JP2019140065A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極層と電解質層との間の熱収縮率を整合させて焼結性に優れた全固体電池の製造方法を提供する。【解決手段】正極活物質、非晶質の固体電解質、第1のバインダー、第2のバインダーを含む正極層シート、非晶質の固体電解質、結晶化した固体電解質、第1のバインダーを含む電解質層シート、および負極活物質、非晶質の固体電解質、第1のバインダー、第2のバインダーを含む負極シートをこの順に積層してなる積層体を熱処理して第1のバインダーを分解させる第1脱脂ステップ(s4)と、第1脱脂ステップを経た積層体を熱処理して第2のバインダーを熱分解させる第2脱脂ステップ(s5)と、積層電極体を作製する焼成ステップ(s6)とを含み、第2のバインダーが熱分解する温度は第1のバインダーが熱分解する温度よりも高く、第2脱脂ステップでは、前記非晶質の固体電解質をガラス転移させる。【選択図】図1

Description

本発明は全固体電池の製造方法に関する。
リチウム二次電池は、各種二次電池の中でもエネルギー密度が高いことで知られている。しかし、一般に普及しているリチウム二次電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いているため、リチウム二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められている。そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料であり、従来のリチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。
全固体電池は、層状の正極(正極層)と層状の負極(負極層)との間に層状の固体電解質(電解質層)が狭持されてなる一体的な焼結体(以下、積層電極体とも言う)に集電体を形成した構造を有している。積層電極体の製造方法としては周知のグリーンシートを用いた方法(以下、グリーンシート法とも言う)がある。グリーンシート法による積層電極体の作製手順は、まず、焼結性を有する正極活物質と焼結して結晶化するとイオン伝導体となる非晶質の固体電解質を含むスラリー状の正極層材料、焼結性を有する負極活物質と非晶質の固体電解質を含むスラリー状の負極層材料、および固体電解質を含むスラリー状の電解質層材料を、それぞれシート状に成形してグリーンシートを作製する。次に、電解質層材料からなるグリーンシートを、正極層材料からなるグリーンシートと、負極層材料からなるグリーンシートとの間に挟持させることで積層体を作製する。そして、その積層体を焼成することで焼結体からなる積層電極体が得られる。
なお、各層のグリーンシートを作製する方法としては、周知のドクターブレード法がある。ドクターブレード法では、焼成前の無機酸化物などのセラミックス粉体にバインダー、および溶剤(無水アルコールなど)を混合して得たスラリーを塗布工程あるいは印刷工程により薄板状に成形してグリーンシートを作製する。そしてスラリーに含ませるセラミック粉体として正極活物質、固体電解質、および負極活物質のそれぞれの粉体を用いる。
全固体電池において最も特徴的な材料は固体電解質であり、以下の非特許文献1にも記載されているように、一般式Liで表されるNASICON型酸化物などが固体電解質として用いられる。正極活物質や負極活物質(以下、総称して電極活物質とも言う)としては従来のリチウム二次電池に使用されていた材料を使用することができる。また全固体電池では可燃性の電解液を用いないことから、より高い電位差が得られる電極活物質についても研究されている。
なお、以下の特許文献1には、全固体電池の基本的な製造方法について記載されている。また、非特許文献1には全固体電池の概要について記載されている。以下の特許文献2には、グリーンシート法を用い、異なる二種類の積層電子部品(積層インダクタと積層コンデンサなど)を一体化した積層複合電子部品の製造方法について記載されている。そして、特許文献2に記載の発明では、異なる積層電子部品のそれぞれのグリーンシートを積層して焼結させた際の熱収縮率の差異に基づく反りを抑制するために、それぞれの積層電子部品のグリーンシートに含ませるバインダーの種類を変えている。
特開2009−206094号公報 特開2000−331881号公報
大阪府立大学 無機化学研究グループ、"全固体電池の最前線"、[online]、[平成29年12月15日検索]、インターネット<URL:http://www.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/ohka2/research/battery_li.pdf>
