JP2019154317A - ビールテイストノンアルコール飲料 - Google Patents

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美奈子 神代
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Abstract

【課題】味の厚みが実現されたビールテイストノンアルコール飲料の提供。【解決手段】本発明によれば、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイストノンアルコール飲料であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)が22〜57%である、ビールテイストノンアルコール飲料が提供される。【選択図】なし

Description

本発明はビールテイストノンアルコール飲料に関する。
近年の健康志向の高まりに加え、飲用シーンや消費者の嗜好の多様化によりビールテイストノンアルコール飲料への需要は年々高まっている。ビールテイストノンアルコール飲料の分野ではノンアルコール飲料でありながらビール特有の味わいや香りが感じられるように様々な技術が開発されてきた。
例えば、非発酵のビールテイスト飲料にGABAを配合して風味を改善する技術(特許文献1)や、ビール様ノンアルコール飲料にビール凍結乾燥物を配合して風味を改善する技術(特許文献2)がこれまでに知られている。しかし、消費者の嗜好レベルの高まりに鑑みれば、ビーステイストノンアルコール飲料においては依然として風味改善が求められているといえる。
特開2017−184697号公報 特開2013−201976号公報
本発明は、味の厚みが実現されたビールテイストノンアルコール飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、ビールテイストノンアルコール飲料において、分子量800〜1500Daのペプチドの比率を特定範囲内にすることで、当該ビールテイストノンアルコール飲料において味の厚みを実現できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイストノンアルコール飲料であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)が22〜57%である、ビールテイストノンアルコール飲料。
[2]前記ペプチド質量の比率が25〜41%である、上記[1]に記載のビールテイストノンアルコール飲料。
[3]糖質濃度が1.5g/100mL以上3g/100mL未満である、上記[1]または[2]に記載のビールテイストノンアルコール飲料。
[4]風味が改善された、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とする、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することを含んでなる方法。
[5]ビールテイストノンアルコール飲料の製造工程において、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドを添加する工程を含む、上記[4]に記載の製造方法。
[6]麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドを有効成分として含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の風味改善剤。
[7]麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイストノンアルコール飲料の風味改善方法であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することを含んでなる方法。
本発明によれば、ビールテイストノンアルコール飲料において、分子量800〜1500Daのペプチドの比率を特定範囲内に調整することによって、味の厚みが実現されたビールテイストノンアルコール飲料を提供でき、消費者の多様な嗜好やニーズに応えることができる点で有利である。
実施例1において実施した、HPLC分析用ゲル濾過法の保持時間と既知物質の分子量から作成した検量線を示した図である。 実施例1の官能評価結果を示した図である。分子量800〜1500Daのペプチド画分の添加が味の厚みや渋味に与える影響を官能評価スコアで示した。
発明の具体的説明
本発明において「ビールテイスト」とは、通常にビールを製造した場合、すなわち、酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合に得られるビール特有の味わい、香りを意味する。
