JP2019126957A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体の硬化不足や過硬化を抑制できる液体噴射装置を提供する。【解決手段】光の照射により硬化する液体を媒体(記録媒体2)に向けて噴射する液体噴射ヘッド(記録ヘッド3)と、少なくとも媒体(記録媒体2)のインクが着弾した部分に光を照射する光照射装置(UV光源12)と、インクが着弾して光が照射された部分の温度を測定する温度測定装置(温度センサー14)と、温度測定装置(温度センサー14)により測定された部分の温度に基づいて、媒体(記録媒体2)に照射する光の強度を制御する制御装置(26)と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置(プリンター1)。【選択図】図2
Description
本発明は、紫外線等の光の照射により硬化する液体を使用する液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記の液体噴射装置としては、紫外線等の光の照射により硬化する液体(すなわち、光硬化性液体)を媒体(例えば、記録紙)に向けて噴射し、当該液体を媒体上で硬化させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この種の液体噴射装置は、光硬化性を有する液体を噴射する液体噴射ヘッド、及び、紫外線光源等の光源を備え、媒体に着弾した液体に光源からの光を照射することにより、媒体上で速やかに液体を硬化させるように構成されている。
ところで、光源の光の強度(照射強度)は、予め実施した実験結果等に基づいて液体(すなわち、光硬化性液体)が確実に硬化可能な強度に設定されている。しかしながら、光源の劣化や汚れ等により、照射強度が低下すると、液体が十分に硬化しない虞があった。このような液体の硬化不足は、目視により判断し難く、印刷の途中で発見することは困難であった。また、液体の硬化不足を抑制するべく、照射強度を予め高めておくことも考えられるが、消費電力が高くなったり、液体の過硬化により画質が劣化したりする虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の硬化不足や過硬化を抑制できる液体噴射装置を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、
光の照射により硬化する液体を媒体に向けて噴射する液体噴射ヘッドと、
少なくとも前記媒体の前記液体が着弾した部分に前記光を照射する光照射装置と、
前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を少なくとも測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記媒体に照射する前記光の強度を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
光の照射により硬化する液体を媒体に向けて噴射する液体噴射ヘッドと、
少なくとも前記媒体の前記液体が着弾した部分に前記光を照射する光照射装置と、
前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を少なくとも測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記媒体に照射する前記光の強度を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体が着弾して光が照射された部分の温度、すなわち、媒体における液体が硬化する際の温度に基づいて、光の強度を制御するため、液体の硬化不足や過硬化を抑制できる。その結果、形成される画質の劣化を抑制できる。また、光照射装置からの光の強度が不必要に高くなることを抑制でき、消費電力を抑制できる。
上記構成において、前記制御装置は、前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記光照射装置から照射される前記光の強度が不足していると判断した場合に、前記媒体に照射する前記光の強度を強めるように構成されたことが望ましい。
また、上記各構成の何れかにおいて、前記液体噴射ヘッドは、第1の期間において前記媒体に向けて前記液体を噴射し、
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の下限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記下限値よりも低い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を強めるように補正を行うように構成されたことが望ましい。
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の下限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記下限値よりも低い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を強めるように補正を行うように構成されたことが望ましい。
これらの構成によれば、液体の硬化不足を抑制でき、形成される画質の劣化を抑制できる。
