JP2019142842A - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
カルボニル化合物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019142842A JP2019142842A JP2019007156A JP2019007156A JP2019142842A JP 2019142842 A JP2019142842 A JP 2019142842A JP 2019007156 A JP2019007156 A JP 2019007156A JP 2019007156 A JP2019007156 A JP 2019007156A JP 2019142842 A JP2019142842 A JP 2019142842A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gold
- copper
- reaction
- catalyst
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 OCC(*1)=CC=C1C=O Chemical compound OCC(*1)=CC=C1C=O 0.000 description 2
Landscapes
- Furan Compounds (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
【課題】ヒドロキシメチル基を有する化合物を効率的に酸化反応させて、対応するカルボニル化合物を高収率で得る方法を提供する。【解決手段】金、銀、および銅を含む三元系触媒の存在下で、下記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有するヒドロキシ化合物を酸化反応させて、下記式(1B)で表されるカルボニル化合物を製造するカルボニル化合物の製造方法。(式(1A)、式(1B)中、Aは置換基を有していても良く、またヘテロ原子を有していても良い炭化水素基を表し、RはHもしくはOHを表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、ヒドロキシメチル基を有する化合物を酸化反応させてカルボニル化合物を製造する方法に関する。
カルボン酸は、石油由来原料だけでなく、糖類からも合成可能である。ジカルボン酸のうち、テレフタル酸はPETなどプラスチックの原料物質として有用である。また、その誘導体は医薬品や農薬としても有用である。特にポリエステルの製造原料モノマーとしてジカルボン酸は有用であり、テレフタル酸に加えて、2,5−フランジカルボン酸(FDCA)はバイオ由来の芳香族ジカルボン酸として使用されている。FDCAは、5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の酸化により製造でき、原料のHMFは糖類から合成可能であることから、自然界で広く入手し得る化合物でもある。
有機合成において、酸化反応触媒としては、貴金属が広く用いられており、中には酸化鉛や重クロム酸塩のように有害性が高いものもある。一方で、代表的な貴金属である金について、近年、その触媒活性が注目されており、特に空気中の酸素を用いる酸化反応に、金触媒を用いる研究が広く行われている。その中でも、高い酸化効率を達成するために、金と他の金属とを組み合わせた触媒を用いた例が報告されている。
特許文献1には、重金属クロム触媒による酸化物製造法が記載されており、特許文献2〜3では金カルボニル触媒や金パラジウム触媒による酸化物製造法が記載されている。また、非特許文献1には、金と銅の混合触媒による酸化物製造法が記載されている。
Catalysis.Today.2012,195,120−126
工業的な化合物製造法の実用化のためには、環境負荷の低減、生成物収率の向上や触媒リサイクルによる低コスト化が求められる。しかしながら、従来酸化触媒として用いられてきた酸化鉛や重クロム酸塩は、有害性が高く、環境負荷の面で好ましくない。また、従来の酸化触媒は、必ずしも生成物の収率において十分に満足し得るものではなかった。
このように、特許文献1〜3及び非特許文献1に記載される従来法では、触媒の毒性が高いという課題、或いは酸化反応生成物の収率が低いという課題があった。
このように、特許文献1〜3及び非特許文献1に記載される従来法では、触媒の毒性が高いという課題、或いは酸化反応生成物の収率が低いという課題があった。
本発明は上記従来技術の課題を解決するものであって、ヒドロキシメチル基を有する化合物を効率的に酸化反応させて、対応するカルボニル化合物を高収率で得る方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、金−銀−銅複合系の金属触媒、または金と銅を特定の原子比で複合した金属触媒を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 金、銀、および銅を含む三元系触媒の存在下で、下記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有するヒドロキシ化合物を酸化反応させて、下記式(1B)で表されるカルボニル化合物を製造するカルボニル化合物の製造方法。
(式(1A)、式(1B)中、Aは置換基を有していても良く、またヘテロ原子を有していても良い炭化水素基を表し、RはHもしくはOHを表す。)
[2] 金および銅を含む二元系触媒の存在下で、下記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有するヒドロキシ化合物を酸化反応させて、下記式(1B)で表されるカルボニル化合物を製造するカルボニル化合物の製造方法であって、前記二元系触媒における金と銅の原子比が金:銅=1:7〜30であるカルボニル化合物の製造方法。
(式(1A)、式(1B)中、Aは置換基を有していても良く、またヘテロ原子を有していても良い炭化水素基を表し、RはHもしくはOHを表す。)
[3] 前記式(1A)で表されるヒドロキシ化合物が下記式(2A)で表されるヒドロキシ化合物であり、前記式(1B)で表されるカルボニル化合物が下記式(2B)で表されるカルボニル化合物であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のカルボニル化合物の製造方法。