「ビールテイストノンアルコール飲料」とは、未発酵のため発酵に由来するアルコール成分を含まないノンアルコール飲料でありながらビール様(ビールテイスト)の風味を持つ飲料をいう。また、本発明において「ノンアルコール飲料」とは、アルコールが全く含まれない、すなわち、エタノール濃度が0.00v/v%である飲料を意味し、「完全無アルコール飲料」と同義である。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料は、糖質濃度によらず味の厚みを実現することができるが、例えば、下限値(以上または超える)を1.5g/100mLまたは2.0g/100mLとすることができ、また、上限値(以下または未満)を3.0g/100mL、2.9g/100mLまたは2.5g/100mLとすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、例えば、飲料の糖質濃度を1.5g/100mL以上3g/100mL未満、1.5〜2.9g/100mLまたは2.0〜2.5g/100mLとすることができる。
糖質濃度の測定は公知の方法によって行うことができ、当該試料の質量から、水分、タンパク質、脂質、灰分および食物繊維量を除いて算出する方法(栄養表示基準(平成21年12月16日 消費者庁告示第9号 一部改正)参照)に従って行うことができる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料ではHPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料由来の全ペプチド質量に対する飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)が特定範囲内であることを特徴とする。当該比率は、飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド濃度(mg/mL)をHPLC分析用ゲル濾過法で分画された飲料由来の全ペプチド濃度(mg/mL)で除することで算出することができる。本発明において、当該ペプチド比率の下限値(以上または超える)は、味の厚みの付与の観点から22%(好ましくは25%、26%または27%)とすることができ、また、上限値(以下または未満)は、57%(好ましくは41%、40%または34%)とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、例えば、ペプチド比率の範囲は22〜57%とすることができ、好ましくは25〜41%、26〜41%、27%〜41%、27%〜40%または27%〜34%とすることができる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料ではまた、飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド濃度の下限値(以上または超える)を0.207mg/mL(好ましくは0.290mg/mL)とすることができ、また、上限値(以下または未満)を57mg/mL(好ましくは41mg/mL)とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、例えば、飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド濃度を0.207〜41mg/mLまたは0.290〜57mg/mLとすることができる。
飲料中のペプチドの分子量は高速液体クロマトグラフィーによるゲル濾過法(本明細書において「HPLC分析用ゲル濾過法」ということがある)により測定される。具体的には、HPLC分析用ゲル濾過法の検量線(例えば、図1)を用いて保持時間から分子量を算出し、保持時間により分子量の異なるサンプルを分取できる。HPLC分析用ゲル濾過法による分子量の測定の具体例は後記実施例1に示される通りである。また、ペプチドの定量はLowry法(ローリー法)により実施することができる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料は、ノンアルコール飲料であるにもかかわらず、味の厚みが付与されていることを特徴とする。ここで、「味の厚み」とは、味の広がり、複雑さ、ボディ感付与等により認識される香味感覚を意味する。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料は、飲料中の800〜1500Daのペプチド比率が所定の範囲内に調整される限り、通常のビールテイストノンアルコール飲料の製造手順に従って製造することができる。例えば、麦芽、ホップ、その他の原料(例えば、香料、色素、食物繊維、タンパク加水分解物、起泡・泡持ち向上剤、水質調整剤など)、水等の原料から仕込み液を調製し、該仕込み液から静置により固形分を取り除いた後、濾過を行うことでビールテイストノンアルコール飲料を製造することができる。
