JP2019115327A - 起泡性水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】凍結された起泡性水中油型乳化物の凍結前と解凍後で、クリームの物性変化及び/又はオーバーランの低下が少ない起泡性水中油型乳化物を提供する。【解決手段】第1均質化工程と第2均質化工程の2つの均質化工程を含む、得られた水中油型乳化物を起泡させてから凍結する、凍結された起泡性水中油型乳化物であって、脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、製造方法で凍結された起泡性水中油型乳化物を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、凍結された起泡性水中油型乳化物に関する。
起泡性水中油型乳化物(ホイップドクリーム)は、牛乳由来の乳脂肪分のみを原料とした生クリームや、植物性油脂分を原料とした水中油型乳化物などを泡立てることにより製造される。起泡性水中油型乳化物は、例えば、洋菓子のフィリングやデコレーションのために用いられる。
起泡性水中油型乳化物を冷蔵して保存した場合、数日以内に消費しなければならない。また、起泡性水中油型乳化物を冷蔵して保存した場合であっても、時間の経過とともに、離水などが発生し、その品質が劣化する。
そこで、起泡性水中油型乳化物を長期間で保存するために、起泡性水中油型乳化物を凍結して保存することが提案されている。例えば、特開平10−201442号公報(特許文献1)には、凍結及び解凍を繰り返すことが可能なクリームが開示されている。特許文献1に係るクリームは、クリームの100重量部に対して4〜15重量部のトレハロースを含有する。また、トレハロースと他の糖類とを含む合計量は、クリームの100重量部に対して10重量部以上であり、トレハロースの他の糖類に対する比率が2.5〜0.25である。
凍結された起泡性水中油型乳化物を使用するためには、冷凍庫から取り出して解凍することが一般的である。一方、一旦凍結された起泡性水中油型乳化物は、解凍条件(温度、時間など)によって、凍結前と解凍後で、クリームの物性変化(柔らかくなる「戻り」や硬くなる「締り」)及び/又はオーバーラン(クリーム中の気泡含有率)の低下などの品質の劣化を生じやすく、結果的に品質に差(バラつき)が出ることがある。
本発明は、上記問題点に鑑み、凍結された起泡性水中油型乳化物の凍結前と解凍後で、クリームの物性変化及び/又はオーバーランの低下が少ない起泡性水中油型乳化物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討により、第1均質化工程と第2均質化工程の2つの均質化工程を含む、得られた水中油型乳化物を起泡させてから凍結する、凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法であって、
脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、方法をとることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、方法をとることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]第1均質化工程と第2均質化工程の2つの均質化工程を含む、得られた水中油型乳化物を起泡させてから凍結する、凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法であって、
脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、方法。
[2]第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径が0.3〜0.9μmである、[1]に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
[3]第1均質化工程を乳化装置で行う、[1]又は[2]に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
[4]起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値が解凍後において、110〜250%である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、方法。
[2]第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径が0.3〜0.9μmである、[1]に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
[3]第1均質化工程を乳化装置で行う、[1]又は[2]に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
[4]起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値が解凍後において、110〜250%である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
本発明の凍結された起泡性水中油型乳化物は、凍結前と解凍の後でクリームの物性変化及び/又はオーバーランの低下の少ない起泡性水中油型乳化物を提供することができる。また、本発明の凍結された起泡性水中油型乳化物は、解凍の条件の違いによる品質の差(バラつき)が少ない起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明するが、本発明は以下に述べる個々の形態には限定されない。
本実施の形態において、「水中油型乳化物」とは、油脂分を水分中に乳化し、水分が連続相となっている乳化物のことを指し、「起泡性水中油型乳化物」とは、ホイップすることにより、気泡を抱き込んだ水中油型乳化物(ホイップドクリーム)のことを指す。また、「凍結された起泡性水中油型乳化物」とは、冷凍されて(例えば、具体的には、−18℃以下で冷凍されて)、凍った状態の起泡性水中油型乳化物を示す。なお、「冷凍」とは、−18℃以下(例えば、具体的には、−18℃)の状態を示し、「冷蔵」とは、0℃〜10℃(例えば、具体的には、5℃)の状態を示す。以下、特に説明しない限り、本実施の形態の水中油型乳化物を、単に「水中油型乳化物」と記載し、本実施の形態の起泡性水中油型乳化物を、単に「起泡性水中油型乳化物」と記載し、本実施の形態の凍結された起泡性水中油型乳化物を、単に「凍結された起泡性水中油型乳化物」と記載する。
