JP3200900U - 展示会用の軽量カーペット - Google Patents

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Abstract

【課題】展示会用のカーペットとして比較的軽量且つ薄いので、従来よりも搬送本数が増えしかも展示会の床面に敷設しやすい軽量カーペットを提供する。【解決手段】繊度6.6〜17デシテックスのポリエステル繊維85〜90重量%と、低融点の熱融着性繊維10〜15重量%とからなり、両繊維をブレンド後にラップをニードルパンチしてフェルト層2を形成し、得たフェルト層2の裏面に樹脂3をコーティングしており、カーペット全体の目付が522〜638g/m2および厚さが2.4〜3.0mmである。【選択図】図1

Description

本考案は、展示会用のカーペットとして比較的軽量且つ薄いので、従来よりも搬送本数が増えしかも展示会の床面に敷設しやすい軽量カーペットに関する。
ニードルパンチフェルトは、比較的安価で見栄えがするので、個人住居や公共の会場などで床材つまりカーペットとして広く使用されている。特に、展覧会、見本市、博覧会のような展示会、催し物、コンサートなどでは、会場の床に展示物に会わせた色のカーペットをそのつど搬入して敷設し、会の終了後にそのカーペットを剥がしてから筒状に巻き取って搬出することが必要である。
合成繊維や羊毛繊維製のフェルトをカーペットとして使用する例として、実開昭55-125184号、実開昭60-125984号、特表2001-501682号、実用新案登録第3124672号などが存在する。このうちで、本出願人は、実開昭60-125984号および実用新案登録第3124672号を提案している。これらのカーペットでは、フェルト裏側に発泡樹脂の裏面層を接着するかまたは熱融着し、該カーペットのクッション性を高めている。この裏面層の発泡樹脂は、ポリウレタン、ポリスチレンまたはポリオレフィンなどであり、フェルトの表面層と同程度の厚みにするかまたはそれ以上の厚みに定める。
実開昭55-125184号および実開昭60-125984号に開示のカーペットは、フェルト層が比較的薄く、該フェルト層に基布が存在しないけれども、下側の樹脂層は比較的厚い。これらのカーペットにおけるフェルト層の繊維素材は、前者では特に開示しておらず、一方、後者では羊毛を使用することを開示し、特に開示していない場合では、典型的な天然フェルトである羊毛フェルトであると解釈するしかない。使用する羊毛繊維は、高い絡合性を有するけれども、合成繊維を一部添加しても非常に高価であり、安価な展示会用のカーペットに用いるには実際的ではない。
実開昭55-125184号公報 実開昭60-125984号公報 特表2001-501682号公報 実用新案登録第3124672号公報
特表2001-501682号および実用新案登録第3124672号に開示のカーペットは、フェルト層において比較的安価な合成繊維素材を使用し、該フェルト層に基布が存在することにより、カーペットの強度が増し、カーペットの寸法安定性も優れている。しかしながら、基布を介在させたカーペットは、仕様的に重く且つ厚くなるので、展示会などの床面に敷設する際に、該カーペットを搬入して敷設するのが難しく、会の終了後にそのカーペットを剥がしてから筒状に巻き取って搬出する作業も大変である。
一方、ニードルパンチカーペットにおける使用時のピリング発生およびへたりを回避するには、太くて硬い合成繊維の短繊維をフェルト層として用い、且つ裏面層を滑り止めだけで薄くすることが常識であった。しかしながら、使用短繊維を単に太くするだけでは、カーペット自体が重くなって前記のように運搬や保管に手間が掛かるうえに、ピリング発生を殆ど回避できず、且つカーペットにスケ、湾曲やフレアーが生じて施工効率が低下し、その割りには全体の強度が低くて耐久性を欠いていた。
