JP2019148155A - 資源採掘方法及び資源採掘システム - Google Patents

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Abstract

【課題】砂地に埋もれている資源を効率的に採掘する資源採掘方法と資源採掘システムを提供する。【解決手段】砂地Sに気体Gを吹込みながら、砂地Sを流動化した状態で、砂地Sに埋もれている資源Mを採掘する、資源採掘方法。【選択図】図1

Description

本発明は、資源採掘方法及び資源採掘システムに関する。
宇宙探査を長期的に行う場合、月や火星等の惑星で資源を調達することは重要である。2009年に探査機エルクロスが月面の地中に含まれる物質を調べたところ、水が氷の状態で存在すること、水に加えてメタン、アンモニア、水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素等の揮発性物質が存在すること等が確認されている。このため、月面における資源調達はビジネスの対象としても注目されている。
月面の地表は、岩石や微小天体に由来する直径1mm以下の微粒子を大量に含む砂(月レゴリス)によって覆われている。表面から1cm程度の深さまでは、非常に柔らかく堆積して舞い上がりやすい状態であるが、深くなるにつれて徐々に密度が高まり、10〜15cm以上の深さでは探査車が踏んでも容易には凹まない程度の密度となる。宇宙服を着た人が船外活動をした場合には深さ約2〜5cm程度の足跡が形成される。
月面で使用する車両、装置、器具等の動作試験を行うために、地球の試験施設で月面を模倣した地表を作製するニーズがある。このようなニーズに対して、特許文献1には、地球上の砂や岩石を材料として月レゴリスの粒径分布を模倣した模擬土壌の製法が提案されている。
特開2003−21580号公報
月面において、氷は地表から1メートル以上の深さに位置していると考えられている。ショベルカーやブルドーザーを用いて月の地表を掘削する場合、月レゴリスは崩れやすいので、崩れが止まる安息角を維持するように、すり鉢状に広範囲に掘削する必要がある。この掘削方法は効率が悪いうえに、掘削した氷は、月レゴリスと混合した状態となるので、分離する必要がある。具体的には、サイクロン等を備えた分離施設に掘削物を運搬し、水を分離した後に残る月レゴリスを分離施設から外部へ運搬して廃棄する作業が必要となる。これらの作業は、月面で水を採掘する費用を押し上げる問題がある。
本発明は、砂地に埋もれている資源を効率的に採掘する資源採掘方法と資源採掘システムを提供する。
発明者は、砂地を構成する砂の粒子間に気体を吹込むことによって、粒子同士の摩擦が減る結果、砂地が粘性の低い液体のような流動性を呈することを利用して、砂地に埋もれている資源に容易に到達できることを見出し、以下の態様を有する本発明を完成した。
[1] 砂地に気体を吹込みながら、前記砂地を流動化した状態で、前記砂地に埋もれている資源を採掘する、資源採掘方法。
前記資源が揮発性物質であり、前記砂地に吹き込んだ前記気体の上昇流とともに、前記揮発性物質を採掘してもよい。
[2] 前記気体を、前記資源の埋もれた位置の雰囲気温度よりも高い温度に加熱して前記砂地に吹込み、前記資源を気化させる、[1]に記載の資源採掘方法。
前記砂地に管を差し込み、前記管を通して前記砂地に前記気体を吹き込んでもよい。
[3] 前記砂地に前記気体を噴出する管を差し込み、前記砂地を流動化しながら、前記管の差し込み深度を深くする、[1]又は[2]の何れか一項に記載の資源採掘方法。
[4] 前記砂地をブレードでかき混ぜることにより、前記砂地に前記気体を拡散させる、[1]〜[3]の何れか一項に記載の資源採掘方法。
前記ブレードが回転ブレードであり、前記回転ブレードの中心から前記気体を前記砂地に吹込んでもよい。