さらに、上記構成において、前記制御装置は、前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記光照射装置から照射される前記光の強度が過剰であると判断した場合に、前記媒体に照射する前記光の強度を弱めるように構成されたことが望ましい。
また、上記各構成の何れかにおいて、前記液体噴射ヘッドは、第1の期間において前記媒体に向けて前記液体を噴射し、
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の上限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記上限値よりも高い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を弱めるように補正を行うように構成されたことが望ましい。
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の上限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記上限値よりも高い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を弱めるように補正を行うように構成されたことが望ましい。
これらの構成によれば、液体の過硬化を抑制でき、形成される画質の劣化を抑制できる。また、光照射装置からの光の強度が不必要に高くなることを抑制でき、消費電力を抑制できる。
さらに、上記各構成の何れかにおいて、前記光照射装置は、複数の領域を有し、
前記制御装置は、前記光照射装置の前記領域毎に前記光の強度を制御することが望ましい。
前記制御装置は、前記光照射装置の前記領域毎に前記光の強度を制御することが望ましい。
この構成によれば、液体の硬化不足や過硬化をより確実に抑制できる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド3(以下、記録ヘッド3)が搭載された液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1(以下、プリンター1)を例に挙げて説明する。
図1及び図2は、本発明に係るプリンター1の構成を説明する図である。図1はプリンター1の内部構成を説明する模式図であり、図2はプリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、記録媒体2(本発明における媒体の一種)の表面に対して液体状のインク(本発明における液体の一種)を吐出(噴射)して画像等の印刷(記録)を行う装置である。このプリンター1は、記録ヘッド3、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4、キャリッジ4を軸支するガイドロッド5、プラテン9上の記録媒体2を副走査方向(搬送方向)に搬送する搬送機構6(図2参照)、キャリッジ4を記録媒体2の幅方向(副走査方向に交差する主走査方向、図1における矢印の方向)に移動させるキャリッジ移動機構7(図2参照)等を備えている。
本実施形態における記録ヘッド3は、キャリッジ4の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ4は、キャリッジ移動機構7によってガイドロッド5に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、記録ヘッド3を主走査方向に相対移動させて、当該記録ヘッド3のノズル20(図3参照)から記録媒体2に向けてインクを噴射させつつ、プラテン9上の記録媒体2を副走査方向に移動させて、記録媒体2上に画像等を記録する。また、キャリッジ4の上方には、記録ヘッド3に供給するインクが貯留されたインクカートリッジ8(液体供給源の一種)が、着脱可能に取り付けられている。このインクは、光の一種である紫外線(UV)の照射により硬化するUV硬化型インク(UVインクともいう)である。本実施形態においては、記録ヘッド3から4種類のインク(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))を噴射するため、これに対応してインクカートリッジ8が4つ取り付けられている。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジのインクが供給チューブを通じて記録ヘッド側に送られる構成を採用することもできる。
さらに、キャリッジ4(記録ヘッド3)の側方には、記録媒体2に紫外線を照射するUV光源12(本発明における光照射装置)が取り付けられている。このUV光源12から照射された紫外線が、記録媒体2に着弾したインクに照射されると、当該インクが硬化する。本実施形態におけるUV光源12は、キャリッジ4の主走査方向における両側に取り付けられている。主走査方向における一側(図1及び図3における左側)のUV光源12aは、記録ヘッド3が主走査方向における他側(図1及び図3における右側)に移動しつつインクを噴射する際において、記録媒体2のインクが着弾した部分に対して紫外線を照射する。一方、主走査方向における他側(図1及び図3における右側)のUV光源12bは、記録ヘッド3が主走査方向における一側(図1及び図3における左側)に移動しつつインクを噴射する際において、記録媒体2のインクが着弾した部分に対して紫外線を照射する。なお、UV光源12としては、例えば、メタルハライドランプやUV‐LEDなどを採用することができる。また、このようなメタルハライドランプやUV‐LEDなどを1つだけ備えた構成を採用することもできるし、メタルハライドランプやUV‐LEDなどを複数備えた構成を採用することもできる。