上記仕込み液の調製は常法に従って行うことができる。例えば、醸造原料と醸造用水の混合物を糖化し、濾過して、麦汁を得、その麦汁にホップを添加した後、煮沸し、煮沸した麦汁を冷却することにより麦汁を調製することができる。また、麦汁は、糖化工程中に市販の酵素製剤を添加して作製することもできる。例えば、タンパク分解のためにプロテアーゼ製剤を、糖質分解のためにα−アミラーゼ製剤、グルコアミラーゼ製剤、プルラナーゼ製剤等を、繊維素分解のためにβ−グルカナーゼ製剤、繊維素分解酵素製剤等をそれぞれ用いることができ、あるいはこれらの混合製剤を用いることもできる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料の製造の好ましい態様においては、糖化工程において、エンド型プロテアーゼ活性が高い麦芽および/またはエンド型プロテアーゼ活性を保有する酵素製剤をタンパク分解のために使用することができる。このような工程を実施することによりビールテイストノンアルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドの比率を増加させて、所定値の範囲内に調整することができ、ひいてはノンアルコール飲料でありながら、味の厚みが付与されたビールテイストノンアルコール飲料を製造することができる。すなわち、本発明によれば糖化工程においてエンド型プロテアーゼ活性が高い麦芽および/またはエンド型プロテアーゼを含む酵素製剤を使用することを含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法が提供される。上記の麦芽や酵素製剤の活性の特徴は、エンド型プロテアーゼ活性に基づいて特定することができる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料は、麦芽および未発芽の麦類のいずれかまたは両方を原料の少なくとも一部とするものであり、好ましくは、麦芽または麦芽および未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするものである。本発明のビールテイストノンアルコール飲料においては、麦芽として大麦麦芽を原料の一部として使用することができる。本発明のビールテイストノンアルコール飲料においてはまた、未発芽の麦類として、未発芽大麦(エキス化したものを含む)や、未発芽小麦(エキス化したものを含む))を原料として使用することができる。
本発明のビールテイストノンアルコール飲料の製造では、麦芽および未発芽の麦類以外に、米、とうもろこし、大豆、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類(例えば、液糖)、果実(例えば、果汁、濃縮果汁)、コリアンダーまたはその種、香辛料またはその原料(例えば、こしょう、シナモン、さんしょう)、ハーブ(例えば、カモミール、セージ、バジル)、野菜(例えば、かんしょ、かぼちゃ)、そばまたはごま、含糖質物(例えば、ハチミツ、黒糖)、食塩、みそ、花、茶、コーヒー、ココア(茶、コーヒーおよびココアはその調製品を含む)、海産物(例えば、牡蠣、こんぶ、わかめ、かつお節)等の副原料;タンパク質分解物や酵母エキス等の窒素源;ホップエキス、香料、色素、起泡・泡持ち向上剤、甘味料、食物繊維、水質調整剤等のその他の添加物を原料として使用することができる。なお、本発明のビールテイストノンアルコール飲料中の食物繊維(例えば、難消化性デキストリン)の含有量は1%未満(好ましくは0.9%未満)とすることができる。
本発明においては、穀物類(例えば、麦芽および/または未発芽の麦類や大豆)から分子量800〜1500Daのペプチドが含まれる画分を調製し、該画分をビールテイストノンアルコール飲料に添加することによって、分子量800〜1500Daのペプチドの比率を所定値の範囲内に調整することができ、味の厚みが付与されたビールテイストノンアルコール飲料を製造することができる。すなわち、本発明によれば、穀物類から分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドが含まれる画分を調製し、該画分をビールテイストノンアルコール飲料に添加することを含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法が提供される。上記ペプチド画分のビールテイストノンアルコール飲料への添加は、該飲料の製造工程(例えば、調合工程)において行うことができる。なお、穀物類由来の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドは、例えば、穀物類をペプチダーゼ等のタンパク分解酵素で加水分解処理することにより調製することができ、大豆タンパク加水分解物のような穀物類のタンパク加水分解物から得てもよい。