本考案は、従来の展示会用のカーペットに関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、基布を介在させず、しかも比較的細いポリエステル繊維を使用することにより、比較的軽量であってしかも厚みが薄い展示会用の軽量カーペットを提供することを目的としている。本考案の他の目的は、展示会の床面に敷設しやすく、従来よりも筒状に巻き取った際に搬送本数が増える展示会用の軽量カーペットを提供することである。
本考案に係る展示会用の軽量カーペットは、目付522〜638g/mおよび厚さ2.4〜3.0mmである。本考案の軽量カーペットは、繊度6.6〜17デシテックスのポリエステル繊維85〜90重量%と、低融点の熱融着性繊維10〜15重量%とからなり、両繊維をブレンド後にカーディングを行い、次にクロス重ねしたラップをニードルパンチしてフェルト層を形成し、得たフェルト層の裏面に樹脂をバスロールコーティングした後に、樹脂が表面に浮き出ない程度にプレスして含浸・乾燥させて樹脂層を形成する。
本考案に係る軽量カーペットにおいて、フェルト層が目付270〜330g/mおよび厚さが1.6〜2.0mm、樹脂層が目付252〜308g/mおよび厚さが0.8〜1.0mmであることにより、基布を介在させなくても防炎性を有する。
本考案に係る軽量カーペットにおいて、ASTM D−2512による耐ピリング性が3.5級以上であり、フレアーが目立たず、生地のスケが無いと好ましい。また、好ましくは、破断強度(N/5cm)が縦476〜782および横418〜624、破断伸度が縦65〜97%および横92〜131%、1%伸度時破断強度(N/5cm)が縦13〜33および横10〜27、3%伸度時破断強度(N/5cm)が縦88〜145および横46〜88、テープ接着性(N/4cm)が横5.5以上、湾曲が15mm以下である。
本考案に係る軽量カーペットは、フェルト層において比較的細いポリエステル繊維と少量の熱融着性繊維を使用し、該フェルト層および樹脂層だけで基布を介在させていない。本考案の軽量カーペットでは、加熱処理後にポリエステル繊維が熱融着性繊維で融着され、しかもフェルト層に樹脂層が含浸して乾燥されることにより、カーペット使用時に生地のスケが生じず、フレアーが目立たず、耐ピリング性も優れている。
本考案のカーペットは、1本単位の重量が軽減され、さらに巻き取り時の巻き径も細くなったことから扱い易くなり、これによってカーペット施工がしやすくなる。本考案のカーペットは、細く巻き取った状態でトラックなどに多数本同時に運搬でき、軽量であるので展示会の床面に敷設する作業が容易である。しかも会場から撤去する際には、軽量であるので撤去作業が容易になり、トラックなどで搬出する際に、従来よりも多数本同時に搬出することが可能である。例えば、小規模なイベント会場などでは、ライトバンでの輸送も多く、従来のカーペット巻きでは11本しか積めなかったけれども、本考案の細巻き仕様であると4本多く、15本は積める計算になる。
本考案に係る軽量カーペットの概略断面図である。 軽量カーペットのフェルト層を拡大して示す概略断面図である。 本考案に係る軽量カーペットを示す概略斜視図である。
本考案を図面によって説明すると、本考案に係る軽量カーペット1は、図1と図3に例示するように、上方のフェルト層2と、下方の樹脂層3とからなる。フェルト層2は、図2のように、主体となる繊度6.6〜17デシテックスのポリエステル繊維5と、低融点の熱融着性繊維7とを混綿して形成する。フェルト層2において、ポリエステル繊維5は、白および黒色または適宜のカラーを有して全体の85〜90重量%であり、熱融着性繊維は、白および黒色または適宜の原着カラーを有して全体の10〜15重量%である。
用いるポリエステル繊維5は繊度が6.6〜17デシテックスであると、同じ目付量でもフェルト生地にスケが生じず、耐ピリング性能の点でも好ましい。その繊度が6.6デシテックス未満であるとフェルト層2の耐久性や耐ピリング性が劣り、一方、繊度が17デシテックスを超えるとフェルト生地のスケが生じやすくなるため、より多量のポリエステル繊維5が必要になる。また、ポリエステル繊維5が全体の85〜90重量%であるのは、熱融着性繊維が全体の10重量%を超えると繊維の融着性能が発揮でき、一方、15重量%を超えるとフェルト層2が融着で硬くなりすぎるためである。
