JP2019145375A - 硫黄正極及びリチウム硫黄固体電池 - Google Patents

硫黄正極及びリチウム硫黄固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】新規のリチウム硫黄固体電池の提供。【解決手段】空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有し、前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、EMITFSI、BMITFSI、P13TFSI、及びP14TFSI等からなる群より選択される1種又は2種以上のイオン性化合物と、の混合物である、硫黄正極;前記硫黄正極と、リチウムからなる負極と、固体電解質と、を備えた、リチウム硫黄固体電池。【選択図】なし

Description

本発明は、硫黄正極及びリチウム硫黄固体電池に関する。
近年、電子機器や通信機器等のポータブル化やコードレス化が急速に進展している。これら電子機器や通信機器の電源として、エネルギー密度が高く、負荷特性に優れた二次電池が要望されており、高電圧、高エネルギー密度で、サイクル特性にも優れるリチウム二次電池の利用が拡大している。
一方、電気自動車の普及や、自然エネルギーの利用の推進には、さらに大きなエネルギー密度の電池が必要とされる。そこで、LiCoO等のリチウム複合酸化物を正極の構成材料とするリチウムイオン二次電池に替わる、新たなリチウム二次電池の開発が望まれている。
硫黄は、1672mAh/gと極めて高い理論容量密度を有しており、硫黄を正極の構成材料とするリチウム硫黄電池は、電池の中でも、理論的に最も高エネルギー密度を達成できる可能性を有している。そこで、リチウム硫黄電池の研究開発が盛んに行われるようになってきている。
リチウム硫黄電池の電解質として、有機電解液を用いた場合には、充放電の際などに硫黄分子や反応中間体(例えば、多硫化リチウム等)等が有機電解液中に溶解して拡散することで、自己放電や負極の劣化が惹き起こされ、電池性能が低下するという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決するために、電解液に塩酸や硝酸等の酸を添加して電解液を改質する方法(特許文献1参照)、正極の構成材料として、ケッチェンブラックに硫黄ナノ粒子を内包した複合体を用いる方法(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2013−114920号公報 特開2012−204332号公報
しかし、特許文献1及び2で開示されている方法では、電解質自体が液状であるため、硫黄分子や反応中間体が電解液に溶解することを完全には抑制できず、十分な効果を得られないという問題点があった。
このような電解液を用いた場合の問題点を解決する方法として、固体電解質を用いる方法がある。しかし、固体電解質を備えたリチウム硫黄固体電池は、まだ技術的に十分に検討されておらず、大きな改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、新規のリチウム硫黄固体電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有し、前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びトリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される1種又は2種以上のイオン性化合物と、の混合物である、硫黄正極。
[2].前記イオン液体における、[前記溶媒和イオン液体の混合量(質量)]:[前記イオン性化合物の混合量(質量)]の質量比が、99:1〜80:20である、[1]に記載の硫黄正極。
[3].前記硫黄正極において、前記導電性シートの質量に対する、前記硫黄の質量の割合が30質量%以下である、[1]又は[2]に記載の硫黄正極。
[4].前記溶媒和イオン液体が、トリグライム−リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド錯体、テトラグライム−リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド錯体、トリグライム−リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド錯体、及びテトラグライム−リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド錯体からなる群より選択される1種又は2種以上である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の硫黄正極。
[5].前記導電性シートの構成材料が、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル又はステンレス鋼である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の硫黄正極。
[6].[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硫黄正極と、リチウムからなる負極と、固体電解質と、を備えた、リチウム硫黄固体電池。
本発明によれば、新規のリチウム硫黄固体電池が提供される。
実施例1の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例1の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例2の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例3の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例4の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例5の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 参考例6の電池セルについての、内部抵抗の測定結果を示すグラフである。 比較例1の電池セルについての、充放電試験の結果を示すグラフである。
<<硫黄正極>>
本発明の一実施形態に係る硫黄正極は、空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有し、前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書においては、「EMITFSI」と略記することがある)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書においては、「BMITFSI」と略記することがある)、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書においては、「P13TFSI」と略記することがある)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(本明細書においては、「P14TFSI」と略記することがある)、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びトリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される1種又は2種以上のイオン性化合物(本明細書においては、「必須イオン性化合物」と略記することがある)と、の混合物となっているものである。