前記資源が揮発性物質であり、前記揮発性物質を含む前記気体の上昇流を前記砂地の上方でトラップしてもよい。
[5] 前記砂地の流動化した領域を側方から側壁体によって囲み、前記資源が側方へ流出することを防止する、[1]〜[4]の何れか一項に記載の資源採掘方法。
前記側壁体を加熱してもよい。
前記資源が水であってもよい。
前記気体が水素であり、前記砂地中に存在する酸化物を前記水素によって還元し、前記資源として水を得てもよい。
前記砂地が月レゴリスであってもよい。
前記砂地が地球外の天体の地表を形成していてもよい。
[6] [2]に記載の資源採掘方法に使用される資源採掘システムであって、加熱された気体を前記砂地に吹込む管と、気化された前記資源を地上でトラップする覆い体と、を備えた資源採掘システム。
前記資源採掘システムは、さらに、前記砂地をかき混ぜるブレードを備えてもよい。
前記資源採掘システムの前記ブレードが回転ブレードであってもよい。
前記ブレードのシャフトに前記管が挿通されていてもよい。
[7] さらに、前記砂地の流動化した領域を側方から囲み、前記資源が側方へ流出することを防止する側壁体を備えた、[6]に記載の資源採掘システム。
前記資源採掘システムは、さらに、吹込む前の前記気体を加熱する加熱装置を備えてもよい。
本発明の資源採掘方法及び資源採掘システムによれば、砂地を流動化して液体のように取り扱うことができるので、砂を持ち上げて他の場所へ運搬する必要がない。流動化した砂地の中に機器や器具を差し入れて容易に操作できるので、砂地に埋もれている氷塊等の資源に容易に到達して採掘することができる。
本発明の資源採掘方法及び資源採掘システムは月面に限らず、地球においても同様に実施することができる。月面における重力は地球上の1/6であるため、気体の吹込みによって砂地を流動化させることは地球上よりも容易である。
砂地Sに埋もれている氷塊Mを採掘する様子の一例を示す模式図である。 砂地Sに埋もれている氷塊Mを採掘する様子の別の一例を示す模式図である。 砂地Sに埋もれている氷塊Mを採掘する様子の別の一例を示す模式図である。
<資源採掘方法>
本発明の資源採掘方法は、砂地に気体を吹込みながら、前記砂地を流動化した状態で、前記砂地に埋もれている資源を採掘する方法である。
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。図1の例では、砂地Sの地下約1メートル以下に氷塊Mが埋もれている。氷塊Mの鉛直上方には資源採掘システム10が設置されている。
資源採掘システム10は、気体吹込み装置1と、気体Gを噴出して砂地Sに吹込む管であるノズル2と、砂地Sをかき混ぜるブレード3と、資源である揮発性物質を地上(地表よりも上方)でトラップする覆い体4とを少なくとも備えている。
資源採掘システム10を月面で稼働させる場合の動力源としては、例えば二次電池、太陽電池や核燃料電池などの電力が挙げられる。ノズル2及びブレード3の駆動力は図示しない電気モーターによって得る。また、地球上で稼働させる場合には、電力の他、燃料の燃焼を利用した公知の動力源を適用できる。
気体吹込み装置1から、氷塊Mに向けてノズル2を下ろし、砂地Sの地表Eにノズル2が達した時点で、先端2aから砂地Sの内部へ気体Gを吹込む。気体Gの吹込みを継続すると気体Gが砂粒子間に拡散し、砂粒子間の摩擦が低減する結果、砂地Sが流動化する。気体Gの拡散を促進するために、ノズル2の先端2aに設置されたブレード3で砂地Sをかき混ぜる。ブレード3で砂地Sを掘削することにより、砂地Sのかさ密度を小さくすることができる。ブレード3は鉛直下方に向けた複数の刃を有する回転ブレードであり、シャフトを中心として回転する。回転ブレードのシャフトの中にはノズル2が挿通されている。
