JP2019123003A - 張力制御方法 - Google Patents

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和典 関
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Abstract

【課題】圧延条件毎のテーブル値等を使用せずに、ユニバーサル圧延機−エッジャー圧延機間の張力を高精度で制御し、通材の安定化並びに製品寸法精度の向上を図る、張力制御方法の提供。【解決手段】第1ユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機との間の無張力状態の、第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1**とエッジャー圧延機の圧延トルクGE**を記憶し、圧延トルクGU1**と被圧延材が第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後の第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1との差分の圧延トルク偏差ΔGU1’=GU1**−GU1と、圧延トルクGE**と被圧延材が第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後のエッジャー圧延機の圧延トルクGEとの差分の圧延トルク偏差ΔGE’=GE**−GEと、が式(11)を満たす様に第2ユニバーサル圧延機の回転数を制御する、張力制御方法。ΔGU1’+γΔGE’=0・・・(II)【選択図】図4

Description

本発明は、例えばH形鋼、T形鋼、I形鋼といった形鋼を製造するユニバーサル圧延機を用いた形鋼圧延での張力制御方法に関する。
連続圧延機を用いた圧延プロセスにおいては、各圧延機間の材料張力は、材料の厚みや幅といった寸法を決定するための重要な要素である。従って、製品寸法を良好に保つためには、圧延機間の張力を好適に制御することが求められる。このような事情に鑑み、従来、種々の圧延機(圧延スタンド)間での張力制御を行う技術が創案されている。
例えば、特許文献1、2には、連続圧延機の各スタンド間において張力制御を行う技術が開示されている。具体的には、特許文献1では、各圧延スタンドの圧延トルク、圧延荷重、前方張力、後方張力の関係を線形式で関係付け、圧延トルク及び圧延荷重の測定値に基づき前方張力及び後方張力を推定し、その推定値を目標値とすることで制御を行っている。また、特許文献2では、第1スタンドと第2スタンドの圧延トルク偏差を影響係数を用いて合計したトルク偏差を用いて第3スタンドの速度補正を行うような張力制御が開示されている。
ところで、例えばH形鋼、T形鋼、I形鋼といった形鋼の製造においては、中間圧延以降で効率的に被圧延材を延伸させるためにユニバーサル圧延機が用いられることが知られている。ユニバーサル圧延機を用いた形鋼の圧延では、被圧延材に未圧下となる部分が存在し、当該未圧下の部分を圧下・整形するエッジャー圧延機とユニバーサル圧延機とは対になって配置されるのが一般的である。また、リバース圧延時の往復回数を少なくするために、第1ユニバーサル圧延機と、エッジャー圧延機と、第2ユニバーサル圧延機と、をこの順で3スタンド配置し、これら3スタンドの圧延機がいわゆるタンデム圧延状態となるような構成が知られている。
特開2008−183594号公報 特開平5−336792号公報
上述したようなユニバーサル圧延機やエッジャー圧延機を用いた形鋼の製造においても、スタンド間の張力制御は必須であるが、上記特許文献1に記載の技術では、スタンド間張力を線形式から推定するため、軽圧下圧延であるエッジャー圧延機との間の張力は予測が困難である。また、予め線形式を求める必要があるため、広範な実験や数値解析による線形式の作成が求められる。
また、上記特許文献2に記載の技術では、影響係数の算定方法が理論的でなく、圧延条件によっては、合計トルクとスタンド間張力との関係が変動し、安定した効果が得られない恐れがある。また、第1スタンドと第2スタンドとの間がドルーピング制御のため、これらスタンド間の張力は一定値にならない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、ユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延機をタンデム状態で用いる連続圧延機において形鋼の圧延を行う場合に、圧延条件ごとのテーブル値等を使用しない単純な制御系で、ユニバーサル圧延機−エッジャー圧延機間の張力を高精度で制御し、通材の安定化ならびに製品寸法精度の向上を図ることが可能な張力制御方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、ユニバーサル圧延機を用いた形鋼圧延での張力制御方法であって、第1ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機、第2ユニバーサル圧延機、がこの順に配置される製造ラインにおいて被圧延材に対しタンデム圧延を行う場合に、被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込む前に記憶した前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1*と、被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込んだ後の前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1と、の差分ΔGU1=GU1*−GU1に基づき、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となるように前記第1ユニバーサル圧延機の回転数を制御し、被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込む前であり、且つ、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となった後の、前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1**及び前記エッジャー圧延機の圧延トルクGE**を記憶し、前記圧延トルクGU1**と被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後の前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1との差分である圧延トルク偏差ΔGU1’=GU1**−GU1と、前記圧延トルクGE**と被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後の前記エッジャー圧延機の圧延トルクGEとの差分である圧延トルク偏差ΔGE’=GE**−GEと、が以下の式(11)を満たすように前記第2ユニバーサル圧延機の回転数を制御することを特徴とする、張力制御方法が提供される。
