JPH092963A - マオウより得られる糖質分解酵素阻害物質及びそれを含有するダイエット食品 - Google Patents

マオウより得られる糖質分解酵素阻害物質及びそれを含有するダイエット食品

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JPH092963A
JPH092963A JP7153051A JP15305195A JPH092963A JP H092963 A JPH092963 A JP H092963A JP 7153051 A JP7153051 A JP 7153051A JP 15305195 A JP15305195 A JP 15305195A JP H092963 A JPH092963 A JP H092963A
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amylase
water
extract
fraction
inhibitor
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JP7153051A
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Inventor
Takako Chatani
貴子 茶谷
Wakae Mori
稚恵 森
Haruji Sawada
治司 澤田
Tsuneichi Watanabe
常一 渡辺
Teruo Yokokura
輝男 横倉
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Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】マオウを水、極性溶媒或いはそれらの混合溶媒
より抽出して得られるα−アミラーゼ及びα−グルコシ
ダーゼの阻害物質。及び、該阻害物質を含有するダイエ
ット食品。 【効果】安全性及び有効性に優れ、体内の糖質の供給を
抑制するために肥満や糖尿病の予防・治療に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖質分解酵素阻害物
質、特にα−アミラーゼ又はα−グルコシダーゼの阻害
物質及びそれを含有するダイエット食品に関する。
【0002】
【従来の技術】アミラーゼは、デンプン、グリコーゲン
等のα−1、4グリコジド結合を加水分解する酵素であ
り、α−アミラーゼ、βーアミラーゼ及び糖化型アミラ
ーゼに大別され、動植物、糸状菌、細菌に広く分布し、
これらから結晶状で得られている。α−アミラーゼは代
表的には、動物の唾液、膵液中に含まれる酵素として知
られており、口腔内又は消化管内でデンプンを糖に変換
する役割を果たしている。グリコシーダーゼは、配糖体
を加水分解する酵素であり、α−グリコシダーゼ、β−
グリコシダーゼに区別される。α−グリコシダーゼ(マ
ルターゼ)は、アミラーゼがデンプンを加水分解する事
によって生じるマルトトリオースやマルトース等を加水
分解する酵素であり、生物界に広く分布し、代表的には
動物の小腸上皮細胞に存在する。α−アミラーゼ阻害物
質は、α−アミラーゼの活性を阻害することにより、ま
た、α−グルコシダーゼ阻害物質はα−グルコシダーゼ
の活性を阻害することにより、体内への糖質の供給を抑
制する作用がある。近年、先進諸国において栄養過多等
の原因によると思われる種々の成人病が増加している。
これら成人病に中には、デンプン等の過剰摂取による血
糖上昇が誘因となって起こるものが多くあり、糖尿病や
肥満等を挙げることができる。一般にこのような疾患の
治療は、食餌療法が主体となるが、患者にとっては精神
的にかなり負担となり、加えてカロリー計算等にも配慮
しなければならず大変である。以上のような問題点を解
決すべく、日本人の食生活の中心である米・うどん等の
デンプン食品を食べる際に、前述のα−アミラーゼ阻害
物質、α−グリコシダーゼ阻害物質を利用して澱粉の消
