JP2019154392A - ホイップドクリームの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる、ホイップドクリームの新規な製造方法を提供する。【解決手段】油性原料と水性原料を混合してクリームミックスを調製する調製工程と、前記クリームミックスを殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程後のクリームミックスを均質化する第一の均質化工程と、前記第一の均質化工程後のクリームミックスを均質化する第二の均質化工程とを含む、ホイップドクリームの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ホイップドクリームの製造方法に関する。
ホイップドクリームは、使用に際してホイップする必要がないという特徴により、外食業界、ベーカリー業界、カフェ業界等で広く使用されている。流通形態としては冷凍流通の商品(冷凍品)及び冷蔵流通の商品(冷蔵品)がある。ホイップドクリームはホイップ構造を維持することが難しく、冷凍品では解凍後にオーバーランが低下する、冷蔵品では保管時に離水する等の物性悪化の傾向を抑制することが重要である。
従来、凍結ホイップドクリームの解凍後の物性を向上させるための種々の試みが知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
特開平9−56329号公報 特開2001−321074号公報 特開2003−93006号公報
本発明は、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる、ホイップドクリームの新規な製造方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明者らが鋭意研究を行った結果、殺菌処理の後で少なくとも二つの特定の均質化処理を行うことにより製造されたホイップドクリームは、ホイップ構造が安定化しており、冷凍品では解凍後のオーバーラン低下が抑制されており、冷蔵品では保管時の離水が抑制されていることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、以下のホイップドクリームの製造方法等が提供される。
1.油性原料と水性原料を混合してクリームミックスを調製する調製工程と、
前記クリームミックスを殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌工程後のクリームミックスを均質化する第一の均質化工程と、
前記第一の均質化工程後のクリームミックスを均質化する第二の均質化工程と
を含む、ホイップドクリームの製造方法。
2.前記第一の均質化工程の後において、前記クリームミックス中の脂肪球のメディアン径が1〜4μmである、1に記載のホイップドクリームの製造方法。
3.前記第二の均質化工程の後において、前記クリームミックス中の脂肪球のメディアン径が、前記第一の均質化工程の後のメディアン径よりも小さい、1又は2に記載のホイップドクリームの製造方法。
4.前記殺菌工程後に前記第一の均質化工程及び前記第二の均質化工程を行うことにより、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる、1〜3のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
5.前記ホイップドクリームが、冷凍ホイップドクリームである、1〜4のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
6.前記ホイップドクリームが、冷蔵ホイップドクリームである、1〜4のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
本発明によれば、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる、ホイップドクリームの新規な製造方法を提供できる。
図1は、冷凍ホイップドクリーム(乳脂肪入りのタイプ)について、解凍温度の違いにおける針入度の差を示す。 図2Aは、冷凍ホイップドクリーム(乳脂肪入りのタイプ)について、解凍後オーバーラン低下量を示す。図2Bは、冷凍ホイップドクリーム(乳脂肪入りのタイプ)について、撹拌後オーバーラン相対値を示す。 図3は、冷凍ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)について、解凍温度の違いにおける針入度の差を示す。 図4は、冷凍ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)について、解凍後オーバーラン低下量を示す。 図5Aは、冷蔵ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)について、保管後オーバーラン低下量を示す。図5Bは、冷蔵ホイップドクリームについて、撹拌後オーバーラン相対値を示す。 図6は、冷蔵ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)について、冷蔵保管後の離水量を示す。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明するが、本発明は以下に述べる個々の実施形態には限定されない。
本発明のホイップドクリームの製造方法は、油性原料と水性原料を混合してクリームミックスを調製する調製工程と、前記クリームミックスを殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程後のクリームミックスを均質化する第一の均質化工程と、前記第一の均質化工程後のクリームミックスを均質化する第二の均質化工程とを含むものである。
本発明によれば、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる。
本明細書において、「ホイップドクリーム」とは、ホイップすることにより、気泡を抱き込んだ水中油型乳化物をいうものとし、「水中油型乳化物」とは、水相を連続相とし、油相が水相中に分散している状態の乳化物をいうものとする。水中油型乳化物としては、例えば、植物性油脂や乳脂肪を利用したクリームが挙げられる。