ΔGU1’+γΔGE’=0 ・・・(11)
但し、γは以下の式(6)で表される影響係数比であり、ΔGEは被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込んだ直後の当該エッジャー圧延機の圧延トルクと、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となった後の当該エッジャー圧延機の圧延トルクと、の差分である
−ΔGU1/ΔGE=γ ・・・(6)
前記第1ユニバーサル圧延機、前記エッジャー圧延機、前記第2ユニバーサル圧延機のそれぞれの圧延トルクの値に替えて、各圧延機の圧延トルクを当該圧延機の圧延荷重で除した値であるトルクアーム係数(G/P)を用いて制御を行っても良い。
本発明によれば、ユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延機をタンデム状態で用いる連続圧延機において形鋼の圧延を行う場合に、圧延条件ごとのテーブル値等を使用しない単純な制御系で、ユニバーサル圧延機−エッジャー圧延機間の張力を高精度で制御し、通材の安定化ならびに製品寸法精度の向上を図ることが可能な張力制御方法が提供される。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 ユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延機の概略説明図である。 第1中間ユニバーサル圧延機−エッジャー圧延機−第2中間ユニバーサル圧延機からなる圧延機列の平面概略図である。 U1の圧延トルクGU1とEの圧延トルクGEの圧延トルク変化に関する模式図である。 図4の模式図中の状況A〜状況Dに示す各状況での被圧延材の位置についての概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本明細書では、被圧延材として略H形断面の素材を用い、H形鋼製品を製造する場合に用いられるユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延機を例として図示しているが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。また、本明細書における「ユニバーサル圧延機」とは、形鋼圧延時に水平ロールと竪ロールを用いて大きな延伸を伴う圧延を行う圧延機を指し、「エッジャー圧延」とはユニバーサル圧延機と併せて用いられ極めて軽圧下な圧延を行う圧延機を指すものとし、本明細書では、それら圧延機に代わり「圧延スタンド」あるいは単に「スタンド」と呼称する場合もある。
(製造ラインの概略と従来の問題点)
図1は、本実施の形態にかかるH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、粗圧延機4、2機の中間ユニバーサル圧延機5、6、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、2機の中間ユニバーサル圧延機5、6の間にはエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材S」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Sが粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5、6において中間ユニバーサル圧延される。また、この中間ユニバーサル圧延とリバース圧延が可能な状態で、エッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ相当部12)に対して圧下が施される。通常の場合、粗圧延機4(複数基設置される場合もある)のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でドッグボーン形状のH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を第1中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9−第2中間ユニバーサル圧延機6からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
図1に示す製造ラインTにおいて、H形粗形材13に対し第1中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9−第2中間ユニバーサル圧延機6からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下を加え、中間材14を造形する場合に、各ユニバーサル圧延機では図2(a)に示すように、フランジ先端部が未圧下(図中破線部参照)となるため、図2(b)に示すように、エッジャー圧延機で当該未圧下の部分を整形・圧下するような圧延が行われる。
このようなユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機をタンデム状態として用いる場合に、被圧延材Sが形鋼である場合、被圧延材剛性が大きいため、鋼帯圧延時等に用いられるルーパー(張力制御装置)を使った圧延スタンド間張力制御は困難である。また、形鋼の圧延では、圧延スタンド間での被圧延材のたくれといった通材不良を予防し、安定的な通材を確保するために、噛み込み時にはスタンド間張力が引っ張り気味となるような回転数に設定することが一般的であった。即ち、形鋼の圧延において製品寸法を良好に保つためには、被圧延材噛み込み後にスタンド間の張力を好適に制御することが求められる。
