JP7117115B2 - 起泡性水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents

起泡性水中油型乳化物の製造方法 Download PDF

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本発明は、起泡性水中油型乳化物の製造方法に関する。
起泡性水中油型乳化物は、ホイップがしやすいことから、ホイップ用クリームとも呼ばれ、製菓、製パン等のトッピングやフィリング材料として利用されている。この起泡性水中油型乳化物は、一般的に液状で流通し、ユーザーが使用する際にホイップ(起泡)して使用される。したがって、流通時には液状を維持する乳化安定性が求められる一方、ホイップする際には速やかに起泡する解乳化性が求められている。このような起泡性水中油型乳化物を得るため、例えば、特定の油脂を特定量配合する等の工夫がなされてきた(特許文献1)。
起泡性水中油型乳化物は、さらに、ホイップ後のクリームの物性変化、特にいわゆる「戻り」と呼ばれる液状に戻る物性変化が少ないほど、作業性に優れたクリームだと評価される。基本的に、乳化安定性が高いクリームほど、ホイップ後の戻りが多くなる傾向がある。
乳化安定性と解乳化性はトレードオフの関係にあり、乳化を強固にすると乳化安定性は向上する一方、ホイップ時間の延長や戻りの増加が発生する。一方、解乳化性を強化すると、ホイップ時間が短縮し、戻りが低減するものの、乳化安定性の低下につながる。したがって、乳化安定性の向上、ホイップ時間の短縮、戻りの低減といった良好な特性を同時に付与することは難しく、このような特性を付与することができる製造方法が求められていた。
特開平6-98678号公報
本発明は、乳化安定性の向上、ホイップ時間の短縮及び戻りの低減という良好な特性を有する起泡性水中油型乳化物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、2以上の均質化工程を含む起泡性水中油型乳化物の製造方法において、キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により、最終均質化工程前の脂肪球のメディアン径が1.0~6.0μmとした場合に、乳化安定性の向上、ホイップ時間の短縮及び戻りの低減という良好な特性を有する起泡性水中油型乳化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様は、2以上の均質化工程を含む起泡性水中油型乳化物の製造方法であって、
キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により脂肪球のメディアン径を1.0~6.0μmとすることを含む第1均質化工程、及び
上記脂肪球のメディアン径をさらに小さくすることを含む第2均質化工程を含み、
第1均質化工程及び第2均質化工程の間、並びに第2均質化工程後には均質化工程を含まない、方法を提供する。
第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は、好ましくは0.8~2.7μmである。
本発明の第2の態様は、2以上の均質化工程を含む起泡性水中油型乳化物の製造方法であって、
水相を調製する工程、
油相を調製する工程、
水相と油相を混合する工程、
キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により脂肪球のメディアン径を1.0~6.0μmとすることを含む第1均質化工程、及び
上記脂肪球のメディアン径をさらに小さくすることを含む第2均質化工程を含み、
第1均質化工程及び第2均質化工程の間、並びに第2均質化工程後には均質化工程を含まない、方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、乳化安定性の向上、ホイップ時間の短縮及び戻りの低減という良好な特性を有する起泡性水中油型乳化物が得られる。
本発明における水中油型乳化物とは、水相を連続相とし、油相が分散している状態の乳化物を意味する。水中油型乳化物としては、例えば、植物性油脂や乳脂肪を利用したクリームが挙げられる。
本発明における起泡性水中油型乳化物(以下、「本乳化物」ともいう)とは、水中油型乳化物であって、撹拌によって起泡を生じさせることのできるものである。本発明における起泡性水中油型乳化物は、起泡前の水中油型乳化物及び起泡後の水中油型乳化物の両方を含む。例えば、起泡前の液状の乳化物、ホイップ後の無定形の乳化物、及び造花させた摂食の対象となる乳化物(いわゆる、ホイップドクリーム)のいずれも、起泡性水中油型乳化物に含まれる。
本乳化物は、油脂、タンパク質、乳化剤、水等を主原料として調製される食用の水中油型乳化物であり、生クリームではない。ただし、原料として生クリームを含むことは除外されない。ここで生クリームとは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外のほとんどの成分を除去したものをいう。これは、日本国における乳及び乳製品の成分規格等に関する省令ではクリームと定義され、一般にフレッシュクリームと呼ばれることもあるが、本発明においては、本乳化物のように人工的に調製した水中油型乳化物との対比のために生クリームと称する。
本乳化物の原料として用いられる油脂としては、例えば牛脂、ラード、乳脂、魚油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂;パーム油、パーム核油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、米油、大豆油、綿実油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、これらの分別油、水素添加油及びエステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。油脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、本乳化物の原料として用いられる油脂は、植物油脂及び乳脂肪の組み合わせでもよく、その全量が植物油脂であってもよい。