図3は、UV光源12及び記録ヘッド3等を底面側(記録媒体2側)から見た模式図である。なお、図3における矢印は主走査方向を表し、破線矢印は副走査方向を表している。本実施形態における記録ヘッド3は、4種類のインク(すなわち、4つのインクカートリッジ8)に対応して4つの単位ヘッド18を備えている。各単位ヘッド18のノズル面19(記録媒体2側の面)には、複数のノズル20が開口されている。具体的には、本実施形態における各単位ヘッド18のノズル面19には、副走査方向に沿って等間隔に配置されたノズル20の列(ノズル列ともいう)が2列に形成されている。UV光源12は、上記したように、キャリッジ4の主走査方向における両側方に設けられている。各UV光源12は、副走査方向(ノズル列方向)における長さが記録ヘッド3の同方向における長さと略同じ長さに揃えられている。また、各UV光源12の4隅には、記録媒体2の温度を測定する温度センサー14(本発明における温度測定装置)が取り付けられている。すなわち、一側のUV光源12aの主走査方向における一側の端に一対の温度センサー14aが、一側のUV光源12aの主走査方向における他側の端に一対の温度センサー14bが、他側のUV光源12bの主走査方向における一側の端に一対の温度センサー14cが、他側のUV光源12bの主走査方向における他側の端に一対の温度センサー14dが、それぞれ設けられている。また、それぞれの一対の温度センサー14a〜14dは、副走査方向に間隔を空けて配置されている。なお、本実施形態における温度センサー14は非接触式の赤外線温度センサーである。
また、キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域(図1における右側の端部領域)には、キャリッジ4の走査の基点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、端部側から順に、記録ヘッド3のノズル面19に形成されたノズル20を封止するキャップ10、及び、ノズル面19を払拭するためのワイパー11が配置されている。
次に、プリンター1の電気的な構成について説明する。本実施形態におけるプリンター1は、図2に示すように、搬送機構6、キャリッジ移動機構7、リニアエンコーダー15、キャップ10、ワイパー11、UV光源12、温度センサー14、記録ヘッド3、及び、これらを制御するプリンターコントローラー24を有する。
本実施形態におけるプリンターコントローラー24は、インターフェース(I/F)部25と、制御装置26と、記憶装置27と、駆動信号生成装置28と、を有する。インターフェース部25は、コンピューターや携帯情報端末機等の外部装置30から印刷データや印刷命令等を受け取ったり、プリンター1の状態情報等を外部装置30側に出力したりする。記憶装置27は、制御装置26のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。駆動信号生成装置28は、記録媒体2に対してインク滴を噴射して画像等を記録するための駆動信号を生成する。
制御装置26は、外部装置30から受信した印刷データに基づき、液体噴射動作(すなわち、印刷動作)の際、記録ヘッド3のノズル20からどのタイミングで、どの大きさのインク滴(液滴)を噴射させるかを示す噴射データを生成し、当該噴射データを記録ヘッド3に送信する。また、制御装置26は、キャリッジ4の移動(主走査)に伴ってリニアエンコーダー15から出力されるエンコーダー信号(エンコーダーパルス)からタイミング信号(タイミングパルス)を生成する。駆動信号生成装置28は、このタイミング信号を受信する毎に駆動信号COMを出力する。この駆動信号生成装置28は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成し、これを図示しない増幅回路により増幅して駆動信号COMを生成する。駆動信号生成装置28により生成された駆動信号COMは、記録ヘッド3に送信される。さらに、制御装置26は、キャップ10やワイパー11等を制御して、クリーニング動作や払拭動作を設定時間毎に行うように制御する。そして、制御装置26は、温度センサー14が測定した値に基づいてUVインクの硬化状態を判定する硬化判定手段、及び、この判定に基づいてUV光源12の紫外線の照射強度(UV強度)を制御する光源制御手段として機能する。なお、UV光源12の制御に関しては、後述する。
キャリッジ移動機構7は、タイミングベルト等を介して走行させるパルスモーター等を備え(図示せず)、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド3をガイドロッド5に沿って主走査方向に移動させる。搬送機構6は、記録媒体2をプラテン9上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー15は、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド3の走査位置に応じたエンコーダー信号を、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー24の制御装置26に出力する。制御装置26は、リニアエンコーダー15側から受信したエンコーダー信号に基づいて記録ヘッド3の走査位置(現在位置)を把握することができる。キャップ10は、ノズル面19を封止した状態で、ノズル20からインクを強制的に排出させるクリーニング動作を実行する。ワイパー11は、記録ヘッド3のノズル面19を払拭する払拭動作を実行する。
