以下、図面を参照しながら、本発明に係る仮設トイレ用配管設備の実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される。
図1は、第1実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aを示す正面図である。図2は、仮設トイレ用配管設備1Aを示す平面図である。図3は、仮設トイレ用配管設備1Aを示す正面図である。なお、図1および図2は、仮設トイレ3を設置する前の状態を示しており、図3は、仮設トイレ3を設置した後の状態を示している。図面中の符号Uは上を示し、符号Dは下を示す。また、符号GLは地面を示す。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、仮設トイレ用配管設備1Aの設置態様を何ら限定するものではない。
図3に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、地震などの災害時に設置される仮設トイレ3から排出された汚水が流れる配管設備である。仮設トイレ用配管設備1Aは、災害時、特定避難地として指定された学校などの公共施設などの避難場所の地中に予め埋設されている。ただし、仮設トイレ用配管設備1Aを構成する部材の全てが地中に埋設されていてもよいし、一部の部材が地面に配置されていてもよい。以下では、学校内の地中(例えば、グラウンドの地中)に埋設され仮設トイレ用配管設備1Aを一例にして説明する。
図2に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、メイン管路10と、立管15と、汚水の流路を切り替えることが可能なます30と、汚水槽60と、ゲート70と、雨水槽80と、吸引管路90と、吸引ポンプ95(図1参照)とを備えている。
本明細書において、「汚水」とは、トイレ、風呂、および、台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。「雨水」とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。仮設トイレ用配管設備1Aでは、汚水はメイン管路10の上流側から下流側に向かって流れる。ここでは、上流側とは、メイン管路10のうち仮設トイレ3側であり、図1では左側である。下流側とは、メイン管路10のうち下水本管8側であり、図1では右側である。
メイン管路10は、少なくとも汚水が流通可能な管路である。ここでは、メイン管路10には、汚水の他に雨水が流通することがあり得る。図示は省略するが、メイン管路10は、上流側から下流側に向かうに連れて若干下方に勾配が付けられている。図1に示すように、メイン管路10は、第1管路11と、第2管路12と、第3管路13と、第4管路14とを有している。第1管路11は、メイン管路10の最上流側に配置されている。第1管路11の上流端部には、吸引管路90の他端が接続されている。
なお、第1管路11の上流端には、汚水設備5が接続されていてもよい。ここで、汚水設備5とは、汚水が排出される設備のことであり、例えば、トイレ、流し台などのことである。第1管路11の下流端は、ます30に接続されている。
第2管路12は、第1管路11よりも下流側に配置されている。第2管路12の上流端は、ます30に接続され、第2管路12の下流端は汚水槽60に接続されている。第3管路13は、第2管路12よりも下流側に配置されている。第3管路13の上流端は汚水槽60に接続され、第3管路13の下流端はゲート70に接続されている。
第4管路14は、メイン管路10の最下流側に配置されている。第4管路14は、第3管路13よりも下流側に配置されている。第4管路14の上流端はゲート70に接続されている。図2に示すように、第4管路14の下流端は下水本管8に接続されている。下水本管8は、災害が発生していない通常時、汚水設備5から流出した汚水が排出される管である。なお、第4管路14の途中部分には、公共ます(図示せず)が設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、「管路」とは、汚水や雨水を流通させる流路のことを意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよく、複数本の配管とそれら配管を接続する継手とによって構成されていてもよい。
図3に示すように、立管15は、地面から下方に向かって延びた管である。本実施形態では、立管15の上端は、地面に向かって開口している。立管15の上端には、仮設トイレ3の便器4aが取り付け可能である。図2に示すように、災害時以外の通常時では、仮設トイレ3は利用されない。そのため、通常時、立管15の上端には、便器4aが取り付けられておらず、蓋16が被せられている。災害時には、この蓋16が立管15の上端から取り外され、図3に示すように、仮設トイレ3の便器4aが接続される。立管15の下端は、第1管路11に接続されている。図2に示すように、立管15は、平面視において、第1管路11と重なるように設けられている。
