JP3259945B2 - タフテッドカーペット用基布 - Google Patents
タフテッドカーペット用基布Info
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Description
れてなる不織布よりなるタフテッドカーペット用基布に
関し、特に、長繊維相互間を結合するバインダー樹脂と
して特殊なものを採用することによって、低温成型性を
向上させたタフテッドカーペット用基布に関するもので
ある。
織布を、タフテッドカーペット用基布として用いること
は知られている。このタフテッドカーペット用基布は、
パイル糸をタフティング(パイル糸を植え込む)する際
の支持体として用いられるものである。このようなタフ
テッドカーペット用基布を使用したタフテッドカーペッ
トの製造方法は、以下のとおりである。即ち、タフテッ
ドカーペット用基布に、未染色のパイル糸(例えば、未
染色のナイロン糸よりなるパイル糸)をタフティングし
た後、パッドスチーム連続染色機等を用いてパイル糸を
所望の色合いに染色し、タフテッドカーペットを得ると
いうものである。また、染色した後に、タフテッドカー
ペットを所望の型に成型したい場合には、タフテッドカ
ーペットに熱を付与し、金型(雄型と雌型とよりなる金
型)を用い、加圧して成型タフテッドカーペットを得る
というものである。
においては、染色時に、タフテッドカーペット用基布に
パイル糸及び染液の重量が負荷されると同時に、比較的
高い湿熱が負荷される。このような苛酷な条件下では、
タフテッドカーペット用基布が伸びたり或いは破断した
りすることがあった。このような問題点を解決するため
には、比較的高い湿熱下においても、寸法安定性の良好
なタフテッドカーペット用基布が要求され、この要求に
答える技術として、特公昭61−8189号公報に記載
されたものが提案されている。この技術は、長繊維相互
間を結合するバインダー樹脂として、ガラス転移点が2
0℃以上のものを採用することにより、比較的高い湿熱
下においても、バインダー樹脂による結合箇所を動きに
くくしたものである。このようなバインダー樹脂を使用
すると、タフテッドカーペットを成型したい場合には、
必然的に、比較的高温で加熱しなければならない。何故
なら、低温加熱では、バインダー樹脂による長繊維相互
間の結合箇所が動きにくく、所望の型に成型しにくいか
らである。
は先染糸が用いられるようになり、タフテッドカーペッ
トの染色加工が不要になりつつあるという状況が現われ
ている。この場合には、タフテッドカーペットに染液の
重量や比較的高い湿熱が負荷されることが無いため、タ
フテッドカーペット用基布にも厳しい物性が要求されな
い。従って、長繊維相互間を結合するためのバインダー
樹脂としても、ガラス転移点が20℃以上のものを採用
する必要がなく、どのようなガラス転移点のものであっ
ても差し支えないという状況になっている。また、この
ような状況下では、タフテッドカーペットを成型する際
に、高温で加熱する必要性も少なくなり、省エネルギー
の観点から低温加熱で、長繊維相互間の結合箇所が動き
やすくなるバインダー樹脂が求められている。
の下で、本発明者は、バインダー樹脂のガラス転移点に
とらわれることなく、低温加熱で、長繊維相互間の結合
箇所が動きやすくなるバインダー樹脂を探し求めた。し
かしながら、これまでに使用されていたタフテッドカー
ペット用基布に用いられているバインダー樹脂は、低温
加熱における成型性が不良であるものが多かった。この
理由は、タフテッドカーペットの製造時に染色加工の厳
しい条件に耐え得る物性が必要であったからである。即
ち、タフテッドカーペット用基布のバインダー樹脂に
は、なるべくガラス転移点の高いバインダー樹脂が用い
られており、染色加工時の厳しい条件に耐え得る基布を
得た後、タフテッドカーペットを成型できればよいとい
う考えであった。しかし、最近になって、各種の成型品
が必要となり、タフテッドカーペットの成型不良が多発
するようになってきた。
ット用基布のバインダー樹脂という範疇を超えて、種々
の樹脂を用いて検討を重ねた。この結果、ガラス転移点
が一定の範囲内であると共に、軟化点が一定の範囲内で
あり、且つ軟化点とガラス転移点の差が特定値以下の樹
脂を、長繊維相互間の結合のためのバインダー樹脂とす
れば、低温加熱によって、長繊維相互間の結合箇所が動
