JP2019140272A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回路基板のがたつきを抑制し、回路基板を良好に保持することができる電子装置を提供する。【解決手段】電子装置は、回路基板3の挿通孔5に挿通されるボス15が設けられた筐体2を備える。ボス15は、柱状をなす柱状部15aと、その先端側に挿通孔5よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部15bとを有し、柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面との間に、粘弾性体21を介在させた構成としている。【選択図】図3

Description

本発明は、電子部品が実装された回路基板を備える電子装置に関する。
従来より、例えば車両に搭載される電子装置にあっては、複数の筐体部材を組み合わせてなる筐体の内部空間に回路基板を収容したものが供されている。この種の電子装置では、回路基板の取付け構造として、筐体部材に形成したボスを、回路基板の取付け用の孔に挿通して、そのボスの先端部を熱かしめすることが考えられる。
特開平10−213093号公報
上記した熱かしめにより、回路基板における板厚方向(ボスの挿通方向)へのがたつきは抑制される。しかしながら、ボスを挿通するための回路基板の孔と当該ボスのクリアランスが必要であることから、回路基板の平面方向のがたつきの発生は避けられない。このため、電子装置に外部から振動や衝撃が作用した際に、回路基板上の電子部品の損傷を助長する虞があり、又、ボスにおいて熱かしめした部分に応力が集中して損傷する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路基板のがたつきを抑制し、回路基板を良好に保持することができる電子装置を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、熱かしめ部(15b)により柱状部(15a)の軸方向への回路基板(3)のがたつきを抑制しつつ、粘弾性体(21,22,31,51,61,71,81,91,101)により回路基板の平面方向のがたつきを抑制することができ、回路基板を良好に保持できる。また、これによれば、粘弾性体によって、熱かしめ部に加わる応力を吸収・分散させて、応力集中を緩和することができ、外部から作用する振動や衝撃によるボス(15)の損傷や回路基板上の電子部品(3b)の損傷を抑制することができる。
第1実施形態における電子装置の全体を示す分解斜視図 回路基板の取付部近傍を拡大した斜視図であって、(a)は熱かしめ前の状態、(b)は熱かしめ後の状態を示す説明図 (a)は、図2(b)のIII-III線に沿う断面図、(b)は、粘弾性体が無いとした場合における説明図 第2実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第3実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第4実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第5実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第6実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第7実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第8実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第9実施形態における回路基板の取付部分の断面図 第10実施形態における回路基板の取付部分の断面図
以下、本発明を具体化した複数の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付す等して説明を省略する。また、上記の図面のうち筐体や回路基板等の断面図を表す図3以降の図面では、便宜上、筐体に対するハッチングを省略している。
<第1実施形態>
第1実施形態について図1〜図3を参照しながら説明する。図1に示す電子装置1は、例えば車両に搭載される電子制御装置である。電子装置1において外郭をなす筐体2は、全体として薄型の矩形箱状をなしており、その内部に回路基板3を収容している。