このように構成されたプリンター1は、記録ヘッド3を主走査方向に相対移動させつつ、ノズル20からプラテン9上の記録媒体2に対してUVインクを噴射する。そして、記録ヘッド3の進行方向の後方に位置するUV光源12によって、記録媒体2に着弾したUVインクに所定のUV強度の紫外線を照射する。これにより、UVインクが硬化し、記録媒体2上に画像等が形成される。なお、記録ヘッド3の両側に取り付けられたUV光源12のうち、進行方向の後方に位置するUV光源12のみを点灯しても良いし、両側のUV光源12を点灯して良い。
ここで、UVインクが硬化する際に発生する反応熱とUVインクの硬化状態との間には、相関があることが知られている。すなわち、硬化反応が進むほど、UVインクの温度が高くなることが知られている。本発明に係るプリンター1は、UVインクの温度を測定することで、UVインクの硬化状態を把握し、UV光源12のUV強度を調整するように構成されている。すなわち、本発明に係るプリンター1は、インクが着弾し、紫外線が照射された記録媒体2の温度に基づいて、以降の記録媒体2に照射する紫外線の照射強度を制御(調整)することを特徴とする。
プリンター1の動作について詳しく説明する。図4を用いて説明する。図4は、プリンター1の液体噴射動作(すなわち印刷動作)の流れを説明するフローチャートである。まず、制御装置26は、外部装置30から受信した印刷データに基づき、ノズル20からどのタイミングで、どの大きさのインク滴(液滴)を噴射させるかを示す噴射データを生成する。また、噴射データから得られるインク噴射量と記憶装置27に記憶されているUVインクの硬化状態を判定する閾値テーブルとに基づいて、所定の期間(例えば、記録ヘッド3が1走査分(1パス分)移動する期間)毎のUVインクの硬化状態(UV光源12から照射されるUVの強度状態)を判定する温度閾値を算出する(ステップS1)。図5及び図6は、閾値テーブルの一例を説明する表である。図5は、あるインクセット(C1インク、M1インク、Y1インク、K1インク)における閾値テーブルであり、図6は、他のインクセット(C2インク、M2インク、Y2インク、K2インク)における閾値テーブルである。
図5及び図6に示すように、本実施形態における各インクに対して3つの閾値が測定環境の温度帯毎に設けられている。これらの閾値は、測定環境の所定の測定温度帯において、単位量当たりのUVインクに所定の強度のUVを照射したときの温度変化量(紫外線照射前と紫外線照射後の温度の差)を表したものである。具体的には、閾値テーブルにおける閾値1は、UV光源12が異常な状態であるかどうかを判定するのに用いることができる値であり、本実施形態では、UVインクの硬化が不十分であり、UV光源12が異常であると判定すべき温度の上限値(例えば、インクが完全に硬化する温度よりも3℃〜5℃低い温度)に設定される。また、閾値テーブルにおける閾値2は、UV光源12から照射されるUVの強度が不足しているかどうかを判定するのに用いることができる値であり、本実施形態では、UVインクが完全に硬化する温度の下限値(或いは、UVインクが完全に硬化していない状態ではあるが、画質に影響が無く、許容される温度)である。すなわち、UVインクが閾値2よりも低い温度の場合、UVインクは所定の硬化状態になくUV照射が不足していることを示し、UVインクが閾値2よりも高い温度の場合、UV照射が不足しておらずUVインクは所定の硬化状態であることを示す。閾値テーブルにおける閾値3は、UV光源12から照射されるUVの強度が過剰でないかどうかを判定するのに用いることができる値であり、本実施形態では、UVインクが完全に硬化する温度の上限値である。この閾値3は、例えば、閾値2よりも10℃程度高い温度に設定され、これ以上紫外線を当ててもUVインクの硬化状態に変化が無い可能性が高い温度、或いは、UVインクの過硬化により画質が劣化する虞がある温度以下の温度である。なお、本実施形態においては、図5に示す表及び図6に示す表を閾値テーブルとして例示したが、これには限られない。また、閾値テーブルは2つに限られず、記憶装置27に少なくとも1つ以上記憶されていればよい。
制御装置26は、現在設定されているインクセットから何れかの閾値テーブルを選択し、別途備える外気温測定センサー(図示せず)から取得した外気温に応じて、閾値テーブルの測定環境の測定温度帯を選択する。なお、温度センサー14により測定したUVインクが着弾する前の記録媒体2の表面温度に応じて、閾値テーブルの測定環境の測定温度帯を選択してもよい。そして、各閾値1〜3と、UVインクの噴射量とから所定の期間(本実施形態では、記録ヘッド3が1走査分(1パス分)移動する期間)毎に各閾値1〜3に対応する、インクの硬化状態(UV光源12から照射されるUVの強度状態)を判定する3つの温度閾値を算出する。例えば、1走査期間に噴射する各種のUVインク(C1インク、M1インク、Y1インク、K1インク)の噴射量と各種のUVインクの閾値1とから得られる温度閾値1を設定する。