(式(2A)、式(2B)中、Arは置換基を有していても良い単環もしくは縮合多環の芳香環基もしくは複素芳香環基を表し、RはHもしくはOHを表す。)
[4] 前記三元系触媒における金と銀の原子比が金:銀=1:0.1〜30であり、金と銅の原子比が、金:銅=1:0.1〜30であることを特徴とする、[1]又は[3]に記載のカルボニル化合物の製造方法。
[5] 前記酸化反応を、反応液中にて酸素の存在下に行うことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
[6] 前記反応液中に塩基が存在することを特徴とする、[5]に記載のカルボニル化合物の製造方法。
[7] 前記式(1A)で表されるヒドロキシ化合物が5−ヒドロキシメチルフルフラールであることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のカルボニル化合物の製造方法。
本発明によれば、ヒドロキシメチル基の酸化でカルボン酸およびその誘導体への高効率な変換を行うことができ、各種の医薬品や農薬、ポリマーの製造原料モノマーとして有用なカルボニル化合物を工業的に有利に製造することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、金、銀、および銅を含む三元系触媒、または金および銅を特定の原子比で含む二元系触媒の存在下で、下記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有するヒドロキシ化合物(以下、「化合物(1A)」と称す場合がある。)を酸化反応させて、下記式(1B)で表されるカルボニル化合物(以下、「化合物(1B)」と称す場合がある。)を製造することを特徴とする。以下、本発明で用いる三元系触媒および二元系触媒をまとめて「触媒」と称する。
(式(1A)、式(1B)中、Aは置換基を有していても良く、またヘテロ原子を有していても良い炭化水素基を表し、RはHもしくはOHを表す。)
<ヒドロキシ化合物>
本発明で酸化反応に供するヒドロキシ化合物(化合物(1A))は、上記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有する化合物であり、化合物(1A)は、ヒドロキシメチル基を少なくとも一つ有するものであればよく、ヒドロキシメチル基を2以上有するものであってもよい。化合物(1A)がヒドロキシメチル基を2以上有する場合、1つのヒドロキシメチル基のみが−C(=O)−Rに酸化された化合物(1B)と2以上のヒドロキシメチル基が−C(=O)−Rに酸化された化合物(1B)とが生成する場合がある。
本発明で酸化反応に供するヒドロキシ化合物(化合物(1A))は、上記式(1A)で表されるヒドロキシメチル基を有する化合物であり、化合物(1A)は、ヒドロキシメチル基を少なくとも一つ有するものであればよく、ヒドロキシメチル基を2以上有するものであってもよい。化合物(1A)がヒドロキシメチル基を2以上有する場合、1つのヒドロキシメチル基のみが−C(=O)−Rに酸化された化合物(1B)と2以上のヒドロキシメチル基が−C(=O)−Rに酸化された化合物(1B)とが生成する場合がある。
上記式(1A)において、Aは、置換基を有していても良く、またヘテロ原子を有していても良い炭化水素基を表し、その炭化水素基や、この炭化水素基が有する置換基、炭化水素基のうちの炭素原子の一部がヘテロ原子とされている場合のヘテロ原子の種類等は特に制限はない。化合物(1A)は、特に本発明で用いる触媒による反応効率の向上効果が高く、また、酸化反応により得られる化合物(1B)の工業的有用性が高いことから、下記式(2A)で表されるヒドロキシ化合物(以下、「化合物(2A)」と称す場合がある。)であることが好ましく、本発明のカルボニル化合物の製造方法は、特に、化合物(2A)の酸化反応で、化合物(1B)として下記式(2B)で表される化合物(以下、「化合物(2B)」と称す場合がある。)を製造する場合に効果的である。
(式(2A)、式(2B)中、Arは置換基を有していても良い単環もしくは縮合多環基の芳香環基もしくは複素芳香環基を表し、RはHもしくはOHを表す。)
上記式(2A),式(2B)において、Arは置換基を有していても良い単環もしくは縮合多環基の芳香環基(芳香族炭化水素基)もしくは複素芳香環基(芳香族複素環基)を表し、Arが縮合多環基である場合、その縮合多環を構成する環は、芳香環のみであってもよく、複素芳香環のみであってもよく、芳香環と複素芳香環とを含むものであってもよい。また、縮合多環を構成する環の数は2以上であり、好ましくは2〜4程度である。また、Arは、置換基としてこれらの環状基を有することによって、芳香環基及び/又は複素環芳香環基が2以上連結した基であってもよい。
Arが芳香環基の場合、Arの芳香環基としては炭素数6〜16のものが好ましく、具体例としてはフェニル基等の単環基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオレニル基等の縮合多環式芳香環基、ビフェニル基等の芳香環連結基等が挙げられる。
複素芳香環基としては、好ましくは、炭素数5〜20で、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子の1種又は2種以上を含むものが挙げられ、具体例としてはフラニル基、ピリジル基、チエニル基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基、フェニルカルバゾイル基等が挙げられる。
これらの芳香環基、複素芳香環基が置換基を有する場合、その置換基としては、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアルキニル基、炭素数3〜24のアルカジエニル基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いシリル基などが挙げられ、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いシリル基が置換基を有する場合、その置換基としては、上述の置換基が挙げられる。また、Arは置換基としてヒドロキシメチル基を有するものであってもよい。