回路基板3は、電気絶縁材料からなる基材に図示しない配線が形成された矩形板状のプリント基板である。回路基板3には、図1に示すコネクタ3aの他、制御IC、スイッチング素子、抵抗素子、コンデンサ等の電子部品3bが実装されており、前記配線と電子部品3bとで回路が形成されている。また、回路基板3の4隅部には、当該基板3の板厚方向に貫通する挿通孔5が夫々設けられている。挿通孔5は、円形に形成された取付け用の孔であり、図1では4つの挿通孔5のうち3つを図示している。
コネクタ3aは、筐体2の開口部2aから外部に露出するようになっており、図示しない外部装置からのケーブルが接続されて、当該外部装置と回路基板3上の回路とを電気的に中継する。以下では、図1の回路基板3においてコネクタ3a開口側を上方とし、その反対側を下方とする。また、図1において上下方向となる回路基板3の厚み方向をZ方向とする。更に、回路基板3の平面方向において、当該基板3周辺部のうちの一辺部に沿う方向をX方向、X方向と直交する方向をY方向とする。
筐体2は、これを構成する本体ケース10とカバー11とをZ方向に組み合わせてなる2分割型のものであり、回路基板3とコネクタ3aの基端側とを収容する内部空間を有する。
このうち、カバー11は、回路基板3を上面側から覆う筐体部材であり、例えば金属材料としてのアルミ材から形成されている。カバー11は、上壁部11aと周壁部11bとを一体に有し、下方が開放された矩形箱状をなす。カバー11の上壁部11aには、回路基板3におけるX方向の一端側に配されたコネクタ3aに合わせて、その一端側でコネクタ3aを露出させる前記開口部2aが形成されている。また、上壁部11aには、開口部2aからX方向の他端側へ離間した位置に、同X方向に延びY方向へ並ぶ複数の放熱フィン12が配設されている。
本体ケース10は、回路基板3が取付けられる筐体部材であり、例えば熱可塑性樹脂としてのPBT(ポリブチレンテレフタレート)、あるいはPPS(ポリフェニレンサルファイド)から形成されている。本体ケース10は、図1に示すように底の浅い箱状をなしており、底壁部10aとその周縁の枠部10bとを一体に有する。本体ケース10は、その枠部10bとカバー11の周壁部11bとが合わさることで、カバー11の開放面を閉塞する。
図1に示すように、本体ケース10の4隅部には、回路基板3が取付けられる取付部13(同図では4つの取付部13のうち3つを図示)が夫々設けられている。これら取付部13は、何れも回路基板3を支持する支持面部14と、その支持面部14に立設されたボス15とを有する。支持面部14及びボス15と本体ケース10とは、モールド成形により一体に形成されている。詳しくは後述するように、ボス15は、回路基板3の挿通孔5に挿通された後に熱かしめされ(図2参照)、支持面部14は、回路基板3を下面3d側から支持するようになっている(図3(a)参照)。
なお、図示は省略するが、本体ケース10には例えば、Y方向の一端側と他側とに夫々外側へ張出す一対の固定部が設けられており、電子装置1は、車両に対し当該固定部で各々ネジ止めされて、底壁部10aが略水平となる向きで搭載される(底壁部10aが略鉛直となる向きでもよい)。
続いて、上記した取付部13に係る構成ついて、図2、図3も参照しながら詳述する。ここで、図2(a)と(b)は、本体ケース10の隅部分(取付部13部分の1つ)を拡大した斜視図であって、ボス15における熱かしめ前と後の状態を示している。また、図3(a)は、図2(b)のIII-III線に沿う断面図を示している。
図1、図2(a)等に示すように、取付部13の支持面部14は、本体ケース10における枠部10bのコーナー部分の内側に位置し、且つ枠部10bよりもZ方向の厚みを持たせた矩形ブロック状をなす。支持面部14の上面は、回路基板3における挿通孔5の周縁部を、当該基板3の下面3d側から支持する平坦面とされている(図3(a)参照)。つまり、支持面部14は、回路基板3と平行な平坦面で、当該基板3の下面3dに面接触可能である。
ボス15は、図1に示すように支持面部14上において内寄り(本体ケース10の中心寄り)の位置にあり、回路基板3の挿通孔5に対応するように配置されている。また、ボス15は、熱かしめ前の状態を示す図1、図2(a)において、挿通孔5に挿通可能な小円柱状をなしている。係る小円柱状の柱状部15aは、その中心軸線O(軸方向)がZ方向に延びて、熱かしめを行うのに必要な軸方向寸法に設定されている。
