JP2019138420A - 固定式等速自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定式ディスク形等速自在継手の外側継手部材と取付フランジ部材との間の嵌合部のシール性を向上する。【解決手段】外側継手部材10と、外側継手部材10の内側に組み込まれる内側継手部材20と、外側継手部材10と内側継手部材20の間に組み込まれるトルク伝達部材2と、外側継手部材10の軸方向一端部の外径に嵌合される取付フランジ部材50とを備え、外側継手部材10と内側継手部材20との間で角度変位を許容してトルクを伝達する固定式等速自在継手において、外側継手部材10の軸方向他端部に固定され外側継手部材10と内側継手部材20との間を封止するシール部材34を保持するシール固定部材31と、シール固定部材31と取付フランジ部材50との間に配置され外側継手部材10の外周部を覆う環状の間座3とを備えた固定式等速自在継手のシール構造とした。【選択図】図1
Description
この発明は、各種産業機械等において、特に過酷な環境下で使用される固定式等速自在継手に関するものである。
等速自在継手は等速ジョイントとも呼ばれ、一般に、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、角度変位及び軸方向変位の両方を許容する摺動式等速自在継手とが知られている。
固定式等速自在継手では、外側継手部材(外輪)の内面に、軸方向に沿って延びる複数の外側トラック溝を周方向に等間隔に備え、外側継手部材の内側に組み込まれた内側継手部材(内輪)の外面に、外側トラック溝と半径方向で対向する内側トラック溝を備えているものが一般的である。内側トラック溝と外側トラック溝間に、ボール等のトルク伝達部材が組み込まれ、そのトルク伝達部材を外側継手部材と内側継手部材との間に組み込まれたケージ(保持器)によって保持している。
また、固定式等速自在継手では、外側継手部材の内面と内側継手部材の外面が、それぞれ軸方向に沿って円弧状に湾曲しているものが一般的である。また、このタイプでは、外側継手部材の内面の曲率中心と内側継手部材の外面の曲率中心が、ジョイント中心に対して左右に等距離オフセットされたトラックオフセット構造とすることで、外側継手部材と内側継手部材とが作動角を有する状態、すなわち互いの軸心同士が屈折角を有する状態でトルクを伝達するとき、トルク伝達部材は作動角の2等分面上に常に配置される。これにより、外側継手部材と内側継手部材は、等速性を維持して回転トルクを伝達できるようになっている。
ところで、各種産業機械等で使用される固定式等速自在継手では、外部からの異物の侵入、及び、内部からのグリースの漏出を防止するため、ゴムや樹脂製のブーツをシール部材として装着している場合が多い。しかしながら、例えば、鉄鋼設備などで使用されるロール駆動力伝達装置は、高温多湿、スケールの飛散、薬品類の付着等による過酷な環境下で使用されるため、前述したゴムや樹脂製のブーツからなるシール部材の場合、そのシール部材が劣化しやすく、シール性能および耐久性能の低下を招来しやすい状況である。
このため、例えば、特許文献1には、ゴムや樹脂製のブーツからなるシール部材を使用せず、金属製の球面シール構造を採用した技術が開示されている。また、特許文献2には、上記の球面シール構造において、耐熱性、耐水性及び耐腐食性の更なる改善を目的として、球面シール部全体を、空隙を隔てて円筒形カバーで覆う技術も開示されている。
また、固定式等速自在継手では、環状を成す外側継手部材の軸方向一端に、外径方向へ突出する外径フランジ部を備えて、その外径フランジ部を介して、トルク伝達の相手側部材である取付フランジ部材に固定する固定式カップ形と呼ばれるタイプの固定式等速自在継手と、外径フランジ部を有さないディスク形状の外側継手部材の外径を、相手側部材である取付フランジ部材に嵌合して固定する固定式ディスク形と呼ばれるタイプの固定式等速自在継手がある。上記特許文献1,2は、固定式カップ形等速自在継手におけるシール構造を示している。
なお、取付フランジ部材には、通常、その軸心部に中空の軸挿通部が設けられており、その軸挿通部にトルク伝達用シャフトが支持されて、トルク伝達用シャフト、取付フランジ部材、外側継手部材が一体となる。また、内側継手部材には、反対側に配置される別のトルク伝達用シャフトが接続される。