特に本発明で用いる触媒による反応効率の向上効果が高く、目的物を高収率、高選択率で得ることができ、また、酸化反応により得られる化合物(1B)の工業的有用性も高いことから、化合物(1A)は、Aがヒドロキシメチル基またはホルミル基を有するフェニル基、もしくはヒドロキシメチル基またはホルミル基を有するフラニル基である化合物であることが好ましく、5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)であることがより好ましい。本発明は5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を製造する方法において、特に有効である。
なお、2,5−フランジカルボン酸等の化合物(1B)の製造原料として用いる5−ヒドロキシメチルフルフラール等の化合物(1A)の純度は、通常50〜100%、好ましくは80〜99.9%、より好ましくは90〜99.9%、更に好ましくは95〜99.99%である。5−ヒドロキシメチルフルフラール等の化合物(1A)の純度が上記下限以上であることにより、目的物の収率が高く不純物の混入が抑制され、その後のポリマー化の際に分子量が高く、着色の少ないポリマーが得られる。また、純度が99.9%以下であることにより低コストで精製でき、また貯蔵のハンドリングや貯蔵コストの面で有利である。
<触媒>
本発明では、上記の化合物(1A)の酸化反応に触媒として、金、銀、および銅を含む三元系触媒、または金および銅を特定の原子比で含む二元系触媒を用いる。触媒として用いる金、銀、銅は、各々の金属単体であってもよく、これら3種の金属のうちの2種以上を含む合金であってもよく、金属化合物であってもよく、これら3種の金属の2種以上を含む複合金属化合物であってもよい。金属化合物としては、金、銀、銅の酸化物、アルコキシ化合物、アルキル化合物、有機酸塩等が挙げられる。具体的には、金化合物としては、酸化金、シアン化金、フッ化金、塩化金、臭化金、ヨウ化金、亜硫酸金ナトリウム、硫酸金、硝酸金、酢酸金等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、銀化合物としては、酸化銀、シアン化銀、硫酸銀、硝酸銀、酢酸銀、シアン化銀カリウム、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、銅化合物としては、酸化銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。触媒の回収、再利用の観点から、好ましくは金属単体又は金属酸化物を用いるのが有利である。
本発明では、上記の化合物(1A)の酸化反応に触媒として、金、銀、および銅を含む三元系触媒、または金および銅を特定の原子比で含む二元系触媒を用いる。触媒として用いる金、銀、銅は、各々の金属単体であってもよく、これら3種の金属のうちの2種以上を含む合金であってもよく、金属化合物であってもよく、これら3種の金属の2種以上を含む複合金属化合物であってもよい。金属化合物としては、金、銀、銅の酸化物、アルコキシ化合物、アルキル化合物、有機酸塩等が挙げられる。具体的には、金化合物としては、酸化金、シアン化金、フッ化金、塩化金、臭化金、ヨウ化金、亜硫酸金ナトリウム、硫酸金、硝酸金、酢酸金等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、銀化合物としては、酸化銀、シアン化銀、硫酸銀、硝酸銀、酢酸銀、シアン化銀カリウム、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、銅化合物としては、酸化銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。触媒の回収、再利用の観点から、好ましくは金属単体又は金属酸化物を用いるのが有利である。
本発明で用いる触媒は、金、銀および銅或いは金および銅の触媒活性成分を各種担体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、珪藻土、層状ケイ酸塩等の天然鉱物等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この中でも活性炭、シリカが触媒の調製しやすさ及び活性の点で好ましい。
金、銀および銅或いは金および銅の触媒活性成分を担体に担持して用いる場合、担持する金属は、これらの触媒活性成分のうち一種の単独でもよく、2種以上でもよい。担体に対する触媒活性成分の金属換算の担持量は0.1〜20質量%となるように担持することが好ましい。
金、銀および銅或いは金および銅の触媒活性成分を担体に担持して用いる場合、担持する金属は、これらの触媒活性成分のうち一種の単独でもよく、2種以上でもよい。担体に対する触媒活性成分の金属換算の担持量は0.1〜20質量%となるように担持することが好ましい。
本発明で用いる金、銀および銅を含む三元系触媒に含まれる各金属の原子比は、触媒活性、生成物の収率の観点から、好ましくは金:銀:銅=1:(0.1〜30):(0.1〜30)、より好ましくは1:(4〜17):(4〜17)、さらに好ましくは1:(4〜12):(4〜12)、特に好ましくは1:(4〜9):(4〜9)である。
また、本発明で用いる金および銅を含む二元系触媒に含まれる各金属の原子比は、金:銅=1:(7〜30)である。各金属の原子比は、触媒活性、生成物の収率の観点から、好ましくは金:銅=1:(8〜20)、より好ましくは1:(10〜20)、さらに好ましくは1:(15〜20)である。
また、触媒の金属換算の使用量は、三元系触媒の場合は金、銀および銅の合計量として、二元系触媒の場合は金および銅の合計量として、原料である化合物(1A)に対するmol比で0.01〜2.0、特に0.8〜1.2であることが好ましい。触媒使用量が0.01以上であることにより、反応に要する時間が短く効率的に反応を行うことができる。また触媒使用量が2.0以下であることにより、触媒にかかるコストが低く経済的に有利である上に、後処理の負荷が小さく、さらには生成物の着色が低減される。
また触媒は、使用済みのものを繰り返し用いて反応を実施することができる。触媒を繰り返し用いる回数に特段の制限はなく、使用済み触媒を用いて、2回以上繰り返し反応を実施することは、反応1回当たりの触媒コストが低くなるという観点から、経済的に有利である。繰り返し用いる触媒は、触媒の回収と再利用のしやすさという観点から、金属酸化物や金属担持体が好ましい。
<反応溶媒>
