JP2019143047A - シリコーンゴム組成物及びシリコーンゴム - Google Patents

シリコーンゴム組成物及びシリコーンゴム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、透明性に優れ、且つ難燃性に優れたシリコーンゴム(硬化物)となるシリコーンゴム組成物及びシリコーンゴムを提供することを目的とする。【解決手段】(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカと、(C)酸化チタンを含む金属微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有し、動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積分布径が1〜200nmである無機粒子であって、該無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液と、(D)シリコーンレジンパウダーと、(E)トリアゾール系化合物と、(F)白金系化合物と、(G)硬化剤とを含有することを特徴とするシリコーンゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた透明性と優れた難燃性を有する硬化物を与えるシリコーンゴム組成物及び該組成物の硬化物(シリコーンゴム)に関する。
シリコーンゴムは、優れた透明性、耐候性、電気特性、低圧縮永久歪性、耐熱性、耐寒性等の特性を有しているため様々な分野で広く使用されている。特に、家電に使用される材料には、優れた難燃性が要求されている。さらに、ランプホルダーや液晶ブランケット等、光が透過する材料には透明性が要求されている。
シリコーンゴムは主骨格がシロキサン結合からできており、通常の有機ゴムに比べて有機成分(炭化水素成分)の割合が低く、燃えにくい性質がある。しかしながら、直に炎に接するなどの過酷な条件下では、シリコーンゴムに引火し燃焼してしまう。上記の問題を解決するために、シリコーンゴム組成物に難燃性付与剤として白金化合物又は白金化合物とアルキニル基とアルコール性水酸基を有する化合物との反応物に、トリアゾール系化合物を配合することが知られている(特許文献1,2)。
また、平均粒子径が0.10〜0.50μmの二酸化チタンを添加する方法(特許文献3)も提案されているが、いずれの場合も得られるシリコーンゴム硬化物の透明性が損なわれ、難燃性も十分ではない。
さらに、エポキシ樹脂組成物においては、シリコーンパウダーが難燃性付与剤や難燃助剤として有効であるとの記載(特許文献4,5)があるが、同じ分子構造を持つシリコーンゴムに対して、難燃性向上効果があるかどうかについては明らかではなかった。
特開平10−168317号公報 特開平11−140325号公報 特開平9−194730号公報 国際公開第2012/029690号 国際公開第2017/022721号
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、光透過性に優れ、且つ難燃性に優れたシリコーンゴム(硬化物)となるシリコーンゴム組成物及びシリコーンゴムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと補強性シリカとを含むシリコーンゴム組成物に対し、酸化チタンを含む金属微粒子からなる核(コア)の外側に酸化ケイ素の殻(シェル)を有するコアシェル構造の無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合溶液、シリコーンレジンパウダーとトリアゾール系化合物とを配合することにより、このシリコーンゴム組成物の硬化物が、光透過性に優れ、且つ難燃性に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記のシリコーンゴム組成物及び該組成物を硬化してなるシリコーンゴム提供する。
1.(A)下記平均組成式(1)
nSiO(4-n)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 5〜100質量部、
(C)酸化チタンを含む金属微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有し、動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積分布径が1〜200nmである無機粒子であって、該無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液 0.01〜50質量部、
(D)シリコーンレジンパウダー 1〜50質量部、
(E)トリアゾール系化合物 0.001〜0.1質量部、
(F)白金系化合物 (A)〜(E)成分の合計質量に対し、0.5〜1,000ppm、及び
(G)硬化剤 (A)成分を硬化させる有効量
を含有することを特徴とするシリコーンゴム組成物。
2.上記(C)成分のコアシェル構造を有する無機粒子の表面が、下記一般式(2)
19Si(Y)3 (2)
(式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
で示される有機ケイ素化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物により表面修飾してなる上記1記載のシリコーンゴム組成物。
3.上記(C)成分の混合溶液において、コアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜30質量%である上記1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
4.上記(C)成分の有機溶媒ゾル中におけるコアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜50質量%である上記1〜3のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物。
5.上記(E)成分のトリアゾール系化合物がベンゾトリアゾールである上記1〜4のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物。
6.上記(G)成分の硬化剤が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合せからなる付加反応硬化型である上記1〜5のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物。
7.上記(G)成分の硬化剤が有機過酸化物である上記1〜5のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物。
8.上記1〜7のいずれかに記載のシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム。
本発明のシリコーンゴム組成物は、光透過性及び難燃性に優れたシリコーンゴム(硬化物)を与えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシリコーンゴム組成物は、ベースポリマーとして1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(A)に、硬化剤(G)として付加反応硬化剤(G−1)及び/又は有機過酸化物硬化剤(G−2)を用いるものである。このシリコーンゴム組成物の形状は、押出し成型が可能なミラブルタイプが好ましい。ミラブル型シリコーンゴム組成物とは、粘度が高く、室温において自己流動性がない非液状(固体状又は高粘稠なペースト状)であって、ロールミル等の混練手段によって高せん断応力下に均一に混合できる生ゴム状の組成物を意味するものである。
−(A)成分−
本発明において、(A)成分は、下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。
nSiO(4-n)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
上記平均組成式(1)中、Rは、同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、特に炭素数1〜8のものが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素等のハロゲン原子もしくはシアノ基などで置換してもよい。中でも、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。
特に、(A)成分としてのオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上、通常、2〜50個、特に2〜20個程度のアルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、とりわけビニル基を有するものが好ましい。この場合、全R中0.01〜20モル%、特に0.02〜10モル%が脂肪族不飽和基であることが好ましい。なお、この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(分子鎖非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
また、全R中80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは脂肪族不飽和基を除く全てのRが、アルキル基、特にはメチル基であることが望ましい。
上記式(1)中、nは1.95〜2.05、好ましくは1.98〜2.02、より好ましくは1.99〜2.01の正数である。