きやすくなることを見出し、本発明に到達したのであ
る。即ち、バインダー樹脂のガラス転移点と軟化点と
が、バインダー樹脂の温度−流動特性に影響を与えるパ
ラメーターとなっていることを見出し、本発明を完成し
たのである。
群が集積されてなり、該長繊維相互間がバインダー樹脂
で結合されてなるタフテッドカーペット用基布におい
て、前記バインダー樹脂のガラス転移温度が−35℃〜
+5℃であると共に、その軟化点が−15℃〜+20℃
であり、且つ該軟化点と該ガラス転移点の差が5℃〜5
0℃であることを特徴とするタフテッドカーペット用基
布に関するものである。
は、長繊維群が集積されてなり、この長繊維相互間がバ
インダー樹脂で結合されてなるものである。長繊維とし
ては、ポリエステル系長繊維やポリアミド系長繊維等が
用いられる。また、二成分系の芯鞘型複合長繊維やサイ
ドバイサイド型複合長繊維等の複合型長繊維も用いられ
る。芯鞘型複合長繊維としては、芯成分がポリエステル
で鞘成分がポリアミド或いは共重合ポリエステルのも
の、又はその逆のタイプのもの等を用いることができ
る。また、サイドバイサイド型複合繊維としては、ポリ
エステル−ポリアミド系のものやポリエステル−共重合
ポリエステル系のもの等が用いられる。特に、本発明に
おいては、比較的融点の高いポリエステル系長繊維を用
いるのが好ましい。この理由は、タフテッドカーペット
を加熱成型する際に、基布を構成する長繊維の劣化を防
止するためである。
〜30デニール程度が好ましく、特に3〜20デニール
が最も好ましい。繊度が3デニール未満であると、パイ
ル糸をタフティングする際に、長繊維が切断しやすくな
り、タフテッドカーペットとなった時点における基布の
引張強度が低下する傾向が生じる。また、繊度が30デ
ニールを超えると、基布自体が粗剛となり、タフテッド
カーペットの柔軟性と成型性を阻害する恐れが生じる。
る。例えば、溶融紡糸法によって長繊維群を引き取りな
がら、この長繊維群を移動する捕集コンベア上に堆積さ
せることによって、集積する。そして、長繊維群が集積
した状態の繊維ウェブに、バインダー樹脂を付与して、
長繊維相互間を結合するのである。本発明においては、
バインダー樹脂を付与する前に、ニードルパンチを施し
て、長繊維相互間を交絡させるのが好ましい。この理由
は、得られるタフテッドカーペット用基布の引張強度が
向上させるためである。即ち、ニードルパンチを施して
おけば、比較的少量のバインダー樹脂を付与することに
よって、所望の引張強度を持つタフテッドカーペット用
基布が得られるのである。繊維ウェブに施されるニード
ルパンチの針密度は、使用するニードル針の種類や針深
度によって適宜設定されるが、一般的に40〜120回
/cm2であるのが好ましい。針密度が40回/cm2未
満であると、長繊維相互間の交絡の程度が低く、バイン
ダー樹脂を比較的多量に使用しないと、タフテッドカー
ペット用基布に所望の引張強度を付与しにくくなる。ま
た、針密度が120回/cm2を超えると、長繊維相互
間の交絡が激しくなりすぎて、ニードルパンチを施して
いるときに、長繊維が切断する恐れがあり、またタフテ
ッドカーペットの成型性が悪くなる恐れがある。
互間を結合するためのバインダー樹脂として、特殊のも
のを採用した点にある。即ち、本発明において使用する
バインダー樹脂は、(i)そのガラス転移点が−35℃
〜+5℃であること、(ii)その軟化点が−15℃〜+
20℃であること、(iii)この軟化点とこのガラス転
移点の差が5℃〜50℃であることという物性を持つ必
要がある。
未満である場合、又はバインダー樹脂の軟化点が−15
℃未満である場合は、バインダー樹脂による長繊維相互
間の結合箇所が、過大に動きやすくなり、基布の製造時
に巾入れが生じたり、パイル糸をタフティングする時に
目飛びが発生するため、好ましくない。また、タフテッ
ドカーペットを成型する際に、基布全体が均一に変形せ
ず、成型部分のみが過大に伸びて、成型部分における基
布が薄くなり、均一な厚さのタフテッドカーペットが得
られにくくなるため、好ましくない。また、バインダー
樹脂のガラス転移点が+5℃を超えた場合、又はバイン
ダー樹脂の軟化点が+20℃を超えた場合は、バインダ
ー樹脂による長繊維相互間の結合箇所が動きにくくな
り、低温加熱による成型が不能になるので好ましくな
