JP2019131536A - 麻黄エキス、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキスより得られた高分子縮合型タンニンを含有する抽出分画物とその製法及び用途 - Google Patents

麻黄エキス、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキスより得られた高分子縮合型タンニンを含有する抽出分画物とその製法及び用途 Download PDF

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Abstract

【課題】c-Metキナーゼ阻害作用を介する抗がん作用・抗転移作用、疼痛抑制作用、及び抗インフルエンザウイルス作用を有し、エフェドリンアルカロイドによる副作用を排除した医薬品の提供。【解決手段】麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物であって、前記重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを30%以上含む抽出分画物を含む医薬組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(ephedrine alkaloids-free Ephedra Herb extract: EFE)由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物及びその製造方法、並びに該抽出分画物を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は抗がん薬、抗転移薬、疼痛抑制薬、並びに抗インフルエンザウイルス薬として有用である。
タンニンは、植物の幹、皮、葉、実等から抽出される天然物で、タンパク質や塩基性化合物等と結合して難溶性にする性質をもつポリフェノールをいう。身近な食品、嗜好品、工業用等に使われる植物に含まれている。タンニンには、酸や酵素が存在するとき加水分解されやすい加水分解型タンニンと、縮合が進む縮合型タンニンがある。加水分解型タンニンは比較的低分子であることも手伝って、生薬等多くの植物材料から単離、構造決定が進み、様々なタイプのものが明らかにされている。一方、縮合型タンニンは明確には同定されていなかった。1989年、Weingesは無色の植物抽出物を酸で加熱した際にアントシアニジンを生じる物質をプロアントシアニジンと名づけた。そして構成成分がフラバン 3-オール又はフラバン 3,4-ジオールで複数の連結したフラボノイド単位からなることを明らかにした。従来、縮合型タンニンと呼ばれていた多くの果実成分の実体がプロアントシアニジンであることが明らかにされており、プロアントシアニジンに関する研究が多くなされ、プロペラルゴニジン(Propelargonidin)、プロシアニジン(Procyanidin)、プロデルフィニジン(Prodelphinidin)、プロギボルチニジン(Proguibourtinidin)、プロフィセチニジン(Profisetinidin)、プロロビネチニジン(Prorobinetinidin)、プロテラカシジン(Proteracacidin)、プロメラカシジン(Promelacacidin)、プロアピゲニニジン(Proapigeninidin)、プロルテオリニジン(Proluteolinidin)等の化学構造及び薬理作用が明らかになっている。すなわち、プロアントシアニジンは、各種植物中に存在する縮合又は重合したタンニンであり、フラバン 3-オール又はフラバン 3,4-ジオールを構成単位として縮重合した化合物群である。
プロアントシアニジンの化学構造は、一般に、フラバン 3-オール又はフラバン 3,4-ジオールを構成ユニットとして4β位→6位、4β位→8位、4β位→8位・2β位→O→7位等の結合様式によって重合した二量体以上の重合体である(非特許文献1,2)。結合様式の違いから数種類に分類されている。その1つは、2つ以上のフラバン 3-オール構造が4β位→8位又は4β位→6位を介して結合しているプロアントシアニジンBタイプ、もう1つはフラバン 3-オール構造が4β位→8位及び2β位→O→7位又は4β位→6位及び2β位→O→7位の結合が少なくとも1箇所に存在するプロアントシアニジンAタイプである(図1参照)。
縮合型タンニンは加水分解型タンニンに比べて分子量の幅が広く、分子量の大きいものでは約20,000に達する(非特許文献3)。
プロアントシアニジンは多様な生理活性を示すことが知られており、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、育毛等の活性が報告されているが(非特許文献4,5)、これらの生理活性とプロアントシアニジンの重合度数との構造活性相関に関しては、全て明確にされているわけではない(特許文献1)。特許文献2では、プロシアニジンAタイプ及びプロシアニジンBタイプ(カテコールタイプのみ)の単量体単位の結合がC-4、C-8位で生じる構造式が示されている。特許文献3では、プロアントシアニジンAタイプの重合体、並びにプロアントシアニジンBタイプ(ピロガロールタイプ、カテコールタイプ、単量体単位の結合がC-4、C-8位で生じる)の縮合体・重合体の肝線維化抑制効果が示されている。特許文献4では、プロアントシアニジンB(ピロガロールタイプ、カテコールタイプ)単量体単位の結合がC-4、C-6、C-8位で生じ、プロアントシアニジンを形成し、これがウレアーゼ阻害作用を有することを報告している。
プロアントシアニジンを含む植物には、例えば、リンゴ、ブルーベリー、エルダーベリー、ブドウ、ストロベリー、レッドカーラント、カウベリー、グースベリー、クランベリー、サーモンベリー、ビルベリー、カシス、チェリー、ハクルベリー、ブラックベリー、プラム、ホワートルベリー、ボイセンベリー、マルベリー、ラズベリー、レッドカーラント、ローガンベリー、柿、松、樫、山桃、麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチ、ピーナッツ、イチョウ葉、緑茶、大黄、麻黄、楊梅皮等が知られている(特許文献5,6)。
麻黄はマオウ科植物Ephedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer又はEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae)の地上茎である。麻黄は古来より使われてきた最重要の生薬である。麻黄は日本薬局方によって総アルカロイド(エフェドリン及びプソイドエフェドリン)を0.7%以上含むと規定され、麻黄の薬理作用のほとんどはエフェドリンアルカロイドに由来すると考えられてきた(非特許文献6)。一方、麻黄の副作用である動悸、血圧上昇、不眠、排尿障害等は、エフェドリンアルカロイドの中枢神経及び交感神経刺激作用によって生じるが、麻黄の主作用と副作用を分離することは困難であると考えられ、麻黄の副作用を除くために、麻黄からエフェドリンアルカロイドを除去するという発想は、これまでなかった。
本発明者らは、これまでの研究から、麻黄の非アルカロイド画分に肝細胞増殖因子(HGF)受容体c-Met キナーゼ阻害作用を介した抗がん抗転移作用があることを突き止め、さらに麻黄の非アルカロイド画分からHerbacetin 配糖体を分離し、非糖部分のHerbacetin にc-Met キナーゼ阻害作用を含むマルチキナーゼ阻害作用があることを明らかにした。その中でも、Herbacetin のTrkA(NGF 受容体)阻害作用は強く、NGF-TrkA シグナル阻害を介した疼痛抑制作用を有することも見出した (特許文献7,8)。これらの結果から、麻黄の薬理作用の一部はエフェドリンアルカロイドに依存せず、したがって麻黄から副作用成分を除去できることが示唆された。そこで麻黄エキスからエフェドリンアルカロイドを除去したEFEを作製したところ(非特許文献7)(特許文献9)、疼痛抑制作用、抗インフルエンザウイルス作用を含むいくつかの薬理作用を有することや(特許文献9)(非特許文献8)、不眠、動悸、興奮等の副作用が消失していることが明らかになった(非特許文献9)。しかし、麻黄エキスはもとより、EFEは様々な成分を含んでいるため、通常服用可能な嵩が制限要因となるため、より有効性が期待される高力価の投与ができなかった。
