JPH10273873A

JPH10273873A - タフテッドカーペット用基布

Info

Publication number: JPH10273873A
Application number: JP9077340A
Authority: JP
Inventors: Tomoko Watanabe; 智子渡辺
Original assignee: Unitika Ltd
Current assignee: Unitika Ltd
Priority date: 1997-03-28
Filing date: 1997-03-28
Publication date: 1998-10-13

Abstract

(57)【要約】【課題】層間剥離がなく、剛性、引張強力、モジュラ
ス強力に優れたタフテッドカーペット用基布を提供す
る。【解決手段】このタフテッドカーペット用基布は、単
糸繊度が２デニール以上６デニール未満の長繊維群から
なる不織布層Ａと、単糸繊度が６デニール以上１５デニ
ール未満の長繊維群からなる不織布層Ｂから構成され、
Ａ層とＢ層の目付比が２：８〜６：４である。長繊維相
互間はニードルパンチにより交絡されていることが好ま
しい。また、熱圧接温度は構成繊維の融点下３０℃より
低い温度で行い、バインダー樹脂の付着量は５〜１５重
量％であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、長繊維群が集積さ
れた不織布よりなるタフテッドカーペット用基布に関
し、特に、層間剥離がなく、剛性、引張強力、モジュラ
ス強力に優れたタフテッドカーペット用基布に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、長繊維群が集積されてなる不
織布を、タフテッドカーペット用基布として用いること
は知られている。このタフテッドカーペット用基布は、
パイル糸をタフティング（パイル糸を植え込む）する際
の支持体として用いられるものである。このようなタフ
テッドカーペット用基布を使用したタフテッドカーペッ
トの製造方法は以下のとおりである。即ち、タフテッド
カーペット用基布に、未染色のパイル糸（例えば、未染
色のナイロン糸よりなるパイル糸）をタフティングした
後、パッドスチーム連続染色機等を用いてパイル糸を所
望の色合いに染色した後、さらにバッキング加工されて
タフテッドカーペットを得るというものである。

【０００３】この種のタフテッドカーペット用基布は、
繊維にルーズ性がないとタフティングする際に基布を構
成する繊維を切ってしまうため、タフト後の基布の強力
が得られないという問題がある。そこで、タフト後の基
布の強力を得るために、繊維の一部に融点の低い熱可
塑性樹脂を用いて複合繊維とする（特開平3-104973）、
あるいは、融点の低い熱可塑性樹脂からなる繊維を混繊
した後、熱風処理機内で融着させる方法、熱圧接を強
くすることにより接着させる方法、基布の繊維間を熱
可塑性樹脂により接着する方法等がある。しかし、、
ではタフティング工程において基布が層状に分離する
層間剥離が生じ、染色工程でピンテンターにかからない
という不都合が生じたり、バッキング剤が浸透しにく
く、カーペットの剛性が出ない等の問題があった。ま
た、のみで接着しようとすると、樹脂の強力が高温で
低下し、二次加工時の工程の引張応力にて寸法変化が生
じ、製品の寸法安定性が悪くなるという問題や、強力が
低下することにより工程中でしわが入りやすいという問
題もあった。

【０００４】一方、ニードルパンチで交絡させた後、熱
可塑性樹脂により接着させる方法（特公昭61-8189）も
あるが、繊度が小さすぎると、ニードルパンチを施す際
や、パイル糸をタフティングする際に、長繊維が切断し
やすくなって、タフテッドカーペットとなった時点にお
ける基布の引張強度が低下する。また、基布の剛直性が
不足したり、基布表面が密になっているため、バッキン
グ剤が浸透しにくかったりする。一方、繊度が大きくな
ると、高強力を有し、バッキング剤が浸透しやすい基布
が得られるが、基布を構成する長繊維の数が少なくな
り、連染時に耐えるモジュラス強力を有するタイルカー
ペット用基布を得ることはできない。また、基布自体が
粗剛となり、タフテッドカーペットの柔軟性を阻害する
恐れが生じるという問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するもので、タフティング性がよく、タフテ
ィングによる層間剥離がなく、連染時に耐えるモジュラ
ス強力を有し、カーペットとした場合に剛直で寸法安定
性のよいタフテッドカーペット用基布を提供することを
目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、単糸繊度が２
デニール以上６デニール未満の長繊維群からなる不織布
層Ａと、単糸繊度が６デニール以上１５デニール未満の
長繊維群からなる不織布層Ｂとを積層して構成され、Ａ
層とＢ層の目付比が２：８〜６：４の範囲にあるタフテ
ッドカーペット用基布に関する。

