JP6264685B2 - マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬 - Google Patents

マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬 Download PDF

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Description

本発明は、マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬に関する。
近年、遺伝子やタンパク質の解析技術が革新的に進歩したことで、疾患に関連した生体分子が数多く同定されつつある。これにより、疾患の分類が様変わりしている。例えば、従来は癌の分類は、臓器別であったが、同一の臓器の癌であっても、関連した分子の特徴を基にした分類が可能となった。これにより、治療薬の開発手法も転換期を迎えることとなった。即ち、闇雲に有効性を示す化合物をスクリーニングすることから、疾患に特徴的な分子を標的として阻害あるいは賦活させる物質、即ち、分子標的治療薬を見出す手法が標準となっている。分子標的治療薬は、診断の段階で疾患に関連する分子を特定してから治療を開始するため、高い有効性を示すことが特徴である。
疾患に関連した生体分子の同定が最も進んでいるのが癌であり、いくつかのキナーゼの異常が明らかになりつつある。キナーゼは、基質特異的なリン酸化反応を触媒する酵素で、遺伝子解析の結果からヒトには518種存在すると推定されている(非特許文献1)。これらのキナーゼは、秩序立ったリン酸化経路からなるシグナルネットワークを形成しており、細胞外からの情報に応答して、代謝、転写、細胞増殖、細胞運動、アポトーシス、あるいは細胞分化等を制御する。癌細胞では、キナーゼの異常により、細胞増殖、生存能や細胞運動に関するシグナルが活性化しており、細胞分化やアポトーシスを誘導するシグナルが抑制されている。従って、これらのキナーゼを制御する物質は、癌の分子標的治療薬として応用できる。Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR)ファミリーのキナーゼのひとつであるHuman epidermal growth factor receptor 2 (Her2)が過剰に発現した転移性乳癌や胃癌に対する分子標的治療薬としてHer2を阻害する抗体・ハーセプチン(トラスツズマブ)が、1998年に米国で乳癌の治療薬とて認可され、2001年に日本でも承認されている。また、日本のがん死亡原因の1位である肺癌の多くはEGFRに異常があることが明らかとなり、EGFRの分子標的治療薬が開発されている。イレッサ(ゲフィチニブ)とタルセバ(エルロチニブ)は、EGFRキナーゼ阻害剤であり、EGF受容体遺伝子が変異しキナーゼ活性が亢進した非小細胞肺癌患者に著効し、30カ月程度の長期生存を可能にした。
一方、癌以外の疾患の分子標的治療薬の開発も進んでいる。アクテムラ(トシリズマブ)は、国産初、また世界発のIL-6阻害剤として2005年に発売された。アクテムラは、ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体で、抗リウマチ薬としてキャッスルマン病や関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎の治療に用いられている。
このように、現在、様々な疾患に関連する生体分子が明らかにされるとともに、それらの分子に対する分子標的治療薬の開発が急速に進んでおり、これまで治療法のなかった難治性疾患に対する治療が可能になるものと期待されている。
現在、癌の悪性化や薬剤耐性に関与する極めて重要な分子が次々と明らかになっているが、分子標的治療薬としての医薬品シーズの開発が立ち遅れているものも少なくない。そういった標的分子として、Mesenchymal-Epithelial Transition factor(MET)や、Aurora kinase、Fms-like tyrosine kinase 3(FLT-3)がある。また、Tyrosine kinase receptor A(TrkA)は、癌の増殖や転移のみならず、癌等の疾患にともなう難治性の疼痛やアトピー性皮膚炎の掻痒に関与していることから、TrkAを標的とした阻害剤の有効性が期待されているが、分子標的治療薬の開発には至っていない。
METは、肝細胞増殖因子(HGF)の受容体で、様々な癌種において遺伝子の増幅や変異、過剰発現が報告されてきた(非特許文献2)。METはHGFの刺激で活性化され、腫瘍増殖や浸潤・転移を促進する。また、最近、非小細胞肺癌の治療薬であるイレッサやタルセバに対する耐性獲得にMETが関与していることが明らかになった。EGFRキナーゼ阻害剤であるイレッサやタルセバは、著効してもほぼ例外なく1年から数年以内に耐性を獲得し、がんが再燃することが臨床上重大な問題となっている。これらのEGFRキナーゼ阻害剤に対する耐性獲得の分子メカニズムとして、EGFR遺伝子の変異とMETの過剰発現が報告されており(非特許文献3,4)、EGFRキナーゼ阻害剤にMET阻害剤を併用することによって、耐性を克服できる可能性が高いが、現在、MET阻害剤は医薬品化されていない。2010年から非小細胞肺がん患者に対して、MET阻害剤ARQ197とタルセバ併用の第II相試験が行われ、タルセバ単剤群に比べて無増悪生存期間を有意に延長したことが報告された(非特許文献5)。しかし、2012年に第III相試験が、間質性肺炎の発症率の上昇のため中断された。このようなことから、安全性の高い新たなMET阻害剤の開発が求められている。本発明では、MET発現癌の増殖を抑制する治療薬(抗癌剤)、浸潤・転移を抑制する治療薬(抗転移剤)、及びEGFRキナーゼ阻害剤耐性非小細胞肺癌の薬剤耐性を抑制する治療薬(薬剤耐性抑制剤)として有用なMET阻害剤を提供することを目的とする。
Aurora kinase A及びAurora kinase Bは、細胞周期を調節するキナーゼで、これらを阻害すると細胞周期がG2/M期で停止する。Aurora kinase の発現は、種々の癌で亢進しており、予後不良と相関している(非特許文献6)。現在、Aurora kinaseに対する分子標的治療薬の開発が進められているが、医薬品として承認されたものはない。本発明では、癌の増殖を抑制する治療薬(抗癌剤)として有用なAurora kinase A 及びAurora kinase B阻害剤を提供することを目的とする。
FLT-3は、急性骨髄性白血病(AML)の患者の約30%に遺伝子変異が確認され、その生命予後が不良であることが報告されている(非特許文献7)。現在、FLT-3に対する分子標的治療薬の開発が進められているが、医薬品として承認されたものはない。本発明では、AMLの増殖を抑制する治療薬(抗癌剤)として有用なFLT-3阻害剤を提供することを目的とする。
Trk Aは、乳癌の増殖と転移の促進に関与していることが報告されている(非特許文献8)。現在、Trk Aに対する分子標的治療薬の開発が進められているが、医薬品として承認されたものはない。本発明では、TrkAを発現する癌の増殖を抑制する治療薬(抗癌剤)として有用なTrk A阻害剤を提供することを目的とする。
最近、Nerve growth factor (NGF)とその受容体であるTrkAが疼痛や掻痒に関与していることが明らかになってきた。TrkAは、約40-50%の感覚神経に発現している受容体型キナーゼであり、感覚神経の末端が分布する臓器や組織(筋肉、皮膚、血管など)においてそのリガンドであるNGFが発現・分泌されることでNGF-TrkAシグナルが活性化され、末梢の疼痛を惹起する。したがって、TrkAのリン酸化を抑制する化合物は、鎮痛作用を有することが期待される。既存の治療薬ではコントロールが困難な癌性疼痛をはじめ、自己免疫疾患、外傷、脊椎疾患、糖尿病等に伴う疼痛は、NGF-TrkAシグナルが関与していることが明らかとなっている(非特許文献9)。また、TrkA阻害剤は、疼痛のみならず、アトピー性皮膚炎の掻痒に対しても有効であると期待されている。正常な皮膚の知覚神経は、真皮内部に留まっているが、アトピー性皮膚炎では表皮細胞が産生するNGFの作用によって表皮内まで知覚神経線維が伸長することで痒みの閾値が低下し、掻破行動を誘発すると考えられており、実際、マウスを用いたモデル実験で、NGF阻害剤が皮膚炎を抑制することが報告されている(非特許文献10)。このような背景から、TrkAを標的とした分子標的治療薬の開発が試みられているが、臨床応用までは進んでいない。本発明では、難治性疼痛の治療薬(疼痛抑制剤)及びアトピー性皮膚炎の止痒薬として有用なTrkA阻害剤を提供することを目的とする。