本発明における水中油型乳化物(以下、「本乳化物」ともいう)とは、水相を連続相とし、油相が分散している状態の乳化物を意味する。水中油型乳化物としては、例えば、植物性油脂や乳脂肪を利用したクリームが挙げられる。
本乳化物は、油脂、タンパク質、乳化剤、水等を主原料として調製される食用の水中油型乳化物である。後述する実施例において称している生クリームとは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外のほとんどの成分を除去したものをいう。これは、日本国における乳及び乳製品の成分規格等に関する省令ではクリームと定義され、一般にフレッシュクリームと呼ばれることもあるが、本発明においては、本発明の水中油型乳化物との対比のために生クリームという言葉を使用する。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられる油脂としては、例えば牛脂、ラード、乳脂、魚油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂;パーム油、パーム核油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、米油、大豆油、綿実油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、これらの分別油、水素添加油及びエステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。油脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、本発明の水中油型乳化物の原料として用いられる油脂は、植物油脂及び乳脂肪の組み合わせでもよく、その全量が植物油脂であってもよい。
本発明の水中油型乳化物における油脂の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは8〜60重量%であり、よりに好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは11〜40重量%であ。
本発明の水中油型乳化物における油脂の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは8〜60重量%であり、よりに好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは11〜40重量%であ。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられるタンパク質としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク質であれば、いずれのタンパク質でも使用することができる。例えば、大豆タンパク質粉末などの植物タンパク質、牛乳、脱脂乳、クリームパウダー、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全脂粉乳、れん乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、濃縮ホエイ、乳タンパク濃縮物、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク質生成物、カゼイン生成物、生クリームなどの乳タンパク質が挙げられる。これらは単独で、または2種以上のタンパク質を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本発明の水中油型乳化物におけるタンパク質の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは2〜8重量%であり、さらに好ましくは2〜5重量%である。
本発明の水中油型乳化物におけるタンパク質の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは2〜8重量%であり、さらに好ましくは2〜5重量%である。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられる乳化剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる乳化剤であれば、いずれの乳化剤でも使用することができる。例えば、高級脂肪酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ペンタグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンエルカ酸エステルなど)、有機酸(酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸など)モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例えば、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステルなど)、(植物、卵黄、分別、乳など)レシチン、酵素分解レシチン(例えば、酵素分解大豆レシチン、リゾレシチンなど)、カゼインナトリウムなどを挙げることができる。これらの群より単独、または2種以上の乳化剤を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。解乳化剤は、乳化剤のうち解乳化機能を有するものを指し、当業者は上述のような公知の乳化剤から適宜選択して用いることができる。
本発明の水中油型乳化物における乳化剤の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜4重量%であり、さらに好ましくは0.4〜3重量%である。
本発明の水中油型乳化物における乳化剤の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜4重量%であり、さらに好ましくは0.4〜3重量%である。