本実施形態の硫黄正極は、リチウム硫黄固体電池用の正極として、好適である。
<導電性シート>
前記空隙部は、硫黄正極の導電性シート以外の構成成分、すなわち、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を保持し、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
また、空隙部は、導電性シートの外部に対して開口しており、導電性シートに対して、後から上述の硫黄等の各成分を加えることで、これら成分を保持させることが可能となっている。
導電性シート中の空隙部は、上記の条件を満たす限り、その形状は特に限定されない。
例えば、空隙部は、1個又は2個以上の他の空隙部と連結しいてもよいし、他の空隙部と連結することなく、独立していてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から反対側の他方の表面まで貫通していてもよいし、貫通することなく、導電性シートの内部で行き止まりとなっていてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から導電性シートの内部を経由して、再び同じ表面に到達していてもよい。
導電性シートの形態としては、例えば、多孔質体;織布又は不織布等の、繊維状の材料が互いに絡み合ったもの等が挙げられる。
導電性シートの構成材料は、導電性を有していればよいが、硫黄との反応性を有しないものが好ましい。
導電性シートの構成材料として、より具体的には、例えば、炭素、金属(単体金属、合金)等が挙げられる。
なかでも、導電性シートの好ましい構成材料としては、正極集電体の構成材料が挙げられ、より具体的には、例えば、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。
導電性シートの構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
好ましい導電性シートとしては、例えば、カーボンフェルト、カーボンクロス等が挙げられる。
導電性シートの厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、導電性シートの厚さは、100〜30000μmであることが好ましく、200〜1000μmであることがより好ましい。
<導電助剤>
前記導電助剤は、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、黒鉛(グラファイト);ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;グラフェン;フラーレン等が挙げられる。
硫黄正極が含有する導電助剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、硫黄及び導電助剤の合計含有量の割合は、特に限定されないが、65〜85質量%であることが好ましく、70〜80質量%であることがより好ましい。前記合計含有量の割合が前記下限値以上であることで、電池の充放電特性がより向上する。前記合計含有量の割合が前記上限値以下であることで、硫黄及び導電助剤以外の成分を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
硫黄正極において、[硫黄の含有量(質量部)]:[導電助剤の含有量(質量部)]の質量比は、特に限定されないが、30:70〜70:30であることが好ましく、45:55〜65:35であることがより好ましい。硫黄の含有量の比率が高いほど、電池の充放電特性がより向上し、導電助剤の含有量の比率が高いほど、硫黄正極の導電性がより向上する。
硫黄正極において、硫黄及び導電助剤は、複合体を形成していてもよい。
例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで、硫黄−炭素複合体が得られる。このような、複合体も、硫黄正極の含有成分として好適である。
<バインダー>
前記バインダーは、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。
硫黄正極が含有するバインダーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、バインダーの含有量の割合は、特に限定されないが、2〜15質量%であることが好ましく、6〜10質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極の構造をより安定して維持できる。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
<イオン液体>
前記イオン液体は、後述するリチウム硫黄固体電池等の電池において、リチウムイオンを容易に移動させるための成分である。硫黄正極がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、前記硫黄正極を用いた固体電池は、電解液を用いていないにも関わらず、硫黄正極界面での界面抵抗値が小さく、優れた電池特性を有する。
硫黄正極は、イオン液体として、グライム−リチウム塩錯体からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI)、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P13TFSI)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(P14TFSI)、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びトリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される1種又は2種以上のイオン性化合物(必須イオン性化合物)と、の混合物を含有する。
このように、硫黄正極が、1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、1種又は2種以上の前記必須イオン性化合物という、特定範囲の組み合わせのイオン液体を含有することにより、この硫黄正極を用いた固体電池は、硫黄正極界面での界面抵抗値が顕著に小さく、特に優れた電池特性を有する。
[溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)]