化を阻害し、体内への糖質の供給を抑制しようとする方
法が考えられている。上述のα−アミラーゼ阻害物質、
α−グリコシダーゼ阻害物質は過剰なエネルギーの供給
を抑制するので糖尿病や肥満症の予防、治療に有効であ
る。
【0003】α−アミラーゼ阻害物質に関する研究は古
くから行われ、数多くのα−アミラーゼ阻害物質が開発
されてきた。特に、放線菌の産生するオリゴ糖系または
ペプチド系アミラーゼ阻害物質が報告されている。植物
由来のものでは、小麦より抽出した蛋白性物質、ビンロ
ウジ(Areca catechu L.)より抽出したフェノール性物
質 NF−86I、NF−86II(特願昭62ー155
68)、サトイモ(Colocasia esculenta)より抽出し
た蛋白性物質NSAI−I、NSAI−II(特願平2ー
95992)、月桂樹(Laurus nobilis L.)より抽出
した粗エキス(特願平2ー130852)等が報告され
ている。α−グルコシダーゼ阻害物質に関する研究も古
くから行われ、α−アミラーゼ阻害物質同様、放線菌よ
り分離した疑似単糖系物質または疑似オリゴ糖系物質が
数多く報告されている。一例として、アカルボース(Pr
ogress in Clinical Biochemistry and Medicine,77-9
9,1988)、ボグリボース(Progress in Clinical Bioche
mistry and Medicine,77-99,1988)が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、現在ま
でに多くのα−アミラーゼ,α−グルコシダーゼ阻害物
質が開発されてきた。しかし植物由来のものは未だ医薬
品及び食品への実用化は行われていない。従って、本発
明の目的は、毎日食用することにより肥満及び糖尿病の
予防及び改善が可能となり、かつ、生体に安全なα−ア
ミラーゼ,α−グルコシダーゼ阻害物質及びそれを含有
するダイエット食品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な糖
質分解酵素阻害物質を見いだすべく、スパイス、ハー
ブ、生薬、野菜、海藻等についてスクリーニングを行っ
た。その結果、マオウ(麻黄、Ephedra Herb, Ephedra
sinica Stapfの地上茎)及びその同属近縁植物(Ephedr
aceae )の抽出エキス中に安全性及び有効性に優れ、肥
満及び糖尿病の予防及び改善に有用なα−アミラーゼ阻
害物質、α−グルコシダーゼ阻害物質を見いだし、本発
明を完成した。昔から現在に至るまで、マオウは、漢方
薬の要薬として用いられ、その効用は鎮咳去痰等が挙げ
られている。本発明で使用されるマオウの産地として
は、中国等が挙げられる。現在までにマオウ中に存在が
確認されている成分としては、フラボノイド、タンニ
ン、ephedrine、pseudoephedrine、ephedroxane、norep
hedrine、N-methylephedrine、N-methylpseudoephedrin
e、norpsuedoephedrine等が挙げられる。なお、マオウ
に含まれるアルカロイドであるエフェドリンのグリカン
であるフェドラン A、B、C、D、Eには血糖下降作
用があると報告されているが( Planta Med. 51,162,19
86:Konno,C., Mizuno, T., Hikino, H.)、ホルモンの
分泌に影響を与えることにより血糖上昇抑制効果を示す
ものであり、α−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ等の
糖質分解酵素阻害による血糖上昇抑制効果を有すること
は、未だ報告されていない。
【0006】本発明は、以下に示した方法によりマオウ
より得られるα−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ阻害
