JP2019151821A - α−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、α−オレフィン重合用触媒、及びそれを用いたα−オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
α−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、α−オレフィン重合用触媒、及びそれを用いたα−オレフィン重合体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このように利用用途が非常に広く多岐にわたるために、ポリオレフィンにおいては、それらの用途面から、多種の性質においての改良、向上が求め続けられ、それらの要望に応じるために、主として重合触媒の改良による技術開発が展開されてきた。
具体的には、マグネシウム化合物を触媒担体としてチタン及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分を使用した触媒が開発され、さらに、電子供与体を使用して触媒活性と立体規則性を高めた触媒(例えば、特許文献1〜3参照)、その後には、特定の有機ケイ素化合物を新たに触媒成分に付加して、さらに、触媒活性や立体規則性の向上をはかる提案もなされている(特許文献4参照)。また、特定の有機ケイ素化合物の他に、ビニル基やアリル基のようなアルケニル基を有する特殊な構造のケイ素化合物を併用することで、触媒活性や立体規則性がさらに向上し、分子量調節剤として用いられる水素のレスポンスが良化するなどの性能向上をはかる提案もされている(例えば、特許文献5〜8参照)。さらに、有機ケイ素化合物と組み合わせた特定のアミド化合物または亜硫酸エステルなどを外部ドナーとして使用して、非晶性成分を低減する提案もされている(特許文献9、10参照)。また、固体触媒成分に特定の二種類の有機アルミニウム化合物で2回以上処理させることにより、立体規則性を向上させるなど(例えば、特許文献11参照)、多くの改良技術が開示されている。
下記の成分(A1)に、成分(A2)、成分(A3)及び成分(A4)を50〜110℃の温度で接触処理し、
得られた前記α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中の前記電子供与体の含量が40μmol/g以下であることを特徴とする。
成分(A1):チタン、マグネシウム、ハロゲン、電子供与体を必須成分として含有する固体成分
成分(A2):アルケニル基を有するシラン化合物
成分(A3):アルコキシシラン化合物[ただし、アルケニル基を有するシラン化合物とは異なる。]
成分(A4):有機アルミニウム化合物
R1R2 mSi(OR3)n ・・・(1)
(ここで、R1は炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R2は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R3は炭化水素基であり、0≦m≦2、1≦n≦3、m+n=3を示す。)
成分(B):有機アルミニウム化合物
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法は、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体及びアルコキシシラン化合物を含むα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の製造方法であって、
下記の成分(A1)に、成分(A2)、成分(A3)及び成分(A4)を50〜110℃の温度で接触処理し、
得られた前記α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中の前記電子供与体の含量が40μmol/g以下であることを特徴とする。
成分(A1):チタン、マグネシウム、ハロゲン、電子供与体を必須成分として含有する固体成分
成分(A2):アルケニル基を有するシラン化合物
成分(A3):アルコキシシラン化合物[ただし、アルケニル基を有するシラン化合物とは異なる。]
成分(A4):有機アルミニウム化合物
本発明の固体成分(A1)は、マグネシウム(A1a−1)、チタン(A1a−2)、ハロゲン(A1a−3)、電子供与体(A1a−4)を必須成分として含有する。
本発明に係る固体成分(A1)で用いるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、任意のものを用いることができる。その代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることができる。
一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類、ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール化合物類、ブチルオクチルマグネシウムに代表される有機マグネシウム化合物類、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウムに代表される無機酸及び有機酸のマグネシウム塩化合物類、及びそれらの混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Mg(OEt)mCl2−m;0<m<2などの化合物)、などを用いることができる。
この中で特に好ましいのは、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、金属マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライドである。
例えば、球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、1〜200μmのものが使用し得る。好ましくは5〜150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は、1〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、更に好ましくは10〜40μmである。
また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。
更に、その粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと、3以下であり、好ましくは2以下である。
本発明に係る固体成分(A1)で用いるチタン源となるチタン化合物としては、任意のものを用いることができる。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることができる。
チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることができるが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いることが望ましい。
また、3価のチタン化合物の具体例としては、三塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類を挙げることができる。三塩化チタンは、水素還元型、金属アルミニウム還元型、金属チタン還元型、有機アルミニウム還元型、など、公知の任意の方法で製造された化合物を用いることができる。
上記のチタン化合物類は、単独で用いるだけではなく、複数の化合物を併用することも可能である。また、上記チタン化合物類の混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Ti(OBu)mCl4−m;0<m<4などの化合物)、また、フタル酸エステル等のその他の化合物との錯化物(例えば、Ph(CO2Bu)2・TiCl4などの化合物)、などを用いることができる。
本発明に係る固体成分(A1)で用いるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いることができる。この中で塩素が特に好ましい。
ハロゲンは、上記のチタン化合物及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することもできる。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類、1,2−ジクロロエタンやベンジルクロライドに代表されるハロゲン化有機化合物類、トリクロロボランに代表されるハロゲン化ボラン化合物類、五塩化リンに代表されるハロゲン化リン化合物類、六塩化タングステンに代表されるハロゲン化タングステン化合物類、五塩化モリブデンに代表されるハロゲン化モリブデン化合物類、などを挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いるだけでなく、併用することも可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