初期の分子標的治療薬は、特異的なキナーゼ阻害剤を目標として開発されてきた(特許文献1、2)。しかし、最近の臨床研究から、複数のキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害剤の方が、効果が高いと考えられるようになってきた。なぜなら、癌細胞では様々なキナーゼが同時に活性化しているため、それらを総合的に阻害する方が、癌に対して高い抑制効果が得られるからである。例えば、METとAurora kinase を発現している癌では、癌転移と腫瘍増殖の両方を一剤で治療できる。また、同癌患者に、癌性疼痛の症状があれば、同時に疼痛の治療も可能となる。これにより従来の細胞障害性抗癌剤では効果がほとんどなかった癌であっても、標的となる分子を発現している場合は、相加的あるいは相乗的に優れた治療効果をもたらす。また、投与する薬剤を少なくすることができるため、副作用を軽減することができる。
特表2010−503686号公報 特表2010−522697号公報
Manning, G., et al., Science, 298, 1912-1934, 2002. 上仲俊光ら, 実験医学, 29(2), 159-165, 2011. Kobayashi, S. et al., N. Engl. J. Med., 352, 786-792, 2005. Engelman, J. A., et al., Science, 316, 1039-1043, 2007. Schiller, J. H., ASCO annual meeting, abstract LBA7502, 2010. 平井洋ら, 日薬理誌, 133, 27-31, 2009. Kiyoi H., et al., Oncogene, 21, 2555-2563, 2002. Lagadec C., et al., Oncogene, 28(18), 1960-1970, 2009. Yamaguchi, A., Drug Delivery System, 26(5), 457-460, 2011. 高野憲一ら、薬学雑誌、131(4), 581-586, 2011.
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬を提供することを目的とする。
本発明にかかるマルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、薬剤耐性抑制剤、疼痛抑制剤及び止痒薬は、式1を備えるフラボノールを有効成分として含有する。
ここで、Rは式2又は式3である
式1においてRが式2の場合は、上記フラボノールはヘルバセチンである。また、式1においてRが式3の場合は、上記フラボノールはゴシペチンである。
ヘルバセチンは、配糖体として、イワベンケイ(岩弁慶、Rhodiola rosea)、アマ(亜麻、Linum usitatissimum)等から単離されている(非特許文献11,12)。また、ゴシペチンは、配糖体として、イワベンケイ(岩弁慶、Rhodiola rosea)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)等から単離されている(非特許文献11,13)。
これまでに、これらの化合物について、いくつかの薬理作用が報告されている。ヘルバセチンは、抗酸化作用を有すること(非特許文献14)、ノイラミニダーゼ阻害作用による抗インフルエンザウイルス作用を有すること(非特許文献15)、ジメチルエーテル付加体がKA3IT細胞とNIH3T3細胞に対して細胞毒性を示し、EGF受容体によるリン酸化反応を抑制すること(非特許文献16)、配糖体が抗酸化作用を有すること(非特許文献17)、が知られている。また、ゴシペチンは、ノイラミニダーゼ阻害作用による抗インフルエンザウイルス作用を有すること(非特許文献14)、低比重リポ蛋白を修飾してマクロファージに取り込まれやすくさせる作用を有すること(非特許文献18)、アロマターゼ阻害作用を有すること(非特許文献19)が知られている。しかしながら、これらの化合物が、MET、FLT3、Aurora kinase、TrkA等の複数のキナーゼに対する阻害作用、すなわちマルチキナーゼ阻害作用を有することは知られていない。
Li T., Zhang H., Identification and comparative determination of rhodionin in traditional tibetan medicinal plants of fourteen Rhodiola species by high-performance liquid chromatography-photodiode array detection and electrospray ionization-mass spectrometry, Chem Pharm Bull, 56, 807-814, 2008. Struijs K., et al., The flavonoid herbacetin diglucoside as a constituent of the lignin macromolecule from flaxseed hulls, Phytochemistry, 68, 1227-1235, 2007. Mounnissamy V.M., et al., Antibacterial activity of gossypetin isolated from hibiscus sabdariffa, The Antiseptic, 99, 81-82, 2002. Qiu, S.-X., et al., Isolation and characterization of flaxseed (Linum sitatissimum) constituents, Pharmaceutical Biology, 37, 1-7, 1999. Jeong H.J., et al., Neuraminidase inhibitory activities of flavonols isolated from Rhodiola rosea roots and their in vitro anti-influenza viral activities, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 17, 6816-6823, 2009. Gedara S.R., et al., New erythroxane-type diterpenoids from Fagoniaboveana (Hadidi) Hadidi& Graf,Zeitschrift fur Naturforschung C Journal of Biosciences, 58, 23-32, 2003. Choe K.I., et al., The antioxidant and anti-inflammatory effects of phenolic compounds isolated from the root of Rhodiola sachalinensis A. BOR, Molecules, 17, 11484-11494, 2012. Rankin S.M., et al., The modification of low density lipoprotein by the flavonoids myricetin and Gossypetin, Biochem Pharmacol, 45, 67-75, 1993. Paoletta S., et al., Screening of herbal constituents for aromatase inhibitory activity, Bioorg Med Chem, 16, 8466-8470, 2008.