本発明においてはまた、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料を製造し、該飲料から分子量800〜1500Daのペプチドが含まれる画分を調製し、該画分をビールテイストノンアルコール飲料に添加することによって、分子量800〜1500Daのペプチドの比率を所定値の範囲内に調整することができ、味の厚みが付与されたビールテイストノンアルコール飲料を製造することができる。すなわち、本発明によれば、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料を製造し、次いで、前記飲料から分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドが含まれる画分を調製し、該画分をビールテイストノンアルコール飲料に添加することを含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法が提供される。上記ペプチド画分のビールテイストノンアルコール飲料への添加は、該飲料の製造工程(例えば、調合工程)において行うことができる。
また、本発明によれば、穀物類あるいは麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に由来する分子量800〜1500Daの1種または2種以上のペプチドが配合されてなるビールテイストノンアルコール飲料が提供され、該飲料は本発明のビールテイストノンアルコール飲料の一部である。該ペプチドが配合されてなる飲料はビールテイストノンアルコール飲料としての風味が改善あるいは向上されており、具体的には、味の厚みが増強された飲料である。
本発明により提供される飲料は、場合によっては炭酸ガスを添加する工程に付し、さらに、充填工程、殺菌工程などの工程を経て容器詰め飲料として提供することができる。殺菌は容器への充填前であっても充填後であってもよい。また、飲料のpHが4未満に調整されている場合には殺菌工程を経ずにそのまま充填工程を行って容器詰め飲料とすることもできる。
本発明による飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは、金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、瓶である。
本発明の別の面によれば、風味が改善された、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とする、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することを含んでなる方法が提供される。本発明においてビールテイストノンアルコール飲料の「風味が改善された」あるいは「風味改善」とは、ビールテイストノンアルコール飲料において味の厚みが実現されることを意味するものとする。上記の本発明の製造方法は、好ましくは味の厚みが付与されたビールテイストノンアルコール飲料の製造方法である。上記の本発明の製造方法は本発明のビールテイストノンアルコール飲料およびその製造方法についての記載に従って実施することができる。
本発明の別の面によれば、穀物類あるいは麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドを有効成分として含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の風味改善剤が提供される。ビールテイストノンアルコール飲料の風味改善剤は、好ましくはビールテイストノンアルコール飲料の味の厚み付与剤である。本発明の風味改善剤は、本発明のビールテイストノンアルコール飲料およびその製造方法に関する記載に従って実施することができる。
本発明のさらに別の面によれば、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の一部とする、ビールテイストノンアルコール飲料の風味改善方法が提供される。本発明の風味改善方法は、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することにより実施できる。本発明の風味改善方法は、好ましくはビールテイストノンアルコール飲料に味の厚みを付与する方法である。本発明の風味改善方法は、本発明のビールテイストノンアルコール飲料およびその製造方法に関する記載に従って実施することができる。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
糖質濃度の分析
栄養表示基準に基づく糖質濃度の測定は、公知の五訂日本食品標準成分表分析マニュアルに記載の方法に従って行った。すなわち、サンプル飲料の質量から、水分(減圧加熱乾燥法)、タンパク質(自動分析装置による方法)、脂質(ソックスレー抽出法(3))、灰分(マッフル炉による燃焼法)および食物繊維量(プロスキー酵素重量法)を除いて算出する方法により測定した。
参考例1:ビールテイスト飲料に好ましい香味を付与するペプチド画分の特定
(1)ビールテイスト発酵アルコール飲料の製造
大麦麦芽、ホップ、酵素製剤を用いて、インフュージョン法にてビールテイスト発酵アルコール飲料を製造した。具体的には、65℃の湯300mLに大麦麦芽100gを入れ、60分保持し、さらに78℃に昇温して5分保持後、濾過して麦汁を得た。続いて、ホップを0.8g/L投入して100℃で90分煮沸したのち、濾過して発酵前液を得た。