本実施形態では、仮設トイレ用配管設備1Aには、3つの仮設トイレ3を設置することが可能である。そのため、仮設トイレ用配管設備1Aは、3つの仮設トイレ3の便器4aに対して、異なる立管15が接続されるように、3つの立管15を備えている。しかしながら、仮設トイレ3の数は特に限定されない。仮設トイレ用配管設備1Aに設置される仮設トイレ3の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。仮設トイレ用配管設備1Aは、設置する仮設トイレ3の数と同じ数の立管15を備えている。
次に、ます30について説明する。ます30は、汚水の流路を切り替えることが可能なますである。具体的には、ます30は、第1管路11内の汚水を下水本管8に流す第1の状態と、第1管路11内の汚水を雨水槽80に流す第2の状態とに切替可能なものである。ます30は、メイン管路10の第1管路11と第2管路12との間に設けられている。ます30は、メイン管路10のうち、仮設トイレ3が設けられ得る立管15が接続された箇所よりも下流側に設けられている。
図4は、ます30の平面図である。図5は、図4のV−V断面におけるます30の断面図である。図6は、ます30の側面図であり、第1ます流出口43側から見た図である。図5に示すように、ます30は、ます本体31と蓋体32とを備えている。図6に示すように、ます本体31は、有底であり、上部が拡径した略筒状に形成されている。図5に示すように、ます本体31の上部には、上方に開口する点検口41が形成されている。図1に示すように、点検口41は、地面に向かって開口している。ここでは、点検口41には、点検筒46が接続されている。点検筒46の上端には、蓋47が配置されている。
図5に示すように、ます本体31には、ます流入口42、第1ます流出口43および第2ます流出口44が形成されている。ます流入口42は、ます本体31の側部に形成され、側方に向かって開口している。図3に示すように、ます流入口42には、第1管路11の下流端が接続されている。第1ます流出口43は、ます本体31の側部に形成され、側方に向かって開口している。第1ます流出口43は、ます流入口42の反対側に配置されている。第1ます流出口43には、第2管路12の上流端が接続される。第2ます流出口44は、ます本体31の下部に形成されており、下方に向かって開口している。第2ます流出口44は、平面視において、ます流入口42と第1ます流出口43との間に配置されている。第2ます流出口44には、後述するサブ管路18を介して雨水槽80が接続されている。
図5に示すように、蓋体32は、ます本体31内の汚水の流路を切り替える部材である。本実施形態では、蓋体32は、本発明の「切替手段」に対応する。蓋体32は、第1の切替位置と、第2の切替位置との間で位置変更が可能である。第1の切替位置は、ます流入口42から第2ます流出口44へ汚水が流れないように、ます流入口42と第1ます流出口43とを連通させる位置である。第2の切替位置は、ます流入口42から第1ます流出口43へ汚水が流れないように、ます流入口42と第2ます流出口44とを連通させる位置である。蓋体32は、第2ます流出口44に着脱自在に設けられている。蓋体32が第2ます流出口44に装着されると、第2ます流出口44は閉鎖され、ます流入口42から第2ます流出口44へ汚水が流れないように、ます流入口42と第1ます流出口43とを連通させる。一方、蓋体32が第2ます流出口44から取り外されると、第2ます流出口44は開放され、ます流入口42から第1ます流出口43へ汚水が流れないように、ます流入口42と第2ます流出口44とを連通させる。図7は、蓋体32の側面図である。図7に示すように、蓋体32は、蓋本体51と、持ち手52と、嵌合凸部53とを備えている。
図4に示すように、蓋本体51は、ます流入口42から第1ます流出口43へと繋がる流路を形成する底面55を備えている。図7に示すように、底面55は、ます流入口42の底面および第1ます流出口43の底面と滑らかに連続するように、断面略Cの字状に形成されている。図5に示すように、持ち手52は、蓋本体51の上端から上方に延びるようにして蓋本体51に設けられている。図7に示すように、持ち手52は、断面略Cの字状に形成されている。嵌合凸部53は、蓋本体51の下面中央に設けられている。図5に示すように、嵌合凸部53は、第2ます流出口44を閉塞すべく、第2ます流出口44に嵌合可能な部位である。本実施形態では、嵌合凸部53の外周部には、ゴム製のシール部材54が設けられていてもよい。このシール部材54によって、第2ます流出口44と蓋体32の嵌合凸部53との間のシールが図られている。
