JP2015078593A - 仮設トイレ用配管設備 - Google Patents

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大石 幸徳
Yukinori Oishi
幸徳 大石
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Abstract

【課題】災害時に下水本管が破損した場合であっても、仮設トイレから流出した汚水が外部に漏れることなく、仮設トイレを使用することが可能な仮設トイレ用配管設備を提供する。
【解決手段】仮設トイレ用配管設備1Aは、一端が水源5に接続された第1流出管路11と、一端が下水本管に接続された第2流出管路12と、汚水を貯留する貯留槽70と、一端が第1流出管路11に接続され、他端には仮設トイレ3の便器4aが取り付け可能な立管15と、第1流出管路11の他端および第2流出管路12の他端に接続されると共に貯留槽70に接続され、第1流出管路11から第2流出管路12に水を流す第1の状態と、第1流出管路11から貯留槽70に水を流す第2の状態とに切り替え可能な流路切替手段40と、を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、仮設トイレ用配管設備に関する。
地震などの災害が発生すると、多数の人々が公共施設などの避難場所に避難し、避難場所で生活する場合がある。このとき、災害の状況によっては、給水設備が使用できなくなり、避難場所のトイレが使用できない場合があった。
そこで、仮設トイレを設置できるようにするための配管設備が提案されている。例えば、特許文献1に記載された仮設トイレ用配管設備は、地中に埋設された排水本管と、一端が仮設トイレの便器に接続可能であり、他端が排水本管に接続された立管と、排水本管と下水本管とを連結する流出管と、排水本管内に水を流入させる貯水タンクとを備えている。この仮設トイレ用配管設備では、災害時、仮設トイレから流出した排泄物が混在した汚水は、立管を通じて排水本管に流れる。そして、排水本管に流れた汚水は、貯水タンクから流出した水によって、流出管を通じて下水本管へ排出される。
特許第4104197号公報
しかしながら、地震などが発生した場合、下水本管が破損するおそれがある。下水本管が破損した場合、仮設トイレから流出した排泄物が混在した汚水を下水本管へ排出すると、下水本管の破損箇所から、汚水が外部に漏れるおそれがある。また、下水本管の破損箇所から、汚水の悪臭が外部に漏れるおそれがある。そのため、災害時に、仮設トイレが使用できないことがあった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、災害時に下水本管が破損した場合であっても、仮設トイレから流出した汚水が外部に漏れることなく、仮設トイレを使用することが可能な仮設トイレ用配管設備を提供することである。
本発明に係る仮設トイレ用配管設備は、一端が水源に接続された第1流出管路と、一端が下水本管に接続された第2流出管路と、汚水を貯留する貯留槽と、一端が前記第1流出管路に接続され、他端には仮設トイレの便器が取り付け可能な立管と、前記第1流出管路の他端および前記第2流出管路の他端に接続されると共に前記貯留槽に接続され、前記第1流出管路から前記第2流出管路に水を流す第1の状態と、前記第1流出管路から前記貯留槽に水を流す第2の状態とに切り替え可能な流路切替手段と、を備えている。前記流路切替手段には、上方に開口する点検口が形成されている。前記点検口は、前記貯留槽の上に配置されている。
前記仮設トイレ用配管設備によれば、流路切替手段によって、水源から流出した水の流路を切り替えることができる。通常時、水源から流出した水は、下水本管に排出される。一方、地震などの災害時、流路切替手段による流路の切り替えによって、水源から流出した水は、貯留槽へ排出される。ところで、仮設トイレの便器が取り付け可能な立管は、水源から流出した水が災害時に流れる流路である第1流出管路に接続されている。そのため、災害時に仮設トイレを設置した場合、仮設トイレから流出した汚水は、水源からの水の流路に沿って、貯留槽へ排出される。よって、災害時に下水本管が破損した場合であっても、仮設トイレから流出した汚水は、貯留槽へ排出されるため、仮設トイレを使用することができる。仮設トイレから流出した汚水が、下水本管の破損箇所から外部へ漏れることを防ぐことができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記流路切替手段は、前記点検口と、前記第1流出管路の前記他端が接続された流入口と、前記第2流出管路の前記他端が接続された第1流出口と、前記貯留槽が接続された第2流出口と、を有するます本体と、前記ます本体に設けられ、前記流入口から前記第2流出口へ水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、を備えたますである。