い。なお、この場合に、無理矢理低温加熱による成型を
行うと、基布が破断してしまう。
差(即ち、軟化点−ガラス転移点)が5℃未満である
と、バインダー樹脂の温度−流動特性が安定しておら
ず、タフテッドカーペットの成型時に、成型部分のみが
過大に伸びたり、又は低温加熱による成型が不能になっ
たりするので、好ましくない。また、バインダー樹脂の
軟化点とガラス転移点の差が50℃を超えると、軟化点
が低くても、低温加熱時におけるバインダー樹脂の温度
−流動特性が悪く、成型が不能になるので好ましくな
い。
ける長繊維相互間のバインダー樹脂による結合箇所の動
きやすさ、即ちこれはバインダー樹脂の温度−流動特性
に関連するものであるが、これが、バインダー樹脂のガ
ラス転移点,バインダー樹脂の軟化点,及び軟化点とガ
ラス転移点の差という三種のパラメーターに関係してい
るという知見に基づいてなされたものなのである。
ラス転移点は、以下の如き方法で測定されるものであ
る。即ち、バインダー樹脂液を、ガラス板等の離型板上
に塗布し、室温で放置して乾燥させ、フィルムを成膜さ
せる。そして、このフィルムを160℃で5分間熱処理
して、バインダー樹脂試料とする。即ち、このバインダ
ー樹脂試料は、バインダー樹脂液の乾燥,熱処理によっ
て得られるもので、タフテッドカーペット用基布の長繊
維相互間を結合しているバインダー樹脂と同一の物性を
示すものとみなされる。そして、このバインダー樹脂試
料を、パーキンエルマー社製のDSC−7型を用いて、
昇温速度10℃/分で融解熱量曲線を描く。この融解熱
量曲線において、ガラス状態のときのベースラインの延
長線と、最大傾斜の接線との交点をガラス転移点とし
た。
方法で測定されるものである。即ち、ガラス転移点を測
定する場合と同様にして、バインダー樹脂試料を得る。
このバインダー樹脂試料を、株式会社第二精工舎製SS
C−560Mを用い、昇温速度を10℃/分とし、試料
に押圧されている圧子針の負荷荷重を10gとして、圧
子針が試料に侵入する深さを測定する。そして、横軸を
温度とし、縦軸を圧子針の試料への侵入深さとして、曲
線を描く。なお、この曲線のことを、TMA曲線(熱機
械的分析装置で描かれた曲線)と言う。このTMA曲線
において、圧子針が侵入し始めるよりも低温側に認めら
れる直線部分を高温側に延長し、一方、侵入速度が最大
となる部分の接線(即ち、TMA曲線の最大微分値の
線)を低温側に延長し、この両直線の交点を軟化点とし
た。
は、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸
ブチル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メ
タクリル酸ブチル,アクリロニトリル,スチレン等のモ
ノマーを、二種以上組み合わせて所望のモル比で共重合
した共重合体を採用するのが好ましい。また、この共重
合体が架橋剤によって架橋されている架橋型のバインダ
ー樹脂を用いてもよい。架橋剤としては、メラミン樹
脂,フェノール樹脂,ホルムアルデヒド樹脂等を用いる
ことができる。
るために用いられるものであるが、具体的には、繊維ウ
ェブにバインダー樹脂液を含浸又はスプレー等の手段で
付与し、乾燥し、所望により熱処理して、長繊維相互間
に付着させる。バインダー樹脂液は、一般的に、バイン
ダー樹脂を水中に乳化状態で分散させたラテックスの形
態で用いられる。従って、このバインダー樹脂液を繊維
ウェブに付与した後、乾燥すれば、長繊維相互間にバイ
ンダー樹脂が付着されるわけである。
インダー樹脂の量は、タフテッドカーペット用基布の総
重量に対して、5〜30重量%であるのが好ましい。バ
インダー樹脂の付着量が5重量%未満であると、長繊維
相互間の結合が弱くなる傾向が生じ、タフテッドカーペ
ット用基布の引張強度が低下する恐れがある。一方、バ
インダー樹脂の付着量が30重量%を超えると、長繊維
相互間に存在するバインダー樹脂が多くなりすぎて、パ
イル糸をタフティングする際に、タフティング用針が基
布を貫通しにくくなる。更に、タフテッドカーペットの
成型性も劣る傾向が生じる。また、タフテッドカーペッ
ト用基布の総重量(目付)は、適宜設計しうる事項であ
るが、一般的に50〜150g/m2であるのが好まし
い。タフテッドカーペット用基布の目付が50g/m2
未満になると、基布中の繊維量が少なく、引張強度が低