本乳化物における油脂の含有量は、本乳化物の全重量に対して、10~60重量%であってよい。油脂の含有量の下限値は、本乳化物の全重量に対して、15、20、25、30、35又は40重量%であってよい。油脂の含有量の上限値は、本乳化物の全重量に対して、55、50、47又は46重量%であってよい。
本乳化物の原料として用いられるタンパク質としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク質であれば、いずれのタンパク質でも使用することができる。例えば、大豆タンパク質粉末などの植物タンパク質、牛乳、脱脂乳、クリームパウダー、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全脂粉乳、れん乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、濃縮ホエイ、乳タンパク濃縮物、ホエイタンパク濃縮物、ホエイタンパク質生成物、生クリームなどの乳タンパク質が挙げられる。これらは単独で、または2種以上のタンパク質を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。本乳化物におけるタンパク質の含有量は、本乳化物の全重量に対して、1~10重量%であってよく、4~10重量%であってよく、2~5重量%であってよい。
本乳化物の原料として用いられるタンパク質の含有量と油脂の含有量の割合は、例えば、1:1~1:15であってよく、1:2~1:12であってよく、1:3~1:12であってよい。
本乳化物の原料として用いられる乳化剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる乳化剤であれば、いずれの乳化剤でも使用することができる。例えば、高級脂肪酸モノグリセリド、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ペンタグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンエルカ酸エステルなど)、有機酸(酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸など)モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例えば、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステルなど)、(植物、卵黄、分別、乳など)レシチン、酵素分解レシチン(例えば、酵素分解大豆レシチン、リゾレシチンなど)、カゼインナトリウムなどを挙げることができる。これらの群より単独、または2種以上の乳化剤を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。解乳化剤は、乳化剤のうち解乳化機能を有するものを指し、当業者は上述のような公知の乳化剤から適宜選択して用いることができる。
本乳化物は、上述の他にも、原料として、例えば糖類、安定剤・増粘剤、タンパク溶融塩、解乳化剤及びpH調整剤を含むこともできる。
本乳化物の原料として用いられる糖類としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる糖類であれば、いずれの糖類でも使用することができる。例えば、乳糖、ショ糖、水飴、澱粉、α化澱粉、澱粉水解物、液糖、砂糖、ぶどう糖、コーンシロップ、マンノース、マルトース、マルトトリオース、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、異性化液糖、ショ糖結合水飴、酵素糖化水飴、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、澱粉加水分解物、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール、ラフィノース、ラクチュロース、ステビア、アスパルテーム、キシロース、化工澱粉、デキストリン、麦芽糖、果糖、三温糖、和三盆糖、黒糖、メープルシロップ、蜂蜜、異性化液糖、果糖ぶどう糖液糖、還元水飴(糖アルコール)、トレハロース、ステビオサイド、カンゾウ抽出物、及びアスパルテームが挙げられる。糖類として、糖分を多く含む食品(果実、サツマイモなど)等の糖質を用いてもよい。これらの群より単独、または2種以上の糖類を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本乳化物の原料として用いられる安定剤・増粘剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられる安定剤・増粘剤であれば、いずれの安定剤・増粘剤でも使用することができる。例えば、カラギーナン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、ペクチン、ラーチガム、ローカストビーンガム、グアーガム、サイリウムシードガム、キンスシードガム、寒天、アルギン酸、ファーレセレラン、キサンタンガム、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、タピオカデンプン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、大豆タンパク、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸ソーダ、α化澱粉、澱粉リン酸エステルナトリウム等が挙げられる。