前記グライム−リチウム塩錯体におけるリチウム塩としては、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF)、本明細書においては、「LiFSI」と略記することがある)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF、本明細書においては、「LiTFSI」と略記することがある)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体におけるグライムとしては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、テトラグライム)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体としては、例えば、グライム1分子とリチウム塩1分子とで構成された錯体等が挙げられるが、グライム−リチウム塩錯体はこれに限定されない。
前記グライム−リチウム塩錯体は、例えば、リチウム塩とグライムとを、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比が、好ましくは10:90〜90:10となるように、混合することで作製できる。
好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、トリグライム−LiFSI錯体、テトラグライム−LiFSI錯体、トリグライム−LiTFSI錯体、テトラグライム−LiTFSI錯体等が挙げられる。
すなわち、グライム−リチウム塩錯体(溶媒和イオン液体)は、トリグライム−LiFSI錯体、テトラグライム−LiFSI錯体、トリグライム−LiTFSI錯体、及びテトラグライム−LiTFSI錯体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
グライム−リチウム塩錯体は、リチウム塩とグライムとを、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比を10:90〜90:10として混合して得られたものが好ましく、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比を25:75〜75:25として混合して得られたものがより好ましく、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比を40:60〜60:40として混合して得られたものが特に好ましい。このような混合モル比のグライム−リチウム塩錯体を用いることで、固体電池の硫黄正極界面での界面抵抗値がより小さくなる。
より好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、LiFSIとトリグライムとを、LiFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を10:90〜90:10として混合して得られたもの;LiFSIとテトラグライムとを、LiFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を10:90〜90:10として混合して得られたもの;LiTFSIとトリグライムとを、LiTFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を10:90〜90:10として混合して得られたもの;LiTFSIとテトラグライムとを、LiTFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を10:90〜90:10として混合して得られたもの等が挙げられる。
さらに好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、LiFSIとトリグライムとを、LiFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を25:75〜75:25として混合して得られたもの;LiFSIとテトラグライムとを、LiFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を25:75〜75:25として混合して得られたもの;LiTFSIとトリグライムとを、LiTFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を25:75〜75:25として混合して得られたもの;LiTFSIとテトラグライムとを、LiTFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を25:75〜75:25として混合して得られたもの等が挙げられる。
特に好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、LiFSIとトリグライムとを、LiFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を40:60〜60:40として混合して得られたもの;LiFSIとテトラグライムとを、LiFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を40:60〜60:40として混合して得られたもの;LiTFSIとトリグライムとを、LiTFSI(モル):トリグライム(モル)のモル比を40:60〜60:40として混合して得られたもの;LiTFSIとテトラグライムとを、LiTFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を40:60〜60:40として混合して得られたもの等が挙げられる。
硫黄正極が含有するグライム−リチウム塩錯体が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
[必須イオン性化合物]
前記必須イオン性化合物は、EMITFSI、BMITFSI、P13TFSI、P14TFSI、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びトリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される1種又は2種以上である。
硫黄正極が含有する必須イオン性化合物が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)と、前記必須イオン性化合物と、の混合物である前記イオン液体において、[溶媒和イオン液体の混合量(質量)]:[必須イオン性化合物の混合量(質量)]の質量比は、99:1〜80:20であることが好ましく、96:4〜84:16であることがより好ましく、93:7〜87:13であることが特に好ましい。前記質量比がこのような範囲内であることで、固体電池の硫黄正極界面での界面抵抗値がより小さくなる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、イオン液体の含有量の割合は、特に限定されないが、3〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極の導電性がより向上する。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