本発明に係る固体成分(A1)で用いられる電子供与体(A1a−4)の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることができる。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、などを用いることができ、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体化合物、エーテル化合物、並びにケトン化合物からなる群より選ばれる1種類または2種類以上の混合物であってもよい。
これらのカルボン酸化合物類及びスルホン酸化合物類は、芳香族・脂肪族に関わらず、マレイン酸の様に、分子中の任意の場所に任意の数だけ不飽和結合を有しても良い。
エステルの構成要素であるアルコールとしては、脂肪族及び芳香族アルコールを用いることができる。これらのアルコールの中でも、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基等の炭素数1〜20の脂肪族の遊離基からなるアルコールが好ましい。更に好ましくは炭素数2〜12の脂肪族の遊離基からなるアルコールが望ましい。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、等の脂環式の遊離基からなるアルコールを用いることもできる。
また、アミドの構成要素であるアミンとしては、脂肪族及び芳香族アミンを用いることができる。これらのアミンの中でも、アンモニア、エチルアミンやジブチルアミンに代表される脂肪族アミン、アニリンやベンジルアミンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有するアミン、などを好ましい化合物として例示することができる。
これらの無機酸の誘導体化合物としては、エステルを用いることが望ましい。テトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)、テトラブトキシシラン(ケイ酸ブチル)、リン酸トリブチルなどを具体例として挙げることができる。
また、電子供与体(A1a−4)として用いることのできるアルデヒド化合物としては、プロピオンアルデヒドに代表される脂肪族アルデヒド化合物類、ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド化合物類、などを例示することができる。
さらに、電子供与体(A1a−4)として用いることのできるアルコール化合物としては、ブタノールや2−エチルヘキサノールに代表される脂肪族アルコール化合物類、フェノール、クレゾールに代表されるフェノール誘導体化合物類、グリセリンや1,1’−ビ−2−ナフトールに代表される脂肪族若しくは芳香族の多価アルコール化合物類、などを例示することができる。
これらの中で好ましいのは、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチルに代表されるフタル酸ジエステル化合物、フタロイルジクロライドに代表されるフタル酸ジハライド化合物、2−n−ブチル−マロン酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸エステル化合物、2−n−ブチル−コハク酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸エステル化合物、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物などである。
これらの中で特に好ましいのは有機酸エステル化合物、酸ハライド化合物およびエーテル化合物であり、特に好ましいのはフタル酸ジエステル化合物およびフタル酸ジハライド化合物からなる群から選択されるものである。
本発明に用いる固体成分(A1)を構成する各成分の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
各成分の接触条件は、酸素を存在させないことが必要であるものの、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の条件を用いることができる。一般的には、次の条件が好ましい。
接触温度は、−50〜200℃程度、好ましくは0〜150℃である。
接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、及び、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することができる。
好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することができる。
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物をチタン化合物と共粉砕することにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法であり、電子供与体を同時に、又は、別工程で共粉砕しても良い。
機械的粉砕方法としては、回転ボールミルや振動ミル等の任意の粉砕機を用いることができる。溶媒を用いない乾式粉砕法だけでなく、不活性溶媒共存下で共粉砕する湿式粉砕法を用いることもできる。
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物とチタン化合物を不活性溶媒中で撹拌することにより接触処理を行い、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法であり、電子供与体を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
チタン化合物として四塩化チタンなどの液状の化合物を用いる場合は、不活性溶媒なしで接触処理することもできる。
また、必要に応じて、ハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を同時に、又は、別工程で接触させても良い。
接触温度に特に制限はないが、90℃〜130℃程度の比較的高い温度で接触処理する方が好ましい場合が多い。
溶解析出法は、塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与体と接触させることにより溶解し、生じた溶解液と析出剤を接触させて析出反応を起こすことにより、粒子形成を行う方法である。
溶解に用いる電子供与体の例としては、アルコール化合物類、エポキシ化合物類、リン酸エステル化合物類、アルコキシ基を有するケイ素化合物類、アルコキシ基を有するチタン化合物類、エーテル化合物類などを挙げることができる。
また、析出剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、塩化水素、ハロゲン含有炭化水素化合物類、Si−H結合を有するシロキサン化合物類(ポリシロキサン化合物類を含む)、アルミニウム化合物類、などを例示することができる。
溶解液と析出剤の接触方法としては、溶解液に析出剤を添加しても良いし、析出剤に溶解液を添加しても良い。
溶解、析出のどちらの工程でも、チタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。
更に必要に応じて、上記の方法により形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。この際、電子供与体は、溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。
これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解、析出、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。
また、溶解、析出、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
造粒法は、溶解析出法と同様に、塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与体と接触させることにより溶解し、生じた溶解液を主に物理的な手法により造粒する方法である。溶解に用いる電子供与体の例は、溶解析出法の例に同じである。
造粒手法の例としては、高温の溶解液を低温の不活性溶媒中に滴下する方法、高温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して乾燥する方法、低温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して冷却する方法、などを挙げることができる。
造粒により形成した粒子をチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。
更に、必要に応じて、ハロゲン化ケイ素化合物類、電子供与体、などの任意成分と接触させても良い。この際、電子供与体は溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。
これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解やチタン化合物との接触の際に一緒に接触させることもできる。
また、溶解、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