本発明の水中油型乳化物は、上記の他の原料として、例えば糖類、安定剤・増粘剤、タンパク溶融塩、解乳化剤及びpH調整剤などの食品原料及び/又は食品添加物を本発明の効果が維持される範囲で含むこともできる。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられる糖類としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる糖類であれば、いずれの糖類でも使用することができる。例えば、乳糖、ショ糖、水飴、澱粉、α化澱粉、澱粉水解物、液糖、砂糖、ぶどう糖、コーンシロップ、マンノース、マルトース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、アスパルテーム、キシロース、化工澱粉、デキストリン、麦芽糖、果糖、三温糖、和三盆糖、黒糖、メープルシロップ、蜂蜜、異性化液糖、果糖ぶどう糖液糖、還元水飴(糖アルコール)、トレハロース、ステビオサイド、カンゾウ抽出物、及びアスパルテームが挙げられる。糖類として、糖分を多く含む食品(果実、サツマイモなど)等の糖質を用いてもよい。これらの群より単独、または2種以上の糖類を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本発明の水中油型乳化物における糖類の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは5〜45重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明の水中油型乳化物における糖類の含有量は、本発明の水中油型乳化物の全重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは5〜45重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられる安定剤・増粘剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる安定剤・増粘剤であれば、いずれの安定剤・増粘剤でも使用することができる。例えば、カラギーナン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、ペクチン、ラーチガム、ローカストビーンガム、グアーガム、サイリウムシードガム、キンスシードガム、寒天、アルギン酸、ファーレセレラン、キサンタンガム、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、タピオカデンプン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、大豆タンパク、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸ソーダ、α化澱粉、澱粉リン酸エステルナトリウム等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられるタンパク溶融塩としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク溶融塩であれば、いずれのタンパク溶融塩でも使用することができる。例えば、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、クエン酸、酒石酸等の有機酸のアルカリ金属塩類、及び炭酸塩等の無機塩類が挙げられる。
本発明の水中油型乳化物の原料として用いられるpH調整剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるpH調整剤であれば、いずれのpH調整剤でも使用することができる。例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、炭酸及び酢酸が挙げられる。これらの群より単独、または2種以上のpH調整剤を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本発明の一態様において、起泡性水中油型乳化物の製造方法は、水相及び油相を調製する工程を含んでもよい。
水相を調製する工程は、本発明の水中油型乳化物の原料のうち、水溶性の原料を混合し、水相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。本工程において使用する原料は、本発明の水中油型乳化物の水溶性の原料すべてを含む必要はなく、本乳化物の原料のうちの一部であってよく、例えば、タンパク質、乳化剤、解乳化剤、増粘剤・安定剤及び糖類であってよく、タンパク質、乳化剤及び糖類であってよく、タンパク質及び乳化剤であってよい。
油相を調製する工程は、本発明の水中油型乳化物の原料のうち、油溶性の原料を混合し、油相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。本工程において使用する原料は、本発明の水中油型乳化物の油溶性の原料すべてを含む必要はなく、本発明の水中油型乳化物の原料のうちの一部であってよく、例えば、油脂、乳化剤及び解乳化剤であってよく、油脂及び乳化剤であってよい。
起泡性水中油型乳化物は、上述した固形分を含有する水中油型乳化物をホイップすることにより製造される。従って、起泡性水中油型乳化物は、上記水中油型乳化物が含有する固形分と同様の固形分を含有する。
起泡性水中油型乳化物は、水中油型乳化物をホイップして、所定のオーバーラン値を示す。凍結された起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値は、凍結前及び解凍後の両者において、好ましくは110〜250%であり、より好ましくは130〜240%であり、さらに好ましくは150〜230%以下である。
凍結された起泡性水中油型乳化物の、撹拌後オーバーラン相対値(%)(撹拌後オーバーラン相対値(%)=撹拌後のオーバーラン値(%)/起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーラン値(%)×100)が、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。撹拌後のオーバーラン値は、凍結された起泡性水中油型乳化物を、解凍した後に、薬匙で20回撹拌した後のオーバーランである。
凍結された起泡性水中油型乳化物の、撹拌後オーバーラン相対値(%)(撹拌後オーバーラン相対値(%)=撹拌後のオーバーラン値(%)/起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーラン値(%)×100)が、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。撹拌後のオーバーラン値は、凍結された起泡性水中油型乳化物を、解凍した後に、薬匙で20回撹拌した後のオーバーランである。