本発明に係る酸化反応は、原料である化合物(1A)を反応溶媒に溶解させた反応液中で行うことが、反応速度の面で好ましい。反応に用いる溶媒としては、化合物(1A)を溶解させることができるものであればよい。特に制限はないが、具体的には、水、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、乳酸、オレイン酸、リノール酸が挙げられ、水が最も好ましい。これらの溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る酸化反応は、原料である化合物(1A)を反応溶媒に溶解させた反応液中で行うことが、反応速度の面で好ましい。反応に用いる溶媒としては、化合物(1A)を溶解させることができるものであればよい。特に制限はないが、具体的には、水、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、乳酸、オレイン酸、リノール酸が挙げられ、水が最も好ましい。これらの溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
反応溶媒は、反応液中の化合物(1A)の濃度が1〜40質量%、特に5〜20質量%となるように用いることが好ましい。反応溶媒の使用量が、反応液中の化合物(1A)の濃度として1質量%以上であることにより、過大な反応容器を用いる必要がなく、高い生産効率で反応を行うことができる。また反応溶媒の使用量が、反応液中の化合物(1A)の濃度として40質量%以下であることにより、反応速度が高く短時間で反応を行うことができる。
<塩基>
上記反応液には塩基を存在させることが、化合物(1A)の溶解性の面で好ましい。この場合、用いる塩基として、アルカリ性の無機塩基が好ましく、無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、入手のしやすさから水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムが好ましく、価格の点で水酸化ナトリウムがより好ましい。また、収率の観点から、pHは12から14が好ましく、副生物抑制の点で12から13が更に好ましい。
これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記反応液には塩基を存在させることが、化合物(1A)の溶解性の面で好ましい。この場合、用いる塩基として、アルカリ性の無機塩基が好ましく、無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、入手のしやすさから水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムが好ましく、価格の点で水酸化ナトリウムがより好ましい。また、収率の観点から、pHは12から14が好ましく、副生物抑制の点で12から13が更に好ましい。
これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの塩基は、原料である化合物(1A)に対して、100〜400mol%の割合で用いることが好ましい。塩基の使用量が100mol%以上であることにより、化合物(1A)を溶解させるための水量が少なく、過大な反応液量とならないため、単位反応液あたりの収量が高く、効率良く製造できる。また塩基の使用量が400mol%以下であることにより、反応後処理の中和作業において中和剤量と作業時間が低減するため、製造コストの面で有利である。
<酸素>
本発明における酸化反応は酸素の存在下で行うことが好ましい。この場合、酸素源は酸素含有有機化合物、無機酸化物、酸素含有気体など特に限定されないが、空気或いは酸素含有量の多いガスが好ましく用いられる。特に酸素含有ガスを用いる場合の酸素濃度は20体積%以上が好ましく、50体積%以上がより好ましく、更に純酸素(99%以上)を用いることが最も好ましい。爆発の危険性を低下させ、反応安全性の点では、約21体積%の酸素を含む空気(大気とほぼ同一組成)を用いるのが好ましい。酸素は、反応液を入れた反応容器の気相に導入しても、反応液に吹き込んでも良いが、反応液に吹き込む方が反応効率の面で好ましい。
本発明における酸化反応は酸素の存在下で行うことが好ましい。この場合、酸素源は酸素含有有機化合物、無機酸化物、酸素含有気体など特に限定されないが、空気或いは酸素含有量の多いガスが好ましく用いられる。特に酸素含有ガスを用いる場合の酸素濃度は20体積%以上が好ましく、50体積%以上がより好ましく、更に純酸素(99%以上)を用いることが最も好ましい。爆発の危険性を低下させ、反応安全性の点では、約21体積%の酸素を含む空気(大気とほぼ同一組成)を用いるのが好ましい。酸素は、反応液を入れた反応容器の気相に導入しても、反応液に吹き込んでも良いが、反応液に吹き込む方が反応効率の面で好ましい。
酸素含有ガスを反応容器の気相に供給する場合、その酸素ガス圧は0.01MPa以上、例えば0.1〜1.0MPaの加圧条件とすることが好ましい。
<反応器>
本発明に係る酸化反応の反応器は、ガラス製、ステンレス(SUS)製、鉄製、その他金属製など、反応器の素材に特に限定されないが、腐食耐性を有し、エネルギー伝達効率が高いガラス製あるいはステンレス(SUS)製のものが好ましく用いられる。また、工業的な製造装置コストという観点からステンレス(SUS)製のものを用いるのが好ましい。反応器の金属成分によって触媒反応に影響が出ないという観点からガラス製のものを用いるのが好ましい。
本発明に係る酸化反応の反応器は、ガラス製、ステンレス(SUS)製、鉄製、その他金属製など、反応器の素材に特に限定されないが、腐食耐性を有し、エネルギー伝達効率が高いガラス製あるいはステンレス(SUS)製のものが好ましく用いられる。また、工業的な製造装置コストという観点からステンレス(SUS)製のものを用いるのが好ましい。反応器の金属成分によって触媒反応に影響が出ないという観点からガラス製のものを用いるのが好ましい。
<反応温度・反応時間>
本発明に係る酸化反応の反応温度は、10℃以上100℃以下が好ましいが、反応温度の下限は30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。反応温度の上限は90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。反応温度が10℃以上であることにより、短い反応時間で目的物を製造できる。また反応温度が100℃以下であることにより、副生物量を低減して収率を向上させ、更に生成物の着色を低減することができる。