物質、及びこれを含有する食品に関するものである。 (a)先ずα−アミラーゼ阻害物質として使用できるエ
キスとしては、 (1)精製水で抽出することによって得られるエキス。 (2)エタノールで抽出することによって得られるエキ
ス。 (3)含水エタノール溶液で抽出することによって得ら
れるエキス。 (4)メタノール溶液で抽出することによって得られる
エキス。 (5)含水メタノール溶液で抽出することによって得ら
れるエキス。 (6)上記抽出エキスをシリカゲルを用いた順相クロマ
トグラフィーにより分画して得られる親水性画分。 (7)上記抽出エキスを酢酸エチル、ブタノール及び水
で分配抽出して得られる酢酸エチル画分及びブタノール
画分及び水可溶画分。 (8)上記抽出エキスを吸着クロマトグラフィー用の合
成樹脂製担体(例えば、HP20(株)三菱化成社製)
に吸着させ、分画して得られる30%のエタノール水で
溶出される画分。 (9)精製水中で透析処理(透析膜としてSpectra/Por
Membran MWCO:6〜8000を使用)して得られる透析内液。 (10)上記抽出エキスを疎水クロマトグラフィー用の
担体(例えばフェニルセファロースCL 4B 、ファル
マシア社製)に吸着させ、60%のメタノール水で溶出
される画分。 (11)(1)〜(10)を組み合わせることによって
得られる画分等が挙げられる。
【0007】(b)α−アミラーゼ阻害物質の抽出方法
を以下に示す。なお、本発明で使用するマオウの性状
は、チップ状あるいは粉末状等を問わない。また、生の
状態でも乾燥状態のものでもよい。 (1)抽出温度は、4〜80℃が使用できるが、通常は
室温による抽出が望ましい。 (2)抽出時間は、1時間〜2週間であるが、通常は1
週間程度である。 (3)抽出方法は、冷浸、振とうを問わない。なお、マ
オウ重量1に対し、10〜30倍の溶媒で3回程度繰り
返すことが望ましい。
【0008】本発明のα−アミラーゼ阻害エキスの性質
を以下に示す。 (1)酵素特異性:ブタ膵臓由来α−アミラーゼを阻害
する。 (2)分子量は、25,000以上である。 (3)吸着クロマトグラフィー担体HP20((株)三
菱化成社製)に吸着する。 (4)逆相クロマトグラフィー担体C18(ウオーター
ズ社製)に吸着する。 (5)疎水クロマトグラフィーフェニルセファロースC
L 4B(ファルマシア社製)に吸着する。
【0009】以下、本発明で用いたα−アミラーゼ活性
測定方法及びα−アミラーゼ阻害活性算出方法を示す。 (c)α−アミラーゼ活性測定方法:40μLの精製
水、60μLのバッファー(0.2M トリス マレイン
酸ー水酸化ナトリウムバッファー;pH7.0, 5mM
CaCl2)、約0.2Uのブタ膵臓由来のα−アミラ
ーゼ( worthington biochemical corporation製、酵素
活性1U=25℃、pH6.9の条件下にてデンプンか
ら1μMのマルトースを遊離する活性)を含有する酵素
溶液100μLを混合し、37℃にて5分間予備加熱を
行う。ついで、この溶液に4%可溶性デンプン溶液
(0.2M トリス マレイン酸ー水酸化ナトリウムバッ
ファー;pH7.0,5mM CaCl2 に溶解)20
0μLを添加し、37℃にて12分間反応させる。この
反応液に0.5N 塩酸を500μL添加し、振とうす
ることによりα−アミラーゼ反応を停止させる。この反
応液50μLを採取し、精製水950μL、ルゴール液
(0.0016Nよう素含有)500μLを添加し、振
とうする。この溶液の655nmにおける吸光度をCと
する。別にブランクとして上記酵素溶液のかわりに精製
水を用いて反応液を調製し、同様の操作を行う。これに
よって得られた吸光度をBとする。このようにして得ら
れた吸光度C及びBからα−アミラーゼ活性Aが次式に
よって算出される。ここでAの計算値が0.5となると
きのα−アミラーゼ活性を1単位とする。 A=(B−C)/B 従って、阻害物質が存在しない場合のα−アミラーゼ活
性をAoとするとAoは上記α−アミラーゼ活性を測定