また、本明細書において、「冷凍ホイップドクリーム」(以下、「冷凍品」ともいう。)とは、冷凍されて(例えば、具体的には、−18℃以下で冷凍されて)凍った状態のホイップドクリームであり、「冷蔵ホイップドクリーム」(以下、「冷蔵品」ともいう。)とは、0℃〜10℃(例えば、具体的には、5℃)の温度に冷蔵されたホイップドクリームである。
ホイップドクリームは、乳脂肪、油脂、タンパク質、乳化剤、水等を主原料として製造することができる。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる乳脂肪は、牛、水牛、ヤギ、羊、及び馬等の獣乳から分離される乳脂肪が挙げられる。中でも牛は、容易に多量に得られるので、経済的に有利である。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる油脂としては、例えば、牛脂、ラード、乳脂肪、魚油、これらの分別油、水素添加油及びエステル交換油等の動物性油脂;パーム油、パーム核油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、米油、大豆油、綿実油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、これらの分別油、水素添加油及びエステル交換油等の植物性油脂、等が挙げられる。これらの油脂は、1種を単独で使用してもよく、又は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、一般的に、乳脂肪を含むホイップドクリームは物性を安定化させることが難しいことが知られているが、本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる油脂は、植物性油脂及び乳脂肪の組み合わせでもよく、あるいは、その全量が植物性油脂又は乳脂肪であってもよい。
本発明の製造方法において、油脂の配合量は、ホイップドクリームの全重量に対して、好ましくは8〜60重量%であり、より好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは11〜40重量%である。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができるタンパク質としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク質であれば、いずれのタンパク質でも使用することができる。例えば、大豆タンパク質粉末等の植物タンパク質、牛乳、脱脂乳、クリームパウダー、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全脂粉乳、れん乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、濃縮ホエイ、乳タンパク濃縮物、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク質精製物、カゼイン精製物、生クリーム等の乳タンパク質が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、又は、2種以上のタンパク質を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法において、タンパク質の配合量は、ホイップドクリームの全重量に対して、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは2〜8重量%であり、さらに好ましくは2〜5重量%である。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる乳化剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる乳化剤であれば、いずれの乳化剤でも使用することができる。例えば、高級脂肪酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ペンタグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンエルカ酸エステル等)、有機酸(酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸等)モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例えば、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル等)、(植物、卵黄、分別、乳等)レシチン、酵素分解レシチン(例えば、酵素分解大豆レシチン、リゾレシチン等)、カゼインナトリウム等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、又は、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法において、乳化剤の配合量は、ホイップドクリームの全重量に対して、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜4重量%であり、さらに好ましくは0.4〜3重量%である。