本乳化物の原料として用いられるタンパク溶融塩としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるタンパク溶融塩であれば、いずれのタンパク溶融塩でも使用することができる。例えば、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、クエン酸、酒石酸等の有機酸のアルカリ金属塩類、および炭酸塩等の無機塩類が挙げられる。
本乳化物の原料として用いられるpH調整剤としては、一般に食用の水中油型乳化物の製造に用いられるpH調整剤であれば、いずれのpH調整剤でも使用することができる。例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、炭酸及び酢酸が挙げられる。これらの群より単独、または2種以上のpH調整剤を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本発明の一態様において、起泡性水中油型乳化物の製造方法は、水相及び油相を調製する工程を含んでもよい。
水相を調製する工程は、本乳化物の原料のうち、水溶性の原料を混合し、水相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。本工程において使用する原料は、本乳化物の水溶性の原料すべてを含む必要はなく、本乳化物の原料のうちの一部であってよく、例えば、タンパク質、乳化剤、解乳化剤、増粘剤・安定剤及び糖類であってよく、タンパク質、乳化剤及び糖類であってよく、タンパク質及び乳化剤であってよい。
油相を調製する工程は、本乳化物の原料のうち、油溶性の原料を混合し、油相を調製する工程である。本工程における混合方法は特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。本工程において使用する原料は、本乳化物の油溶性の原料すべてを含む必要はなく、本乳化物の原料のうちの一部であってよく、例えば、油脂、乳化剤及び解乳化剤であってよく、油脂及び乳化剤であってよい。
本発明の一態様において、起泡性水中油型乳化物の製造方法は、水相及び油相を調製した後、水相と油相を混合する工程を含んでもよい。水相と油相を混合することで水相中に油相が分散し、脂肪球(油滴)が形成される。本製造方法は、この工程を省略し、均質化工程において水相と油相の混合を、均質化処理と合わせて行うこともできる。
本発明における均質化工程は、均質化処理を含む。均質化処理とは、脂肪球を微細化し、油相が水相に均一分散した状態になるように処理することを意味する。したがって、均質化処理により、脂肪球のサイズは小さくなる。また、油相が水相に均一分散した状態(乳化)になるため、均質化処理により乳化現象も起こる。
均質化処理方法は、特に限定されないが、装置等を用いて行うことができる。本発明における均質化工程に用いる装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができるが、例えば、キャビテータ、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、超音波乳化装置、ロールミル及びコロイドミルが挙げられる。また、本発明における均質化工程に用いる装置は、バッチ処理用であっても連続処理用であってもよい。
キャビテータは、高速回転する円板状の回転体(ローター)と回転体を囲んでいる固定体(インレット)により構成される。ローターは外周面に複数の穴を備えており、ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転すると、ローターが外周から回転中心に向かって有する穴に、流体力学的キャビテーションが生成される。ローターの外周面とインレットの内周面との間に隙間をあけて回転している状態で、被処理物がこの隙間を通過するように流動させることで、微細なキャビテーション気泡が生成され、それらが破壊すると衝撃波が被処理物中に放出され、被処理物はせん断力を受ける。
キャビテータのインレットの直径は、例えば、100~500mmであってよい。インレットの厚みは、例えば50~70mmであってよい。ローターの直径は、例えば、150~450mmであってよく、200~410mmであってよく、250~350mmであってよい。ローターの外周面とインレットの内周面との間に形成される隙間の半径方向の大きさは、1~5mmであってよく、1.5~3mmであってよい。
ローターの外周面に形成されている複数個の穴は、ローターにおける円周方向の同じ位置に複数個形成されている構造、すなわち、円周方向に一列になって、複数個の穴が、円周方向で隣接する穴同士の間に所定間隔をあけて形成されている構造にすることができる。
また、円板状のローターの外周面に形成されている複数個の穴は、ローターの被処理物が流動する方向で異なる複数の位置における円周方向の同じ位置にそれぞれ複数個形成されている構造にすることもできる。複数個の穴が、円周方向で隣接する穴同士の間に所定間隔をあけて円周方向に一列になっている構造が、ローターの被処理物が流動する方向で異なる複数の位置にそれぞれ形成されているので、複数個の穴が、円周方向で隣接する穴同士の間に所定間隔をあけて円周方向に一列になっている構造がローターの被処理物が流動する方向で複数列形成されているものである。
複数個の穴が、円周方向で隣接する穴同士の間に所定間隔をあけて円周方向に一列になっている構造は、ローターの被処理物が流動する方向で、1~10列存在していてよく、2~8列存在していてよい。
ローターが外周面に有する穴の数は、例えば、40~600であってよく、60~500であってよく、80~400であってよい。ローターの外周面の全面積に対するすべての穴の合計面積の割合は、例えば28%~56%であってよい。ローターの回転数は、例えば、2000~5000rpmであってよく、2500~4500rpmであってよく、3000~4000rpmであってよい。均質化工程におけるキャビテータの周速としては、例えば、30~75m/sであってよく、35~72m/sであってよく、40~70m/sであってよい。被処理物は、例えば0.15~0.30MPaの圧力で、流量2000~8000L/hでインレット内に流入させることができる。キャビテータとしては、例えば、APV(登録商標)キャビテータ(APV社製)が挙げられる。