(A)成分であるオルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、又は一部分岐構造を有する直鎖状であることが好ましい。具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位(R2SiO2/2、Rは上記と同じ、以下同様)の繰り返し構造が、ジメチルシロキサン単位のみの繰り返しからなるもの、又はこの主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部として、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を置換基として有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位を導入したもの等が好適である。
また、分子鎖両末端は、例えば、トリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(R3SiO1/2)やヒドロキシジメチルシロキシ基等のヒドロキシジオルガノシロキシ基(R2(HO)SiO1/2)などで封鎖されていることが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上述したように、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R3SiO1/2)又はヒドロキシジオルガノシロキシ基(R2(HO)SiO1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R2SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状のものを好ましく挙げることができる。特に好ましいものとしては、分子中の置換基(即ち、ケイ素原子に結合する非置換又は置換の1価炭化水素基)の種類として、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、或いは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
なお、上記オルガノポリシロキサンの重合度は100以上(通常、100〜100,000)、好ましくは150〜100,000であることが好ましい。なお、この重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度として測定することができる。
(A)成分は、1種を単独で用いても、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種又は3種以上の混合物であってもよい。
−(B)成分−
(B)成分の補強性シリカは、機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加される充填材であり、この目的のためにはBET吸着法による比表面積が50m2/g以上であることが必要であり、好ましくは100〜450m2/g、より好ましくは100〜300m2/gである。比表面積が50m2/g未満であると、硬化物の機械的強度が低くなってしまう。
このような補強性シリカとしては、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、また、これらの表面をメチルクロロシラン等のオルガノシラン化合物やヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物などで疎水化処理したものも好適に用いられる。この中でも透明性に優れる煙霧質シリカが好ましい。
(B)成分は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部であり、10〜100質量部が好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎる場合には補強効果が得られず、多すぎる場合には加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまい、動的疲労耐久性も悪化してしまう。
なお、本発明においては、必要に応じて、(B)補強性シリカの分散剤(ウェッター)を任意成分として配合することができる。このウェッターとしては、例えば、ジフェニルシランジオール等のシラノール基(即ち、ケイ素原子結合水酸基)含有シラン化合物や、分子鎖両末端シラノール基封鎖の直鎖状ジメチルシロキサンオリゴマー(例えば、重合度又は分子中のケイ素原子数が2〜30個、特には3〜20個程度の低重合ポリマー)等のシラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマーなどから選ばれる1種又は2種以上が用いられる。
ウェッターの配合量としては、ベースポリマー((A)成分)100質量部に対し、0〜25質量部とすることが好ましく、より好ましくは3〜20質量部の範囲の配合量とすることができる。
−(C)成分−
(C)成分は、酸化チタンを含む金属微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有する無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液である。なお、上記の無機粒子は、以下の記載において「コアシェル酸化チタン粒子」と言う場合もある。
有機溶媒ゾル中の上記コアシェル酸化チタン粒子の含有量は、1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。上記含有量が1質量%より少ない場合は、添加量が増えてしまい、本発明シリコーンゴム組成物中から有機溶媒を取り除くのに時間がかかり経済的でない。逆に、上記含有量が50質量%より多いと、コアシェル酸化チタン粒子の分散が困難とある。
核(コア)として用いられる酸化チタンを含む金属微粒子としては、酸化チタンを必須とし、酸化スズ、酸化インジウムスズを含むものなどが挙げられ、酸化チタンとスズ及び/又はマンガンとの固溶体を用いてもよい。
上記の酸化チタンを含む金属微粒子の粒子径は、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積分布径(D50)とする。例えば、動的光散乱法としては、ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)等の装置を用いることができる。本発明で用いるコアシェル酸化チタン粒子は、可視領域における透明性が重要であるため、原料の酸化チタン微粒子のD50は、1〜200nmであることが必要であり、1〜100nmであることが好ましく、1〜80nmであることがより好ましく、1〜50nmであることが特に好ましい。酸化チタン微粒子の平均累計粒子径が200nmを超えると、上記コアシェル酸化チタン粒子の粒子径が可視領域の光波長より大きくなり、散乱が顕著となる場合がある。また、1nm未満になると、分散質の系中での総表面積が極めて大きくなることにより、凝集が起こりやすくなるなど分散液としての取扱いが困難になる場合がある。
なお、コアシェル酸化チタン粒子のD50については、好ましくは1〜200nmであり、より好ましくは1〜100nm、更に好ましくは5〜50nmである。
[(α)工程]
(C)成分のコアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルの製造方法における第一の工程(α)は、動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積粒子径(D50)が1〜200nmであるコアシェル酸化チタン粒子が極性有機溶媒に分散した分散液を準備する工程である。
本発明中において分散液とは、上述したように、特に断りのない限り、粒子が継時で沈降しない安定分散(コロイダル分散)した状態のことを指す。安定分散状態は粒子のブラウン運動速度が自重による沈降速度以上に早くなった場合に生じる。一方で、シリコーンのような粘性液体中では粒子の沈降速度が遅いために、安定分散しているか否かの判断が難しい。そのような場合には、遠心分離機を用いて遠心力を加え、粒子の沈降を促進させることで、粒子沈降の有無を判断することができる。
本発明で準備するコアシェル酸化チタン粒子は、上述した通りであるが、本発明における酸化チタン微粒子原料は、合成したものであっても、市販されている汎用品であってもよい。市販品を用いる場合の具体例としては、タイノックM−6(酸化チタン水分散液、多木化学製)等の水に分散された酸化チタン微粒子において、分散媒である水を極性有機溶媒で置換して用いてもよい。また、水分散液は溶媒置換前に汎用のシランカップリング剤や分散剤を用いてコアシェル酸化チタン粒子の表面を処理したものを用いてもよい。
<原料コロイド分散液>
上記の(α)工程においては、水を分散媒とするコアシェル酸化チタン粒子のコロイド分散液を用いて行うことが好ましい。水としては、水道水、工業用水、井戸水、天然水、雨水、蒸留水、イオン交換水等の淡水を用いることができるが、特にイオン交換水であることが好ましい。イオン交換水は、純水製造器(例えば、オルガノ(株)製、製品名「FW−10」、メルクミリポア(株)製、製品名「Direct−QUV3」等)を用いて製造することができる。また、分散媒には、以下に述べるように水分散コロイド溶液を製造する工程で水と任意に混和可能な1価のアルコールを含んでいてもよい。水と任意に混和可能な1価のアルコールは、コアシェル粒子を製造する際の共溶媒及びゾル−ゲル反応における金属アルコキシドの加水分解副生成物としての由来で含有してもよい。本発明で準備する原料コロイド分散液の分散質濃度は、好ましくは1質量%以上35質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは10質量%以上25質量%以下である。分散質濃度が1質量%より低いと、製造効率がよくないことがある。分散質濃度が35質量%より高いと、pHや温度等の条件によっては、ゲル化しやすくなることがある。