ボス15は、その柱状部15aが挿通孔5に挿通された状態で、柱状部15a先端側の熱かしめにより、図2(b)に示すような円盤状に形成された熱かしめ部15bを有する。即ち、柱状部15aの先端側は、熱かしめによる加熱に伴い溶融して円盤状に変形し、挿通孔5の内径よりも大きい外形の熱かしめ部15bとなる。これにより、ボス15は、熱かしめ部15bにて挿通孔5を塞ぎ、回路基板3をZ軸方向へ移動させないように保持する。
そして、ボス15の柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面との間には、粘弾性体21を介在させている。ここで、「粘弾性体」とは、粘性及び弾性の双方の性質を併せ持つ物体を称するものであり、本実施形態では粘弾性体21として例えばシリコーンゴムからなるゴム弾性体を用いるものとする。
図2(a)に示すように、粘弾性体21は、ボス15の柱状部15aを囲う環状部材であり、粘弾性体21のZ方向の厚みt1(図3(a)参照)が、回路基板3の厚みt0と同じ寸法に設定されている(t1=t0)。また、粘弾性体21の幅w1(図3(a)でY方向の寸法)は、柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面のクリアランスc(図3(b)参照)に合わせた寸法に設定されている。
それ故、粘弾性体21は、図2(a)に示す熱かしめ前の状態で、柱状部15aの周りに嵌め込まれ、挿通孔5に対して、柱状部15aとともに挿通されて嵌合する。また、粘弾性体21は、図3(a)に示す熱かしめ後の状態で、Z方向において熱かしめ部15b下面15cと支持面部14上面とに夫々面接触可能であり、前記平面方向(XY方向)において柱状部15a外周面と挿通孔5内周面とに夫々面接触可能である。
次に上記構成の作用について、図3(a)と(b)を対比しながら説明する。説明の便宜上、図3(b)は、本実施形態と異なり粘弾性体21が無いとした場合における説明図として用いるものとする。
例えば車両の走行時の振動等、外部から作用する振動や衝撃により、回路基板3の取付部13部分には、せん断力や曲げモーメントといった振動ストレスが加わる。特に、粘弾性体21が無い図3(b)の構成では、柱状部15aと熱かしめ部15bの境目(同(b)のP点)に応力が集中しやすく、係る振動や衝撃如何によっては、せん断破壊が生じうる。これに対し、粘弾性体21が介在する図3(a)の構成では、熱かしめ部15bの下面15cで応力を受ける面積が拡大し、同図(a)の太線Saで示す全領域(つまり図3(b)の太線Sbで示す領域よりも広い(a)の領域Sa)でその応力を受けるため、局所的な応力集中が抑制される。
また、粘弾性体21が介在することにより、回路基板3に応力が加わった際の粘弾性体21と回路基板3との間の摩擦、並びに粘弾性体21とボス15との間の摩擦により、前記振動ストレスが低減される。
更に、粘弾性体21によって、回路基板3とボス15との間に生じる応力を吸収・分散する。このため、粘弾性体21が無い場合に比して、ボス15に加わる応力が小さくなり、総じてボス15に加わる振動ストレスを低減することができる。ここで、粘弾性体21が無いとした場合におけるボス15に加わる応力をF、粘弾性体21の衝撃吸収率をη(0<η<1)としたとき、粘弾性体21が介在した場合における図3(a)のボス15に加わる応力F´は、次式(1)で与えられる。
F´=(1−η)F …(1)
以上説明したように、本実施形態の電子装置1において、ボス15は柱状部15aとその先端側に回路基板3の挿通孔5よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部15bとを有し、ボス15の柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面との間に粘弾性体21を介在させた構成にある。
これによれば、熱かしめ部15bにより柱状部15aの軸方向への回路基板3のがたつきを抑制しつつ、粘弾性体21により回路基板3の平面方向のがたつきを抑制することができ、回路基板3を良好に保持できる。また、これによれば、粘弾性体21によって、熱かしめ部15bに加わる応力を吸収・分散させて、応力集中を緩和することができ、外部から作用する振動や衝撃によるボス15の損傷や回路基板3上の電子部品3bの損傷を抑制することができる。