マグネシウム(Mg)化合物のハロゲン化法は、ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物に対して、ハロゲン化剤を接触させてハロゲン化する方法であり、電子供与体を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物の例としては、ジアルコキシマグネシウム化合物類、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸のマグネシウム塩、などを挙げることができる。
ジアルコキシマグネシウム化合物類を用いる場合は、金属マグネシウムとアルコールとの反応により系中で調製したものを用いることもできる。この調製法を用いる場合は、出発原料であるハロゲンを含まないマグネシウム化合物の段階で造粒等により粒子形成を行うのが一般的である。
ハロゲン化剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、ハロゲン化リン化合物類、などを挙げることができる。
ハロゲン化剤として、ハロゲン化チタン化合物類を用いない場合は、ハロゲン化により形成したハロゲン含有マグネシウム化合物を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。
更に必要に応じて、上記の方法により形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。
これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、ハロゲンを含まないマグネシウム化合物のハロゲン化やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。
また、ハロゲン化チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール試薬、ジアルキルマグネシウム化合物、などの有機マグネシウム化合物類の溶液に、析出剤を接触させる方法であり、電子供与体を同時に、又は、別工程で接触処理しても良い。
析出剤の例としては、チタン化合物類、ケイ素化合物類、塩化水素、などを挙げることができる。
析出剤として、チタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。
更に必要に応じて、上記の方法により形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。
これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、析出やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。
また、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
有機マグネシウム化合物類の溶液、又は、マグネシウム化合物を電子供与体で溶解した溶液を、無機化合物の担体、又は、有機化合物の担体に含浸させる方法である。
有機マグネシウム化合物類の例は、有機マグネシウム化合物からの析出法の例に同じである。マグネシウム化合物の溶解に用いるマグネシウム化合物は、ハロゲンを含んでいても含んでいなくても良く、電子供与体の例は、溶解析出法の例に同じである。
無機化合物の担体の例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、などを挙げることができる。
有機化合物の担体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、などを挙げることができる。
含浸処理後の担体粒子は、析出剤との化学反応や乾燥等の物理的処理によりマグネシウム化合物を析出させて固定化する。
析出剤の例は、溶解析出法の例に同じである。
析出剤としてチタン化合物を用いない場合は、こうして形成した粒子を更にチタン化合物と接触させることにより、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。
これらの任意成分の接触順序については、特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、含浸、析出、乾燥、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることもできる。また、含浸、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
上記(i)〜(vii)に記載した方法を組み合わせて、用いることもできる。組み合わせの例としては、「塩化マグネシウムを電子供与体と共粉砕した後にハロゲン化チタン化合物類と加熱処理する方法」、「塩化マグネシウム化合物を電子供与体と共粉砕した後に別の電子供与体を用いて溶解し、更に析出剤を用いて析出する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物を電子供与体により溶解し、ハロゲン化チタン化合物類と接触させることにより析出させると同時にマグネシウム化合物をハロゲン化する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物に二酸化炭素を接触させることにより、炭酸エステルマグネシウム化合物類を生成すると同時に溶解し、形成した溶解液をシリカに含浸させ、その後塩化水素と接触させることによりマグネシウム化合物をハロゲン化すると同時に析出固定化し、更にハロゲン化チタン化合物類と接触させることによりチタン化合物を担持する方法」、などを挙げることができる。
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法においては、前記固体成分(A1)が、有機アルミニウム化合物の存在下でエチレン、プロピレン、1−ブテン、及び、3−メチル−1−ブテンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンを用いて予備重合処理されたものであってもよい。
固体成分(A1)1グラムあたりの基準で、上記モノマーの予備重合量は、0.001〜100gの範囲内であり、好ましくは0.1〜50g、更に好ましくは0.5〜10gの範囲内が望ましい。
予備重合時の反応温度は、−150〜150℃、好ましくは0〜100℃である。そして、予備重合時の反応温度は、本重合のときの重合温度よりも低くすることが望ましい。
反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのときヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒を存在させることもできる。
予備重合は、複数回行っても良く、この際用いるモノマーは、同一であっても異なっても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。
有機アルミニウム化合物の材料及び使用量としては、後述する成分(A4)に関する記載と同様とすることができる。
本発明に用いられるアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)としては、特開平2−34707号公報、特開2003−292522号公報、特開2006−169283号公報、及び特開2011−74360号公報に開示された化合物等を用いることができる。
一般的には、下記一般式にて表される化合物を用いることが望ましい。
SiR1 nR2 4−n
(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、水素原子、ハロゲン、アルキル基またはアルコキシ基であり、nは、1≦n≦4を示す。また、1≦n≦2のとき、R2同士が連結された環状構造を形成してもよい。)
R2として用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。
また、R2がアルキル基である場合は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。R2として用いることのできるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
R2がアルコキシ基である場合は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。R2として用いることのできるアルコキシ基の具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などを用いることが望ましい。nの値が2以下の場合、複数あるR2は、同一であっても異なっても良い。また、1≦n≦2のとき、R2同士が連結された環状構造を形成してもよい。
これらの中でもビニルシラン化合物類が好ましく、とりわけトリメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、1−メチル−1−ビニルシラシクロペンタンが好ましい。
アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)のモル数/固体成分(A1)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.001〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜100の範囲内が望ましい。