(α)工程は、コアシェル酸化チタン粒子表面にシロキサン被覆層を有する場合、有機ケイ素化合物及び/又は同有機ケイ素化合物の(部分)加水分解縮合物でコアシェル酸化チタン粒子表面を修飾する工程(α−1)、及び極性有機溶媒で溶媒置換する工程(α−2)からなる。以下に詳細を説明する。
[工程(α−1)]
工程(α−1)では下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物及び/又は同有機ケイ素化合物の(部分)加水分解縮合物を添加してコアシェル酸化チタン粒子表面を修飾する工程である。
19Si(Y)3 (2)
(式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
この場合、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、特にメチル基、エチル基が挙げられ、アリール基としては炭素数6〜10のもの、特にフェニル基が挙げられる。更に(ポリ)ジメチルシロキシ基のケイ素数は1〜50、特に1〜30であることが好ましい。
一般式(2)で示される有機ケイ素化合物の具体例としては、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業(株)製)等のアルコキシシラン類;トリアリルメチルシラン、トリアリルエチルシラン、トリアリルイソプロピルシラン等のアリルシラン類;トリアセトキシメチルシラン、トリアセトキシエチルシラン、トリアセトキシプロピルシラン、トリアセトキシフェニルシラン等のアセトキシシラン類;トリクロロメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロフェニルシラン等のクロロシラン類;トリイソプロペニルオキシメチルシラン、エチルトリイソプロペニルオキシシラン、トリイソプロペニルオキシプロピルシラン、フェニルトリイソプロペニルオキシシラン等のエノールシラン類などを挙げることができる。
一般式(2)で示される有機ケイ素化合物において、R19が(ポリ)ジメチルシロキサンである場合の具体例としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。一般式(3)中において、好ましくはrが0以上49以下の整数であり、より好ましくはrが5以上40以下の整数であり、更に好ましくはrが10以上30以下の整数である。rが49より大きくなると、シリコーンオイルとしての性質が強くなり、表面処理されたオルガノゾルの各種樹脂への溶解性が限定されることがあるため好ましくない。下記一般式(3)中において、平均構造がr=30の化合物は、商品名「X−24−9822」(信越化学工業(株)製)として入手することができる。なお、Meはメチル基を示す。
Figure 2019143047
添加する有機ケイ素化合物の添加量は、原料コロイド水分散液の分散質重量に対して、好ましくは0.5倍以上で50倍以下であり、より好ましくは1倍以上で25倍以下であり、更に好ましくは2倍以上で10倍以下である。添加量が原料コロイド水分散液の分散質重量に対して50倍よりも多いと、ゲル化することがある。添加量が0.5倍よりも少ないと、被覆が十分行われず凝集することがある。
有機ケイ素化合物の添加方法は、液中滴下、液外滴下、ポーション添加などを実施することができ、液中滴下であることが好ましい。
工程(α−1)では、必要に応じて、表面処理を促進させるための酸或いは塩基触媒を添加することができる。具体的な塩基触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムや塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。酸触媒としては塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、カチオン性イオン交換樹脂などが挙げられる。また、カチオン性イオン交換樹脂の一例として、アンバーライト(オルガノ社製)、レバチット(ランクセス社製)、ピューロライト(ピューロライト社製)、ムロマック(室町ケミカル社製)等が挙げられる。触媒の使用量は、無機粒子に対して、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下である。添加量が20質量%よりも多いと反応が急激に進行し制御が困難となることがあるため好ましくなく、添加量が0.01質量%よりも少ないと反応が進行しないことがある。
有機ケイ素化合物添加時の液温は、好ましくは0℃以上45℃以下であり、より好ましくは5℃以上40℃以下であり、更に好ましくは10℃以上35℃以下である。液温が0℃より低くなると、コロイド水分散液が凍結による状態変化を経て変質する可能性があるため好ましくない。液温が45℃より大きくなると、添加した有機ケイ素化合物が予期せぬ加水分解縮合反応を起こすことがあるため好ましくない。加水分解縮合による結果、反応液の温度が70℃を超えない程度に達することがある。
工程(α−1)では、必要に応じて有機溶剤で上記反応液を希釈してもよく、希釈用溶剤は好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリム、ジグリム等のエーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の反応性エステル類を用いることができ、特に、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。希釈は次工程(α−2)のソルベントショックを避けるために実施することが好ましいが、必須であるとは限らない。希釈倍率は好ましくは1〜20倍、より好ましくは2〜15倍、更に好ましくは3〜10倍である。1よりも小さいと意図したソルベントショック緩和の効果が十分でない場合がある。20よりも大きいと次工程で多くの処理時間を要する場合がある。
[工程(α−2)]
工程(α−2)は極性有機溶媒で反応液中の分散媒を置換する工程であって、限外ろ過によって分散液の分散媒を滲出せしめることによって、必要に応じて濃縮を行うことができる。分散媒には、工程(α−1)で製造した水分散液に含まれる水、添加した有機ケイ素化合物及び/又は有機ケイ素化合物の加水分解縮合物及び/又は加水分解縮合で生成した珪酸エステルに由来するアルコール類、有機溶剤類を含むことができる。このような複合系の分散液を滲出することによって、ろ過室内の分散液の分散質濃度を、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%まで濃縮する。本系で滲出する分散媒は、複雑な混合物をなしているが、多孔性セラミックフィルターを好適に用いることができる。従来の手法では水中の塩類の除去には中空糸膜が好適に用いられていたが、粒子分散系では閉塞のおそれがあった。粒子の除去・濃縮・固液分離といった領域には有機系高分子性限外ろ過膜が用いられることが多いが、有機溶剤が含有するとろ過膜が膨潤して使用できなくなるおそれがあった。有機溶剤を含有する試料の固液分離・濃縮には無機セラミックフィルターが有用である。
限外ろ過では、好ましくは平均細孔径5nm以上20nm未満、より好ましくは6nm以上18nm未満、最も好ましくは7nmの無機セラミック製の膜を備えたろ板を用いることが好ましい。ろ板は回転することができる円盤状であることが好ましい。多孔性無機セラミック膜は公知の方法によって製造することができる。多孔性無機セラミック膜の材質としては、スピネル系、アルミナ系、チタニア系、ジルコニア系等をそれぞれ例示することができる。例えば、スピネル系であれば公知の手法(Ueno,SらJournal of Physics:Conference Series 2009年、165巻、1号、Fabrication of porous magnesium spinel with cylindirical pores by undirectional solidification、又はZhang,Guo−changら、2000年、2000巻、03号、MgAl2O Ultrafiltration Ceramic Membrane Derived from Mg−Al Double Alkoxide等)で合成することができる。合成条件、スピネルの結晶成長を制御することによって細孔径を制御することが好ましい。ろ板はアルミナ製等の多孔性円盤状素焼き板の上にゾル−ゲル法によって、均一な細孔径を有する表面層をエピタキシャル成長によって形成せしめることが好ましい。アルミナ製等の多孔性円盤としては細孔径が0.05μm以上1μm以下のものを基材として用いることが好ましい。表面層は、好ましくは平均細孔径5nm以上20nm未満、より好ましくは6nm以上18nm未満、最も好ましくは7nmである。円盤状ろ板の大きさは、好ましくは直径100mm以上500mm未満、より好ましくは120mm以上300mm未満、更に好ましくは140mm以上200mmである。この直径が100mm未満であると、回転した際にせん断応力がかかりにくく、また面積も確保しづらいため好ましくないことがある。逆に、上記直径が500mm以上であると、回転に要するトルクが大きくなることがある。また、上記直径が大きすぎると割れやすくなることがあり扱いにくくなる場合もある。ろ板の厚さは、好ましくは1mm以上10mm未満であり、3mm以上5mm未満であることが更に好ましい。ろ板が1mm未満であると、機械的強度を確保できないことがある。ろ板が10mm以上であると、ろ過室の容積確保の点で好ましくない場合がある。このようなフィルターは公知の手法によって製造してもよく、また市販のものを用いることもできる。
溶媒置換工程で用いるフィルターの細孔径は、電子顕微鏡法によって求めることが好ましい。このような目的に利用できる電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡を挙げることができる。