ホイップドクリームには、これまでに説明した原料のほか、例えば、糖類、安定剤・増粘剤、タンパク溶融塩、解乳化剤、pH調整剤等の食品原料や食品添加物を配合してもよい。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる糖類としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる糖類であれば、いずれの糖類でも使用することができる。例えば、乳糖、ショ糖、水あめ、粉あめ、澱粉、α化澱粉、澱粉水解物、液糖、砂糖、ぶどう糖、コーンシロップ、マンノース、マルトース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、キシロース、化工澱粉、デキストリン、麦芽糖、果糖、三温糖、和三盆糖、黒糖、メープルシロップ、蜂蜜、異性化液糖、果糖ぶどう糖液糖、還元水飴(糖アルコール)、トレハロース、ステビオサイド、カンゾウ抽出物、及びアスパルテームが挙げられる。糖類として、糖分を多く含む食品(果実、サツマイモ等)等の糖質を用いてもよい。これらの糖類は、単独で使用してもよく、又は、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法において、糖類の配合量は、ホイップドクリームの全重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは5〜45重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる安定剤・増粘剤としては、一般に食用のクリームの製造に用いられる安定剤・増粘剤であれば、いずれの安定剤・増粘剤でも使用することができる。例えば、カラギーナン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、ペクチン、ラーチガム、ローカストビーンガム、グアーガム、サイリウムシードガム、キンスシードガム、寒天、アルギン酸、ファーレセレラン、キサンタンガム、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、タピオカデンプン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、大豆タンパク、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸ソーダ、α化澱粉、澱粉リン酸エステルナトリウム等が挙げられる。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いることができる解乳化剤は、乳化剤のうち解乳化機能を有するものをいい、上述のような既知の乳化剤から適宜選択して用いることができる。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いるタンパク溶融塩は、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク溶融塩であれば、いずれのタンパク溶融塩でも使用することができる。例えば、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、クエン酸、酒石酸等の有機酸のアルカリ金属塩類、及び炭酸塩等の無機塩類が挙げられる。
本発明において、ホイップドクリームの原料として用いるpH調整剤は、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるpH調整剤であれば、いずれのpH調整剤でも使用することができる。例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、炭酸及び酢酸が挙げられる。これらのpH調整剤は、単独で使用してもよく、又は、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、まず、油性原料と水性原料を混合してクリームミックスを調製する調製工程を行う。油性原料と水性原料を混合することにより、水相中に油相が分散し、脂肪球(油滴)が形成される。本工程における混合方法は特に制限されず、当技術分野において既知の方法により行うことができる。油性原料及び水性原料の種類及び量は、上述の原材料から適宜選択し、決定することができる。油性原料と水性原料の混合は、例えば、65℃〜75℃の温度で行うことができる。
本発明の一態様においては、ホイップドクリームの製造方法は、水相及び油相を調製する工程を含んでもよく、その場合、水相及び油相を調製してからこれらを混合してクリームミックスを調製する。
水相を調製する工程は、ホイップドクリームの原料のうち、水性の原料を水に混合し溶解させて、水相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、当技術分野において既知の方法により行うことができる。水性原料は、具体的には、例えば、糖類、乳化剤等である。
油相を調製する工程は、ホイップドクリームの原料のうち、油性の原料を混合し、油相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、当技術分野において既知の方法により行うことができる。油性原料は、具体的には、例えば、植物性油脂、乳化剤等である。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、クリームミックス調製工程の後に、クリームミックスを殺菌する殺菌工程を行う。
殺菌工程における殺菌方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。例えば、プレート式熱交換殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、過熱水蒸気殺菌、レトルト殺菌、紫外線殺菌、高圧殺菌、電解磁場殺菌、放射線殺菌及び化学的殺菌が挙げられる。これらの群より単独、または2種以上の殺菌・滅菌方法を組み合わせて行ってもよい。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、均質化処理を行う均質化工程を含む。均質化処理とは、脂肪球を微細化し、油相が水相に均一分散した状態になるように処理することを意味する。したがって、均質化処理により、脂肪球のサイズは小さくなる。また、油相が水相に均一分散した状態(乳化)になるため、均質化処理により乳化現象も起こる。
均質化処理方法は、特に限定されないが、装置等を用いて行うことができる。本発明における均質化工程に用いる装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができるが、例えば、キャビテーター、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、超音波乳化装置、ロールミル及びコロイドミルが挙げられる。また、本発明における均質化工程に用いる装置は、バッチ処理用であっても連続処理用であってもよい。