本発明に係る酸化反応の反応温度は、10℃以上100℃以下が好ましいが、反応温度の下限は30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。反応温度の上限は90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。反応温度が10℃以上であることにより、短い反応時間で目的物を製造できる。また反応温度が100℃以下であることにより、副生物量を低減して収率を向上させ、更に生成物の着色を低減することができる。
反応時間は、触媒の使用量や反応温度、酸素の供給条件等によっても異なり特に制限されるものではないが、通常10分〜40時間、好ましくは30分〜35時間、より好ましくは4時間〜18時間である。反応時間が10分以上であることにより、十分な収率を得ることができる。また反応時間が40時間以下であることにより、製造コストの面で有利である。
なお、反応液は、原料と触媒及び酸素との接触効率を上げるために、酸素をバブリングする、もしくは攪拌することが好ましい。攪拌はマグネチックスターラー、メカニカルスターラー、攪拌翼を供えた攪拌モーター等、通常の反応に用いられる攪拌装置であれば用いることが可能である。スケールが大きくなった場合には動力の点で攪拌翼を備えた攪拌モーターが使用される。攪拌は反応を行う前から開始し、反応中は連続的に攪拌を行い、反応終了後の反応液を冷却している間も攪拌を行うことが好ましい。
<生成物の回収>
本発明による酸化反応で得られる生成物である化合物(1B)を反応液から回収するには、まず、所定時間の反応終了後、反応液温を20〜30℃程度に下げた後、触媒を濾過等により分離除去する。触媒を分離除去した後の均一な反応液中には未反応の化合物(1A)が不純物として少量含まれ、大部分は生成した化合物(1B)がアルカリ塩として溶媒(水)に溶解している。この均一溶液をアルカリ性から中性または酸性にすることにより、生成した化合物(1B)のアルカリ塩がカルボン酸となり、水溶液から析出させることができるので、析出した固体を濾過することにより比較的高純度の化合物(1B)を得ることができる。反応終了後の反応液をアルカリ性から中性または酸性にするためには、通常酸性物質を反応液に添加する。酸性物質としては除去しやすさから無機酸を用いることが好ましい。無機酸としては硫酸、硝酸、塩酸等が用いられ、その中でも無機酸の除去しやすさと安価であることから塩酸が好ましく用いられ、腐食防止の観点からは硫酸が好ましく用いられる。
本発明による酸化反応で得られる生成物である化合物(1B)を反応液から回収するには、まず、所定時間の反応終了後、反応液温を20〜30℃程度に下げた後、触媒を濾過等により分離除去する。触媒を分離除去した後の均一な反応液中には未反応の化合物(1A)が不純物として少量含まれ、大部分は生成した化合物(1B)がアルカリ塩として溶媒(水)に溶解している。この均一溶液をアルカリ性から中性または酸性にすることにより、生成した化合物(1B)のアルカリ塩がカルボン酸となり、水溶液から析出させることができるので、析出した固体を濾過することにより比較的高純度の化合物(1B)を得ることができる。反応終了後の反応液をアルカリ性から中性または酸性にするためには、通常酸性物質を反応液に添加する。酸性物質としては除去しやすさから無機酸を用いることが好ましい。無機酸としては硫酸、硝酸、塩酸等が用いられ、その中でも無機酸の除去しやすさと安価であることから塩酸が好ましく用いられ、腐食防止の観点からは硫酸が好ましく用いられる。
酸性物質により反応液を酸性にした場合に析出した生成物を反応液から分離後、生成物に残存している溶媒が酸性であると生成物が不安定になったり、着色やその後の誘導体化反応や、ポリマー化反応に悪影響を及ぼす可能性があり好ましくない。そのため生成物を反応液から分離後、付着水が酸性である場合には、付着水を純水等で十分に置換し付着水のpHが通常4以上7以下、好ましくは5以上7以下、より好ましくは6以上7以下、最も好ましくは7となるように水洗する。
<生成物の用途>
本発明のカルボニル化合物の製造方法で得られる化合物(1B)、例えば2,5−フランジカルボン酸(FDCA)、或いは、これを更にアルキルエステル化反応するなどして得られる化合物(1B)の誘導体は、ポリエステル、ポリアミド等のポリマー原料や、各種工業薬品原料、各種化成品原料、食品原料、香料原料、化粧品原料、医薬品原料等に利用される。
本発明のカルボニル化合物の製造方法で得られる化合物(1B)、例えば2,5−フランジカルボン酸(FDCA)、或いは、これを更にアルキルエステル化反応するなどして得られる化合物(1B)の誘導体は、ポリエステル、ポリアミド等のポリマー原料や、各種工業薬品原料、各種化成品原料、食品原料、香料原料、化粧品原料、医薬品原料等に利用される。
以下に、実施例により本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における2,5−フランジカルボン酸(FDCA)収率の測定方法は次の通りである。
[FDCA収率の測定方法]
FDCA収率は、核磁気共鳴(NMR)装置により、反応生成物について以下の条件で測定して求めた。具体的には、反応生成物に内部標準物質トリオキサンを添加し、トリオキサンの6Hに相当するシグナル(5.15ppm)とFDCAの2Hに相当するシグナル(7.28ppm)を比較することで、収率を算出した。
分析機器:核磁気共鳴JOEL−JNM−ECS400(JOEL日本電子社製)
測定周波数:400MHz
測定溶媒:重DMSO
FDCA収率は、核磁気共鳴(NMR)装置により、反応生成物について以下の条件で測定して求めた。具体的には、反応生成物に内部標準物質トリオキサンを添加し、トリオキサンの6Hに相当するシグナル(5.15ppm)とFDCAの2Hに相当するシグナル(7.28ppm)を比較することで、収率を算出した。
分析機器:核磁気共鳴JOEL−JNM−ECS400(JOEL日本電子社製)
測定周波数:400MHz
測定溶媒:重DMSO
[FDCA純度の測定方法]
FDCA純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、反応生成物について以下の条件で測定し、FDCAに該当するピークの面積百分率を算出することで決定した。
分析機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製)
カラム:Inertsil C8−3(GLサイエンス社製、内径4.6mm,長さ100mm、5μm)
検出器:UV−vis検出器(島津製作所社製)
検出波長:254nm
移動相:アセトニトリル/0.5v/v%りん酸水溶液
流速:1.0mL/min