グリーンシートからなる積層体を焼成することで作製される全固体電池は、その焼成に際して各層を確実に焼結させ、さらには層間で収縮率を調整するなどして焼成後の積層電極体に割れや反りなどが生じないようにする必要がある。従来の全固体電池の製造方法では、焼成前の各層のグリーンシートにフィラーを含ませることで、各層を確実に焼結させつつ、層間での収縮率を制御している。しかしフィラーはイオン伝導や充放電に関わる電気化学反応に寄与しない物質であり、フィラーを含む電極層材料を焼結させると、イオン伝導性の劣化や容量の低下など、目的とする電池性能が得られなくなる可能性がある。またフィラーが活物質と反応したり均一に分散されなかったりすれば、さらに電池性能を劣化させることも懸念される。
上記特許文献2に記載の発明のように、正極層や負極層(以下、総称して電極層とも言う)となるグリーンシートと、電解質層となるグリーンシートとにそれぞれ異なるバインダーを添加することも考えられる。しかし、全固体電池では、電極層用のグリーンシートには、非晶質の固体電解質が含まれ、電解質層には、非晶質の固体電解質と結晶化した固体電解質とが混在している。そして、非晶質の固体電解質は、焼成時に溶融して収縮した後、結晶化する。そのため、全固体電池では、各層のグリーンシートに含ませるバインダーの種類を変えることによって各層の収縮率を整合させることが難しい。
そこで本発明は、電極層と電解質層との間の熱収縮率を整合させて焼結性に優れた全固体電池を製造するための方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、一体的な焼結体で層状の正極と負極との間に層状の固体電解質が狭持されてなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方法であって、
正極用の電極活物質と、非晶質からなる固体電解質と、第1のバインダーと、第2のバインダーとを含むスラリー状の正極層材料をシート状に成形して正極層シートを作製する正極層シート作製ステップと、
負極用の電極活物質と、非晶質からなる前記固体電解質と、前記第1のバインダーと、前記第2のバインダーとを含むスラリー状の負極層材料をシート状に成形して負極シートを作製する負極層シート作製ステップと、
非晶質からなる前記固体電解質と、結晶化した前記固体電解質と、前記第1のバインダーとを含むスラリー状の電解質層材料をシート状に成形して電解質層シートを作製する電解質層シート作製ステップと、
前記正極層シート、前記電解質層シート、および前記負極層シートをこの順に積層してなる積層体を熱処理して前記第1のバインダーを分解させる第1脱脂ステップと、
前記第1脱脂ステップを経た前記積層体を熱処理して前記第2のバインダーを熱分解させる第2脱脂ステップと、
前記積層電極体を作製する焼成ステップと、
を含み、
前記第2のバインダーが熱分解する温度は、前記第1のバインダーが熱分解する温度よりも高く、
前記第2脱脂ステップでは、前記非晶質の固体電解質をガラス転移させる、
ことを特徴とする全固体電池の製造方法としている。
本発明によれば、電極層と電解質層との間の熱収縮率を整合させて焼結性に優れた全固体電池を製造するための方法が提供される。その他の効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法を示す図である。 上記実施例に係る全固体電池の製造方法において使用するバインダーの熱重量(TG)特性と、固体電解質(LAGP)の示差熱(DTA)特性とを示す図である。 上記実施例の方法で作製された全固体電池と、従来の方法で作製された全固体電池の電子顕微鏡写真を示す図である。 上記実施例の全固体電池の製造方法によって積層電極体の層間で熱収縮率が調整される概念を説明するための図である。
===実施例===
本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法では、グリーンシート法によって作製した正極層、負極層、および電解質層のそれぞれのグリーンシートを積層して得た積層体を焼成することで、焼結体からなる積層電極体を作製する。そして、各層のグリーンシートに、積層電極体を得るまでに実行される熱処理によって分解あるいは収縮する材料を適宜に含ませることで、各層の熱収縮率を整合させている。
===サンプル===