高速回転型乳化装置及びコロイドミルは、高速回転する回転体で非処理物にせん断力を与え、脂肪球を小さく粉砕する。高速回転型乳化装置としては、例えば、ホモミキサー、断続ジェット流発生型乳化装置及びローター・ステーター式乳化装置が挙げられる。
ホモミキサーは、高速回転する回転体(タービン)と、それを囲むように配置された固定環(ステーター)により構成される。被処理物は、回転体と固定環間に存在する空隙を通過する際に、回転体外周の表面近傍で速度勾配により生じるせん断力を受ける。ホモミキサーとしては、例えば、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)が挙げられる。
断続ジェット流発生型乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と微小な間隔で配置された数十ものスリットを有するスクリーンにより構成される。高速回転するローターにより運動エネルギーを与えられた非処理物は、スリット部を通過することによる速度増加から、非処理物内で断続ジェット流を形成し、せん断力を生じさせる。断続ジェット流発生型乳化装置としては、例えば、クレアミックスW-モーション(エム・テクニック(株))が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、高速回転する回転体(ローター)と固定環(ステーター)により構成される。通常ステーターの内側にローターが配置されており、ローターが回転することにより被処理物がローターとステーターの間の間隙において内側から外側へ通過する際にせん断力を受け、スリット部のずれによる圧力変動からキャビテーションを生ずる。
ローター・ステーター式乳化装置のローター及びステーターはそれぞれ櫛歯型であってよい。
ローター・ステーターのセットの数は特に制限されないが、1~5組であってよく、1~4組であってよく、1~3組であってよい。1組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばキャビトロン(太平洋機工(株))が挙げられる。3組のローター・ステーターを有するローター・ステーター式乳化装置としては、例えばIKAインラインミキサー(IKA社製)が挙げられる。ローター・ステーターのセットが複数である場合、各ローターの周径は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、各ステーターの周径も同じであってもよく、異なっていてもよい。
均質化工程におけるローター・ステーター式乳化装置の周速としては、例えば、15~50m/sであってよく、17~45m/sであってよく、19~40m/sであってよい。ローター及びステーターが内蔵されるケーシングの直径は、例えば、50~800mmであってよく、100~600mmであってよく、200~400mmであってよい。
ローターの直径は、例えば、45~740mmであってよく、80~560mmであってよく、160~380mmであってよい。ローターの回転数は、例えば、1000~26000rpmであってよく、2000~20000rpmであってよい。
ローターは複数枚の撹拌翼を備えていてもよい。撹拌翼は、ローターの回転中心から放射状に延びるように設けられていてもよい。さらに、各撹拌翼の径方向で外側の壁面と、ステーターの内周壁面との間に所定の隙間が形成されていてもよい。上記のような撹拌翼を備えたローター・ステーター式乳化装置としては、例えばハイエストV((株)明治)が挙げられる。撹拌翼の数は、例えば4~10であってよく、6~8であってもよい。撹拌翼の形状は、例えば、スクリュー型又はプロペラ型であってよい。撹拌翼の高さは、ローターの中心から径方向に対して垂直方向に延びる回転軸の軸方向の長さ以内であってよい。
ステーターは、開口部(孔)又はスリットを有していてもよい。ステーターの孔数は、例えば、30~3000であってよく、60~2500であってよく、120~2500であってよく、400~2500であってよく、400~2000であってよい。ステーターの孔の直径は、1~6mmであってよく、2~4mmであってよい。ステーターのスリット幅は、例えば、1~20mmであってよく、2~15mmであってよく、4~10mmであってよい。スリット幅とは、間隙(穴)が長方形や楕円形では短辺や短径を意味し、円形では直径を意味する。
ステーターの開口部は略円形状の貫通孔であってよい。このような開口部を備えたローター・ステーター式乳化装置としては、例えばハイエストV((株)明治)が挙げられる。ステーターにおける開口部の面積の割合は、15%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上であってよい。ステーターにおける開口部2の面積の割合は、50%以下であってよい。
ローターとステーターの間の間隙は、例えば、0.1~5mmであってよく、0.5~3mmであってよく、1~2mmであってよい。ステーターと、ローターとが、ローターの回転軸が延びている方向で相互に近付く、又は離れることができるように構成されていてもよい。このような特徴を備えたローター・ステーター式乳化装置としては、例えばハイエストV((株)明治)が挙げられる。
ローター・ステーター式乳化装置は、ローター及びステーターを有するインラインミキサーであってよい。ローター・ステーター式インラインミキサーとしては、例えばキャビトロン(太平洋機工(株))、IKAインラインミキサー(IKA社製)及びインライン式ハイシアー(Silverson社製)が挙げられる。
これらローター・ステーター式インラインミキサーは、ケーシング内にローター及び0.1~10mmのスリット幅で構成されたステーターを有している。