と同様にして測定され、得られた吸光度をToとする
と、次式を用いて算出される。 Ao=(B−To)/B (d)α−アミラーゼ阻害活性算出方法:上記α−アミ
ラーゼ活性測定方法における反応系中の精製水40μL
の代わりに阻害物質溶液40μLを用いて反応液を調製
し、同様の操作を行う。この操作によって得られた吸光
度をTiとする。阻害物質が存在する場合のα−アミラ
ーゼ活性をAiとするとAiは次式により算出される。 Ai=(B−Ti)/B 阻害物質が存在するときの阻害率をI(%)とすると、
Iは次式により算出される。 I=((Ao−Ai)×100)÷Ao 上記ブタ膵臓α−アミラーゼ活性の2単位の50%を阻
害するα−アミラーゼ阻害物質の量を1阻害単位とする
と、α−アミラーゼ阻害物質の阻害活性は、次式により
算出される。 阻害活性=(Ao÷1)×(I÷50)×阻害物質の希
釈倍率
【0010】次に、α−グルコシダーゼ阻害物質として
使用するエキスとしては、 (1)精製水で抽出することによって得られるエキス。 (2)エタノールで抽出することによって得られるエキ
ス。 (3)含水エタノール溶液で抽出することによって得ら
れるエキス。 (4)メタノール溶液で抽出することによって得られる
エキス。 (5)含水メタノール溶液で抽出することによって得ら
れるエキス。 (6)上記抽出エキスをシリカゲルを用いた順相クロマ
トグラフィーにより分画して得られる親水性画分。 (7)上記抽出エキスを酢酸エチル、ブタノール及び水
で分配抽出して得られる酢酸エチル抽出画分及びブタノ
ール抽出画分及び水可溶画分。 (8)上記抽出エキスを吸着クロマトグラフィー用の担
体である(例えば、HP20(株)三菱化成社製)に吸
着させ、20〜60%のエタノール水で溶出される画
分。 (9)上記抽出エキスを疎水クロマトグラフィー用の担
体であるフェニルセファロース(例えばCL 4B、フ
ァルマシア社製)に吸着させ、60%のメタノール水で
溶出される画分および非吸着画分。 (10)(1)〜(9)を組み合わせることによって得
られる画分等が挙げられる。
【0011】α−グルコシダーゼ阻害物質の抽出方法
は、前記、α−アミラーゼ阻害物質の抽出方法に同じで
ある。
【0012】以下、本発明で用いた豚小腸由来α−グル
コシダーゼの調製方法、α−グルコシダーゼ活性の測定
方法、α−グルコシダーゼの阻害活性の算出方法を示
す。 豚小腸由来α−グルコシダーゼの調製方法:BENGT BORG
STROM and DAHLQVIST, Acta Chem Scand,12 (1958),No1
0 ,p1997-2006 を参考に調製した。すなわち、屠殺直後
の豚より小腸を摘出した。小腸を開いて生理食塩水で内
表面を洗浄し、付着している内容物を取り除いた。洗浄
後、内表面をスライドガラスで軽く擦り、上皮細胞を回
収した。回収した上皮細胞は、0.25Mのシュクロー
スを含む0.02Mリン酸バッファー(pH7)に懸濁
した。懸濁液は、ホモジネーターを用いて、ホモジネー
トした。ホモジネート液を600gで10分遠心分離
し、その上清を得た。次いで、7000gで20分遠心
分離し、上清を得た。沈殿は、0.25Mのシュクロー
スを含む0.02M リン酸バッファー(pH7)に懸濁
し、再度同条件で遠心分離して上清を得、先の上清と混
合した。上清を100000gで1時間超遠心分離し、
ミクロゾーム画分である沈殿物を得た。残留シュクロー
スを除くため、沈殿物を0.02M リン酸バッファー
(pH7)に懸濁し、同条件にて再度、超遠心分離を行
った。以上の操作により得た沈殿物を、適当量の0.0
2M リン酸バッファー(pH7)に溶解し、α−グル
コシダーゼ溶液として用いた。
【0013】α−グルコシダーゼ活性測定方法:40μ
Lの精製水、160μLのバッファー(0.1M リン酸
バッファーpH6)、酵素溶液100μLを混合し、3
7℃にて5分間予備加熱を行う。ついでこの溶液に、
2.5mM の p-ニトロフェニル α-D-グルコピラノシ
