JP3302346B2 - 食品組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は肥満予防食品および
糖尿病予防食品に関し、さらに詳しくは、炭水化物の消
化吸収に関与する糖質消化酵素阻害物質と糖吸収阻害物
質を含有することにより肥満および糖尿病を予防しうる
食品に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、栄養過多に起因すると考えられる
肥満や糖尿病に陥る人の数が増加している。このような
状況下で、肥満や糖尿病の予防や治療法としては、食事
療法、運動療法、薬物療法などが提案または実施されて
いる。この肥満発生のメカニズムは次のとおりである。
食物中の炭水化物が消化されて生じたブドウ糖が血中に
吸収され血糖値が上昇する。その刺激によって膵臓より
インスリンが分泌される。インスリンの作用によって脂
肪細胞に取り込まれたブドウ糖は脂肪に変換される。こ
の結果、脂肪細胞が大きくなり脂肪の蓄積が起こり肥満
になる。一方、糖尿病は、インスリンの反応が十分でな
いために、食事後上昇した血糖値が長時間持続すること
が原因である。

【０００３】したがって、食物中の糖質がブドウ糖に分
解され吸収される過程を阻害することにより、血糖値の
急激な上昇が抑制される。その結果、糖尿病患者も高血
糖になることが避けられ、また、血糖値の上昇がゆるや
かになることでインスリンの分泌量も減少し、脂肪細胞
での脂肪の合成量が減少し肥満を予防あるいは改善でき
る。

【０００４】糖の消化酵素阻害剤は、医薬品として既に
糖尿病の治療に用いられている。これらの治療薬は、日
常の食品に使用することはできない。天然の食品成分中
の糖質消化酵素阻害物質に関しては、これまでにいくつ
か報告がある。例えば、糖質の消化酵素を阻害するもの
としては、小麦アルブミン（Ｇａｓｔｒｏｅｎｔｅｒｏ
ｌｏｇｙ，１１１，１３１３，１９９６）、桑属のアル
カロイド（特開平９−１４０３５１）、ニシキギ科植物
の含硫化合物（Ｔｅｔｒａｈｅｄｒｏｎ Ｌｅｔｔ．，
３８，８３６７，１９９７）、ナンバンカラスウリ（特
開平１０−５９８５８）などが知られている。

【０００５】また、糖の吸収を阻害する天然物として
は、インド原産のカガイモ科の植物であるギムネマ・シ
ルベスタがよく知られており（特開昭６４−３８０２
６）、その抽出物を使用した食品が多数市場に存在す
る。ギムネマ・シルベスタ以外にも、その同属のギムネ
マ・イノドラム（特開平６−１２８１６１）、タラの芽
（Ｃｈｅｍ．Ｐｈａｒｍ．Ｂｕｌｌ．，４２，１３５
４，１９９４）、トンブリおよび食物繊維にも糖の吸収
阻害活性が認められている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】糖尿病や肥満の予防・
治療には、低カロリーの制限食や運動療法が一般に用い
られる。食事制限を行った場合、肉体的・精神的な苦痛
を強いられることが多い。そのため、糖の消化・吸収を
抑制することで通常の食事内容を維持する方法が考案さ
れている。しかしながら、前述の糖質分解酵素阻害物質
や糖吸収阻害物質は、阻害活性が必ずしも十分ではな
く、有効摂取量を日常の食品として摂取することが困難
であり、食物繊維の有効摂取量は一回あたり５ｇ以上と
されており、毎回の食事への利用は現実的でない。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うな問題を解決するために、前述の物質の食事摂取後の
血糖の上昇抑制作用の相乗効果の研究を行った。その結
果、糖質分解酵素と糖吸収阻害物質を同時に摂取するこ
とにより、それぞれ単独に摂取した場合に比べ格段に増
強されることを見出し、本発明をなすに至った。即ち、
本発明は糖質消化酵素阻害物質と糖吸収阻害物質を有効
成分とする抗糖尿病食品、抗肥満食品及び食後血糖上昇
抑制食品である。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明に使用する糖質消化酵素阻
害物質には、α−アミラーゼ阻害物質とα−グルコシダ
ーゼ阻害物質がある。α−アミラーゼ阻害物質として
は、例えばα−アミラーゼ阻害活性を有するタンパク質
やタンニンが挙げられる。α−アミラーゼ阻害タンパク
質は小麦やライ麦等の中に含まれており、タンニンは大
麦、茶、グァバ、バナバ等に含まれている。α−グルコ
シダーゼ阻害物質としては、例えば１−デオキシノジリ
マイシンやサラシノールが挙げられる。１−デオキシノ
ジリマイシンは桑葉等に含まれており、サラシノールは
サラシア・レティキュラタ等に含まれている。また、カ
リン、インゲン豆、ナンバンカラスウリ等にも糖質消化
酵素阻害物質が含まれている。α−アミラーゼ阻害物質
やα−グルコシダーゼ阻害物質等の糖質消化酵素阻害物
質としてはこれらを含んでいる上記のような物質の粉末
物や抽出物等を使用できる。