以下、起泡性水中油型乳化物と一般的なソフトクリームのオーバーランの違いを説明する。ソフトクリームのオーバーラン値は、30%〜80%である。ソフトクリームにおいてオーバーラン値が80%以上となった場合、ソフトクリームの風味が弱くなり、冷たさを感じることができない。これに対して、起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値は、上述のように、好ましくはソフトクリームのオーバーラン値に比べて大幅に高い。この理由は、以下の通りである。起泡性水中油型乳化物は、ソフトクリームのように0℃以下の状態で喫食することを想定しておらず、ケーキのデコレーション等に使用するなどして、提供されることを想定している。以上の理由により、起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値は、ソフトクリームのオーバーラン値よりも大幅に高い上述の範囲に設定される。
ここで、起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値は、物体に含まれている気泡の体積の割合を示す指標である。
起泡性水中油型乳化物は、水中油型乳化物をホイップして、所定の針入度(ペネトロ値)を示す。凍結された起泡性水中油型乳化物の針入度は、凍結前及び解凍後の両者において、好ましくは230〜350であり、より好ましくは250〜300であり、さらに好ましくは260〜290である。
凍結された起泡性水中油型乳化物の、凍結前針入度と解凍後針入度の割合(解凍後針入度/凍結前針入度×100(%))が、80〜115%であることが好ましく、90%〜110%以下であることがさらに好ましい。
ここで、起泡性水中油型乳化物の針入度は、物体の硬さを示す指標であり、一定の条件下で、所定の形状の円錐型のコーンを物体に落下させたときにおける、円錐型のコーンの貫入距離(mm)を10倍した数値である。
凍結された起泡性水中油型乳化物の、凍結前針入度と解凍後針入度の割合(解凍後針入度/凍結前針入度×100(%))が、80〜115%であることが好ましく、90%〜110%以下であることがさらに好ましい。
ここで、起泡性水中油型乳化物の針入度は、物体の硬さを示す指標であり、一定の条件下で、所定の形状の円錐型のコーンを物体に落下させたときにおける、円錐型のコーンの貫入距離(mm)を10倍した数値である。
以下、特に説明しない限り、ホイップ後に容器に入れてから凍結された起泡性水中油型乳化物またはホイップ後に絞り袋に入れてから凍結された起泡性水中油型乳化物を、単に「凍結された起泡性水中油型乳化物」と記載する。また、容器に入れてから凍結された後に解凍された起泡性水中油型乳化物または絞り袋に入れてから凍結された後に解凍された起泡性水中油型乳化物を、単に「解凍された起泡性水中油型乳化物」と記載する。
[凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法]
以下、水中油型乳化物、起泡性水中油型乳化物及び凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法を説明する。ただし、水中油型乳化物、起泡性水中油型乳化物及び凍結された起泡性水中油型乳化物、の製造方法は、以下で説明する製造方法に限定されるものではない。
以下、水中油型乳化物、起泡性水中油型乳化物及び凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法を説明する。ただし、水中油型乳化物、起泡性水中油型乳化物及び凍結された起泡性水中油型乳化物、の製造方法は、以下で説明する製造方法に限定されるものではない。
(1)水相の調製
油相の調製に使用される成分を除く全部の固形分(糖類、乳化剤、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、ホエイパウダー、増粘多糖類など)を水に溶解させて、水相を調製する。水に溶解させる糖類、乳化剤などの種類及び量は、水相の成分の種類及び量に応じて適宜変更すればよい。
油相の調製に使用される成分を除く全部の固形分(糖類、乳化剤、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、ホエイパウダー、増粘多糖類など)を水に溶解させて、水相を調製する。水に溶解させる糖類、乳化剤などの種類及び量は、水相の成分の種類及び量に応じて適宜変更すればよい。
(2)油相の調製
植物性油脂と、乳化剤とを含む油相を調製する。植物性油脂に溶解させる乳化剤の種類及び量は、植物性油脂の種類及び量に応じて適宜変更すればよい。
植物性油脂と、乳化剤とを含む油相を調製する。植物性油脂に溶解させる乳化剤の種類及び量は、植物性油脂の種類及び量に応じて適宜変更すればよい。
(3)水中油型乳化物の製造
上記で調製した油相及び水相を65℃〜75℃の温度で撹拌・混合した後に、第一均質化工程を実施し、水中油型乳化物を調製する。この後に、第二均質化工程を実施して、水中油型乳化物を製造する。
上記で調製した油相及び水相を65℃〜75℃の温度で撹拌・混合した後に、第一均質化工程を実施し、水中油型乳化物を調製する。この後に、第二均質化工程を実施して、水中油型乳化物を製造する。
(4)起泡性水中油型乳化物の製造
オーバーラン値が110〜250%となるまで、上記で調製した水中油型乳化物を連続的にホイップすることにより、起泡性水中油型乳化物を製造する。このとき、オーバーラン値は、下記の式により計算される。
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
オーバーラン値が110〜250%となるまで、上記で調製した水中油型乳化物を連続的にホイップすることにより、起泡性水中油型乳化物を製造する。このとき、オーバーラン値は、下記の式により計算される。
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
A1は、ホイップ前における水中油型乳化物の単位体積あたりの重量である。A2は、ホイップ後における水中油型乳化物(起泡性水中油型乳化物)の単位体積当たりの重量である。オーバーラン値が大きくなるほど、起泡性水中油型乳化物に含まれる気泡の量が多くなる。
(4)凍結された起泡性水中油型乳化物の製造
上記で製造した起泡性水中油型乳化物を食品用の容器(プラスチック箱、絞り袋など)に充填し、−18℃以下に凍結する。以上のようにして、凍結された起泡性水中油型乳化物を製造する。
(4)凍結された起泡性水中油型乳化物の製造
上記で製造した起泡性水中油型乳化物を食品用の容器(プラスチック箱、絞り袋など)に充填し、−18℃以下に凍結する。以上のようにして、凍結された起泡性水中油型乳化物を製造する。