気体Gが吹込まれて流動化した砂地Sは液体のように流動化した領域(流動床)Fを形成する。気体Gを吹込みながらノズル2及びブレード3を徐々に砂地Sの深部へ挿入すると、流動化と挿入が連動し、容易に深部にある氷塊Mへ到達する。
次に、氷塊Mを溶解し、生成した水をさらに気化する程度に熱い気体Gを、ノズル2を通して氷塊Mに吹込むことによって、ノズル2の周辺に水蒸気Vaを発生させる。水蒸気Vaは気体Gの上昇流に混合されて砂地Sの地表Eまで上昇し、上方へ開放される。
資源採掘システム10は、流動床Fの地表を覆う覆い体4と、覆い体4の配管4aに接続された貯留装置5を備えている。砂地Sの地表Eで開放された気体G及び水蒸気Vaを覆い体4によってトラップする。トラップした水蒸気Vaの一部は覆い体4の内部で冷却されて液化した水となるのでこれを収集する。さらにトラップした気体G及び水蒸気Vaを貯留装置5へ誘導し、水蒸気を冷却することにより液化して、目的の水Wを得る。貯留装置5へ誘導された気体Gを回収し、気体吹込み装置1へ戻して再利用することが好ましい。図では再利用する気体G’を気体吹込み装置1へ戻す様子を矢印で示している。
水蒸気Vaとともに砂粒子が貯留装置5へ誘導される場合には、後述のようにサイクロン等で砂粒子を分離し、廃棄すればよい。図では、分離した砂粒子S’を貯留装置5から廃棄する様子を矢印で示している。
氷塊Mに水以外の揮発性物質が含まれている場合、及び氷塊Mが水以外の揮発性物質によって形成されている場合にも上記と同様に、揮発性物質を資源として採掘することができる。このような揮発性物質としては、例えば、メタン、アンモニア、水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。
ノズル2から砂地Sに吹込む気体Gの供給圧力としては、例えば、0.01MPa〜100MPaが挙げられる。
上記範囲の下限値以上であると、砂地Sの流動性をより一層高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、地表Eにおいて砂の粒子が過度に舞い上がることを防止できる。
前記供給圧力は、ノズル2の先端2aの深度に応じて変化させてもよい。また、月面で実施する場合は、重力が地球の1/6であるため、地球と比べて少ない供給量で砂地Sの流動性を高めることができる。
ノズル2の先端2aには、砂やレゴリスの侵入を防ぎ、気体Gの拡散を促すためのフィルターを備えていてもよい。フィルターとしては例えば焼結金属などによって形成されたものが挙げられる。
ノズル2から砂地Sに吹込む気体Gの温度は、ノズルの先端2aが氷塊Mに達してから高めてもよいし、ノズルの先端2aが氷塊Mに達する前に高めてもよい。前記資源の埋もれた位置の雰囲気温度よりも高い温度に気体Gを加熱して砂地Sに吹込むと、砂地Sが乾燥するので、砂地Sの流動性を高めることがより一層容易になる。また、氷塊Mに達する以前に砂地Sに含まれている前記資源を気化させて採取することができる。
砂地Sを構成する砂の化学的な組成、及び砂の粒子の平均粒径は特に限定されない。乾燥した状態で粉体になる組成及び粒径であればよい。砂地Sを構成する砂が粘土状に塊をつくる性質を有している場合にも、熱した気体Gによって粘性を軽減し、さらにブレード3によって塊を粉砕することにより、砂地Sの流動性を高められる場合がある。
砂地Sは地球上のレゴリス(堆積層)であってよく、月面の地表を構成する月レゴリスであってもよく、地球及び月以外の天体の地表を構成する砂地やレゴリスであってもよい。
砂地Sの流動性を容易に高める観点から、砂地Sに含まれる砂粒子の平均粒径は1〜1000μmであることが好ましい。