上記態様によれば、ますが流路切替機能を有している。切替手段の位置を変更するだけで、流路を簡単に切り替えることができる。ところで、流出管路内には異物が流れることがある。また、長年の使用により、流出管路に付着物が堆積する場合がある。そのため、異物または付着物により、ますの流路切替機能が損なわれるおそれがある。しかし、ますは点検口を備えているため、メンテナンスが容易である。よって、ます内に異物が詰まった場合または付着物が堆積した場合に、点検口から異物または付着物を容易に取り除くことができる。したがって、災害時に、流路切替機能を十分に確保することができ、流路が切り替えられなくなる事態を回避しやすくなる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第2流出口は、前記ます本体の下部に設けられかつ下方に開口している。前記切替手段は、前記第2流出口に着脱自在に設けられた蓋体である。
上記態様によれば、蓋体を第2流出口に装着すると、流入口と第1流出口とが連通し、流入口と第2流出口との連通は遮断される。よって、流入口からます本体に流入した水は、第1流出口から流出し、第2流出口からは流出しない。したがって、水源から流出した水は、下水本管に排出される。一方、災害時において、蓋体を第2流出口から取り外すと、流入口と第1流出口と第2流出口とは連通する。しかし、第2流出口は、流入口および第1流出口よりも低い位置に設けられている。よって、流入口からます本体に流入した水は、第1流出口から流出されず、第2流出口から流出する。したがって、水源から流出した水は、貯留槽に排出される。上記態様によれば、蓋体を取り外すという簡単な作業によって、流路を切り替えることができる。
ところで、下水本管が異物または付着物によって詰まってしまい、下水本管内の水が第2流出管路に逆流する場合がある。しかし、上記態様によれば、蓋体を第2流出口から取り外して、流入口と第1流出口と第2流出口とを連通させることで、逆流した水を第1流出口および第2流出口を通じて貯留槽へ排出することができる。
本発明によれば、災害時に下水本管が破損した場合であっても、仮設トイレから流出した汚水が外部に漏れることなく、仮設トイレを使用することが可能な仮設トイレ用配管設備を提供することができる。
実施形態に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 実施形態に係る仮設トイレ用配管設備を示す平面図である。 実施形態に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 ますの平面図である。 ますの正面断面図である。 ますの側面図である。 蓋体の平面図である。 蓋体の正面図である。 蓋体の側面図である。 実施形態の変形例における、ますおよびその近傍を示す正面図である。 実施形態の変形例に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 実施形態の変形例に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 参考形態に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 参考形態に係る仮設トイレ用配管設備を示す平面図である。 参考形態の変形例に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。 参考形態の変形例に係る仮設トイレ用配管設備を示す正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る仮設トイレ用配管設備の実施形態および参考形態について説明する。ここで説明される実施形態および参考形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
<実施形態>
まず、実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aについて説明する。図1は、本実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aを示す正面図である。図2は、仮設トイレ用配管設備1Aの平面図である。図3は、仮設トイレ用配管設備1Aを示す正面図である。なお、図1および図2は、仮設トイレ3を設置する前の状態を示しており、図3は、仮設トイレ3を設置した後の状態を示している。
図3に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、地震などの災害時に設置される仮設トイレ3から流出した汚水が流れる配管設備である。仮設トイレ用配管設備1Aは、災害時、特定避難地として指定された学校などといった公共施設などの避難場所の地中に予め埋設されている。以下では、仮設トイレ用配管設備1Aは、学校内の地中に埋設されている設備として説明する。仮設トイレ用配管設備1Aは、学校内の貯水タンク5が設けられた箇所の近傍に設けられていることが好ましい。