一方、麻黄由来の低分子のプロアントシアニジンAタイプあるいはプロアントシアニジンBタイプ(ピロガロールタイプ、カテコールタイプ)の重合したプロアントシアニジンは既に報告されている(非特許文献10,11,12)。さらに最近、麻黄の70%アセトン抽出液から、プロアントシアニジンAタイプ及びプロアントシアニジンBタイプの両方が重合したオリゴマーが単離された(非特許文献13)。
麻黄由来のプロアントシアニジン含有液を、分画分子量が5000以下の限外濾過膜及び/又は食塩排除率が30%以下の逆浸透膜で処理した後、分画分子量が500〜5000の画分を分取することを特徴とするプロアントシアニジンの製造法が知られている(特許文献6)。
しかしこれまでに、重量平均分子量が20,000を超える高分子タンニンに関する報告はない。
プロアントシアニジンオリゴマーの精製方法 特許第4582917号 クランベリー抽出物及びその製造方法 特許第5459699号 肝線維化抑制剤 特許第4822291号 ウレアーゼ阻害剤及びこれを含有する医薬及び食品組成物並びにウレアーゼ活性測定方法 特開2000-159669 カプセル剤 特開2016-69335 プロアントシアニジンの製造法 特公平6-31208 麻黄を成分とするMET阻害剤 特許第5786164号 マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬 特開2014-129341 エフェドリンアルカロイド除去麻黄エキスと、その製法及び用途 PCT/JP2014/080605 (WO2015/076286)
「スタインエッガー・ヘンゼル 生薬学[上] 化学・薬理学へのアプローチ」(糸川秀治他訳、(株)廣川書店発行)204〜208頁(1977年) Porter L.J.,Flavans and proanthocyanidins,In:Harborne J.B.(ed.),"The Flavonoids,Advances in Research Science 1986",Chapman & Hall,1994,pp.23-55) 大原誠資、「熱帯樹林の成分と利用(2)タンニン」、熱帯林業、39, 56-60、1997 バート・シュビッタース/ジャック・マスケリエ著、「21世紀の生体防御物質OPC」(佐々木瞭訳、フレグレンスジャーナル社発行、1997年)50-135頁 Tomoya Takahashi,et al.,Journal of Investigative Dermatology,112,310−316,1999 原田正敏, 麻黄の薬理学,現代東洋医学, 1(2), 34-39, 1980 Oshima, N., et al., J Nat Med, 70, 554-562, 2016 Hyuga, S., et al., J Nat Med, 70, 571-583, 2016 竹元裕明ら、第33回和漢医薬学会学術大会要旨集、ポスターP4-5, p87, 2016 Molecules. 2013 May 6;18(5):5172-89. A-type proanthocyanidins from the stems of Ephedra sinica (Ephedraceae) and their antimicrobial activities. Zang X1, Shang M, Xu F, Liang J, Wang X, Mikage M, Cai S. Molecules. 2013 May 10;18(5):5326-34. Characterization of phenolic constituents from ephedra herb extract. Amakura Y1, Yoshimura M, Yamakami S, Yoshida T, Wakana D, Hyuga M, Hyuga S, Hanawa T, Goda Y. タンニンに関する最近の研究 藥學雜誌 103(2), 125-142, 1983 Molecules. 2017 August 6;22(8):1308 Characterization of proanthocyanidin oligomers of Ephedra sinica. Orejola J, Matsuo Y, Saito Y, Tanaka T. Kennedy, J.A., et al., J. Chromatogr. A 995, 99-107, 2003
麻黄エキスからエフェドリンアルカロイドを除去したEFEの製造方法が確立され、c-Met キナーゼ阻害作用を介する抗がん作用・抗転移作用、疼痛抑制作用、及び抗インフルエンザウイルス作用を有し、エフェドリンアルカロイドによる副作用を排除した医薬品が提供できるようになった。しかし、麻黄エキスはもとより、EFEは様々な成分を含んでいるため、通常服用可能な嵩が制限要因となるため、より有効性が期待される高力価の投与ができなかった。麻黄エキスあるいはEFE中のc-Met キナーゼ阻害作用を介する抗がん作用・抗転移作用、疼痛抑制作用、及び抗インフルエンザウイルス作用を有する活性成分を精査した結果、麻黄の有効性成分の1つとしてHerbacetin 配糖体が見出されているが、薬効が高くないことから、医薬品として最適でなかった。
本発明は、麻黄エキスあるいはEFEから、c-Met キナーゼ阻害作用を介する抗がん作用・抗転移作用、疼痛抑制作用、及び抗インフルエンザウイルス作用を持つ新規活性成分を明らかにし、その成分の製造方法を確立することにより、高力価の投与が可能で、かつ、活性成分以外の成分による副作用発現リスクが排除された医薬品を提供することを目的とする。さらに、本発明に関する研究過程で、活性成分の新規効能効果(c-Met発現量の低下作用及び、上皮成長因子受容体(EGFR)リン酸化阻害作用とEGFR発現量の低下作用を介する抗がん作用)を見出したので、本活性成分の用途として提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、麻黄エキスあるいはEFEを水/n-ブタノールで抽出した水可溶部を、芳香族系合成吸着剤Diaion HP-20カラムを用いて水、20%〜100%メタノール(MeOH)で溶出させて分画し、20%メタノール以上の溶出部について分析したところ、この化学構造がプロシアニジンAタイプ、及びプロシアニジンBタイプ(ピロガロールタイプ及びカテコールタイプ)のC-4、C-6、C-8位で重合する重量平均分子量45,000以上の高分子であることを見出した。
さらに、得られる成分群の構造を明らかにし、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物にc-Metキナーゼ阻害作用、c-Metリン酸化阻害作用、c-Met発現量の低下作用を介する抗がん・抗転移作用、疼痛抑制作用、EGFRのリン酸化阻害作用及びEGFR発現量の低下作用を介する抗がん作用、並びに抗インフルエンザウイルス作用が存在することを発見して、本願発明を完成した。
すなわち、本願発明は以下のものを提供するものである。
[請求項1]
麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物であって、前記重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを30%以上含む抽出分画物。
[請求項2]