同様に、1走査期間に噴射する各種のUVインクの噴射量と各種のUVインクの閾値2とから得られる温度閾値2を設定し、1走査期間に噴射する各種のUVインクの噴射量と各種のUVインクの閾値3とから得られる温度閾値3を設定する。ここで、温度閾値1は、UV光源12が異常であるかどうかを判断する温度であり、本実施形態ではUV光源12が異常(故障や、汚れなど)であると判定すべき温度の上限値である。温度閾値2は、UVインクが完全に或いは許容できる程度に硬化しているかどうか(UV光源12から照射されるUVの強度が不足していないかどうか)を判断する温度であり、本実施形態では1走査期間に記録媒体2に着弾したUVインクが十分に硬化する際に発生する温度の下限値である。温度閾値3は、UV光源12から照射されるUVの強度が過剰でないかどうかを判断する温度であり、本実施形態では1走査期間に記録媒体2に着弾したUVインクが十分に硬化する際に発生する温度の上限値である。
所定の期間毎、すなわち1走査期間毎に温度閾値を設定したならば、印刷動作を開始する(ステップS2)。すなわち、最初の走査期間(本発明における第1の期間に相当)において、記録ヘッド3を主走査方向に相対移動させつつ、ノズル20からプラテン9上の記録媒体2に対してUVインクを噴射する。本実施形態においては、記録ヘッド3の両側に取り付けられたUV光源12を点灯し、記録ヘッド3の両側で予め設定された所定のUV強度の紫外線を照射しながら印刷動作を行う。また、記録ヘッド3を主走査方向に相対移動させつつ、各温度センサー14により温度を測定する。具体的には、記録ヘッド3が主走査方向における一側(図3における左側)に移動する場合を例に挙げて説明する。記録ヘッド3の進行方向の前方側であって、記録ヘッド3側に配置される一対の温度センサー14(14b)により、UVインク噴射前、且つUV光源12(12a)による紫外線照射後の記録媒体2の温度を測定する。なお、この測定温度がステップ1の温度閾値を算出する際に閾値テーブルで選択した温度帯と異なる場合、当該記録媒体2の測定温度に応じて各温度閾値を補正することもできる。また、記録ヘッド3の進行方向の後方側であって、記録ヘッド3側に配置される一対の温度センサー14(14c)により、UVインク噴射後、且つ当該UVインクに対するUV光源12(12b)による紫外線照射前の記録媒体2の温度(すなわち、UVインクが着弾した部分の温度)を測定する。さらに、記録ヘッド3の進行方向の後方側であって、記録ヘッド3側とは反対側に配置される一対の温度センサー14(14d)により、UVインク噴射後、且つ当該UVインクに対するUV光源12(12b)によるUV照射後の記録媒体2の温度(すなわち、UVインクが着弾して紫外線が照射された部分の温度)を測定する。なお、測定温度としては、一対の温度センサー14で測定した値の平均値としても良いし、何れか一方の温度センサー14で測定した値のみを用いても良い。
そして、UVインク噴射後における紫外線照射前の記録媒体2の温度と紫外線照射後の記録媒体2の温度との温度差を取得する(ステップ3)。本実施形態においては、1走査毎に紫外線照射前後の温度差を算出する。例えば、1走査における所定のポイント毎で測定した紫外線照射前後の温度差を平均し、当該走査における温度差として算出する。次に、UV光源12が異常(故障や、汚れなど)な状態であるかどうかを判定するため、算出された温度差(以下、算出値という)と温度閾値1とを比較する(ステップS4)。この算出値が温度閾値1以下の場合、UV光源12に異常があり、十分に紫外線を照射できていない可能性があるため、その旨を、例えば、プリンター1の表示部(図示せず)や外部装置30に報知して(ステップS8)、印刷を終了する。なお、途中で印刷を終了せずに、UV光源12に異常がある旨を報知しつつ、全てのジョブを終わらせることもできる。
算出値が温度閾値1を超えている場合、次にUVインクが完全に或いは許容できる程度に硬化しているかどうか(UV光源12から照射されるUVの強度が不足していないかどうか)を判定するため、当該算出値と温度閾値2とを比較する(ステップS5)。算出値が温度閾値2よりも低い場合、記録媒体2に着弾したUVインクが十分に硬化していない可能性があるため、算出値に応じて、現状におけるUVインクを十分に硬化させるために必要な紫外線の照射強度(UV強度)を算出する(ステップS9)。例えば、算出値と温度閾値2との差に応じて、UV光源12の照射強度をどの程度強めれば良いかを算出し、現在のUV光源12の照射強度を強めるようにUV光源12の設定値を補正する。なお、UV光源12の照射強度を強める方法としては、UV光源12への供給電流を強めたり、UV光源12が備えるUV‐LEDの点灯数を増やしたり、或いは、その両方を行ったりすることで可能になる。そして、求めた値、すなわち、照射強度を強めたUV光源12の設定値を、次の走査(すなわち、現在の走査よりも後の走査、本発明における第2の期間に相当)におけるUV光源12の設定値として記憶装置27に記憶する(ステップS10)。