均質化工程におけるローター・ステーター式乳化装置の周速としては、例えば、15~50m/sであってよく、17~45m/sであってよく、19~40m/sであってよい。
ローター・ステーター式インラインミキサーのローターとしては、ケーシングの直径が50~800mmであってよく、100~600mmであってよく、200~400mmであってよいのに対して、例えば、45~740mmであってよく、80~560mmであってよく、160~380mmであってよい。半径は22.5~370mm、回転数が3000~26000rpmであってよい。
ローター・ステーター式インラインミキサーのステーターとしては、例えば、スリット幅が0.1~10mm、好ましくは0.2~8mmであり、より好ましくは0.3~6mmである。
ローター・ステーター式乳化装置は、多機能タンクであってよい。多機能タンクとしては、例えば、ターボミキサー(スカニマ社製)、Dinex(FrymaKoruma社製)及びFlexMix(APV社製)が挙げられる。
これらターボミキサーなどの多機能タンクは、ケーシング(タンク)内にローター及び1~7mmのスリット幅で構成されたステーターを有している。
多機能タンクのローターとしては、タンクの直径が約580~2500mm、タンクの高さが約400~2300mmであるのに対して、例えば、直径が200~400mm(半径は100~200mmに相当)、回転数が1000~3000rpmである。
均質化工程における多機能タンクの周速としては、例えば、15~50m/sであってよく、17~45m/sであってよく、19~40m/sであってよい。
多機能タンクのステーターとしては、例えば、スリット幅が1~7mm、好ましくは2~6mmであり、より好ましくは3~5mmである。
多機能タンクのステーターは可動式であるものが撹拌や微粒化には効果的であり、具体的には、ダイナミックステーター(スカニマ社製)があり、ステーターが上下に動き、循環モードと高剪断モードを切り替えられるシステムとなっている。
高圧乳化装置としては、一般に高圧ホモジナイザーがよく用いられる。高圧ホモジナイザーは、高圧力に加圧した被処理物を、微小間隙に通すことで、高圧力を運動エネルギーに変換し、被処理物を粉砕する。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ホモゲナイザーHV-A((株)イズミフードマシナリ製)、ホモゲナイザーH-20型(三和機械(株)製)が挙げられる。
超音波乳化装置は、超音波を発振し、キャビテーションによりせん断力を与える。超音波乳化装置としては、例えば、超音波分散機((株)エスエムテー製)が挙げられる。
ロールミルは、異なる回転速度を持つローター上でせん断力を与える。ロールミルとしては、例えば、Trias(ビューラー(株)製)が挙げられる。
本発明は、2以上の均質化工程を含む起泡性水中油型乳化物の製造方法である。「2以上の均質化工程を含む」とは、少なくとも第1均質化工程及び第2均質化工程を含むことを意味する。
本発明における第1均質化工程は、キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により脂肪球のメディアン径を1.0~6.0μmとすることを含む。
第1均質化工程においては、キャビテータ及びローター・ステーター式乳化装置以外の装置(例えば高圧ホモジナイザー)を用いる均質化処理は行わない。第1均質化工程においてキャビテータを用いる場合の回転数は、例えば、2000~5000rpmであってよく、2500~4500rpmであってよく、3000~4000rpmであってよい。第1均質化工程においてローター・ステーター式乳化装置を用いる場合のローターの回転数は、例えば、1000~26000rpmであってよく、2000~20000rpmであってよい。第1均質化工程においてキャビテータを用いる場合の周速は、例えば、30~75m/sであってよく、35~72m/sであってよく、40~70m/sであってよい。周速は、例えば、15~50m/sであってよく、17~45m/sであってよく、19~40m/sあってよい。ローター・ステーター式乳化装置は、ローター・ステーター式インラインミキサー又は多機能タンクであってよい。
脂肪球のメディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所製)により、粒子径分布の中央値を求めた値として測定できる。上記の測定方法による第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は、好ましくは1.0~5.0μm、より好ましくは1.5~4.5μm、さらに好ましくは2.0~4.0μmである。上記の測定方法による第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径の下限値は、2.0μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm又は2.9μmであってよい。上記の測定方法による第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径の上限値は、5.9μm、5.8μm、5.7μm、5.4μm、3.5μm又は2.8μmであってよい。
本発明における第2均質化工程は、第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径をさらに小さくすることを含む。