しかし、電子供与性の非常に強い有機シリル基が存在するために、炭素−炭素二重結合部の電荷密度は、非常に高くなっており、活性中心であるチタン原子への配位は、非常に速いと考えられる。
したがって、アルケニル基を有するケイ素化合物が担体であるマグネシウム化合物上のルイス酸点と配位・錯化することにより、チタン化合物の溶媒への抽出を抑制でき、また有機アルミ化合物によるチタン原子の過還元や不純物などによる活性点の失活を防ぐ効果が期待される。
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の製造方法において用いるアルコキシシラン化合物(A3)は、上記アルケニル基を有するシラン化合物(A2)とは異なる。
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の製造方法においては、成分(A3)が下記一般式(1)で表されるケイ素化合物であってもよい。
R1R2 mSi(OR3)n ・・・(1)
(ここで、R1は炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R2は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R3は炭化水素基であり、0≦m≦2、1≦n≦3、m+n=3を示す。)
R1が炭化水素基である場合、アルケニル基を除く炭化水素基である。
R1として用いることのできる炭化水素基は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数3〜10のものである。R1として用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げることができる。より好ましくは、R1として分岐状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を用いることが望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
また、R1がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素から選ばれることが望ましく、とりわけ、窒素または酸素であることが望ましい。
R1のヘテロ原子含有炭化水素基の骨格構造としては、R1が炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
R2として用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。
また、R2が炭化水素基である場合、アルケニル基を除く炭化水素基である。
R2として用いることのできる炭化水素基は、一般に炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のものである。R2として用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
また、R2がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、R1がヘテロ原子含有炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
また、mの値に関わらず、R2は、R1と同一であっても異なっても良い。
R3として用いることのできる炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、などを挙げることができる。中でも、メチル基とエチル基が最も好ましい。nの値が2以上である場合、複数存在するR3は、同一であっても異なっても良い。
これらのアルコキシシラン化合物は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
アルコキシシラン化合物(A3)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(アルコキシシラン化合物(A3)のモル数/固体成分(A1)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜100の範囲内が望ましい。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物(A4)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記一般式にて表される化合物を用いることが望ましい。
R1 aAlXb(OR2)c
(式中、R1は炭化水素基を表す。Xはハロゲン又は水素原子を表す。R2は炭化水素基またはAlによる架橋基を表す。a≧1、0≦b≦2、0≦c≦2、a+b+c=3である。)
式中、R1は炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜6、のものを用いることが望ましい。R1の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、などを挙げることができる。この中で、メチル基、エチル基、イソブチル基が最も好ましい。
式中、Xは、ハロゲン又は水素原子である。Xとして用いることのできるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素などを例示することができる。この中で、塩素が特に好ましい。
式中、R2は、炭化水素基又はAlによる架橋基である。R2が炭化水素基である場合には、R1の炭化水素基の例示と同じ群からR2を選択することができる。また、有機アルミニウム化合物(A4)として、メチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能であり、その場合R2は、Alによる架橋基を表す。
中でも、トリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(A4)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
有機アルミニウム化合物(A4)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(アルミニウム原子のモル数/固体成分(A1)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.1〜100の範囲内であり、特に好ましくは1〜50の範囲内が望ましい。
したがって、後述する本重合時に、助触媒として用いられる有機アルミニウム化合物(B)とは、使用目的が異なり、区別される。
本発明の製造方法で得られるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、前述の固体成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、アルコキシシラン化合物(A3)および有機アルミニウム化合物(A4)を接触させてなるものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)を任意成分として接触させても良い。
本発明で用いることのできる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)としては、特開平3−294302号号公報及び特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。一般的には、下記式にて表される化合物を用いることが望ましい。
R3O−C(R2)2−C(R1)2−C(R2)−OR3
(式中、R1及びR2は、水素原子、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R3は、炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)は、具体的には、例えば、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンなどが挙げられる。
また、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。また、固体成分(A1)中の必須成分である電子供与体(A1a−4)として用いられる多価エーテル化合物と同一であっても異なっても良い。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)の使用量は、固体成分(A1)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)のモル数/固体成分(A1)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
本発明の製造方法においては、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製の際に、固体成分(A1)に対して、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、アルコキシシラン化合物(A3)、及び有機アルミニウム化合物(A4)を50〜110℃の温度で接触処理する。
本発明の製造方法においては、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製の際に、接触処理は複数回行ってもよい。