固定式ディスク形等速自在継手では、外側継手部材が軸方向に短いディスク形状であり、その外側継手部材の外径に取付フランジ部材が嵌合固定される構造である。このため、固定式ディスク形等速自在継手では、上記特許文献1,2のような、固定式カップ形固定式等速自在継手で用いた球面シール構造や円筒形カバーは採用できない。
したがって、固定式ディスク形等速自在継手では、例えば、外側継手部材と内側継手部材との間の環状空間における軸方向他端部の開口を閉じるブーツと、金属環、シール固定部材等を用いたシール構造を採用している。このとき、環状空間の軸方向一端部の開口は、外側継手部材の外径に嵌合された取付フランジ部材によって覆われる。
このシール構造では、例えば、ブーツは、小径端部と大径端部を有して、金属環は、ブーツの小径端部と大径端部にそれぞれ加硫接着により一体に固定されたものとなっている。小径端部の金属環は、内側継手部材又はその内側継手部材に接続されたトルク伝達用シャフトの外周に圧入嵌合により固定される。大径端部の金属環はシール固定部材に加締固定されている。シール固定部材は環状を成し、ディスク形状の外側継手部材の端面又は外面に固定される。
ところで、高負荷対応の大形サイズの固定式ディスク形等速自在継手では、駆動源であるモータ等から入力されるトルクが高いため、小形サイズにて適用しているボルトの摩擦力によるトルク伝達では伝えきれない場合がある。このため、外側継手部材の軸方向一端部と取付フランジ部材との連結は、単なる円筒面同士の圧入嵌合ではなく、互いの嵌合面に形成した凹凸による歯面嵌合によるものとしている。歯面嵌合を採用すれば、入力トルクは、外側継手部材と取付フランジ部材との間で、互いに嵌合した歯面を介して伝達されるため、高負荷対応が可能となる。
しかし、外側継手部材と取付フランジ部材との嵌合部が、外側継手部材の最外径部になっているため、熱やスケールの飛散、薬品類の付着等による影響を受けやすい。このため、想定を超えるような過酷な使用環境にあっては、嵌合の歯面に腐食が生じる可能性がある。また、歯面嵌合ではない通常の嵌合においても、その嵌合面に腐食が生じる可能性がある。このような腐食は、嵌合部のがた発生に繋がり、そのがたが増大すると機能低下に繋がる恐れがあるので好ましくない。
このため、この外側継手部材と取付フランジ部材との嵌合部を、ブーツによってシールする手法が考えられる。しかし、ブーツによるシール構造では、通常の使用環境における低角度高速回転では対応可能であるが、高角度高速回転に用いる場合、あるいは、過酷な使用部位や使用環境では、耐久性に劣る場合がある。特に、嵌合部が最外径部に位置するので、雰囲気が高温多湿な環境や、化学水や酸化スケール等の飛散を受ける環境等では、特に高い耐久性が求められる。
そこで、この発明は、固定式ディスク形等速自在継手において、外側継手部材と取付フランジ部材との間の嵌合部のシール性を向上することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、外側継手部材と、前記外側継手部材の内側に組み込まれる内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材の間に組み込まれるトルク伝達部材と、前記外側継手部材の軸方向一端部の外径に嵌合される取付フランジ部材と、を備え、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間で角度変位を許容してトルクを伝達する固定式等速自在継手において、前記外側継手部材の軸方向他端部に固定され前記外側継手部材と前記内側継手部材との間を封止するシール部材を保持するシール固定部材と、前記シール固定部材と前記取付フランジ部材との間に配置され前記外側継手部材の外周部を覆う環状の間座と、を備えた固定式等速自在継手とした。
ここで、前記間座は金属又は弾性体である構成を採用することができる。また、前記間座は、前記シール固定部材の一端と前記取付フランジ部材の他端との間に挟んで固定される構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記間座の外周部を覆うように配置される環状のカバーを備える構成を採用することができる。