貯水タンク5は、雨水または生活用水などの排水が貯められるタンクである。例えば、貯水タンク5は、プールである。しかし、貯水タンク5には、排水以外の水、例えば、飲料水などの異物が混在されていない比較的きれいな水であってもよい。貯水タンク5に貯留された排水は、仮設トイレ用配管設備1A内に流れる。本実施形態では、貯水タンク5は、「水源」に対応する。ここでは、貯水タンク5は、仮設トイレ用配管設備1A内に排水を流出させる、または、流出させないように切り替えることが可能な切替バルブ(図示せず)を備えている。
図2に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、流出管路10と、下水本管20と、排水の流路を切り替えることが可能なます40と、貯留槽70とを備えている。流出管路10は、上流側から下流側に向かうに連れて若干下方に勾配が付けられている。流出管路10は、第1流出管路11および第2流出管路12を備えている。第1流出管路11の上流端は貯水タンク5に接続されている。第1流出管路11の下流端は、ます40の流入口52に接続されている。第2流出管路12の上流端は、ます40の第1流出口53に接続されている。第2流出管路12の下流端は下水本管20に接続されている。第2流出管路12の途中部分には、公共ます21が設けられている。なお、「管路」とは、水を流通させる通路を意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよく、複数本の配管とそれら配管を接続する継手とによって構成されていてもよい。
また、図1に示すように、流出管路10は、第3流出管路13を備えている。第3流出管路13の上流端は、ます40の第2流出口54に接続されている。第3流出管路13の下流端は貯留槽70に接続されている。
また、流出管路10は、立管15を備えている。立管15は、地面から下方に向かって延びた管である。本実施形態では、立管15の上端は、地面に向かって開口している。図3に示すように、立管15の上端には、仮設トイレ3の便器4aが取り付け可能である。図2に示すように、災害時以外の通常時では、仮設トイレ3は利用されないため、立管15の上端には、便器4aは取り付けられておらず、替わりに蓋16が被せられている。災害時には、この蓋16が立管15の上端から取り外され、図3に示すように、仮設トイレ3の便器4aが接続される。立管15の下端は、第1流出管路11に接続されている。図2に示すように、立管15は、平面視において、第1流出管路11と重なるように設けられている。
図3に示すように、本実施形態の仮設トイレ用配管設備1Aには、3つの仮設トイレ3が設置され得る。仮設トイレ用配管設備1Aは、3つの仮設トイレ3の便器4aのそれぞれに異なる立管15が接続されるように、3つの立管15を備えている。しかし、仮設トイレ3の数は特に限定されない。仮設トイレ用配管設備1Aに設置される仮設トイレ3の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。仮設トイレ用配管設備1Aは、仮設トイレ3の数と同じ数の立管15を備えている。
下水本管20は、災害が発生していない通常時、貯水タンク5から流出した排水が排出される管である。
次に、ます40について説明する。ます40は、排水の流路を切り替えることが可能なますである。具体的には、ます40は、貯水タンク5から第1流出管路11内に流出した排水を第2流出管路12から下水本管20に流す第1の状態と、第1流出管路11内の排水を貯留槽70に流す第2の状態とに切り替え可能なものである。ます40は、第1流出管路11と第2流出管路12との間に設けられている。ます40は、流出管路10のうち、仮設トイレ3が設けられ得る立管15が接続された箇所よりも下流側に設けられている。
図4は、ます40の平面図である。図5は、ます40の正面断面図である。図6は、ます40の側面図であり、第1流出口53側から見た図である。図5に示すように、ます40は、ます本体41と蓋体42とを備えている。図6に示すように、ます本体41は、上部が拡径した略筒状に形成されている。図5に示すように、ます本体41の上部には、上方に開口する点検口51が形成されている。ます本体41の側部には、側方に開口する流入口52および第1流出口53が形成されている。ます本体41の下部には、下方に開口する第2流出口54が形成されている。
図1に示すように、点検口51は、地面に向かって開口している。ここでは、点検口51には、点検筒56が接続されている。点検筒56の上端は、地面と略同じ高さである。作業者は、地上から点検筒56を通じて、流路を切り替える作業を行うことができると共に、ます本体41の内部に破損または詰まりなどがないかを点検することができる。なお、点検筒56の上端には、蓋57が配置されている。蓋57は、地上から取り外しが可能である。点検筒56は、蓋57によって閉じられている。