図3に示すように、汚水槽60は、ゲート70によって第4管路14に汚水が流れることを塞き止められたとき、仮設トイレ3から排出された汚水を貯留する槽である。本実施形態では、汚水槽60は、本発明の「汚水貯留空間部」の一例である。ゲート70に汚水が塞き止められていないとき、汚水は、汚水槽60に貯留されずに、汚水槽60を通過する。ここでは、汚水槽60に流入した汚水は、第4管路14を通じて下水本管8に排出される。図2に示すように、汚水槽60は、第2管路12と第3管路13との間に配置されている。なお、汚水槽60の構成は特に限定されない。図8は、汚水槽60の正面断面図である。図8に示すように、汚水槽60には、上方に開口した点検口61が形成されている。作業者は、点検口61を通じて、汚水槽60の内部を点検することができる。また、点検口61を通じて、汚水槽60に図示しないホースなどを挿入することで、汚水槽60内の汚水を抜き取ることが可能である。なお、点検口61を使用しないときには、点検口61には、蓋62が設けられている。
汚水槽60には、槽流入口63および槽流出口64が形成されている。槽流入口63は、本発明の「流入口」の一例であり、槽流出口64は、本発明の「流出口」の一例である。槽流入口63には、第2管路12の下流端が接続されている。本実施形態では、槽流入口63の中心P11は、汚水槽60を上下方向に2等分に分割したときの上側の部位に位置している。ここでは、槽流入口63は、汚水槽60の側面の上側の部位に形成されている。しかしながら、槽流入口63は、汚水槽60の上面に形成されていてもよい。槽流出口64には、第3管路13の上流端が接続されている。本実施形態では、槽流出口64の中心P12は、汚水槽60を上下方向に2等分に分割したときの下側の部位に位置している。ここでは、槽流出口64は、汚水槽60の側面の下側の部位に形成されている。しかしながら、槽流出口64は、汚水槽60の底面に形成されていてもよい。槽流出口64は、平面視において、槽流入口63と対向するように汚水槽60に形成されている。槽流出口64は、槽流入口63よりも低い位置に配置されている。ただし、槽流入口63と槽流出口64との位置関係は特に限定されない。例えば、槽流出口64は、平面視において、槽流入口63と対向しておらず、上記対向した位置とはずれた位置に形成されていてもよい。
図3に示すように、ゲート70は、第4管路14および下水本管8に汚水が流れることを塞き止めるものである。例えば、下水本管8が破損したとき、ゲート70によって汚水の流れを規制することで、下水本管8の破損箇所から汚水が漏れることを抑制することができる。図2に示すように、ゲート70は、第3管路13と第4管路14との間に配置されている。なお、ゲート70の構成は特に限定されない。図9は、ゲート70の正面断面図である。本実施形態では、図9に示すように、ゲート70は、ゲート本体71と、閉鎖部材72とを備えている。
ゲート本体71は、内部に空間を有している。ゲート本体71の上部には、上方に開口した点検口75が形成されている。点検口75には、蓋76が着脱自在に設けられている。ゲート本体71の側面には、ゲート流入口77およびゲート流出口78が形成されている。ゲート流入口77には、第3管路13の下流端が接続されている。ゲート流出口78には、第4管路14の上流端が接続されている。平面視において、ゲート流入口77とゲート流出口78とは、対向している。ゲート流入口77の下端は、ゲート流出口78の下端よりも高い位置に配置されている。しかしながら、ゲート流入口77の下端とゲート流出口78の下端とは同じ高さであってもよい。
本実施形態では、閉鎖部材72は、第4管路14を閉鎖するものである。ここでは、閉鎖部材72は、ゲート流出口78を閉鎖することで、第4管路14を閉鎖する。閉鎖部材72は、ゲート本体71内において、ゲート流出口78に着脱自在に設けられている。なお、閉鎖部材72は、ゲート流入口77を閉鎖するものであってもよいし、ゲート流入口77に着脱自在に設けられてもよい。図示は省略するが、ゲート本体71には、作業者が操作することで、閉鎖部材72がゲート流出口78を閉鎖している状態と、閉鎖部材72がゲート流出口78を開放している状態とに位置変更可能な機構が設けられていてもよい。なお、閉鎖部材72は、第3管路13を閉鎖するものであってもよい。この場合、閉鎖部材72は、ゲート流入口77に着脱自在に設けられており、ゲート流入口77を閉鎖することで、第3管路13を閉鎖するように構成されていてもよい。
図1に示すように、雨水槽80は、少なくとも雨水が貯留可能な槽である。ここでは、災害時以外の通常時、雨水槽80には、雨水が貯留される。そのため、雨水槽80は、通常時であっても使用される槽である。災害時、雨水槽80には、雨水の他に汚水が貯留されることがあり得る。本実施形態では、災害時、ます30によって汚水の流路が切り替えられたとき、雨水槽80には、汚水が貯留されることがあり得る。雨水槽80は、ます30の第2ます流出口44に接続されている。ここでは、第2ます流出口44には、サブ管路18の一端が接続されている。サブ管路18の他端は、雨水槽80に接続されている。