本発明によれば、複数のキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害剤が得られる。即ち、癌細胞の増殖や転移を促す複数のチロシンキナーゼを狙い撃ち、更に疼痛に関与するキナーゼも阻害するため、従来の細胞障害性抗癌剤では効果がほとんどなかった悪性腫瘍の増殖や転移に対して優れた治療効果をもたらすと同時に、薬剤耐性の抑制や癌性疼痛の治療を行うことができる。また、本発明によれば、複数の薬剤を使用せずに、単一の薬剤により複数のキナーゼを阻害するため、癌治療において投与する薬剤を少なくすることができ、これにより患者に対する副作用を軽減することができる。また、本発明によれば、癌の悪性化や薬剤耐性に関与する極めて重要な分子にも関わらず、分子標的治療薬としての医薬品シーズの開発が立ち遅れている、Mesenchymal-Epithelial Transition factor(MET)、Aurora kinase、Fms-like tyrosine kinase 3(FLT-3)及びTyrosine kinase receptor A(TrkA)に対する分子標的治療薬が得られる。更に、TrkAが関わる疾患の治療薬、例えば、癌性疼痛を含む難治性の疼痛治療薬やアトピー性皮膚炎の止痒薬が得られる。
ヒト乳癌由来MDA-MB-231細胞に対するヘルバセチン、ケンフェロール、アピゲニン、及びイソスクテラレインの効果の程度を示す図であり、そのうち(a)はHGFにより誘導される細胞の相対運動能に対する効果であり、(b)は細胞の生存能に対する効果である。 HGFによって誘導されるMDA-MB-231細胞の細胞運動に対するヘルバセチンの添加濃度依存的抑制効果を示す図である。 HGFによって誘導されるMETのチロシンリン酸化に対するヘルバセチン、ケンフェロール、アピゲニン、及びイソスクテラレインの効果の程度を示すウエスタンブロッティングでの検出結果を示す図である。 HGFによって誘導されるMETのチロシンリン酸化に対する各種濃度のヘルバセチンの抑制効果を示す図であり、そのうち(a)はウエスタンブロッティングでの検出結果であり、(b)はMETのチロシンリン酸化の程度を数値化した結果である。 METチロシンキナーゼ活性に対するヘルバセチンの阻害効果を示す図であり、ヘルバセチンの添加濃度に対するリン酸化ペプチドの生成阻害率を示す図である。 MV4-11細胞の増殖に対するヘルバセチンの抑制効果を示す図である。 ヒト肝癌由来HuH-7細胞のAurora kinase Bに対するヘルバセチンの抑制効果を示す図であり、そのうち(a)はウエスタンブロッティングでの検出結果であり、(b)Histone-H3のリン酸化の程度を数値化についての解析結果である。 HuH-7細胞の細胞周期に対するヘルバセチンの効果を示す図である。 HuH-7細胞の増殖に対するヘルバセチンの抑制効果を示す図である。 HuH-7細胞移植ヌードマウスの腫瘍増殖に対するヘルバセチンの経口投与による効果を経時的に示した図であり、そのうち(a)は腫瘍サイズの経時変化であり、(b)は体重の経時変化である。 ヘルバセチン経口投与20日目にHuH-7細胞移植ヌードマウスから摘出した腫瘍重量(a)と腫瘍摘出前のマウスの体重(b)を示した図である。 ラット副腎髄質クロム親和性細胞腫PC12細胞のNGFによって誘導されるTrkAのリン酸化に対するヘルバセチンの濃度依存的な抑制効果を示す図であり、そのうち(a)はウエスタンブロッティングでの検出結果であり、(b)はTrkAのリン酸化の程度を数値化した結果である。 PC12細胞のNGFによって誘導される神経突起の伸長に対するヘルバセチンの抑制効果を示す図であり、そのうち(a)はコントロールであり、(b)は100 ng/mL NGFであり、(c)は100 ng/mL NGF+2.5 μg/mLヘルバセチンであり、(d)は100 ng/mL NGF+5 μg/mLヘルバセチンであり、(e)は100 ng/mL NGF+10 μg/mLヘルバセチンである。 PC12細胞のNGFによって誘導される神経突起の伸長に対するヘルバセチンの抑制効果を示す図であり、そのうち(a)は神経突起の長さであり、(b)は有突起細胞の割合である。 マウスのホルマリン誘発性疼痛に対するヘルバセチンの鎮痛効果を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
本発明者らは鋭意研究により、式1を基本骨格として備えるフラボノールがマルチキナーゼ阻害活性を有することを初めて見出し、この新知見に基づいて本発明を完成させた。
ここで、Rは式2又は式3である
式1においてRが式2の場合は、上記フラボノールはヘルバセチンである。また、式1においてRが式3の場合は、上記フラボノールはゴシペチンである。
本発明において、実施例で用いたヘルバセチン及びゴシペチンは、和光純薬工業株式会社から購入したものを用いた。
マルチキナーゼ阻害活性の一つは、MET阻害活性である。METは、肝細胞増殖因子(HGF)の受容体で、癌細胞の増殖や運動能を促進するシグナルに関与しており、METを阻害すると細胞増殖や細胞運動が抑制されることから、MET阻害活性を備えることは抗癌抗転移薬として機能することを意味する。また、METは非小細胞肺癌のイレッサやタルセバの耐性に関与していることから、MET阻害により耐性非小細胞肺癌の治療が可能となる。
また、マルチキナーゼ阻害活性の他の一つは、Aurora kinase阻害活性である。ヒトにおいてAurora family には3種類(Aurora A、B、C)が存在するが、本発明においては、Aurora kinase AとAurora kinase Bである。Aurora kinase A及びAurora kinase Bは、細胞周期を調節する分子で、これらを阻害すると細胞周期がG2/M期で停止し、癌細胞の増殖が抑制される。本発明において式1を備えるフラボノールは、Aurora kinase A及びAurora kinase Bに対するキナーゼ阻害作用を有するため、細胞周期調節剤となる。