図5に示すように、流入口52は、ます本体41の側部に設けられている。本実施形態では、流入口52は、配管が挿入される受口であるが、配管に挿入される差口であってもよい。前述の通り、流入口52には、第1流出管路11が接続される。なお、本実施形態では、流入口52には、第1流出管路11の一部をなす配管(図示せず)が直接接続されているが、流入口52に上記配管が他の部材などを介して間接的に接続されていてもよい。上記他の部材としては、フレキシブルジョイントまたはゴム製の継手などの伸縮自在なものを好適に用いることができる。
第1流出口53は、ます本体41の側部であって、流入口52と反対側に配置されている。本実施形態では、第1流出口53は受口であるが、第1流出口53は差口であってもよい。前述の通り、第1流出口53には、第2流出管路12が接続される。第1流出口53には、第2流出管路12の一部をなす配管が直接接続されていてもよく、上記配管が上記他の部材を介して間接的に接続されていてもよい。
第2流出口54は、ます本体41の下部に設けられており、下向きに開口している。第2流出口54は、平面視において、流入口52と第1流出口53との間に配置されている。ここでは、前述の通り、第2流出口54には、第3流出管路13が接続される。第2流出口54は、第3流出管路13を介して貯留槽70と間接的に接続されている。
蓋体42は、ます本体41内の水の流路を切り替える部材である。本実施形態では、蓋体42が「切替手段」に対応する。蓋体42は、第2流出口54に着脱自在に設けられている。蓋体42が第2流出口54に装着されると、第2流出口54は閉鎖され、流入口52から第2流出口54へ水が流れないように流入口52と第1流出口53とを連通させる。蓋体42が第2流出口54から取り外されると、第2流出口54は開放され、流入口52から第1流出口53へ水が流れないように流入口52と第2流出口54とを連通させる。図7は、蓋体42の平面図である。図8は、蓋体42の正面図である。図9は、蓋体42の側面図である。図8に示すように、蓋体42は、蓋本体61と、持ち手62と、嵌合凸部63とを備えている。
図7に示すように、蓋本体61は、流入口52から第1流出口53へと繋がる流路を形成する底面65を備えている。図9に示すように、底面65は、流入口52の底面および第1流出口53の底面と滑らかに連続するように、断面略Cの字状に形成されている。図8に示すように、持ち手62は、蓋本体61の上端から上方に延びるようにして蓋本体61に設けられている。図9に示すように、持ち手62は、断面略Cの字状に形成されている。図8に示すように、嵌合凸部63は、蓋本体61の下面中央に設けられている。嵌合凸部63は、第2流出口54を閉塞すべく、第2流出口54に嵌合可能な部位である。嵌合凸部63は略円筒状である。本実施形態では、嵌合凸部63の外周部には、ゴム製のシール部材64が設けられている。このシール部材64によって、第2流出口54と蓋体42の嵌合凸部63との間のシールが図られている。
本実施形態では、ます40の点検口51には、識別手段が設けられているとよい。この識別手段は、ます40がどこにあるかを簡単に見付けることができるための手段である。識別手段を点検口51に設けることによって、例えば暗闇であっても点検口51がどこにあるかを簡単に見付けることができる。ここでは、識別手段として、点検口51に接続された点検筒56の上端部、および/または、点検筒56の上端に配置された蓋57に、ます40の他の部分に施されている色彩と識別容易な色彩が施されている。この識別手段で用いられる色彩は特に限定されないが、例えば、黄色である。上記色彩は蛍光色であってもよい。例えば、点検筒56の上端部および/または蓋57に、蛍光塗料を塗布してもよい。このことによって、作業者は暗闇であっても、ます40の位置を簡単に把握することができる。ただし、上記識別手段は、上述した色彩によるものに限定されず、例えば、蓋57の上面に旗などの識別容易な物体が配置されていてもよい。
図1に示すように、貯留槽70は、仮設トイレ3から排出した汚水を貯留する槽である。前述したように、貯留槽70は、第3流出管路13を通じて、ます40の第2流出口54に接続されている。貯留槽70は、内部に密封された空間を有している。貯留槽70が密封式であることによって、貯留槽70内の汚水から発生する悪臭が外部に漏れないようになっている。本実施形態では、貯留槽70は、地中に埋設されている。しかし、貯留槽70は、地上に設置されていてもよい。