フェルト層2について、ポリエステル繊維5と熱融着性繊維7は、一般に、ブレンド後にカード機を通してカーディングを行って全体を均一に混綿し、ついで展綿・積層すればよい。ポリエステル繊維5は、一般に、合成繊維の中で耐熱性と価格の点でコストパフォーマンスが良好であり、所望に応じて一部に反毛(回収再生綿)を用いたり、ポリプロピレン,アクリル,ナイロンなどの他の合成繊維を一部加えることもできる。また、PETボトルリサイクル繊維を50重量%以上使用して、エコマークの取得も可能である。
この混綿の際に、ポリエステル繊維の融点よりも約40〜70℃低い融点の熱融着性繊維を10〜15重量%加えている。熱融着性繊維7は繊度が4.4〜8.8デシテックスであり、その繊度が4.4デシテックス未満であるとフェルト層2の寸法安定性が低下し、繊度が8.8デシテックスを超えるとフェルト層2が硬くなりやすい。熱融着性繊維の添加により、得たフェルト層2を熱処理した際に、フェルト生地のスケが生じなくなり、立体状に成形しやすくなる。
この熱融着性繊維には、低融点ポリエステル繊維、低融点ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示でき、エチレンまたはブテンなどとのコポリマーでもよい。熱融着性繊維は、通常の繊維よりも低融点であれば、融点が90〜170℃である公知の繊維や樹脂フィラメントまたはこれらの混合物なども使用可能であり、並列や芯鞘構造などの複合繊維でもよい。
ポリエステル繊維5は、糸の発色性を改善するために、スルホン酸基を導入したカチオン可染のポリエステル繊維でもよく、導入されたスルホン酸基の染着座にカチオン染料を結合させる。この場合、ポリエステル繊維5は、カチオン染料でしか出ない鮮やかな色に染めることが可能であり、または分散染料と合わせて2色以上に染め分けすることもできる。また、ポリエステル繊維5は、潜在捲縮のポリエステル繊維でもよい。ポリエステル繊維は、溶融高分子を細孔口金から押し出して冷却する溶融紡糸法で製造されるため、2種の高分子を同時に同じ細孔から押し出して2成分の複合繊維を形成したり、繊維の断面形状の異形化や中空化を行ってもよい。
潜在捲縮のポリエステル繊維は、複合繊維化において熱収縮が異なる2成分のポリエステル繊維を紡糸することによって製造する。潜在捲縮繊維は、紡糸後において通常の糸と同様に直線状であり、得た糸に熱を加えるとその糸が捲縮され、僅かに伸縮性のある糸となる。また、繊維の中空化により、見掛け比重が小さく且つ嵩高で軽量なフェルトを作ることもでき、異型断面化では、三角形断面にすると絹に似た風合を付与できる。潜在捲縮のポリエステル繊維をカーペット1に添加すると、該フェルトの伸縮性および弾性回復性を良化させることができる。
フェルト層2は、 クロスラッパーで混綿ラップをクロス重ねし、ついで該混綿ラップをニードルパンチ機で上下方向からニードルパンチすることによって絡合させる。このニードルパンチングでは、例えば、通常のロッキングニードルを用いて20〜200本/cm2の針密度で行う。フェルト層2は、樹脂の含浸・乾燥後に目付が270〜330g/m、厚さが1.6〜2.0mmであると好ましい。フェルト層2は、目付が270g/m未満であるとフェルト生地のスケ防止と所定の成形性を得ることができず、330g/mを超えると重くなりすぎて搬送作業および床面への敷設作業を阻害する。また、厚さが1.6mm未満であるとフェルト生地のスケ防止と所定の成形性を得ることができず、2.0mmを超えても品質が向上しないうえに、搬送作業および敷設作業を阻害する。
繊維を絡合させたフェルト層2は一旦巻き取られ、ついで樹脂加工設備においてSBR、BR、CR、NBR、IIRなどの樹脂をアンダーコートして樹脂層3を形成する。一例として、フェルト層2の裏面に樹脂をバスロールコーティングし、その後に、樹脂が表面に浮き出ない程度にプレスして含浸を制御する。樹脂の添加量は、フェルト層2に基布がないので浸透しやすく、通常よりも+30g/mとなっても280g/m前後に抑制できる。実際には、樹脂層3は目付252〜308g/mであり、目付252g/m未満ではカーペット1に防炎性を付与できず、一方、目付308g/mを超えるとカーペット1が重くなりすぎる。樹脂層3の厚さは0.8〜1.0mmである。