硫黄正極は、溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)及び必須イオン性化合物として、同じ種類のアニオン部で構成されたものを含有していることが好ましい。換言すると、硫黄正極中の溶媒和イオン液体を構成しているアニオン部と、硫黄正極中の必須イオン性化合物を構成しているアニオン部とは、同じ種類であることが好ましい。より具体的には、硫黄正極中の溶媒和イオン液体を構成しているアニオン部と、硫黄正極中の必須イオン性化合物を構成しているアニオン部とは、いずれも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン(「ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン」ともいう)であることが好ましい。
このような組み合わせのイオン液体を含有していることで、電池の充放電特性がより向上する。
[その他の成分]
硫黄正極は、本発明の効果を損なわない範囲内において、導電性シート以外の構成成分として、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体以外に、その他の成分(ただし、後述する溶媒を除く)を含有していてもよい。
前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記その他の成分としては、例えば、前記必須イオン性化合物及び溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)以外のイオン液体(本明細書においては、「他のイオン液体」)等が挙げられる。
なお、本明細書においては、単なる「イオン液体」との記載は、特に断りのない限り、これまでに説明した、「溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)」、「必須イオン性化合物」、又は「溶媒和イオン液体(グライム−リチウム塩錯体)と、必須イオン性化合物と、の混合物」を意味する。
(他のイオン液体)
前記他のイオン液体は、例えば、公知のものから適宜選択できる。
ただし、他のイオン液体は、例えば、170℃未満の温度範囲で、硫黄の溶解度が低いものほど好ましく、硫黄を溶解させないものが特に好ましい。
他のイオン液体としては、例えば、170℃未満の温度で液状のイオン性化合物等が挙げられる。
他のイオン液体を構成するカチオン部は、有機カチオン及び無機カチオンのいずれでもよいが、有機カチオンであることが好ましい。
他のイオン液体を構成するアニオン部も、有機アニオン及び無機アニオンのいずれでもよい。
前記カチオン部のうち、有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン(imidazolium cation)、ピリジニウムカチオン(pyridinium cation)、ピロリジニウムカチオン(pyrrolidinium cation)、ホスホニウムカチオン(phosphonium cation)、アンモニウムカチオン(ammonium cation)、スルホニウムカチオン(sulfonium cation)等が挙げられる。
ただし、前記有機カチオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、有機アニオンとしては、例えば、メチルサルフェートアニオン(CHSO )、エチルサルフェートアニオン(CSO )等のアルキルサルフェートアニオン(alkylsulfate anion);
トシレートアニオン(CHSO );
メタンスルホネートアニオン(CHSO )、エタンスルホネートアニオン(CSO )、ブタンスルホネートアニオン(CSO )等のアルカンスルホネートアニオン(alkanesulfonate anion);
トリフルオロメタンスルホネートアニオン(CFSO )、ペンタフルオロエタンスルホネートアニオン(CSO )、ヘプタフルオロプロパンスルホネートアニオン(CSO )、ノナフルオロブタンスルホネートアニオン(CSO )等のパーフルオロアルカンスルホネートアニオン(perfluoroalkanesulfonate anion);
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン((CFSO)N)、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン((CSO)N)、ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルイミドアニオン((CFSO)(CSO)N)、N,N−ヘキサフルオロ−1,3−ジスルホニルイミドアニオン(SOCFCFCFSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミドアニオン(perfluoroalkanesulfonylimide anion);
アセテートアニオン(CHCOO);
ハイドロジェンサルフェートアニオン(HSO );等が挙げられる。
ただし、前記有機アニオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、無機アニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(N(SOF) );ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF );テトラフルオロボレートアニオン(BF );塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハライドアニオン(halide anion);テトラクロロアルミネートアニオン(AlCl )、チオシアネートアニオン(SCN)等が挙げられる。
ただし、前記無機アニオンは、これらに限定されない。
他のイオン液体である前記イオン性化合物としては、例えば、上記のいずれかのカチオン部と、上記のいずれかのアニオン部と、の組み合わせで構成されたものが挙げられる。
例えば、カチオン部がイミダゾリウムカチオンである他のイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、メチルイミダゾリウムクロライド、メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート等が挙げられる。
硫黄正極が含有するその他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、前記その他の成分の含有量の割合は、特に限定されないが、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
硫黄正極において、導電性シートの質量に対する、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の合計質量の割合は、10〜50質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。
硫黄正極が、先の説明のとおり、特定範囲の組み合わせのイオン液体を含有することにより、硫黄正極においては、硫黄の使用量を従来よりも大幅に低減できる。その結果、硫黄正極の導電性を、より向上させることが可能である。