高分子縮合型タンニンが、エクステンションユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールが主にプロアントシアニジンBタイプで縮合し、その一部にプロアントシアニジンAタイプの縮合型タンニンユニットを含み、さらにターミナルユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールを主に含み、ピロガロールタイプとカテコールタイプを約5:1で含む、請求項1記載の抽出分画物。
[請求項3]
麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)の水溶性画分をカラムクロマトグラフィーによって、水とメタノール又はエタノールから選択されるアルコールとの混合溶媒を用いて、アルコール濃度を高くしながら順次溶出し、得られる各分画の分子量を測定して、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を得ることからなる、請求項1記載の抽出分画物の製造方法。
[請求項4]
請求項1又は2に記載の抽出分画物を含む医薬組成物。
[請求項5]
疼痛抑制薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項6]
c-Metを発現するがんに対する抗がん・抗転移薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項7]
EGFRを発現するがんに対する抗がん薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
「請求項8」
抗インフルエンザウイルス薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項9]
請求項1に記載の抽出分画物を用いる、高分子縮合型タンニンを活性成分として含有する医薬組成物の含量測定法。
本発明により、麻黄エキス由来、又はEFE由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を有効成分として含む医薬組成物を提供することが可能となり、疼痛抑制作用、c-Metを発現するがんの抗がん・抗転移薬、EGFRを発現するがんの抗がん薬、及び抗インフルエンザウイルス作用を有する高力価で投与可能な医薬品を提供することができる。本発明の抽出分画物は、高分子画分(重量平均分子量45,000以上)のプロアントシアニジンAタイプ及びプロアントシアニジンBタイプの重合したプロアントシアニジン(縮合型タンニン、高分子ポリフェノール)である。
本発明によって、高力価の投与が可能で、かつ、活性成分以外の成分による副作用発現リスクが排除された医薬品を提供することが可能となる。
プロアントシアニジンAタイプ及びプロアントシアニジンBタイプの構造及びその構成ユニットの構造を示す図である。 麻黄エキス由来の水エキスのH2O分画物、10%MeOH分画物、20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物、及びMeOH分画物をHPLCカラムで分析したHPLCクロマトグラムを示す図である。 麻黄エキス由来の水エキスのH2O分画物、10%MeOH分画物、20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物、及びMeOH分画物の13C-NMRによる構造解析を示す図である。 EFE由来の水エキスのH2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、及びMeOH分画物をHPLCカラムで分析したHPLCクロマトグラムを示す図である。 EFE由来の水エキスのH2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、及びMeOH分画物の13C-NMRによる構造解析を示す図である。 麻黄エキス由来の水エキス-30%MeOH分画物、及び40%MeOH分画物の高分子画分の13C-NMRによる構造解析を示す図である。 水エキスの20%MeOH、40%MeOH、及びMeOH分画物のGPC分析の結果を示す図である。 水エキスの40%MeOH分画物について、フロログルシノール分解を行った結果得られた分解生成物である、catechin、epicatechin、gallocatechin、epicatechin-(4→2)-phloroglucinol、gallocatechin-(4→2)-phloroglucinol、prodelphinidin A-type-(4′→2)-phloroglucinolの構造を示す図である。 麻黄エキスを水で溶解したものから得られるn-ヘキサンエキス、酢酸エチルエキス、n-ブタノールエキス、水エキスのc-Metキナーゼ阻害作用を、c-Metのキナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用いたインビトロアッセイにより調べた結果を示す図である。 麻黄エキスを水で溶解したものから得られるn-ヘキサンエキス、酢酸エチルエキス、n-ブタノールエキス、水エキスのがん細胞の運動能阻害作用を試験した結果を示す図である。 水エキスをDiaion HP-20カラムに添加して得られる、H2O分画物、10%MeOH分画物、20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物、及びMeOH分画物について、c-Metキナーゼ阻害作用を試験した結果を示す図である。 麻黄エキス由来の水エキスをDiaion HP-20カラムに添加して得られる、H2O分画物、10%MeOH分画物、20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物、及びMeOH分画物について、がん細胞の運動能抑制作用を試験した結果を示す図である。 EFE及び、EFE由来の水エキスをDiaion HP-20カラムに添加して得られる、H2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、及びMeOH分画物について、マウスを用いたホルマリン誘発疼痛に対する抑制作用を試験した結果を示す図である。 EFE及び、EFE由来の水エキスをDiaion HP-20カラムに添加して得られる、H2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、及びMeOH分画物について、c-Metの発現及びチロシンリン酸化、EGFRの発現とチロシンリン酸化に対する阻害作用を試験した結果を示す図である。 EFE由来の水エキスをDiaion HP-20カラムに添加して得られる、H2O分画物、40%MeOH分画物の、関節炎モデルマウスに対する疼痛抑制作用を示す図である。 高分子縮合型タンニン標準物質溶液のGPC分析の結果を示す図である。
本発明は一態様として、麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を提供する。
本発明の抽出分画物を得るための原料として用いられる麻黄エキスは、日本薬局方の麻黄の熱水抽出物である。または、麻黄エキスからエフェドリンアルカロイドを除去したEFEである(特許文献9)。EFEは、麻黄エキスから陽イオン交換クロマトグラフィーによってエフェドリンを除去し、濃縮乾燥を経ることによって得ることができる。後述する実施例に示すように、麻黄エキスを原料として用いた場合も、EFEを原料として用いた場合も、同様に本発明の抽出分画物を得ることができる。
本発明の抽出分画物は、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含むことを特徴とする。重量平均分子量はGPC用標準ポリスチレンを標準物質として換算した重量平均分子量である。本発明の抽出分画物は、重量平均分子量45,000以上の、プロアントシアニジンAタイプ及びプロアントシアニジンBタイプの重合したプロアントシアニジン(縮合型タンニン、高分子ポリフェノール)である。
本発明の抽出分画物は、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを30%以上、より好ましくは40%以上含む。