下する傾向が生じる。一方、この目付が150g/m2
を超えると、過剰物性となって、経済的ではない。な
お、タフトカーペット用基布の目付は、基布から50c
m×50cmの試料片を10枚切り取り、平衡水分にし
た後に、各試料片の重量を秤量し、この平均値を単位平
方メートル当りの重量に換算したものである。
用基布の剛軟度は、50〜120であるのが好ましい。
剛軟度が50未満であると、タフテッドカーペット用基
布が柔らかすぎて、パイル糸をタフティングする際に変
形したり、成型時に伸びすぎたりして、取り扱いにく
い。また、剛軟度が120を超えると、基布が粗剛とな
り、成型性が低下する恐れがある。本発明で言う剛軟度
の測定方法は、以下のとおりである。即ち、タフテッド
カーペット用基布から、巾2cm,長さ15cmの試料
片を切り取る。この際、試料片の長さ方向が基布の縦方
向と合致するのもの(MD試料片)10枚と、試料片の
長さ方向が基布の横方向と合致するもの(CD試料片)
10枚とを切り取った。各試料片について、DAIEI
KEIKI 風合メーター MODEL FM−2
No.82−004を用いて、スリット幅を30mmと
し、JIS L 1096のハンドルオメーター法に準
じて、各剛軟度を測定した。そして、MD試料片の剛軟
度の表面の平均値と裏面の平均値の和と、CD試料片の
剛軟度の表面の平均値と裏面の平均値の和とを合計した
ものを、本発明で言う剛軟度として示した。なお、基布
の縦方向とは、基布を製造する際の流れ方向のことであ
り、機械方向(Machine Direction)
とも言うので、本件明細書中ではMDと略記することも
ある。また、基布の横方向とは、この縦方向と直交する
方向のことであり、Cross Directionと
も言うので、本件明細書中ではCDと略記することもあ
る。
フテッドカーペットの縦方向と合致し、またタフテッド
カーペット用基布の横方向はタフテッドカーペットの横
方向と合致する。従って、パイル糸のタフティング時
に、基布の縦方向には比較的高い荷重が負荷され、基布
の横方向には比較的低い荷重が負荷される傾向にある。
従って、このような負荷荷重によって破断することを防
止するために、タフテッドカーペット用基布の縦方向及
び横方向の引張強度は、以下のとおりであるのが好まし
い。即ち、本発明に係るタフテッドカーペット用基布の
縦方向の引張強度は、15kgf/5cm巾以上が好ま
しく、また横方向の引張強度は、12kgf/5cm巾
以上であるのが好ましい。また、パイル糸をタフティン
グする際に、タフテッドカーペット用基布はある程度伸
びが必要であり、以下のような強伸度特性を持つものを
使用するのが好ましい。即ち、基布の縦方向の10%伸
長時の応力は、7kgf/5cm巾以上であるのが好ま
しく、また横方向の10%伸長時の応力は、3kgf/
5cm巾以上であるのが好ましい。基布の縦方向の引張
伸度は、30%以上であるのが好ましく、また横方向の
引張伸度は、40%以上であるのが好ましい。
て測定されるものである。即ち、巾5cmの短冊状試料
片を準備し、つかみ間隔10cm,引張速度20cm/
分で、株式会社東洋ボールドウイン製の定速伸長型試験
機テンシロンUTM−4−1−100を用い、JIS
L 1096に記載のストリップ法に準じて測定する。
そして、試料片10枚の平均値を求め、これを目付10
0g/m2に換算した値を引張強度とした。また、本発
明で言う引張伸度は、目付100g/m2に換算しない
他は、前記引張強度の測定法と同様にして測定するもの
である。なお、短冊状試料片の長さ方向が基布のMD方
向と合致するもの10枚の平均値を、基布の縦方向(M
D)の引張強度及び引張伸度とし、短冊状試料片の長さ
方向が基布のCD方向と合致するもの10枚の平均値
を、基布の横方向(CD)の引張強度及び引張伸度とし
た。また、本発明で言う10%伸長時の応力は、以下の
ようにして測定されるものである。即ち、上記の引張試
験で描かれたS−S曲線から、10%伸長時の応力を求
め、これの平均値を目付100g/m2に換算した値を
10%伸長時の応力とした。なお、基布の縦方向(M
D)及び横方向(CD)の意味については、引張強度等
の場合と同様である。
発明に係るタフテッドカーペット用基布に、パイル糸を
タフティングして植え込めば良い。パイル糸としては、
後加工である染色加工が不要となるように、原着糸や先