例えば、硫黄正極において、導電性シートの質量に対する、硫黄の質量の割合は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。前記硫黄の質量の割合が前記上限値以下であることで、硫黄正極の導電性がより高くなる。
硫黄正極において、導電性シートの質量に対する、硫黄の質量の割合の下限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。例えば、前記硫黄の質量の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。前記硫黄の質量の割合が前記下限値以上であることで、この硫黄正極を用いた固体電池の充放電容量がより多くなる。
<<硫黄正極の製造方法>>
前記硫黄正極は、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有する正極材を、前記導電性シートに含浸させる工程を有する製造方法で、製造できる。
そして、前記製造方法は、さらに、含浸させた正極材を乾燥させる工程等、他の工程を有していてもよい。
[正極材]
好ましい前記正極材としては、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体、溶媒、及び必要に応じて前記その他の成分を含有するものが挙げられる。
前記溶媒は、上述の硫黄等の各成分を溶解又は分散させ、正極材に適度な流動性を付与するための成分である。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、如何なるイオン液体も溶媒には包含されない(すべてのイオン液体は溶媒として取り扱わない)ものとする。
溶媒は、上述の硫黄等の各成分の種類に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド;アセトン等のケトン等が挙げられる。
正極材が含有する溶媒は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
正極材の溶媒の含有量は、特に限定されず、溶媒以外の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
正極材における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合は、硫黄正極における、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合と同じである。これは、硫黄以外の、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の場合でも同じである。
したがって、正極材における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硫黄及び導電助剤の合計含有量の割合は、硫黄正極における、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量に対する、硫黄及び導電助剤の合計含有量の割合と同じである。
正極材は、上述の硫黄等の各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの成分(すなわち、上述の硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分のいずれかの成分)と混合して、この成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、上述の溶媒以外のいずれかの成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌棒、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各成分が劣化しない限り特に限定されない。通常、混合時の温度は、15〜30℃であることが好ましい。
各成分を添加及び混合して得られた組成物は、そのまま正極材として用いてもよいし、例えば、添加した溶媒の一部を留去等によって除去するなど、得られた組成物に何らかの操作を追加して行って得られたものを、正極材として用いてもよい。
正極材の導電性シートへの含浸は、例えば、液状である正極材を導電性シートに塗工する方法、液状である正極材に導電性シートを浸漬する方法等により、行うことができる。
導電性シートへ含浸させる正極材の温度は、特に限定されないが、例えば、15〜30℃とすることができる。ただし、これは一例である。
正極材の乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。例えば、好ましくは70〜90℃、8〜24時間の条件で乾燥させることができるが、乾燥条件はこれに限定されない。
<<リチウム硫黄固体電池>>
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄固体電池は、前記硫黄正極と、リチウムからなる負極と、固体電解質と、を備えたものである。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、上述の硫黄正極を備えている点以外は、公知のリチウム硫黄固体電池と同じ構成とすることができる。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、上述の硫黄正極を備えて構成されていることにより、十分な充放電容量を達成可能であり、優れた電池特性を有する。
<硫黄正極>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における硫黄正極は、先に説明したものである。
<負極>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における負極は、リチウムからなり(リチウム負極であり)、公知のリチウム負極を用いることができる。
負極の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、負極の厚さは、10〜2000μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましい。
<固体電解質>
前記固体電解質の構成材料は、特に限定されず、結晶性材料、アモルファス材料及びガラス材料のいずれであってもよい。
固体電解質の構成材料として、より具体的には、例えば、硫化物を含まず、かつ酸化物を含むもの(本明細書においては「酸化物系材料」と称することがある)、少なくとも硫化物を含むもの(本明細書においては「硫化物系材料」と称することがある)等、公知のものが挙げられる。
前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)、Li2.9PO3.30.46(LIPON)、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、50LiSiO・50LiBO、Li3.6Si0.60.4、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。