本発明の抽出分画物に含まれる高分子縮合型タンニンは、エクステンションユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールが主にプロアントシアニジンBタイプで縮合し、その一部にプロアントシアニジンAタイプの縮合型タンニンユニットを含み、さらにターミナルユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールを主に含み、ピロガロールタイプとカテコールタイプを約5:1で含む(図1参照)。
本発明は別の一態様として、麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)の水溶性画分をカラムクロマトグラフィーによって、水とメタノール又はエタノールから選択されるアルコールとの混合溶媒を用いて、アルコール濃度を高くしながら順次溶出し、得られる各分画の分子量を測定して、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を得ることからなる、本発明の抽出分画物の製造方法を提供する。
具体的には、麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)を水に溶解したものを、極性の低い有機溶媒から極性の高い有機溶媒を用いて順次分配し、得られる水エキスをカラムクロマトグラフィーによって、水とメタノール又はエタノールから選択されるアルコールとの混合溶媒を用いて、アルコール濃度を高くしながら順次溶出し、得られる各分画の分子量を測定して、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を得る。
極性の低い有機溶媒の例としては、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等が挙げられ、極性の高い有機溶媒の例としては、n-ブタノール、エタノール、メタノール、水等が挙げられる。分画に用いるカラムクロマトグラフィーでは、Diaion HP-20等のスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤あるいはその他の芳香族系合成吸着剤を用いることができる。各分画の分子量測定は、粘度法、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、質量分析法、浸透圧法等を用いることができる。本願実施例では、GPC用標準ポリスチレンを標準物質とするGPCにより重量平均分子量を求めた。
具体的には、麻黄エキス又はEFEを水で溶解したものを、酢酸エチル、水飽和n-ブタノールで順次分配し、酢酸エチルエキス、n-ブタノールエキス、及び水エキスの各分配エキスを得る。得られた各分配エキスのうち、水エキスに活性が認められたので、活性の認められた水エキスについて、さらにDiaion HP-20カラムクロマトグラフィー(5.5 x 40 cm、三菱化学)を用いて、H2O→20%MeOH→40%MeOH→MeOHの順で順次溶出して分画し、H2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物の各分画物を得る。各分画物の活性を測定した結果、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物にc-Metキナーゼ阻害作用、リン酸化阻害作用、発現量の低下作用、がん細胞の運動能抑制作用、EGFRのリン酸化阻害作用、発現量の低下作用、疼痛抑制作用、抗インフルエンザウイルス作用のあることがわかった。また、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物は、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンであった。
したがって、本願発明の抽出分画物は、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物を単独で、又は任意の組合せで用いることにより調製できることが明らかとなった。これらの結果から、効率のよい調製方法としては、上述する水エキスを100%MeOHで抽出して、100%MeOH分画物をさらにSephadex LH-20カラム等にかけて高分子画分を得ることで調製することも可能である。
本発明は別の一態様として、上記高分子縮合型タンニンを含有する抽出分画物を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、後述する実施例に示すように、疼痛抑制薬、抗がん・抗転移薬、及び抗インフルエンザウイルス薬として有用である。また、本発明の医薬組成物は、麻黄エキスを原料として用いた場合も、EFEを原料として用いた場合も、同様に有効な薬理作用を示す。
本発明にかかる疼痛抑制薬、抗がん・抗転移薬、抗インフルエンザウイルス薬は、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤等のような経口投与の製剤、経口投与に適した様々な液体製剤、又は注射剤のような非経口投与用製剤とすることが可能である。経口投与が好ましい。
経口投与の製剤の場合、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を製剤担体と共に錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤等の形態で製剤化して得られる。
製剤担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、及び可塑剤等を使用できる。賦形剤としては、例えば、白糖、塩化ナトリウム、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム等を使用できる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、等を使用できる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乾燥デンプン、炭酸水素ナトリウム、等を使用できる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等を使用できる。可塑剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ヒマシ油等を使用できる。
上記の経口投与の製剤化の場合、水溶性高分子及び界面活性剤等の分散剤を使用することも可能である。水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を使用できる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等を使用できる。
錠剤を調製するには、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を、上記製剤担体を用いて常法により錠剤とする。顆粒剤又は細粒剤は、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物に上記製剤担体を添加し、流動層造粒、高速攪拌造粒、攪拌流動層造粒、遠心流動造粒、押し出し造粒等で顆粒化することにより調製できる。カプセル剤は、不活性な医薬充填剤又は希釈剤と共に混合して調製し、硬ゼラチンカプセル又は軟カプセルに詰める。
経口液体製剤は、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物と、甘味料(例えば、ショ糖)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、着色料、香料等とを混合して調製する。