算出値が温度閾値2以上の場合、次にUV光源12から照射されるUVの強度が過剰でないかどうかを判定するため、当該算出値と温度閾値3とを比較する(ステップS6)。算出値が温度閾値3よりも高い場合、記録媒体2に着弾したUVインクに対して過剰に紫外線が照射されている可能性があるため、UV光源12から過剰な強度のUVが照射されていると判断し、算出値に応じて、現状におけるUVインクの硬化不足にならない程度の紫外線の照射強度を算出する(ステップS9)。例えば、算出値と温度閾値3との差に応じて、UV光源12の照射強度をどの程度弱めることができるかを算出し、現在のUV光源12の照射強度を弱めるようにUV光源12の設定値を補正する。なお、UV光源12の照射強度を弱める方法としては、UV光源12への供給電流を弱めたり、UV光源12が備えるUV‐LEDの点灯数を減らしたり、或いは、その両方を行ったりすることで可能になる。そして、求めた値、すなわち、照射強度を弱めたUV光源12の設定値を、次の走査におけるUV光源12の設定値として記憶装置27に記憶する(ステップS10)。
ステップS6にて算出値が温度閾値3以下の場合、UV光源12から過剰な強度のUVが照射されていないと判断し、次の走査におけるUV光源12の設定値を変更せずに、印刷を続行する。そして、全ての印刷(ジョブ)が終了したか否かを判定し(ステップS7)、印刷が終了していない場合、記憶装置27に記憶されているUV光源12の設定値で次の走査を行い、UVインク噴射後における紫外線照射前の記録媒体2の温度と紫外線照射後の記録媒体2の温度との温度差を取得する(ステップ3)。一方、全てのジョブが終了している場合は、印刷動作を終了する。
このように、UVインクが着弾して紫外線が照射された部分の温度、すなわち、記録媒体2におけるUVインクが硬化する際の温度に基づいて、紫外線の照射強度を制御するため、UVインクの硬化不足や過硬化を抑制できる。その結果、記録媒体2に形成される画質の劣化を抑制できる。また、UV光源12からの照射強度が不必要に高くなることを抑制でき、プリンター1の消費電力を抑制できる。
ところで、上記した実施形態では、閾値テーブルに3つの閾値(閾値1、閾値2、閾値3)を備え、各閾値とUVインクの噴射量とから3つの温度閾値(温度閾値1、温度閾値2、温度閾値3)を算出し、各温度閾値と紫外線照射前後の記録媒体2の温度差(算出値)とを比較してUV光源12の照射条件の変更等を行ったが、これには限られない。3つの閾値のうち少なくとも1つ以上の閾値を閾値テーブルに備え、この閾値とUVインクの噴射量とから少なくとも1つ以上の温度閾値を算出し、各温度閾値と紫外線照射前後の記録媒体2の温度差(算出値)とを比較してUV光源12の照射条件の変更等を行うこともできる。また、上記した実施形態では、閾値テーブルに基づいて各温度閾値を算出したが、これには限られない。温度閾値を算出する計算式を備え、当該計算式にUVインクの噴射量や外気温等を当てはめて、各温度閾値を算出することもできる。さらに、上記した実施形態では、1走査期間毎に温度閾値と紫外線照射前後の記録媒体2の温度差とを求め、両者を比較してUV光源12の照射条件の変更等を行ったが、これには限られない。1走査期間よりも短い期間毎、或いは、1走査期間よりも長い期間毎に温度閾値と紫外線照射前後の記録媒体2の温度差とを求め、両者を比較してUV光源12の照射条件の変更等を行うこともできる。
また、上記した実施形態では、温度センサー14を8つ、すなわち、一対の温度センサー14を4つ備えたが、これには限られない。紫外線照射前後の温度差を測定できるように、一側のUV光源の主走査方向における両端、及び、他側のUV光源の主走査方向における両端に1つずつ、合計4つの温度センサーを備えていれば良い。さらに、上記した実施形態では、一側のUV光源12a及び他側のUV光源12bは、1つの領域で構成されたがこれには限られない。各UV光源が、複数の領域を有する構成を採用することもできる。
図7は、第2の実施形態におけるUV光源33及び記録ヘッド3等を底面側(記録媒体2側)から見た模式図である。なお、図7における矢印は主走査方向を表し、破線矢印は副走査方向、すなわち記録媒体2の搬送方向を表している。本実施形態における記録ヘッド3は、上記した第1の実施形態と同様に、4つの単位ヘッド18を備えている。また、本実施形態においても、UV光源33は、キャリッジ4の主走査方向における両側方に設けられている。各UV光源33は、記録媒体2の搬送方向(ノズル列方向)における長さが記録ヘッド3の同方向における長さよりも長く形成され、それぞれ5つの光源領域34に分割されている。以下、便宜上、5つの光源領域34を記録媒体2の搬送方向の後方側(図7における上方)から順に第1光源領域34a、第2光源領域34b、第3光源領域34c、第4光源領域34d、第5光源領域34eと称する。各光源領域34は、記録媒体2の搬送方向における長さが、略同じ長さに揃えられている。5つの光源領域34のうち記録媒体2の搬送方向における後方側の4つの光源領域34(すなわち、第1光源領域34a〜第4光源領域34d)は、記録ヘッド3と主走査方向に重なるように構成されている。このため、記録媒体2の搬送方向における後方側の4つの光源領域34の合計の長さは、記録ヘッド3の長さと略同じ長さに揃えられている。一方、5つの光源領域34のうち記録媒体2の搬送方向における前方側(図7における下方)の1つの光源領域34(すなわち、第5光源領域34e)は、記録ヘッド3と主走査方向に重ならないように構成されている。すなわち、第5光源領域34eは、記録ヘッド3よりも記録媒体2の搬送方向の前方側にはみ出た状態になっている。また、温度センサー35は各光源領域34の主走査方向における両端に1つずつ配置されている。