【０００７】本発明において特徴的なことは、タフテッ
ドカーペット基布が２種類の単糸繊度の不織布層からな
ることである。すなわち、本発明の基布は、２デニール
以上６デニール未満の不織布層Ａと、６デニール以上１
５デニール未満の不織布層Ｂの２種類から構成される。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の基布を構成する不織布層
Ａの繊度が２デニール未満、あるいは、不織布層Ｂの繊
度が６デニール未満のものが含まれると、たとえ平均繊
度として上記範囲に含まれるとしても、ニードルパンチ
を施す際や、パイル糸をタフティングする際、長繊維が
切断しやすくなり、タフテッドカーペットとなった時点
における基布の引張強力が低下する傾向にある。また、
不織布層Ａの繊度が６デニール以上、あるいは、不織布
層Ｂの繊度が１５デニール以上になると、ニードルパン
チを施しても不織布層同士が交絡しにくく、満足する物
性が得られなかったり、基布自体が粗剛となり、タフテ
ッドカーペットの柔軟性を阻害する恐れが生じる。不織
布Ａおよび不織布Ｂを構成する長繊維はそれぞれ単一の
繊度を持つものが好ましいが、上記の繊度範囲を逸脱し
ないものであればそれぞれ２種以上の繊度のものが混在
していてもよい。これらの繊度を適当に組合せることに
よって、始めて、物性、タフティング性、及び、剛性を
兼ね備えた基布を得ることができる。

【０００９】不織布層Ａと不織布層Ｂの目付比は、２：
８〜６：４の範囲にあることが必要である。不織布Ａと
Ｂの目付比が２：８未満であると、ニードルパンチを施
した際、不織布層同士が交絡しにくく、高強力の基布が
得られない。また、Ａ：Ｂの目付比が６：４を超える
と、不織布表面の密度が高くなりすぎて、バッキングの
際にバッキング剤が浸透しにくく、好ましくない。

【００１０】長繊維群は、従来公知の方法で集積され
る。例えば、溶融紡糸法によって長繊維群を引き取りな
がら、この長繊維群を移動する捕集コンベア上に堆積さ
せることによって集積する。具体的には、不織布層Ｂを
構成する長繊維を通常の紡糸口金より紡出し、該紡糸糸
条を冷却した後、エアーサッカーにて牽引細化し、次い
で通常の方法で開繊させた後、移動堆積装置上にウエブ
として堆積させ、一段目で６デニール以上１５デニール
未満の長繊維からなる不織布層Ｂを堆積し、次いでその
上に２デニール以上６デニール未満の長繊維からなる不
織布層Ａを、不織布層Ｂと同様な方法で堆積させて、不
織布層Ａと不織布層Ｂとを積層する。あるいは、不織布
層Ａと不織布層Ｂとを、別のウエブとして堆積し、それ
ぞれを巻き取った後積層してもよい。

【００１１】さらに、上記のようにして得た不織布層Ａ
と不織布層Ｂの積層体に、ニードルパンチを施して、長
繊維相互間を交絡させる。ニードルパンチの針密度は、
使用するニードル針の種類や針深度によって適宜設定さ
れるが、一般的に４０〜１２０回／ｃｍ²であるのが好
ましい。針密度が４０回／ｃｍ²未満であると、長繊維
相互間の交絡の程度が低く、バインダー樹脂を比較的多
量に使用しないと、タフテッドカーペット用基布に所望
の引張強度を付与しにくくなる。一方、針密度が１２０
回／ｃｍ²を超えると、長繊維相互間の交絡が強くなる
が、ニードル針による長繊維の損傷が激しく、著しく強
力の低いものとなってしまうため、好ましくない。

【００１２】ニードルパンチを施した後、構成する繊維
の融点下３０℃よりも低い温度で熱圧接を行う。構成す
る繊維の融点下３０℃よりも高い温度で熱圧接を行う
と、繊維間の接着は強固になるが、合成繊維全体がプラ
スチック化し、繊維の自由度がなくなってタフティング
の際に繊維が切断破壊されたり、過剰の熱による損傷が
大きく、モジュラス強力の高い基布を得ることができな
い。

【００１３】本発明では、長繊維相互間を結合するため
に更にバインダー樹脂を用いるのが好ましい。そのため
に具体的には、繊維ウェブにバインダー樹脂液を含浸又
はスプレー等の手段で付与、乾燥し、所望により熱処理
して、長繊維相互を結合させる。バインダー樹脂液は、
一般的にバインダー樹脂を水中に乳化状態で分散させた
ラテックスの形態で用いられる。従って、このバインダ
ー樹脂液を繊維ウェブに付与した後、乾燥すれば、長繊
維相互間がバインダー樹脂により結合される。