雨水槽80の構成は特に限定されない。図10は、雨水槽80の正面断面図である。図10に示すように、雨水槽80には、上方に開口した点検口81が形成されている。作業者は、点検口81を通じて、雨水槽80の内部を点検することができる。なお、点検口81を使用していないときには、点検口81には、蓋82が設けられている。
雨水槽80には、第1流入口83および第2流入口84が形成されている。第1流入口83には、サブ管路18の他端が接続されており、サブ管路18を介してます30の第2ます流出口44が接続されている。第2流入口84には、側溝9が接続されている。本実施形態では、第2流入口84には、雨水管路19の一端が接続されている。図3に示すように、雨水管路19の他端には、側溝9が接続されている。側溝9は、本発明の「雨水供給源」の一例である。本発明に係る「雨水供給源」とは、雨水槽80へ排出される雨水が集合する部材のことをいう。雨水供給源に集合した雨水は、雨水管路10を通じて雨水槽80へ供給される。ここでは、側溝9を通じて、雨水が雨水槽80に流れ込む。なお、本発明の雨水供給源は、側溝9に限定されない。例えば、側溝9の代わりに、雨どいが雨水管路19の他端に接続されてもよい。また、側溝9の代わりに、いわゆる雨水ますが雨水管路19の他端に接続されてもよい。この場合、雨どい、または、雨水ますが本発明の「雨水供給源」の一例となる。本実施形態では、第2流入口84は、いわゆるオーバーフロー口としての役割を担う。例えば、雨水槽80内の雨水の水位が第2流入口84の下端の高さ以上に達した場合、雨水は、第2流入口84から雨水管路19に逆流することがあり得る。
本実施形態では、図10に示すように、第1流入口83の中心P21は、雨水槽80を上下方向に2等分に分割したときの上側の部位に位置している。ここでは、第1流入口83は、雨水槽80の側面の上側の部位に形成されている。しかしながら、第1流入口83は、雨水槽80の上面に形成されてもよい。本実施形態では、第2流入口84の中心P22は、雨水槽80の上側の部位に位置している。ここでは、第2流入口84は、雨水槽80の側面の上側の部位に形成されている。しかしながら、第2流入口84は、雨水槽80の上面に形成されてもよい。第2流入口84の下端の高さの位置は、第1流入口83の下端の高さの位置と同じである。しかしながら、第2流入口84の下端の位置は、第1流入口83の下端の位置よりも高くてもよいし、低くてもよい。
また、本実施形態では、雨水槽80には、吸引口85が形成されている。吸引口85は、吸引管路90に接続されている。ここでは、吸引口85の中心P23は、雨水槽80を上下方向に2等分に分割したときの下側の部位に位置している。吸引口85は、雨水槽80の側面の下側の部位に形成されている、しかしながら、吸引口85は、雨水槽80の底面に形成されていてもよい。吸引口85は、第1流入口83よりも低い位置に配置され、かつ、第2流入口84よりも低い位置に配置されている。
なお、雨水槽80は、第2流入口84を閉鎖可能な閉鎖部材86を備えていてもよい。閉鎖部材86は、雨水槽80内において、第2流入口84に着脱自在に設けられている。雨水槽80に汚水が流れてきたときにおいて、閉鎖部材86によって第2流入口84が閉鎖されることで、汚水の臭気が第2流入口84を通じて外部に漏れることを抑制することができる。また、閉鎖部材86によって第2流入口84が閉鎖されることで、汚水が第2流入口84を通じて側溝9に流れることを抑制することができる。なお、図示は省略するが、雨水槽80には、作業者が操作することで、閉鎖部材86が第2流入口84を閉鎖している状態と、閉鎖部材86が第2流入口84を開放している状態とに位置変更可能な機構が設けられていてもよい。また、閉鎖部材86と同様の閉鎖部材が、吸引口85を閉鎖可能に、かつ、着脱可能に設けられていてもよい。閉鎖部材86は、第2流入口84に挿入される栓であってもよい。また、閉鎖部材86は、側溝9の雨水管路19が接続される口(図示せず)を閉鎖するものであってもよい。例えば、閉鎖部材86は、側溝9の雨水管路19が接続される口に挿入される栓であってもよい。本実施形態では、閉鎖部材86は、本発明の「閉鎖手段」の一例である。
図3に示すように、吸引管路90は、雨水槽80とメイン管路10の第1管路11とを繋ぐものである。吸引管路90の一端は、雨水槽80の吸引口85に接続されている。吸引管路90の他端は、第1管路11の立管15よりも上流側部分に接続されている。
吸引ポンプ95は、雨水槽80に貯留された雨水を吸引する。吸引ポンプ95は、吸引管路90の途中部分に設けられている。吸引ポンプ95が作動することで、雨水槽80内の雨水は、吸引管路90を通じて、第1管路11の上流端部に供給される。よって、雨水槽80内の雨水を利用して、仮設トイレ3から排泄された排泄物を下流側に流すことができる。なお、吸引ポンプ95の種類は特に限定されない。例えば、吸引ポンプ95は、モータ(図示せず)が駆動することで雨水槽80内の雨水を吸引するものであってもよい。上記モータは、例えばバッテリを電源して駆動するものであってもよい。また、吸引ポンプ95は、作業者が手動で作動させることで雨水槽80内の雨水を吸引する手動式のポンプであってもよい。