温度:40℃
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
FDCA純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、反応生成物について以下の条件で測定し、FDCAに該当するピークの面積百分率を算出することで決定した。
分析機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製)
カラム:Inertsil C8−3(GLサイエンス社製、内径4.6mm,長さ100mm、5μm)
検出器:UV−vis検出器(島津製作所社製)
検出波長:254nm
移動相:アセトニトリル/0.5v/v%りん酸水溶液
流速:1.0mL/min
温度:40℃
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
10mLのガラス製二口ナスフラスコに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として酸化金Au2O3(11.5mg,0.026mmol)、酸化銀Ag2O(51.0mg,0.220mmol)、及び酸化銅CuO(35.0mg,0.440mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で16時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率90%で得た。
<実施例2〜9、比較例1〜4>
化合物(1A)の種類と使用量、触媒の種類と各金属酸化物の使用量を表1に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。ただし、実施例5では反応温度を80℃、実施例7〜9では反応温度を40℃とした。各例における目的物であるカルボニル体の収率を表1に示す。
化合物(1A)の種類と使用量、触媒の種類と各金属酸化物の使用量を表1に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。ただし、実施例5では反応温度を80℃、実施例7〜9では反応温度を40℃とした。各例における目的物であるカルボニル体の収率を表1に示す。
<実施例10>
反応容器を10mLガラス製二口ナスフラスコから70mLSUS製ミクロオートクレーブに、導入するガスを酸素(0.1MPa)から空気(0.9MPa)に変更した以外は実施例1と同様に反応を行った。目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率87%で得た。結果を表2Aに示す。
反応容器を10mLガラス製二口ナスフラスコから70mLSUS製ミクロオートクレーブに、導入するガスを酸素(0.1MPa)から空気(0.9MPa)に変更した以外は実施例1と同様に反応を行った。目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率87%で得た。結果を表2Aに示す。
<比較例5>
各金属酸化物の使用量を表2に示す通り変更したこと以外は、実施例10と同様に反応を行った。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表2Aに示す。
各金属酸化物の使用量を表2に示す通り変更したこと以外は、実施例10と同様に反応を行った。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表2Aに示す。
<実施例11、比較例6>
1%金担持炭素(Au/C)を用いたこと、各金属酸化物の使用量を表2に示す通り変更したこと以外は、実施例10と同様に反応を行った。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表2Bに示す。
なお、表2B中、Au/Cの使用量はAuの物質量で示す。
1%金担持炭素(Au/C)を用いたこと、各金属酸化物の使用量を表2に示す通り変更したこと以外は、実施例10と同様に反応を行った。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表2Bに示す。
なお、表2B中、Au/Cの使用量はAuの物質量で示す。
<実施例12〜17>
銅触媒の種類と銀触媒の使用量を表3に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。各例における2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表3に示す。
銅触媒の種類と銀触媒の使用量を表3に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。各例における2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表3に示す。
<実施例18>
触媒の種類と各金属酸化物の使用量を表4に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。目的物である2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表4に示す。
触媒の種類と各金属酸化物の使用量を表4に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。目的物である2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表4に示す。
<実施例19>
10mLのガラス製二口ナスフラスコに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として酸化金Au2O3(5.8mg,0.013mmol)、酸化銀Ag2O(51.0mg,0.220mmol)、及び酸化銅CuO(17.5mg,0.220mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で16時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で16時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率93%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
