JP2019143709A - 自動変速機 - Google Patents

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Shota Yamakawa
將太 山川
龍彦 岩▲崎▼
Tatsuhiko Iwasaki
龍彦 岩▲崎▼
友隆 石坂
Tomotaka Ishizaka
友隆 石坂
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Abstract

【課題】内側固定部材と外側回転部材との間に複数の摩擦板が配置されたブレーキを備えた自動変速機において、部品点数を増加させることなく内側固定部材に設けられた供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞する。【解決手段】内側固定部材22と外側回転部材31との間に配置される複数の摩擦板40を締結するピストン50と締結用油圧室61とを有するブレーキBR2を備えた自動変速機10は、内側固定部材22の軸方向一方側に結合されて締結用供給油路L1を形成する油路形成部材70を備える。内側固定部材22には、油路形成部材70の締結用供給油路に接続される供給油路とは異なる供給油路124´が設けられ、供給油路124´は、油路形成部材70を内側固定部材22に結合する締結部材74によって軸方向一方側の開口部が閉塞される。【選択図】図4

Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、車両用の自動変速機の技術分野に属する。
車両に搭載される自動変速機は、複数のプラネタリギヤセット(遊星歯車機構)とクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結要素とを備えている。自動変速機は、油圧制御によって複数の摩擦締結要素を選択的に締結することにより、各プラネタリギヤセットを経由する動力伝達経路を切り換えて複数の前進変速段と通例1段の後退速段とを実現するように構成されている。
近年、自動変速機の多段化や軽量化要求等に応じてトルクコンバータを廃止する傾向がある。この場合、発進時に1速の変速段で締結される少なくとも1つの摩擦締結要素をスリップ制御することによりエンジンストールを回避しながら円滑な発進を実現することが考えられる。
発進時に1速の変速段で締結される摩擦締結要素をスリップ制御する場合、油圧室が回転するクラッチに比べて油圧室が回転しないブレーキの方が締結時の制御性が良いことから、発進時に1速の変速段で締結されるブレーキをスリップ制御することが考えられる。
このように構成された自動変速機では、発進時に1速の変速段で締結されるブレーキは、スリップ制御の実施頻度が多くなることから、所要の耐久性を維持するためにスリップ制御による摩擦板の発熱を効果的に抑制する必要がある。
摩擦板の発熱を抑制するために、摩擦板に供給する潤滑用作動油の量を多くして冷却性能を高めることが考えられるが、変速機ケースの内周面と変速機ケース内に収納された所定の回転部材の外周面との間に複数の摩擦板が配置されたブレーキでは、変速機ケースの内周面付近に潤滑用作動油が滞留して摩擦板間に引き摺り抵抗が生じて回転抵抗を増大させるおそれがある。
これに対し、例えば特許文献1には、発進時にスリップ制御される1速の変速段で締結されるブレーキにおいて、変速機ケースに結合された内側固定部材の外周面と所定の回転部材に結合された外側回転部材の内周面との間に複数の摩擦板を配置するようにしたものが開示されている。
図17は、従来の自動変速機のブレーキを示す断面図である。図17に示すように、このブレーキ200は、変速機ケース201に結合された内側固定部材202と、所定の回転部材203に結合された外側回転部材204と、内側固定部材202と外側回転部材204との間に配置された複数の摩擦板205と、複数の摩擦板205を締結するピストン206とを有している。
ブレーキ200では、潤滑用供給油路207は、矢印208で示すように、変速機ケース201から変速機ケース201に結合された連結部材209内を通じて径方向内側に延び、内側固定部材202の外周面に形成されたスプライン溝部210を通じて軸方向一方側から軸方向他方側に延び、複数の摩擦板205に潤滑用作動油を供給するようになっている。
潤滑用作動油は、外側回転部材204に係合された摩擦板205の遠心力を受けて、矢印211で示すように、径方向外側に移動して摩擦板205間に供給され、スリップ制御による摩擦板205の発熱を冷却するようになっている。そして、外側回転部材204の内周面に移動した潤滑用作動油は、外側回転部材204の回転によって、矢印212で示すように軸方向外側に移動して滞留することを抑制するようになっている。
特開2016−90048号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されるブレーキでは、図17に示すように、潤滑用作動油は内側固定部材202の外周面に形成されたスプライン溝部210を通じて軸方向一方側から軸方向他方側に移動されることから、摩擦板205に達する前に、矢印213で示すように径方向外側に流出して摩擦板205の冷却効率の低下を引き起こし得る。
これに対し、内側固定部材内に、潤滑用供給油路を軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように形成すると共に摩擦板が配置される部分と連結部材が配置される部分とにそれぞれ連通孔を設けることで、潤滑用作動油を摩擦板に効率良く供給して摩擦板の冷却効率を向上させることができる。
しかしながら、内側固定部材内に軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びる潤滑用供給油路が形成される場合、内側固定部材に潤滑用供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材を取り付けることが必要となる。特に、内側固定部材の周方向に複数の潤滑用供給油路が形成される場合、複数の閉塞部材を取り付けることが必要となり、部品点数の増加を引き起こし得る。
このように、内側固定部材と外側回転部材との間に複数の摩擦板が配置されたブレーキを備えた自動変速機において、内側固定部材内に潤滑用供給油路などの供給油路が軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように形成される場合に、部品点数を増加させることなく供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞することが望まれる。
