を配置して、熱融着処理を行って一次基布と二次基布との接着を行うことを特徴とするパイル状敷物の製造方法。
  2. 積層一体化のための熱融着処理が熱圧着処理である請求項の製造方法。
  3. パイル糸、一次基布、二次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体成分からなる固形分が、いずれも熱可塑性重合体から主として形成されている請求項1または2の製造方法。
  4. パイル糸、一次基布、二次基布、熱融着性重合体粒子およびベース接着剤中の重合体成分からなる固形分が、いずれも熱可塑性ポリエステル系樹脂から主として形成されている請求項の製造方法。
  5. 二次基布が、熱融着性ポリエステル系樹脂バインダー繊維を20重量%以上の割合で含有する、密度0.03〜0.20g/cm3および厚さ0.3〜1.0cmの不織布である請求項の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項の方法により得られたパイル状敷物。
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