なお、本実施の形態において、起泡性水中油型乳化物の凍結保存の条件(−18℃以下)と、冷蔵保存の条件(0℃〜10℃)とを記載したが、起泡性水中油型乳化物を−18℃〜0℃の条件で保存してもよい。
本発明の一態様において、起泡性水中油型乳化物の製造方法は、水相及び油相を調製した後、水相と油相を混合する工程を含んでもよい。水相と油相を混合することで水相中に油相が分散し、脂肪球(油滴)が形成される。本製造方法は、この工程を省略し、均質化工程において水相と油相の混合を、均質化処理と合わせて行うこともできる。
本発明における均質化工程は、均質化処理を含む。均質化処理とは、脂肪球を微細化し、油相が水相に均一分散した状態になるように処理することを意味する。したがって、均質化処理により、脂肪球のサイズは小さくなる。また、油相が水相に均一分散した状態(乳化)になるため、均質化処理により乳化現象も起こる。
均質化処理方法は、特に限定されないが、装置等を用いて行うことができる。本発明における均質化工程に用いる装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができるが、例えば、キャビテータ、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、超音波乳化装置、ロールミル及びコロイドミルが挙げられる。また、本発明における均質化工程に用いる装置は、バッチ処理用であっても連続処理用であってもよい。
キャビテータは、高速回転する円板状の回転体(ローター)と回転体を囲んでいる固定体(インレット)により構成される。ローターは外周面に複数の穴を備えており、ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転すると、ローターが外周から回転中心に向かって有する穴に、流体力学的キャビテーションが生成される。ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転している状態で、被処理物がこの隙間を通過するように流動させることで、微細なキャビテーション気泡が生成され、それらが破壊すると衝撃波が被処理物中に放出され、被処理物はせん断力を受ける。キャビテータとしては、例えば、APV(登録商標)キャビテータ(APV社製)が挙げられる。
高速回転型乳化装置及びコロイドミルは、高速回転する回転体で非処理物にせん断力を与え、脂肪球を小さく粉砕する。高速回転型乳化装置としては、例えば、ホモミキサー、断続ジェット流発生型乳化装置及びローター・ステーター式乳化装置が挙げられる。
ホモミキサーは、高速回転する回転体(タービン)と、それを囲むように配置された固定環(ステーター)により構成される。被処理物は、回転体と固定環間に存在する空隙を通過する際に、回転体外周の表面近傍で速度勾配により生じるせん断力を受ける。ホモミキサーとしては、例えば、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)が挙げられる。
断続ジェット流発生型乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と微小な間隔で配置された数十ものスリットを有するスクリーンにより構成される。高速回転するローターにより運動エネルギーを与えられた非処理物は、スリット部を通過することによる速度増加から、非処理物内で断続ジェット流を形成し、せん断力を生じさせる。断続ジェット流発生型乳化装置としては、例えば、クレアミックスW−モーション(エム・テクニック(株))が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と固定環(ステーター)により構成される。通常ステーターの内側にローターが配置されており、ローターが回転することにより被処理物がローターとステーターの間の間隙において内側から外側へ通過する際にせん断力を受け、スリット部のずれによる圧力変動からキャビテーションを生ずる。
ローター・ステーター式乳化装置のローター及びステーターはそれぞれ櫛歯型であってよい。
ローター・ステーターのセットの数は特に制限されないが、1〜5組であってよく、1〜4組であってよく、1〜3組であってよい。1組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばキャビトロン(太平洋機工(株))が挙げられる。3組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばIKAインラインミキサー(IKA社製)が挙げられる。
ローター・ステーターのセットの数は特に制限されないが、1〜5組であってよく、1〜4組であってよく、1〜3組であってよい。1組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばキャビトロン(太平洋機工(株))が挙げられる。3組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばIKAインラインミキサー(IKA社製)が挙げられる。
ローターとステーターの間の間隙は、例えば、0.1〜5mmであってよく、0.5〜3mmであってよく、1〜2mmであってよい。ステーターと、ローターとが、ローターの回転軸が延びている方向で相互に近付く、又は離れることができるように構成されていてもよい。このような特徴を備えたローター・ステーター式乳化装置としては、例えばMハイエストV(小松川化工機社製)が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、多機能タンクであってよい。多機能タンクとしては、例えば、ターボミキサー(スカニマ社製)、Dinex(FrymaKoruma社製)及びFlexMix(APV社製)が挙げられる。
多機能タンクのステーターは可動式であるものが撹拌や微粒化には効果的であり、具体的には、ダイナミックステーター(スカニマ社製)があり、ステーターが上下に動き、循環モードと高剪断モードを切り替えられるシステムとなっている。
高圧乳化装置としては、一般に高圧ホモジナイザーがよく用いられる。高圧ホモジナイザーは、高圧力に加圧した被処理物を、微小間隙に通すことで、高圧力を運動エネルギーに変換し、被処理物を粉砕する。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ホモゲナイザーHV−A((株)イズミフードマシナリ製)、ホモゲナイザーH−20型(三和機械(株)製)が挙げられる。