気体Gの組成としては、例えば、空気、水素、ヘリウム、窒素等が挙げられる。地球で実施する場合には大気を構成する空気を使用できる。月面などの地球外の天体で実施する場合には、例えばロケットの燃料としても用いられる水素、水を電気分解して得られる酸素や水素を使用できる。水素は還元力を有するので、高温に熱した状態で砂地Sに吹込むと、砂地Sに含まれる鉱物由来の酸化物を還元して水を生成し、水蒸気を発生させることができる。したがって、氷塊Mが存在しなくとも、酸化物が存在すれば水素還元力を利用して水蒸気を採掘することが可能である。
気体吹込み装置1は、コンプレッサーと気体の加熱器とを有する。コンプレッサーによりノズル2を介して気体Gを砂地Sへ吹込む。気体Gは加熱器によって必要に応じて例えば50〜1000℃程度に加熱される。
図2に示す資源採掘システム20は、砂地Sの流動化した領域(流動床)Fを側方から囲み、前記資源が側方へ流出することを防止する側壁体6を備えている。側壁体6の上部は覆い体4と接続されていることが好ましく、側壁体6と覆い体4が一体物であることがより好ましい。流動床Fで発生した水蒸気Vaは側方へ拡散せず、側壁体6に誘導されながら上昇し、地表Eで開放され、さらに覆い体4でトラップされ、貯留装置5で収集される。その他の構成は、資源採掘システム10と同じである。
図3に示す別の実施形態である資源採掘システム20おいては、ノズル2がブレード3のシャフト3aと独立している。図ではノズル2を1本示しているが、図示しない別のノズル2がシャフト3aを中心として同心円状に複数備えられている。シャフト3aは気体吹込み装置1に接続されて、動力の供給を受けながら駆動する。駆動方向は、シャフトを中心とした回転のみであることが好ましい。また地上にある覆い体4と地下にある側壁体6が一体化されている。その他の構成は、資源採掘システム10と同じである。
図3の資源採掘システム20によれば、シャフト3aと独立した複数のノズル2が気体を吹込むので、砂地Sにおける気体Gの吹込み効率が高まり、砂地Sをより一層容易に流動化させることができる。各ノズル2は側壁体6の内側面に固定されていてもよいし、気体を吹込みながら各ノズル2を移動させてもよい。
資源採掘システム10,20が有するノズル2は一本に限らず、複数本を有していてもよい。複数本のノズル2を有する場合、各ノズルが吹込む気体の種類は同一でもよいし、異なっていてもよい。
資源採掘システム10,20が有する側壁体6を加熱することにより砂地Sに熱を伝導することもできる。熱を伝導することにより、氷塊Mや砂地Sに存在する揮発性物質を気化させて資源として得ることができる。側壁体6を加熱する機器としては、例えば、ヒーター、太陽光集光システム、マイクロウェーブ照射装置が挙げられる。これらの機器を用いて、砂地Sを直接的に加熱してもよい。
以上では、気体Gによって砂地Sに埋もれる資源を気化させて地表Eへ上昇させて採掘する方法を説明したが、本発明はこの方法に限定されない。他の方法としては、砂地Sの中で氷塊Mを液化して、生成した水を吸引して地表Eへ引き上げてもよい。また、別の方法としては、氷塊Mを液化せず、気体Gの吹込みによって流動化させた砂地Sに、ショベルカーのアームを差し入れ、アーム先端のバケットで氷塊Mを掘削して取り上げてもよい。
(作用効果)
本発明の資源採掘方法によれば、気体の吹込みによって砂地を流動化した状態にするので砂地の中を掘削機や器具が容易に移動できる。つまり砂を容易にかき分けて資源にほぼ直接的に接触できるので、砂地Sを構成する砂を他の場所へ運搬する必要が無く、砂の混入が少ない資源を容易に得ることができる。また、資源が揮発性物質である場合には、資源を加熱することによって地表にまでほぼ自然に到達させることができるので、より一層容易に資源を得ることができる。
<資源採掘システム>