接触処理を複数回行う場合は、アルケニル基を有するケイ素化合物(A2)、アルコキシシラン化合物(A3)、及び有機アルミニウム化合物(A4)のいずれも、複数回の接触で用いる化合物が互いに同一であっても異なっても良い。
本発明のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、上記の構成する各成分を上記の量比で接触して得られる。
また、先に各成分の使用量の範囲を示したが、これは1回当たりに接触させる使用量であり、2回目以降は、1回の使用量が前述した使用量の範囲内であれば、何回接触させても良い。
接触温度が、低過ぎる場合には、反応が進行せず、電子供与体(A1a−4)が多く残ってしまい、立体規則性などの触媒性能を悪化させるおそれがあると考えられる。一方、接触温度が高すぎる場合、活性点自身が変質してしまい活性や立体規則性といった触媒性能を著しく悪化させてしまう可能性があると考えている。接触温度は50〜110℃であればよく,50〜100℃であってもよく,50〜95℃であってもよく、60〜90℃であってもよく、70〜90℃であってもよい。
手順(i):固体成分(A1)にアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)を接触させ、次いでアルコキシシラン化合物(A3)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(ii):固体成分(A1)にアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)及びアルコキシシラン化合物(A3)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(iii):固体成分(A1)にアルコキシシラン化合物(A3)を接触させ、次いでアルケニル基を有するケイ素化合物(A2)を接触させた後、有機アルミニウム化合物(A4)を接触させる方法。
手順(iv):全ての化合物を同時に接触させる方法。
任意成分として、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)を用いる場合も、上記と同様に任意の順序で接触させることができる。
本発明の製造方法により得られるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、本重合で使用する前に、予備重合されていても良い。重合プロセスに先立って、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
予備重合におけるモノマーとしては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。
具体的な化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、などに代表されるオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、などに代表されるスチレン類似化合物、及び、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼン類、などに代表されるジエン化合物類、などを挙げることができる。
中でも、エチレン、プロピレン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン類、などが特に好ましい。
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)1グラムあたりの基準で、上記モノマーの予備重合量は、0.001〜100gの範囲内であり、好ましくは0.1〜50g、更に好ましくは0.5〜10gの範囲内が望ましい。
予備重合時の反応温度は、−150〜150℃、好ましくは0〜100℃である。そして、予備重合時の反応温度は、本重合のときの重合温度よりも低くすることが望ましい。
反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのときヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒を存在させることもできる。
予備重合は、複数回行っても良く、この際用いるモノマーは、同一であっても異なっても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。
本発明の製造方法により得られるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、マグネシウム(A1a−1)、チタン(A1a−2)、ハロゲン(A1a−3)、電子供与体(A1a−4)及びアルコキシシラン化合物(A3)を含む。
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)に含まれるマグネシウム(A1a−1)、チタン(A1a−2)、ハロゲン(A1a−3)、電子供与体(A1a−4)及びアルコキシシラン化合物(A3)の材料は上記した通りのためここでの記載は省略する。
α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)に電子供与体(A1a−4)が残存すると、立体規則性などの触媒性能を悪化させる可能性があると考えられるため、より少ない方が好ましく、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中の電子供与体(A1a−4)の含有量の下限としては、α−オレフィン重合用触媒成分(A)の調製後すべて取り除かれて0となっているか、限りなく0に近いことが好ましい。
本発明のα−オレフィン重合用触媒は、前記製造方法により得られるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)、及び、下記成分(B)を含むことを特徴とする。
成分(B):有機アルミニウム化合物
本発明において用いることのできる有機アルミニウム化合物(B)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。
好ましくは、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を調製する際の成分である有機アルミニウム化合物(A4)における例示と同じ群から選択することができる。
α−オレフィン重合用触媒に用いることのできる有機アルミニウム化合物(B)は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を調製する際に用いることのできる有機アルミニウム化合物(A4)と、同一であっても異なっても良い。
有機アルミニウム化合物(B)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機アルミニウム化合物(B)のモル数/α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは1〜5,000の範囲内であり、特に好ましくは10〜500の範囲内が望ましい。
本発明において、α−オレフィン重合用触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、有機ケイ素化合物(C)、及び少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)などの任意成分を含んでいても良い。
本発明のα−オレフィン重合用触媒において、任意成分として用いられる有機ケイ素化合物(C)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることができる。好ましくは、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を調製する際の成分であるアルコキシシラン化合物(A3)における例示と同じ群から選択することができる。
また、ここで使用される有機ケイ素化合物(C)は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)に含まれるアルコキシシラン化合物(A3)と同一であっても異なってもよい。
さらに、有機ケイ素化合物(C)を用いる場合の使用量は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機ケイ素化合物(C)のモル数/α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
本発明に係るα−オレフィン重合用触媒において、任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)としては、特開平3−294302号公報および特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることができる。