そこで、本発明は、内側固定部材と外側回転部材との間に複数の摩擦板が配置されたブレーキを備えた自動変速機において、部品点数を増加させることなく内側固定部材に設けられた供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、変速機ケースに結合される内側固定部材と、所定の回転部材に結合される外側回転部材と、前記内側固定部材と前記外側回転部材との間に配置される複数の摩擦板と、前記複数の摩擦板を締結するピストンと、前記ピストンを締結方向に付勢する作動油が供給される締結用油圧室とを有するブレーキを備えた自動変速機であって、前記内側固定部材の軸方向一方側に結合されて前記締結用油圧室に締結用の作動油を供給する締結用供給油路を形成する油路形成部材を備え、前記内側固定部材に、前記油路形成部材の締結用供給油路に接続される第1供給油路と該第1供給油路とは異なる第2供給油路とがそれぞれ軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように設けられ、前記第2供給油路は、前記油路形成部材を前記内側固定部材に結合する締結部材によって軸方向一方側の開口部が閉塞されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記内側固定部材に、前記第2供給油路として前記摩擦板に潤滑用の作動油を供給する潤滑用供給油路が設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ピストンを締結方向に付勢する付勢部材と、前記ピストンを挟んで前記締結用油圧室の反対側に配置されて前記ピストンを解放方向に付勢する作動油が供給される解放用油圧室とを備え、前記締結用油圧室及び前記解放用油圧室は、前記付勢部材と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記解放用油圧室は、前記締結用油圧室より外径が小さく形成され、前記解放用油圧室の外周側に、前記ピストンに結合されると共に前記付勢部材による付勢力を受ける付勢受け部材が配設されていることを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、変速機ケースに結合される内側固定部材と外側回転部材との間に配置される複数の摩擦板を締結するピストンと締結用油圧室とを有するブレーキを備えた自動変速機は、内側固定部材の軸方向一方側に結合されて締結用供給油路を形成する油路形成部材を備える。
内側固定部材には、油路形成部材の締結用供給油路に接続される第1供給油路と第1供給油路とは異なる第2供給油路とがそれぞれ軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように設けられ、第2供給油路は、油路形成部材を内側固定部材に結合する締結部材によって軸方向一方側の開口部が閉塞される。
これにより、内側固定部材と外側回転部材との間に複数の摩擦板が配置されたブレーキを備えた自動変速機において、内側固定部材の軸方向一方側に油路形成部材が結合される場合に、油路形成部材を結合する締結部材を内側固定部材に設けられた供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく内側固定部材に設けられた供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞することができる。
内側固定部材の軸方向一方側に供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材と油路形成部材を結合する締結部材とが取り付けられる場合に比して、部品点数や組立工数を削減することができる。内側固定部材に設けられた複数の供給油路の軸方向一方側の開口部をそれぞれ閉塞する場合に前記効果をより有効に奏することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、内側固定部材に、第2供給油路として摩擦板に潤滑用の作動油を供給する潤滑用供給油路が設けられることにより、油路形成部材を結合する締結部材を内側固定部材に設けられた潤滑用供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく内側固定部材に設けられた潤滑用供給油路の軸方向一方側の開口部を閉塞することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、ピストンを締結方向に付勢する付勢部材と、ピストンを挟んで締結用油圧室の反対側に配置される解放用油圧室とを備え、締結用油圧室及び解放用油圧室は、付勢部材と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置されることにより、締結用油圧室及び解放用油圧室を付勢部材と軸方向にオーバーラップさせない場合に比して軸方向にコンパクトに構成することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、解放用油圧室は、締結用油圧室より外径が小さく形成され、解放用油圧室の外周側に、ピストンに結合されると共に付勢部材による付勢力を受ける付勢受け部材が配設されることにより、締結用油圧室より外径が小さく形成された解放用油圧室の外周側において付勢受け部材をピストンに結合させることができ、解放用油圧室の外周側のスペースを有効に利用することができる。
本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。 自動変速機の摩擦締結要素の締結表である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の断面図である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の別の断面図である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の更に別の断面図である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の更に別の断面図である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の更に別の断面図である。 ブレーキのハブ部材、付勢ユニット、油路形成部材及びピストンの組付状態を示す斜視図である。 ブレーキのハブ部材、付勢ユニット及び油路形成部材の組付状態を示す斜視図である。 ブレーキのハブ部材及び付勢ユニットの組付状態を示す斜視図である。 付勢ユニットを示す斜視図である。 図11のY12−Y12線に沿った付勢ユニットの断面図である。 解放状態にあるブレーキを示す断面図である。 接触直前状態にあるブレーキを示す断面図である。 ゼロクリアランス状態にあるブレーキを示す断面図である。 締結状態にあるブレーキを示す断面図である。 従来の自動変速機のブレーキを示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。この自動変速機10は、変速機ケース11内に、駆動源に連結されて駆動源側(図の左側)に配設された入力軸12と、反駆動源側(図の右側)に配設された出力軸13とを有している。自動変速機10は、入力軸12と出力軸13とが同一軸線上に配置されたフロントエンジン・リヤドライブ車用等の縦置き式のものである。