また、前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)等の複合酸化物に、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ビスマス等の元素が添加(ドープ)されたものも挙げられる。ここで、添加される元素は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記硫化物系材料としては、例えば、Li10GeP12(LGPS)、Li3.25Ge0.250.75、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・1LiPO、57LiS・38SiS・5LiSiO、70LiS・30P(LISPS)、50LiS・50GeS、Li11、Li3.250.95等が挙げられる。
固体電解質の構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
固体電解質の構成材料は、大気中における安定性が高く、緻密性が高い固体電解質を作製できる点から、前記酸化物系材料であることが好ましい。
固体電解質の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、固体電解質の厚さは、10〜1000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。
<<リチウム硫黄固体電池の製造方法>>
前記リチウム硫黄固体電池は、前記硫黄正極を用いる点以外は、公知のリチウム硫黄固体電池の場合と同じ方法で製造できる。すなわち、硫黄正極、固体電解質及び負極をこの順に、これらの厚さ方向において積層することで、本実施形態のリチウム硫黄固体電池を製造できる。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、100℃以下の温度条件下に置いておくことが好ましい。このようにすることで、イオン液体の気化を抑制でき、リチウム硫黄固体電池は、より優れた電池特性を発現する。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、上記のとおり優れた電池特性を有し、しかも安全性が高い。前記リチウム硫黄固体電池は、このような特長を生かして、例えば、家庭用電源;非常用電源;飛行機、電気自動車等の電源等として用いるのに好適である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<<リチウム硫黄固体電池の製造>>
[実施例1]
<硫黄正極の製造>
[正極材の製造]
粉砕した硫黄(5質量部)にケッチェンブラック(1質量部)を添加して30分混合し、150℃で6時間熱処理した後、さらに250℃で5時間熱処理することで、硫黄及びケッチェンブラックの複合体を得た。得られた複合体について、熱重量測定を行った結果、硫黄の含有率は51.2質量%(炭素の含有率は48.8質量%)であった。得られた複合体を、室温で1日真空乾燥させた。次いで、グローブボックス内において、この複合体(1.313質量部(このうち、硫黄は0.673質量部、ケッチェンブラックは0.640質量部))に、KFポリマー(12質量%のポリフッ化ビニリデンを含有するN−メチルピロリドン溶液、クレハ社製)(1.217質量部)を添加した。次いで、得られた混合物を撹拌しながら、ここへN−メチルピロリドンを少しずつ、合計で1028質量部添加し、さらに、テトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加することにより、スラリー状の正極材を得た。ここで、テトラグライム−LiTFSI錯体は、LiTFSIとテトラグライムとを、LiTFSI(モル):テトラグライム(モル)のモル比を50:50として混合して得られたものである。また、[テトラグライム−LiTFSI錯体の使用量(質量)]:[EMITFSIの使用量(質量)]の質量比は、90:10であった。
[硫黄正極の製造]
カーボンクロス(質量0.00592g、直径8mm、厚さ250μmの円形状)に、上記で得られた正極材を塗布して、正極材をカーボンクロスの内部に十分に含浸させた。
次いで、この含浸済みカーボンクロスを、80℃で12時間乾燥させることで、N−メチルピロリドンを完全に除去し、硫黄正極(0.0076g)を得た。
得られた硫黄正極において、導電性シート(カーボンクロス)の質量に対する、硫黄、導電助剤(ケッチェンブラック)、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)及びイオン液体(テトラグライム−LiTFSI錯体と、EMITFSIと、の混合物)の合計質量の割合は、28.4質量%であった。
また、得られた硫黄正極において、導電性シート(カーボンクロス)の質量に対する、硫黄の質量の割合は、11.4質量%であった。
<リチウム硫黄固体電池の製造>
[固体電解質の製造]
水酸化ランタン(純度99.99%、高純度化学研究所社製)(40.38g)、水酸化リチウム(純度98.0%、関東化学社製)(20.44g)及び酸化ジルコニウム(東ソー社製)(17.47g)を秤量し、これらをボールミルで2時間粉砕しながら混合した。得られた粉体(73.10g)を秤量し、焼成用セラミック容器に移し、電気炉を用いて900℃で15時間焼成した後、降温速度5℃/minで冷却して、最終的に室温まで冷却し、リチウム−ランタン−ジルコニウム複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物(54.67g)、及び酸化アルミニウム(γ−アルミナ、純度99.99%、高純度化学研究所社製)(0.90g)を秤量し、これらをボールミルで2時間粉砕しながら混合した。両軸プレス機を用いて、得られた混合物を成形することにより、直径15mm、厚さ1mmの円板状ペレットを作製した。
マザーパウダー(水酸化ランタン、水酸化リチウム、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムの混合粉末)を敷いた焼成用セラミック容器に、上記で得られたペレット(0.5g)を移し、さらにマザーパウダーでペレットを覆い、電気炉を用いて焼成した。焼成条件は以下のとおりである。すなわち、昇温速度5℃/minで室温から1200℃まで昇温し、そのまま24時間、1200℃を維持し、ここから降温速度5℃/minで冷却して、最終的に室温まで冷却した。次いで、ペレットに付着したマザーパウダーを研磨により除去した。
以上により、固体電解質として、ペレット状の、アルミニウムがドープされたリチウム−ランタン−ジルコニウム複合酸化物(AlドープLLZ)成形体(Li6.25Al0.25LaZr12、直径11mm、厚さ0.5mm、質量0.26g)を得た。
[リチウム硫黄固体電池の製造]
上記で得られたAlドープLLZ成形体の負極側となる表面に、金をスパッタリングした。これは、後述する評価時において、負極に起因する電池特性の影響を可能な限り排除して、硫黄正極の電池特性をより高精度に評価するためである。金のスパッタ層を介在させてAlドープLLZ成形体と負極を接触させることで、これらを確実に接触させて、抵抗を低減している。