第2均質化工程における均質化処理の方法は、特に制限されず、例えば上述した均質化工程に用いる装置を用いて行ってよい。第2均質化工程における均質化処理に用いる装置は、キャビテータ、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、超音波乳化装置、ロールミル及びコロイドミルからなる群から選択されてもよく、キャビテータ、ローター・ステーター式乳化装置及び高圧ホモジナイザーからなる群から選択されてもよく、高圧ホモジナイザーであってもよい。第2均質化工程においてキャビテータを用いる場合の回転数は、例えば、2000~5000rpmであってよく、2500~4500rpmであってよく、3000~4000rpmであってよい。第2均質化工程においてローター・ステーター式乳化装置を用いる場合のローターの回転数は、例えば1000~26000rpmであってよく、2000~20000rpmであってよい。第2均質化工程において高圧ホモジナイザーを用いる場合の圧力は、例えば、1.0~9.0MPaであってよく、2.0~8.0MPaであってよく、3.0~7.0MPaであってよく、4.0~7.0MPaであってよい。
上述した測定方法による第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は0.8~2.7μmであってよい。上述した測定方法による第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径は好ましくは1.0~2.5、より好ましくは1.2~2.3、さらに好ましくは1.4~2.0である。上述した測定方法による第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径の下限値は、1.0μm.1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm又は1.8μmであってよい。上述した測定方法による第2均質化工程後の脂肪球のメディアン径の上限値は、2.5μm、2.0μm、1.9μm又は1.8μmであってよい。脂肪球の粒度分布の標準偏差が小さいほど、物性がより安定である傾向が強く、好ましい。
本発明においては、第1均質化工程及び第2均質化工程の間に均質化工程を含まない。これは、第1均質化工程後、第2均質化工程の前において、脂肪球が第1均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径を小さくするための処理はしないことを意味する。すなわち、第2均質化工程においては、第1均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径をさらに小さく処理することを意味する。「小さくするための処理はしない」とは、均質化処理以外の処理であって、脂肪球のサイズを小さくする目的の処理ではない、例えば殺菌・滅菌処理を行う工程(殺菌・滅菌工程)は含むことができることを意味する。そのような均質化工程以外の工程としては、例えば、殺菌・滅菌工程、冷却工程が挙げられる。
殺菌・滅菌工程は、第1均質化工程前に行ってもよく、第1均質化工程及び第2均質化工程間に行ってもよく、第2均質化工程後に行ってもよい。殺菌・滅菌方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。例えば、プレート式熱交換殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、過熱水蒸気殺菌、レトルト殺菌、紫外線殺菌、高圧殺菌、電解磁場殺菌、放射線殺菌及び化学的殺菌が挙げられる。これらの群より単独、または2種以上の殺菌・滅菌方法を組み合わせて行ってもよい。
冷却工程は、第2均質化工程後に殺菌・滅菌工程を行った後に行ってもよく、殺菌・滅菌工程後に第2均質化工程を行った後に行ってもよく、殺菌・滅菌工程を行う前に行ってもよい。冷却方法は、特に制限されず、この分野における公知の方法により行うことができる。冷却温度は、例えば、20℃以下、10℃以下又は5℃以下であってよい。
また、本発明においては、第2均質化工程後にも均質化工程を含まない。これは、第2均質化工程が最後の均質化工程であり、第2均質化工程で小さくした脂肪球のメディアン径を、それ以降小さくするための処理はしないことを意味する。
第1均質化工程の前に、1以上の均質化工程を行うことができる。その場合には、第1均質化工程は、第1均質化工程の前に行われた均質化工程により小さくした脂肪球のメディアン径を、1.0~6.0μmとすることを含む。
(1)実施例1~12
以下の表1に示す配合の水中油型乳化物を作成した。
Figure 0007117115000001
タンクに規定量の温水を準備した後、水溶性原料である脱脂粉乳、乳化剤、解乳化剤、増粘多糖類・安定剤及びデキストリンを溶解し、水相を調製した。水相とは別に、加温した規定量の植物油脂に、油溶性原料である乳化剤・解乳化剤を溶解し、油相を調製した。水相に油相を投入した。さらにpH調整剤を投入した。
得られた混合物に対し、APV(登録商標)キャビテータ(APV社製;実施例1~3)、IKAインラインミキサー(IKA社製;実施例4~8)、キャビトロン(太平洋機工(株)製;実施例9~10)、ハイエストV((株)明治;実施例11)及びターボミキサー(スカニマ社製;実施例12)を用いて均質化処理を行った(第1均質化工程)。第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所製)により測定したところ、それぞれ2.381μm(実施例1)、2.446μm(実施例2)、2.748μm(実施例3)、2.921μm(実施例4)、3.687μm(実施例5)、5.381μm(実施例6)、2.923μm(実施例7)、2.923μm(実施例8)、2.758μm(実施例9)、3.185μm(実施例10)、2.832μm(実施例11)、3.095μm(実施例12)であった。