入力軸12及び出力軸13の軸心上には、駆動源側から、第1、第2、第3、第4プラネタリギヤセット(以下、単に「第1、第2、第3、第4ギヤセット」という)PG1、PG2、PG3、PG4が配設されている。
変速機ケース11内において、第1ギヤセットPG1の駆動源側に第1クラッチCL1が配設され、第1クラッチCL1の駆動源側に第2クラッチCL2が配設され、第2クラッチCL2の駆動源側に第3クラッチCL3が配設されている。また、第3クラッチCL3の駆動源側に第1ブレーキBR1が配設され、第3ギヤセットPG3の駆動源側且つ第2ギヤセットPG2の反駆動源側に第2ブレーキBR2が配設されている。
第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4は、いずれも、キャリヤに支持されたピニオンがサンギヤとリングギヤに直接噛合するシングルピニオン型である。第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4はそれぞれ、回転要素として、サンギヤS1、S2、S3、S4と、リングギヤR1、R2、R3、R4と、キャリヤC1、C2、C3、C4とを有している。
第1ギヤセットPG1は、サンギヤS1が軸方向に2分割されたダブルサンギヤ型である。サンギヤS1は、駆動源側に配置された第1サンギヤS1aと、反駆動源側に配置された第2サンギヤS1bとを有している。第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、同一歯数を有し、キャリヤC1に支持された同一ピニオンに噛合する。これにより、第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、常に同一回転する。
自動変速機10では、第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第2サンギヤS1bと第4ギヤセットPG4のサンギヤS4とが常時連結され、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1と第2ギヤセットPG2のサンギヤS2とが常時連結され、第2ギヤセットPG2のキャリヤC2と第4ギヤセットPG4のキャリヤC4とが常時連結され、第3ギヤセットPG3のキャリヤC3と第4ギヤセットPG4のリングギヤR4とが常時連結されている。
入力軸12は、第1ギヤセットPG1のキャリヤC1に第1サンギヤS1a及び第2サンギヤS1bの間を通じて常時連結され、出力軸13は、第4ギヤセットPG4のキャリヤC4に常時連結されている。
第1クラッチCL1は、入力軸12及び第1ギヤセットPG1のキャリヤC1と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2クラッチCL2は、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1及び第2ギヤセットPG2のサンギヤS2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設され、これらを断接するようになっており、第3クラッチCL3は、第2ギヤセットPG2のリングギヤR2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
第1ブレーキBR1は、変速機ケース11と第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第1サンギヤS1aとの間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2ブレーキBR2は、変速機ケース11と第3ギヤセットPG3のリングギヤR3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
以上の構成により、自動変速機10は、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1、第2ブレーキBR2の締結状態の組み合わせにより、図2に示すように、Dレンジでの1〜8速と、Rレンジでの後退速とが形成されるようになっている。
自動変速機10では、発進時に1速の変速段で締結される第2ブレーキBR2がスリップ制御され、第2ブレーキBR2が本発明に係る自動変速機の摩擦締結要素に相当する。以下、このブレーキBR2について説明する。
図3は、自動変速機のブレーキ及びその周辺の断面図、図4は、自動変速機のブレーキ及びその周辺の別の断面図、図5、図6、図7はそれぞれ、自動変速機のブレーキ及びその周辺の更に別の断面図である。図3、図4、図5、図6、図7はそれぞれ、後述する図9のY3−Y3線、Y4−Y4線、Y5−Y5線、Y6−Y6線、Y7−Y7線に沿った断面に対応する自動変速機のブレーキ及びその周辺の断面を示している。
図3から図7に示すように、ブレーキBR2は、略円筒状に形成された変速機ケース11の内側に収容され、第3ギヤセットPG3のサンギヤS3に連結されて第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の内外一対の回転部材の一方が一体化された動力伝達部材14の外周側に配置されている。
動力伝達部材14は、第2ギヤセットPG2のキャリヤC2と第4ギヤセットPG4のキャリヤC4とを連結する動力伝達部材15の外周側に配置され、動力伝達部材15は、第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第2サンギヤS1bと第4ギヤセットPG4のサンギヤS4とを連結する動力伝達部材16の外周側に配置されている。
ブレーキBR2は、変速機ケース11に結合されるハブ部材20と、ハブ部材20の反駆動源側に配置されて第3ギヤセットPG3のリングギヤR3に結合されるドラム部材30と、ハブ部材20とドラム部材30との間に軸方向に並べて配置される複数の摩擦板40と、複数の摩擦板40の反駆動源側に配置されて複数の摩擦板40を締結するピストン50とを有している。
ブレーキBR2は、ピストン50を付勢する作動油が供給される油圧室60を有し、油圧室60は、ピストン50を締結方向に付勢する締結用作動油が供給される締結用油圧室61と、ピストン50を挟んで締結用油圧室61の反対側に配置されてピストン50を解放方向に付勢する解放用作動油が供給される解放用油圧室62とを備えている。