溶媒置換工程では、好ましくは0.5MPa未満、より好ましくは0.4MPa未満、更に好ましくは0.3MPa未満、最も好ましくは0.2MPa未満0.03MPa以上の静圧力によって分散媒を滲出せしめる。0.5MPa以上の静圧力ではろ過装置のインターフェイス選定が限定される場合がある。0.03MPa未満であると、効率的に滲出しない場合がある。静圧力は表面が大気に接触した形の水頭管又は閉鎖系であって油圧及び圧縮空気圧によって達成されることが好ましい。特に、圧縮空気圧による方式は装置をコンパクトにすることができるため好ましい。圧縮空気は、公知の手法或いは市販のコンプレッサーを利用して容易に作り出すことができる。
溶媒置換工程では、分散液に好ましくは0.1Pa以上10Pa以下、より好ましくは0.5Pa以上5Pa以下、更に好ましくは1Pa以上5Pa以下の剪断応力を上記ろ板に与える。剪断応力は分散液の流動によって達成してもよく、また、円盤状ろ板の回転によって達成してもよい。特にろ板の回転によって剪断応力を与える場合は、ろ板の表面の剪断速度が大きくなるため好ましい。剪断応力はろ室内の壁間距離と回転速度から計算することができる。また、ろ室内には必要に応じて適切なバッフル(邪魔板)を設けることができる。バッフルはろ室内の壁間距離を小さくする目的で設置することが好ましい。回転及びバッフルによって剪断応力を高めることは公知の手段である。円周上に働く最大の剪断応力(τ)は、円盤状ろ板の直径を(φ[m])、ろ板の回転速度を(ω[rps])、ろ板とろ過室の壁間距離を(L[m])、円周率を(π)、分散液の粘度を(η[Pa・s])とした場合に、一例として数式(1)のように計算することができる。
τ=(η・π・φ・ω)/L [Pa] …… 数式(1)
例えば、直径φ=0.15[m]、ろ板の回転速度ω=16.7[rps](≒1,000[rpm])、円周率π=3.14、分散液の粘度η=0.001[Pa・s]、壁間距離L=0.003[m]とした場合のτ=(0.001×3.14×0.15×16.7)/0.003≒2.6[Pa]である。剪断応力は、上記好ましい範囲になるように、φ・ω・Lのそれぞれのパラメーターを変化させることで与えることができる。
溶媒置換工程で分散液に与える回転エネルギーについては、剪断応力によって規定することが好ましいが、流体の状態で規定することもできる。流体の状態は、レイノルズ数によって規定することもできる。撹拌レイノルズ数は、好ましくは3,000以上5,000,000以下、より好ましくは5,000以上1,000,000以下、更に好ましくは10,000以上500,000以下である。3,000より小さいと、層流撹拌となり効率的な分散が困難な場合があり、5,000,000より大きいと、撹拌に要するエネルギーが不必要に大きくなることによる産業効率上の観点から好ましくないことがある。なお、上記レイノルズ数(Re)は、数式(2)から求めることができる。数式(2)においてρは密度(kg/m3)、ωは回転数(rps)、φはろ板直径(m)、ηは粘度(Pa・s)をそれぞれ表す。
Re=ρ・ω・φ2/η …… 数式(2)
本発明で扱うコアシェル酸化チタン粒子分散液は、ρが900〜2,000(kg/m3)、好ましくは1,000〜1,500(kg/m3)、ηは0.001〜0.05(Pa・s)、好ましくは0.002〜0.01(Pa・s)である。例えば、0.15(m)の円盤状ろ板を16.7(rps)でρが1,000(kg/m3)、ηが0.001(Pa・s)の酸化チタン分散液を処理した場合のReは約3.8×105である。ωとφを適宜選択することによって上記所望のReの範囲となるように調節することができる。また、撹拌には、バッフルを設置した反応器を用いることによる撹拌効率の向上方法を実施してもよい。
溶媒置換工程については、好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜60℃、更に好ましくは15〜50℃、最も好ましくは20〜40℃で実施する。5℃よりも低いと、分散液が凍結する場合がある。80℃よりも高いと、分散媒が揮散することによる作業環境上の問題及び/又は反応性エステル類を用いた場合の反応エネルギーとなりゲル化する場合がある。分散液の粘度は一般に温度に依存する。粘度は回転トルクに影響を与えるため、電磁回転機及び/又は発動機に負荷がかかりすぎないように温度を調整することによって実施してもよい。溶媒置換工程では連続した限外ろ過によって、必要に応じて未反応化合物や副生成物を除去することも可能である。
ここで、溶剤置換工程で用いる有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、β−チアジグリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の単価及び多価アルコール類を挙げることができる。
これらの中でも特に、コアシェル酸化チタン粒子の分散性や分散媒留去の容易さの点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等が好適である。
溶剤置換工程で利用する有機溶剤の量は、ろ過室容量の好ましくは1〜20体積倍、より好ましくは2〜10体積倍、更に好ましくは3〜8体積倍である。1体積倍より少ないと、溶媒置換が十分でない場合がある。20体積倍より多いと、産業効率上好ましくない場合がある。
なお、上記式(2)において、コアシェル酸化チタン粒子表面にSiR13/2単位からなるシロキサン被覆層を持たない場合、工程(α−1)は実施せず、工程(α−2)のみを実施するが、この場合、コアシェル酸化チタン粒子が水に分散されたものを用いた場合は上述したように溶媒置換を行う。しかし、コアシェル酸化チタン粒子が粉状の場合はこれを上記有機溶媒に分散すればよく、また、予めコアシェル酸化チタン粒子が上記有機溶媒に分散されている場合は、工程(α−2)も省略し得る。
[(β)工程]
この工程は、(C)成分における、コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液を調製する工程である。コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルは、上記(α−1)及び(α−2)を経て調製されたものを用いてもよいし、市販されているものを用いてもよい。分散質濃度など該有機溶媒ゾルの好ましい態様については、上記に述べたとおりである。シラノール基含有シロキサンは、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2〜10個のシラノール基を有するオルガノ(ポリ)シロキサンである。シラノール基が2個未満であると、コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルと混合した際に、該粒子が凝集してしまったり、ゾルの透明性が低下したりするおそれがあるため好ましくない。なお、オルガノ(ポリ)シロキサンのケイ素原子に結合する水酸基以外の基は、炭素数1〜10、特に1〜6の1価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基、特にメチル基である。シラノール基含有シロキサンの重合度は、1〜20であることが必要であり、好ましくは1〜10である。重合度が20より大きいと、コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルと混合すると、コアシェル酸化チタン粒子が沈降してしまい、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化してしまう。コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとを混合する際には、それらの割合は、質量比で1/10〜5/1である。コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合割合は、特に制限はないが、質量比で1/10〜5/1であることが好ましく、より好ましくは1/5〜2/1である。有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの割合が1/10より小さい場合には、混合液中の酸化チタン粒子の分散が不十分になり、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化するおそれがある。上記混合割合が5/1より大きい場合には、コンパウンド中の酸化チタン粒子の分散が不十分になり、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化するおそれがある。コアシェル酸化チタン粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合物は、均一に分散していることが好ましく、特には沈降物が無いことが望ましい。
−(D)成分−
(D)成分は、ポリオルガノシルセスキオキサン微粉末であるシリコーンレジンパウダー、例えば特開平2−209927号公報記載のものが使用される。
シリコーンレジンパウダーは、レーザー回折法で測定される累積頻度50%の粒径(d50)が1〜50μm、好ましくは3〜40μmである。d50が1μm未満であると、難燃性効果が見られず、50μm以上では、透明性が悪化してしまう。
(D)成分のシリコーンレジンパウダーの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは20〜40質量部である。この配合量が少ないと、難燃性効果が不十分であり、上記配合量が多いと、経済的でないだけでなく、透明性が悪化する場合がある。
−(E)成分−