10mLのガラス製二口ナスフラスコに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として酸化金Au2O3(5.8mg,0.013mmol)、酸化銀Ag2O(51.0mg,0.220mmol)、及び酸化銅CuO(17.5mg,0.220mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で16時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で16時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率93%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
<実施例20>
10mLのガラス製二口ナスフラスコに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として酸化金Au2O3(5.8mg,0.013mmol)、酸化銅CuO(17.5mg,0.220mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、3回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率46%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
10mLのガラス製二口ナスフラスコに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として酸化金Au2O3(5.8mg,0.013mmol)、酸化銅CuO(17.5mg,0.220mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、3回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率46%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
<実施例21>
70mLSUS製ミクロオートクレーブに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として1%金担持炭素(Au/C)(10.0mg,0.0005mmol)、酸化銅CuO(0.875mg,0.011mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、3回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率14%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
70mLSUS製ミクロオートクレーブに、化合物(1A)として5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、触媒として1%金担持炭素(Au/C)(10.0mg,0.0005mmol)、酸化銅CuO(0.875mg,0.011mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.75mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、2回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、3回目の反応として、5−ヒドロキシメチルフルフラール(100.0mg,0.790mmol)と、水酸化ナトリウム(100.0mg,2.500mmol)と、脱塩水(0.60mL)を入れ、酸素(0.1MPa)を導入し、42℃で32時間攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、反応容器の脱圧を実施した。続いて、濾過によって触媒を分離し、得られた濾液に塩酸を注ぎ、析出した沈殿を濾取した。得られた固体を水洗浄し、目的とする2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を収率14%で得た。2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の収率を表5に示す。
表1および表4の結果から明らかなように、比較例1〜4では金触媒のみ、金銀の二元系触媒、または金と銅の原子比が本発明の規定範囲外である二元系触媒を用いており、FDCA収率は、それぞれ3%、2%、8%、2%と著しく低かった。
これに対して、実施例1では、金銀銅の三元系触媒(金属原子比Au:Ag:Cu=1:8.5:8.5)を用いることで、FDCA収率は、90%となった。また、実施例18では、金と銅の原子比が本発明の規定範囲内である二元系触媒を用いることで、FDCA収率は、82%となった。この結果から、金銀銅の三元系触媒、もしくは金と銅の原子比が本発明の規定範囲内である二元系触媒を用いることで大幅に収率を向上させることができることが確認された。
これに対して、実施例1では、金銀銅の三元系触媒(金属原子比Au:Ag:Cu=1:8.5:8.5)を用いることで、FDCA収率は、90%となった。また、実施例18では、金と銅の原子比が本発明の規定範囲内である二元系触媒を用いることで、FDCA収率は、82%となった。この結果から、金銀銅の三元系触媒、もしくは金と銅の原子比が本発明の規定範囲内である二元系触媒を用いることで大幅に収率を向上させることができることが確認された。
また、実施例2〜6は、実施例1に対して、金に対する銀と銅のmol比を変化させた例であるが、いずれも収率は50%程度である。
これらの結果から、金銀銅の三元系触媒としての金属原子比の好ましい範囲は、Au:Ag:Cu=1:(0.1〜30):(0.1〜30)で、より好ましくは、Au:Ag:Cu=1:(4〜17):(4〜17)であることが分かる。
これらの結果から、金銀銅の三元系触媒としての金属原子比の好ましい範囲は、Au:Ag:Cu=1:(0.1〜30):(0.1〜30)で、より好ましくは、Au:Ag:Cu=1:(4〜17):(4〜17)であることが分かる。
また、金銅の二元系触媒としての金属原子比の好ましい範囲は、Au:Cu=1:(10〜20)であることが分かる。
また、実施例7〜9の結果から、化合物(1A)としてベンジルアルコール類を用いた場合でも、目的とするカルボニル体である安息香酸類を高収率で得られる事が確認できた。