ブレーキBR2はまた、図5に示すように、締結用油圧室61に作動油を供給する締結用供給油路を形成する油路形成部材70を有し、油路形成部材70は、ピストン50の反駆動源側に配置されてハブ部材20の反駆動源側に結合されている。
ブレーキBR2はまた、図7に示すように、ピストン50を付勢する付勢部材81を備えた付勢ユニット80を有し、付勢ユニット80は、付勢部材81として、ピストン50に締結方向に付勢力を作用させる第1付勢部材及び第2付勢部材としての第1スプリング82及び第2スプリング83を備えている。
図8は、ブレーキのハブ部材、付勢ユニット、油路形成部材及びピストンの組付状態を示す斜視図、図9は、ブレーキのハブ部材、付勢ユニット及び油路形成部材の組付状態を示す斜視図、図10は、ブレーキのハブ部材及び付勢ユニットの組付状態を示す斜視図、図11は、付勢ユニットを示す斜視図、図12は、図11のY12−Y12線に沿った付勢ユニットの断面図である。
図3から図10に示すように、ハブ部材20は、変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部21と、縦壁部21から反駆動源側にそれぞれ略円筒状に延びる第1円筒部22、第2円筒部23及び第3円筒部24とを備えている。
第1円筒部22は、縦壁部21の径方向中央側から軸方向に延び、第2円筒部23は、第1円筒部22より径方向内側において縦壁部21から軸方向に延び、第3円筒部24は、第2円筒部23より径方向内側において縦壁部21から軸方向に延びている。第1円筒部22は、第2円筒部23より軸方向に長く形成され、第3円筒部24より軸方向に短く形成されている。
ハブ部材20は、変速機ケース11の内周面に縦壁部21の形状に応じて略円柱状に形成されたハブ部材用溝部11aに嵌合され、スナップリング17により駆動源側への抜け止めが図られている。ハブ部材20はまた、図示しない回り止めピンを用いて縦壁部21が変速機ケース11に固定されて変速機ケース11に結合されている。
ハブ部材20の第1円筒部22は、外周面にスプライン22aが形成され、変速機ケース11に結合された内側固定部材を構成する。スプライン22aには、摩擦板40を構成する固定側摩擦板41がスプライン係合されている。第2円筒部23及び第3円筒部24は、縦壁部21と共に解放用油圧室62のシリンダ62aを構成する。
ドラム部材30は、ハブ部材20の第1円筒部22の外周側に対向配置されて略円筒状に軸方向に延びる円筒部31と、円筒部31の反駆動源側から径方向内側に変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部32とを備えている。
ドラム部材30の縦壁部32は、リングギヤR3に結合されている。ドラム部材30の円筒部31は、内周面にスプライン31aが形成され、回転部材としてのリングギヤR3に結合された外側回転部材を構成する。スプライン31aには、摩擦板40を構成する回転側摩擦板42がスプライン係合されている。固定側摩擦板41と回転側摩擦板42とは、軸方向に交互に配置されている。
ピストン50は、ハブ部材20とドラム部材30との間に、具体的にはハブ部材20の第1円筒部22とドラム部材30の円筒部31との間に配置されてハブ部材20の第3円筒部24の外周側に摺動自在に嵌合されている。ピストン50は、スナップリング18により反駆動源側への抜け止めが図られている。
ピストン50は、環状に形成され、外周側に設けられて摩擦板40を押圧する押圧部51と、内周側に設けられて締結用油圧室61を形成する締結用油圧室形成部52と、押圧部51と締結用油圧室形成部52とを連結して径方向に延びる連結部53とを備えている。
押圧部51は、摩擦板40の反駆動源側に配置され、締結用油圧室形成部52は、ハブ部材20の第1円筒部22の径方向内側に配置され、連結部53は、押圧部51からハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側を通じて締結用油圧室形成部52に連結するように設けられている。押圧部51及び締結用油圧室形成部52は、連結部53から駆動源側に突出するように設けられている。
油路形成部材70は、図5及び図6に示すように、ピストン50の反駆動源側に配置されている。油路形成部材70は、ハブ部材20の第3円筒部24の外周側に嵌合されてハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側に結合されている。
油路形成部材70は、外周側に設けられてハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側に結合される結合部71と、内周側に設けられてピストン50の反駆動源側に配置されて締結用油圧室61を形成する締結用油圧室形成部72と、結合部71と締結用油圧室形成部72とを連結して径方向に延びる連結部73とを備えている。
締結用油圧室形成部72は、所定厚さを有して環状に形成され、図3に示すように、ハブ部材20の第3円筒部24とピストン50の締結用油圧室形成部52の外周側との間に嵌合されている。締結用油圧室61は、ピストン50の締結用油圧室形成部52と油路形成部材70の締結用油圧室形成部72とハブ部材20の第3円筒部24とによって構成されている。
結合部71は、図4及び図6に示すように、締結用油圧室形成部72より厚さが薄く形成され、締結用油圧室形成部72の反駆動源側と軸方向にオーバーラップするように設けられている。図8及び図9に示すように、結合部71は円弧状に形成されている。油路形成部材70には、周方向に複数の結合部71、本実施形態では3つの結合部71が設けられ、周方向に離間して略等間隔に配置されている。
結合部71には、締結部材としての締結ボルト74を挿通するボルト挿通穴71aと締結ボルト74の頭部74aが収容されるボルト収容穴71bとが設けられている。油路形成部材70は、ボルト挿通穴71aを通じて締結ボルト74をハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側に設けられたネジ孔22bに螺合させることにより第1円筒部22の反駆動源側に結合されている。締結ボルト74として、ネジ部74bの外周面がシール材によって覆われたシール付きボルトが用いられる。
油路形成部材70の連結部73は、結合部71と略等しい厚さを有し、図8及び図9に示すように、結合部71の周方向中央側から径方向内側に延びて締結用油圧室形成部72に連結するように設けられている。
図9に示すように、変速機ケース11の下方側に配置される結合部71は、周方向両側が2つの締結ボルト74を用いて第1円筒部22に結合され、変速機ケース11の上方側に配置される2つの結合部71はそれぞれ、周方向中央側が1つの締結ボルト74を用いて第1円筒部22に結合されている。