超音波乳化装置は、超音波を発振し、キャビテーションによりせん断力を与える。超音波乳化装置としては、例えば、超音波分散機((株)エスエムテー製)が挙げられる。
ロールミルは、異なる回転速度を持つローター上でせん断力を与える。ロールミルとしては、例えば、Trias(ビューラー(株)製)が挙げられる。
本発明は、2以上の均質化工程を含む起泡性水中油型乳化物の製造方法である。「2以上の均質化工程を含む」とは、少なくとも第1均質化工程及び第2均質化工程を含むことを意味する。
本発明における第1均質化工程は、脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとすることを含む。
第1均質化工程においてローター・ステーター式乳化装置を用いる場合のローターの周速は、例えば、10〜50m/sであってよく、11〜50m/sであってよく、13〜40m/sであってよい。ローター・ステーター式乳化装置は、ローター・ステーター式インラインミキサー又は多機能タンクであってよい。
脂肪球のメディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所製)により、粒子径分布の中央値を求めた値として測定できる。上記の測定方法による第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は、好ましくは1.0〜3.0μm、より好ましくは1.1〜2.5μmである。
本発明における第2均質化工程は、第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径をさらに小さくすることを含む。
第2均質化工程における均質化処理の方法は、特に制限されず、例えば上述した均質化工程に用いる装置を用いて行ってよい。第2均質化工程における均質化処理に用いる装置は、キャビテータ、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、超音波乳化装置、ロールミル及びコロイドミルからなる群から選択されてもよく、キャビテータ、ローター・ステーター式乳化装置及び高圧ホモジナイザーからなる群から選択されてもよく、高圧ホモジナイザーであってもよい。第2均質化工程において高圧ホモジナイザーを用いる場合の圧力は、例えば、10〜40MPaであってよく、20〜32MPaであってよい。
上述した測定方法による第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.2〜1.0μmであってよく、0.3〜0.9μmであってよい。
本発明においては、第1均質化工程及び第2均質化工程の間に均質化工程を含まない。これは、第1均質化工程後、第2均質化工程の前において、脂肪球が第1均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径を小さくするための処理はしないことを意味する。すなわち、第2均質化工程においては、第1均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径をさらに小さく処理することを意味する。「小さくするための処理はしない」とは、均質化処理以外の処理であって、脂肪球のサイズを小さくする目的の処理ではない、例えば殺菌・滅菌処理を行う工程(殺菌・滅菌工程)は含むことができることを意味する。そのような均質化工程以外の工程としては、例えば、殺菌・滅菌工程、冷却工程が挙げられる。
殺菌・滅菌工程は、第1均質化工程前に行ってもよく、第1均質化工程及び第2均質化工程間に行ってもよく、第2均質化工程後に行ってもよい。殺菌・滅菌方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。例えば、プレート式熱交換殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、過熱水蒸気殺菌、レトルト殺菌、紫外線殺菌、高圧殺菌、電解磁場殺菌、放射線殺菌及び化学的殺菌が挙げられる。これらの群より単独、または2種以上の殺菌・滅菌方法を組み合わせて行ってもよい。
冷却工程は、第2均質化工程後に殺菌・滅菌工程を行った後に行ってもよく、殺菌・滅菌工程後に第2均質化工程を行った後に行ってもよく、殺菌・滅菌工程を行う前に行ってもよい。冷却方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。冷却温度は、例えば、20℃以下、10℃以下又は5℃以下であってよい。
また、本発明においては、第2均質化工程後にも均質化工程を含まない。これは、第2均質化工程が最後の均質化工程であり、第2均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径を、それ以降小さくするための処理はしないことを意味する。
第1均質化工程の前に、1以上の均質化工程を行うことができる。その場合には、第1均質化工程は、第1均質化工程の前に行われた均質化工程により小さくした脂肪球のメディアン径を、1.0〜3.0μmとすることを含む。
以下、各実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
タンクに規定量の温水を準備した後、水溶性原料である水あめ、粉あめ、砂糖、乳製品、カゼインナトリウム(カゼインNa)、乳化剤(水溶性)、安定剤(カラギーナン、グアガム)を溶解し、水相を調製した。水相とは別に、加温した規定量の植物油脂に、油溶性原料である乳化剤(油溶性)を溶解し、油相を調製した。上記で調製した水相に油相を投入して、を65℃〜70℃で混合した。
得られた混合物に対し、MハイエストV(小松川化工機社製)を用いて65℃で加温しながら、周速28m/sにて3分間の均質化処理を行った(第1均質化工程)。第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)により測定した。第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は1.7μmであった。
第1均質化工程後の混合物に対して、VTIS殺菌機(日本テトラパック株式会社製)を用いて殺菌処理を行った。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように均質化処理を行った(第2均質化工程)。この時の均質化圧力は、25MPaであった。