積層電極体を構成する各層において、熱処理によって分解する物質は、可塑剤やバインダーであり、熱収縮する物質は非晶質の固体電解質である。本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法では、正極層、負極層、および電解質層に、熱分解したり熱収縮したりする材料として、同じ種類の可塑剤、同じ種類のバインダー(以下、バインダー1とも言う)、および非晶質の固体電解質を含ませている。さらに、正極層と負極層(以下、総称して電極層とも言う)には、熱分解する温度がバインダー1よりも高いバインダー(以下、バインダー2とも言う)を含ませている。そして、電極層において、バインダー2が熱分解する際の収縮率と、電解質層において、焼成時に非晶質の固体電解質が溶融する際の収縮率とを調整しておくことで、電極層と電解質層の収縮率とを整合させている。
以下では、本発明の実施例に係る方法で作製した全固体電池をサンプル(以下、実施例に係るサンプル)として、当該サンプルに対し、交流インピーダンス測定により、1kHz時の抵抗値を比較し、各層間での熱収縮率の整合性を評価した。また、比較例に係るサンプルとして、従来の全固体電池の製造方法と同様に、電極層にバインダー2を含ませず、バインダーとしてバインダー1のみを用いた全固体電池も作製した。
<固体電解質>
本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法では、固体電解質に、周知のLAGPを用いている。周知のごとくLAGPは0<x<1として化学式Li1+xAlGe2−x(POで表される化合物である。そして、本実施例では、電極層のグリーンシート(以下、電極層シートとも言う)には、非晶質のLAGPを含ませ、電解質層のグリーンシート(以下、電解質層シートとも言う)には、非晶質のLAGPと結晶化したLAGPとを含ませている。
LAGPは、例えば、固相法を用いて作製することができる。固相法を用いたLAGPの作製手順としては、原料として、LiCO、Al、GeO、NHPOの粉末を用い、これらの原料を磁性乳鉢やボールミルで混合する。次いで、その混合物をアルミナルツボなどに入れて300℃〜400℃の温度で3h〜5hの時間を掛けて仮焼成して得た仮焼き粉体を1200℃〜1400℃の温度で1h〜2h熱処理し、仮焼き粉体を溶解させる。そして、その溶解した試料を急冷してガラス化することで、非晶質のLAGPの粉体が得られる。非晶質のLAGPはこのようにして作製することができる。また、その非晶質のLAGPの粉体を、ボールミルなどを用いて粉砕したのち、その粉砕後の非晶質のLAGP粉体を、例えば、600℃5hの条件で焼成することで結晶化したLAGPの粉体を得ることができる。そして、本実施例では、これらの非晶質、あるいは結晶化したLAGPを用いてサンプルを作製する。
<サンプルの作製手順>
図1に、サンプルの作製手順を示した。まず、サンプルを構成する電極層シートと、電解質層シートとを作製する(s1a,s2a、s1b,s2b、s1c,s2c)。電極層シートについては、電極活物質、非晶質のLAGP、導電助剤、バインダー、可塑剤を含むスラリー状の電極材料を上述したドクターブレード法によりシート状に成形する。また、実施例に係るサンプルでは、バインダーとして、上述したように、熱分解する温度が異なる第1および第2のバインダーを用いている。本実施例では、バインダー1には、アクリル系バインダーを用いた。バインダー2には、分子量が50000以上のポリビニルブチラールを用いた。比較例に係るサンプルについては、バインダー1のみを用いた。
電極層シートの材料となるペースト状の電極層材料は、非晶質のLAGPの粉体と電極活物質とを、例えば、質量比で50:50となるように混合したものをセラミック粉体としている。そして、そのセラミック粉体に対し、バインダー1とバインダー2を、それぞれ、例えば、10wt%〜15wt%ずつ添加する。比較例に係るサンプルについては、バインダー1を、例えば、20wt%〜30wt%添加する。次いで、溶媒としてエタノールなどの無水アルコールをセラミック粉体に対し30wt%〜50wt%添加して得た混合物を、ボールミルなどで、例えば、20h混合する。それによって、スラリー状の電極層材料が得られる。電極活物質としては、正極であれば、リン酸バナジウムリチウム(Li(PO)などを用いることができる。負極であれば、酸化チタン(TiO)などを用いることができる。また、電極層には必要に応じて炭素材料などからなる導電助剤を添加する。
一方、電解質層シートの材料となるペースト状の電解質層材料は、非晶質のLAGPの粉体と結晶化したLAGPの粉体とを、例えば、質量比で50:50となるように混合したものをセラミック粉体としている。そして、そのセラミック粉体に対し、バインダー1を、例えば、20wt%〜30wt%添加するとともに、溶媒としてエタノールなどの無水アルコールをセラミック粉体に対し30wt%〜50wt%添加することで得た混合物をボールミルなどで、例えば、20h混合することで作製される。