次に、本実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aの利用方法について説明する。図1に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、通常時、仮設トイレ3は設置されておらず、貯水タンク5内から流出した排水を下水本管20に排出する。図3に示すように、仮設トイレ用配管設備1Aは、地震などの災害発生時、仮設トイレ3が設置され、流出管路10内には、貯水タンク5から流出した排水、および、仮設トイレ3から流出した汚水が流れる。下水本管20が破損した場合、ます40内の流路を切り替えて、貯水タンク5から流出した排水、および、仮設トイレ3から流出した汚水は、貯留槽70へ排出される。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時の利用態様を災害時モードということとする。図1では、通常時モードの状態を示しており、図3では、災害時モードの状態を示している。
図1に示すように、通常時モードでは、立管15の上端には仮設トイレ3の便器4aが設けられていない。すなわち、仮設トイレ3は利用されない状態である。図2に示すように、立管15の上端には蓋16が被されている。通常時モードでは、ます40の第2流出口54は、蓋体42によって塞がれている。貯水タンク5から流出した排水は、第1流出管路11に流れた後、ます40の流入口52からます本体41内に流入する。ます本体41に流入した排水は、第2流出口54を閉塞している蓋体42(図4参照)の上方を通り、第1流出口53からます本体41の外へ流出する。第1流出口53から流出した排水は、第2流出管路12を流れ、下水本管20に排出される。通常時モードでは、流出管路10内には、貯水タンク5から流出した排水のみが流れ、仮設トイレ3から流出する汚水は流れない。
図3に示すように、災害時モードでは、立管15の上端に配置されていた蓋16が取り外される。そして、仮設トイレ3の便器4aが立管15の上端を被せるようにして地面に固定され、便器4aは、立管15の上端に接続される。便器4aごとに個室が形成されるように仮設小屋4bが地面に設置される。仮設トイレ3から流出した排泄物が混在した汚水は、立管15を通じて第1流出管路11に流入する。そして、第1流出管路11に流入した汚水は、貯水タンク5から流出した排水の流れに沿って、流出管路10内を流れる。
ところで、災害時モードであって、下水本管20が破損した場合、第1流出管路11を流れる汚水が下水本管20に排出されると、下水本管20の破損箇所から汚水が外部に漏れるおそれがある。そこで、災害時に下水本管20が破損した場合、ます40の蓋体42が第2流出口54から取り外され、第2流出口54が開放される。例えば、蓋体42は、以下のようにして取り外すことができる。まず、作業者は、点検筒56に被せられた蓋57を点検筒56から取り外す。次に、蓋体42の持ち手62を持って蓋体42を引き上げる。これにより、第2流出口54が開放される。なお、持ち手62に手が届かないような場合は、例えば先端にフックを有する棒状体などを使用して、上記フックを持ち手62に引っ掛けて蓋体42を引き上げればよい。
災害時に下水本管20が破損した場合、仮設トイレ3から立管15を通じて第1流出管路11に流出した排泄物が混在した汚水は、貯水タンク5から流出した排水の流れに沿って、ます40の流入口52からます本体41に流入する。このとき、第2流出口54が蓋体42から開放されており、また、第2流出口54は、ます本体41の下部に形成されているので、ます本体41に流入した汚水は、第2流出口54からます本体41の外へ流出する。第2流出口54から流出した汚水は、第3流出管路13を通じて貯留槽70へ排出される。このように、本実施形態では、災害時に下水本管20が破損した場合、仮設トイレ3から流出した排泄物が混在した汚水は、貯水タンク5から流出した排水の流れに沿って、貯留槽70へ排出される。
なお、本実施形態では、災害時であって下水本管20が破損していない場合、ます40の蓋体42によって第2流出口54を塞ぎ、仮設トイレ3から流出した汚水を下水本管20に排出してもよいし、蓋体42を第2流出口54から取り外し、仮設トイレ3から流出した汚水を貯留槽70へ排出するようにしてもよい。
以上、本実施形態では、仮設トイレ用配管設備1Aは、流路切替機能を有するます40によって、貯水タンク5から流出した排水の流路を切り替えることができる。地震などの災害時、ます40による流路の切り替えによって、貯水タンク5から流出した排水は、貯留槽70へ排出される。ここでは、仮設トイレ3の便器4aが接続される立管15は、貯水タンク5から流出した排水が災害時に流れる流路である第1流出管路11に接続されている。そのため、災害時に仮設トイレ3を設置した場合、仮設トイレ3から流出した汚水を、貯水タンク5からの排水の流路に沿って、貯留槽70へ排出することができる。よって、災害時に下水本管20が破損した場合であっても、仮設トイレ3から流出した汚水は、貯留槽70へ排出されるため、仮設トイレ3を使用することができる。本実施形態によれば、仮設トイレ3から流出した汚水が、下水本管20の破損箇所から外部へ漏れることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、ます40は、点検口51を備えているため、メンテナンスが容易である。よって、ます本体41内に異物が詰まった場合または付着物が堆積した場合に、点検口51から異物または付着物を容易に取り除くことができる。したがって、災害時に、ます40の流路切替機能を十分に確保することができ、流路が切り替えられなくなる事態を回避しやすくなる。