注射用製剤は、例えば、液剤、乳濁液、又は懸濁液の形態で調製され、血液に対して等張にされる。液体、乳濁液又は懸濁液の形態の製剤は、例えば、水性媒体、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール等を用いて調製される。
注射用製剤において、当技術分野で通常使用されている添加剤を適宜用いることができ、例えば、等張化剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤等を使用できる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の疼痛抑制薬、抗がん・抗転移薬、抗インフルエンザウイルス薬の投与量としては、例えば、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を、一回の投与につき体重1 kgあたり0.5mgから500mg、好ましくは10mgから200 mgの範囲で投与量が選択できる。しかしながら、本発明の医薬組成物はこれらの投与量に制限されるものではない。
さらに本発明は別の一態様として、本発明の抽出分画物を用いる、高分子縮合型タンニンを活性成分とする医薬組成物の管理方法のひとつとして含量測定法を提供する。具体的には、本発明で示した高分子縮合型タンニンの分子量の解析に用いたGPC分析を用いて、含量未知の試料及び高分子縮合型タンニン標準物質について、それぞれ高分子縮合型タンニンのピーク面積を求め、ピーク面積の相対値から試料中の高分子縮合型タンニン含量を算出することができる。また、この含量測定法は、麻黄エキスやEFE中の高分子縮合型タンニン含量を測定することも可能で、高分子縮合型タンニンが活性成分とする薬効、すなわち、疼痛抑制薬、抗がん・抗転移薬、及び抗インフルエンザウイルス薬として製造する際の管理方法のひとつとして用いることができる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。種々の変更、修飾が当業者には可能であり、これらの変更、修飾も本発明に含まれる。
(実施例1)麻黄エキス又はEFEの分画、分析
麻黄エキス(300 g)を水(5 L)で溶解したものを、n-ヘキサン(4 L)、酢酸エチル(12 L)、水飽和n-ブタノール(12 L)で順次分配し、n-ヘキサンエキス(92.3 mg)、酢酸エチルエキス(13.2 g)、n-ブタノールエキス(65.7 g)、水エキス(161.1 g)を得た。麻黄エキス由来の得られた各分配エキスにつき、c-Metキナーゼ阻害活性、がん細胞の運動抑制活性を求めた。その結果、n-ブタノール及び水エキスに活性が認められた。
収量が多く、活性の認められた水エキス(90 g)について、さらにDiaion HP-20カラムクロマトグラフィー(5.5 x 40 cm、三菱化学)を用いて、H2O→10%MeOH→20%MeOH→30%MeOH→40%MeOH→50%MeOH→MeOHの順で順次溶出して分画し、H2O分画物(47.9 g)、10%MeOH分画物(2.5 g)、20%MeOH分画物(2.6 g)、30%MeOH分画物(7.0 g)、40%MeOH分画物(11.5 g)、50%MeOH分画物(5.1 g)、MeOH分画物(2.6 g)の各分画物を得た。得られた各分画物について、c-Metキナーゼ阻害活性、がん細胞の運動抑制活性試験を行った結果、特に30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、次いで50%MeOH分画物に強い活性が認められた。
そこで、水エキスの各分画物の含有成分について比較する目的で、HPLC分析を行った。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:L-column ODS(2.1 I.D. x 150 mm)(化学物質評価研究機構)、
カラム温度:40℃、
流速:0.3 mL/min、
測定波長:200-400 nm、
移動相:(A)0.1%ギ酸‐蒸留水及び(B)0.1%ギ酸‐アセトニトリル〔濃度勾配条件(B in A):0→30 min(0→50%)、30→35 min(50→85%)、35→40 min(85%)、40→50 min(85→90%)、50→55 min(90→100%)、55→60 min(100%)〕。
その結果、H2O分画物及び10%MeOH分画物以外の画分に縮合型タンニンオリゴマーに特徴的なブロードピークが観察された(図2)。
また、各分画物について13C-NMRによる構造解析を行った。NMRの条件は、測定溶媒としてMeOH-d4:D2O(1:1)を用い、装置はBrucker AVANCE500 (Bruker BioSpin)を用いた。その結果、H2O分画物及び10%MeOH分画物以外の画分にフラバン 3-オール骨格に対応するシグナルが共通して観察され、活性に寄与している画分は縮合型タンニン(プロアントシアニジン)オリゴマー画分であることが確認された。強い活性を示した30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物は特に強いシグナルを認めた。また、いずれの分画物も、スペクトル解析に基づき、プロアントシアニジンAタイプを含む構造を有すること、さらにカテコールタイプのシグナル強度が小さいことから、ピロガロールタイプが多いことが示唆された(図3)。
同様に、EFE(400 g)を水(5 L)で溶解したものを、酢酸エチル(10 L)、水飽和n-ブタノール(10 L)で順次分配し、酢酸エチルエキス(7.3 g)、n-ブタノールエキス(85.0 g)、水エキス(311.0 g)を得た。EFE由来の得られた各分配エキスにつき、疼痛試験を行った。その結果、水エキスに活性が認められた。活性の認められた水エキス(290 g)について、さらにDiaion HP-20カラムクロマトグラフィー(5.5 x 40 cm、三菱化学)を用いて、H2O→20%MeOH→40%MeOH→MeOHの順で順次溶出して分画し、H2O分画物(190.6 g)、20%MeOH分画物(35.9 g)、40%MeOH分画物(41.7 g)、MeOH分画物(13.9 g)の各分画物を得た。得られた各分画物について、疼痛試験を行った結果、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物,MeOH分画物に活性が認められた。
そこで、水エキスの各分画物の含有成分について比較する目的で、同様にHPLC分析を行った。その結果、活性の認められた20%MeOH分画物、40%MeOH分画物,MeOH分画物に縮合型タンニンオリゴマーに特徴的なブロードピークが観察された(図4)。
また、各分画物について13C-NMRによる構造解析を行った結果、活性の認められた20%MeOH分画物、40%MeOH分画物,MeOH分画物にフラバン 3-オール骨格に対応するシグナルが共通して観察され、麻黄エキス由来の活性画分と同様の縮合型タンニン(プロアントシアニジン)オリゴマー画分であることが確認された(図5)。
なお、本実施例におけるc-Metキナーゼ阻害活性は実施例5及び7に記載の方法、がん細胞の運動抑制活性は実施例6及び8に記載の方法、疼痛試験は実施例9に記載の方法に準じて行った。
(実施例2)活性画分の分子量分析
活性に寄与している画分が縮合型タンニン(プロアントシアニジン)オリゴマー画分であることが確認されたため、さらに活性画分を限外濾過により分子量による分画を行った。麻黄エキス由来の水エキス-40%MeOH分画物の20%MeOH不溶部を、Vivaspin 500 (GE Healthcare: 3、5、10、30、50、100 KDa)を用いて、11400 x g、10分間遠心分離し、7画分〔<3 KDa (収量約10%)、3〜5 KDa(約4%)、5〜10 KDa(約5%)、10〜30 KDa(約6%)、30〜50 KDa(約2%)、50〜100 KDa(約3%)、>100 KDa(約70%)〕を得た。各画分について、c-Metキナーゼ阻害作用の試験を行った結果、>100 KDaの高分子画分(麻黄エキス高分子画分)に活性が認められた。この高分子画分について13C-NMRによる構造解析を行った結果、同様の縮合型タンニン(プロアントシアニジン)オリゴマー画分であることが確認された。なお、水エキス-30%MeOH分画物の>100 KDaの高分子画分についても13C-NMR(測定溶媒としてacetone-d6:D2O(1:1))による構造解析を行った結果、同様のスペクトルが観察された(図6)。