前記カバーは、前記間座の外周部に圧入固定される構成を採用することができる。また、前記カバーは、周方向に沿って複数に分割された円弧状のカバー部材を用い、複数の前記カバー部材を、前記間座の外周部に締め付けて環状に固定している構成を採用することができる。さらに、前記カバーは、前記間座の外周部及び前記取付フランジ部材の外周部に跨って配置される構成を採用することができる。また、前記カバーの軸方向他端の内面に面取り部が形成される構成を採用することができる。
これらの各態様における固定式等速自在継手は、前記外側継手部材の内面と前記内側継手部材の外面は軸方向に沿って円弧状であり、前記外側継手部材の内面の円弧の中心と前記内側継手部材の外面の円弧の中心とが軸方向にずれている構成を採用することができる。
また、前記外側継手部材の内面に形成され軸方向に沿って延びる複数の外側トラック溝と、前記内側継手部材の外面に形成され前記外側トラック溝と半径方向で対向する内側トラック溝と、を備え、前記トルク伝達部材は前記外側トラック溝と前記内側トラック溝間に組み込まれ、円弧状を成す前記外側継手部材の内面は前記外側トラック溝の底面であり、円弧状を成す前記内側継手部材の外面は前記内側トラック溝の底面である構成を採用することができる。
この発明は、外側継手部材の軸方向一端側に嵌合される取付フランジ部材と、外側継手部材の軸方向他端側に固定されるシール固定部材との間に、外側継手部材の外周部を覆う環状の間座を配置したので、外側継手部材と取付フランジ部材との嵌合部の腐食を抑制し、固定式等速自在継手の長寿命化をはかることができる。
この発明の実施形態を、以下、図面に基いて説明する。この実施形態は、各種産業機械の中でも、例えば、鉄鋼設備等の過酷な環境下で使用される駆動力伝達装置に組み込まれる固定式等速自在継手1、及び、その固定式等速自在継手1のシール構造である。鉄鋼設備等の過酷な環境下では、高温多湿、スケールの飛散、薬品類の付着等がある状況で、この固定式等速自在継手1が用いられる。
固定式等速自在継手1は、図1及び図2に示すように、外側継手部材10と、その外側継手部材10の内側に組み込まれる内側継手部材20と、外側継手部材10と内側継手部材20の間に組み込まれるトルク伝達部材2としてのボールと、そのトルク伝達部材2を保持するケージ5とを備えている。
外側継手部材10の内面には、軸方向に沿って延びる複数の外側トラック溝12が、周方向に沿って等間隔に形成されている。また、内側継手部材20の外面には、外側トラック溝12と半径方向で対向し、軸方向に沿って延びる複数の内側トラック溝22が、周方向に沿って等間隔に形成されている。
トルク伝達部材2は、半径方向に対向する外側トラック溝12と内側トラック溝22との間に組み込まれる。また、トルク伝達部材2は、ケージ5に形成された複数のポケットにそれぞれ収容されて、周方向に沿って等間隔に配置されている。半径方向に対向する外側トラック溝12と内側トラック溝22の数、及び、それと同数のトルク伝達部材2の数は、例えば、6個あるいは8個等とでき、また、それ以外の任意の個数に設定できる。
ケージ5は、外側継手部材10の内周面と内側継手部材20の外周面との間の環状空間に介在する。このケージ5には、トルク伝達部材2を保持する複数のポケットが、周方向に沿って複数箇所に等間隔で形成されている。
外側トラック溝12の底面は、図1に示すように、軸方向に沿って外径方向へ凸状に湾曲する円弧状である。また、外側トラック溝12の底面は、図2に示すように、トルク伝達部材2を構成するボールの外面に沿うように、周方向へも円弧状の断面となっている。
内側トラック溝22の底面は、同じく図1に示すように、軸方向に沿って外径方向へ凸状に湾曲する円弧状である。また、内側トラック溝22の底面は、同じく図2に示すように、トルク伝達部材2を構成するボールの外面に沿うように、周方向へも円弧状の断面となっている。
外側継手部材10の内面の円弧の中心aと、内側継手部材20の外面の円弧の中心bとは、図1に示すように、ジョイント中心oから軸方向に同距離だけ反対にずれた位置に設定されている。このため、固定式等速自在継手1を挟んで、一方側のトルク伝達用シャフト(取付フランジ部材50)と他方側のトルク伝達用シャフト60との二軸間で外側継手部材10と内側継手部材20とが角度変位すると、ケージ5のポケットに収容されたトルク伝達部材2は、どの作動角においても常に、その作動角の二等分面内に維持される。これにより、固定式等速自在継手1の回転伝達の等速性が確保されるようになっている。