キャビテーターは、高速回転する円板状の回転体(ローター)と回転体を囲んでいる固定体(インレット)により構成される。ローターは外周面に複数の穴を備えており、ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転すると、ローターが外周から回転中心に向かって有する穴に、流体力学的キャビテーションが生成される。ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転している状態で、被処理物がこの隙間を通過するように流動させることで、微細なキャビテーション気泡が生成され、それらが破壊すると衝撃波が被処理物中に放出され、被処理物はせん断力を受ける。キャビテーターとしては、例えば、APV(登録商標)キャビテータ(APV社製)が挙げられる。
高速回転型乳化装置及びコロイドミルは、高速回転する回転体で被処理物にせん断力を与え、脂肪球を小さく粉砕する。高速回転型乳化装置としては、例えば、ホモミキサー、断続ジェット流発生型乳化装置及びローター・ステーター式乳化装置が挙げられる。
ホモミキサーは、高速回転する回転体(タービン)と、それを囲むように配置された固定環(ステーター)により構成される。被処理物は、回転体と固定環間に存在する空隙を通過する際に、回転体外周の表面近傍で速度勾配により生じるせん断力を受ける。ホモミキサーとしては、例えば、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)が挙げられる。
断続ジェット流発生型乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と微小な間隔で配置された数十ものスリットを有するスクリーンにより構成される。高速回転するローターにより運動エネルギーを与えられた被処理物は、スリット部を通過することによる速度増加から、被処理物内で断続ジェット流を形成し、せん断力を生じさせる。断続ジェット流発生型乳化装置としては、例えば、クレアミックスW−モーション(エム・テクニック(株))が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と固定環(ステーター)により構成される。通常ステーターの内側にローターが配置されており、ローターが回転することにより被処理物がローターとステーターの間の間隙において内側から外側へ通過する際にせん断力を受け、スリット部のずれによる圧力変動からキャビテーションを生ずる。
ローター・ステーター式乳化装置のローター及びステーターはそれぞれ櫛歯型であってよい。
ローター・ステーターのセットの数は特に制限されないが、1〜5組であってよく、1〜4組であってよく、1〜3組であってよい。1組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばキャビトロン(太平洋機工(株))が挙げられる。3組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばIKAインラインミキサー(IKA社製)が挙げられる。
ローターとステーターの間の間隙は、例えば、0.1〜5mmであってよく、0.5〜3mmであってよく、1〜2mmであってよい。ステーターと、ローターとが、ローターの回転軸が延びている方向で相互に近付く、又は離れることができるように構成されていてもよい。このような特徴を備えたローター・ステーター式乳化装置としては、例えばMハイエストV(小松川化工機社製)が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、多機能タンクであってよい。多機能タンクとしては、例えば、ターボミキサー(スカニマ社製)、Dinex(FrymaKoruma社製)及びFlexMix(APV社製)が挙げられる。
多機能タンクのステーターは可動式であるものが撹拌や微粒化には効果的であり、具体的には、ダイナミックステーター(スカニマ社製)があり、ステーターが上下に動き、循環モードと高剪断モードを切り替えられるシステムとなっている。
高圧乳化装置としては、一般に高圧ホモジナイザーがよく用いられる。高圧ホモジナイザーは、高圧力に加圧した被処理物を、微小間隙に通すことで、高圧力を運動エネルギーに変換し、被処理物を粉砕する。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ホモゲナイザーHV−A((株)イズミフードマシナリ製)、ホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)が挙げられる。
超音波乳化装置は、超音波を発振し、キャビテーションによりせん断力を与える。超音波乳化装置としては、例えば、超音波分散機((株)エスエムテー製)が挙げられる。
ロールミルは、異なる回転速度を持つローター上でせん断力を与える。ロールミルとしては、例えば、Trias(ビューラー(株)製)が挙げられる。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、殺菌工程の後に、殺菌工程後のクリームミックスを均質化する第一の均質化工程を行う。
本発明の一態様においては、第一の均質化工程が、インラインミキサーによる均質化を含むことが好ましい。インラインミキサーとは、脂肪球を微細化する機能を有するミキサーを備えた装置であり、製造ライン中に組み込まれ、任意の流速をもって連続的に均質化処理が可能なものをいい、例えば、キャビテーター、IKAインラインミキサーが挙げられる。第一の均質化工程は、クリームミックス中に含まれる油脂が液体となる温度(例えば、40〜50℃以上)において行うことが好ましい。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、第一の均質化工程の後に、第一の均質化工程後のクリームミックスを均質化する第二の均質化工程を行う。第二の均質化工程は、クリームミックス中に含まれる油脂が液体となる温度(例えば、40〜50℃以上)において行うことが好ましい。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、殺菌工程後に第一の均質化工程及び第二の均質化工程を行うことにより、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる。