染糸を用いるのが好ましい。原着糸としては、原着ポリ
プロピレン糸,原着ポリエステル糸,原着ナイロン糸等
が用いられる。また、先染糸としては、先染ポリプロピ
レン糸,先染ポリエステル糸,先染ナイロン糸等が用い
られる。本発明においては、経済性等の観点から、原着
又は先染ポリプロピレン糸を用いるのが好ましい。
ットの裏面に、パイル糸を固定する目的と、タフテッド
カーペットの成型保持のために、ポリエチレンをTダイ
より流して固定した後、成型が施される。特に、自動車
用タフテッドカーペットを製造する際には、自動車の床
や天井,或いはドアの内面に合わせた形状に、成型する
のが好ましい。本発明においては、この成型を低温で行
うことが可能であり、100〜150℃程度の温度で成
型することができる。特に、130℃前後の低温で成型
することが可能である。タフテッドカーペットを成型す
るには、所定の温度で加熱処理した後、雄型と雌型より
なる金型で、加圧成型すれば良い。
る。実施例中における基布の成型性については、図1に
示した器具を用いて、以下の方法で評価したものであ
る。まず、基布から50cm×25cmの大きさの試料
4を10枚準備する。一方、円錐型で先端が丸くなった
ピストン1(雄型)と、これに対応する円錐状の凹部
(直径120mm,深さ80mm)を持つ雌型2とより
なる金型を準備する。そして、各試料4を枠3に固定
し、この状態で130℃の熱風乾燥機で5分間処理す
る。その後、枠3を雌型2上に固定し、この状態でピス
トン1を雌型2の凹部に向けて加圧し成型を行う。加圧
した後、10秒間放置し、枠3と共に成型試料5を金型
から取り出す。成型試料5が冷えたことを確認し、枠3
から成型試料5を外す。この状態は図2に示したとおり
であり、この成型試料5の外観を目視で判断して、次の
3段階で評価する。即ち、○:基布が均等に伸び、きれ
いに型のついたもの、△:基布は破れないが、均等に伸
びず、先端が薄くなったもの、×:基布が破れたもの、
の3段階で評価した。そして、10枚の各試料について
の平均的な結果を、基布の成型性として評価した。な
お、実施例中におけるバインダー樹脂のガラス転移点,
バインダー樹脂の軟化点,基布の目付,基布の剛軟度,
基布の引張強度,基布の引張伸度,基布の10%伸長時
の応力は、前述した方法で測定したものである。
限粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート
を溶融温度285℃で口金より溶融紡糸した。吐出する
フィラメントを紡糸速度5000m/分となるように、
エアーサッカーで延伸しながら引き取り、繊度約5デニ
ールのポリエステル長繊維群を得た。この長繊維群を、
エアーサッカーの出口に設けられた開繊装置で開繊させ
た後、移動する金網製捕集コンベア上に堆積させて、繊
維ウェブを得た。次いで、この繊維ウェブを、オルガン
社製のRPD36#のニードル針を植え込んだニードル
パンチング機械に通し、針密度60回/cm2でニード
ルパンチを行った。この後、パンチウェブを、190℃
に加熱された一対の平滑ロールからなる熱圧接装置に通
し、パンチウェブを圧縮して、目付100g/m2の不
織布を得た。
ルとを主成分として、共重合したアクリル酸エステル系
共重合体が水中に乳化分散しているバインダー樹脂液を
準備した。そして、上記の不織布に、このバインダー樹
脂液を含浸させて、乾燥及び熱処理を行うことによっ
て、目付115g/m2のタフテッドカーペット用基布
を得た。従って、バインダー樹脂の付着量は13%であ
る。このバインダー樹脂液を用いて、前述した方法でバ
インダー樹脂のガラス転移点及び軟化点を測定したとこ
ろ、ガラス転移点は−12℃であり、軟化点は+5℃で
あった。
を評価したところ、成型性は表1に示したとおり良好で
あった。また、このタフテッドカーペット用基布のその
他の物性についても、表1に示したとおりであった。
00デニールの先染ポリプロピレン糸よりなるパイル糸
を用いて、ゲージ1/10,ステッチ10本/1イン
チ,ループパイルの高さ6mmの条件で、タフティング
したところ、タフト性も良好であり、得られたタフテッ
ドカーペットの物性も、表2に示したとおり良好であっ
た。
酸エチルとを主成分として、共重合したアクリル酸エス
テル系共重合体を主体とするバインダー樹脂であって、