【００１４】このように、長繊維相互間に付着されるバ
インダー樹脂の量は、タフテッドカーペット用基布の総
重量に対して、５〜１５重量％であるのが好ましい。バ
インダー樹脂の付着量が５重量％未満であると、長繊維
相互間の結合が弱くなる傾向が生じ、タフテッドカーペ
ット用基布の引張強度が低下する恐れがある。一方、バ
インダー樹脂の付着量が１５重量％を超えると、長繊維
相互間に存在するバインダー樹脂が多くなりすぎて、パ
イル糸をタフティングする際に、タフティング用針が基
布を貫通しにくくなり、さらにタフテッドカーペットの
柔軟性も劣る傾向が生じる。

【００１５】本発明で使用するバインダー樹脂として
は、アクリル系、ビニル系のものであればいずれも用い
ることができる。特に好ましいのはアクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アク
リロニトリル、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の
モノマーを、二種以上組み合わせて共重合した共重合体
である。これらは好ましくは、乳化重合により調製して
得られたラテックスの状態でそのまま用いることもでき
る。また、この共重合体が架橋剤によって架橋されてい
る架橋型のバインダー樹脂を用いてもよい。架橋剤とし
ては、メラミン樹脂，フェノール樹脂，ホルムアルデヒ
ド樹脂等を用いることができる。

【００１６】本発明に用いられる長繊維としては、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリプロピレン、その他長繊維
不織布として用いられる溶融紡糸可能な長繊維がすべて
含まれる。また、二成分系の芯鞘型複合長繊維やサイド
バイサイド型複合長繊維等の複合型長繊維も用いられ
る。芯鞘型複合長繊維としては、例えば芯成分がポリエ
ステルで鞘成分がポリアミド或いは共重合ポリエステル
のもの、又はその逆のタイプのもの等を用いることがで
きる。また、サイドバイサイド型複合繊維としては、例
えばポリエステル−ポリアミド系のものやポリエステル
−共重合ポリエステル系のもの等が用いられる。特に、
本発明においては、比較的融点の高いポリエステル系長
繊維を用いるのが好ましい。この理由は、例えば用途に
よってタフテッドカーペットを加熱成型する際に、基布
を構成する長繊維の劣化を防止するためである。

【００１７】また、タフテッドカーペット用基布の総重
量（目付）は、適宜設計しうる事項であるが、一般的に
５０〜１５０ｇ／ｍ²が好ましく、特に８０〜１２０ｇ
／ｍ²が好ましい。タフテッドカーペット用基布の目付
が５０ｇ／ｍ²未満になると、基布中の繊維量が少ない
ために基布によるタフト糸の保持力が低下し、タフト加
工中にタフト糸が抜けたり、引張強度が低下する。一
方、この目付が１５０ｇ／ｍ²をえると、基布の繊維量
が多くてパイル高さが不均一となったり、タフト間隔が
不揃いになったりする。また、過剰物性となって、経済
的ではない。（本発明において、タフテッドカーペット
用基布の目付とは、基布から５０ｃｍ×５０ｃｍの試料
片を１０枚切り取り、平衡水分にした後に、各試料片の
重量を秤量し、この平均値を単位平方メートル当りの重
量に換算したものである。）

【００１８】タフテッドカーペット用基布の縦方向はタ
フテッドカーペットの縦方向と合致し、またタフテッド
カーペット用基布の横方向はタフテッドカーペットの横
方向と合致する。従って、パイル糸のタフティング時
に、基布の縦方向には比較的高い荷重が負荷され、基布
の横方向には比較的低い荷重が負荷される傾向にある。

【００１９】なお、基布の縦方向とは、基布を製造する
際の流れ方向のことであり、機械方向（Machine Direct
ion）とも言うので、本件明細書中ではＭＤと略記する
こともある。また、基布の横方向とは、この縦方向と直
交する方向のことであり、直交方向（Cross Directio
n）とも言うので、本件明細書中ではＣＤと略記するこ
ともある。

【００２０】タフテッドカーペットを製造するには、本
発明に係るタフテッドカーペット用基布に、不織布Ａが
表側、不織布層Ｂが裏側になるように、不織布Ｂ側から
パイル糸をタフティングして植え込めば良い。パイル糸
としては、ナイロン糸、ポリプロピレン糸，ポリエステ
ル糸等が用いられる。パイル糸が植え込まれたタフテッ
ドカーペットの裏面に、パイル糸を固定する目的と、タ
フテッドカーペットの保持のために、不織布層Ｂ側から
バッキング剤を接着させることが好ましい。この理由と
しては、６デニール以上１５デニール未満の側からバッ
キング剤を接着させたほうがバッキング剤が浸透しやす
く、さらにはバッキング剤が浸透することにより、タフ
テッドカーペットとなった時に適度な剛直性がでやすい
ためである。バッキング剤しては、ポリ塩化ビニルのペ
ースト、ポリエチレン等が用いられる。