また、熱かしめにより回路基板3を取付け固定するため、固定用のネジ等が不要となることは勿論、筐体2の本体ケース10がボス15を含め熱可塑性樹脂により一体成形されているため、製造コストを低減することが可能となり、本体ケース10を金属材料で形成した場合に比して軽量化も図りうる。
<その他の実施形態>
図4〜図12は、本発明の第2〜第10実施形態を示している。以下では、既述した実施形態と実質的に異なる点について述べることとする。なお、図4〜図12では模式図として、夫々表している回路基板3の厚みが若干異なるが、何れも同じ板厚t0とする。
図4に示す第2実施形態の粘弾性体22は、第1実施形態の粘弾性体21と次の点で相違する。即ち、粘弾性体22は、ボス15の柱状部15aの軸方向に沿って、回路基板3の上面3cから突出するように延伸している。この場合の軸方向における粘弾性体22の厚みt2は、回路基板3の板厚t0よりも大きい寸法に設定されている(t2>t0)。
また、本第2実施形態の熱かしめ部15bの下面15c側には、熱かしめの際に粘弾性体22の上縁部に沿って窪むように変形した窪み部23が形成されている。窪み部23は、粘弾性体22の全周にわたってその上縁部と隙間なく密接する。それ故、熱かしめ部15bは、窪み部23がない図3(a)の熱かしめ部15bよりも、応力を受ける面積が大きいものといえる。
このように本第2実施形態の粘弾性体22は、ボス15の柱状部15aの軸方向に沿って延伸し、回路基板3の板厚t0よりも大きい厚みt2を備える。このように粘弾性体22の厚みt2を、より大きくすることで、粘弾性体22とボス15と摩擦する面積、或いは熱かしめ部15bにて応力を受ける面積を増加させて、振動ストレスを更に低減することが可能となる。
図5に示すように、第3実施形態の粘弾性体31は、同断面図で「L」字状の断面形状を有する。
具体的には、粘弾性体31の全体の厚みt3は、回路基板3の板厚t0よりも大きい寸法に設定されている(t3>t0)。また、粘弾性体31は、柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面との間に位置する径小部31bと、その下端側に位置する挿通孔5の内径よりも大きい径大部31aと、を一体に有して段付き形状をなす。それ故、粘弾性体31の径大部31aは、径小部31bの幅w1よりも大きい幅w3で(w3>w1)、径方向外側へ延伸している。また、径大部31aは、その厚みt4の分、回路基板3の下面3dと支持面部14の上面とを離間させるスペーサとなる。
このように、本第3実施形態の粘弾性体31は、径大部31aが回路基板3の下面3dと支持面部14の上面との間に介在するように、ボス15の柱状部15aの径方向外側へ延伸している。このように、粘弾性体31の径大部31aが回路基板3の下面3d側にも介在することで、熱かしめ部15bに加わるZ方向の振動ストレスを、より低減することが可能となる。
図6に示す第4実施形態では、上記した粘弾性体31を上下反転させた向きで、ボス15の柱状部15aに配設している。
このため、本第4実施形態の熱かしめ部15bには、その熱かしめの際に粘弾性体31の径大部31aに沿って窪むように変形した窪み部41が形成されている。窪み部41は、粘弾性体31の全周にわたってその径大部31aと隙間なく密接する。このように、本第4実施形態の熱かしめ部15bの下面15dは窪み部41を含み、図5の熱かしめ部15bの下面15dよりも、応力を受ける面積が大きいものといえる。
また、本第4実施形態の粘弾性体31は、径大部31aが回路基板3の上面3cと熱かしめ部15bの下面15cとの間に介在するように、ボス15の柱状部15aの径方向外側へ延伸している。このように、粘弾性体31の径大部31aが回路基板3の上面3c側にも介在することで、熱かしめ部15bに加わるZ方向の振動ストレスを、より低減することが可能となる。
図7に示すように、第5実施形態の粘弾性体51は、夫々別体の環状部材として形成された第1粘弾性体51a、第2粘弾性体51b、及び第3粘弾性体51cから構成されている。
具体的には、第1粘弾性体51aは、ボス15の柱状部15aの外周面と挿通孔5の内周面との間に介在しており、上記した第1実施形態の粘弾性体21と同じ厚みt1と、幅w1を有する。第2粘弾性体51bは、回路基板3の下面3dと支持面部14の上面との間に介在するように、柱状部15aの径方向外側へ延伸しており、図6の径大部31aと同じ厚みt4と、幅w3を有する。