(E)成分のトリアゾール系化合物としては、例えば1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及びこれらの誘導体が挙げられる。具体的に、1,2,3−トリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシ−1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4−アルデヒド、4−シアノ−1,2,3−トリアゾールなどが挙げられる。1,2,4−トリアゾールの誘導体としては、5−アミノ−3−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどが挙げられる。これらのうち最も好適なものは、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールである。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(E)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.001〜0.1質量部であり、好ましくは0.005〜0.05質量部である。0.001質量部より少ないと、難燃性が改善されず、0.1質量部より多いと経済的でなく、また、硬化物が黄変する場合がある。
−(F)成分−
(F)成分の白金系化合物としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系化合物が挙げられる。
なお、この白金系化合物の配合量は、白金(質量換算)として、(A)〜(E)成分の合計質量に対し、0.5〜1,000ppmであり、特に1〜500ppm程度である。0.5ppmより少ないと難燃性が不十分であり、1,000ppm以上であると、経済的でなく、また、難燃性が低下する場合がある。
−(G)成分−
硬化剤としては、(A)成分を硬化させ得るものであれば特に限定されないが、下記の(G−1)付加反応硬化剤と(G−2)有機過酸化物硬化剤とが挙げられる。
(G−1)付加反応硬化剤
(G−1)付加反応硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒とを組み合せて用いる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは3〜200個、更に好ましくは4〜100個程度のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を含有すれば、直鎖状、環状、分枝状、三次元網状構造のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができ、例えば、下記平均組成式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
20 pqSiO(4-p-q)/2 (5)
上記平均組成式(5)中、R20は非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、同一であっても異なっていてもよく、脂肪族不飽和結合を除いたものであることが好ましい。通常、炭素数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換した基、例えば3,3,3−トリフロロプロピル基等が挙げられる。
なお、p,qは0<p<3、好ましくは0.5≦p≦2.2、より好ましくは1.0≦p≦2.0、0<q≦3、好ましくは0.002≦q≦1.1、より好ましくは0.005≦q≦1、0<p+q≦3、好ましくは1≦p+q≦3、より好ましくは1.002≦p+q≦2.7を満たす正数である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、SiH基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあっても、その両方にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、25℃における粘度が0.5〜10,000mPa・s、特に1〜300mPa・sであることが好ましい。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などや、上記例示化合物において、メチル基の一部又は全部を他のアルキル基や、フェニル基等に置換したものなどが挙げられる。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分100質量部に対し0.1〜40質量部が好ましい。また(A)成分の脂肪族不飽和結合(アルケニル基及びジエン基等)1個に対し、ケイ素原子に結合した水素原子(≡SiH基)の割合が0.5〜10個の範囲が適当であり、好ましくは0.7〜5個となるような範囲が適当である。0.5個未満だと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られない場合があり、また10個を超えると硬化後の物理特性が低下し、特に耐熱性が悪くなったり、圧縮永久歪が大きくなったりする場合がある。
ヒドロシリル化触媒は、(A)成分のアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(SiH基)とをヒドロシリル化付加反応させる触媒である。ヒドロシリル化触媒としては、白金族金属系触媒が挙げられ、白金族金属の単体とその化合物があり、これには従来、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の触媒として公知のものが使用できる。例えば、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体に吸着させた粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液等の白金触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられるが、白金又は白金化合物(白金触媒)が好ましい。
触媒の添加量は、付加反応を促進できればよく、通常、白金族金属量に換算して(A)成分のオルガノポリシロキサンに対して1質量ppm〜1質量%の範囲で使用されるが、10〜500質量ppmの範囲が好ましい。添加量が1質量ppm未満だと、付加反応が十分促進されず、硬化が不十分である場合があり、一方、1質量%を超えると、これより多く加えても、反応性に対する影響も少なく、不経済となる場合がある。
なお、(G−1)成分のヒドロシリル化触媒として用いる白金族金属系触媒は、上記(F)成分で用いる白金系化合物と同じであっても異なっていてもよいが、同じものを用いる場合は、それぞれ所望の配合量を設定し、全体として多すぎたり少なすぎたりしないよう留意する必要がある。
(G−2)有機過酸化物硬化剤
(G−2)有機過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.2〜5質量部が好ましい。配合量が少なすぎると硬化が不十分となる場合があり、多すぎると有機過酸化物の分解残渣によりシリコーンゴム硬化物が黄変する場合がある。なお、(A)成分に、(G−1)成分と(G−2)成分とを、それぞれ上記配合量の範囲内で組み合せて配合した、付加反応硬化と有機過酸化物硬化とを併用した共加硫型のシリコーンゴム組成物とすることもできる。
[その他の成分]
本発明のシリコーンゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において上記成分に加え、必要に応じて、粉砕石英、結晶性シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム等の充填材、着色剤、引き裂き強度向上剤、受酸剤、アルミナや窒化硼素等の熱伝導率向上剤、離型剤、充填材用分散剤として各種アルコキシシラン、特にフェニル基含有アルコキシシラン及びその加水分解物、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどの熱硬化型のシリコーンゴム組成物における公知の充填材や添加剤を添加することは任意である。
シリコーンゴム組成物及びその他任意成分は、上記各成分をニーダー、バンバリーミキサー、二本ロール等の公知の混練機で混合することにより得ることができるが、通常は(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分の補強性シリカと(C)成分のコアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合溶液を混合した後、(D)成分のシリコーンレジンパウダーと(E)成分のトリアゾール系化合物と(F)成分の白金系化合物と(G)成分の硬化剤を添加することが好ましい。
このようにして得られた本発明のシリコーンゴム組成物は、加熱硬化させることにより、光透過性と難燃性との両物性に優れたシリコーンゴムとなる。成形方法としては、目的とする成形品の形状や大きさにあわせて公知の成形方法を選択すればよい。例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、押出し成形、コーティング、スクリーン印刷などの方法が例示される。硬化条件としてもその成形方法における公知の条件でよく、一般的に60〜450℃、特に80〜400℃、更には120〜200℃の温度で数秒〜1日程度である。また、硬化物の圧縮永久歪性を低下させたり、シリコーンゴム中に残存している低分子シロキサン成分を低減したりする、或いは有機過酸化物の分解物を除去する等の目的で、150〜250℃、好ましくは200〜240℃のオーブン内等で1時間以上、好ましくは1〜70時間程度、更に好ましくは1〜10時間程度のポストキュア(二次加硫)を行ってもよい。
このようにして得られるシリコーンゴムは透明性が高く、JIS K 7361−1:1997に記載の方法で測定した2mm厚のシリコーンゴム(硬化物)の全光線透過率が75%以上(75〜100%)であることが好ましく、より好ましくは85%以上(85〜100%)である。また、このようにして得られるシリコーンゴムは、難燃性能に優れ、且つ透明性に優れるものである。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、シロキサンの重合度は、トルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度である。