樹脂をアンダーコートしたフェルト層2は、予備乾燥を経た後に熱処理機へ送り込んで、フェルト層2の熱融着性繊維7を溶融させ、同時に樹脂層3の乾燥を行う。このカーペット1は、主体となる繊維がポリエステルであるため、約180℃の高温加熱が可能であり、これによって熱セット性が向上する。得た軽量カーペット1の物性は、下記の許容範囲の中にある。
Figure 0003200900
軽量カーペット1は、熱セット性が向上することによって、基布を介在させなくても所定の破断強度を有し且つ法安定性が増大する。軽量カーペット1は、展示会用のカーペットとして比較的軽くて薄く、しかも通常の使用条件下で摩耗、損傷、劣化が小さく、さらに施工時に湾曲やフレアーも殆ど生じない。
次に、本考案を実施例に基づいて説明する。図2において、繊度10デシテックスのポリエステル繊維5を85重量%、繊度6デシテックスの低融点ポリエステル繊維である熱融着性繊維7を15重量%用い、両繊維をブレンド後にカード機を通してカーディングを行って全体を均一に混綿する。次に、クロスラッパーで混綿ラップをクロス重ねし、ついで該混綿ラップをニードルパンチ機で上下方向からニードルパンチすることによって繊維を絡合させ、フェルト層2を得る。フェルト層2は、樹脂の含浸・乾燥後に目付が300g/m、厚さが1.8mmである。
得たフェルト層2は一旦巻き取られ、ついで樹脂加工設備においてSBR樹脂をアンダーコートして樹脂層3を形成する。つまり、フェルト層2の裏面に樹脂をバスロールコーティングし、その後に、樹脂が表面に浮き出ない程度にロールプレスによって樹脂含浸を制御する。樹脂層3は目付が280g/mおよび厚さが0.9mmである。樹脂のコート量は、フェルト層2に基布がないので浸透しやすいので目付280g/mに達し、目付250g/mを超えるので防炎性を付与できる。
樹脂をアンダーコートしたフェルト層2は、予備乾燥を経た後に熱処理機へ送り込んで、フェルト層2の熱融着性繊維7を溶融させ、同時に樹脂層3の乾燥を行う。このカーペット1は、主体となる繊維がポリエステルであるため、約180℃の高温加熱が可能であり、これによって熱セット性が向上する。得たカーペット1は、下記の物性を有する。
Figure 0003200900
1 軽量カーペット
2 フェルト層
3 樹脂層
5 ポリエステル繊維
7 熱融着性繊維

Claims (4)

  1. 目付522〜638g/mおよび厚さ2.4〜3.0mmである軽量カーペットであって、繊度6.6〜17デシテックスのポリエステル繊維85〜90重量%と、低融点の熱融着性繊維10〜15重量%とからなり、両繊維をブレンド後にカーディングを行い、次にラップをニードルパンチしてフェルト層を形成し、得たフェルト層の裏面に樹脂をバスロールコーティングした後に、樹脂が表面に浮き出ない程度にプレスして含浸・乾燥させて樹脂層を形成する展示会用の軽量カーペット。
  2. フェルト層が目付270〜330g/mおよび厚さ1.6〜2.0mm、樹脂層が目付252〜308g/mおよび厚さ0.8〜1.0mmであることにより、基布を介在させなくても防炎性を有する請求項1記載の軽量カーペット。
  3. ASTM D−2512による耐ピリング性が3.5級以上であり、フレアーが目立たず、生地のスケが無い請求項1記載の軽量カーペット。
  4. 破断強度(N/5cm)が縦476〜782および横418〜624、破断伸度が縦65〜97%および横92〜131%、1%伸度時破断強度(N/5cm)が縦13〜33および横10〜27、3%伸度時破断強度(N/5cm)が縦88〜145および横46〜88、テープ接着性(N/4cm)が横5.5以上、湾曲が15mm以下である請求項1記載の軽量カーペット。
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