ガラス転移点が−29℃で軟化点が−11℃のバインダ
ー樹脂に変更し、且つバインダー樹脂の付着量を18%
とする他は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペッ
ト用基布を得た。そして、このタフテッドカーペット用
基布を使用して、実施例1と同様の方法で、タフテッド
カーペットを得た。タフテッドカーペット用基布の成型
性及びその他の物性は表1に示したとおりであり、タフ
テッドカーペットの物性は表2に示したとおりであっ
た。
エチルとアクリロニトリルとを主成分として、共重合し
たアクリル酸エステル系共重合体を主体とするバインダ
ー樹脂であって、ガラス転移点が−25℃で軟化点が1
7℃のバインダー樹脂に変更する他は、実施例1と同様
にしてタフテッドカーペット用基布を得た。そして、こ
のタフテッドカーペット用基布を使用して、実施例1と
同様の方法で、タフテッドカーペットを得た。タフテッ
ドカーペット用基布の成型性及びその他の物性は表1に
示したとおりであり、タフテッドカーペットの物性は表
2に示したとおりであった。
を主成分として、共重合したアクリル酸エステル系共重
合体を主体とするバインダー樹脂であって、ガラス転移
点が0℃で軟化点が10℃のバインダー樹脂に変更する
他は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット用基
布を得た。そして、このタフテッドカーペット用基布を
使用して、実施例1と同様の方法で、タフテッドカーペ
ットを得た。タフテッドカーペット用基布の成型性及び
その他の物性は表1に示したとおりであり、タフテッド
カーペットの物性は表2に示したとおりであった。
た。そして、パイル糸を1300デニールのBCFナイ
ロン糸に変更する他は、実施例1と同様にしてタフテッ
ドカーペットを得た。タフテッドカーペット用基布の成
型性及びその他の物性は表1に示したとおりであり、タ
フテッドカーペットの物性は表2に示したとおりであっ
た。
酸メチルとを主成分として、共重合したアクリル酸エス
テル系共重合体を主体とするバインダー樹脂であって、
ガラス転移点が16℃で軟化点が31℃のバインダー樹
脂に変更する他は、実施例1と同様にしてタフテッドカ
ーペット用基布を得た。このタフテッドカーペット用基
布は全体として硬く、成型試験の際に基布が破れてしま
った。また、タフテッドカーペット用基布のその他の物
性は、表1に示したとおりであった。このタフテッドカ
ーペット用基布を使用して、実施例1と同様の方法で、
タフテッドカーペットを得た。このタフテッドカーペッ
トの物性は、表2に示したとおりであった。
酸メチルとを主成分として、共重合したアクリル酸エス
テル系共重合体を主体とするバインダー樹脂であって、
ガラス転移点が5℃で軟化点が47℃のバインダー樹脂
に変更し、且つバインダー樹脂の付着量を17%とする
他は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット用基
布を得た。このタフテッドカーペット用基布は全体とし
て硬く、成型試験の際に基布が破れてしまった。また、
タフテッドカーペット用基布のその他の物性は、表1に
示したとおりであった。このタフテッドカーペット用基
布を使用して、実施例1と同様の方法で、タフテッドカ
ーペットを得た。このタフテッドカーペットの物性は、
表2に示したとおりであった。
メチルとを主成分として、共重合したアクリル酸エステ
ル系共重合体を主体とするバインダー樹脂であって、ガ
ラス転移点−40℃で軟化点が−25℃のバインダー樹
脂に変更し、且つバインダー樹脂の付着量を17%とす
る他は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット用
基布を得た。このタフテッドカーペット用基布は全体と
して柔らかすぎて、成型試験の際に全体が均一に伸び
ず、ピストン1の先端に対応する箇所の伸びが激しく、
その部分が薄くなってしまった。また、タフテッドカー
ペット用基布のその他の物性は、表1に示したとおりで
あった。このタフテッドカーペット用基布を使用して、
実施例1と同様の方法で、タフテッドカーペットを得
た。このタフテッドカーペットの物性は、表2に示した
とおりであった。
テッドカーペット用基布は、ガラス転移点及び軟化点が
特定の範囲にあるバインダー樹脂を使用して、集積され