以上、本実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aの構成について説明した。次に、仮設トイレ用配管設備1Aの利用方法について説明する。図1に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aには、通常時、仮設トイレ3は設置されておらず、汚水設備5から排出された汚水を下水本管8に排出する。図3に示すように、地震などの災害発生時、仮設トイレ用配管設備1Aには、仮設トイレ3が設置される。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時の利用態様を災害時モードということとする。図1では、通常時モードの状態を示しており、図3では、災害時モードの状態を示している。
図1に示すように、通常時モードでは、立管15の上端には仮設トイレ3の便器4aが設けられていない。すなわち、仮設トイレ3は利用されない状態である。図2に示すように、立管15の上端には蓋16が被されている。通常時モードでは、ます30の第2ます流出口44は、蓋体32によって塞がれている。また、ゲート70のゲート流出口78は、開放された状態である。通常時モードでは、汚水設備5から排出された汚水は、第1管路11に流れた後、ます30のます流入口42からます本体31内に流入する。ます本体31に流入した汚水は、第2ます流出口44を閉塞している蓋体32(図4参照)の上方を通り、第1ます流出口43からます本体31の外へ流出する。第1ます流出口43から流出した汚水は、第2管路12を流れ、汚水槽60内へ流れる。その後、汚水は、第3管路13を通じてゲート70に流れる。このとき、ゲート70のゲート流出口78は開放されているため、汚水は、第4管路14へ流れ、下水本管8へ排出される。通常時モードでは、メイン管路10には、汚水設備5から排出された汚水のみが流れ、仮設トイレ3から排出される汚水は流れない。なお、通常時モードにおいて、側溝9に流れた雨水は、雨水管路19を通じて雨水槽80に流れる。そのため、雨水槽80には、雨水が貯留された状態となる。
図3に示すように、災害時モードでは、立管15の上端に配置されていた蓋16が取り外される。そして、仮設トイレ3の便器4aが立管15の上端を被せるようにして地面に固定され、便器4aは、立管15の上端に接続される。便器4aごとに個室が形成されるように仮設小屋4bが地面に設置される。仮設トイレ3から排出された排泄物が混在した汚水は、立管15を通じて第1管路11に流入する。そして、第1管路11に流入した汚水は、汚水設備5から流出した汚水または水の流れに沿って、メイン管路10内を流れる。災害時モードであっても、汚水は下水本管8へ向かって流れることがあり得る。
ところで、災害時モードであって、下水本管8が破損した場合、メイン管路10を流れる汚水が下水本管8に排出されると、下水本管8の破損箇所から汚水が外部に漏れるおそれがある。そこで、災害時に下水本管8が破損した場合、まず、図9に示すように、ゲート70の閉鎖部材72によって、ゲート流出口78を閉鎖する。このことによって、災害時に下水本管8が破損した場合、仮設トイレ3から立管15を通じて第1管路11に排出された汚水は、ゲート流出口78が閉鎖されているため、汚水槽60に貯留される。
例えば、災害時、汚水設備5が故障するなどして、メイン管路10に水が供給されないことがあり得る。メイン管路10に水が供給されないとき、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水は、下流側に向かって流れ難い。この場合、本実施形態では、雨水槽80の雨水を利用することができる。具体的には、図3に示すように、吸引ポンプ95を作動させることで、雨水槽80の雨水は、吸引口85を通じて、吸引管路90に流れる。そして、吸引管路90内の雨水は、第1管路11に供給される。よって、汚水設備5からメイン管路10に水が供給されない場合には、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水は、雨水槽80から吸引された雨水を利用して、下流側に流すことができる。なお、汚水設備5からメイン管路10に水が供給される状態であっても、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水を下流側に流すために、雨水槽80に貯留された雨水を利用してもよい。
ところで、下水本管8が破損して、汚水槽60に汚水を貯留している場合、汚水槽60に貯留することが可能な汚水の量には制限がある。そのため、例えば、汚水槽60に貯留された汚水の量が所定の量よりも多くなった場合には、汚水が逆流するため、汚水槽60に汚水を流すことができなくなる。この場合、汚水を雨水槽80に流すように、ます30によって汚水の流路を切り替えるとよい。具体的には、作業者は、ます30の蓋体32を第2ます流出口44から取り外す。このことで、第2ます流出口44が開放される。このとき、図10に示すように、雨水槽80の第2流入口84は、閉鎖部材86によって閉鎖されていてもよい。