外側継手部材10の軸方向一端部の外径には、取付フランジ部材50が嵌合により固定される。取付フランジ部材50には、その軸心部に中空の軸挿通部が設けられており、その軸挿通部に一方側のトルク伝達用シャフト(図示せず)が支持されて、一方側のトルク伝達用シャフト、取付フランジ部材50、外側継手部材10が一体に回転可能な状態となる。
取付フランジ部材50は、図1及び図4に示すように、中空の軸挿通部を有する基部51と、その基部の軸方向他端部に固定される嵌合部材52とを備える。嵌合部材52は、外側継手部材10の外径に嵌る突出部52bを備え、外側継手部材10の外径は突出部52bの内面に圧入嵌合される(図2参照)。嵌合部材52は、基部51よりもやや大径の環状部材であり、嵌合部材52と基部51とは溶接等により一体に固定されている。図中の符号53は溶接部を示している。
また、外側継手部材10の軸方向一端部の外径には、周方向に沿って等間隔に形成された複数の凹部13を設けている。嵌合部材52には、同じく周方向に沿って等間隔に形成された突出部52bが複数設けられており、図2に示すように、それぞれの凹部13に対して、対応する突出部52bがぴったりと入り込んで歯面嵌合するようになっている。このように、外側継手部材10と取付フランジ部材50との嵌合を、互いの嵌合面に形成した凹凸による歯面嵌合としたことにより、入力トルクは、外側継手部材10と取付フランジ部材50との間で、互いに嵌合した歯面を介して伝達され、その結果、高負荷対応が可能となっている。
歯面嵌合の形態は、この実施形態には限定されず、凹凸の形状、配置等は自由である。また、高負荷が作用しない仕様である場合等には、歯面嵌合ではない、通常の円筒面同士の圧入嵌合とすることもできる。
内側継手部材20の軸心には、軸方向に伸びる軸孔21が形成されている。この軸孔21に、他方側のトルク伝達用シャフト60が挿通されて、他方側のトルク伝達用シャフト60、内側継手部材20が一体に回転可能な状態となる。この他方側のトルク伝達用シャフト60は、軸孔21に入り込む挿入部61にシャフト62が溶接で接続されている。図1中の符号63は溶接部である。また、他方側のトルク伝達用シャフト60は、止め輪41、ボルト42、ワッシャ43等により、内側継手部材20に対して抜け止めされている。他方側のトルク伝達用シャフト60と内側継手部材20との接続は、この実施形態ではスプライン嵌合としているが、スプライン嵌合以外の他の接続構造としてもよい。
なお、この実施形態では、一方側のトルク伝達用シャフト(取付フランジ部材50)を入力側、他方側のトルク伝達用シャフト60を出力側としているが、これを逆にして、他方側のトルク伝達用シャフト60を入力側、一方側のトルク伝達用シャフトを出力側としてもよい。いずれの場合も、入力側のトルク伝達用シャフトと出力側のトルク伝達用シャフトとが固定式等速自在継手1を介して連結され、その二軸間の角度変位を許容しつつ、等速で回転トルクを伝達する。
また、この固定式等速自在継手1では、外側継手部材10の内側空間に潤滑剤G(グリース等)を封入することにより、作動時における継手内部の摺動部位での潤滑性を確保するようにしている。また、外側継手部材10の内部に封入された潤滑剤Gの漏洩を防ぐとともに、外部からの異物侵入等を防止するため、外側継手部材10と内側継手部材20との間の環状空間の軸方向他端側の開口を封止する第一のシール機構を備えている。
第一のシール機構は、図1に示すように、ゴム又は樹脂製のシール部材34と、内外それぞれの金属環、及び、シール固定部材31とで構成されている。この実施形態では、ゴム製のシール部材(ブーツ)34を採用している。図中の符号33は、潤滑剤の注入部である。
ブーツ34は環状を成し、その内径側に小径端部と外径側に大径端部を有して、その中間で軸方向内側に向かってU字状に折り返した形状を成す。金属環は筒状を成し、ブーツ34の小径端部と大径端部にそれぞれ加硫接着により一体に固定されている。小径端部の金属環は、他方側のトルク伝達用シャフト60の外周に圧入嵌合により固定される。大径端部の金属環は、シール固定部材31に加締固定されている。シール固定部材31は環状を成し、ディスク形状の外側継手部材10の端面又は外面に固定される。図1では、シール固定部材31は、外側継手部材10の外径に圧入固定されている。