ピストン50の連結部53には、油路形成部材70の結合部71及び連結部73と略同一形状に切り欠かれた切欠部53aが形成されている。油路形成部材70は、ピストン50の径方向範囲内に配置され、油路形成部材70の結合部71及び連結部73がピストン50の連結部53の切欠部53aに嵌合されてピストン50の連結部53と軸方向にオーバーラップする位置に配置されている。このように、油路形成部材70をピストン50の径方向範囲内に配置することで、径方向にコンパクトに構成することができる。
ピストン50の締結用油圧室形成部52は、図3に示すように、油路形成部材70の締結用油圧室形成部72の外周側に嵌合して軸方向に延びる外側円筒部52a、外側円筒部52aの駆動源側から径方向内側に延びる締結用油圧受け部52bと、締結用油圧受け部52bの径方向内側から反駆動源側に延びてハブ部材20の第3円筒部24に嵌合して軸方向に延びる内側円筒部52cとを備えている。
自動変速機10では、油圧室60は、ハブ部材20の第1円筒部22の径方向内側に配置され、締結用油圧室61及び解放用油圧室62はそれぞれ、第1円筒部22の径方向内側に配置されている。
締結用油圧室61は、前述したように、ピストン50の締結用油圧室形成部52と油路形成部材70の締結用油圧室形成部72とハブ部材20の第3円筒部24とによって形成されている。ピストン50の内側円筒部52cは、スナップリング18により反駆動源側への抜け止めが図られている。
解放用油圧室62は、図3に示すように、ピストン50の締結用油圧受け部52bの径方向内側が駆動源側に断面略コ字状に膨出した膨出部52dが、シール部材63、64を介してハブ部材20のシリンダ62a内に摺動自在に嵌合され、ピストン50の膨出部52dとハブ部材20のシリンダ62aとによって形成されている。
自動変速機10では、解放用油圧室62は、締結用油圧室61より外径が小さく形成され、解放用油圧室62の外周側に、ピストン50に結合されると共に付勢ユニット80の付勢部材81による付勢力を受ける付勢受け部材90が配置されている。これにより、解放用油圧室62の外周側のスペースを有効に利用することができる。
付勢受け部材90は、環状に形成され、図7に示すように、ハブ部材20の第1円筒部22と第2円筒部23との間で径方向に延びる径方向延設部91と、径方向延設部91の径方向内側から反駆動源側に軸方向に延びる軸方向延設部92とを備えている。
付勢受け部材90は、軸方向延設部92の反駆動源側がピストン50の締結用油圧受け部52bにおける膨出部52dより径方向外側に結合されてピストン50に結合されている。付勢受け部材90、具体的には径方向延設部91と油路形成部材70との間に付勢部材81を備えた付勢ユニット80が装着されている。
図11及び図12に示すように、付勢ユニット80は、軸方向に延びる第1スプリング82及び第2スプリング83と、第1スプリング82及び第2スプリング83の一端部である反駆動側の端部をそれぞれ保持する第1保持プレート84と、第1保持プレート84と軸方向に離間して配置されて第1スプリング82の他端部である駆動源側の端部を保持する第2保持プレート85とを備えている。
第1保持プレート84は、環状に形成され、駆動源側に円筒状に突出して第1スプリング82及び第2スプリング83がそれぞれ装着される第1スプリングガイド部84a及び第2スプリングガイド部84bを備えている。第1スプリング82と第2スプリング83とは、径方向にオーバーラップする位置且つ周方向に異なる位置に配置されている。これにより、径方向寸法の短縮を図ることができる。自動変速機10では、6つの第2スプリング83の周方向両側にそれぞれ第1スプリング82が配置されている。
第2保持プレート85は、第1保持プレート84と軸方向に略対称に形成されている。第2保持プレート85は、反駆動源側に円筒状に突出して第1スプリング82が装着される第1スプリングガイド部85aを備えている。第2保持プレート85はまた、第2スプリング83の他端部である駆動源側の端部が反第1保持プレート側に突出可能であるように第2スプリング83を挿通する挿通穴85bを備えている。
第1スプリング82は、第2スプリング83より付勢力が大きく設定されている。第1スプリング82及び第2スプリング83は、コイルスプリングであり、第1スプリング82は、第2スプリング83よりコイル径が大きく大型のコイルスプリングである。第2スプリング83は、第1スプリング82より自由長さが長く形成され、第2スプリング83の他端部が第2保持プレート85の反第1保持プレート側に突出可能に第1保持プレート84に保持されている。
図7に示すように、付勢ユニット80は、第1保持プレート84が油路形成部材70の結合部71の周方向両側における駆動源側に支持されると共に第2保持プレート85が付勢受け部材90の径方向延設部91の反駆動源側に支持され、変速機ケース11に取り付けられている。
付勢受け部材90の径方向延設部91は、第2保持プレート85を支持すると共に第2保持プレート85の挿通穴85bに挿通された第2スプリング83の他端部を支持するように第2保持プレート85の外径より小さく第2スプリング83と略等しい径方向寸法を有するように形成されている。
ハブ部材20の第1円筒部22の内周面は、第1保持プレート84及び第2保持プレート85より径方向に大きく形成され、第1円筒部22の内周側に付勢ユニット80が配置されている。ハブ部材20の第1円筒部22の内周面は、駆動源側が径方向内側に突出して段差部22cが形成され、段差部22cの反駆動源側にストッパ部材86が取り付けられている。
ストッパ部材86は、付勢受け部材90の径方向延設部91より径方向に大きく第2保持プレート85より径方向に小さく形成され、付勢部材81による付勢力を受けて第2保持プレート85が駆動源側に移動されるときに第2保持プレート85を受け止めるようになっている。
ストッパ部材86は、付勢受け部材90に支持された第2保持プレート85が当接したときに、ピストン50は、複数の摩擦板40に接触する直前である接触直前位置となるように設定されている。ピストン50の接触直前位置は、複数の摩擦板40が解放状態となる解放位置と複数の摩擦板40がゼロクリアランス状態となるゼロクリアランス位置との間に適宜設定される。ストッパ部材86は、周方向に所定長さを有する円弧状に形成され、周方向に離間して複数設けるようにしてもよく、また周方向全体に環状に設けるようにしてもよい。
付勢受け部材90に第2保持プレート85が当接すると、付勢受け部材90は、第1スプリング82のみによって締結方向に付勢力を受けるようになっている。第1スプリング82が自由長さとなったときに、ピストン50はゼロクリアランス位置となるように設定されている。