また、マルチキナーゼ阻害活性の他の一つは、FLT3阻害活性である。Fms-Like Tyrosine Kinase 3(FLT3) はclass III receptor tyrosine kinase family に属し、急性骨髄性白血病(AML)で最も高頻度に活性化変異が認められ、なかでも、FLT3-Internal Tandem Duplication(ITL)変異は、AML患者の30%に観察され、再発・難治性を示す。本発明において式1を備えるフラボノールは、FLT3に対するキナーゼ阻害活性を有するため、細胞増殖を抑制し、例えばAMLの治療薬となる。
また、マルチキナーゼ阻害活性の他の一つは、TrkAに対するキナーゼ阻害活性である。TrkAは、Nerve growth factor(NGF)の受容体であり、TrkAを発現する癌の増殖と転移の促進に関与している。そのため、本発明において式1を備えるフラボノールは、例えばTrkA発現乳癌の治療薬となる。
さらに、TrkAは、末梢神経での疼痛や掻痒の伝達受容体として機能している。本発明において式1を備えるフラボノールは、TrkAに対するキナーゼ阻害活性を有するため、癌の骨転移による疼痛やアトピー性皮膚炎の掻痒に対し、NGF-TrkAシグナルをブロックすることで高い鎮痛作用や止痒作用が得られ、癌患者等の疼痛鎮痛薬あるいは止痒薬となる。
本発明において、上記フラボノールは配糖体として用いることも可能である。フラボノイドに結合している糖類としては、特に限定されるものではないが、例えば、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、アピオース等の単糖、ルチノース、ネオヘスペリドース、ソフォロース、サンブビオース、ラミナリビオース等の二糖、ゲンチオトリオース、グルコシルルチノース、グルコシルネオヘスペリドース等の三糖、これらの糖に更に糖類が結合したもの、又はこれらの混合物が挙げられる。
本発明において式1を基本骨格として備えるフラボノールは、上述したように、TrkAに対するキナーゼ阻害活性、MET阻害活性、及び、FLT3阻害活性を有するため、例えば、TrkA発現乳癌、MET発現肝癌、及びFLT3発現AMLの治療のために用いられる。
例えば乳癌細胞においてTGFβ刺激によるEMT誘導によってGEP100-Arf6-AMAP1経路が受容体型チロシンキナーゼであるMETの活性化を介して活性化されることが知られている。また例えばAurora kinase Aは、一対の中心小体(centriole)及びそれを取り巻く中心小体外周物質から構成される細胞内小器官である中心体に局在し、中心体の成熟と分離に必須の働きを行っており、乳癌等の多くのヒトの癌でAurora kinase Aの遺伝子増幅や過剰発現が報告されている。また例えばFLT3は主に幼若造血細胞の細胞膜上に発現し、血液細胞の分化・増殖と造血幹細胞の自己複製における重要なシグナル伝達機構に関与しており、上述のようにFLT3はAMLで最も高頻度に活性化変異が認められるが、乳癌においても発現が報告されている。そこで、例えば本発明にかかるマルチキナーゼ阻害剤を乳癌患者に投与することにより、高い鎮痛効果とともに癌細胞増殖を抑制することができ、総合的に極めて高い治療効果が得られうる。
本発明にかかるマルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、疼痛抑制剤、及び止痒薬は、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤等のような経口投与の製剤、経口投与に適した様々な液体製剤、又は注射剤のような非経口投与用製剤とすることが可能である。
経口投与の製剤の場合、式(1)を備えるフラボノールの微粉末を製剤担体と共に錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤等の形態で製剤化して得られる。
製剤担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、及び可塑剤等を使用できる。賦形剤としては、例えば、白糖、塩化ナトリウム、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム等を使用できる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、等を使用できる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乾燥デンプン、炭酸水素ナトリウム、等を使用できる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等を使用できる。可塑剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ヒマシ油等を使用できる。
上記の経口投与の製剤化の場合、水溶性高分子及び界面活性剤等の分散剤を使用することも可能である。水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を使用できる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等を使用できる。
錠剤を調製するには、式(1)を備えるフラボノールの微粉末を上記製剤担体を用いて常法により錠剤とする。顆粒剤又は細粒剤は、式(1)を備えるフラボノールの微粉末に上記製剤担体を添加し、流動層造粒、高速攪拌造粒、攪拌流動層造粒、遠心流動造粒、押し出し造粒等で顆粒化することにより調製できる。カプセル剤は、不活性な医薬充填剤又は希釈剤と共に混合して調製し、硬ゼラチンカプセル又は軟カプセルに詰める。
経口液体製剤は、式(1)を備えるフラボノールと、甘味料(例えば、ショ糖)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、着色料、香料等とを混合して調製する。
注射用製剤は、例えば、液剤、乳濁液、又は懸濁液の形態で調製され、血液に対して等張にされる。液体、乳濁液又は懸濁液の形態の製剤は、例えば、水性媒体、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール等を用いて調製される。