第2均質化工程後、さらに冷却処理を行い、水中油型乳化物を得た。第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)により測定した。第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.5μmであった。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH−20型)を用いて、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように均質化処理を行った(第2均質化工程)。この時の均質化圧力は、25MPaであった。
第2均質化工程後、さらに冷却処理を行い、水中油型乳化物を得た。第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)により測定した。第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.5μmであった。
次に、上記水中油型乳化物を、5℃で12時間エージングした後、針入度の目標値を270に設定し、モンドミキサー(A05型、モンドミックス社)を用いて、実施例1の水中油型乳化物を900rpmの回転数で連続的にホイップし、実施例1の起泡性水中油型乳化物を製造した。実施例1の起泡性水中油型乳化物における針入度の実測値は、270であった。
実施例1の起泡性水中油型乳化物を絞り袋に充填し、送風式の急速凍結機(−25℃)を用いて、この充填された起泡性水中油型乳化物を約1時間で冷却して、実施例1の凍結された起泡性水中油型乳化物を製造した。
(2)比較例1
実施例1における第1均質化工程にTKホモミキサー(プライミクス株式会社製)、周速25m/sにて10分間の均質化処理を行ったこと、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように均質化処理を行った(第2均質化工程)際の均質化圧力が、28MPaであったこと以外は同様の方法により、比較例1の凍結された水中油型乳化物を得た。
この時、第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は3.2μmであり、第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.5μmであった。
また、比較例1の起泡性水中油型乳化物の針入度の実測値は、実施例1と同様に270であった。
(2)比較例1
実施例1における第1均質化工程にTKホモミキサー(プライミクス株式会社製)、周速25m/sにて10分間の均質化処理を行ったこと、脂肪球メディアン径が0.5μmになるように均質化処理を行った(第2均質化工程)際の均質化圧力が、28MPaであったこと以外は同様の方法により、比較例1の凍結された水中油型乳化物を得た。
この時、第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は3.2μmであり、第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.5μmであった。
また、比較例1の起泡性水中油型乳化物の針入度の実測値は、実施例1と同様に270であった。
(3)実施例1及び比較例1の比較
[評価]
(3−1)メディアン径
上記、実施例1及び比較例1の第1均質化工程後及び第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)で測定した結果(メディアン系と標準偏差)を表2に示した。
(3−2)針入度
上記、実施例1及び比較例1の凍結された起泡性水中油型乳化物を、それぞれ、15℃、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍した試験品の針入度を測定した。10℃、5℃の結果を表3に示す。15℃で解凍した場合についても同様に、比較例に比べて、実施例で凍結前と解凍後で、針入度の変化が少なかった。また、凍結前の実施例1及び比較例1の起泡性水中油型乳化物の針入度は、いずれも270であった。凍結前と解凍後で、針入度の変化が少ないことは、柔らかくなる「戻り」や硬くなる「締り」などの物性の変化が少ないことを示している。つまり、実施例(発明品)において、凍結前と解凍後で、物性の変化が少ないことが示された。
さらに、実施例では、5℃、10℃℃で解凍した場合の解凍後針入度/
凍結前針入度×100(%)の値が、100〜103%とその幅が3%であり、比較例5℃、10℃で解凍した場合の解凍後針入度/凍結前針入度×100(%)の値が、119〜135%とその幅が16%であり、発明品で解凍の条件の違いによる品質の差(バラつき)が少ないことが示された。
[評価]
(3−1)メディアン径
上記、実施例1及び比較例1の第1均質化工程後及び第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2200(株式会社島津製作所製)で測定した結果(メディアン系と標準偏差)を表2に示した。
(3−2)針入度
上記、実施例1及び比較例1の凍結された起泡性水中油型乳化物を、それぞれ、15℃、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍した試験品の針入度を測定した。10℃、5℃の結果を表3に示す。15℃で解凍した場合についても同様に、比較例に比べて、実施例で凍結前と解凍後で、針入度の変化が少なかった。また、凍結前の実施例1及び比較例1の起泡性水中油型乳化物の針入度は、いずれも270であった。凍結前と解凍後で、針入度の変化が少ないことは、柔らかくなる「戻り」や硬くなる「締り」などの物性の変化が少ないことを示している。つまり、実施例(発明品)において、凍結前と解凍後で、物性の変化が少ないことが示された。
さらに、実施例では、5℃、10℃℃で解凍した場合の解凍後針入度/
凍結前針入度×100(%)の値が、100〜103%とその幅が3%であり、比較例5℃、10℃で解凍した場合の解凍後針入度/凍結前針入度×100(%)の値が、119〜135%とその幅が16%であり、発明品で解凍の条件の違いによる品質の差(バラつき)が少ないことが示された。
針入度の計測方法について説明する。円錐型コーンを、容器に充填された試験品に落下させ、円錐型コーンが容器に充填された起泡性水中油型乳化物に貫入した距離を針入度として測定した。
最初に、針入度の計測に用いる円錐型コーン及び容器について説明する。円錐型コーンは、中空の円錐形である。円錐型コーンの半径は、2.3cmであり、円錐型コーンの高さは、4cmであり、円錐型コーンの重さは、39.77gである。円錐型コーンの内部には、円錐型コーンの頂点から底面に向かって伸びる軸が取り付けられている。軸は、円錐型コーンの底面に対して垂直であり、軸の重さは、48.22gである。