好ましくは、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)において用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)における例示と同じ群から選択することができる。この際、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を調製する際に任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A5)と、α−オレフィン重合用触媒の任意成分として用いられる少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)が同一であっても異なっても良い。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)を用いる場合の使用量は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)のモル数/α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.01〜10,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜500の範囲内が望ましい。
本発明の効果を損なわない限り、上記の有機ケイ素化合物(C)、及び、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(D)以外の成分を、α−オレフィン重合用触媒の任意成分として用いることができる。例えば、特開2004−124090号公報に開示されている分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)や特開2006−225449号公報に開示されている亜硫酸エステル化合物(F)を用いることにより、CXSの様な非晶性成分の生成を抑制することができる。この場合、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、亜硫酸ジメチル、亜硫酸ジエチルなどを好ましい例として挙げることができる。
また、特開平8−66710号公報に開示された様に、ジエチル亜鉛(G)の様なAl以外の金属原子を持つ有機金属化合物を用いることもできる。
分子内にC(=O)N結合を有する化合物(E)、亜硫酸エステル化合物(F)及びジエチル亜鉛(G)を用いる場合の使用量は、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(任意成分(E)、(F)、(G)のモル数/α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子のモル数)で、好ましくは0.001〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.05〜500の範囲内が望ましい。
本発明のα−オレフィン重合体の製造方法は、前記α−オレフィン重合用触媒を用いて、α−オレフィンを単独重合又は共重合することを特徴とする。
本発明のα−オレフィン重合用触媒を使用する。
α−オレフィンの重合は、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合または気相重合などを用いてもよい。
スラリー重合の場合の重合溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒が用いられる。
採用される重合方法は、連続式重合、回分式重合又は多段式重合などいかなる方法でもよい。
重合温度は、通常30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃であり、その時分子量調節剤として水素を用いてもよい。
本発明においてα−オレフィンは、下記一般式で表されるものである。
R−CH=CH2
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、分枝基を有してもよい。)
具体的には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィン類である。これらのα−オレフィンの単独重合のほかに、α−オレフィンと共重合可能なモノマー(例えば、エチレン、α−オレフィン、ジエン類、スチレン類など)とのランダム共重合も行うことができる。
また、1段目に単独重合した後に、2段目にランダム共重合を行うブロック共重合も実施可能である。
共重合性モノマーは、ランダム共重合においては15質量%まで、ブロック共重合においては50質量%まで使用することができる。
中でも、α−オレフィンの単独重合およびブロック共重合が好ましく、特にプロピレンの単独重合および1段目がプロピレンの単独重合であるブロック共重合が最も好ましい。
一般的には、α−オレフィン重合体のMFRは、0.01〜10,000g/10分の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜1,000g/10分の範囲内である。
ここではポリプロピレンの立体規則性について示す。ポリプロピレンの立体規則性の高さは、13C−NMRによって評価することができる。
13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が96.0%以上の立体規則性を有するものが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合であり、上限は100%である。
このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
mm分率を以下に示す様な範囲とすることにより、プロピレン重合体の剛性の指標である曲げ弾性率を高くすることができる。
即ち、mm分率が以下に示す値より小さいと、プロピレン重合体の剛性の指標である曲げ弾性率が低下するなど、機械的物性が低下する傾向にある。
したがって、本発明の製造方法により得られるプロピレン重合体は、mm分率は、96.0%以上が好ましく、より好ましくは97.0%以上であり、上記の通り上限は100%である。
スペクトルの帰属は、Polymer Jounral,16巻,717頁(1984)や、Macromolecules,8巻,687頁(1975年)や、Polymer,30巻 1350頁(1989年)を参考に行うことができる。
以下に、mm分率決定のより具体的な方法を示す。
プロピレン単位を中心として頭−尾結合した3連鎖の中心プロピレンのメチル基に由来するシグナルは、その立体配置に応じて、3つの領域に生じる。
mm:約24.0〜約21.1ppm
mr+rm:約21.1〜約20.4ppm
rr:約20.4〜約19.7ppm
各領域の化学シフト範囲は、分子量や、共重合体組成により若干シフトするが、上記3領域の識別は、容易である。
ここで、mm、mr+rmおよびrrは、それぞれ下記の構造式1−(a)〜1−(c)で表される。
炭素A1に基づくシグナル面積と炭素A1’に基づくシグナル面積と炭素A4’に基づくシグナル面積は、構造式2−(a)の炭素A2(25.7ppm付近で共鳴)のシグナル面積より評価できる。
炭素B2に基づくシグナル面積と炭素B4’に基づくシグナル面積は、構造式2−(b)の炭素B1(14.4ppm付近で共鳴)と炭素B3(39.6ppm付近で共鳴)のシグナル面積の和の1/2より評価できる。
炭素C2に基づくシグナル面積と炭素C5’に基づくシグナル面積は、構造式2−(c)の炭素C1(14.1ppm付近で共鳴)より評価できる。
炭素D3に基づくシグナル面積は、構造式2−(d)の炭素D5(16.2ppm付近で共鳴)と炭素D2(31.8ppm付近で共鳴)のシグナル面積の和の1/2より評価できる。
mm分率(%)=Imm×100/(Imm+Imr+rm+Irr) ・・・(I)
[上記数式(I)中、Imm、Imr+rm、Irrは以下の通りである。
Irr(rr領域のシグナル強度)=I20.4〜19.7−(I14.5〜14.4+I39.7〜39.5)/2
Imr+rm(mr領域のシグナル強度)=I21.1〜20.4−(I14.5〜14.4+I39.7〜39.5)/2−I25.8〜25.7−I14.1〜14.0−(I16.2〜16.1+I31.9〜31.8)/2
ICH3(CH3領域のシグナル強度)=I24.0〜19.7
Imm(mm領域のシグナル強度)=ICH3 − Imr+rm − Irr −2×I25.8〜25.7−I14.1〜14.0]
α−オレフィン重合体の非晶性成分としての冷キシレン可溶分(CXS)は、用途によって好ましい範囲が異なるのが一般的である。例えば、一般射出用途などの硬い成形体が好まれる用途においては、ポリプロピレンの場合、冷キシレン可溶分(CXS)が好ましくは上限値が1.2質量%以下であり、下限値が0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。
また、本発明により得られるポリマー粒子は、優れた粒子性状を示す。一般的に、ポリマー粒子の粒子性状は、ポリマー嵩密度、粒径分布、粒子外観、などにより評価される。
本発明により得られるポリマー粒子は、ポリマー嵩密度が0.35〜0.55g/mlの範囲内、好ましくは0.40〜0.50g/mlの範囲内である。
また、このα−オレフィン重合体は、収率も高く製造され、特に、高剛性化や高耐熱性化が要求される自動車部品や家電部品などの工業材料、あるいはべたつきの少ないことから包装材料などの用途に好適に用いることができる。
(1)チタン含量:
試料を精確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた質量を用いて含量を計算した。
