JP2019131721A - 変性エラストマー組成物、架橋エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[7]に存する。
成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
成分(B):不飽和シラン化合物を
成分(C):架橋助剤
成分(D):過酸化物
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体は、従来熱硬化性ゴムが使用されている良好なゴム弾性が要求される用途、さらに厳しい使用環境に曝される種々の用途への展開が期待できる。
本発明の変性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(C)を含み、且つ成分(D)によりグラフトされてなるものであり、好ましくは更に下記成分(E)を含む。
成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを100質量部
成分(B):不飽和シラン化合物を0.01〜5質量部
成分(C):架橋助剤を0.001〜2質量部
成分(D):過酸化物
過酸化物は、好ましくは成分(A)の100質量部に対して0.01〜3質量部使用される。
成分(E):軟化剤を0.5〜200質量部
本発明の架橋エラストマー組成物は、上記変性エラストマー組成物を下記成分(F)により架橋反応させてなるものである。
成分(F):シラノール縮合触媒
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物が、圧縮永久歪特性に優れ、耐久性が良好であるという効果を奏するメカニズムは以下の通り推定される。
成分(B),(C),(F)、さらに成分(C),(D)の効果により成分(A)の架橋度が格段に上がり、高いゴム弾性を得ることができ、また残存二重結合が存在しないことから良好な耐久性を得ることができる。
成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン単位とα−オレフィン単位を含み、かつその構成単位の合計量に対し、エチレン単位の含有量が好ましくは50質量%以上であるものである。成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体はこのようなものであればその種類は特に限定されず、公知のエチレン・α−オレフィン共重合体が適宜用いられる。
なお、成分(A)の各構成単位の含有量は、赤外分光法により求めることができる。
本発明で用いる成分(B)の不飽和シラン化合物は限定されないが、下記式(1)で表される不飽和シラン化合物が好適に用いられる。
RSi(R’)3 ・・・(1)
成分(C)の架橋助剤としては例えば、メトロハイドロジェンシリコン等の水素化ケイ素化合物、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、塩化錫(SnCl2)等が挙げられる。これらの中では、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物や多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
成分(D)の過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれる有機過酸化物が挙げられ、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
これらの有機過酸化物は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の変性エラストマー組成物は、柔軟性を増加させるとともに、加工性や流動性、耐油性を向上させる観点から、成分(E)として軟化剤を含有することができる。
軟化剤として液状炭化水素系ゴム用軟化剤を用いることで、本発明の変性エラストマー組成物の柔軟性や弾性を増加させることができ、また加工性や流動性が飛躍的に向上する傾向にある。
本発明の変性エラストマー組成物に成分(F)シラノール縮合触媒を配合することにより、組成物を分子間で架橋反応させることができ、水と反応して加水分解することによりシラノール基が生成し、更にシラノール基同士が脱水縮合することにより、架橋反応が進行し、変性エラストマー同士が結合して耐熱性に優れた架橋エラストマー組成物を生成させることができる。
本発明の変性エラストマー組成物において、成分(A)の100質量部に対する成分(B)の含有量は、架橋反応を十分に進行させる観点から、0.01〜5質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
成分(C)の含有量は、成分(A)の100質量部に対し、0.001〜2質量部であり、経済性と十分な架橋反応を得る観点から好ましくは0.003〜1質量部である。
成分(D)の含有量は、成分(A)の100質量部に対し、好ましくは0.01〜3質量部であり、十分な架橋反応を得ると共に平滑な成形外観を保つ観点からより好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
本発明の変性エラストマー組成物には、上記成分の他に、その他の成分として各種の添加剤や充填剤、成分(A)以外の樹脂やエラストマー等を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
本発明の変性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムと、不飽和シラン化合物、過酸化物、及び架橋助剤と、必要に応じて軟化剤、その他の成分等を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。この溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。また、後掲の実施例に示すように、本発明の組成物を単軸又は二軸押出機等で混練して製造する場合、通常120〜240℃、好ましくは120〜220℃に加熱した状態で溶融混練を行うことができる。
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物の用途は特に限定されないが、グラスランチャンネル、ウェザーストリップ、ホース、ワイパーブレード、グロメット等の自動車部品やパッキン、ガスケット、クッション、防振ゴム、チューブ等の建築、工業部品、その他スポーツ、雑貨用品、医療用部品、食品用部品、家電用部品、電線被覆材として好適に用いることができる。
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
(A−1):エンゲージ(登録商標) XLT8677(ダウ・ケミカル社製)
エチレン・α−オレフィン共重合体
α−オレフィン:1−オクテン
MFR:0.5g/10分(190℃、21.2N荷重)
密度:0.87g/cm3
融解終了点:123℃
(A−2):エンゲージ(登録商標) 8180(ダウ・ケミカル社製)
エチレン・α−オレフィン共重合体
α−オレフィン:オクテン
MFR:0.5g/10分(190℃、21.2N荷重)
密度:0.88g/cm3
融解終了点:70℃
(A−3):タフマー(登録商標) A0550S(三井化学社製)
エチレン・α−オレフィン共重合体