第3粘弾性体51cは、回路基板3の上面3cと熱かしめ部15bの下面15cとの間に介在するように、柱状部15aの径方向外側へ延伸しており、第2粘弾性体51bと同じ寸法形状をなす。このため、図7に示す熱かしめ部15bには、その熱かしめの際に第3粘弾性体51cに沿って窪むように変形した窪み部52が形成されている。
各粘弾性体51a〜51cの柱状部15aへの組付けは、その柱状部15aに対して、第2粘弾性体51b、第1粘弾性体51a、回路基板3(の挿通孔5)、第3粘弾性体51cの順に嵌め込むことにより行うことができる。なお、図示は省略するが、第1粘弾性体51aに代えて、その幅w1(或いは厚みt1)と同じ断面直径を有する断面円形状のOリング部材(環状部材)を第1粘弾性体として用いてもよい。
以上のように、本第5実施形態の粘弾性体51は、第1粘弾性体51aと、第2粘弾性体51b及び第3粘弾性体51cと、を夫々別体成形体とすることで、回路基板3を第2粘弾性体51bと第3粘弾性体51cとで挟む構成としながらも、各粘弾性体51a〜51を比較的簡単に組付けることができる。また、各粘弾性体51a〜51で振動ストレスを低減させることができ、上記した第3実施形態や第4実施形態と同様の効果を奏する。
図8に示す第6実施形態の粘弾性体61は、回路基板3の上面3cから突出した部分が、断面半円形状をなす曲率面61aを備える点で、第2実施形態の粘弾性体22と相違する。このため、同図8に示すように、熱かしめ部15bの下面15c側には、熱かしめの際に粘弾性体61の曲率面61aに沿って窪むように変形した窪み部62が形成されている。窪み部62は、粘弾性体61の全周にわたってその曲率面61aと隙間なく密接する。それ故、図8の太線Srで示すように、熱かしめ部15bの下面15cは、窪み部62の曲率面を含むことで、図3(a)の熱かしめ部15bの下面15cよりも応力を受ける面積が大きくなっている。
このように、本第6実施形態の粘弾性体61における熱かしめ部15b側の表面(ひょうめん)形状が曲率を持っているため、応力を全方位(曲率面61aの法線方向)へ分散させることができ、振動ストレスを更に低減することが可能となる。
図9に示す第7実施形態の粘弾性体71は、断面長円形状のOリング部材で構成されている点で、第1実施形態の粘弾性体21と相違する。このように、粘弾性体71は、その表面が丸みを帯びたOリング部材であるため、ボス15の柱状部15aの外周面或いは挿通孔5の内周面に対して、当該粘弾性体71におけるZ方向の中間部分が接触部分となり、その余の部分が非接触部分となる。
これにより、粘弾性体71は、自身の可撓性と相俟って、柱状部15aや挿通孔5に対して夫々接触する構成としながらも、嵌合し易い(つまり組付け易い)ものとすることができる。また、これによれば、熱かしめ部15bの下面15cにて、粘弾性体71の曲率に合わせた窪み部72が形成されるため、応力を全方位に分散することができる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
図10に示す第8実施形態の粘弾性体81は、Z方向に3つに分割された粘弾性体81a,81b,81cで構成されている。これら粘弾性体81a,81b,81cは、何れも外周側に断面半円形状の曲率面82a,82b,82cを夫々持った、比較的薄い厚みのOリング部材である。
これら粘弾性体81a〜81cによれば、外周側の曲率面82a〜82cによって、少なくとも挿通孔5の内周面に対する接触部分と非接触部分とが形成されるため、組付け易くすることができる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。なお、図示は省略するが、粘弾性体81a〜81cに代えて、外周側と内周側に曲率面を有する、断面長円形状乃至断面円形状の3つのOリング部材を用いてもよいことは勿論、粘弾性体81a〜81cを一体成形体とする1つのOリング部材として用いてもよい。
図11に示す第9実施形態の粘弾性体91は、その外周部の全周にわたって、径方向内側へ窪む凹部92を有し、断面「コ」字形状をなしている。これにより、粘弾性体91の外周部は、挿通孔5の内周面に対して、凹部92が非接触部分、その余の部分が接触部分となる、凸凹形状をなしている。このため、粘弾性体91は、凹部92が言わば逃げ空間部となり、回路基板3を組付け易くすることができる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
図12に示す第10実施形態の粘弾性体101は、予め回路基板3を被覆するように形成された上面3c側の被覆部101aと、下面3d側の被覆部101bと、挿通孔5内周面側の被覆部101cとを一体に有する被覆部材として配設されている。