試験品の起泡性水中油型乳化物が充填される容器の形状は、円錐台形である。容器の底面の直径が8cmであり、容器の上面の開口の直径が11.6cmであり、容器の高さが6.8cmである。つまり、容器の容積は、460mlである。
試験品の起泡性水中油型乳化物を、上記の容器に摺り切り一杯となるように充填した。つまり、試験品の起泡性水中油型乳化物が容器の内部全体を満たすように、起泡性水中油型乳化物を上記の容器に充填した。
そして、円錐型コーンの頂点の位置を上記の容器の上面の高さに合わせ、円錐型コーンを、上記の容器に充填された試験品の起泡性水中油型乳化物に自由落下させた。自由落下した円錐型コーンが容器内の実施例1の起泡性水中油型乳化物に貫入した距離(貫入距離)をミリメートル単位で計測した。計測した貫入距離を10倍した値を、試験品の起泡性水中油型乳化物の針入度として求めた。
(3−3)オーバーラン値、撹拌後オーバーラン相対値
上記、実施例1及び比較例1の得られた水中油型乳化物を、起泡させてから凍結する前に、オーバーランを測定した。オーバーランは、いずれも220%であった。
上記、実施例1及び比較例1の起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーランと凍結された起泡性水中油型乳化物を、それぞれ、15℃、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍した試験品のオーバーランを測定して、撹拌後オーバーラン相対値を算出した。15℃で解凍した場合の、撹拌後オーバーラン相対値(%)は、実施例で94%、比較例で84%であった。5℃、10℃で解凍した場合についても同様に、比較例に比べて、実施例で撹拌後オーバーラン相対値が大きくなった。つまり、凍結前と解凍後で、実施例(発明品)がオーバーランの変化が少ない起泡性水中油型乳化物であることが示された。
(3−3)オーバーラン値、撹拌後オーバーラン相対値
上記、実施例1及び比較例1の得られた水中油型乳化物を、起泡させてから凍結する前に、オーバーランを測定した。オーバーランは、いずれも220%であった。
上記、実施例1及び比較例1の起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーランと凍結された起泡性水中油型乳化物を、それぞれ、15℃、10℃、5℃の環境下で48時間静置して解凍した試験品のオーバーランを測定して、撹拌後オーバーラン相対値を算出した。15℃で解凍した場合の、撹拌後オーバーラン相対値(%)は、実施例で94%、比較例で84%であった。5℃、10℃で解凍した場合についても同様に、比較例に比べて、実施例で撹拌後オーバーラン相対値が大きくなった。つまり、凍結前と解凍後で、実施例(発明品)がオーバーランの変化が少ない起泡性水中油型乳化物であることが示された。
オーバーランの計測方法について説明する。オーバーラン値は、下記の式により計算される。
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
オーバーラン値(%)=(A1−A2)/A2×100
A1は、ホイップ前における水中油型乳化物の単位体積あたりの重量である。A2は、気泡(ホイップ)後における水中油型乳化物(起泡性水中油型乳化物)の単位体積当たりの重量である。オーバーラン値が大きくなるほど、起泡性水中油型乳化物に含まれる気泡の量が多くなる。
撹拌後オーバーラン相対値(%)は、下記の式により計算される。
撹拌後オーバーラン相対値(%)=撹拌後のオーバーラン値(%)/起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーラン値(%)×100
撹拌後のオーバーラン値は、凍結された起泡性水中油型乳化物を、解凍した後に、薬匙で20回撹拌した後のオーバーランである。
撹拌後オーバーラン相対値(%)は、下記の式により計算される。
撹拌後オーバーラン相対値(%)=撹拌後のオーバーラン値(%)/起泡性水中油型乳化物(凍結前)のオーバーラン値(%)×100
撹拌後のオーバーラン値は、凍結された起泡性水中油型乳化物を、解凍した後に、薬匙で20回撹拌した後のオーバーランである。
以上、本発明品の凍結された起泡性水中油型乳化物は、凍結前と解凍後で、物性、オーバーランの変化が少ない起泡性水中油型乳化物であることが示された。また、本発明の凍結された起泡性水中油型乳化物は、凍結解凍の条件の違いによる品質の差(バラつき)が少ない起泡性水中油型乳化物であることが示された。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
Claims (4)
- 第1均質化工程と第2均質化工程の2つの均質化工程を含む、得られた水中油型乳化物を起泡させてから凍結する、凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法であって、
脂肪球のメディアン径を1.0〜3.0μmとする第1均質化工程、及び前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくする第2均質化工程を含む、方法。 - 第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径が0.3〜0.9μmである、請求項1に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
- 第1均質化工程を乳化装置で行う、請求項1又は2に記載の凍結された起泡性水中油型乳化物の製造方法。
- 凍結された起泡性水中油型乳化物のオーバーラン値が解凍後において、110〜250%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の起泡性水中油型乳化物の製造方法。
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JP2019154392A (ja) * | 2018-03-16 | 2019-09-19 | 株式会社明治 | ホイップドクリームの製造方法 |
-
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- 2017-12-27 JP JP2017252646A patent/JP2019115327A/ja active Pending
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