このようにして、付勢ユニット80は、第1スプリング82が付勢受け部材90を介してピストン50に解放位置から接触直前位置まで締結方向に付勢力を作用させ、第2スプリング83が付勢受け部材90を介して解放位置からゼロクリアランス位置まで締結方向に付勢力を作用させるようになっている。これにより、ブレーキBR2において、ピストン50をゼロクリアランス位置に応答性良く且つ精度良く移動させることができる。
そして、ピストン50がゼロクリアランス位置にあるときに締結用油圧室61に締結用油圧を供給すると、ピストン50が複数の摩擦板40を押し付けて、複数の摩擦板40がハブ部材20の縦壁部21に反駆動源側に突出して設けられた保持部21aとピストン50との間に挟み込まれて相対回転不能になる締結状態となる締結位置まで移動される。
一方、ピストン50が締結位置にあるときに、締結用油圧室61から締結用油圧を排出して解放用油圧室62に解放用油圧を供給すると、ピストン50が解放方向に付勢されて移動され、ピストン50がゼロクリアランス位置に移動される。
ピストン50はさらに、第1スプリング82に抗して解放方向に付勢されて移動され、接触直前位置に移動される。次いで、ピストン50は、第1スプリング82及び第2スプリング83に抗して解放方向に付勢されて移動され、解放位置に移動される。
自動変速機10では、油圧室60は、付勢部材81と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置され、締結用油圧室61及び解放用油圧室62はそれぞれ、第1スプリング82及び第2スプリング83と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置されている。これにより、軸方向寸法の短縮を図ることができる。
次に、ブレーキBR2に作動油を供給する供給油路について説明する。
ブレーキBR2の締結用油圧室61に締結用作動油を供給する締結用供給油路L1とブレーキBR2の解放用油圧室62に解放用作動油を供給する解放用供給油路L2とは、変速機ケース11、ハブ部材20及び油路形成部材70に形成されている。摩擦板40に潤滑用作動油を供給する潤滑用供給油路L3は、変速機ケース11及びハブ部材20に形成されている。
締結用供給油路L1は、図5に示すように、ハブ部材20の縦壁部21に設けられて径方向に延びる径方向油路102と、ハブ部材20の第1円筒部22に設けられて軸方向に延びて径方向油路102と接続される軸方向油路103と、油路形成部材70の結合部71に設けられて軸方向に延びて軸方向油路103と接続される軸方向油路104と、油路形成部材70の結合部71、連結部73及び締結用油圧室形成部72に設けられて径方向に延びて軸方向油路104と接続される径方向油路105と、油路形成部材70の締結用油圧室形成部72に設けられて軸方向に延びて径方向油路105と接続されると共に締結用油圧室61に開口する軸方向油路106とによって構成されている。
ハブ部材20の径方向油路102は、変速機ケース11に設けられて径方向に延びる径方向油路101に接続されている。径方向油路101は、変速機ケース11の下方に配設されたコントロールバルブユニット(不図示)に通じている。前記コントロールバルブユニットは、径方向油路101及び締結用供給油路L1を通じて締結用油圧室61に締結用作動油を供給して所定の締結用油圧を供給できるようになっている。
油路形成部材70の径方向油路105は、油路形成部材70の結合部71の外周面から径方向内側に延びるように形成され、結合部71の外周面に径方向油路105の開口部を閉塞する閉塞部材75が取り付けられている。
解放用供給油路L2は、図6に示すように、ハブ部材20の縦壁部21に設けられて径方向に延びる径方向油路112と、ハブ部材20の第1円筒部22に設けられて軸方向に延びて径方向油路112と接続される軸方向油路113と、ハブ部材20の第1円筒部22、縦壁部21及び第2円筒部23に設けられて径方向に延びて軸方向油路113と接続されると共に解放用油圧室62に開口する径方向油路114とによって構成されている。
ハブ部材20の径方向油路112は、変速機ケース11に設けられて径方向に延びる径方向油路111に接続されている。径方向油路111は、前記コントロールバルブユニットに通じている。前記コントロールバルブユニットは、前記径方向油路111及び解放用供給油路L2を通じて解放用油圧室62に解放用作動油を供給して所定の解放用油圧を供給できるようになっている。
ハブ部材20の径方向油路114は、ハブ部材20の第1円筒部22の外周面から径方向内側に延びるように形成され、第1円筒部22の外周面に径方向油路114の開口部を閉塞する閉塞部材25が取り付けられている。
ハブ部材20の軸方向油路113は、ハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側の端面から駆動源側に軸方向に延びるように形成され、第1円筒部22の反駆動側の端面に軸方向油路113の開口部を閉塞する閉塞部材として締結ボルト74が取り付けられている。
第1円筒部22の反駆動源側には軸方向油路113の開口部にネジ孔22bが設けられている。ネジ孔22bには、油路形成部材70をハブ部材20に結合する締結ボルト74が螺合され、軸方向油路113の開口部は締結ボルト74を用いて閉塞されている。締結ボルト74として、ネジ部74bの外周面がシール材によって覆われたシール付きボルトが用いられる。
このように、油路形成部材70を結合する締結部材74を第1円筒部22の軸方向油路113の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく、軸方向油路113の開口部を閉塞することができる。
潤滑用供給油路L3は、図3に示すように、ハブ部材20の縦壁部21に設けられて径方向に延びる径方向油路122と、ハブ部材20の縦壁部21に設けられて周方向に円弧状に延びて径方向油路122と接続される周方向油路123と、ハブ部材20の第1円筒部22に設けられて軸方向に延びて周方向油路123と接続される軸方向油路124と、ハブ部材20の第1円筒部22に設けられて径方向に延びて軸方向油路124と接続されると共にハブ部材20の第1円筒部22の外周面に開口する径方向油路125とによって構成されている。
第1円筒部22の外周面に開口する径方向油路125は、スプライン22aの歯部に開口するように軸方向に並んで複数設けられている。径方向油路125は、好ましくはスプライン22aの歯部の歯先に開口するように設けられる。なお、径方向油路125をスプライン22aの歯部の歯底に開口するように設けることも可能である。