この場合、回路基板3における上面3c側の被覆部101aは、第3粘弾性体として回路基板3上面3cと熱かしめ部15b下面15cとの間に介在し、下側の被覆部101bは、第2粘弾性体として回路基板3下面3dと支持面部14上面との間に介在し、それら被覆部101a,101bを接続する被覆部101cは、第1弾性体として柱状部15a外周面と挿通孔5内周面との間に介在する。従って、各被覆部101a〜101cは、ボス15と回路基板3との間の粘弾性体101として機能し、振動ストレスを低減することが可能となる等、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態に限定されるものではなく、上記した各実施形態或いは変形例を組み合わせる等、適宜変更して実施し得るものである。例えば「粘弾性体」は、粘性と弾性を併せ持つ材料で構成されていればよく、上記したシリコーンゴムに限らず、他のエラストマーやゲル等で構成してもよい。
「粘弾性体」の個数を適宜変更してもよく、例えば、図7の第1粘弾性体51aと、第2粘弾性体51b及び第3粘弾性体51cの何れか一方とを一体成形体としてもよい。この場合、図7の粘弾性体51a〜51cのうち、第1粘弾性体51a及び第2粘弾性体51bに代えて図5の粘弾性体31を用い、又は第1粘弾性体51a及び第3粘弾性体51cに代えて図6の向きの粘弾性体31を用いることができる。
また、例えば、図5の粘弾性体31について、その厚みt3を回路基板3の厚みt0よりも小さく設定する等、粘弾性体の外形形状を適宜変更してもよい。
ボス15の柱状部15aは、小円柱状のものに限らず、Z方向に直交する断面が多角形の多角柱状とする等、柱状のものであればよい。
本開示は、実施例(実施形態)に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1…電子装置、2…筐体、3…回路基板、3b…電子部品、5…挿通孔、14…支持面部、15…ボス、15a…柱状部、15b…熱かしめ部、21,22,31,51,61,71,81,91,101…粘弾性体、51a…第1粘弾性体、51b…第2粘弾性体、51c…第3粘弾性体。

Claims (7)

  1. 電子部品(3b)が実装され、少なくとも1つ以上の取付け用の挿通孔(5)が設けられた回路基板(3)と、
    前記挿通孔に対応する少なくとも1つ以上のボス(15)であって当該挿通孔に挿通される柱状のボスが設けられた筐体(2)と、を備え、
    前記ボスは、前記柱状をなす柱状部(15a)と、その先端側に前記挿通孔よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部(15b)とを有し、
    前記ボスの柱状部の外周面と前記挿通孔の内周面との間に粘弾性体(21,22,31,51,61,71,81,91,101)を介在させた電子装置(1)。
  2. 前記粘弾性体は、前記ボスの柱状部の軸方向に沿って延伸し、その軸方向における当該粘弾性体の厚みは、前記回路基板の板厚よりも大きい請求項1記載の電子装置。
  3. 前記筐体には、前記ボスの基端側に前記回路基板と平行な支持面部(14)が設けられ、
    前記粘弾性体は、前記回路基板と前記支持面部との間、及び/又は前記回路基板と前記熱かしめ部との間に介在するように、前記ボスの柱状部の径方向外側へ延伸している請求項1又は2記載の電子装置。
  4. 前記粘弾性体は、前記ボスの柱状部の外周面と前記挿通孔の内周面との間に介在する第1粘弾性体(51a)と、前記回路基板と前記支持面部との間に介在する第2粘弾性体(51b)及び/又は前記回路基板と前記熱かしめ部との間に介在する第3粘弾性体(51c)と、を別体成形体とする請求項3記載の電子装置。
  5. 前記粘弾性体における前記熱かしめ部側の表面形状が曲率を持っている請求項1から4の何れか一項記載の電子装置。
  6. 前記粘弾性体は、前記ボスの柱状部を囲う環状部材であり、その環状部材の表面を凸凹形状、段付き形状、又は丸みを帯びた形状とする請求項1から5の何れか一項記載の電子装置。
  7. 前記筐体として、前記ボスを含め熱可塑性樹脂により一体成形された筐体部材を用いた請求項1から6の何れか一項記載の電子装置。
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