本発明の一態様においては、第二の均質化工程が、ホモジナイザーによる均質化を含むことが好ましい。また、第二の均質化工程が、高圧ホモジナイザーによる均質化を含むことが特に好ましい。
本発明の一態様においては、ホイップドクリームの製造方法は、冷却工程を含んでもよい。
冷却工程は、殺菌工程を行った後に行ってもよく、均質化工程を行った後に行ってもよい。冷却方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。冷却温度は、例えば、20℃以下、10℃以下又は5℃以下であってよい。
本発明のホイップドクリームの製造方法においては、第二の均質化工程の後に、クリームミックスを起泡させる起泡工程を含む。クリームミックスをホイップし、起泡させることによりホイップドクリームとすることができる。起泡工程は、例えば、ホイップドクリームのオーバーラン値が110〜250%となるまで行えばよい。
ホイップドクリームは、所定のオーバーラン値(以下、「OR」ともいう。)を示す。オーバーラン値は、ホイップドクリーム中に含まれている気泡の体積の割合を示す指標である。オーバーラン値は、下記の式により計算される。
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
A1は、第二の均質化工程後で、起泡工程前におけるクリームミックスの単位体積あたりの重量である。A2は、起泡工程後におけるホイップドクリームの単位体積当たりの重量である。オーバーラン値が大きくなるほど、ホイップドクリームに含まれる気泡の量が多いことを意味する。
ホイップドクリームのオーバーラン値は、冷凍品について冷凍前及び解凍後の両者において、また、冷蔵品について、好ましくは110〜250%であり、より好ましくは130〜240%であり、さらに好ましくは150〜230%である。
冷凍品について、解凍後オーバーラン低下量は、低い方が好ましく、5℃で解凍した場合は、好ましくは0〜15%であり、より好ましくは0〜12%であり、さらにより好ましくは0〜10%であり、また、例えば、0〜8%、0〜7%、又は0〜5%であり、10℃で解凍した場合は、好ましくは0〜35%であり、より好ましくは0〜30%であり、さらにより好ましくは0〜20%である。解凍後オーバーラン低下量は、実施例の記載にしたがって算出することができる。
冷凍品について、解凍後における撹拌後オーバーラン相対値は、高い方が好ましく、5℃で解凍した場合は、好ましくは75〜100%であり、より好ましくは78〜100%であり、さらにより好ましくは80〜100%であり、10℃で解凍した場合は、好ましくは38〜100%であり、より好ましくは55〜100%であり、さらにより好ましくは65〜100%である。撹拌後オーバーラン低下量は、実施例の記載にしたがって算出することができる。
冷蔵品について、保管後オーバーラン低下量は、低い方が好ましく、10℃で4日間保管した後で、好ましくは0〜15%であり、より好ましくは0〜12%であり、さらにより好ましくは0〜10%である。保管後オーバーラン低下量は、実施例の記載にしたがって算出することができる。
冷蔵品について、撹拌後オーバーラン相対値は、高い方が好ましく、10℃で4日間保管した後で、好ましくは90〜100%であり、より好ましくは91〜100%である。撹拌後オーバーラン相対値は、実施例の記載にしたがって算出することができる。
冷蔵品について、保管後の離水量は、少ない方が好ましく、15℃で4日間保管した後で、好ましくは0〜1.5gであり、より好ましくは0〜1.3gであり、さらにより好ましくは0〜1.0gである。保管後の離水量は、実施例の記載にしたがって算出することができる。
ホイップドクリームは、所定の針入度(ペネトロ値)を示す。ホイップドクリームの針入度は、冷凍品について冷凍前及び解凍後の両者において、また、冷蔵品について、好ましくは230〜350であり、より好ましくは250〜300であり、さらに好ましくは260〜290である。
5℃及び10℃の環境下で48時間静置して解凍したときの針入度の差は、冷凍品について、小さい方が好ましく、好ましくは0〜55であり、より好ましくは0〜45であり、さらにより好ましくは0〜30であり、また、例えば、0〜10、0〜8、又は0〜5である。
本発明のホイップドクリームの製造方法において、第一の均質化工程後のクリームミックス中の脂肪球のメディアン径は、好ましくは、1〜4μmであり、より好ましくは、1〜3μmであり、さらに好ましくは、1〜2μmである。
本発明のホイップドクリームの製造方法において、第二の均質化工程後のクリームミックス中の脂肪球のメディアン径は、第一の均質化工程後のメディアン径よりも小さいことが好ましい。第二の均質化工程後のクリームミックス中の脂肪球のメディアン径は、好ましくは、0.3〜2.5μmであり、より好ましくは、0.3〜2μm、さらに好ましくは、0.3〜1μmである。
脂肪球のメディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)により、粒子径分布の中央値を求めた値として測定できる。
製造されたホイップドクリームは、食品用の容器(プラスチック箱、絞り袋等)に充填し、例えば、0℃〜10℃の温度に冷蔵して、冷蔵ホイップドクリーム(冷蔵品)とすることができる。
また、製造されたホイップドクリームは、食品用の容器(プラスチック箱、絞り袋等)に充填し、−18℃以下で凍結することにより、冷凍ホイップドクリーム(冷凍品)とすることができる。
尚、製造されたホイップドクリームは、−18℃〜0℃の条件で保存してもよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載には限定されない。
試験例1:冷凍ホイップドクリーム(乳脂肪入りのタイプ)
(1)ホイップドクリームの調製
<実施例1>
