JP2019136009A - 酸性液状調味料 - Google Patents
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従来、辛みを増強させる方法については検討がなされたものの(特許文献1)、後味に辛みが残らない方法については、検討がなされていなかった。
(1)カプサイシン0.3ppm以上7ppm以下、味噌、ごま、及び酵母エキスを含み、
味噌1質量部に対し、カプサイシンが20×10−6質量部以上600×10−6質量部以下である、
酸性液状調味料、
(2)(1)の酸性液状調味料において、味噌の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である、酸性液状調味料、
(3)(1)又は(2)の酸性液状調味料において、ごまの含有量が1質量%以上15質量%以下である、酸性液状調味料、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸性液状調味料において、
酵母エキスの含有量が0.05質量%以上1.5質量%以下である、
酸性液状調味料、
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の酸性液状調味料において、
酸性液状調味料の粘度(25℃)が100mPa・s以上5000mPa・s以下である、
酸性液状調味料、
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の酸性液状調味料において、
酸性液状調味料が乳化液状である、
酸性液状調味料、
である。
本発明の酸性液状調味料は、カプサイシン0.3ppm以上7ppm以下、味噌、ごま、及び酵母エキスを含み、味噌1質量部に対し、カプサイシンが20×10−6質量部以上600×10−6質量部以下とすることにより、カプサイシン由来の辛味を先味として十分感じ、かつ辛味が後味に残り難い特徴を有する。
本発明が、上記効果をもたらす作用については、明らかではないが、辛味を感じる量を含有した酸性液状調味料において、辛味成分であるカプサイシンに対し味噌を特定量含有させることで、通常、後味として感じる辛味を先味へと移行させることが可能となり、さらに、ごまにより、残存した辛味の後味を抑えると共に酵母エキスにより、先味へと移行した辛味ピークを増強させることにより、本発明の効果を発揮したのではないかと推定する。
本発明における酸性液状調味料とは、pHが3.0〜4.6の液状の調味料をいう。その形態としては例えば、水中油型乳化液状タイプ、ノンオイルタイプ、分離液状タイプ等が挙げられ、そのどれでもよい。特に前記酸性液状調味料が水中油型乳化液状調味料である場合、調味料全体に油が均一に分散しており、脂溶性のカプサイシンと他の配合原料とが均一に交じり合うことで、辛味を先味として十分感じ、かつ辛味が後味に残り難く、好ましい。
本発明を構成する酸性液状調味料の品温25℃における粘度は、100mPa・s以上、5000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上、3500mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明における酸性液状調味料の粘度が前記下限値以上にすることで、具材等の沈降が抑えられ全体的に均一なものが得られやすく好ましい。また、上限値以下とすることで、辛味が後味に残りづらく好ましい。
なお、前記範囲の粘度のうち、100mPa・s以上3500mPa・s未満は、B型粘度計を用いローターNo.2、回転数10rpmの条件で測定した2回転後の粘度(単位:mPa・s)であり、3500mPa・s以上5000mPa・s以下は、B型粘度計を用いローターNo.3、回転数10rpmの条件で測定した2回転後の粘度(単位:mPa・s)である。
また、前記酸性液状調味料が分離液状の場合、粘度とは水相部を測定したものを指す。
本発明におけるカプサイシンは、合成品やカプサイシンを含有する天然物、カプサイシンを含有する天然物の抽出物または濃縮物、精製したカプサイシンなど、カプサイシンを含有するものであれば使用することができる。
本発明におけるカプサイシンの含有量は、0.3ppm以上7ppm以下である。また、本発明の効果である、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難いものが得られ易いことから、前記下限値は0.5ppm以上が好ましく、2ppm以上がより好ましい。一方前記上限値は6ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましい。
カプサイシン含有量が前記下限値より少ない場合は、そもそもカプサイシンの辛味が弱く、カプサイシンによる後味がそもそも問題とならない。
一方、上限値より多いと辛味が強すぎるため、後味に辛味を感じ難いという本発明の効果が得られない。
また、酸性液状調味料中のカプサイシンの含有量は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した値である。
具体的には酸性液状調味料1gから有機溶媒を用いて一般的な方法でカプサイシンを抽出、分取転溶し、乾固させた上で20mLのメタノールに溶かし、HPLCを用い下記の条件で測定を行う。
<HPLC操作条件>
カラム:Shim−pack FC−ODS 長さ7.5cm、内径4.6mm
カラム温度:50℃
検出器:蛍光検出器(励起波長:283nm、測定波長:316nm)
移動相:水、アセトニトリル、酢酸の混液
流速:1.0mL/min
本発明を構成する酸性液状調味料は、味噌を必須原料として含有するものである。
本発明に用いる味噌としては、一般的に味噌、あるいは中華味噌と称されるものであればいずれのものでも良い。