以上のように作製されたペースト状の電極層材料と電解質層材料は、それぞれ、真空中にて脱泡した後、ドクターブレード法にてPETフィルム上に塗工し、正極層と負極層のそれぞれに対応するシート状の電極層材料と、電解質層に対応するシート状の電解質層材料とを得る。さらに、各層のシートを目的の厚さに調整するために、一回の塗工で得られた1枚のシート状の材料を複数枚積層するとともに、その積層したものをプレス圧着したものを所定の平面サイズに裁断してグリーンシートである正極層と負極層のそれぞれの電極層シートと、電解質層シートとを完成させる。
次に、電解質層シートを正極層と負極層の電極層シートで狭持したものをプレス圧着して積層体を作製する(s3)。そして、その積層体に対し、二段階の脱脂工程を行う。この二段階の脱脂工程には、バインダー1を熱分解させる第1脱脂工程(s4)と、バインダー2を熱分解させるとともに、非晶質のLAGPを溶融させる第2脱脂工程(s5)とを含んでいる。そして、バインダー2には、非晶質のLAGPが溶融して収縮する温度と同等な温度で熱分解するものを用いる。
図2に、バインダー1およびバインダー2の熱重量(TG)特性と、LAGPの示差熱(DTA)特性とを示した。図2に示したように、バインダー1は約310℃で分解し、バインダー2は約530℃で分解する。そしてLAGPのガラス転移点は、バインダー2が熱分解する温度と同じ約530℃である。なお、比較例に係るサンプルについても、二段階の脱脂工程と同様にして二段階の熱処理を行った。二段階の脱脂工程(熱処理)(s5)を経た上記積層体を、還元性雰囲気下で第2脱脂工程よりも高い温度で焼成して焼結体である積層電極体(サンプル)を得る(s6)。ここでは、600℃5hの条件で焼成した。そして、積層電極体10の最上層と最下層の表面にスパッタリングや蒸着によって金などの金属からなる薄膜を形成して集電体20を形成し、全固体電池1を完成させた。
===特性評価===
上述した手順により、実施例に係るサンプルと比較例に係るサンプルとを、それぞれ7個ずつ作製した。そして、全個体に対し、交流インピーダンスを測定し、1kHzの周波数を比較した。
以下の表1に各サンプルのインピーダンスの測定結果を示した。
表1において、サンプル1〜7が実施例に係るサンプルであり、サンプル8〜14が比較例に係るサンプルである。そして、比較例に係るサンプル8〜14のインピーダンスを見ると、サンプル8でインピーダンスが最小値74.2Ωとなり、サンプル10で最大値120.2Ωとなった。そして、最大値と最小値との差は46.0Ωであり、ばらつきが大きかった。また、平均値は、86.4Ωであった。
一方、実施例に係るサンプル1〜7のうち、インピーダンスの最小値は、サンプル2における73.4Ωであり、最大値は、サンプル4における77.2Ωであった。そして、最大値と最小値との差は3.8Ωであり、均一なインピーダンス特性が得られた。また平均値も75.3Ωであり、比較例に係るサンプルに対して低抵抗であることも確認できた。
このように、実施例に係るサンプルに対し、比較例に係るサンプルのインピーダンスにばらつきが生じ、平均値も高かったことの理由としては、比較例に係るサンプルでは、電極層と電解質層との間での熱収縮率に不整合があり、層間にクラックや焼結不良が生じたためと考えることができる。そこで、実施例に係るサンプルと比較例に係るサンプルのそれぞれについて、層間の状態を電子顕微鏡で観察した。図3に、実施例と比較例とに係るサンプルの電子顕微鏡写真を示した。図3(A)は、実施例に係るサンプルを示しており、表1におけるサンプル3の電子顕微鏡写真である。図3(B)は、比較例に係るサンプルを示しており、表1におけるサンプル10の電子顕微鏡写真である。図3(A)に示したように、実施例に係るサンプル(サンプル3)では、層間にクラックや焼結不良がなく、層間が滑らかに連続していることが分かる。一方、図3(B)に示した比較例に係るサンプル(サンプル10)では、層間にクラックが発生していることが確認できる。
このように、本発明の実施例に係る全固体電池の製造方法では、バインダーとLAGPとによって、層間の熱収縮率を調整している。図4に、層間で熱収縮率を調整する手法を概念化して示した。図4では、グリーンシート、第1脱脂工程後、および焼成後のそれぞれの状態における積層体の各層中の材料の内訳を示している。なお、非晶質のLAGPを「電解質1」とし、結晶化したLAGPを「電解質2」としている。そして、電解質層と電極層とでは、電解質1が溶融することで収縮する割合が異なっており、一種類のバインダーを用いた従来の全固体電池の製造方法では、その割合が、電極層よりも電解質層の方が大きかった。すなわち、電解質層の方がより大きく収縮していた。そこで、本実施例の全固体電池の製造方法では、電極層中で不足する電解質1の収縮分を第2のバインダーの収縮分で補っている。それによって、積層電極体における層間で熱収縮率を整合させることが可能となり、電極層と電解質層との界面でのクラックの発生を抑制し、焼結性も向上する。結果として、電池のインピーダンスを低減させることができる。インピーダンスを低減させることで、全固体電池の充放電特性を向上させることが可能となる。