60〜70℃の温水に、水性の原材料である、乳製品(バター、調整練乳、脱脂粉乳)、還元水飴、砂糖、水あめ、粉あめ、デキストリン、カゼインナトリウム、乳化剤(水性)、安定剤を溶解して、水相を調製した。また、水相とは別に、65〜70℃に加温した植物性油脂に、乳化剤(油性)を溶解して、油相を調製した。水相に油相を添加し、65℃〜70℃で混合して、表1に示す配合量の原材料を含むクリームミックスを調製した。クリームミックス中に含まれる乳脂肪の量は5.0重量%であった。
尚、使用した乳製品は牛の乳由来である。
Figure 2019154392
クリームミックスに対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて、スチームインジェクション方式にて、130℃、4秒間の殺菌処理を行った。
殺菌処理後、キャビテーター(APV社製)を用いて、周速60m/秒、温度65℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.6μmになるように、温度60℃でクリームミックスを処理した(第二の均質化工程)後、クリームミックスを3℃に冷却した。
次いで、クリームミックスを、5℃で16時間エージングした後、モンドミキサー(A05型、モンドミックス社)を用いて、オーバーラン240%で連続的にホイップし、ホイップドクリームを製造した。
製造したホイップドクリームの針入度を測定し、針入度280に達したホイップドクリームを絞り袋に充填し、送風式の急速凍結機(−25℃)を用いて、約1時間冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
<比較例1>
実施例1と同様にクリームミックスを調製し、殺菌前に、キャビテーター(APV社製)を用いて、周速60m/秒、温度55℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。次いで、クリームミックスに対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて、スチームインジェクション方式にて、130℃、4秒間の殺菌処理を行った。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.6μmになるように、クリームミックスを処理した(第二の均質化工程)後、クリームミックスを3℃に冷却した。次いで、クリームミックスを5℃で16時間エージングした後、モンドミキサー(A05型、モンドミックス社)を用いて、オーバーラン240%で連続的にホイップし、ホイップドクリームを製造した。
得られたホイップドクリームを実施例1と同様に冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
<比較例2>
実施例1と同様にクリームミックスを調製し、殺菌前に、ホモミキサー(プライミクス株式会社製TKホモミキサー)を用いて、周速9.4m/秒、で10分間、温度65℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。次いで、クリームミックスに対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて、スチームインジェクション方式にて、130℃、4秒間の殺菌処理を行った。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.6μmになるように、クリームミックスを処理した(第二の均質化工程)後、クリームミックスを3℃に冷却した。次いで、5℃で16時間エージングした後、モンドミキサー(A05型、モンドミックス社)を用いて、オーバーラン240%で連続的にホイップし、ホイップドクリームを製造した。
得られたホイップドクリームを実施例1と同様に冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
(2)ホイップドクリームの評価
(2−1)メディアン径
実施例1、比較例1及び比較2について、第一の均質化工程後及び第二の均質化工程後のクリームミックスの脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2200、株式会社島津製作所製)で測定した。結果を表2に示す。表中、括弧内の数値は標準偏差を示す。
Figure 2019154392
(2−2)針入度
実施例1、比較例1及び比較例2の冷凍ホイップドクリームについて、それぞれ、5℃及び10℃の環境下で48時間静置して解凍した試験品の針入度を測定した。解凍温度の違いにおける針入度の差を図1に示す。
針入度は、ホイップドクリームを充填した容器に円錐型コーンを落下させ、円錐型コーンが貫入した距離を針入度として測定した。具体的な測定手順を以下に説明する。
円錐型コーンは、半径2.3cm、高さ4cmの中空の円錐形であり、重さは39.77gである。円錐型コーンの内部には、円錐型コーンの頂点から底面に対して垂直に伸びる軸が取り付けられており、軸の重さは、48.22gである。
ホイップドクリームを充填する容器は、底面の直径が8cm、上面の開口の直径が11.6cm、高さが6.8cmの円錐台形であり、容積は460mlである。
試験品のホイップドクリームを容器に摺り切り一杯となるように充填し、円錐型コーンの頂点の位置を容器の上面の高さに合わせ、円錐型コーンを試験品のホイップドクリーム中に自由落下させた。自由落下した円錐型コーンが容器内のホイップドクリームに貫入した距離(貫入距離)をミリメートル単位で計測した。計測した貫入距離を10倍した値を、試験品のホイップドクリームの針入度として求めた。
(2−3)オーバーラン
オーバーランは、第二の均質化工程後でホイップ前のクリームミックスと、ホイップ後のホイップドクリームを、針入度の測定に使用する容器と同じものに摺り切り一杯となるように充填し、重量A1及びA2を測定して、次の式により計算した。
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
A1:第二の均質化工程後でホイップ前のクリームミックスの単位体積当たりの重量
A2:ホイップ後のホイップドクリームの単位体積当たりの重量
(2−3−1)解凍後オーバーラン低下量