この場合、仮設トイレ3から立管15を通じて第1管路11に排出された汚水は、ます30のます流入口42からます本体31に流入する。このとき、第2ます流出口44が蓋体32から開放されており、また、第2ます流出口44は、ます本体31の下部に形成されているので、ます本体31に流入した汚水は、第2ます流出口44からます本体31の外へ流出する。第2ます流出口44から流出した汚水は、サブ管路18を通じて雨水槽80へ排出される。
なお、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水を、雨水槽80の雨水を利用して下流側に流している場合、雨水槽80に雨水が貯留されていないことがあり得る。この場合には、ます30によって汚水の流路を切り替えることで、空の状態の雨水槽80に汚水を排出することができる。仮に、ます30によって汚水の流路を切り替えようとする際に、雨水槽80に雨水が貯留されている場合には、雨水槽80に貯留されている雨水を外部に排出してから、汚水の流路を切り替えてもよいし、雨水槽80に雨水が貯留されている状態で、汚水の流路を切り替えてもよい。
以上のように、本実施形態では、図3に示すように、地震などの災害時に仮設トイレ3を設置した場合、仮設トイレ3から排出された汚水は、メイン管路10を通じて下水本管8へ排出される。下水本管8が破損した場合、図9に示すように、ゲート70の閉鎖部材72によってゲート流出口78を閉鎖することで、第4管路14を閉鎖する。このことで、仮設トイレ3から排出された汚水を、下水本管8に排出せずに、汚水槽60へ貯留することができる。よって、下水本管8の破損箇所から汚水が外部へ漏れることを抑制することができる。汚水槽60に貯留された汚水の量が所定の量に達した場合、ます30によって、汚水の流路を切り替える。このことによって、仮設トイレ3から排出された汚水を雨水槽80に貯留することができ、汚水槽60から汚水が溢れることを防止することができる。よって、災害時に下水本管8が破損した場合、仮設トイレ3から排出された汚水の量が汚水槽60の貯留限界の量を超えても、仮設トイレ3を使用し続けることができる。したがって、仮設トイレ3から排出された汚水が外部に漏れることなく、仮設トイレ3を長く使用し続けることが可能となる。
また、本実施形態では、雨水槽80は、災害時以外の通常時には、雨水を貯留する槽として使用されている。そのため、通常時に使用されている雨水槽80を、災害時に緊急的に汚水を排出する槽として使用することができるため、災害時専用の槽を使用しなくてもよい。よって、施工コストを削減することができると共に、施工スペースを確保することができる。
本実施形態では、ます30は、汚水の流路切替機能を有している。ます30の蓋体32の位置を変更するだけで、汚水の流路を簡単に切り替えることができる。ところで、メイン管路10内には異物が流れることがある。また、長年の使用により、メイン管路10に付着物が堆積する場合がある。そのため、異物または付着物により、ます30の流路切替機能が損なわれるおそれがある。しかしながら、図5に示すように、ます30は点検口41を備えているため、メンテナンスが容易である。よって、ます30内に異物が詰まった場合または付着物が堆積した場合に、点検口41から異物または付着物を容易に取り除くことができる。したがって、災害時に、流路切替機能を十分に確保することができ、流路が切り替えられなくなる事態を回避しやすくなる。
本実施形態では、図3に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、一端が雨水槽80の吸引口85に接続され、他端が第1管路11の立管15よりも上流側部分に接続された吸引管路90と、吸引管路90に設けられた吸引ポンプ95とを備えている。吸引ポンプ95を作動させることによって、雨水槽80に貯留された雨水を、吸引管路90を通じて第1管路11に供給することができる。よって、雨水槽80に貯留された雨水を使用して、仮設トイレ3から排出された排泄物を下水本管8、汚水槽60および雨水槽80の何れかへ排出することができる。
本実施形態では、図10に示すように、雨水槽80は、第2流入口84を閉鎖可能な閉鎖部材86を備えている。このことによって、汚水の流路を切り替えて、雨水槽80に汚水が流れてきたときにおいて、閉鎖部材86によって第2流入口84が閉鎖されることで、汚水の臭気が第2流入口84を通じて外部に漏れることを抑制することができる。また、閉鎖部材86によって第2流入口84が閉鎖されることで、汚水が第2流入口84を通じて側溝9に逆流することを抑制することができる。