本実施形態では、図5に示すように、ます40の第2流出口54は、ます本体41の下部に設けられかつ下方に開口している。ます40の蓋体42は、第2流出口54に着脱自在に設けられている。このことによって、通常時、蓋体42を第2流出口54に装着すると、流入口52と第1流出口53とが連通し、流入口52と第2流出口54との連通は遮断される。よって、図1に示すように、通常時、流入口52からます本体41に流入した貯水タンク5から流出した排水は、第1流出口53から流出し、第2流出口54からは流出しない。貯水タンク5から流出した排水は、下水本管20に排出される。一方、図3に示すように、災害時において、蓋体42を第2流出口54から取り外すと、流入口52と第1流出口53と第2流出口54とは連通する。しかし、第2流出口54は、ます本体41における流入口52および第1流出口53よりも低い位置に設けられている。よって、流入口52からます本体41に流入した排水は、第1流出口53から流出されず、第2流出口54から流出する。したがって、貯水タンク5から流出した排水は、貯留槽70に排出される。本実施形態では、蓋体42を第2流出口54から取り外すという簡単な作業によって、流路を切り替えることができる。
ところで、下水本管20内が異物または付着物によって詰まってしまい、下水本管20内の汚水が公共ます21および第2流出管路12に逆流するおそれがある。しかし、本実施形態では、蓋体42を第2流出口54から取り外して、流入口52と第1流出口53と第2流出口54とを連通させることで、逆流した汚水を第1流出口53から第2流出口54を通じて貯留槽70へ排出することができる。そのため、逆流した汚水が仮設トイレ3に流れることを防ぐことができる。
<実施形態の他の形態>
本実施形態では、ます40の第2流出口54は、第3流出管路13を介して貯留槽70に接続されている。しかし、図10に示すように、第2流出口54は、貯留槽70と直接接続されていてもよい。この場合、ます40の下に貯留槽70が設けられていることが好ましい。災害時であって下水本管20が破損した場合、仮設トイレ3から流出した汚水は、第2流出口54から貯留槽70へ直接排出される。よって、第2流出口54から貯留槽70へ流れる汚水の流路を短くすることができ、第2流出口54から貯留槽70の間の流路内が、汚水に混在する排泄物などの異物によって詰まりにくくすることができる。
また、本実施形態では、図11に示すように、ます40の点検口51の上方に、仮設トイレ3の便器4aが接続されてもよい。すなわち、ます40の点検口51の上端に点検筒56が接続され、点検筒56の上端に仮設トイレ3の便器4aが接続されていてもよい。この場合、災害時であって下水本管20が破損しているとき、点検筒56の上端に接続された便器4aから流出した排泄物が混在した汚水は、ます40の第2流出口54から第3流出管路13を通じて貯留槽70へ排出される。このことによって、新たに仮設トイレ3を設置したい場合、新たに立管15を用意する必要がないため、仮設トイレ用配管設備1Aの部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。本実施形態のように仮設トイレ3を3つ設置できるような構成である場合、点検筒56の上端には、他の仮設トイレ3を設けることができるため、より多くの仮設トイレ3を設置することができる。
また、本実施形態では、図12に示すように、流出管路10の第1流出管路11のうち、立管15と立管15との間に位置する箇所に、ます40と同様の流路切替機能を有する他のます40Bが設けられていてもよい。この場合、他のます40Bの第2流出口54には、第3流出管路13が接続され、他のます40Bの第2流出口54は、第3流出管路13を介して貯留槽70と接続されている。ただし、他のます40Bの第2流出口54には、貯留槽70とは別の貯留槽が接続されていてもよい。このことによって、仮に第1流出管路11のうち、他のます40Bよりも下流側の配管、および、ます40が破損した場合であっても、他のます40Bによって流路を切り替えることができる。よって、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3から流出した汚水は、貯留槽70へ排出される。したがって、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3を利用することができる。