実施例1、比較例1及び比較例2の冷凍前のホイップドクリームについて、重量A2を計測して、上式にしたがいオーバーラン値を算出した(以下、「充填時オーバーラン値」という。)。
実施例1、比較例1及び比較例2の冷凍ホイップドクリームを、それぞれ、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍したホイップドクリームについて、重量A2を計測して、上式にしたがいオーバーラン値を算出した(以下、「解凍後オーバーラン値」という。)。
充填時オーバーラン値と解凍後オーバーラン値から、解凍後オーバーラン低下量を次式により計算した。各解凍温度における解凍後オーバーラン低下量を図2Aに示す。
解凍後オーバーラン(OR)低下量(%)=充填時オーバーラン値(%)−解凍後オーバーラン値(%)
(2−3−2)撹拌後オーバーラン相対値
実施例1、比較例1及び比較例2の冷凍ホイップドクリームを、それぞれ、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍し、薬さじで20回撹拌したホイップドクリームについて、重量A2を計測して、上式にしたがいオーバーラン値を算出した(以下、「撹拌後オーバーラン値」という。)。
充填時オーバーラン値と撹拌後オーバーラン値から、撹拌後オーバーラン相対値(%)を次式により計算した。各解凍温度における撹拌後オーバーラン相対値を図2Bに示す。
撹拌後オーバーラン(OR)相対値(%)=撹拌後オーバーラン値(%)/充填時オーバーラン値(%)×100
(評価結果)
実施例1のホイップドクリームは、冷凍後の解凍条件の違いによる針入度(硬さ)の差が小さく、冷凍前と解凍後でオーバーラン値の変化が少なく、オーバーラン値の低下を抑制できることが示された。また、実施例1のホイップドクリームは、撹拌後オーバーラン相対値が高く、気泡の安定性が向上したことが示された。
本発明によれば、乳脂肪及び植物性油脂を脂肪源とする冷凍ホイップドクリームに対して、良好な物性を付与できることが示された。
これらの結果により、ユーザーの使い勝手の向上や通常考えられる使用方法に比べて過酷な虐待条件下で使用した場合の物性悪化を抑制できることが明らかとなった。
試験例2:冷凍ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)
(1)ホイップドクリームの調製
<実施例2>
60〜70℃の温水に、水性の原材料である、脱脂粉乳、砂糖、水あめ、粉あめ、カゼインナトリウム、乳化剤(水性)、安定剤を溶解して、水相を調製した。また、水相とは別に、65〜70℃に加温した植物性油脂に、乳化剤(油性)を溶解して、油相を調製した。水相に油相を添加し、65℃〜70℃で混合して、表3に示す配合量の原材料を含むクリームミックスを調製した。
尚、使用した脱脂粉乳は牛の乳由来である。
Figure 2019154392
クリームミックスに対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて、スチームインジェクション方式にて、130℃、4秒間の殺菌処理を行った。
殺菌処理後、キャビテーター(APV社製)を用いて、周速60m/秒、温度70℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように、温度65℃でクリームミックスを処理した(第二の均質化工程)後、クリームミックスを3℃に冷却した。
次いで、クリームミックスを、5℃で16時間エージングした後、モンドミキサー(A05型、モンドミックス社)を用いて、オーバーラン200%で連続的にホイップし、ホイップドクリームを製造した。
製造したホイップドクリームの針入度を測定し、針入度280に達したホイップドクリームを絞り袋に充填し、送風式の急速凍結機(−25℃)を用いて、約1時間冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
<比較例3>
実施例2と同様にクリームミックスを調製し、殺菌前に、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が2μmになるように、60℃にてクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。
クリームミックスを実施例2と同様に殺菌した後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように、温度65℃で処理した(第二の均質化工程)。
次いで、冷却、エージング、ホイップは実施例2と同様に行い、ホイップドクリームを得た。
得られたホイップドクリームを実施例2と同様に冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
<比較例4>
実施例2と同様にクリームミックスを調製し、ホモミキサー(プライミクス株式会社製TKホモミキサー)を用いて、周速9.4m/秒で10分間、温度65℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。
クリームミックスを実施例2と同様に殺菌した後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように、温度65℃でクリームミックスを処理した(第二の均質化工程)。
次いで、冷却、エージング、ホイップは実施例2と同様に行い、ホイップドクリームを得た。
得られたホイップドクリームを実施例2と同様に冷却して、冷凍ホイップドクリームを得た。
(2)ホイップドクリームの評価
(2−1)メディアン径は、試験例1と同様に測定した。結果を表4に示す。表中、括弧内の数値は標準偏差を示す。
Figure 2019154392
(2−2)針入度
針入度は試験例1と同様に測定した。解凍温度の違いにおける針入度の差を図3に示す。
(2−3)オーバーラン
試験例1と同様に、解凍後オーバーラン(OR)低下量を測定した。結果を、図4に示す。
(評価結果)
実施例2のホイップドクリームは、解凍温度による針入度(硬さ)の差を小さくできること、解凍後オーバーラン値の低下を抑制できることが示された。