活性画分(麻黄エキス高分子画分、EFE由来水エキス-20%MeOH、40%MeOH、MeOH分画物)についてGPC分析を行った。GPC用標準ポリスチレンを標準物質として、以下の条件で分析した。
カラム:TSK-gel Super AW4000(6.0 I.D. x 150 mm)(東ソー)、
カラム温度:30℃、
流速:0.3 mL/min、
測定波長:280 nm、
移動相:N,N-ジメチルホルムアミド+3M ギ酸アンモニウム(0.5%)
分析した結果、いずれの分画物においても、保持時間7.5〜8.5分にピークトップを示す高分子領域のピークが観察された(図7)。Chromato-PRO-GPCを使用してデータ処理を行い、各分画物の重量平均分子量を算出した結果、麻黄エキス高分子画分:94372、20%MeOH分画物:113279、40%MeOH分画物:59042、MeOH分画物:45004(GPC用標準ポリスチレンを標準物質として換算した重量平均分子量で、いずれも3回測定した値の平均値)であった。
(実施例3)部分構造の解析
活性画分の一つである麻黄エキス由来水エキス-40%MeOH分画物について、フロログルシノール分解を行った。その結果、catechin、epicatechin、gallocatechin、epicatechin-(4→2)-phloroglucinol、gallocatechin-(4→2)-phloroglucinol、prodelphinidin A-type-(4′→2)-phloroglucinolを分解生成物として確認した(図8)。
よって、エクステンションユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールが主にBタイプで縮合し、その一部にAタイプの縮合型タンニンユニットを含み、さらにターミナルユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールを主に含むことが明らかとなった。また、ピロガロールタイプとカテコールタイプのおおよそ存在比をチオール分解したユニットをHPLC分析で算出した結果、おおよそ5:1であった。(図1参照)
(実施例4)EFE由来の抽出分画物中の高分子縮合型タンニンの含有量
縮合型タンニンオリゴマー画分は、Sephadex LH-20カラムクロマトグラフィーで含水アセトン(アセトン-水(7:3))溶出により分画される報告がある(非特許文献14)。本方法に従い、70%アセトン(アセトン-水(7:3))溶出部を高分子縮合型タンニン画分とし、活性画分(EFE由来水エキス-20%MeOH、40%MeOH、MeOH分画物)中の高分子縮合型タンニン量を見積もった。その結果、20%MeOH分画物に約32%、40%MeOH分画物に約45%、MeOH分画物に約43%であった。
(実施例5) 麻黄エキス分配エキスのc-Metキナーゼ阻害作用
麻黄エキスを水で溶解したものをn-ヘキサン、酢酸エチル、水飽和n-ブタノールで順次分配し、得られた各分画物(n-ヘキサンエキス、酢酸エチルエキス、n-ブタノールエキス、水エキス)のc-Metキナーゼ阻害作用をc-Metのキナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用いたインビトロアッセイにより調べた。
アッセイ条件は、以下の通りである。40 mM Tris-HCl pH7.5、2 mM DTT、7 mM MgCl2、10 μM ATP に4 nM 組換えc-Metキナーゼドメイン、0.2 μg/mL Poly (Glu4,Tyr1)及び各分画を5 μg/mLとなる溶液を調製し、室温で1時間インキュベートした。反応停止後、ADP-Glo試薬を用いてADP量に依存したルミノール発光強度をルミノメーター (パーキンエルマー社、EnSpire)で測定し、c-Metキナーゼ活性を算出した。その結果、n-ブタノールエキス及び水エキスにキナーゼ阻害作用があることが明らかになった(図9)。
(実施例6) 麻黄エキスの分配エキスのがん細胞の運動能阻害作用
麻黄エキスを水に溶解したものをn-ヘキサン、酢酸エチル、水飽和n-ブタノールで順次分配し、得られた各分画物(n-ヘキサンエキス、酢酸エチルエキス、n-ブタノールエキス、水エキス)、がん細胞の運動能阻害作用を、トランスウエルを用いた試験により評価した。アッセイには、c-Metを発現しており、HGFによって運動能が誘導される高転移性ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231細胞を用いた。
アッセイ条件は、以下の通りである。MDA-MB-231細胞(5x104細胞/ウエル)をVehicle (2.5%EtOH-DMEM)あるいは、25 μg/mLの各分配エキスを溶解した2.5%EtOH-DMEMに懸濁し、上部ウエルに添加した。下部ウエルはコラーゲンコートした24ウエルプレートを用いた。下部ウエルには、50 ng/mL HGF-DMEMを600 μL添加した。24時間培養後に、下部ウエルに移動した細胞数を顕微鏡下に測定して、運動能の指標とした。その結果、n-ブタノールエキス、水エキスにがん細胞の運動能抑制作用があることが明らかになった(図10)。
(実施例7)水エキスのDiaion HP-20カラム分画物のc-Metキナーゼ阻害作用
実施例9の疼痛試験の結果から、経口投与により薬理作用を示す分配エキスは水エキスであり、n-ブタノールエキスの経口投与は薬理作用を示さないことがわかった。そこで、麻黄エキスの分配で得られた水エキスをDiaion HP-20カラムに添加し、H2O、10%MeOH、20%MeOH、30%MeOH、40%MeOH、50%MeOH、MeOHで順次溶出した分画物を得た。各分画物についてc-Metのキナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用いたインビトロアッセイにより調べた。
アッセイ条件は、以下の通りである。40 mM Tris-HCl pH7.5、2 mM DTT、7 mM MgCl2、10 μM ATP に4 nM 組換えc-Metキナーゼドメイン、0.2 μg/mL Poly (Glu4,Tyr1)及び各分画を5 μg/mLとなる溶液を調製し、室温で1時間インキュベートした。反応停止後、ADP-Glo試薬を用いてADP量に依存したルミノール発光強度をルミノメーター (パーキンエルマー社、EnSpire)で測定し、c-Metキナーゼ活性を算出した。その結果、Diaion HP-20カラムの20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物及びMeOH分画物にc-Metキナーゼ阻害作用があることが明らかになった(図11)。
(実施例8)水エキスのDiaion HP-20カラム分画物のがん細胞の運動能抑制作用
実施例9の疼痛試験の結果から、経口投与により薬理作用を示す分配エキスは水エキスであり、n-ブタノールエキスの経口投与は薬理作用を示さないことがわかった。そこで、麻黄エキスの分配で得られた水エキスをDiaion HP-20カラムに添加し、H2O、10%MeOH、20%MeOH、30%MeOH、40%MeOH、50%MeOH、MeOHで順次溶出した画分を得た。各画分についてHGFによって誘導されるがん細胞の運動能の抑制作用を解析した。