【００２１】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例１孔径０.３５ｍｍφで孔数１６０の紡糸口金を用い、極
限粘度０.７０ｄｌ／ｇ、融点２５６℃のポリエチレン
テレフタレートを溶融温度２８５℃で口金より溶融紡糸
した。吐出するフィラメントを紡糸速度５０００ｍ／分
となるように、エアーサッカーで延伸しながら引き取
り、単糸繊度８デニールのポリエステル長繊維群を得
た。この長繊維群を、エアーサッカーの出口に設けられ
た開繊装置で開繊させた後、移動する金網製捕集コンベ
ア上に堆積させて、不織布層Ｂを形成し、次いでこの上
に、単糸繊度３デニールの長繊維群を同様な方法で堆積
させて不織布層Ａを形成して不織布層Ａと不織布層Ｂが
積層されたウェブを得た。この時の不織布層Ａと不織布
層Ｂの目付比は５：５とした。この不織布層Ｂと不織布
層Ａの積層体を、オルガン社製のＲＰＤ３６＃のニード
ル針を植え込んだニードルパンチング機械に通し、針密
度６０回／ｃｍ²でニードルパンチを行った。次に、こ
のパンチウェブを、１９０℃に加熱された一対の平滑ロ
ールからなる熱圧接装置に通し、パンチウェブを圧縮し
て、目付１０８ｇ／ｍ²の不織布を得た。次にこの不織
布にアクリル酸エステル系のエマルジョンタイプのバイ
ンダーを固形分としての付着量が１０％になるように含
浸させて、乾燥及び熱処理を行い、目付１２０ｇ／ｍ²
のタフテッドカーペット用基布を得た。

【００２２】このタフテッドカーペット用基布に、１３
００デニールのナイロン６捲縮加工糸よりなるパイル糸
を用いて、ゲージ１／１０、ステッチ１０本／１イン
チ、ループパイルの高さ６ｍｍの条件で、タフティング
したところ、基布はタフティング加工に耐える良好な物
性を有し、層間剥離もなく、タフト性は良好であった。
またこの基布からパイル糸を抜き、不織布層Ｂ側からポ
リ塩化ビニルのペーストによるバッキングを行ったとこ
ろ、バッキング剤の浸透性も良く、剛性も良好であっ
た。表１には、基布のモジュラス強力（１０％伸長時の
応力）、引張強力、切断伸度、タフティング時の層間剥
離の有無、およびバッキング後の剛性を示した。

【００２３】実施例２不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
３デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を１４デニールとし、ＡとＢの目付比を３：
７とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペ
ット用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット
用基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッ
ドカーペットを得た。表１にカーペット基布およびバッ
キング後の物性を示した。

【００２４】実施例３不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
５デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を７デニールとし、ＡとＢの目付比を５：５
とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペッ
ト用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット用
基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッド
カーペットを得た。表１にカーペット基布およびバッキ
ング後の物性を示した。

【００２５】実施例４不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
５デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を１３デニールとし、ＡとＢの目付比を５：
５とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペ
ット用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット
用基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッ
ドカーペットを得た。表１にカーペット基布およびバッ
キング後の物性を示した。

【００２６】実施例５実施例１において、単糸繊度８デニールのポリエステル
長繊維群からなる不織布層Ｂを得た段階で、エンボスロ
ールで弱圧接して、一旦、ウェブとして巻き取った。同
様に単糸繊度３デニールのポリエステル長繊維群からな
る不織布層Ａを別のウェブとして巻き取った。この２種
類の不織布の目付比が５：５となるようにウェブを重ね
合わせてニードルパンチ機に通し、他は実施例１と同様
の方法でタフテッドカーペット用基布を得た。得られた
基布は層間剥離もなく、バッキング後の剛性も良好であ
った。表１に基布の物性とバッキング後の物性を示し
た。

【００２７】比較例１不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
１デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を８デニールとし、ＡとＢの目付比を５：５
とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペッ
ト用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット用
基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッド
カーペットを得たところ、不織布層Ａ側の繊維がニード
ルパンチにより切断されてしまったため、１０％伸長時
の応力、引張強力とも低く、バッキング後の剛性も不足
した。表２にカーペット基布およびバッキング後の物性
を示した。