具体的には、米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌、白味噌、赤味噌、白あら味噌、信州味噌、八丁味噌、西京味噌、三州味噌、江戸甘味噌、御膳味噌、越後味噌、薩摩味噌、仙台味噌、長崎味噌、桜味噌、豆板醤、甜麺醤、海鮮醤、コチュジャン、タチウオ、トウチジャンなどが挙げられる。
なお、唐辛子を含む、例えばコチュジャン、豆板醤などの味噌を用いた場合、
味噌とは、唐辛子を除いた部分を指したものである。
本発明における味噌とカプサイシンの割合は、カプサイシン0.3ppm以上7ppm以下において、味噌1質量部に対し、カプサイシンが20×10−6質量部以上600×10−6質量部以下である。さらに、前記下限値は25×10−6質量部以上が好ましく、50×10−6質量部以上がより好ましく、一方前記上限値は580×10−6質量部以下が好ましく、500×10−6質量部以下がより好ましい。
味噌含有量に対するカプサイシン含有量が前記下限値より少ない場合は、本発明の効果である、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難いものとなるが、カプサイシン含有量に対する味噌の含有量が高すぎるため、酸性液状調味料の風味として著しくバランスが損なわれる。
一方、上限値より多い場合は、後味の辛味が過度に強くなり、本発明の効果である、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難いものが得られない。
本発明における味噌の含有量は、前記カプサイシンの含有量、及び味噌とカプサイシンの含有量の割合を満たせば特に限定するものではないが、本発明の効果がより一層得られやすく、さらに酸性液状調味料の風味としてバランスが良いものを得られやすいことから、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、さらに前記下限値は0.6質量%以上がより好ましく、一方上限値は6質量%以下がより好ましい。
本発明を構成する酸性液状調味料は、ごまを必須原料として含有するものである。
本発明に用いるごまとしては、一般的にごまと称されるものであればいずれのものでも良い。具体的には白ごま、金ごま、黒ごま、茶ごまなどが挙げられる。
また、ごまの形態としてはいずれのものでもよく、具体的には例えば、すりごま、きりごま、練りごま、ごまペースト、粒ごまなどが挙げられ、本発明の効果が得られ易いことから、すりごま、きりごま、練りごま、ごまペーストであることが好ましい。
本発明におけるごまの含有量は、前記カプサイシンの含有量、及び味噌とカプサイシンの含有量の割合を満たせば特に限定するものではないが、本発明の効果がより一層得られやすく、さらに酸性液状調味料の風味としてバランスが良いものを得られやすいことから、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、さらに前記下限値は2質量%以上がより好ましく、一方上限値は9質量%以下がより好ましい。
本発明を構成する酸性液状調味料は、酵母エキスを必須原料として含有するものである。
酵母エキスとは、原料となる酵母体を自己消化や酵素添加などにより分解してエキス化したものをいう。原料となる酵母体としては例えば、ビール製造時に副生する余剰酵母であるいわゆるビール酵母や、パン製造時に使用されるパン酵母あるいは食用に生産されるトルラ酵母、日本酒製造時に使用される酒酵母、ワイン製造に使用されるワイン酵母、醤油製造時に使用される醤油酵母などが挙げられ、いずれのものを用いてもよい。
本発明における酵母エキスの含有量は、前記カプサイシンの含有量、及び味噌とカプサイシンの含有量の割合を満たせば特に限定するものではないが、本発明の効果がより一層得られやすく、さらに酸性液状調味料の風味としてバランスが良いものを得られやすいことから、0.05質量%以上1.5質量%以下であることが好ましく、さらに前記下限値は0.1質量%以上がより好ましく、一方上限値は0.9質量%以下がより好ましい。
本発明の酸性液状調味料には、上述のカプサイシン、味噌、ごま、酵母エキス以外に本発明の効果を損なわない範囲で当該食品に一般的に使用されている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、食酢、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、醤油、乳製品等の各種調味料、各種エキス、全卵、卵黄、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC若しくはホスフォリパーゼDで酵素処理した卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ラクトアルブミン、カゼインナトリウム等の乳化材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、グアガム、タラガム等のガム質、色素、香味食材や各種野菜のおろし、ペースト状物、截断物等の具材の粉砕物、大豆、ピーナッツ等の種子類の具材が挙げられる。
水中油型乳化液状、分離液状の酸性液状調味料の場合、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等の食用油脂等を用いることができる。
本発明の酸性液状調味料は、一般的な酸性液状調味料の製造方法に準じて行うことができる。水中油型乳化調味料を例に挙げると、一般的に酸性液状調味料の原料として使用されている例えば、食酢、砂糖、食塩、各種エキス、清水、乳化材、増粘剤などから本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、これらにカプサイシンを含む原料、味噌、ごま、酵母エキスを加えて常法に準じて水相部を調整した後、油相部である5〜60%の食用油脂を徐々に注加しながら乳化すればよい。