===その他の実施例===
第1のバインダーや第2のバインダーは、上記実施例に限らない。第2のバインダーの熱分解温度が、第1のバインダーの熱分解温度よりも高く、固体電解質のガラス転移点と同程度であればよい。
第1と第2のバインダーの配合比率は、上記実施例に限らない。各バインダーや固体電解質の収縮率に合わせて配合比率を調整すればよい。そして、バインダー固体電解質は、その種類に応じて熱収縮率が決まっており、熱収縮率が同じになるように、バインダーや固体電解質の種類に応じて配合比率を調整すればよい。
当然のことながら、本発明に係る全固体電池に用いられる固体電解質、正極活物質、負極活物質は、上記実施例に使用したものに限らない。固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する材料であればよく、各種NASICON型酸化物や硫化物系無機固体電解質などが挙げられる。電極活物質としては、非水電解液を用いた従来のリチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを用いることができる。例えば、正極活物質であれば、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などの層状酸化物や、オリビン構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO)、スピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn、LiMnO、LiMO)などが挙げられる。負極活物質もリチウムイオン電池用として分類される物質であれば特に限定はされない。例えば、炭素材料(天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維など)、チタン酸リチウム(LiTi12)などの金属酸化物が挙げられる。また正極活物質および負極活物質の表面に、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、チタン酸リチウム(LiTi12)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、炭素(C)などがコーティングされていてもよい。もちろん、全固体電池を作製する際に用いる溶剤なども上述したものに限らない。
s2a 正極層シート作製工程、s2b 電解質層シート作製工程、s2c 負極層シート作製工程、s4 第1脱脂工程、s5 第2脱脂工程、s6 焼成工程

Claims (1)

  1. 一体的な焼結体で層状の正極と負極との間に層状の固体電解質が狭持されてなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方法であって、
    正極用の電極活物質と、非晶質からなる固体電解質と、第1のバインダーと、第2のバインダーとを含むスラリー状の正極層材料をシート状に成形して正極層シートを作製する正極層シート作製ステップと、
    負極用の電極活物質と、非晶質からなる前記固体電解質と、前記第1のバインダーと、前記第2のバインダーとを含むスラリー状の負極層材料をシート状に成形して負極シートを作製する負極層シート作製ステップと、
    非晶質からなる前記固体電解質と、結晶化した前記固体電解質と、前記第1のバインダーとを含むスラリー状の電解質層材料をシート状に成形して電解質層シートを作製する電解質層シート作製ステップと、
    前記正極層シート、前記電解質層シート、および前記負極層シートをこの順に積層してなる積層体を熱処理して前記第1のバインダーを分解させる第1脱脂ステップと、
    前記第1脱脂ステップを経た前記積層体を熱処理して前記第2のバインダーを熱分解させる第2脱脂ステップと、
    前記積層電極体を作製する焼成ステップと、
    を含み、
    前記第2のバインダーが熱分解する温度は、前記第1のバインダーが熱分解する温度よりも高く、
    前記第2脱脂ステップでは、前記非晶質の固体電解質をガラス転移させる、
    ことを特徴とする全固体電池の製造方法。
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