α−オレフィン:ブテン
MFR:0.5g/10分(190℃、21.2N荷重)
密度:0.86g/cm3
融解終了点:58℃
(なお、成分(A−1),(A−2),(A−3)の融解終了点の測定方法は後述の通りである。)
(B)ビニルトリメトキシシラン:KBM−1003(信越化学社製)
(C−1)ジビニルベンゼン(和光純薬工業株式会社製 ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%との混合物)
(C−2)トリメチロールプロパントレメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
(C−3)ビスマレイミド(和光純薬工業株式会社製)
(C−4) トリアリルシアヌレート(和光純薬工業株式会社製)
(D−1)ジ(2−ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン:パーブチルP(日油社製)
(D−2)ジターシャリーブチルパーオキサイド:パーブチルD(日油社製)
(D−3)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン:カヤヘキサAD40C (化薬アクゾ株式会社製 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と有機フィラー60質量%との混合物)
(E)パラフィン系ゴム用軟化剤(出光興産株式会社製 パラフィン系オイル 商品名:ダイアナ(登録商標) プロセスオイルPW90)
40℃の動粘度:95.54cSt(センチストークス)
流動点:−15℃
引火点:272℃
(F)シラノール縮合触媒MB:LZ033(三菱ケミカル株式会社製、1.2%錫触媒(ジオクチル錫ジラウレート)含有線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンのMFR:2g/10分(190℃、21.2N荷重)、低密度ポリエチレンの密度:0.92g/cm3)
(G−1)部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー:3655B(三菱ケミカル株式会社製)
(G−2)完全架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー:A64BU(三菱ケミカル株式会社製)
(株)日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計、商品名「DSC6220」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約5mgを加熱速度100℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で3分間保持した後、冷却速度10℃/分で−10℃まで降温し、その後、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから補外ピーク終了点(℃)を算出し、融解終了点とした。
実施例及び比較例におけるエラストマー組成物の各種評価方法を以下に示す。
得られた成形シートについて、JIS K6253(Duro−A)に準拠し、デュロA硬度(15秒後)を測定した。
得られた成形シートについて、JIS K6262の規格に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
得られた成形シートについて、架橋処理前に目視にてべたつきを評価した。べたつきのあるものを×、べたつきのないものを○とした。
表1の通りに示す原料配合で、成分(E)以外の各原料を配合し、ヘンシェルミキサーにて1分間混合した。次いで、同方向二軸押出機(日本製鋼所社製、商品番号:TEX30、L/D=46、シリンダーブロック数:12)の上流の供給口に、得られた混合物を質量式フィーダーにて投入した。そして、液添ポンプにて成分(E)を押出機の途中の供給口から供給し、合計25kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を120〜200℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、ペレット化して変性エラストマー組成物を製造した。得られた変性エラストマー組成物100質量部に対して、成分(F)シラノール縮合触媒MBとしてLZ033を4質量部(錫触媒として0.048質量部)加えて触媒MBを含有する変性エラストマー組成物を得た。これをインラインスクリュータイプの射出成形機(東芝機械社製、商品番号:IS130)を用い、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下にて、組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートを成形した。さらに85℃、85%RHの条件で恒温恒湿機に24時間曝して、表面硬度及び圧縮永久歪評価用のシートとした。
表1に示す原料配合に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜6及び比較例1〜4の変性エラストマー組成物のペレットをそれぞれ得、同様に評価用シートの成形及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明のエラストマー組成物に該当する実施例1〜6は、いずれもべたつきがなく良好な圧縮永久歪を有していることがわかる。
一方、比較例1〜4のエラストマー組成物は、いずれもべたつきあるいは圧縮永久歪が不十分であった。
これらの結果から、本発明のエラストマー組成物はべたつきがなく、良好なシール特性を有することが判明した。
Claims (7)
- 下記成分(A)〜(C)を含み、且つ下記成分(D)によりグラフトされてなる変性エラストマー組成物であって、成分(B)が成分(A)100質量部に対して0.01〜5質量部であり、成分(C)が成分(A)100質量部に対して0.001〜2質量部である、変性エラストマー組成物。
成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
成分(B):不飽和シラン化合物を
成分(C):架橋助剤
成分(D):過酸化物 - 前記成分(D)の使用量が前記成分(A)100質量部に対して、0.01〜3質量部である、請求項1に記載の変性エラストマー組成物。
- 成分(A)の示差走査熱量計(DSC)で測定される融解の終了ピーク温度が115℃以上である、請求項1又は2に記載の変性エラストマー組成物。
- 成分(B)が下記式(1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1〜10のアルコキシ基である。) - さらに成分(E):軟化剤を0.5〜200質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の変性エラストマー組成物を成分(F):シラノール縮合触媒により架橋反応させてなる架橋エラストマー組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の変性エラストマー組成物又は請求項6に記載の架橋エラストマー組成物で成形された成形体。
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