また、シール固定部材31は、外側継手部材10及び取付フランジ部材50に対して、ボルト32によって締結されている。ボルト32は、外側継手部材10に形成されたネジ孔14、及び、取付フランジ部材50に形成されたネジ孔54にそれぞれねじ込まれている。
また、この固定式等速自在継手1では、外側継手部材10と取付用フランジ部材50との嵌合部に対して、外部からのスケールの飛散、薬品類の付着、異物侵入等を防止するために、第二のシール機構を備えている。
第二のシール機構は、シール固定部材31と取付フランジ部材50との間に配置され、外側継手部材10の外周部11を覆う環状の間座3を備えている。間座3の素材には、金属、又は、ゴム、樹脂、あるいは、油脂を染みこませたフェルト等からなる弾性体を採用することができる。この実施形態では、間座3の素材に硬質のゴムを採用している。
間座3は筒状部材で構成され、その軸方向長さは、外側継手部材10の軸方向長さよりもやや短く設定されている。間座3は、シール固定部材31の一端と取付フランジ部材50との他端との間に挟んで固定される。このとき、シール固定部材31は、外側継手部材10及び取付フランジ部材50に対してボルト32によって締結されているので、ボルト32の締め付けによって、間座3はシール固定部材31と取付フランジ部材50との間に押し付けられて固定される。間座3が硬質材、すなわち、金属製である場合や、あるいは、硬質のゴム製、硬質の樹脂製である場合は、このような軸方向両側からの締め付け固定が可能である。
また、間座3が、金属、硬質のゴム、硬質の樹脂等の硬質材である場合は、その間座3を、外側継手部材10の外径に圧入固定とすることもできる。
間座3の介在によって、外側継手部材10と取付フランジ部材50との嵌合部が保護され、その嵌合部の腐食が抑制され、継手の長寿命化が図られる。嵌合部を歯面嵌合とした場合には、その効果がより高いといえる。なお、間座3の内径側において、凹部13等の空間に潤滑剤Gが介在した状態となる。
なお、図5に示すように、間座3には、内面3aと軸方向一方の端面3c、内面3aと軸方向他方の端面3dとの間の稜線部に、それぞれ面取り部3eが設けられている。この面取り部3eにより、間座3を外側継手部材10に装着する際における部材の保護が図られている。面取り部3eがあれば、部材の圧入も容易である。また、外面3bと軸方向一方の端面3c、外面3bと軸方向他方の端面3dとの間の稜線部にも、それぞれ面取り部3fが設けられているので、装着後の部材の保護も図られている。面取り部3e,3fは、テーパー状、円弧状等の任意の形状とできる。
また、第二のシール機構では、間座3の外周部を覆うように環状のカバー4が備えられている。間座3のみでもシール性の効果があるが、カバー4を併用することで、さらに高い効果が期待できる。
また、カバー4は、間座3の外周部及び取付フランジ部材50の外周部に跨って配置される。この実施形態では、カバー4は、間座3の外周部のうち軸方向一端側の領域と、取付フランジ部材50の嵌合部材52の外周部全域を覆っている。カバー4は、間座3の外周部のうち、少なくとも嵌合部材52寄りの部分を覆っていればよいが、このように間座3と取付フランジ部材50とに跨って配置すれば、より高いシール性を確保できる。また、その変形例としては、カバー4が、間座3の外周部全域を覆うようにしてもよいし、あるいは、カバー4が、嵌合部材52の外周部のうち軸方向他端側の領域のみ、すなわち間座3寄りの部分のみを覆っていてもよい。
カバー4の素材には、硬質材を用いることができる。例えば、鋼材(STPG,STK,SUS等)であってもよいし、あるいは、硬質の樹脂(硬質ホ゜リ塩化ビニール管PVC等)等であってもよい。これらの硬質材の素材は、間座3を硬質材とする場合にも採用できる。カバー4の素材に硬質材を用いることで、間座3の外径にカバー4を圧入固定することができ、より安定したシール性能を確保することができる。
また、カバー4の軸方向一端に、周方向に沿って等間隔に形成され内径方向に突出する複数の係止部4dが設けられている。この係止部4dが、外側継手部材10の軸方向一端部の外径に周方向に沿って等間隔に設けた複数の凹部52aに入り込むので、カバー4と外側継手部材10との一体化がより強固なものとなっている。複数形成した係止部4d及び凹部52aは、それぞれ周方向全周に設けられていてもよいし、周方向の一部であってもよく、不等ピッチに形成されてもよく、あるいは、周方向に沿って断続的に複数設けられていてもよい。