[(C)成分の調製]
(C)成分である無機粒子−ポリシロキサン複合体(ポリシロキサングラフト化無機粒子)を下記調製例1〜11に示す。
[調製例1〜5:金属酸化物粒子の調製]
(調製例1A:コアシェル粒子の水分散液(1)の調製)
酸化チタン−酸化スズ複合酸化物を核とし、酸化ケイ素を殻とするコアシェル粒子を分散質とし、水を分散媒として用いて、金属酸化物の水分散液を調製した。具体的には、以下の手順で、まず、核となる酸化チタン−酸化スズ粒子を含有する複合酸化物分散液(i)を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル粒子を含有する水分散液(1)とした。
(複合酸化物分散液(i)の調製)
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名:TC−36)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)1.8gを添加し、よく混合した後、これをイオン交換水1,000gで希釈した。この金属塩水溶液混合物に5質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株)製)300gを徐々に添加して中和、加水分解することによりスズを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの水酸化チタンスラリーのpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、イオン交換水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のスズを含有する水酸化チタン沈殿物に30質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)100gを徐々に添加し、その後60℃で3時間撹拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、半透明のスズ含有ペルオキソチタン酸溶液(固形分濃度1質量%)を得た。容積500mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、製品名:TEM−D500)に、上記のように合成したペルオキソチタン酸溶液350mLを仕込み、これを200℃、1.5MPaの条件下、240分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、複合酸化物分散液(i)を得た。
(コアシェル粒子の水分散液(1)の調製)
磁気回転子と温度計を備えたセパラブルフラスコに、上記の複合酸化物分散液(i)1,000質量部、エタノール100質量部、アンモニア2.0質量部を室温(25℃)で加えて磁気撹拌した。このセパラブルフラスコを氷浴に浸漬し、内容物温度が5℃になるまで冷却した。ここに、テトラエトキシシラン18質量部(信越化学工業(株)製、商品名「KBE−04」)を加えた後に、セパラブルフラスコをμReactorEx(四国計測工業(株)製)内に設置して、周波数2.45GHz・出力1,000Wのマイクロ波を1分間にわたって照射しながら磁気撹拌した。その間、温度計を観測して内容物温度が85℃に達するのを確認した。得られた混合物を定性ろ紙(Advantec 2B)でろ過して希薄コロイド溶液を得た。この希薄分散液をダイナフィルター(三菱化工機(株)製、製品名「DyF152/S」、平均細孔径7nmのMgAl2O製ディスク[ANDRITZ KMPT GmbH製、品番2065181、型φ152/7nm])を用いた限外ろ過によって分散質濃度10質量%まで濃縮し、酸化チタン−酸化スズ複合酸化物を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル粒子の水分散液(1)を得た。コアシェル粒子の水分散液(1)の固形分濃度は15.9質量%、粒径は19.5nmであった。この時、粒径は動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積分布径(D50)の値であり、ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用いて測定した。
(調製例1B:表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(1)の合成)
ジムロート冷却管、窒素導入管、温度計、機械撹拌羽を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、金属酸化物粒子の水分散液として、コアシェル粒子の水分散液(1)(300g、固形分濃度15.9質量%)と、触媒としてスルホン酸系カチオン性イオン交換樹脂を3g入れた。ここに表面修飾剤としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」、230g)を入れて激しく撹拌(250rpm)した。撹拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。分散液の温度が50℃になるように2時間加熱撹拌した後、分散液にエタノール(750g)を撹拌(250rpm)しながら添加して希釈した。希釈分散液をダイナフィルター(三菱化工機(株)製、製品名「DyF152/S」、平均細孔径7nmのMgAl2O製ディスク[ANDRITZ KMPT GmbH製、品番2065181、型φ152/7nm])に導入した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液を800g分取した。濃縮された分散液に対して、継続して有機溶剤(エタノール)を加圧供給(0.2MPa)した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液が800gに達するまでエタノールの加圧供給を行った。ろ過室から分散液を取り出し、表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(1)を得た。表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(1)の固形分濃度は17質量%、粒径は19.2nmであった。この時、粒径は動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積分布径(D50)の値であり、ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用いて測定した。
(調製例2:表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(2)の合成)
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名:TC−36)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)1.8gを添加する代わりに、36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名:TC−36)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)1.8g、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所)0.09gを添加した以外は、調製例1と同様にして表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(2)を得た。表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(2)の固形分濃度は14.5質量%、粒径は19.2nmであった。
(調製例3:表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(3)の合成)
塩化スズ(IV)五水和物を添加しない以外は、調製例1と同様にして表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(3)を得た。表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(3)の固形分濃度は13質量%、粒径は17.2nmであった。
(調製例4:表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(4)の合成)
表面修飾剤としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」、230g)ではなく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−403」、230g)を使用した以外は、調製例1と同様にして表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(4)を得た。表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(4)の固形分濃度は16質量%、粒径は18.5nmであった。
(調製例5:表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(5)の合成)
表面修飾剤としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」、230g)ではなく、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−5103」、230g)を使用した以外は、調製例1と同様にして表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(5)を得た。表面修飾されたコアシェル粒子のエタノール分散液(5)の固形分濃度は15質量%、粒径は19.5nmであった。