このように構成されたプリンター1においては、記録ヘッド3を主走査方向に相対移動させてUVインクを噴射させつつ、プラテン9上の記録媒体2を副走査方向に移動させて、記録媒体2上に画像等を記録する。そして、本実施形態においては、4回の走査におけるUVインクの噴射によって、所定の領域に4つのピクセルから成るピクセル群内に画像を形成するように構成されている。さらに詳述すると、記録媒体2の所定領域に4つのピクセルから成るピクセル群を印刷する場合、第1の走査で第1光源領域34aに対応する領域に位置するノズル20からUVインクを当該所定領域に着弾させ、第2の走査では第2光源領域34bに対応する領域に位置するノズル20からUVインクを当該所定領域に着弾させ、第3の走査では第2光源領域34cに対応する領域に位置するノズル20からUVインクを当該所定領域に着弾させ、第4の走査では第2光源領域34dに対応する領域に位置するノズル20からUVインクを当該所定領域に着弾させる。例えば、第1の走査において、記録ヘッド3のうち第1光源領域34aに対応する領域に位置するノズル20からピクセル群の1つ目のピクセルにUVインクを噴射し、第1光源領域34aで紫外線を照射する。次に、記録媒体2を副走査方向に1つの光源領域34分だけ移動させ、第2の走査を行う。第2の走査では、記録ヘッド3のうち第2光源領域34bに対応する領域に位置するノズル20からピクセル群の2つ目のピクセルにUVインクを噴射し、第2光源領域34bで紫外線を照射する。第2の走査後、記録媒体2を副走査方向に1つの光源領域34分だけ移動させ、第3の走査を行う。第3の走査では、記録ヘッド3のうち第3光源領域34cに対応する領域に位置するノズル20からピクセル群の3つ目のピクセルにUVインクを噴射し、第3光源領域34cで紫外線を照射する。そして、第3の走査後、記録媒体2を副走査方向に1つの光源領域34分だけ移動させ、第4の走査を行う。第4の走査では、記録ヘッド3のうち第4光源領域34dに対応する領域に位置するノズル20からピクセル群の4つ目のピクセルにUVインクを噴射し、第4光源領域34dで紫外線を照射する。すなわち、記録媒体2上の1つの領域に対して、UVインクが4回噴射され、4つ(或いは5つ)の光源領域34が順次紫外線を照射する。
そして、本実施形態においても、図4に例示されるようなフローチャートに基づいて、走査毎に閾値テーブルとUVインクの噴射量とから温度閾値を算出し、各温度閾値と温度センサー35で測定した紫外線照射前後の記録媒体2の温度差(算出値)とを比較して、光源領域34毎に照射条件の変更等を行う。例えば、第1の走査において、上記した第1の実施形態と同様に、第1光源領域34aに対応するノズル20から噴射されたUVインクの紫外線照射前後の温度差を算出し、当該算出値を温度閾値1、温度閾値2、及び、温度閾値3と順次比較する。そして、算出値が温度閾値1以下の場合、第1光源領域34aに異常があり、十分に紫外線を照射できていない可能性があるため、その旨を、例えば、プリンター1の表示部(図示せず)や外部装置30に報知する。また、算出値が温度閾値2よりも低い場合、第1の走査においてUVインクが十分に硬化していない可能性があるため、当該算出値に応じて、次の走査(第2の走査)における第1光源領域34aの照射強度を強めるようにUV光源33の設定値を補正する。この際、第1の走査におけるUVインクの硬化の不足分を補うように、第2の走査における第2光源領域34bの照射強度を強めるように補正しても良い。さらに、算出値が温度閾値3よりも高い場合、第1の走査においてUVインクに対して過剰に紫外線が照射されている可能性があるため、当該算出値に応じて、次の走査(第2の走査)における第1光源領域34aの照射強度を弱めるようにUV光源33の設定値を補正する。
第2の走査、第3の走査、及び、第4の走査においても、第1の走査と同様に紫外線照射前後の温度差を算出し、当該算出値を温度閾値1、温度閾値2、及び、温度閾値3と順次比較する。そして、算出値が温度閾値1よりも低い場合、対応する光源領域34に異常があり、十分に紫外線を照射できていない可能性がある旨を、例えば、プリンター1の表示部(図示せず)や外部装置30に報知する。また、算出値が温度閾値2よりも低い場合、当該算出値に応じて、対応する光源領域34の照射強度を強めるようにUV光源33の設定値を補正する。この際、UVインクの硬化の不足分を補うように、記録媒体2の搬送方向の前方側に隣接する光源領域34の照射強度を強めるように補正しても良い。さらに、算出値が温度閾値3よりも高い場合、対応する光源領域34の照射強度を弱めるようにUV光源33の設定値を補正する。このように、UV光源33を複数の光源領域34に分けて制御することで、UVインクの硬化不足や過硬化をより確実に抑制できる。なお、第4の走査において、第4光源領域34dの照射強度が十分でなく、当該走査におけるUVインクが十分に硬化していない可能性がある場合、すなわち、第4の走査における算出値が温度閾値2よりも低い場合、第4の走査の後において第5光源領域34dを点灯して走査を行っても良い。これにより、UVインクを確実に硬化させることができる。この際、第5光源領域34dにおける照射強度は、第4の走査における算出値に応じて算出する。