また、図6に示すように、カバー4には、内面4aと軸方向他方の端面4dとの間の稜線部に、面取り部4fが設けられている。この面取り部4fにより、カバー4を、間座3及び外側継手部材10に装着する際における部材の保護が図られている。面取り部4fがあれば、部材の圧入も容易である。また、外面4bと軸方向一方の端面4cとの間の稜線部にも面取り部4eが設けられているので、装着後の部材の保護も図られている。面取り部4e,4fは、テーパー状、円弧状等の任意の形状とできる。
なお、カバー4は、間座3の外周部を覆うように固定されていればよく、その固定構造は圧入固定には限定されない。例えば、カバー4を、間座3や取付フランジ部材50の外周部に接着固定してもよいし、ボルトやバンド等により締め付け固定してもよい。
また、カバー4は、環状に一体に形成された部材に限定されず、例えば、周方向に沿って複数に分割された円弧状、円筒状のカバー部材を用いてもよい。この場合、例えば、複数のカバー部材を、間座3や取付フランジ部材50の外周部に対して周方向に並列させて環状とし、それらをバンド等によって締め付けて固定するとよい。
カバー4を圧入固定とする場合、間座3は、適用する材料に応じて外径寸法が設定される。例えば、間座3の素材に弾性体を使用する場合、その外径寸法が、カバー4の内径寸法よりも1〜2mm程度大きい径に設定されていることが望ましい。間座3を鋼製とする場合は、その外径寸法が、カバー4の内径寸法よりも0〜0.05mm程度小さい径に設定されていることが望ましい。また、分割しない一体の環状のカバー4とする場合には、取付フランジ部材50の外径寸法とカバー4の内径寸法との間に、嵌め合いの締代を設定することとなる。
間座3を外側継手部材10の外周に圧入する場合は、その手順として、例えば、取付フランジ部材50に外側継手部材10の外周を嵌合させ、その状態で、プレス機等を用いて間座3を外側継手部材10の外周に圧入する。その後、一旦、取付フランジ部材50を外側継手部材10から取り外し、外側継手部材10の周辺に固定式等速自在継手1の構成部品(例えば、内側継手部材20、トルク伝達部材2、ケージ5、シール部材34、シール固定部材31等)を取り付けて固定式等速自在継手1の主要部を組み立てた後に、再度、取付フランジ部材50を外側継手部材10の外周に嵌合させて、最後にカバー4を圧入する手法を採用することができる。
以上のように、この発明では、産業機械用の固定式等速自在継手1として使用している固定式ディスク形等速自在継手において、外側継手部材10と取付フランジ部材50との間の嵌合部、特に、高速対応で歯面嵌合の構造となっている場合はその歯面結合部の腐食対策等として、外側継手部材10の外周部11に間座3を装着し、さらにその外周部にカバー4を圧入嵌合したので、その嵌合部、歯面結合部を外的な攻撃から保護し、腐食を抑制することができる。このため、継手の長寿命化を図ることができる。また、既存の固定式ディスク形等速自在継手において、追加部品として間座3、カバー4を外周部へ装着するだけで、継手本体のシール性能を容易に向上できる。
上記の実施形態では、外側トラック溝12の底面と内側トラック溝22の底面がそれぞれ円弧状を成す固定式ディスク形等速自在継手を対象としたが、この発明は、種々の形態の固定式ディスク形等速自在継手に適用可能である。例えば、トラック溝の底面を円弧状とすることに代えて、トラック溝以外の部分における外側継手部材10の内面と内側継手部材20の外面をそれぞれ軸方向に沿って円弧状として、外側継手部材10と内側継手部材20との間で角度変位を許容してトルクを伝達可能としたタイプの固定式等速自在継手にも、この発明を適用できる。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 固定式等速自在継手
2 トルク伝達部材
3 間座
4 カバー
5 ケージ
10 外側継手部材
11 外周部
12 外側トラック溝
13 凹部
20 内側継手部材
21 軸孔
22 内側トラック溝
31 シール固定部材
34 シール部材
50 取付フランジ部材
52 嵌合部材
60 トルク伝達用シャフト
2 トルク伝達部材
3 間座
4 カバー
5 ケージ
10 外側継手部材
11 外周部
12 外側トラック溝
13 凹部
20 内側継手部材
21 軸孔