また、必要により容器に充填する前、あるいは、充填後に加熱殺菌処理を施してもよい。
実施例1〜11、比較例1〜6について、配合割合、カプサイシン含有量、味噌含有量、味噌1質量部に対するカプサイシン質量部を表1に示した。
すなわち、まず、カプサイシンを含む原料である豆板醤、香辛料抽出物、ラー油、及び一味唐辛子、並びに米味噌、食酢、きりごま、酵母エキス、濃口醤油、食塩、グルタミン酸ナトリウム、キサンタンガム、上白糖、卵黄液、及び清水を調整後、ミキサー等で攪拌しながら、食用油脂を注加して粗乳化し、次にせん断力に優れた処理機で均質化した。尚、豆板醤は唐辛子87%のものを使用した。得られた酸性液状調味料について、訓練されたパネラーによる官能評価を行った。
なお、実施例1〜11、比較例1〜6の各酸性乳化液状調味料の粘度は、すべて500mPa・s以上3500mPa・s以下となった。
「先味」
◎:辛味を先味としてより十分感じる。
〇:辛味を先味として十分感じる。
△:辛味を先味として感じる。
×:先味の辛味が感じ難い。
「後味」
◎:後味に辛味がより残り難い。
〇:後味に辛味が残り難い。
△:後味の辛味がわずかに強い。
×:後味の辛味が過度に強い。
表1において、味噌含有量、ごま含有量、酵母エキス含有量をほとんど一定に固定し、カプサイシン含有量を段階的にふったもの、すなわち比較例1、比較例2、実施例1、実施例2、及び実施例3によりカプサイシン含有量の影響を調べた。官能評価結果を表2に示す。
また、7ppmより高いものは、後味の辛味が過度に強くなり、本発明の効果である、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難いものが得られなかった。
カプサイシン含有量が0.5ppm〜6ppmの範囲に入るものは、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難く、また、調味料全体の風味も最適なバランスであった。
さらに、2ppm〜5ppmの範囲に入るものは、辛味を先味としてより十分感じ、かつより後味に残り難く、また、調味料全体の風味も最適なバランスであった。
表1において、ごま含有量、酵母エキス含有量をほとんど一定に固定し、カプサイシン含有量と味噌含有量の比率を段階的にふったもの、すなわち比較例5、比較例6、実施例1、実施例2、及び実施例6により味噌1質量部に対するカプサイシン質量部の影響を調べた。官能評価結果を表3に示す。
また、600×10−6質量部より高いものは、後味の辛味が過度に強くなり、本発明の効果である、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難いものが得られなかった。
味噌1質量部に対するカプサイシンが25×10−6質量部〜580×10−6質量部の範囲に入るものは、辛味を先味として十分感じ、かつ後味に残り難く、また、調味料全体の風味も好ましいバランスであった。
さらに、50×10−6質量部〜500×10−6質量部の範囲に入るものは、辛味を先味としてより十分感じ、かつより後味に残り難く、また、調味料全体の風味も最適なバランスであった。
表1において、カプサイシン含有量、ごま含有量、酵母エキス含有量をほとんど一定に固定し、
味噌含有量を段階的にふったもの、すなわち実施例2、実施例6、実施例7、実施例8、及び実施例9により味噌含有量の影響を調べた。官能評価結果を表4に示す。
さらに、0.6質量%〜6質量%の範囲に入るものは、辛味を先味として十分に感じ、かつ後味に残り難く、かつ調味料全体の風味のバランスもより好ましかった。
表1において、カプサイシン含有量、味噌含有量、酵母エキス含有量をほとんど一定に固定し、
ごま含有量を段階的にふったもの、すなわち比較例4、実施例2、実施例10、及び実施例11によりごま含有量の影響を調べた。官能評価結果を表5に示す。
さらに、2質量%〜9質量%の範囲に入るものは、辛味を先味として十分に感じ、かつ後味に残り難く、かつ調味料全体の風味のバランスもより好ましかった。
表1において、カプサイシン含有量、味噌含有量、ごま含有量をほとんど一定に固定し、酵母エキス含有量を段階的にふったもの、すなわち比較例3、実施例2、実施例4、及び実施例5により酵母エキス含有量の影響を調べた。官能評価結果を表6に示す。
さらに、0.1質量%〜0.9質量%の範囲に入るものは、辛味を先味として十分に感じ、かつ後味に残り難く、かつ調味料全体の風味のバランスもより好ましかった。
Claims (6)
- カプサイシン0.3ppm以上7ppm以下、味噌、ごま、及び酵母エキスを含み、
味噌1質量部に対し、カプサイシンが20×10−6質量部以上600×10−6質量部以下である、
酸性液状調味料。 - 請求項1記載の酸性液状調味料において、
味噌の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である、
酸性液状調味料。 - 請求項1又は2記載の酸性液状調味料において、
ごまの含有量が1質量%以上15質量%以下である、
酸性液状調味料。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸性液状調味料において、
酵母エキスの含有量が0.05質量%以上1.5質量%以下である、
酸性液状調味料。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の酸性液状調味料において、
酸性液状調味料の粘度(25℃)が100mPa・s以上5000mPa・s以下である、
酸性液状調味料。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の酸性液状調味料において、
酸性液状調味料が乳化液状である、
酸性液状調味料。
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