アッセイ条件は、以下の通りである。MDA-MB-231細胞(5x104細胞/ウエル)をVehicle (DMEM)あるいは、10 μg/mLの各画分を溶解したDMEMに懸濁し、上部ウエルに添加した。下部ウエルはコラーゲンコートした24ウエルプレートを用いた。下部ウエルには、50 ng/mL HGF-DMEMを600 μL添加した。24時間培養後に、下部ウエルに移動した細胞数を顕微鏡下に測定して、運動能の指標とした。その結果、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、及び、50%MeOH分画物は、HGFにより誘導される運動能を強く抑制することが明らかになった(図12)。
(実施例9)マウスを用いたホルマリン誘発疼痛に対する抑制作用(ホルマリン試験)
EFEの各分配エキス及び水エキスのDiaion HP-20カラム分画物について、ホルマリン誘発疼痛に対する抑制作用を調べた。
4週齢の雄性ddYマウスを搬入後、1週間以上馴化したものを1群4〜8匹用いた。実験開始日に体重測定を行い、各群でほぼ同じになるようにコントロール群、EFE投与群、各画分投与群(7群)に分けた。EFE及び各画分は10% DMSO (DMSO:Saline = 1:9)を加え、超音波で溶解した。コントロール群は10%DMSOを経口投与した。EFE群は700 mg/kgEFEを経口投与した。各画分群は、EFE 700 mg/kgに対する各画分の重量収率から算出した量を経口投与した。各試料投与6時間後に2.5%ホルマリン溶液10μLを左後足底部に皮内投与した。投与後速やかにマウスを円柱アクリルケージ(高さ20 cm x 直径10 cm)に入れ、45分間ビデオ撮影した。疼痛関連行動は投与直後から5分後までに生じる第1相と10分後から45分後まで生じる第2相を対象とし、処置した足を舐める行動時間を計測した。統計学的解析はコントロール群と被験物質投与群の疼痛行動時間をDunnett’s testsにて行い、有意水準は5%とした。
結果を図13に示す。第1相については、試料投与群は疼痛関連行動に影響を与えなかったことから、侵害受容性疼痛に対する疼痛抑制作用はないものと考えられた。一方、第2相については、EFE群、水エキス群、20%MeOH分画物群、40%MeOH分画物群、MeOH分画物群において、コントロール群よりも疼痛関連行動が減少し、炎症性疼痛に対する抑制作用を有することがわかった。水エキス群はEFE群よりも少ない投与量で強い疼痛抑制作用を示したことから、疼痛抑制作用は水エキスに濃縮していること、すなわち、比活性が格段に高くなっていることが明らかになった。一方、in vitro の活性評価で薬効のあったn-ブタノールエキスは、in vivoでは薬効を示さなかった。
次にこの水エキスをDiaionHP-20カラムで分画した。実施例7及び8より、20%MeOH分画物、30%MeOH分画物、40%MeOH分画物、50%MeOH分画物、及び、MeOH分画物にc-Metキナーゼ阻害作用及び運動能抑制作用があることが明らかになった。そこで、動物試験用に各画分の回収量を上げるために、水エキスをDiaionHP-20によって、H2O分画物、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物に分離した。その結果、H2O分画物には疼痛抑制作用はなく、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物に活性があることが明らかになった。以上より、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物は、炎症性疼痛に対する鎮痛作用を有することがわかった。
(実施例10)c-Metの発現とc-Metチロシンリン酸化、及びEGFRの発現とEGFRチロシンリン酸化に対する作用
EFE由来の水エキスのDiaion HP-20カラム分画物について、c-Met及びEGFRを過剰発現しているヒト非小細胞肺がん由来H1993細胞を用いて、c-Met及びEGFRに対する作用を解析した。
各分画物は10%DMSO-RPMI1640培地で溶解し、2〜4 mg/mLの濃度のStock solutionとした後、RPMI培地で希釈して用いた。培地に含まれるDMSOの最終の濃度は0.125%だった。H1993細胞に100 μg/mL EFE、 50μg/mL H2O分画物、25 μg/mL 20%MeOH分画物、25 μg/mL 40%MeOH分画物、あるいは25 μg/mL MeOH分画物を添加して4時間インキュベーションした後、細胞を溶解し、遠心分離した上澄みを用いて、Western-blottingを行った。結果を図14に示す。
なお、H1993細胞は、c-Met及びEGFRを過剰発現しているため、HGFやEGFの刺激がなくても、自己リン酸化により受容体がリン酸化されている。
(1) c-Metに対する作用:
H2O分画物は、c-Metの発現量及びリン酸化に影響を与えなかった。20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物は、c-Met発現量を低下させ、リン酸化を阻害した。これらの作用は、40%MeOH分画物が最も高く、EFEとほぼ同程度の作用を示した。したがって、c-Metに対する作用は、H2O分画物にはなく、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物にあることが明らかになった。これは、(実施例9)の疼痛試験の結果とほぼ一致していた。
(2) EGFRに対する作用:
H2O分画物は、EGFRの発現量及びリン酸化に影響を与えなかった。20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物は、EGFRのリン酸化を阻害した。一方、EGFRの発現量は、EFEと40%MeOH分画物によって低下した。しかし、20%MeOH分画物及びMeOH分画物は、EGFRの発現量をやや低下させる程度であった。
これらの結果から、EGFRのリン酸化阻害作用は、H2O分画物にはなく、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物にあることが明らかになり、実施例9の疼痛試験の結果及び上記(1)のc-Metに対する作用とほぼ一致していた。一方、EGFRの発現量を低下させる作用は、40%MeOH分画物にあることがわかった。
日本のがん死亡原因1位の肺がんにおいて、分子標的治療薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)が著効するタイプは、生存期間が延長したが、数年で耐性を獲得し再燃することが問題となっており、耐性獲得の原因のひとつにc-Met過剰発現が報告されている(矢野聖二、実験医学、29, 203-208, 2011)。c-Met過剰発現が原因のEGFR-TKI耐性の場合、c-Met阻害剤とEGFR-TKIの併用が有効であると考えられているが、c−Met阻害剤は医薬品化の目途が立っていない。
20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物は、肺がん細胞が過剰発現しているc-Met及びEGFRのリン酸化を阻害することから、c-Met過剰発現が原因のEGFR-TKI耐性肺がん患者の治療に有用でありうる。さらに、40%MeOH分画物は、過剰発現しているc-Met及びEGFRのリン酸化阻害作用だけなく、それの発現量を低下させることから、より有効性の高い分子標的治療薬になりうる。
(実施例11)関節炎モデルマウスに対する疼痛抑制作用
実施例10から40%MeOH分画物の薬効が最も高く、実施例9-10より、H2O分画物には薬効がないことが明らかになった。そこで、これらの分画物の関節炎モデルマウスに対する鎮痛効果をin vivoで比較検討した。結果を図15に示す。