注射用製剤において、当技術分野で通常使用されている添加剤を適宜用いることができ、例えば、等張化剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤等を使用できる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本願発明のマルチキナーゼ阻害剤、抗癌剤、抗転移剤、疼痛抑制剤、及び止痒薬の投与量としては、例えば、一回の投与につき体重1 kgあたり0.5mgから500mg、好ましくは2.5 mgから25 mgの範囲で投与量が選択できる。しかしながら、本発明の医薬組成物はこれらの投与量に制限されるものではない。
実施例1 ヒト乳癌由来MDA-MB-231細胞を用いたHGFによって誘導される運動能に対するヘルバセチンの効果
癌細胞の運動能と転移能は高い相関関係があり、癌細胞の運動能を抑制することによって転移を抑制することができる。
1)MET陽性のヒト乳癌由来MDA-MB-231細胞を用い、HGFにより誘導される細胞運動能に対するヘルバセチンの抑制効果を、トランスウェルでの移動細胞数を指標に解析した。また、比較対照として、ヘルバセチンの構造に類似したフラボノイドである、式4に示されるケンフェロール、式5に示されるアピゲニン、及び式6に示されるイソスクテラレインを用いた。
下部ウェルは、24ウェルプレートを用い、50 ng/mL HGF添加培地を添加した。無添加培地あるいは5 μg/mLヘルバセチン、ケンフェロール、アピゲニン、あるいは、イソスクテラレイン添加培地に懸濁したMDA-MB-231細胞をトランスウェルに添加し、24ウェルプレートに載せた。CO2インキュベーターで24時間培養した後、トランスウェルから下部ウェルに移動した細胞数を位相差顕微鏡下で計数した。その結果、HGFにより誘導される細胞運動は、ヘルバセチンの添加により最も強く(約90%)阻害された(図1(a))。
2)上記の実験条件における、細胞の生存能に対するヘルバセチン及び各種フラボノイドの効果を解析した。MDA-MB-231細胞を50 ng/mL HGF添加培地 (Control) あるいは、50 ng/mL HGF及び5μg/mLヘルバセチン、ケンフェロール、アピゲニン、あるいは、イソスクテラレイン添加培地に懸濁し、96ウェルプレートに播種した。CO2インキュベーターで24時間培養した後、WSTアッセイ溶液10 μLを添加して、2時間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて450 nmの吸光度を測定した。その結果、アピゲニンの添加で細胞生存能の低下が観察されたが、ヘルバセチンや他のフラボノイドの添加は影響を与えなかった(図1(b))。従って、アピゲニンによる運動能の低下は,細胞生存能の低下によると考えられた。
3)種々の濃度のヘルバセチンを用いて、HGFにより誘導される細胞運動に対する効果を解析した結果、ヘルバセチンの添加濃度依存的に運動能が低下することが明らかとなり、そのIC50値は、523 ng/mL(1.7 μM)であった(図2)。
以上の結果から、ヘルバセチンはMDA-MB-231細胞の生存能に影響を与えない濃度で、HGFによって誘導される細胞運動を抑制することが明らかになった。
実施例2 HGF-METシグナルに対するヘルバセチンの効果
HGFにより誘導されるMETのチロシンリン酸化に対するヘルバセチンの効果をMDA-MB-231細胞を用いて解析した。また、比較対照として、ヘルバセチンの構造に類似したフラボノイドである、ケンフェロール、アピゲニン、及びイソスクテラレインを用いた。
1)MDA-MB-231細胞を10%血清添加培地で48時間培養した。無添加培地で24時間培養した後、2.5 μg/mLヘルバセチン、ケンフェロール、アピゲニン、あるいは、イソスクテラレイン及び50 ng/mL HGF添加培地で5分間インキュベートし、PBSで洗浄した後、タンパク質抽出用細胞溶解液で細胞を溶解した。細胞の溶解液についてSDS-PAGEを行い、抗リン酸化MET抗体を用いたウエスタンブロッティングで検出した。その結果、HGFによって誘導されるMETのチロシンリン酸化は、ヘルバセチンで抑制されたが、他のフラボノイドでは抑制されなかった(図3)。図中、P-Metはリン酸化Metを示す。
2)各種濃度のヘルバセチン(0〜5 μg/mL)について、METのチロシンリン酸化の抑制効果を同様の方法で解析した結果、ヘルバセチンの添加濃度依存的に抑制されることが明らかとなった(図4(a),図4(b))。
実施例3 ヘルバセチンと各種フラボノイドのMETチロシンキナーゼ活性阻害効果の解析
1)METキナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用いたキナーゼ阻害アッセイを行った。20 mM HEPES,0.01% Triton X-100,2 mM DTT,25 μM ATP,5 mM MgCl2,pH7.5に0.94 nM 組換えMETキナーゼドメイン,1 μM Srctide及び0.001〜30 μM ヘルバセチンを添加し、室温で1時間反応させた。基質ペプチドと生成したリン酸化ペプチド量をLab Chip 3000(Caliper Lifesciences)を用いて測定した。統計解析ソフトウエア(GraphPad Prism 5)を用いてヘルバセチンの添加濃度に対するリン酸化ペプチドの生成阻害率のプロットに対する4パラメーターロジスティック曲線の近似式を求め、そのパラメーターよりIC50値を算出した。その結果、ヘルバセチンは,濃度依存的にMETのチロシンキナーゼ活性を阻害することが明らかとなり、そのIC50値は、1.284 μMであった(図5)。
2)ヘルバセチン及び比較対照として、ヘルバセチンの構造に類似したフラボノイドである、アピゲニン、ケンフェロール、及びケルセチンについて、METキナーゼ活性に対する阻害効果を比較するために、METのキナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用い、消費ATP量の低下を指標としたキナーゼ阻害アッセイを行った。40 mM Tris-HCl pH7.5,2 mM DTT,7 mM MgCl2,10 μM ATP に4 nM 組換えMETキナーゼドメイン,0.2 μg/mL Poly (Glu4,Tyr1)及び10 μM フラボノイドを添加し、室温で1時間反応させ、ADP-Gloアッセイキット(Promega)を用いて消費ATP量を求めた。フラボノイド無添加における消費ATP量を100%とし、各フラボノイド添加による消費ATPの減少量から阻害率を求めた(表1)。