その後、常法に従ってビール酵母により発酵を行い、発酵液の香味確認を行った。その結果、得られた発酵液は、雑味が抑制され、ビールらしく柔らかくスムーズなテクスチャーがあり、調和のとれた味わいがあることが確認された。
(2)ゲル濾過分画
上記(1)で得られた発酵液を0.45μmフィルターで濾過し、濾過済み発酵液を計量して凍結乾燥した。乾燥物を100mM NaCl溶液で溶解して5倍濃縮液を調製し、分画用サンプルとした。サンプルは、以下の条件にてゲル濾過分画を行った。
<ゲル濾過分画条件>
カラム:Hiload Superdex 30pg 26/600(GEヘルスケア社製)
サンプル注入量:5mL
溶離液組成:100mM NaCl
流速:2.5mL/分(流速一定)
検出波長:215nm
分取:0.29cv(カラム・ボリューム)から19.1mL(フラクション0)、その後0.35cvから5mLずつ分画(フラクション1〜51)
分画物の官能評価により、香味の特徴の違いによって、表1のようにフラクションをプレ画分、A1、A2、B、C、D、E、F、Gの9つのグループに分けた。また、各画分の香味特徴は5名の訓練されたパネラーのディスカッションにより決定した。
Figure 2019154317
(3)ペプチド画分の精製
上記(2)で得られた画分CおよびDは、固相抽出カラム(Bond Elute C18、Agilent technologies社製)にて吸着処理を行い、脱塩水で洗浄した後、50%エタノール水溶液にて溶出して、濃縮乾固を行い、これを脱塩水にて復水し、濃縮液とした。これをペプチド画分とした。
(4)ローリー法によるタンパク定量
上記(2)のゲル濾過分画と上記(3)のペプチド画分の精製によって得られたペプチド画分のタンパク定量は、市販のキット(DCプロテインアッセイ、Bio−Rad社製)を用いたLowry法で行った。まず、上記分画液を適切な範囲になるように濃度調整した。濃度調整したサンプル5μLに対し、A液を50μL加えて撹拌し、続いてB液を400μL加えて攪拌した。室温で15分発色反応を行った後、96ウェルプレートに350μL移して750nmの吸光度を測定した。得られた吸光度と予め作成した検量線に基づき、ペプチド濃度(mg/mL)を算出した。なお、検量線はBSA(ウシ血清アルブミン)を用いて作成した。
(5)結果
ペプチド分画物は、Superdex 75 10/300カラムにて分析を行い、分子量を推定したところ、画分CおよびDのペプチドが分子量約800〜1500Daに分布していた。
以上の結果より、ビールテイスト発酵アルコール飲料から分画・精製した分子量約800〜1500Daのペプチド画分CおよびDは、飲み応え(すなわち、味の厚み)の付与に有効であることが示唆された。
実施例1:ビールテイストノンアルコール飲料の製造並びに該飲料へのペプチド添加が味の厚みに与える影響の分析
(1)ビールテイストノンアルコール飲料の製造
本実施例のビールテイストノンアルコール飲料の製造においては、主原料として、大麦麦芽を使用した。糖化に際しては糖化の温度、時間を調整し、濾過することで、麦汁を得た。具体的には、65℃の湯100質量部に対して、大麦麦芽5.6質量部を投入して15分保持後、76℃に昇温して25分保持し、82℃に昇温保持した後濾過して麦汁を得た。
上記の麦汁調製工程に続いて、得られた麦汁にホップを投入し100℃で60分煮沸した後、麦汁静置を行い、トリューブを分離した後、冷却し、冷却麦汁を得た。得られた冷却麦汁の糖度を水で調整した後、呈味素材、香料、泡持ち素材を添加し、濾過して、清澄なビールテイストノンアルコール飲料(サンプル番号1)を得た。
(2)ペプチド画分の調製
市販のビールテイスト飲料をガス抜きした上で計量して凍結乾燥した。凍結乾燥物を100mM NaCl溶液に溶解して5倍濃縮液を調製し、ゲル濾過分画用サンプルとした。参考例1(2)の記載に従ってゲル濾過分画を実施し、得られた画分C(フラクション番号:F25〜29)を、参考例1(3)の記載に従って精製した。この際、精製での回収率向上に向け、固相抽出カラムの素通り画分を合成吸着材(セパビーズSP207、三菱ケミカル社製)による回収も行った。タンパク定量は参考例1(4)に記載のローリー法により行った。
(3)HPLC分析用ゲル濾過画分の調製
試醸品に関しては、上記(1)で得られた試醸品をガス抜きした上で計量して凍結乾燥した。各凍結乾燥物を50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、150mM NaCl含む)で溶解して2.5倍濃縮液を調製し、ゲル濾過分画用サンプルとした。ペプチド画分に関しては、10倍濃縮液相当になるよう上記の緩衝液で溶解し、ゲル濾過分画用サンプルとした。分画サンプルについて、それぞれ、以下の条件にてゲル濾過分画を行い、分画フラクション(フラクション1〜10)を得た。
HPLC分析用ゲル濾過法の条件は以下の通りであった。
<HPLC分析用ゲル濾過法分析条件>
カラム:Superdex 75 10/300(GEヘルスケア社製)
サンプル注入量:100μL