(調製例6:コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液1の調製)
[β工程]
調製例1Aで調製したコアシェル粒子の水分散液(1)4.3gと、ジメチルジメトキシシラン23.7g、pH3.5の塩酸水7.9gを混合し、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの「混合液1」を調製した。
(調製例7:コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液2の調製)
[β工程]
調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)10gと、両末端シラノール基を有し、平均重合度が3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン4gを混合し、コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの「混合液2」を調製した。
(調製例8:コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液3の調製)
[β工程]
調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)ではなく、調製例2で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(2)4.7gにした以外は、調製例7と同様にして、コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの「混合液3」を調製した。
(調製例9:コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液4の調製)
[β工程]
調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)ではなく、調製例3で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(3)5.2gにした以外は、調製例7と同様にして、コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(4)を調製した。
(調製例10:コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液5の調製)
[β工程]
調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)ではなく、調製例4で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(4)4.2gにした以外は、調製例7と同様にして、コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(5)を調製した。
(調製例11:コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液6の調製)
[β工程]
調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)ではなく、調製例5で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(5)4.5gにした以外は、調製例7と同様にして、コアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(6)を調製した。
[実施例1]
(A)成分として、ジメチルシロキサン単位99.850モル%、メチルビニルシロキサン単位0.125モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム(但し、表中では「オルガノポリシロキサン生ゴムI」と表記する)50質量部、ジメチルシロキサン単位99.500モル%、メチルビニルシロキサン単位0.475モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム(但し、表中では「オルガノポリシロキサン生ゴムII」と表記する)50質量部、(B)成分として、BET法比表面積が230m2/gの表面疎水化処理されたヒュームドシリカ(レオロシールDM30S、(株)トクヤマ製)50質量部に、(C)成分として、調製例6で調製したコアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(1)を35.8質量部添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理して組成物(ベースコンパウンド1)を調製した。
この組成物(ベースコンパウンド1)100質量部に対し、(E)成分として、ベンゾトリアゾール0.025質量部、(D)成分として、平均粒径2.0μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダー(KMP−590、信越化学工業(株)製)20質量部、(F)成分として、塩化白金酸6水塩の2−エチルヘキサノール溶液(白金濃度2質量%)0.1質量部、(G−1)成分として、C25A(白金族金属系ヒドロシリル化触媒、白金原子として0.09質量%含有、信越化学工業(株)製)0.5質量部及びC25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン40質量%含有、信越化学工業(株)製、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)2.4質量部を添加し、該組成物を120℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアを行い、2mm厚と1mm厚のシートを作成した。次いで200℃のオーブンで4時間ポストキュアを実施した。これらのシリコーンゴムシートを室温(25℃)に戻し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例2]
(C)成分として、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(1)ではなく、調製例7で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(2)を14質量部にした以外は、実施例1と同様にして、ベースコンパウンド(2)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例3]
(C)成分として、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(1)ではなく、調製例8で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(3)を14.7質量部にした以外は、実施例1と同様にして、ベースコンパウンド(3)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例4]
(C)成分として、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(1)ではなく、調製例9で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(4)を15.2質量部にした以外は、実施例1と同様にして、ベースコンパウンド(4)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例5]
(B)成分として、BET法比表面積が230m2/gの表面疎水化処理されたヒュームドシリカ(レオロシールDM30S、(株)トクヤマ製)ではなく、BET法比表面積が240m2/gの表面疎水化処理されたヒュームドシリカ(アエロジルR976S、日本アエロジル(株)製)にし、(C)成分として、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(1)ではなく、調製例10で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(5)を14.2質量部にした以外は、実施例1と同様にしてベースコンパウンド(5)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例6]
(C)成分として、コアシェル粒子の水分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(4)ではなく、調製例11で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液とシラノール基含有シロキサンとの混合液(6)を14.5質量部にした以外は、実施例5と同様にして、ベースコンパウンド(6)を調製した。
この組成物(ベースコンパウンド6)100質量部に対し、(E)成分として、ベンゾトリアゾール0.025質量部、(D)成分として、平均粒径2.0μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダー(KMP−590、信越化学工業(株)製)30質量部、(F)成分として、塩化白金酸のジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(白金原子として、1質量%含有)0.1質量部、(G−1)成分としてC25A(白金族金属系ヒドロシリル化触媒、白金原子として0.09質量%含有)0.5質量部及びC25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン40質量%含有、信越化学工業(株)製、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)2.4質量部を添加し、該組成物を120℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアを行い、2mm厚と1mm厚のシートを作成した。次いで200℃のオーブンで4時間ポストキュアを実施した。これらのシリコーンゴムシートを室温(25℃)に戻し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例7]