ハブ部材20の径方向油路122は、変速機ケース11に設けられて径方向に延びる径方向油路121に接続されている。径方向油路121は、前記コントロールバルブユニットに通じている。前記コントロールバルブユニットは、径方向油路121及び潤滑用供給油路L3を通じて複数の摩擦板40に潤滑用作動油を供給できるようになっている。
ブレーキBR2では、内側固定部材としてのハブ部材20の第1円筒部22の外周面から摩擦板40に潤滑用作動油を供給し、摩擦板40の発熱を冷却するようになっている。摩擦板40に供給した潤滑用作動油は、外側回転部材としてのドラム部材30の円筒部31の内周面に移動し、ドラム部材30の円筒部31の回転によって軸方向に移動して滞留することが抑制されている。
ハブ部材20の軸方向油路124は、ハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側の端面から駆動源側に軸方向に延びるように形成され、第1円筒部22の反駆動源側の端面に軸方向油路124の開口部を閉塞する閉塞部材26が取り付けられている。
自動変速機10では、図10に示すように、締結用供給油路L1、解放用供給油路L2及び潤滑用供給油路L3をそれぞれ構成する径方向油路102、112、122が変速機ケース11の下方側に周方向に並んで配置されている。潤滑用供給油路L3を構成する周方向油路123は、径方向油路122に接続されると共に反径方向油路112側に円弧状に周方向に沿って延び、径方向油路102の反径方向油路112側まで延びている。
潤滑用供給油路L3は、周方向油路123と接続される軸方向油路124が周方向に略等間隔に離間して複数、具体的には5つ設けられ、軸方向油路124にはそれぞれハブ部材20の第1円筒部22の外周面に開口する複数の径方向油路125が接続されている。
潤滑用供給油路L3を構成する2つの軸方向油路124は、図3に示すように、第1円筒部22の反駆動源側の端面に閉塞部材26が取り付けられて、軸方向油路124の開口部が閉塞されている。潤滑用供給油路L3を構成する3つの軸方向油路124は、反駆動源側の開口部が油路形成部材70をハブ部材20に結合する締結ボルト74を用いて閉塞されている。
図4に示すように、潤滑用供給油路L3を構成する軸方向油路124´は、ハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側の端面から駆動源側に軸方向に延びるように形成され、第1円筒部22の反駆動側の端面に軸方向油路124´の開口部を閉塞する閉塞部材として締結ボルト74が取り付けられている。
ハブ部材20の第1円筒部22の反駆動源側には軸方向油路124´の開口部にネジ孔22bが設けられている。ネジ孔22bには、油路形成部材70をハブ部材20に結合する締結ボルト74が螺合され、軸方向油路124´の開口部は締結ボルト74を用いて閉塞されている。締結ボルト74として、ネジ部74bの外周面がシール材によって覆われたシール付きボルトが用いられる。
このように、油路形成部材70を結合する締結部材74を第1円筒部22の軸方向油路124´の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく、軸方向油路124´の開口部を閉塞することができる。
締結用供給油路L1、解放用供給油路L2及び潤滑用供給油路L3をそれぞれ構成する軸方向油路103、113、124は、図10に示すように、周方向に異なる位置に設けられ、ハブ部材20の第1円筒部22の内周面において径方向内側に突出するボス部22d内に形成されている。付勢ユニット80は、ボス部22dに対応して第1保持プレート84、第2保持プレート85にそれぞれ切欠部84c、85cが形成されている。
次に、このようにして構成されたブレーキBR2の作動について説明する。
図13は、解放状態にあるブレーキを示す断面図、図14は、接触直前状態にあるブレーキを示す断面図、図15は、ゼロクリアランス状態にあるブレーキを示す断面図、図16は、締結状態にあるブレーキを示す断面図である。図13から図16は、図7に示すブレーキの要部を拡大して示している。
図13では、締結用油圧室61から締結用油圧が排出されると共に解放用油圧室62に解放用油圧が供給されて付勢受け部材90を介して第1スプリング82及び第2スプリング83を圧縮してピストン50が反駆動源側である解放方向に移動され、ピストン50の位置が複数の摩擦板40が解放状態となる解放位置にあるブレーキBR2の解放状態が示されている。
ブレーキBR2の締結時には、図13に示す解放状態において解放用油圧室62から解放用油圧が排出され、図14に示すように、ピストン50が付勢受け部材90を介して第1スプリング82及び第2スプリング83の付勢力を受けて第2保持プレート85がストッパ部材86に当接するまで駆動源側である締結方向に移動され、ピストン50の位置が複数の摩擦板40に接触する直前である接触直前位置になり、ブレーキBR2が接触直前状態となる。
図14に示す接触直前状態において第2保持プレート85がストッパ部材86に当接すると、図15に示すように、ピストン50が付勢受け部材90を介して第2スプリング83の付勢力を受けて第2スプリング83の自由長さまで締結方向に移動され、ピストン50の位置が複数の摩擦板40を押圧することなく摩擦板40に接した状態若しくはほぼ接した状態であるゼロクリアランス状態となるゼロクリアランス位置になり、ブレーキBR2がゼロクリアランス状態となる。
そして、図15に示すゼロクリアランス状態において締結用油圧室61に締結用油圧が供給されると、図16に示すように、ピストン50が締結用油圧室61に供給された締結用油圧によって締結方向に付勢されて移動され、ピストン50が複数の摩擦板40を押し付けてピストン50の位置が複数の摩擦板40が相対回転不能になる締結位置になり、ブレーキBR2が締結状態となる。
一方、ブレーキBR2の解放時には、図16に示す締結状態において締結用油圧室61から締結用油圧が排出されると共に解放用油圧室62に解放用油圧が供給され、ピストン50が解放用油圧室62に供給された解放用油圧によって反駆動源側である解放方向に付勢されて移動され、図15に示すゼロクリアランス状態及び図14に示す接触直前状態を経て、図13に示す解放状態となる。
ブレーキBR2では、ピストン50を解放位置から接触直前位置まで第1スプリング82及び第2スプリング83によって応答性良く移動させ、接触直前位置からゼロクリアランス位置まで第1スプリング82によって精度良く移動させることができる。
ブレーキBR2は、前述したように、車両の発進時にスリップ制御される。ブレーキBR2の締結時には、締結用油圧室61に締結用油圧よりも低い油圧が供給されて複数の摩擦板40がスリップ状態とされた後に締結用油圧室61に締結用油圧が供給されて複数の摩擦板40が締結される。一方、ブレーキBR2の解放時には、解放用油圧室62に解放用油圧よりも低い油圧が供給されて複数の摩擦板40がスリップ状態とされた後に解放用油圧室62に解放用油圧が供給されて複数の摩擦板40が締結解除される。