ド(0.1M リン酸バッファー pH6に溶解)100
μLを添加し、37℃にて10分間反応させる。この反
応液に1MNa2CO3を400μL添加し、振とうす
ることによりα−グルコシダーゼ反応を停止させる。こ
の反応液の410nmにおける吸光度をCとする。
【0014】α−グルコシダーゼ阻害活性の算出方法:
上記40μLの精製水の代わりに阻害物質溶液40μL
を用いて反応液を調製し、同様の操作を行う。この反応
液の410nmにおける吸光度をSとする。阻害物質が
存在するときの阻害率をI(%)とすると、Iは次式に
より算出される。 I(%)=(1−S÷C)×100
【0015】
【実施例】
実施例1 マオウ(松浦薬品製)350gをメタノール5Lで、室
温にて1週間抽出し、濾紙にて濾過し、濾液を得た。エ
バポレータにて濃縮し、暗緑色のメタノール抽出エキス
1.2665gを得た。次にメタノール抽出エキスを精
製水に溶解し、酢酸エチル、ついでn−ブタノールにて
分配抽出を行った。結果、酢酸エチル抽出画分87.5
mg,n−ブタノール抽出画分327.6mgおよび水
可溶画分752.8mgを得た。各画分のα−アミラー
ゼ阻害活性のIC50値は35μg/mL(反応液)、
20μg/mL(反応液)、4μg/mL(反応液)で
あり、水可溶画分にα−アミラーゼ阻害物質を濃縮し
た。各画分のα−グルコシダーゼ阻害活性のIC50値
は0.4〜0.6mg/mL(反応液)、0.45〜
1.1mg/mL(反応液)、0.85〜2.3mg/
mL(反応液)であり、酢酸エチル、ブタノール抽出画
分及び水可溶画分にα−グルコシダーゼ阻害物質を濃縮
した。特に酢酸エチル画分に阻害物質が濃縮された。
【0016】実施例2 マオウ(松浦薬品製)250gを30%エタノール水3
Lで、室温にて10日間抽出し、濾紙にて濾過し、濾液
を得た。濾液3Lをエバポレータにて濃縮し、若干赤み
がかった茶色の30%エタノール水抽出エキス38.9
2gを得た。30%エタノール水抽出エキス38.92
gを精製水500mLに溶解したところ、不溶物質1
7.97gが生じた。本物質にα−アミラーゼおよびα
−グルコシダーゼ阻害活性が無いことを確認し、排除し
た。ついで、精製水可溶画分20.95gを吸着クロマ
トグラフィー用の担体であるHP20(三菱化成社製)
500mLに吸着させ、精製水3Lで洗浄後、30%の
エタノール水3L、ついで100%のエタノール溶液3
Lで溶出した。各溶出画分を所定濃度に調製し阻害活性
を測定した結果、α−アミラーゼ阻害物質は、非吸着画
分と30%のエタノール水で溶出した画分に濃縮した。
α−アミラーゼ阻害活性のIC50値は非吸着画分が3
50μg/mL(反応液)、30%エタノール溶出画分
が5〜6μg/mL(反応液)であった。一方、α−グ
ルコシダーゼ阻害物質は、20〜60%のエタノール水
で溶出する画分に濃縮した。
【0017】実施例3 マオウを100%メタノールで抽出したエキスをシリカ
ゲルを用いた順相クロマトグラフィーによって分画し
た。56.85gの試料をシリカゲルに吸着させた後、
クロロホルム:メタノール=9:1溶液10Lで溶出す
ることにより疎水性画分を除き、ついで100%のメタ
ノール10Lで溶出し、α−アミラーゼ及びα−グルコ
シダーゼの両阻害活性を示す物質17.08gを回収し
た。当該物質のα−アミラーゼ阻害活性のIC50値は
34μg/mL(反応液)、α−グルコシダーゼ阻害活
性のIC50値は500μg/mL(反応液)であっ
た。
【0018】実施例4 実施例3で得たメタノール溶出画分80mgを疎水クロ
マトグラフィー用の担体であるフェニルセファロース
CL 4B(ファルマシア社製)100mLに吸着さ
せ、精製水400mLで洗浄後、20%のメタノール水
200mL、40%のメタノール水300mL、60%
のメタノール水200mL、80%のメタノール水20
0mL、100%のメタノール200mLによりステッ
プワイズ溶出した。各溶出画分の濃縮乾固後の収量は、
45.9mg、11.6mg、10mg、6mg、4.