一方、AlドープLLZ成形体の正極側となる表面には、上記で得られた硫黄正極を貼り合わせて、硫黄正極及び固体電解質が積層されて構成された積層物を得た。
次いで、市販のコイン型電池セル容器を用いて、下蓋にリング状のガスケットをはめ込み、下蓋の上にステンレス鋼製ワッシャーを載置した。このワッシャーの上に、ステンレス鋼製で、外径15mm、厚さ0.3mmの円板状である負極集電体を載置し、この負極集電体の上に、負極としてリチウム箔(直径8mm、厚さ600μm)を載置した。さらに、この負極に上記の金のスパッタ層を重ね合せることで、負極の上に硫黄正極及び固体電解質の積層物を載置し、この積層物の硫黄正極の上に、正極集電体としてアルミニウム箔(直径8mm、厚さ20μm)を載置した。最後に上蓋を閉じることで、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を得た。
[参考例1]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体の使用量を、1.313質量部に代えて1.068質量部(このうち、硫黄は0.547質量部、ケッチェンブラックは0.521質量部)とした点、及びテトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、EMITFSI(0.179質量部)のみを添加した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
[参考例2]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体の使用量を、1.313質量部に代えて1.144質量部(このうち、硫黄は0.586質量部、ケッチェンブラックは0.558質量部)とした点、及びテトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、BMITFSI(0.192質量部)のみを添加した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
[参考例3]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体の使用量を、1.313質量部に代えて1.221質量部(このうち、硫黄は0.625質量部、ケッチェンブラックは0.596質量部)とした点、及びテトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、P13TFSI(0.205質量部)のみを添加した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
[参考例4]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体の使用量を、1.313質量部に代えて1.145質量部(このうち、硫黄は0.586質量部、ケッチェンブラックは0.559質量部)とした点、及びテトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、P14TFSI(0.198質量部)のみを添加した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
<<電池特性の評価>>
[試験例1]
実施例1及び参考例1〜4で得られた電池セルについて、以下に示す交流インピーダンス法により、内部抵抗を測定した。
すなわち、電池セルを100℃の恒温槽内に静置し、周波数範囲3MHz〜0.1Hzにおける交流インピーダンス測定を行った。このときの測定結果を図1〜5に示す。図1が実施例1の電池セルについての測定結果であり、図2が参考例1の電池セルについての測定結果であり、図3が参考例2の電池セルについての測定結果であり、図4が参考例3の電池セルについての測定結果であり、図5が参考例4の電池セルについての測定結果である。
図1に示す、実施例1で得られた電池セルでの測定結果には、硫黄正極及びリチウム負極の反応抵抗に相当すると考えられる円弧部分と、リチウムイオンの拡散抵抗に相当すると考えられる直線部分がある。この測定結果より、実施例1の電池セルにおける、硫黄正極界面での界面抵抗値は、400Ω・cmであることが判った。
実施例1で得られた電池セルは、硫黄正極界面での界面抵抗値の低減効果を有することが確認された。
図2に示す、参考例1で得られた電池セルでの測定結果には、硫黄正極及びリチウム負極の反応抵抗に相当すると考えられる円弧部分と、リチウムイオンの拡散抵抗に相当すると考えられる直線部分がある。この測定結果より、参考例1の電池セルにおける、硫黄正極界面での界面抵抗値は、1400Ω・cmであることが判った。
図3〜5に示す、参考例2〜4で得られた電池セルでの測定結果にも、硫黄正極及びリチウム負極の反応抵抗に相当すると考えられる円弧部分と、リチウムイオンの拡散抵抗に相当すると考えられる直線部分がある。これらの測定結果より、硫黄正極界面での界面抵抗値は、参考例2の電池セルでは2100Ω・cmであり、参考例3の電池セルでは1800Ω・cmであり、参考例4の電池セルでは800Ω・cmであることが判った。
参考例1〜4で得られた電池セルでは、イオン液体として、前記必須イオン性化合物のみを用いており、このような電池セルも、硫黄正極界面での界面抵抗値の低減効果を有することが確認された。
ただし、図1と図2〜5との比較から明らかなうように、実施例1で得られた電池セルの方が、参考例1〜4で得られた電池セルよりも、硫黄正極界面での界面抵抗値が顕著に小さく、前記界面抵抗値の低減効果に特に優れていた。このように、正極材において、前記必須イオン性化合物と溶媒和イオン液体を併用した場合に、電池特性の向上で顕著な効果が得られることが確認された。
参考例1〜4で得られた電池セルは、正極材において、前記必須イオン性化合物以外に、溶媒和イオン液体を併用することで、電池特性の向上が見込まれるものであった。
<<リチウム硫黄固体電池の製造>>
[参考例5]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体(1.313質量部)に代えて、硫黄(16.0質量部)及びグラファイト粉末(KS4、1.6質量部)を用いた点、及びテトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、テトラグライム−LiTFSI錯体(2.95質量部)のみを添加した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
得られた硫黄正極において、導電性シート(カーボンクロス)の質量に対する、硫黄の質量の割合は、270質量%であった。
[参考例6]
正極材の製造時において、硫黄及びケッチェンブラックの前記複合体の使用量を、1.313質量部に代えて5.671質量部(このうち、硫黄は2.908質量部、ケッチェンブラックは2.763質量部)とした点、テトラグライム−LiTFSI錯体(0.198質量部)と、EMITFSI(0.022質量部)と、を添加するのに代えて、テトラグライム−LiTFSI錯体(0.95質量部)のみを添加した点、及びカーボンクロスの直径を8mmに代えて14mmとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、硫黄正極を製造し、評価用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を製造した。