ブレーキBR2の締結時及び解放時には、潤滑用供給油路L3を通じて複数の摩擦板40に潤滑用作動油が供給され、ブレーキBR2がスリップ制御されるときに潤滑用供給油路L3を通じて複数の摩擦板40に潤滑用作動油が供給される。
このように、本実施形態に係る自動変速機10によれば、変速機ケース11に結合される内側固定部材22と外側回転部材31との間に配置される複数の摩擦板40を締結するピストン50と締結用油圧室61とを有するブレーキBR2を備えると共に、内側固定部材22の軸方向一方側に結合されて締結用供給油路L1を形成する油路形成部材70を備える。
内側固定部材22には、油路形成部材70の締結用供給油路L1に接続される第1供給油路103と第1供給油路103とは異なる第2供給油路113、124´とがそれぞれ軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように設けられ、第2供給油路113、124´は、油路形成部材70を内側固定部材22に結合する締結部材74によって軸方向一方側の開口部が閉塞される。
これにより、内側固定部材22と外側回転部材31との間に複数の摩擦板40が配置されたブレーキBR2を備えた自動変速機10において、内側固定部材22の軸方向一方側に油路形成部材70が結合される場合に、油路形成部材70を結合する締結部材74を内側固定部材22に設けられた供給油路113、124´の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく内側固定部材22に設けられた供給油路113、124´の軸方向一方側の開口部を閉塞することができる。
内側固定部材22の軸方向一方側に供給油路113、124´の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材と油路形成部材70を結合する締結部材とが取り付けられる場合に比して、部品点数や組立工数を削減することができる。内側固定部材22に設けられた複数の供給油路の軸方向一方側の開口部をそれぞれ閉塞する場合に前記効果をより有効に奏することができる。
また、内側固定部材22に、第2供給油路として摩擦板40に潤滑用の作動油を供給する潤滑用供給油路113が設けられる。これにより、油路形成部材70を結合する締結部材74を内側固定部材22に設けられた潤滑用供給油路113の軸方向一方側の開口部を閉塞する閉塞部材として機能させることで、部品点数を増加させることなく内側固定部材22に設けられた潤滑用供給油路113の軸方向一方側の開口部を閉塞することができる。
また、ピストン50を締結方向に付勢する付勢部材81と、ピストン50を挟んで締結用油圧室61の反対側に配置される解放用油圧室62とを備え、締結用油圧室61及び解放用油圧室62は、付勢部材81と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置される。これにより、締結用油圧室61及び解放用油圧室62を付勢部材81と軸方向にオーバーラップさせない場合に比して軸方向にコンパクトに構成することができる。
また、解放用油圧室62は、締結用油圧室61より外径が小さく形成され、解放用油圧室62の外周側に、ピストン50に結合されると共に付勢部材81による付勢力を受ける付勢受け部材90が配設される。これにより、締結用油圧室61より外径が小さく形成された解放用油圧室62の外周側において付勢受け部材90をピストン50に結合させることができ、解放用油圧室62の外周側のスペースを有効に利用することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、内側固定部材と外側回転部材との間に配設された摩擦板に潤滑用の作動油を供給する潤滑用供給油路を内側固定部材の軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように形成したブレーキを有する自動変速機において、供給油路の開口部を閉塞する閉塞部材を別途設けることなく、部品点数及び組立工数を低減することが可能となるから、この種の自動変速機ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
10 自動変速機
11 変速機ケース
20 ハブ部材
30 ドラム部材
40 摩擦板
50 ピストン
60 油圧室
61 締結用油圧室
62 解放用油圧室
70 油路形成部材
74 締結ボルト
81 付勢部材
90 付勢受け部材
BR2 第2ブレーキ
L1 締結用供給油路
L2 解放用供給油路
L3 潤滑用供給油路

Claims (4)

  1. 変速機ケースに結合される内側固定部材と、所定の回転部材に結合される外側回転部材と、前記内側固定部材と前記外側回転部材との間に配置される複数の摩擦板と、前記複数の摩擦板を締結するピストンと、前記ピストンを締結方向に付勢する作動油が供給される締結用油圧室とを有するブレーキを備えた自動変速機であって、
    前記内側固定部材の軸方向一方側に結合されて前記締結用油圧室に締結用の作動油を供給する締結用供給油路を形成する油路形成部材を備え、
    前記内側固定部材に、前記油路形成部材の締結用供給油路に接続される第1供給油路と該第1供給油路とは異なる第2供給油路とがそれぞれ軸方向一方側の端面から軸方向他方側に延びるように設けられ、
    前記第2供給油路は、前記油路形成部材を前記内側固定部材に結合する締結部材によって軸方向一方側の開口部が閉塞されている、
    ことを特徴する自動変速機。
  2. 前記内側固定部材に、前記第2供給油路として前記摩擦板に潤滑用の作動油を供給する潤滑用供給油路が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記ピストンを締結方向に付勢する付勢部材と、
    前記ピストンを挟んで前記締結用油圧室の反対側に配置されて前記ピストンを解放方向に付勢する作動油が供給される解放用油圧室とを備え、
    前記締結用油圧室及び前記解放用油圧室は、前記付勢部材と軸方向にオーバーラップする位置且つ径方向に異なる位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動変速機。
  4. 前記解放用油圧室は、前記締結用油圧室より外径が小さく形成され、
    前記解放用油圧室の外周側に、前記ピストンに結合されると共に前記付勢部材による付勢力を受ける付勢受け部材が配設されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機。
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