22 内側トラック溝
31 シール固定部材
34 シール部材
50 取付フランジ部材
52 嵌合部材
60 トルク伝達用シャフト
Claims (7)
- 外側継手部材(10)と、
前記外側継手部材(10)の内側に組み込まれる内側継手部材(20)と、
前記外側継手部材(10)と前記内側継手部材(20)の間に組み込まれるトルク伝達部材(2)と、
前記外側継手部材(10)の軸方向一端部の外径に嵌合される取付フランジ部材(50)と、を備え、
前記外側継手部材(10)と前記内側継手部材(20)との間で角度変位を許容してトルクを伝達する固定式等速自在継手において、
前記外側継手部材(10)の軸方向他端部に固定され前記外側継手部材(10)と前記内側継手部材(20)との間を封止するシール部材(34)を保持するシール固定部材(31)と、
前記シール固定部材(31)と前記取付フランジ部材(50)との間に配置され前記外側継手部材(10)の外周部を覆う環状の間座(3)と、
を備えた固定式等速自在継手。 - 前記間座(3)は金属又は弾性体である
請求項1に記載の固定式等速自在継手。 - 前記間座(3)は、前記シール固定部材(31)の一端と前記取付フランジ部材(50)の他端との間に挟んで固定される
請求項1又は2に記載の固定式等速自在継手。 - 前記間座(3)の外周部を覆うように配置される環状のカバー(4)を備える
請求項1から3のいずれか一つに記載の固定式等速自在継手。 - 前記カバー(4)は、前記間座(3)の外周部に圧入固定される
請求項4に記載の固定式等速自在継手。 - 前記カバー(4)は、周方向に沿って複数に分割された円弧状のカバー部材を用い、複数の前記カバー部材を、前記間座(3)の外周部に締め付けて環状に固定している
請求項4又は5に記載の固定式等速自在継手。 - 前記カバー(4)は、前記間座(3)の外周部及び前記取付フランジ部材(50)の外周部に跨って配置される
請求項4から6のいずれか一つに記載の固定式等速自在継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018024071A JP2019138420A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 固定式等速自在継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018024071A JP2019138420A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 固定式等速自在継手 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019138420A true JP2019138420A (ja) | 2019-08-22 |
Family
ID=67693528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018024071A Pending JP2019138420A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 固定式等速自在継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019138420A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021139406A (ja) * | 2020-03-03 | 2021-09-16 | 日立Astemo株式会社 | 自在継手の接続構造 |
-
2018
- 2018-02-14 JP JP2018024071A patent/JP2019138420A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021139406A (ja) * | 2020-03-03 | 2021-09-16 | 日立Astemo株式会社 | 自在継手の接続構造 |
JP7300412B2 (ja) | 2020-03-03 | 2023-06-29 | 日立Astemo株式会社 | 自在継手の接続構造 |
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