試料を精確に秤量し、試料を硫酸で分解したのち、フタル酸エステルをヘプタンに抽出した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較する事により、得られたヘプタン溶液中のフタル酸エステル濃度を求めた。ヘプタン中のフタル酸エステル濃度と試料の質量から、試料に含まれるフタル酸エステルの含量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた質量を用いて含量を計算した。
試料を精確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較する事により、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の質量から、試料に含まれるケイ素化合物の含量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた質量を用いて含量を計算した。
パウダー試料の嵩密度をASTM D1895−69に準ずる装置を使用し測定した。
タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS−K6921に基づき、230℃、21.18Nの条件で評価した。
試料(約5g)を140℃のp−キシレン(300ml)中に一度完全に溶解させた。
その後23℃まで冷却し、23℃で12時間ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別した後、濾液からp−キシレンを蒸発させた。p−キシレンを蒸発させた後に残ったポリマーを100℃で2時間減圧乾燥した。乾燥後のポリマーを秤量し、試料に対する質量%としてCXSの値を得た。
プロピレン単位3連鎖のmm分率は、13C−NMRスペクトルを用いて算出した。
13C−NMRの測定条件:
[試料調製と測定条件]
試料200mgを、o−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)を2.4mlと、化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと、共に内径10mmφのNMR試料管に入れ、窒素置換した後封管し、150℃のブロックヒーターで均一に溶解した。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400型NMR装置を用いた。
13C−NMRの測定条件は試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を15秒、積算回数を512回、ブロードバンドデカップリング法で測定をした。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
[固体成分(A1)の調製]
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。
ここに、室温で、マグネシウム源としてMg(OEt)2を200g、チタン源としてTiCl4を1L添加した。
温度を90℃に上げて、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。
その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。
そして、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。
次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。
その後、室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。
そして、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。
次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。
その後、室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。
そして、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分(A1)のスラリーを得た。
撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。
(接触処理)
精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。
ここに、成分(A2)としてジメチルジビニルシランを50ml、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2を40ml、成分(A4)としてEt3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、70℃で2hr反応を行った。
(洗浄)
その後、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、真空乾燥を行ってα‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)を得た。
上記で得られたα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。
上記のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)に精製したn−ヘプタンを導入して、α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。
スラリーを10℃に冷却した後、成分(A4)としてEt3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、210gのプロピレンを4hrかけて供給した。
プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合されたα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)を得た。
この予備重合後のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、1gあたり2.0gのポリプロピレンを含んでいた。
分析したところ、この予備重合後のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが288μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが、37μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が230μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
撹拌及び温度制御装置を有する内容積3.0リットルのステンレス鋼製オートクレーブを真空下で加熱乾燥し、室温まで冷却してプロピレン置換した。
その後、成分(B)としてEt3Alを550ミリグラム、及び水素を2000ミリリットル導入した。
次いで液体プロピレンを1000グラム導入して、内部温度を70℃に合わせた。
その後、上記の予備重合後のα‐オレフィン用重合触媒成分(A)を7ミリグラム圧入して、プロピレンを重合させた。
1時間後にエタノールを10ml圧入して重合を停止した。
ポリマーを乾燥して秤量した。結果を表1に示す。
成分(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の接触処理を90℃で行った以外は実施例1と同様の方法で行った。
予備重合後のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが253μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが10μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が350μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
[固体成分(A1)の調製]
固体成分(A1)として、特開2008−163151号公報の比較例1に記載の固体成分(A1)を用いた。
[α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製、予備重合、プロピレンの重合]
そして、本明細書の実施例1において成分(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の接触処理を40℃で行った以外は、本明細書の実施例1と同様の方法で行った。
予備重合後のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが334μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが123μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が234μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