なお、実施例1においては、キャビテータ周速67m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例2においては、キャビテータ周速60m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例3においては、キャビテータ周速51m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例4においては、インラインミキサー周速38m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例5においては、インラインミキサー周速31m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例6においては、インラインミキサー周速19m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例7においては、インラインミキサー周速38m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例8においては、インラインミキサー周速38m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例9においては、キャビトロン周速40m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例10においては、キャビトロン周速26m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例11においては、ハイエストV周速25m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例12においては、ターボミキサー周速25m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
第1均質化工程後の混合物に対して、UHT殺菌機を用いて殺菌処理を行った。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH-20型)を用いて下記に記載の圧力で均質化処理を行った(第2均質化工程)。
第2均質化工程後、さらに冷却処理を行い、水中油型乳化物を得た。
第2均質化工程の均質化処理における高圧ホモジナイザーの均質化圧(表2における「ホモジナイザー均質化圧」)は、それぞれ4.8MPa(実施例1)、5.0MPa(実施例2)、5.2MPa(実施例3)、5.0MPa(実施例4)、5.0MPa(実施例5)、7.0MPa(実施例6)、6.5MPa(実施例7)、4.0MPa(実施例8)、5.2MPa(実施例9)、5.5MPa(実施例10)、5.0MPa(実施例11)、及び5.2MPa(実施例12)であった。
(2)比較例1
実施例1~12における第1均質化工程を行わない(すなわちpH調整剤投入後に殺菌処理を行った)以外は同様の方法により、水中油型乳化物を得た。なお、第2均質化工程の均質化処理は、高圧ホモジナイザーの均質化圧を7.0MPaとして実施した。
(3)比較例2
第1均質化工程において、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH-20型)を圧力2.0MPaで用いた以外は、実施例1~12と同様の方法により、水中油型乳化物を得た。第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径は2.712μmであった。なお、第2均質化工程の均質化処理は、高圧ホモジナイザーの均質化圧を5.0MPaとして実施した。
(4)実施例1~12及び比較例1~2の比較
ホイップ時間の測定及び戻りの算出は以下のように行った。
(4-1)ホイップ時間の測定
ステンレス製の専用ボウルに、実施例1~12及び比較例1~2で得た水中油型乳化物を900g、砂糖を63g準備した。ボウル内の水中油型乳化物及び砂糖の温度を5℃に調温した後、ケンミックスミキサー((株)愛工舎製作所製)にセットし、回転数560±10rpmの設定でホイップした。ホイップした水中油型乳化物を専用カップに摺り切りで充填した後、針入度計にセットし、針入度(硬さ)を測定した。ホイップした水中油型乳化物の針入度が280~300mmになった時間をホイップの終点として、ホイップの開始から終点までの時間をホイップ時間として計測した。
(4-2)戻りの算出
ステンレス製の専用ボウルに、実施例1~12及び比較例1~2で得た水中油型乳化物を900g、砂糖を63g準備した。ボウル内の水中油型乳化物及び砂糖の温度を5℃に調温した後、ケンミックスミキサー((株)愛工舎製作所製)にセットし、回転数560±10rpmの設定でホイップした。ホイップした水中油型乳化物を専用カップに摺り切りで充填した後、冷蔵庫内(約5℃)にて一晩保存した。その後、薬サジを用いて水中油型乳化物が全体に均一になるよう撹拌した後、針入度計にセットし、針入度を測定した。以下の計算式により戻りを算出した。
戻り(%)=[ホイップした水中油型乳化物の一晩保存後の針入度]/[水中油型乳化物のホイップ終点時の針入度]×100
実施例1~12及び比較例1~2で得た水中油型乳化物を比較した結果を表2に示す。
Figure 0007117115000002
乳化安定性値とは、実施例1~12及び比較例1~2で得た水中油型乳化物(100g)をそれぞれビーカー(200ml)に入れて常温(25℃)において120回/分の速度で振とうしたときに、比較例1の水中油型乳化物が凝固する所要時間を100として、実施例1~12及び比較例2で得た水中油型乳化物が凝固する所要時間を相対的に算出した数値である。この値が大きい程、乳化安定性が高いことを示す。実施例1~12の水中油型乳化物の乳化安定性値は、比較例1及び2の水中油型乳化物と比較して顕著に長いことから、比較例1及び2の水中油型乳化物と比較して乳化安定性が高いことが示された。
実施例1~12で得た水中油型乳化物のホイップ時間は、いずれも比較例1及び2で得た水中油型乳化物と比較して短かった。実施例1~12の方法により、比較例1及び2と比較して、水中油型乳化物のホイップ時間が短縮されたことが示された。
戻りは、比較例1の戻りを100として評価した。実施例1~12で得た水中油型乳化物の戻りは、比較例1及び2と比較して低減していた。実施例1~12の方法により、比較例1及び2と比較して、水中油型乳化物の戻りが低減されたことが示された。