得られた硫黄正極において、導電性シート(カーボンクロス)の質量に対する、硫黄の質量の割合は、15.1質量%であった。
<<電池特性の評価>>
[試験例2]
参考例5〜6で得られた電池セルについて、試験例1の場合と同じ方法で、内部抵抗を測定し、硫黄正極界面での界面抵抗値を求めた。参考例5の電池セルについての測定結果を図6に示し、参考例6の電池セルについての測定結果を図7に示す。
その結果、参考例5の電池セルにおける、硫黄正極界面での界面抵抗値は、3750Ω・cmであった。
参考例6の電池セルにおける、硫黄正極界面での界面抵抗値は、2500Ω・cmであった。
参考例6では、参考例5と比較して、導電助剤の種類を変えて、導電性シート(カーボンクロス)の質量に対する、硫黄の質量の割合を低減したことにより、参考例5の場合よりも、前記界面抵抗値を低減できた。
実施例1では、参考例6の場合とは異なり、イオン液体として、溶媒和イオン液体(テトラグライム−LiTFSI錯体)に加えて、前記必須イオン性化合物(EMITFSI)も用いたことにより、参考例6の場合よりも、さらに前記界面抵抗値を大幅に低減できた。
このように、硫黄正極の製造時に、溶媒和イオン液体及び前記必須イオン性化合物を併用することにより、導電性シートの質量に対する、硫黄の質量の割合を、大幅に低減し、電池特性を損なうことなく、前記界面抵抗値を大幅に低減できることが確認された。
[比較例1]
粉砕した硫黄(1.00g)にケッチェンブラック(0.50g)を添加して30分混合し、155℃で6時間熱処理させることで、硫黄及びケッチェンブラックの混合物を得た。次いで、グローブボックス内において、この混合物(0.180g)に、KFポリマー(12質量%のポリフッ化ビニリデンを含有するN−メチルピロリドン溶液、クレハ社製)(0.167g)を添加した後、得られた混合物を撹拌しながら、ここへN−メチルピロリドンを少しずつ、合計で1.0mL添加することにより、スラリー状の比較用正極材を得た。
マスキングテープとして、同心となる直径8mmの円がくり抜かれた形状のポリイミドテープ(厚さ0.09mm)を、実施例1で製造したものと同じAlドープLLZ成形体(固体電解質)の正極側となる表面に貼り付けた。次いで、この正極側となる露出面(正極側となる表面のうち、マスキングテープでマスキングされていない領域)の中央部に、上記で得られた比較用正極材を付着させた。そして、スライドガラスの端面でこの比較用正極材を摺り切るように、スライドガラスを2、3度往復させることで、比較用正極材を、前記露出面の全体に平らでかつ均等に行き渡るように広げて塗布した。
次いで、真空乾燥機を用いて、この塗布済みAlドープLLZ成形体を、80℃で一昼夜乾燥させて、N−メチルピロリドンをすべて除去することで、AlドープLLZ成形体上に比較用の硫黄正極を形成した。
次いで、AlドープLLZ成形体からマスキングテープを剥がし、比較用の硫黄正極及び固体電解質が積層された、比較用の積層物を得た。硫黄正極形成前後のAlドープLLZ成形体の質量差から求めた比較用の硫黄正極の形成量は、0.00075gであった。
上記で得られた比較用の積層物を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、比較用の電池セル(リチウム硫黄固体電池)を得た。
<<電池特性の評価>>
[試験例3]
比較例1で得られた電池セルについて、以下に示す方法により、硫黄正極の電池特性を評価した。
すなわち、電池セルを100℃で12時間保管した後、定電流を10μA、電圧範囲を1.0〜3.5Vとして、充放電試験を行った。このときの電池セルの試験結果を図8に示す。
その結果、比較例1の電池セルにおいては、初期放電容量が250mAh/g程度であるものの、初期放電時の電圧が安定せず、平坦な放電曲線を示さず、放電状態が安定しなかった。さらに、これ以降の充放電曲線は、平坦な曲線を示さず、容量も25mAh/g未満であった。すなわち、比較例1の硫黄正極は、電池特性が不十分であった。
比較例1の電池セルは、比較用の硫黄正極がイオン液体を含有しておらず、実施例1及び参考例1〜6の電池セルよりも、電池特性が明らかに劣っていた。
本発明は、リチウム硫黄固体電池の分野全般で利用可能である。

Claims (6)

  1. 空隙部を多数有する導電性シートを備え、
    前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、
    前記導電性シートは、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有し、
    前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒和イオン液体と、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びトリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される1種又は2種以上のイオン性化合物と、の混合物である、硫黄正極。
  2. 前記イオン液体における、[前記溶媒和イオン液体の混合量(質量)]:[前記イオン性化合物の混合量(質量)]の質量比が、99:1〜80:20である、請求項1に記載の硫黄正極。
  3. 前記硫黄正極において、前記導電性シートの質量に対する、前記硫黄の質量の割合が30質量%以下である、請求項1又は2に記載の硫黄正極。
  4. 前記溶媒和イオン液体が、トリグライム−リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド錯体、テトラグライム−リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド錯体、トリグライム−リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド錯体、及びテトラグライム−リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド錯体からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硫黄正極。
  5. 前記導電性シートの構成材料が、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル又はステンレス鋼である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硫黄正極。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硫黄正極と、リチウムからなる負極と、固体電解質と、を備えた、リチウム硫黄固体電池。
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