【００２８】比較例２不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
３デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を５デニールとし、ＡとＢの目付比を５：５
とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペッ
ト用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット用
基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッド
カーペットを得たところ、１０％伸長時の応力、引張強
力とも低く、バッキング後の剛性も不足した。表２にカ
ーペット基布およびバッキング後の物性を示した。

【００２９】比較例３不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
３デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を８デニールとし、ＡとＢの目付比を８：２
とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペッ
ト用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット用
基布を使用して、実施例１と同様の方法で、タフテッド
カーペットを得たところ、引張強力が低かった。また、
バッキング剤が浸透しにくく、バッキング後の剛性が不
足した。表２にカーペット基布およびバッキング後の物
性を示した。

【００３０】比較例４不織布層Ａを構成するポリエステル長繊維の単糸繊度を
７デニール、不織布層Ｂを構成するポリエステル長繊維
の単糸繊度を１８デニールとし、ＡとＢの目付比を５：
５とする他は、実施例１と同様にしてタフテッドカーペ
ット用基布を得たところ、単糸繊度が太いため、ニード
ルパンチを行っても不織布層同士が交絡しにくかった。
このタフテッドカーペット用基布を使用して、タフテッ
ドカーペットを得たところ、タフテッドカーペット用基
布は、風合が堅く１０％伸長時の応力が低かった。結果
を表１に示す。なお、実施例１〜５および比較例１〜４
のいずれにおいても、基布の目付量およびバッキング剤
の使用量はいずれも同一とした。

【００３１】

【表１】

【００３２】

【表２】

【００３３】カーペット用基布およびカーペットとして
の性能評価方法実施例１〜５および比較例１〜４で得られた基布の性能
評価法。（１）引張強力および伸度株式会社東洋ボールドウイン製の定速伸長型試験機テン
シロンＲＴＭ−５００を用い、幅５ｃｍ、長さ３０ｃｍ
の短冊状試料片を、つかみ間隔２０ｃｍ，引張速度２０
ｃｍ／分でＪＩＳＬ１０９６に記載のストリップ法
に準じて測定した。そして、試料片１０枚の平均値を求
め、強力についてはこれを目付１００ｇ／ｍ²に換算し
た。ＭＤ方向とＣＤ方向についてそれぞれ、１０枚の平
均値を求めた。（２）１０％伸張時の応力上記の引張試験で描かれたＳ−Ｓ曲線から、１０％伸長
時の応力を求め、これの平均値を目付１００ｇ／ｍ²に
換算した値を１０％伸長時の応力とした。ＭＤ方向と
ＣＤ方向についてそれぞれ、１０枚の平均値を求めた。

【００３４】（３）層間剥離の評価基布にパイルをタフティングした後、パイルを抜き、層
の状態を目視で判断した。 ○：層間剥離が全くしていないもの ×：部分的であれ層状の分離、または剥離しているもの（４）剛性の評価基布にパイルをタフティングした後、パイルを抜き、Ｍ
Ｄ２１ｃｍ×ＣＤ３０ｃｍの試料を準備する。厚さ３mm
の枠を置き、不織布層Ｂ側から塩ビペーストを流し込
み、表面を均一にのばしてバッキングを行う。１５０℃
の熱風乾燥機で１０分間処理を行い、枠をカットし、Ｍ
Ｄ１７ｃｍ×ＣＤ２４ｃｍのサンプルを得て、ＪＩＳ-
Ｌ１０９６に記載の４５度カンチレバー法に準じて測定
する。この時、バッキング側が斜面に接するように置
き、ＣＤ方向のみ水平台の上を滑らせて測定する。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るタフ
テッドカーペット用基布は、不織布を構成する長繊維を
特定の単糸繊度に限定して組み合わせることによって、
優れたタフティング加工性を有し、カーペットとしての
剛性を向上させるという効果を奏する。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】単糸繊度が２デニール以上６デニール未
満の長繊維群からなる不織布層Ａと、単糸繊度が６デニ
ール以上１５デニール未満の長繊維群からなる不織布層
Ｂとを積層して構成され、Ａ層とＢ層の目付比が２：８
〜６：４であるタフテッドカーペット用基布。
【請求項２】長繊維相互間がニードルパンチにより交
絡されている請求項１記載のタフテッドカーペット用基
布。
【請求項３】長繊維の融点下３０℃よりも低い温度で
熱圧接して得られる請求項１または２記載のタフテッド
カーペット用基布。
【請求項４】基布中５〜１５重量％のバインダーを含
む請求項１、２または３いずれかに記載のタフテッドカ
ーペット用基布。