また、本実施形態では、第3流出管路13に、ます40と同様の構成の流路切替機能を有する他のますが設けられていてもよい。この場合、他のますの第2流出口54には、貯留槽70と同様の構成をした他の貯留槽が接続されているとよい。このことによって、例え、貯留槽70が汚水で満たされたとしても、他のますの流路切替機能によって、第3流出管路13内に流れる汚水を他の貯留槽に排出することができる。よって、貯留槽70が汚水で満たされた場合であっても、仮設トイレ3を利用することができる。
以上、実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aについて説明した。しかし、本発明に係る仮設トイレ用配管設備は、実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、参考形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略することとする。
<参考形態>
実施形態では、上端が仮設トイレ3の便器4aに接続され得る立管15の下端は、第1流出管路11に接続されていた。しかし、参考形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bでは、立管15の下端は、第1流出管路11には接続されていない。
図13は、本参考形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bの正面図である。図14は、仮設トイレ用配管設備1Bの平面図である。なお、図14は、仮設トイレ3を設置する前の状態を示しており、図13は、仮設トイレ3を設置した後の状態を示している。図13に示すように、仮設トイレ3の便器4aが取り付け可能な立管15の下端は、ます40の第2流出口54と貯留槽70とを繋ぐ第3流出管路13に接続されている。立管15の下端は、流出管路10のうち、ます40が設けられた位置よりも下流側の配管に接続されている。図14に示すように、仮設トイレ3が接続される立管15は、平面視において、第3流出管路13と重なっている。また、立管15は、第1流出管路11および第2流出管路12に対して離れた位置に配置されている。
本参考形態では、通常時、貯水タンク5から流出した排水は、第1流出管路11を通じて流入口52からます本体41内に流入する。そして、ます40の第2流出口54は、蓋体42によって閉塞されているため、ます本体41に流入した排水は、第1流出口53から第2流出管路12を通じて下水本管20に排出される。一方、災害時では、貯水タンク5から流出した排水は、第1流出管路11を通じて流入口52からます本体41に流入する。そして、蓋体42は、第2流出口54から取り外されているため、ます本体41に流入した排水は、第2流出口54から第3流出管路13を通じて貯留槽70へ排出される。災害時、仮設トイレ3の便器4aが立管15の上端に接続される。仮設トイレ3から流出した汚水は、立管15を通じて第3流出管路13に流れる。そして、仮設トイレ3から流出した汚水は、貯水タンク5から流出した排水の流路に沿って、貯留槽70へ排出される。
以上のように、本参考形態では、仮設トイレ3の便器4aが取り付け可能な立管15は、貯水タンク5から流出した排水が災害時に流れる流路である第3流出管路13に接続されている。そのため、災害時に下水本管20が破損した場合であっても、仮設トイレ3を使用することができる。したがって、仮設トイレ3から流出した汚水が、下水本管20の破損箇所から外部へ漏れることを防ぐことができる。
本参考形態では、仮設トイレ3から流出した汚水は、第1流出管路11、ます40、第2流出管路12および下水本管20には流れない。第1流出管路11、ます40および第2流出管路12には、貯水タンク5内の排水のみが流れる。そのため、貯水タンク5内に雨水が貯められている場合、第2流出管路12の下流端に接続される下水本管20は、雨水が導入される雨水本管であってもよい。本参考形態では、通常時に使用される第1流出管路11、ます40および第2流出管路12は、汚水用の管路であってもよいし雨水用の管路であってもよいため、排水の種類に限定されない。
本参考形態では、災害時であっても、第1流出管路11、ます40および第2流出管路12には、仮設トイレ3から流出した汚水が流れないため、第1流出管路11、ます40および第2流出管路12を比較的きれいな状態に維持することができる。よって、維持管理がし易い。
また、本参考形態では、ます40の第2流出口54は、ます本体41の下部に設けられ下方に向けて開口している。このことによって、災害時に仮設トイレ3から流出した汚水が第3流出管路13から第2流出口54を通じて、ます本体41に逆流することを防ぐことができる。よって、第1流出管路11および第2流出管路12には、仮設トイレ3から流出した汚水が流入しにくくなるため、仮設トイレ3の汚水による管路の劣化を防ぐことができる。
<変形例>