本発明の資源採掘システムは、本発明の資源採掘方法に使用されるシステムであって、加熱された気体を前記砂地に吹込む管と、気化された前記揮発性物質を地上でトラップする覆い体と、を備えている。図1〜3で示した模式図は資源採掘システムの一例であるが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
資源採掘システム10,20は、少なくとも気体Gを砂地Sに吹込むノズル2と、覆い体4とを有し、さらに気体吹込み装置1と、砂地Sをかき混ぜるブレード3と、気体Gを貯留する貯留装置5と、砂地Sにおいて揮発性物質の側方への流出を防止する側壁体6とを有する。気体吹込み装置1は、気体Gを噴射するための圧力を高めるコンプレッサー又はタービン、ノズル2及びブレード3を伸縮したり移動したり回転させたりする駆動装置、気体Gを加熱する加熱装置、気体Gの生成装置等を有していてもよい。
前記コンプレッサー、前記タービン、前記駆動装置、前記加熱装置、及び前記生成装置は、公知の装置を適用できる。気体Gの生成装置としては、例えば、水を電気分解して水素を得る装置が挙げられる。さらに、亜硝酸アンモニウムを熱分解して窒素ガスと水を得る化学反応を利用した気体Gの生成装置も挙げられる。
ノズル2は気体Gを流通可能な管であればよく、気体Gの温度、腐食性等を考慮して、例えば、樹脂製管、硬質塩化ビニル被覆鋼管、ステンレス管、インコネル製管等の公知の管が挙げられる。ノズル2の直径としては、例えば、1cm〜100cmが挙げられる。
資源採掘システムが有するノズル2の本数は1本に限定されず、2本以上であってもよい。
資源採掘システムで使用するブレード3は、地面や壁面を掘削する掘削機、流体を流すタービン、航空機や風車等で用いられる公知のブレードでもよいし、公知のブレードを適宜改造したものでもよい。ブレード3が回転ブレードである場合、その半径は、例えば、1cm〜5mとすることができる。回転ブレードは、回転速度1〜10,000rpm程度で運転できるものが好ましい。
資源採掘システムが有するブレード3の数は1つに限定されず、2つ以上であってもよい。
覆い体4は、掘削する領域の地表Eの少なくとも一部を覆う構造体であり、砂地Sの中から上昇してくる揮発性物質の少なくとも一部をトラップする構造を有する。揮発性物質のトラップの効率を高める観点から、覆い体4はドームであることが好ましい。ここで、
ドームの構造は、覆い体4の天井と側壁とが接合した状態で地表にEに設置した構造、すなわち上部が開放された容器の天地をひっくり返した状態で地表Eに設置した構造をいう。覆い体4がドームであることにより、覆い体4の外部と内部とを隔離し、覆い体4の内部の気密性を高めて、揮発性物質をトラップする効率を高めることができる。
気体吹込み装置1の本体の設置箇所は、図示したように覆い体4の外部であってもよいし、内部であってもよい。
覆い体4を構成する部材は特に限定されず、例えば、金属、樹脂等によって形成された板状部材、シート状部材が挙げられる。前記金属としては、ステンレス、チタン合金、インコネル等が挙げられる。前記樹脂としては公知の樹脂、例えばエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
前記部材の厚みとしては、例えば0.1mm〜100cmが挙げられ、0.1mm〜5mmが好ましい。覆い体4を月面に設置する場合、重力が地球よりも小さく、風などの外乱がないので、薄い部材であっても構造的強度を充分に維持できる場合がある。
覆い体4でトラップした揮発性物質及び気体Gを貯留装置5に誘導する方法として、覆い体4を貫通する配管4aを備えていることが好ましい。また、配管4aを通して揮発性物質及び気体Gを貯留装置5へ送り込む扇風機等の送風手段を備えていてもよい。