6mg、4.9mgであった。各溶出画分を所定の濃度
に調製し、阻害活性を測定した結果、60%のメタノー
ル水で溶出した画分にα−アミラーゼ,α−グルコシダ
ーゼ阻害物質を濃縮した。
【0019】実施例5 10%のエタノール水で抽出したエキス30mgを逆相
クロマトグラフィー用の担体を充填したカラム(セップ
ーパックカートリッジC18(ウオーターズ社製))
0.8mLに吸着させ、精製水3mL、20%のメタノ
ール水5mL、40%のメタノール水5mL、60%の
メタノール水5mL、80%のメタノール水5mL、1
00%のメタノール5mLでステップワイズ溶出した。
各溶出画分をエバポレーターで濃縮した後、所定の濃度
に調製し阻害活性を測定した。その結果、精製水で溶出
した非吸着画分及び20%〜60%のメタノール水で溶
出した画分にα−アミラーゼ阻害物質が回収された。
【0020】実施例6 7〜9週齢のddY系雄マウス(体重30〜40g)
を、1群5匹として使用した。20時間絶食させたの
ち、各群のマウスに精製水に溶かした澱粉2.5g/k
gを経口投与した。なお、被検試料投与群には、澱粉と
共に所定の被検試料を経口投与した。また、対照群に
は、被検試料のかわりに精製水のみを投与した。澱粉負
荷前及び澱粉負荷後、30分、60分、90分に眼底静
脈叢よりヘマトクリット毛細管を用いて50μLの血液
を採血し、遠心分離により約20μLの血清を得た。血
清中のグルコース濃度はグルコースCIIテストワコーを
用いて測定した。被検試料として実施例1に示した水可
溶画分を投与した結果を表1に示した。被検試料の投与
量は、100mg/kg及び900mg/kgである。
各群ともに血糖値上昇抑制傾向が認められた。なお、9
00mg/kgの投与群では30分目で1%の危険率で
有意差が認められた。さらに、実施例で示した他のいず
れの調製法によっても、得られた阻害物質には、有意な
血糖値上昇抑制効果が認められた。
【0021】
【表1】
【0022】実施例7(ビスケット) 小麦粉100g、マオウの10%エタノール抽出エキス
の凍結乾燥粉0.1g、人工甘味料(アスパラテーム)
30g、ショートニング12.5g、食塩0.8g、炭
酸水素ナトリウム0.5g、炭酸アンモニウム0.7g
および水15gを用いて、常法によりドゥーを作成し、
成型、焙焼してビスケットを製造した。
【0023】実施例8(パン) 小麦粉100g、マオウの10%エタノール抽出エキス
の凍結乾燥粉0.1g、イースト2g、イーストフード
0.1g、人工甘味料(アスパラテーム)5g、ショー
トニング5g及び水90gを用いて、常法によりドゥー
を作成し、成型、焙焼してパンを製造した。
【0024】実施例9(クッキー) ショートニング100g、牛乳5g、人工甘味料(アス
パラテーム)20g、卵20g、小麦粉100g、ベー
キングパウダー0.3g及びマオウの10%エタノール
抽出エキスの凍結乾燥粉0.1gを用いて、常法により
ドゥーを作成し、成型、焙焼してクッキーを製造した。
【0025】実施例10(ドリンク剤) ビタミンB1、ビタミンB20.3mg、ビタミンB60.
4mg、ビタミンD30IU、アスコルビン酸20I
U、カルシウム200mg、鉄4mg、人工甘味料(ア
スパラテーム)20g、マオウの10%エタノール抽出
エキスの凍結乾燥粉0.1g、水50gおよび牛乳50
gをミキサーで混合し、ドリンク剤を製造した。
【0026】
【発明の効果】本発明のマオウより得られた糖質分解酵
素阻害活性を有するエキスは、安全性及び有効性に優
れ、体内の糖質の供給を抑制するために肥満や糖尿病の
予防・治療に有用である。また、このアミラーゼ阻害物
質を含有するダイエット食品は食物として摂取された澱
粉質の分解を阻害し、エネルギーとして消化されるのを
防ぎ肥満症、糖尿病等の過食に伴う疾病の発生を抑制す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 常一 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 横倉 輝男 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マオウを水、極性溶媒或いはそれらの混合
    溶媒より抽出して得られる糖質分解酵素阻害物質。
  2. 【請求項2】糖質分解酵素がα−アミラーゼである請求
    項1記載の阻害物質。
  3. 【請求項3】糖質分解酵素がα−グルコシダーゼである
    請求項1記載の阻害物質。
  4. 【請求項4】請求項1〜3に記載のいずれか1つの阻害
    物質を含有するダイエット食品。
JP7153051A 1995-06-20 1995-06-20 マオウより得られる糖質分解酵素阻害物質及びそれを含有するダイエット食品 Pending JPH092963A (ja)

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