その結果、添加濃度10 μMにおける各フラボノイドのMETチロシンキナーゼ活性の阻害率は、ヘルバセチンが最も高い53.7%を示した。なお、上記1)のIC50値は1.284 μMであったが、本実験では10 μMで53.7%の阻害率であった。これはヘルバセチンの阻害効果が、5μM以上からプラトーになること(図5)によると考えられる。
以上の結果から、METのキナーゼ活性は、ケルセチン等の比較対照としたフラボノイドよりもヘルバセチンによって最も強く阻害されることが明らかとなった。
以上の結果から、ヘルバセチンはMETのチロシンキナーゼを阻害することによってHGFによって誘導される運動能を抑制することが明らかになった。HGFは血清中に存在する運動能誘導因子である。また、MET発現癌細胞が自ら分泌したHGFによるオートクリン作用や、癌細胞の周辺の間充織が分泌したHGFによるパラクリン作用によって運動能を高め、浸潤や転移を促進することが報告されている。
従って、ヘルバセチンは、HGF-METシグナルによる癌細胞の運動能を抑制する作用を有することから、MET発現癌の転移抑制剤となることが示された。
更に、本実施例からヘルバセチンは、METキナーゼ活性の阻害作用を有することが明らかとなり、MET過剰発現によって生じる癌の転移及び増悪化やMET発現が原因の耐性非小細胞肺癌の治療に用いることができる。
実施例4 ヘルバセチンの網羅的キナーゼ阻害活性の解析
ヘルバセチンのキナーゼ阻害活性の特異性を解明するために、受容体型チロシンキナーゼと細胞周期に関連したキナーゼ等、50種のキナーゼについて網羅的な解析を行った。
各キナーゼの組換えタンパク質と基質となる合成ペプチドを用い、リン酸化ペプチドの生成量の低下を指標としたMETキナーゼ阻害アッセイを行った。20 mM HEPES,0.01% Triton X-100,2 mM DTT,25 μM ATP,5 mM MgCl2,pH7.5に0.94 nM 組換えキナーゼドメインと基質となる1 μM合成ペプチド、及び1 μM ヘルバセチンを添加し、室温で1時間反応させた。基質ペプチドと生成したリン酸化ペプチド量をLab Chip 3000(Caliper Life sciences)を用いて測定した。各キナーゼについて、ヘルバセチン添加によるリン酸化ペプチドの生成量の減少量から阻害率を求めたところ、特にFLT3、Aurora kinase A、Aurora kinase B、Trk Aのキナーゼ活性が、低濃度のヘルバセチンによって抑制された(表2)。
以上の結果から、ヘルバセチンは、METキナーゼ以外にもFLT3、Aurora kinase A、Aurora kinase B、Trk A等、様々なキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害作用を有することが明らかとなった。
キナーゼの活性亢進は、癌の浸潤・転移のみならず、増殖に関わっていることが知られている。しかしながら、例えば、肝臓癌と診断されたものであっても、その性質は千差万別であるため、増殖亢進の要となるキナーゼは、個々の肝臓癌で異なっている。そのため、今や、キナーゼ阻害剤が、どのキナーゼをどの程度阻害するのかを明確にし、治療対象となる癌の性質を分子レベルで診断することが標準的な治療戦略となっている。例えば、FLT3は、一部の急性骨髄性白血病細胞で活性が亢進していることが明らかとなっているためFLT3阻害剤が増殖抑制剤として治療薬となっているが、FLT3活性が亢進していない急性骨髄性白血病細胞に対してはFLT3阻害剤が無効であることが知られている。即ち、作用する標的キナーゼを明確にすることで、初めて有用な用途を示すことが可能となる。従って、ヘルバセチンは、FLT3、Aurora kinase A、Aurora kinase Bが亢進した癌の増殖阻害剤となることが示された。
実施例5 ヒト急性骨髄性白血病細胞由来MV4-11細胞の増殖に対するヘルバセチンの効果
FLT3が恒常的に活性化しているヒト急性骨髄性白血病細胞由来MV4-11細胞を10%血清添加培地で懸濁し、48ウェルプレートに播種し、ヘルバセチンを最終濃度0-40 μg/mLとなるように添加し、3日間培養した後、WSTアッセイで生細胞数を定量した。その結果、MV4-11細胞の細胞数は、ヘルバセチンの添加濃度に依存して減少しており、そのIC50値は17.7 μMであった(図6)。
以上の結果から、ヘルバセチンは、FLT3が恒常的に活性化しているヒト急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制することが明らかになった。
従って、ヘルバセチンは、FLT3活性が亢進しているヒト急性骨髄性白血病細胞の増殖抑制剤として有用であることが示された。
実施例6 ヒト肝癌由来HuH-7細胞のAurora kinase B及び細胞周期に対するヘルバセチンの効果
1)Aurora kinase B陽性であるヒト肝癌由来HuH-7細胞を用いて、ヘルバセチンのAurora kinase Bに対する効果として、Aurora kinase Bの発現量とAurora kinase Bの基質であるHistone-H3のリン酸化について解析した。10%血清添加培地に懸濁したHuH-7細胞をディッシュに播種し、24時間培養した。0-20 μg/mLヘルバセチン及び10%血清添加培地で6時間培養し、PBSで洗浄した後、タンパク質抽出用細胞溶解液で細胞を溶解した。細胞の溶解液についてSDS-PAGEを行い、抗リン酸化Histone-H3抗体、抗Aurora kinase B抗体を用いたウエスタンブロッティングで検出した。その結果、ヘルバセチンの添加濃度依存的にHistone-H3のリン酸化は抑制されたが、Aurora kinase Bの発現量は変化しなかった(図7(a)、図7(b))。