実験動物は、雌性Balb/cの9週齢を用いた。マウスを搬入し1週間程度訓化した後、右後足足蹠にComplete Freud’s Adjuvant (CFA) 5 mg/mLを10 μL接種し、7日間飼育したマウスを関節炎モデルマウスとした。CFA接種7日目のマウスは足関節が有意に腫脹し、機械刺激に対する感受性が最も高くなっているからである。10%DMSO溶液に溶解させた390 mg/kg H2O分画物、あるいは、190 mg/kg 40%MeOH分画物を関節炎モデルマウスに経口投与した。Control群は、正常マウスにvehicle(10%DMSO溶液)を投与し、Vehicle群は、関節炎モデルマウスにvehicleを投与した。試験薬投与の6時間後に、右足のvon Frey testを行い、up-down法を用いて50%反応閾値(50% paw withdrawal threshold: 50%PWT)を算出した(S. R. Chapman et al, Journal of Neuroscience Method 53 (1994) 55-63)。統計解析は、一元配置分散分析のあとTukeyの多重比較検定法で行った。解析ソフトは、Prism 7(GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)を使用し、統計的に有意水準p<0.05を有意差ありと判断した。
40%MeOH分画物の経口投与により、50%PWTがvehicle群と比較して有意に増加し、機械刺激に対する感受性が低下していた。一方、H2O分画物の経口投与では、50%PWTがvehicle群とほぼ同じで、機械刺激に対する感受性が高いままであった。これらの結果から、40%MeOH分画物は、関節炎モデルマウスに対して疼痛抑制作用を示すが、H2O分画物には疼痛抑制作用がないことが明らかになった。
(実施例12)抗インフルエンザウイルス作用
実施例9のホルマリン試験の結果から、EFEの水エキスをDiaion HP-20で分画した、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物に疼痛抑制作用があることがわかったことから、これらの画分の抗インフルエンザウイルス作用を測定した。この測定方法は、インフルエンザウイルスの感染によりMDCK細胞が溶解することを利用し、50%の細胞が生存する試料濃度で抗インフルエンザウイルス作用を評価する。また、細胞毒性ではなく、抗インフルエンザウイルス作用を測定していることを確認するために、細胞生存率が50%となる濃度も同時に測定した。
各試料について、それぞれ10%FBS-MEMで25μg/mLの溶液に調製し、さらに10段階の2倍希釈系列を作製し、試料溶液とした。インフルエンザウイルス(A/WSN/33 (H1N1)株)を含む液を10%FBS-MEMで1000TCID50/mLに希釈し、インフルエンザウイルス液とした。MDCK細胞を10%FBS-MEMで懸濁し、96穴培養プレートの各ウエルあたり、3x104個/100μLで播種した。24時間培養した後、培養上清を除去し、試料溶液100μLを各ウエルに添加し、さらに100μLのインフルエンザウイルス液もしくは10%FBS-MEMを添加した。72時間培養した後、クリスタルバイオレットで染色し、マイクロプレートリーダーで各ウエルの560nmにおける吸光度を測定した。添加した試料濃度と細胞生存率の曲線について4パラメーラーロジスティック解析を行い、インフルエンザウイルス添加群から50%阻害濃度(IC50値)、非インフルエンザウイルス添加群から50%細胞障害濃度(CC50値)をそれぞれ求めた(表1)。

各試料のIC50値は、CC50値よりも低濃度であったことから、抗インフルエンザウイルス作用が測定できていることが確認された。また、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物のIC50値は、EFEのIC50値と同程度であったことから、EFEの抗インフルエンザウイルス作用を示す活性成分は、20%MeOH分画物、40%MeOH分画物、MeOH分画物に存在することが明らかになった。
(実施例13)高分子縮合型タンニン標準物質の調製
実施例1で得た水エキス-40%MeOH分画物について、さらにSephadex LH-20カラムクロマトグラフィー(GE Healthcare)を用いて精製した。カラムを50%MeOHで洗浄後、70%アセトンで溶出し、高分子縮合型タンニンを得た。溶出液を濃縮、凍結乾燥した後、約100 mgを精密に量り(100.0 mg)、50%ジメチルホルムアミド溶液10 mLを正確に加え、完全に溶解した。この溶液について、実施例2で示したGPC分析した結果、重量平均分子量は85642で、低分子量域にピークは確認されなかった(図16)。この溶液約1 mLをバイアルに分注し、高分子縮合型タンニン標準物質溶液(10.0 mg/mL)とした。
(実施例14)GPCを用いた高分子縮合型タンニン含量の測定
実施例2で示したGPCを用いた分子量分析法及び実施例13で示した高分子縮合型タンニン標準物質を用いて、麻黄エキスの高分子縮合型タンニン含量を測定した。
麻黄エキス3ロットについて、それぞれ10.00 mg/mL となるよう50%ジメチルホルムアミド溶液に溶解し試料溶液とした。各試料溶液及び高分子縮合型タンニン標準物質溶液(10.0 mg/mL)について、実施例2で示した条件でGPC分析した。試料導入後5〜10分の高分子縮合型タンニンのピーク面積について、次式によって試料1 mL中の高分子縮合型タンニン含量を求めた(表2)。
試料溶液1 mL中の高分子縮合型タンニンの量(mg)= AT/AS x 10.00
AT:試料のピーク面積
AS:標準物質のピーク面積
10.00:標準物質溶液1 mL中の高分子縮合型タンニンの量(mg)

Claims (9)

  1. 麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)由来の重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物であって、前記重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを30%以上含む抽出分画物。
  2. 高分子縮合型タンニンが、エクステンションユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールが主にプロアントシアニジンBタイプで縮合し、その一部にプロアントシアニジンAタイプの縮合型タンニンユニットを含み、さらにターミナルユニットとして、カテコールタイプ又はピロガロールタイプのフラバン 3-オールを主に含み、ピロガロールタイプとカテコールタイプを約5:1で含む、請求項1記載の抽出分画物。
  3. 麻黄エキス由来、又はエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)の水溶性画分をカラムクロマトグラフィーによって、水とメタノール又はエタノールから選択されるアルコールとの混合溶媒を用いて、アルコール濃度を高くしながら順次溶出し、得られる各分画の分子量を測定して、重量平均分子量45,000以上の高分子縮合型タンニンを含む抽出分画物を得ることからなる、請求項1記載の抽出分画物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の抽出分画物を含む医薬組成物。
  5. 疼痛抑制薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. c-Metを発現するがんに対する抗がん・抗転移薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
  7. EGFRを発現するがんに対する抗がん薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
  8. 抗インフルエンザウイルス薬である、請求項4に記載の医薬組成物。
  9. 請求項1に記載の抽出分画物を用いる、高分子縮合型タンニンを活性成分として含有する医薬組成物の含量測定法。
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