貯留装置5は、覆い体4から誘導された揮発性物質を液化するための冷却器、液化した揮発性物質を貯留するタンクをそれぞれ有することが好ましい。前記冷却器及びタンクは公知のものが適用される。また、覆い体4から揮発性物質とともに砂粒子が誘導される場合には、砂粒子と目的の揮発性物質とを分離する分離装置を有することが好ましい。分離装置としては、例えば、フィルター、遠心分離機、サイクロン等が挙げられる。
また、覆い体4から誘導した水蒸気を冷却せず、高温のまま電気分解して、水素及び酸素を生成し、必要に応じて水素と酸素の両方又は何れか一方を気体吹込み装置1へ導入してもよい。
側壁体6は、砂地Sに気体Gを吹込み流動化した領域の少なくとも一部を側方から囲む構造体であり、流動化した砂地Sの中にある資源が側方へ外れて流出することを防止する構造を有する。側壁体6の具体的な形状としては、例えば筒状が挙げられる。前記筒状としては、例えば、円筒状、楕円筒状、四角筒状、その他の筒状が挙げられる。
側壁体6の上部は、地表Eの近傍で覆い体4と接続してもよく、さらに両者が一体化してもよい。接続又は一体化することによって、側壁体6と覆い体4で囲む空間の気密性を高めて、資源をより効率よく得ることができる。
資源の側方への流出を充分に防ぐ観点から、側壁体6は資源が透過し難い部材によって形成されていることが好ましい。このような部材としては、特に限定されず、例えば、金属、樹脂等によって形成された板状部材、シート状部材が挙げられる。前記金属としては、ステンレス、チタン合金、インコネル等が挙げられる。前記樹脂としては公知の樹脂、例えばエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
前記部材の厚みとしては、例えば0.1mm〜100cmが挙げられ、0.1mm〜5mmが好ましい。砂地Sが充分に流動化していれば、側壁体6を砂地Sの中へ容易に設置することができるので、薄くても問題はない。側壁体6を砂地Sへ挿入する際の摩擦を小さくする観点から、側壁体6は薄い方が好ましい。
側壁体6は、側壁体6又は側壁体6によって囲まれた砂地Sを加熱するヒーターやマイクロウェーブ発生装置を有していてもよい。前記ヒーター及びマイクロウェーブ発生装置は公知の機器が適用される。
1…気体吹込み装置、2…ノズル、3…ブレード、4…覆い体、5…貯留装置、6…側壁体、E…地表、F…流動化した領域、G…気体、M…氷塊(資源の一例)、S…砂地、Va…水蒸気(資源の一例)、W…水(資源の一例)

Claims (7)

  1. 砂地に気体を吹込みながら、前記砂地を流動化した状態で、前記砂地に埋もれている資源を採掘する、資源採掘方法。
  2. 前記気体を、前記資源の埋もれた位置の雰囲気温度よりも高い温度に加熱して前記砂地に吹込み、前記資源を気化させる、請求項1に記載の資源採掘方法。
  3. 前記砂地に前記気体を噴出する管を差し込み、前記砂地を流動化しながら、前記管の差し込み深度を深くする、請求項1又は2に記載の資源採掘方法。
  4. 前記砂地をブレードでかき混ぜることにより、前記砂地に前記気体を拡散させる、請求項1〜3の何れか一項に記載の資源採掘方法。
  5. 前記砂地の流動化した領域を側方から側壁体によって囲み、前記資源が側方へ流出することを防止する、請求項1〜4の何れか一項に記載の資源採掘方法。
  6. 請求項2に記載の資源採掘方法に使用される資源採掘システムであって、
    加熱された気体を前記砂地に吹込む管と、
    気化された前記資源を地上でトラップする覆い体と、を備えた資源採掘システム。
  7. さらに、前記砂地の流動化した領域を側方から囲み、前記資源が側方へ流出することを防止する側壁体を備えた、請求項6に記載の資源採掘システム。
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