2)Aurora kinase Bは、Histone-H3をリン酸化することでM期の染色体凝集を制御している。従って、Aurora kinase Bが阻害されると細胞周期はG2-M期で停止することが知られている。そこで、HuH-7細胞の細胞周期に対するヘルバセチンの効果を解析した。10% 血清培地に懸濁したHuH-7細胞をディッシュに播種し、24時間培養した後、0〜20 μg/mL ヘルバセチン及び10%血清添加培地で2日間培養した。PBSで洗浄した後、0.02% EDTA含有PBSで解離させ、ヨウ化プロピジウムで染色した後、フローサイトメーターで細胞あたりのDNA量を測定した。その結果、ヘルバセチンの添加濃度依存的にG2-M期の細胞が増加した(図8)。
以上の結果から、ヘルバセチンは、Aurora kinase Bの活性を阻害し、HuH-7細胞の増殖をG2-M期で停止させる作用を有することが明らかになった。
実施例7 ヒト肝癌由来HuH-7細胞株の増殖に対するヘルバセチンの効果
HuH-7細胞の増殖に対するヘルバセチンの効果を解析するため、10%血清添加培地に懸濁したHuH-7細胞を48ウェルプレートに播種し、24時間培養した。0〜40 μg/mLヘルバセチン添加培地で3日間培養した後、WSTアッセイで生細胞数を定量した。その結果、HuH-7細胞の増殖は、ヘルバセチンの添加濃度依存的に抑制された(図9)。
以上の結果から、ヘルバセチンは、Aurora kinase Bを阻害することによって、細胞周期の停止により、HuH-7細胞の増殖を抑制することが明らかになった。
従って、ヘルバセチンは、Aurora kinaseの活性が亢進している癌の増殖抑制剤として有用であることが示された。
実施例8 ヒト肝癌由来HuH-7細胞移植ヌードマウスの腫瘍増殖に対するヘルバセチンの効果
腫瘍増殖に対するヘルバセチンの効果を解析した。Balb/cヌードマウス(チャールス・リバー)にHuH-7細胞を皮下移植し、1週間後、腫瘍形成を確認し、コントロール群とヘルバセチン投与群、各6匹ずつに分けた。1日1回、コントロール群は滅菌水を経口投与し、ヘルバセチン投与群は、35 mg/kgのヘルバセチンを経口投与した。経時的に腫瘍サイズとマウスの体重を測定し、20日目にマウスを過麻酔下に屠殺して、腫瘍を回収した。腫瘍重量は、ヘルバセチン投与群はコントロール群と比較して有意に低下していた(図10(a)、図11(a))が、マウスの体重は実験期間を通して、コントロール群及びヘルバセチン投与群で有意差はなかった(図10(b)、図11(b))。
以上の結果から、ヘルバセチンは経口投与によって、ヌードマウスにおける腫瘍増殖を抑制することが明らかになった。また、マウスの体重に影響を与えなかったことから、ヘルバセチンは毒性がないか、あるいは毒性が極めて低いことが示唆された。
実施例9 ラット副腎髄質クロム親和性細胞腫PC12細胞のNGFによって誘導されるTrkAリン酸化及び神経突起伸長に対するヘルバセチンの抑制効果
NGFにより誘導されるTrkAのチロシンリン酸化及び神経突起伸長に対するヘルバセチンの効果についてPC12細胞を用いて解析した。
1)PC12細胞を0〜20 μg/mLヘルバセチン及び100 ng/mL NGF添加無血清培地で30分間インキュベートし、PBSで洗浄した後、タンパク質抽出用細胞溶解液で細胞を溶解した。細胞の溶解液についてSDS-PAGEを行い、抗リン酸化TrkA抗体、抗TrkA抗体及び抗GAPDH抗体を用いたウエスタンブロッティングで検出した。その結果、NGFによって誘導されるTrkAのチロシンリン酸化は、ヘルバセチンの添加濃度依存的に有意に抑制された(図12(a)、図12(b))。
2)PC12細胞をI型コラーゲンコーティング24穴プレートに播種し、0〜10 μg/mLヘルバセチン及び100 ng/mL NGF添加した1%ウマ血清-0.5%ウシ胎児血清添加培地で48時間インキュベートした。NGFによって誘導された神経突起の伸長は、位相差顕微鏡下で1視野あたり100個以上の細胞を画像解析ソフト(Image J)で解析し、6視野の平均値を求めた。その結果、NGF添加PC12細胞は、全体の約30%の細胞が神経突起を伸長し(図14(b))、それら細胞の神経突起の平均長は、37 μmであった(図14(a))。一方、ヘルバセチンの添加によって、神経突起の長さ、及び神経突起を有する細胞の割合が有意に減少した(図14(a)、図14(b))。なお、NGFを添加しなかったPC12細胞は、神経突起の伸張が観察されなかった(図13)。
以上の結果から、ヘルバセチンは、NGFにより誘導される神経突起の伸長を抑制する作用を有することが明らかとなり、鎮痛作用や止痒作用を有することが示唆された。
実施例10 マウスのホルマリン誘発性疼痛に対するヘルバセチンの疼痛抑制効果
ヘルバセチンがin vivoで疼痛抑制効果を有するのかどうかを明らかにするために、ホルマリン試験を行った。ヘルバセチン(50, 100, 150 mg/kg)をマウス(n=8)の腹腔内に投与し90分後に、2.5%ホルマリン溶液20 μLを左後肢足裏皮下に投与した。足を舐める、噛むなどの疼痛関連行動を経時的に測定した。ホルマリン試験は2相性の反応を示す。第1相目(0-5 分間)の反応は、ホルマリンよる知覚神経主末へ直接刺激による痛みを反映し、第2相目(15-45 分間)の反応は、ホルマリン組織侵害で生じた炎症による痛みを反映する。モルヒネのような中枢性鎮痛薬は、第1相目及び第2相の両方を抑制し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、第2相のみを抑制する。ヘルバセチンは、第1相目の反応については抑制傾向を示したが有意差はなかった。一方、第2相目の反応については濃度依存的に抑制し、100〜150 mg/kgでは、有意に疼痛行動を抑制した(図15)。
これらの結果から、ヘルバセチンは、NGF-TrkA阻害を介して、鎮痛作用を示すことが明らかになった。
以上の実施例より、ヘルバセチンはマルチキナーゼ阻害剤として、MET発現癌の転移及び増悪化の治療、耐性非小細胞肺癌の治療、Aurora kinase及びFLT3活性亢進癌の増殖抑制剤、及び難治性疼痛に対する鎮痛剤として有用であることが示された。
実施例11 ヘルバセチンと類似構造を有するゴシペチンのキナーゼ阻害特性の解析
式7に示されるゴシペチンは、ヘルバセチンと極めて構造が類似しているフラボノールである。ヘルバセチンで見出されたマルチキナーゼ阻害作用をゴシペチンも有しているのかを解析した。