ベースコンパウンド(2)100質量部に対し、(E)成分として、ベンゾトリアゾール0.025質量部、(D)成分として、平均粒径2.0μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダー(KMP−590、信越化学工業(株)製)20質量部、(F)成分として、塩化白金酸のジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(白金原子として、1質量%含有)0.1質量部及び(G−2)成分として、ジクミルパーオキサイド0.3質量部を添加し、該組成物を170℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアを行い、2mm厚と1mm厚のシートを作成した。次いで200℃のオーブンで4時間ポストキュアを実施した。これらのシリコーンゴムシートを室温(25℃)に戻し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[実施例8]
(D)成分として、平均粒径2.0μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダー(KMP−590、信越化学工業(株)製)ではなく、平均粒径0.7μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダー(X−52−854、信越化学工業(株)製)にした以外は、実施例2と同様にして、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例1]
(C)成分として、調製例7で調製した混合液(2)ではなく、平均重合度が3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサンを10質量部添加した以外は、実施例2と同様にして、ベースコンパウンド(7)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例2]
(C)成分として、調製例7で調製した混合液(2)ではなく、調製例1Bで調製したコアシェル粒子のエタノール分散液(1)4質量部と、両末端シラノール基を有し、平均重合度が3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン10質量部にした以外は、実施例1と同様にして、ベースコンパウンド(8)を調製し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例3]
(D)成分として、平均粒径2.0μmの三次元網目状に架橋した構造を持つシリコーンレジンパウダーを添加しない以外は、実施例2と同様にして、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例4]
(E)成分として、ベンゾトリアゾールを添加しない以外は、実施例2と同様にして、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例5]
(F)成分として塩化白金酸のジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液を添加しない以外は、実施例7と同様にして、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[比較例6]
比較例1で調製したベースコンパウンド(7)100質量部に、(C)成分の代わりに酸化チタン(AEROXIDE TiO2 P25、日本アエロジル(株)製)5質量部、(E)成分として、ベンゾトリアゾール0.025質量部、(F)成分として、塩化白金酸6水塩の2−エチルヘキサノール溶液(白金濃度2質量%)0.1質量部、(G−1)成分としてC25A(白金族金属系ヒドロシリル化触媒、白金原子として0.09質量%含有、信越化学工業(株)製)0.5質量部及びC25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン40質量%含有、信越化学工業(株)製、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)2.4質量部を添加し、該組成物を120℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアを行い、2mm厚と1mm厚のシートを作成した。次いで200℃のオーブンで4時間ポストキュアを実施した。これらのシリコーンゴムシートを室温(25℃)に戻し、各種物性、光透過率及び難燃性を測定した。
[各種物性の測定]
JIS K 6249:2003に準拠して作製した試験用シートを用いて、JIS K 6249:2003に準じた方法で、各種物性〔硬さ(デュロメーターA)、引張強さ、切断時伸び〕を測定した。その結果を下記の表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示す。
[光透過率の測定]
ヘーズメーター(スガ試験機(株)製、型式:HGM−2)を用いて、JIS K 7361−1:1997に記載の方法により、200℃、4時間ポストキュア後の2mm厚シリコーンゴムシートの光透過率を測定した。その結果を下記の表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示す。
[難燃性の測定]
難燃性測定は、UL94の20mm垂直燃焼試験に規定する方法に従って、5枚の1mm厚のシリコーンゴムシートを用い、残炎時期間T1及びT2、及び、全ての処理による各組の残炎時間の合計(5枚のシリコーンゴムシートのT1+T2の合計)を測定し、また結果に基づき、材料の難燃性区分を行った。T1とは第1回接炎後の残炎時間、T2とは第2回接炎後の残炎時間を表す。
Figure 2019143047
Figure 2019143047

Claims (8)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    nSiO(4-n)/2 (1)
    (式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
    で表され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
    100質量部、
    (B)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 5〜100質量部、
    (C)酸化チタンを含む金属微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有し、動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積分布径が1〜200nmである無機粒子であって、該無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液 0.01〜50質量部、
    (D)シリコーンレジンパウダー 1〜50質量部、
    (E)トリアゾール系化合物 0.001〜0.1質量部、
    (F)白金系化合物 (A)〜(E)成分の合計質量に対し、0.5〜1,000ppm、及び
    (G)硬化剤 (A)成分を硬化させる有効量
    を含有することを特徴とするシリコーンゴム組成物。
  2. 上記(C)成分のコアシェル構造を有する無機粒子の表面が、下記一般式(2)
    19Si(Y)3 (2)
    (式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
    で示される有機ケイ素化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物により表面修飾してなる請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
  3. 上記(C)成分の混合溶液において、コアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜30質量%である請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
  4. 上記(C)成分の有機溶媒ゾル中におけるコアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
  5. 上記(E)成分のトリアゾール系化合物がベンゾトリアゾールである請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
  6. 上記(G)成分の硬化剤が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合せからなる付加反応硬化型である請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
  7. 上記(G)成分の硬化剤が有機過酸化物である請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム。
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