また、実施例7〜9の結果から、化合物(1A)としてベンジルアルコール類を用いた場合でも、目的とするカルボニル体である安息香酸類を高収率で得られる事が確認できた。
表2Aの実施例10の結果から、ステンレス(SUS)製の反応容器を用いた場合でも、反応器の金属成分による影響を受けることなく、FDCAを高収率で得られる事が確認できた。
また、表2Bの実施例11の結果から、1%金担持炭素触媒である1%Au/Cを用いた場合でも、FDCAを高収率で得られる事が確認できた。金属担持炭素触媒系を用いる事で、金属使用量を低減し、製造コストを抑えることが可能であり、触媒の回収と再利用という観点で有利である。
また、表2Bの実施例11の結果から、1%金担持炭素触媒である1%Au/Cを用いた場合でも、FDCAを高収率で得られる事が確認できた。金属担持炭素触媒系を用いる事で、金属使用量を低減し、製造コストを抑えることが可能であり、触媒の回収と再利用という観点で有利である。
表3の実施例12〜17の結果から、金銀銅の三元系触媒中で、銅触媒を変更した場合でも、銅化合物の構造による影響はあるものの、FDCAを高収率で得られる事が確認できた。
また、実施例14と16の結果から、銅触媒として酢酸銅や硝酸銅を用いた場合では、銀触媒量を低減してもFDCAを高収率で得られる事が確認できた。触媒量を低減可能となることで、製造コストも抑えられる。
また、実施例14と16の結果から、銅触媒として酢酸銅や硝酸銅を用いた場合では、銀触媒量を低減してもFDCAを高収率で得られる事が確認できた。触媒量を低減可能となることで、製造コストも抑えられる。
表5の実施例19〜21の結果から、金銀銅の三元系触媒、または金と銅の原子比が本発明の規定範囲内である二元系触媒中で、繰り返し反応を実施すると、FDCAを高収率で得られる事が確認できた。特に金銀銅の三元系触媒を用いた繰り返し反応では、FDCAをより高収率で得られる事が確認できた。
Claims (7)
- 前記三元系触媒における金と銀の原子比が金:銀=1:0.1〜30であり、金と銅の原子比が、金:銅=1:0.1〜30であることを特徴とする、請求項1又は3に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記酸化反応を、反応液中にて酸素の存在下に行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記反応液中に塩基が存在することを特徴とする、請求項5に記載のカルボニル化合物の製造方法。
- 前記式(1A)で表されるヒドロキシ化合物が5−ヒドロキシメチルフルフラールであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018025246 | 2018-02-15 | ||
JP2018025246 | 2018-02-15 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019142842A true JP2019142842A (ja) | 2019-08-29 |
Family
ID=67770888
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019007156A Pending JP2019142842A (ja) | 2018-02-15 | 2019-01-18 | カルボニル化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019142842A (ja) |
-
2019
- 2019-01-18 JP JP2019007156A patent/JP2019142842A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN106565647B (zh) | 一种催化氧化5-羟甲基糠醛制备2,5-呋喃二甲酸的方法 | |
JP4804187B2 (ja) | フラン−2,5−ジカルボン酸の製造方法 | |
KR100994660B1 (ko) | 카르복실산의 제조 방법 | |
US9365531B2 (en) | Method for selectively oxidizing 5-hydroxymethyl furaldehyde | |
KR20150063059A (ko) | 퓨란-2,5-디알데히드를 함유하는 조성물로부터 2,5-퓨란디카복실산을 합성하는 방법 | |
JP6168044B2 (ja) | テトラヒドロフラン化合物の製造方法 | |
JPH0687830A (ja) | 2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのn−オキシル誘導体およびその製法 | |
JP6696507B2 (ja) | 4−(トリフルオロメチルスルホニル)フェノール化合物の製造方法 | |
JP2010163412A (ja) | カルボニル化合物の製造方法 | |
JP2019142842A (ja) | カルボニル化合物の製造方法 | |
JPS59225137A (ja) | 2,3,5−トリメチルベンゾキノンの製造方法 | |
JP7384049B2 (ja) | カルボニル化合物の製造方法 | |
JP7094185B2 (ja) | シクロヘキセンオキサイドの製造方法 | |
JPH03101672A (ja) | 2,5―フランジカルボキシアルデヒドの製法 | |
JPS63174950A (ja) | 芳香族エステルの製造方法 | |
JP4090232B2 (ja) | 芳香族化合物の製造方法 | |
JPH06166652A (ja) | アルドール化合物の製造方法 | |
JPS61172851A (ja) | オルソフタル酸エステルの酸化脱水素二量化法 | |
JP2020059671A (ja) | ジアルデヒドの製造方法 | |
CN102452919B (zh) | 一种内酯催化氧化制备相应羟基酸的方法 | |
JP2010264366A (ja) | 金属担持固体酸触媒 | |
JPS60255746A (ja) | 2,3,5−トリメチルベンゾキノンの製造法 | |
JP2001302581A (ja) | ジアルデヒドの製造方法 | |
JP2002205964A (ja) | 芳香族カルボニル化合物の製造方法 | |
JP2002173459A (ja) | 2,4,5−トリアルキルベンズアルデヒドの製造方法 |