ところで、上述した各実施形態では、温度測定装置として、記録媒体2上の一部の領域の温度を測定する小型の温度センサー14、35を例示したが、これには限られない。例えば、記録媒体の印刷領域全体を俯瞰できる温度測定装置(例えば、赤外線サーモグラフィー等)を用いることもできる。この場合においても、温度センサーから得られた温度情報から所定の領域における紫外線照射前後の温度差を算出し、当該算出値を温度閾値1、温度閾値2、及び、温度閾値3と順次比較する。また、赤外線サーモグラフィー等を使用した場合、視覚的にUVインクの硬化異常やUV光源の異常を検知することができる。例えば、UV光源の一部が点灯していない場合、当該部分が照射する予定の領域における温度が走査方向に沿って低くなるため、UVインクの硬化異常及びUV光源の異常を検知することができる。また、温度測定装置としては、非接触式の温度センサーに限られない。プラテンに接触式の温度センサーを備え、当該温度センサーにより記録媒体の温度を測定することもできる。
また、上述した実施形態では、インクジェット式プリンター1に搭載されるインクジェット式記録ヘッド3を例示したが、インク以外の液体を噴射するものにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,2…記録媒体,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…ガイドロッド,6…搬送機構,7…キャリッジ移動機構,8…インクカートリッジ,9…プラテン,10…キャップ,11…ワイパー,12、12a、12b…UV光源,14、14a〜14d…温度センサー,15…リニアエンコーダー,18…単位ヘッド,19…ノズル面,20…ノズル,24…プリンターコントローラー,25…インターフェース部,26…制御装置,27…記憶装置,28…駆動信号生成装置,30…外部装置,33…UV光源,34…光源領域,34a…第1光源領域,34b…第2光源領域,34c…第3光源領域,34d…第4光源領域,34e…第5光源領域,35…温度センサー
Claims (6)
- 光の照射により硬化する液体を媒体に向けて噴射する液体噴射ヘッドと、
少なくとも前記媒体の前記液体が着弾した部分に前記光を照射する光照射装置と、
前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を少なくとも測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記媒体に照射する前記光の強度を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記制御装置は、前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記光照射装置から照射される前記光の強度が不足していると判断した場合に、前記媒体に照射する前記光の強度を強めるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記液体噴射ヘッドは、第1の期間において前記媒体に向けて前記液体を噴射し、
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の下限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記下限値よりも低い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を強めるように補正を行うように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。 - 前記制御装置は、前記温度測定装置により測定された前記部分の温度に基づいて、前記光照射装置から照射される前記光の強度が過剰であると判断した場合に、前記媒体に照射する前記光の強度を弱めるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記液体噴射ヘッドは、第1の期間において前記媒体に向けて前記液体を噴射し、
前記光照射装置は、前記媒体の前記液体が着弾した部分に所定の強度の前記光を照射し、
前記温度測定装置は、前記液体が着弾して前記光が照射された前記部分の温度を測定し、
前記制御装置は、前記第1の期間に前記液体噴射ヘッドから噴射した前記液体の量に基づいて算出された前記媒体に着弾した前記液体が硬化する際に発生する温度の上限値と、前記温度測定装置により測定された温度に基づいて算出された前記第1の期間に前記媒体に着弾した前記液体から発生した温度の算出値と、を比較し、前記算出値が前記上限値よりも高い場合に前記第1の期間よりも後の第2の期間における前記光照射装置の前記光の強度を弱めるように補正を行うように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の液体噴射装置。 - 前記光照射装置は、複数の領域を有し、
前記制御装置は、前記光照射装置の前記領域毎に前記光の強度を制御することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。
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JP2021037623A (ja) * | 2019-08-30 | 2021-03-11 | 理想科学工業株式会社 | 印刷装置 |
CN115042538A (zh) * | 2022-07-06 | 2022-09-13 | 深圳达捷科技有限公司 | 一种用于喷码机的安全预警方法及系统 |
-
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