本実施形態では、図8に示すように、汚水槽60の槽流入口63の中心P11は、汚水槽60を上下方向に2等分に分割したときの上側の部位に配置されている。槽流出口64の中心P12は、汚水槽60を上下方向に2等分に分割したときの下側の部位に配置されている。このことによって、槽流入口63から汚水槽60に流入した汚水は、汚水槽60の底面に向かって落下し、槽流出口64を通じて第3管路13へ流出される。よって、汚水槽60内において、汚水を槽流入口63から槽流出口64へ円滑に流すことができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、雨水槽80の第1流入口83の中心P21、および、第2流入口84の中心P22は、雨水槽80を上下方向に2等分に分割したときの上側の部位にそれぞれ配置されている。このことによって、災害時の汚水の流路の切替時、雨水槽80において、第1流入口83の下端および第2流入口84の下端に汚水が達する水位まで汚水を貯留することができる。よって、第1流入口83の中心P21および第2流入口84の中心P22が雨水槽80の下側の部位に配置されている場合と比較して、雨水槽80に比較的に多くの汚水を貯留することができる。
以上、第1実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aについて説明した。しかしながら、本発明に係る仮設トイレ用配管設備は、第1実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略することとする。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bについて説明する。図11は、第2実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bの正面図である。図11に示すように、本実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bは、第1実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aに、他のます130および他の雨水槽180を追加した設備である。他のます130は、ます30と同様の構成をしている。他のます130は、本発明の「他の流路切替手段」の一例である。また、他の雨水槽180は、雨水槽80と同様の構成をしている。ここでは、他のます130および他の雨水槽180の説明は省略する。以下の説明では、他のます130を構成する部材および部位の符号は、ます30を構成する部材および部位の符号を使用する。他の雨水槽180を構成する部材および部位の符号は、雨水槽80を構成する部材および部位の符号を使用する。
本実施形態では、第1管路11は、第1上流管路11aと、第1下流管路11bとを有している。第1上流管路11aには、立管15が接続されている。第1下流管路11bは、第1上流管路11aよりも下流側に配置されている。第1上流管路11aと第1下流管路11bとの間には、他のます130が配置されている。ここでは、第1上流管路11aの上流端部には、汚水設備5および吸引管路90が接続されている。第1上流管路11aの下流端には、他のます130のます流入口42が接続されている。第1下流管路11bの上流端には、他のます130の第1ます流出口43が接続されている。第1下流管路11bの下流端には、ます30のます流入口42が接続されている。他のます130は、第1上流管路11aから第1下流管路11bに汚水を流す他の第1の状態と、第1上流管路11aから他の雨水槽180に汚水を流す他の第2の状態とに切替可能である。
本実施形態では、他のます130の第2ます流出口44には、他の雨水槽180が接続されている。詳しくは、他のます130の第2ます流出口44には、他のサブ管路118の一端が接続されている。他のサブ管路118の他端には、他の雨水槽180の第1流入口83が接続されている。なお、本実施形態では、他の雨水槽180の第2流入口84には、他の雨水管路119の一端が接続されている。他の雨水管路119の他端には、他の側溝109が接続されている。
本実施形態では、他の雨水槽180の吸引口85には、他の吸引管路190の一端が接続されている。他の吸引管路190の他端は、第1管路11の上流端部、すなわち、第1上流管路11aの上流端部に接続されている。なお、他の吸引管路190の途中部分には、他の吸引ポンプ195が設けられている。他の吸引ポンプ195は、例えば吸引ポンプ95と同様の構成である。
本実施形態では、災害時に下水本管8が破損した場合、図9に示すように、ゲート70の閉鎖部材72によって、ゲート流出口78を閉鎖する。このことによって、仮設トイレ3から立管15を通じて第1管路11に排出された汚水は、ゲート流出口78が閉鎖されているため、汚水槽60に貯留される。なお、このとき、他のます130では、第2ます流出口44は、蓋体32によって塞がれている状態である。