ている長繊維相互間を結合したものである。従って、1
00〜150℃、特に130℃前後の温度による低温加
熱による成型によって、バインダー樹脂の存在する長繊
維相互間の結合箇所が動きやすく、その結果、低温成型
性に優れるという効果を奏する。
る際における、金型及び試料の配置を示した模式的断面
図である。
基布の形状を示した模式的断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 長繊維群が集積されてなり、該長繊維相
互間がバインダー樹脂で結合されてなるタフテッドカー
ペット用基布において、前記バインダー樹脂のガラス転
移温度が−35℃〜+5℃であると共に、その軟化点が
−15℃〜+20℃であり、且つ該軟化点と該ガラス転
移点の差が5℃〜50℃であることを特徴とするタフテ
ッドカーペット用基布。 - 【請求項2】 長繊維がポリエステル系長繊維である請
求項1記載のタフテッドカーペット用基布。 - 【請求項3】 長繊維相互間がニードルパンチにより交
絡されている請求項1又は2記載のタフテッドカーペッ
ト用基布。 - 【請求項4】 バインダー樹脂の付着量が5〜30重量
%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタフテ
ッドカーペット用基布。 - 【請求項5】 剛軟度が50〜120である請求項1乃
至4のいずれか一項に記載のタフテッドカーペット用基
布。 - 【請求項6】 縦方向の引張強度が15kgf/5cm
巾以上、横方向の引張強度が12kgf/5cm巾以
上、縦方向の10%伸長時の応力が7kgf/5cm巾
以上、横方向の10%伸長時の応力が3kgf/5cm
巾以上、縦方向の引張伸度が30%以上、横方向の引張
伸度が40%以上である請求項1乃至5のいずれか一項
に記載のタフテッドカーペット用基布。 - 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の
タフテッドカーペット用基布に、原着糸又は先染糸より
なるパイル糸をタフティングしてタフテッドカーペット
を得た後、該タフテッドカーペットを100〜150℃
に加熱して、所定の型に成型することを特徴とする成型
タフテッドカーペットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10351896A JP3259945B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | タフテッドカーペット用基布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10351896A JP3259945B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | タフテッドカーペット用基布 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09268463A JPH09268463A (ja) | 1997-10-14 |
JP3259945B2 true JP3259945B2 (ja) | 2002-02-25 |
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ID=14356173
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10351896A Expired - Fee Related JP3259945B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | タフテッドカーペット用基布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3259945B2 (ja) |
-
1996
- 1996-03-28 JP JP10351896A patent/JP3259945B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09268463A (ja) | 1997-10-14 |
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