溶離液組成:50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、20%(v/v)アセトニトリル、150mM NaCl
流速:0.5mL/分(流速一定)
検出波長:215nm
分画液のタンパク定量は参考例1(4)に記載のローリー法により行った。
(4)HPLC分析用ゲル濾過法による分子量の測定
ア HPLC分析用ゲル濾過のサンプル調製
上記(3)で得られた分画フラクション(フラクション1〜10)をサンプルとして使用した。
イ 分子量の検量線作成
上記HPLC分析用ゲル濾過条件記載のカラム、溶離液、流速、検出波長において、分子量既知のペプチドを0.1〜5mg/mLで適宜超純水に溶解したものを50μL注入してHPLC分析を行い、保持時間を確認した(表2)。その保持時間、分子量から検量線(図1)を作成した。
Figure 2019154317
ウ 分子量の算出
分子量測定の結果、フラクション1〜10のうちフラクション7に含まれるペプチドは分子量800〜1500Daの範囲であることが確認された。
(5)分子量800〜1500Daのペプチド比率の算出
分子量800〜1500Daのペプチド比率は各分画フラクションにおける製品相当のペプチド濃度を用いて以下の算出式にて求めた。
Figure 2019154317
試作品ペプチド比率は表3に示される通りであった。
(6)糖質濃度の分析
ビールテイストノンアルコール飲料(サンプル番号1)および添加品1〜3(サンプル番号2〜4)の糖質濃度の測定は前記の通り栄養表示基準に基づいて行った。結果は表3に示される通りであった。
(7)官能評価
上記(1)で製造したビールテイストノンアルコール飲料に上記(2)で得られたペプチド画分を添加しない試験区(試作品)と添加する試験区(添加品1〜3)を設け、800〜1500Daのペプチド濃度が表3のように調整されたサンプル飲料(サンプル番号1〜4)を調製した。
官能評価は5名の訓練されたパネラーにより実施した。具体的には、「味の厚み」および「渋味」について1〜10点の10段階で評価を行い、パネラー5名の評価スコアの平均値を計算した。ここで、「味の厚み」とは、味の広がり、複雑さ、ボディ感付与等により認識される香味感覚をいう。「味の厚み」についてはサンプル番号1のサンプル飲料を3点、サンプル番号4のサンプル飲料を8点とし、4点以上を味の厚みが増したと判断した。また、「渋味」についてはサンプル番号1のサンプル飲料を1点、サンプル番号4のサンプル飲料を5点とし、8点以上の場合には飲料全体の香味として不適なレベルの渋味であると判断した。
官能評価の結果は表3と図2に示される通りであった。
Figure 2019154317
表3の結果から、ビールテイストノンアルコール飲料であっても、800〜1500Daのペプチド比率を高めることにより「味の厚み」が向上することが確認された。一方、800〜1500Daのペプチド比率を高めていくと、味の厚みは増加する一方で渋味が強くなり香味バランスを崩す恐れがあるため、その上限値は60%程度とすることが望ましい。

Claims (7)

  1. 麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイストノンアルコール飲料であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)が22〜57%である、ビールテイストノンアルコール飲料。
  2. 前記ペプチド質量の比率が25〜41%である、請求項1に記載のビールテイストノンアルコール飲料。
  3. 糖質濃度が1.5g/100mL以上3g/100mL未満である、請求項1または2に記載のビールテイストノンアルコール飲料。
  4. 風味が改善された、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とする、ビールテイストノンアルコール飲料の製造方法であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することを含んでなる方法。
  5. ビールテイストノンアルコール飲料の製造工程において、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドを添加する工程を含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に含まれる分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチドを有効成分として含んでなる、ビールテイストノンアルコール飲料の風味改善剤。
  7. 麦芽および/または未発芽の麦類を原料の少なくとも一部とするビールテイストノンアルコール飲料の風味改善方法であって、HPLC分析用ゲル濾過法で分画された前記飲料の全ペプチド質量に対する前記飲料中の分子量800〜1500Da(HPLC分析用ゲル濾過法)のペプチド質量の比率(百分率)を22〜57%に調整することを含んでなる方法。
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