例えば、汚水設備5が故障してメイン管路10に水が供給されないとき、雨水槽80に貯留された雨水を利用して、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水を下流側に向かって流してもよいし、他の雨水槽180に貯留された雨水を利用して、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水を下流側に向かって流してもよい。例えば、他の雨水槽180に貯留された雨水を利用する場合には、他の吸引ポンプ195を作動させることで、他の雨水槽180の雨水は、他の雨水槽180の吸引口85を通じて、他の吸引管路190に流れる。そして、他の吸引管路190内の雨水は、第1管路11に供給される。よって、汚水設備5からメイン管路10に水が供給されないときには、仮設トイレ3から第1管路11に排出された汚水は、他の雨水槽180から吸引された雨水を利用して、下流側に流すことが可能である。
本実施形態であっても、汚水槽60に貯留された汚水の量が所定の量よりも多くなった場合には、汚水を雨水槽80に流すように、ます30によって汚水の流路切り替えればよい。ところで、仮設トイレ3から排出された汚水を雨水槽80に流し、雨水槽80に汚水を貯留している場合であっても、雨水槽80に貯留することが可能な汚水の量には制限がある。そのため、例えば、雨水槽80に貯留された汚水の量が所定の量よりも多くなった場合には、汚水が逆流するため、雨水槽80に汚水を流すことができなくなる。この場合には、仮設トイレ3から排出された汚水を他の雨水槽180に流すように、他のます130によって汚水の流路をさらに切り替えればよい。具体的には、作業者は、他のます130の蓋体32を第2ます流出口44から取り外す。このことで、他のます130の第2ます流出口44が開放される。このとき、他の雨水槽180の第2流入口84は、閉鎖部材86(図10参照)によって閉鎖されていてもよい。
この場合、仮設トイレ3から立管15を通じて第1管路11の第1上流管路11aに排出された汚水は、他のます130の流入口42からます本体31に流入する。このとき、他のます130の第2ます流出口44が蓋体32から開放されており、また、第2ます流出口44は、ます本体31の下部に形成されているので、他のます130のます本体31に流入した汚水は、他のます130の第2ます流出口44からます本体31の外へ流出する。他のます130の第2ます流出口44から流出した汚水は、他のサブ管路118を通じて他の雨水槽180へ排出される。
以上、本実施形態であっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、災害時に、ます30によって汚水の流路を切り替えた場合、仮設トイレ3から排出された汚水を雨水槽80に貯留することができる。仮に、雨水槽80に貯留された汚水の量が所定の量に達した場合、他のます130によって、汚水の流路をさらに切り替える。このとき、仮設トイレ3から排出された汚水を他の雨水槽180に貯留することができる。よって、災害時に下水本管8が破損した場合、仮設トイレ3から排出された汚水は、汚水槽60、雨水槽80および他の雨水槽180の何れかに排出されるため、仮設トイレ3を使用することができる。
<変形例>
上記各実施形態では、ます30の第2ます流出口44は、ます本体31の下部に形成されていた。しかしながら、第2ます流出口44は、ます本体31の側部に形成されていてもよい。
上記各実施形態では、本発明の流路切替手段は、ます30であった。しかしながら、本発明の流路切替手段は、ます30に限定されない。例えば、流路切替手段は、汚水の流路を切替可能な継手であってもよい。
上記各実施形態では、雨水槽80は、サブ管路18を介して、ます30の第2ます流出口44に間接的に接続されていた。しかしながら、雨水槽80は、ます30の第2ます流出口44に直接接続されていてもよい。この場合、例えば雨水槽80の第1流入口83は、雨水槽80の上面に形成されていてもよい。そして、第1流入口83と第2ます流出口44とが上下方向に重なるように、ます30が雨水槽80の上面に載置されていてもよい。
上記各実施形態では、本発明の汚水貯留空間部は、汚水槽60であった。しかしながら、本発明の汚水貯留空間部は、汚水槽60に限定されず、例えば図12に示すような貯留管160であってもよい。貯留管160は水平方向の延びた管である。貯留管160は、上流端に形成された流入口163と、下流端に形成された流出口164とを有している。流入口163は、交換継手161を介して第2管路12の下流端に接続されている。流出口164は、交換継手162を介して第3管路13の上流端に接続されている。貯留管160の径は、第2管路12の径よりも大きく、第3管路13の径よりも大きい。貯留管160の断面積は、第2管路12の断面積よりも大きく、第3管路13の断面積よりも大きい。このように、貯留管160は、上下方向の長さは比較的に短いため、貯留管160の施工スペースを小さくすることができる。