本参考形態において、実施形態に係る仮設トイレ用配管設備1Aの構成を追加してもよい。すなわち、参考形態に係る仮設トイレ用配管設備1Bにおいて、貯水タンク5に接続された第1流出管路11に仮設トイレ3が取り付け可能な立管15が接続されていてもよい。このことによって、一つの仮設トイレ用配管設備1Bにより多くの仮設トイレ3を設置することができる。
本参考形態では、図15に示すように、第1流出管路11に、ます40と同様の構成の流路切替機能を有する他のます40Bが設けられていてもよい。言い換えると、流出管路10のうち、ます40が設けられた箇所よりも上流側に他のます40Bが設けられていてもよい。他のます40Bの第2流出口54には、第3流出管路13が接続されており、第3流出管路13を介して貯留槽70が接続されている。このことによって、災害時であって、流出管路10のうち他のます40Bよりも下流側の箇所、または、ます40が破損した場合であっても、他のます40Bによって流路を切り替えることによって、貯水タンク5内の排水を他のます40Bの第2流出口54を通じて第3流出管路13に流すことができる。よって、仮設トイレ3から流出した汚水を、貯水タンク5から流出した排水を利用して貯留槽70へ排出することができる。
本参考形態では、図16に示すように、流出管路10の第3流出管路13における立管15と立管15との間の箇所に、ます40と同様の構成の流路切替機能を有する他のます40Bが設けられていてもよい。他のます40Bの第2流出口54には、第3流出管路13Bが接続され、他のます40Bの第2流出口54は、第3流出管路13Bを介して貯留槽70と接続されている。このことによって、仮に第3流出管路13のうち、他のます40Bよりも下流側の配管、または、ます40が破損した場合であっても、他のます40Bによって流路を切り替えることができる。よって、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3から流出した汚水は、貯留槽70へ排出される。したがって、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3は利用することができる。なお、他のます40Bの第2流出口54には、貯留槽70とは別の他の貯留槽が接続されていてもよい。このことによって、貯留槽70が破損した場合であっても、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3から流出した汚水は、他の貯留槽へ排出される。よって、このような場合であっても、他のます40Bよりも上流側に位置する仮設トイレ3は利用することができる。
上記実施形態および上記参考形態では、貯留槽70は一つであった。しかし、貯留槽70は複数あり、複数の貯留槽70は互いに連結していてもよい。この場合、一つの貯留槽70が汚水で満たされたとしても、他の貯留槽70に汚水を排出することができる。
1A、1B 仮設トイレ用配管設備
3 仮設トイレ
4a 便器
5 貯水タンク(水源)
10 流出管路
11 第1流出管路
12 第2流出管路
13 第3流出管路
15 立管
20 下水本管
40 ます(流路切替手段)
41 ます本体
42 蓋体(切替手段)
51 点検口
52 流入口
53 第1流出口
54 第2流出口
70 貯留槽

Claims (3)

  1. 一端が水源に接続された第1流出管路と、
    一端が下水本管に接続された第2流出管路と、
    汚水を貯留する貯留槽と、
    一端が前記第1流出管路に接続され、他端には仮設トイレの便器が取り付け可能な立管と、
    前記第1流出管路の他端および前記第2流出管路の他端に接続されると共に前記貯留槽に接続され、前記第1流出管路から前記第2流出管路に水を流す第1の状態と、前記第1流出管路から前記貯留槽に水を流す第2の状態とに切り替え可能な流路切替手段と、
    を備え、
    前記流路切替手段には、上方に開口する点検口が形成され、
    前記点検口は、前記貯留槽の上に配置されている、仮設トイレ用配管設備。
  2. 前記流路切替手段は、
    前記点検口と、前記第1流出管路の前記他端が接続された流入口と、前記第2流出管路の前記他端が接続された第1流出口と、前記貯留槽が接続された第2流出口と、を有するます本体と、
    前記ます本体に設けられ、前記流入口から前記第2流出口へ水が流れないように前記流入口と前記第1流出口とを連通させる第1の切替位置と、前記流入口から前記第1流出口へ水が流れないように前記流入口と前記第2流出口とを連通させる第2の切替位置との間で位置変更が可能な切替手段と、を備えたますである、請求項1に記載された仮設トイレ用配管設備。
  3. 前記第2流出口は、前記ます本体の下部に設けられかつ下方に開口し、
    前記切替手段は、前記前記第2流出口に着脱自在に設けられた蓋体である、請求項2に記載された仮設トイレ用配管設備。
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