【０００９】また、本発明の糖吸収阻害物質としてはサ
ポニン、コンズリトールＡ、グルマリン及び食物繊維が
挙げられる。サポニンはギムネマ・シルベスタ、ギムネ
マ・イノドラム、タラ、トンブリ等に含まれる。コンズ
リトールＡ、グルマリンはギムネマ・シルベスタ等に含
まれている。食物繊維としては難消化性デキストリン、
ガラクトマンナン、可溶性アルギン酸ナトリウム等が挙
げられる。食物繊維は食餌をゲル化することで糖の腸管
からの吸収を抑制すると考えられている。糖吸収阻害物
質としてはこれらを含んでいる上記のような物質の粉末
物、抽出物等を使用できる。

【００１０】本発明は、糖質消化酵素阻害物質と糖吸収
阻害物質を併用することで、食後血糖の上昇抑制作用を
相乗的に高めたもので、糖尿病・肥満の治療・予防に有
用である。また、本発明は、後述の実施例に示すよう
に、強い糖質吸収遅延作用を有する一方、総吸収量には
ほとんど影響しないため、栄養障害に陥ることなく安全
に治療・予防が可能である。

【００１１】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 調製例１ ギムネマ・シルベスタの乾燥粉末５００ｇを２リットル
ので２回抽出し、ろ液を減圧乾固させ、乾燥物を得た。 調製例２ 桑葉乾燥粉末５００ｇに２リットルの３０％エタノール
を加え抽出し、ろ液を減圧乾固させ乾燥物を得た。

【００１２】実施例１ しょ糖５０ｇを１００ｍｌの蒸留水に溶かした。この溶
液に調製例１で得た粉末を１２０ｍｇを添加したもの、
調製例２で得た粉末を８０ｍｇを添加したもの、および
調製例１の粉末１２０ｍｇと調製例２の粉末８０ｍｇを
添加したもの（これを調製例３とする）を調製した。対
照にはしょ糖５０ｇを蒸留水１００ｍｌに溶かしたもの
を用いた。この試料を、健常成人男性によるしょ糖負荷
試験に供した。即ち、試験前日の午後９時より絶食した
被験者に前述の試料を経口負荷させ、簡易血糖測定器
（デキスターＺ；バイエル・三共）を用いて経時的に血
糖値を測定した。結果を図１及び表１に示す。

【００１３】

【表１】

【００１４】

【発明の効果】図１、表１に示すように、本発明による
糖質消化酵素阻害物質と糖吸収抑制物質の併用により食
後血糖の上昇抑制作用が相乗的に高まることが確認でき
る。従って、本発明の食品は抗糖尿病、抗肥満病食品と
して有用なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】経時的に血糖値を測定した結果を表した図であ
る。

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Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ライ麦、大麦、バナバ、桑葉及びサラシ
   ア・レティキュラタの粉末物及び抽出物からなる群から
   選択される１種以上並びにギムネマ・シルベスタ、ギム
   ネマ・イノドラム、タラ及びトンブリの粉末物及び抽出
   物、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン及び可溶
   性アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される１種
   以上を含む抗糖尿病、抗肥満及び／又は食後血糖上昇抑
   制食品。