実施例1において、[α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製]で使用した溶媒をn−ヘプタンからキシレンに代え、成分(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の接触処理を130℃で行った以外は、本明細書の実施例1と同様の方法で行った。
予備重合後のα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが196μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが1μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が170μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
[固体成分(A1)の予備重合]
撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、実施例1の固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として200g導入した。
精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整した。
スラリーを10℃に冷却した後、成分(A4)としてEt3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして20g添加し、420gのプロピレンを4hrかけて供給した。
プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、予備重合された固体成分(A1)として固体成分(A1’)を得た。
[α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製]
(接触処理)
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、成分(A2)としてジメチルジビニルシランを50ml、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2を40ml、成分(A4)としてEt3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、70℃で2hr反応を行った。
(洗浄)
反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。
得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行ってα‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)を得た。
このα‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)は、1gあたり2.1gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、このα‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが278μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが28μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が425μmol/g含まれていた。
[プロピレンの重合]
プロピレンの重合は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
成分(A1’)、(A2)、(A3)および(A4)の接触処理を90℃で行った以外は実施例3と同様の方法で行った。
α‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)にはTiが244μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが5μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が484μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
[固体成分(A1’)の調製]
固体成分(A1’)として、特開2008−163151号公報の実施例1に記載の固体成分(A1’)を用いた。
[α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の調製、予備重合、プロピレンの重合]
そして、本明細書の実施例3において成分(A1’)、(A2)、(A3)および(A4)の接触処理を40℃で行った以外は本明細書の実施例3と同様の方法で行った。
α‐オレフィン重合用固体触媒成分(A)にはTiが355μmol/g、電子供与体としてフタル酸ジ−n−ブチルが105μmol/g、成分(A3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2が456μmol/g含まれていた。結果を表1に示す。
具体的には、実施例1、2と比較例1を比較することで、固体成分(A1)と、アルケニル基を有するシラン化合物(A2)、アルコキシシラン化合物(A3)及び有機アルミニウム化合物(A4)と、を高温で接触させることにより、触媒成分(A)に含まれる電子供与体であるフタル酸ジ−n−ブチルの含量を大幅に削減することができ、重合で得られたポリマーのCXS(23℃キシレン可溶成分量)を削減でき、また、実施例1と比較例1を比較することで、重合で得られたポリマーの立体規則性(mm分率)を向上させることができたことがわかる。比較例2では、実施例1、2よりも高温で接触処理を行った。これによりフタル酸ジ−n−ブチルの含量がさらに削減されているが、活性は大幅に低下し、得られたポリマーのCXS(23℃キシレン可溶成分量)、立体規則性(mm分率)は悪化する結果となった。
また、実施例3、4と比較例3を比較することにより、高温で接触処理を行う前に予備重合を実施することで、さらに触媒成分(A)に含まれる電子供与体であるフタル酸ジ−n−ブチルの含量を削減でき、重合で得られたポリマーのCXS(23℃キシレン可溶成分量)を削減でき、また立体規則性(mm分率)も向上している。
したがって、実施例は、極めてCXS(23℃キシレン可溶成分量)が少なく、更に立体規則性の高いポリマーを得ることのできる触媒であり、比較例に比して優れた結果が得られていると言える。
Claims (6)
- マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体及びアルコキシシラン化合物を含むα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)の製造方法であって、
下記の成分(A1)に、成分(A2)、成分(A3)及び成分(A4)を50〜110℃の温度で接触処理し、
得られた前記α−オレフィン重合用固体触媒成分(A)中の前記電子供与体の含量が40μmol/g以下であることを特徴とするα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
成分(A1):チタン、マグネシウム、ハロゲン、電子供与体を必須成分として含有する固体成分
成分(A2):アルケニル基を有するシラン化合物
成分(A3):アルコキシシラン化合物[ただし、アルケニル基を有するシラン化合物とは異なる。]
成分(A4):有機アルミニウム化合物 - 前記成分(A1)が、有機アルミニウム化合物の存在下でエチレン、プロピレン、1−ブテン、及び、3−メチル−1−ブテンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンを用いて予備重合処理されたものである、請求項1に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
- 前記成分(A2)がビニルシラン化合物である、請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
- 前記成分(A3)が下記一般式(1)で表されるケイ素化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法。
R1R2 mSi(OR3)n ・・・(1)
(ここで、R1は炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を表す。R2は水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。R3は炭化水素基であり、0≦m≦2、1≦n≦3、m+n=3を示す。) - 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で得られるα−オレフィン重合用固体触媒成分(A)及び下記成分(B)を含むことを特徴とするα−オレフィン重合用触媒。
成分(B):有機アルミニウム化合物 - 前記請求項5に記載のα−オレフィン重合用触媒を用いて、α−オレフィンを単独重合又は共重合することを特徴とするα−オレフィン重合体の製造方法。
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