本発明によれば、植物性油脂のみを脂肪源とする冷凍ホイップドクリームに対して、良好な物性を付与できることが示された。
これらの結果より、ユーザーの使い勝手の向上や通常考えられる使用方法に比べて過酷な虐待条件下で使用した場合の物性悪化を抑制できることが明らかとなった。
試験例3:冷蔵ホイップドクリーム(植物性油脂のみのタイプ)
(1)ホイップドクリームの調製
<実施例3>
60〜70℃の温水に、水性の原材料である、砂糖、還元水飴、デキストリン、脱脂粉乳、カゼインナトリウム、乳化剤(水性)、安定剤を溶解して、水相を調製した。水相とは別に、65〜70℃に加温した植物性油脂に、乳化剤(油性)を溶解して、油相を調製した。水相に油相を添加し、65℃〜70℃で混合して、表5に示す配合量の原材料を含むクリームミックスを調製した。
尚、使用した脱脂粉乳は牛の乳由来である。
Figure 2019154392
クリームミックスに対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて、スチームインジェクション方式にて、130℃、4秒間の殺菌処理を行った。
殺菌処理後、キャビテーター(APV社製)を用いて、周速60m/秒、温度70℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.6μmになるように、温度65℃でクリームミックスを処理した(第二の均質化工程)後、クリームミックスを3℃に冷却した。
次いで、クリームミックスを、5℃で16時間エージングした後、ホバートミキサー(ホバート・ジャパン社製)により、撹拌羽根を用いて2速(中速)にて、オーバーラン180%のホイップドクリームを製造した。
製造したホイップドクリームの針入度を測定し、針入度280に達したホイップドクリームを絞り袋に充填し、冷蔵ホイップドクリームを得た。
<比較例5>
実施例3と同様にクリームミックスを調製し、ホモミキサー(プライミクス株式会社製TKホモミキサー)、周速9.4m/秒で10分間、温度65℃でクリームミックスを処理した(第一の均質化工程)。
クリームミックスを実施例3と同様に殺菌した後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.6μmになるように、温度65℃でクリームミックスを処理した(第二の均質化工程)。
次いで、冷却、エージング、ホイップは実施例3と同様に行い、冷蔵ホイップドクリームを得た。
(2)ホイップドクリームの評価
(2−1)メディアン径は、試験例1と同様に測定した。結果を表6に示す。表中、括弧内の数値は標準偏差を示す。
Figure 2019154392
(2−2)オーバーラン
(2−2−1)保管後オーバーラン低下量
冷蔵流通における冷蔵保管として通常考えられる範囲内の高めの温度である10℃にて4日間保管したホイップクリームについて、試験例1に準じて、重量A2を計測して、オーバーラン値を算出した(以下、「保管後オーバーラン値」という。)。充填時オーバーラン値と保管後オーバーラン値から、保管後オーバーラン低下量を次式により計算した。結果を図5Aに示す。
保管後オーバーラン(OR)低下量(%)=充填時オーバーラン値(%)−保管後オーバーラン値(%)
(2−2−2)撹拌後オーバーラン相対値
10℃及び15℃でそれぞれ4日間保管したホイップクリームについて、試験例1に準じて、撹拌後オーバーラン値を算出し、撹拌後オーバーラン相対値を計算した。結果を図5Bに示す。
(2−3)冷蔵保管後の離水量(安定性)
ホイップドクリーム40gをメッシュ(14メッシュ)に載せ、蓋のできる容器に入れて、冷蔵流通における冷蔵保管として通常考えられる温度より高い虐待的な温度である15℃で保管し、4日保管後の離水量を測定した。結果を図6に示す。
(評価結果)
実施例3のホイップドクリームは、冷蔵保管後オーバーラン値の低下を抑制できることが示された。また、実施例3のホイップドクリームは、撹拌後オーバーラン相対値が高く、気泡の安定性が向上したことが示された。
さらに、実施例3のホイップドクリームは、15℃保管において、離水量を低減できることが示された。口溶けが良好な冷蔵流通のホイップドクリームを得るためには、融点の比較的低い植物性油脂を選択する必要があるが、それによって保管中に離水することが最大の課題となる。よって、本発明により保管中の離水を抑制することで、冷蔵流通のホイップドクリームの風味向上ができると考えられる。
本発明によれば、ホイップドクリームの冷凍品及び冷蔵品の両方に対して物性改善効果を有する、ホイップドクリームの製造方法を提供できる。

Claims (6)

  1. 油性原料と水性原料を混合してクリームミックスを調製する調製工程と、
    前記クリームミックスを殺菌する殺菌工程と、
    前記殺菌工程後のクリームミックスを均質化する第一の均質化工程と、
    前記第一の均質化工程後のクリームミックスを均質化する第二の均質化工程と
    を含む、ホイップドクリームの製造方法。
  2. 前記第一の均質化工程の後において、前記クリームミックス中の脂肪球のメディアン径が1〜4μmである、請求項1に記載のホイップドクリームの製造方法。
  3. 前記第二の均質化工程の後において、前記クリームミックス中の脂肪球のメディアン径が、前記第一の均質化工程の後のメディアン径よりも小さい、請求項1又は2に記載のホイップドクリームの製造方法。
  4. 前記殺菌工程後に前記第一の均質化工程及び前記第二の均質化工程を行うことにより、冷凍解凍によるオーバーランの低下と冷蔵保管時の離水が抑制されたホイップドクリームを製造できる、請求項1〜3のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
  5. 前記ホイップドクリームが、冷凍ホイップドクリームである、請求項1〜4のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
  6. 前記ホイップドクリームが、冷蔵ホイップドクリームである、請求項1〜4のいずれかに記載のホイップドクリームの製造方法。
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