水中油型乳化物の脂肪球の粒度分布の標準偏差が小さい程、物性が安定であることを示す。実施例1~5及び7~10は、比較例1及び2と比較してこの標準偏差が小さいため、比較例1及び2と比較して物性がより安定していることが示された。
(1)実施例13~18
以下の表3に示す配合の水中油型乳化物を作成した。
Figure 0007117115000003
タンクに規定量の温水を準備した後、水溶性原料である脱脂粉乳、乳化剤、解乳化剤、増粘多糖類・安定剤及びデキストリンを溶解し、水相を調製した。水相とは別に、加温した規定量の植物油脂に、油溶性原料である乳化剤・解乳化剤を溶解し、油相を調製した。水相に油相を投入した。さらにpH調整剤を投入した。
得られた混合物に対し、APV(登録商標)キャビテータ(APV社製;実施例13~14)、ハイエストV((株)明治;実施例15~18)を用いて均質化処理を行った(第1均質化工程)。第1均質化工程後の脂肪球のメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2200(株式会社島津製作所製)により測定したところ、それぞれ2.382μm(実施例13)、2.823μm(実施例14)、3.120μm(実施例15)、3.630μm(実施例16)、4.550μm(実施例17)、5.139μm(実施例18)であった。
なお、実施例13においては、キャビテータ周速53m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例14においては、キャビテータ周速40m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例15においては、ハイエストV周速25m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例16においては、ハイエストV周速19m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例17においては、ハイエストV周速16m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
実施例18においては、ハイエストV周速13m/sにて第1均質化工程の均質化処理を実施した。
第1均質化工程後の混合物に対して、UHT殺菌機を用いて殺菌処理を行った。
殺菌処理後、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社製ホモゲナイザーH-20型)を用いて下記に記載の圧力で均質化処理を行った(第2均質化工程)。
第2均質化工程後、さらに冷却処理を行い、水中油型乳化物を得た。
第2均質化工程の均質化処理における高圧ホモジナイザーの均質化圧(表4における「ホモジナイザー均質化圧」)は、それぞれ4.0MPa(実施例13)、4.0MPa(実施例14)、4.3MPa(実施例15)、4.8MPa(実施例16)、4.3MPa(実施例17)、及び4.8MPa(実施例18)であった。
(2)比較例3
実施例13~18における第1均質化工程を行わない(すなわちpH調整剤投入後に殺菌処理を行った)以外は同様の方法により、水中油型乳化物を得た。なお、第2均質化工程の均質化処理は、高圧ホモジナイザーの均質化圧を5.4MPaとして実施した。
(4)実施例13~18及び比較例3の比較
実施例1~12と同様に、ホイップ時間の測定及び戻りの算出を行った。実施例13~18及び比較例3で得た水中油型乳化物を比較した結果を表4に示す。
Figure 0007117115000004
乳化安定性値の算出も、実施例1~12と同様に行った。実施例13~18の水中油型乳化物の乳化安定性値は、比較例3の水中油型乳化物と比較して顕著に長いことから、比較例3の水中油型乳化物と比較して乳化安定性が高いことが示された。
実施例13~18で得た水中油型乳化物のホイップ時間は、いずれも比較例3で得た水中油型乳化物と比較して短かった。実施例13~18の方法により、比較例3と比較して、水中油型乳化物のホイップ時間が短縮されたことが示された。
戻りは、比較例3の戻りを100として評価した。実施例13~18で得た水中油型乳化物の戻りは、比較例3と比較して低減していた。実施例13~18の方法により、比較例3と比較して、水中油型乳化物の戻りが低減されたことが示された。
実施例13及び15~17は、比較例3と比較して水中油型乳化物の脂肪球の粒度分布の標準偏差が小さいため、比較例3と比較して物性がより安定していることが示された。
以上により、本発明により、乳化安定性の向上、ホイップ時間の短縮及び戻りの低減という良好な特性を有する起泡性水中油型乳化物を製造できることが示された。

Claims (2)

  1. 2以上の均質化工程を含む起泡水中油型乳化物の製造方法であって、
    キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により脂肪球のメディアン径を1.5~6.0μmとすることを含む第1均質化工程、及び
    前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくし、1.4~2.0μmとすることを含む第2均質化工程を含み、
    第1均質化工程及び第2均質化工程の間、並びに第2均質化工程後には均質化工程を含まない、方法。
  2. キャビテータ又はローター・ステーター式乳化装置により脂肪球のメディアン径を1.5~6.0μmとすることを含む第1均質化工程、及び
    前記脂肪球のメディアン径をさらに小さくし、1.4~2.0μmとすることを含む第2均質化工程を含み、
    第1均質化工程及び第2均質化工程の間、並びに第2均質化工程後には均質化工程を含まない、方法により、起泡前の起泡性水中油型乳化物を製造するステップと、
    前記起泡前の起泡性水中油型乳化物を起泡するステップと、を含む、起泡後の水中油型乳化物の製造方法。
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