MET、FLT3、Aurora kinase A、Aurora kinase B、Trk Aについて、各キナーゼドメインの組換えタンパク質と合成基質ペプチドを用いたキナーゼ阻害アッセイを行った。20 mM HEPES,0.01% Triton X-100,2 mM DTT,25〜100 μM ATP,5 mM MgCl2,pH7.5に0.94 nM 組換えキナーゼドメイン,1 μM合成基質ペプチド及び0.001〜30 μM ヘルバセチンを添加し、室温で1時間反応させた。ただし、合成基質ペプチドは、MET及びFLT3では、Srctide、Aurora kinase A及びAurora kinase Bでは、Kemptide、Trk Aでは、CSKtideを用いた。また、ATP濃度は、MET、Aurora kinase A及びAurora kinase Bでは、25 μM、FLT3では、100 μM、Trk Aでは、75 μMで行った。基質ペプチドと生成したリン酸化ペプチド量をLab Chip 3000(Caliper Lifesciences)を用いて測定した。統計解析ソフトウエア(GraphPad Prism 5)を用いてヘルバセチンあるいはゴシペチンの添加濃度に対するリン酸化ペプチドの生成阻害率のプロットに対する4パラメーターロジスティック曲線の近似式を求め、そのパラメーターよりIC50値を算出した(表3)。
その結果、ゴシペチンもヘルバセチンと同様にマルチキナーゼ阻害作用を有することが明らかになった。
以上の結果から、ヘルバセチンは、MET、Aurora kinase A、Aurora kinase B、FLT3、Trk A等のキナーゼを標的とした,マルチキナーゼ阻害作用を有すること、ゴシペチンについても、ヘルバセチンと同等のマルチキナーゼ阻害作用を有することが明らかとなった。
以上の実施例から、式1を備えるフラボノールは、上記の実施例で示したヘルバセチンと同等の用途に有用であることが示された。
癌の治療、疼痛の治療及び掻痒の治療に利用できる。

Claims (18)

  1. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有するマルチキナーゼ阻害剤。
    ここで、Rは式2又は式3である
  2. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項1に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  3. METを発現する胃癌、食道癌、大腸癌、肺癌、乳癌、肝癌、腎癌、膵臓癌、及び卵巣癌の増殖及び再発転移抑制のための治療、MET発現が原因の耐性非小細胞肺癌の治療、Aurora kinaseを発現する癌の増殖抑制のための治療、FLT3活性化急性骨髄性白血病の治療、並びに、TrkAを発現する癌の治療、TrkAが仲介する疼痛及び掻痒の治療のために用いられる請求項1又は2に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  4. 前記フラボノールがMETを阻害する請求項1乃至3の何れか1項に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  5. 前記フラボノールがAurora kinaseを阻害する請求項1乃至3の何れか1項に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  6. 前記フラボノールがFLT3を阻害する請求項1乃至3の何れか1項に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  7. 前記フラボノールがTrk Aを阻害する請求項1乃至3の何れか1項に記載のマルチキナーゼ阻害剤。
  8. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有するMETを発現する癌の抗癌剤、抗転移剤及び薬剤耐性抑制剤。
    ここで、Rは式2又は式3である
  9. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項8に記載のMETを発現する癌の抗癌剤、抗転移剤及び薬剤耐性抑制剤。
  10. 前記フラボノールがMETのチロシンリン酸化を阻害することによりMET発現癌の治療に用いられる請求項8又は9に記載のMET発現癌の抗癌剤、抗転移剤及び薬剤耐性抑制剤。
  11. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有する、Aurora kinaseを発現する癌の増殖を抑制する抗癌剤。
    ここで、Rは式2又は式3である
  12. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項11に記載の抗癌剤。
  13. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有する、FLT3活性化急性骨髄性白血病の治療のために用いられる抗癌剤。
    ここで、Rは式2又は式3である
  14. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項13に記載の抗癌剤。
  15. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有する、TrkAを発現する癌の抗癌剤、抗転移剤。
    ここで、Rは式2又は式3である
  16. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項15に記載の抗癌剤、抗転移剤。
  17. 式1を備えるフラボノールを有効成分として含有する、TrkAが仲介する疼痛及び掻痒の治療のために用いられる疼痛抑制剤及び止痒薬。
    ここで、Rは式2又は式3である
  18. 前記フラボノールの配糖体を有効成分として含有する請求項17に記載の疼痛抑制剤及び止痒薬。
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