また、エッジャー圧延機はユニバーサル圧延機に比べて圧下量が小さく、圧延荷重、圧延トルクともに小さいため、エッジャー圧延機の回転数を急激に変化させると、被圧延材Sのスリップ等が生じる恐れがある。このような事情に関し、従来はユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機との間には張力が発生しないとして張力制御を行うことが試みられてきた。しかしながら、実際にはユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機との間にも張力は発生しており、従来の張力制御は誤差を含むものであるため、被圧延材の寸法精度の悪化やスリップ、圧縮力によるたくれといった現象が生じる恐れがあった。
上記事情に鑑み、例えば特許文献2「特開平5−336792号公報」ではユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機との間の張力に言及しているものの、上述したように、ユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機との圧延トルク偏差を求める際の影響係数の算定が十分理論的ではないため、更なる張力制御の高精度化が求められている。
(本発明に係る張力制御方法)
次に、図1に示す製造ラインTにおいて、特に第1中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9−第2中間ユニバーサル圧延機6からなる圧延機列における張力制御について説明する。図3は、第1中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9−第2中間ユニバーサル圧延機6からなる圧延機列30の平面概略図であり、当該圧延機列30では、図中に破線矢印で示すようにリバース圧延が行われる。この時、第1中間ユニバーサル圧延機5、エッジャー圧延機9、第2中間ユニバーサル圧延機6の3台の圧延機(圧延スタンド)のスタンド間距離はいずれも被圧延材Sの長手方向長さよりも十分に短い距離であり、いわゆるタンデム圧延状態で被圧延材Sの圧延は行われる。
図3のような状態で圧延が行われる場合に、第1中間ユニバーサル圧延機5をU1、エッジャー圧延機9をE、第2中間ユニバーサル圧延機6をU2と略称し、各圧延機の圧延トルクとスタント間張力との関係について検証する。先ず、U1、E、U2の圧延トルク(G)をそれぞれGU1、GE、GU2とすると、これらGU1、GE、GU2は以下の式(1)〜(3)で表される。
GU1=GU10−a1212 ・・・(1)
GE=GE0+b2112−a2323 ・・・(2)
GU2=GU20+b3223 ・・・(3)
但し、GU10、GU0、GU20は、U1、E、U2の無張力状態での圧延トルクを示し、T12はU1−E間の張力、T23はE−U2間の張力を示す。また、a、bは圧延トルクに対する張力の影響係数であり、a12はU1−E間でのU1に係る影響係数、a23はE−U2間でのEに係る影響係数、b21はU1−E間でのEに係る影響係数、b32はE−U2間でのU2に係る影響係数である。
なお、この圧延トルクに対する張力の影響係数a、bは、板圧延ではロール半径に等しいが、形鋼圧延では被圧延材の各部位で対応するロール径が変化するため、圧延条件によって変化する値である。
また、被圧延材Sがエッジャー圧延機9(E)に噛み込む前と後の第1中間ユニバーサル圧延機5(U1)の圧延トルク変化は以下の式(4)で表される。
(GU10−a12×0)−(GU10−a1212)=a1212 ・・・(4)
上記式(4)から明らかなように、U1とEとの間のスタンド間張力は、U1のトルク変化に比例するので、この関係性に基づき、U1の回転数(圧延速度)を変更することで、U1とEとの間を無張力状態とすることが可能である。
そして、被圧延材Sがエッジャー圧延機9(E)に噛み込んだ後の、U1−E間における張力状態と、張力静定後(無張力化後)と、の間の圧延トルク変化として、U1の圧延トルク変化をΔGU1、Eの圧延トルク変化をΔGEとすると、ΔGEは以下の式(5)で表される。
ΔGE=(GE0+b21×0)−(GE0+b21×T12)=−b2112 ・・・(5)
また、ΔGU1及びΔGEと影響係数a12、b21との間の関係に関し、ΔGU1とΔGEを測定し、式(4)及び式(5)を参照することで、影響係数a12とb21との比(影響係数比)γが以下の式(6)に示すように求められる。
−ΔGU1/ΔGE=b21/a12=γ ・・・(6)
続いて、被圧延材Sが第2中間ユニバーサル圧延機6(U2)に噛み込む前(U1−E1間の張力静定後)と後のU1及びEの圧延トルク変化をΔGU1’、ΔGE’とすると、これらΔGU1’、ΔGE’は以下の式(7)、(8)で表すことができる。
ΔGU1’=a1212 ・・・(7)
ΔGE’=a2323−b2112 ・・・(8)
そして、式(7)、(8)からT12を消去することで、以下の式(9)が導き出される。
122323=a12ΔGE’+b21ΔGU1’ ・・・(9)
更に、式(9)に対し上記式(6)の影響係数比γを用い、以下の式(10)が導出される。
2323=ΔGU1’+γΔGE’ ・・・(10)
γは式(6)で示すように、実測値であるΔGU1とΔGEから算定可能な値であるため、式(10)の右辺は実測値のみから定まる。即ち、式(10)の右辺であるΔGU1’+γΔGE’が0(無張力)となるように回転数制御(張力制御)を行うことで、E−U2間の張力T23を0(無張力)にすることができる。つまり、以下の式(11)を満たすような制御が行われる。
ΔGU1’+γΔGE’=0 ・・・(11)
なお、各圧延機における回転数制御の制御方式は、一般的に知られる方法、例えばPI制御を採用すればよい。
以上の式(1)〜(11)を参照して説明した張力制御方法についてグラフ、図面を用いて説明する。図4はU1の圧延トルクGU1とEの圧延トルクGEの圧延トルク変化に関する模式図であり、図5は当該模式図中のA〜Dに示す各状況での被圧延材Sの位置についての概略説明図である。これら模式図や説明図を参照して、状況A〜Dでの張力制御について説明する。
1)図4に示す状況Aの時点では、被圧延材Sは、図5(a)に示すように、U1のみに噛み込んでいる。この時点でのU1の圧延トルクGU1*を記憶する。
2)図4に示す状況Bの時点では、被圧延材Sは、図5(b)に示すように、Eに噛み込んだ後である。この時点でのEの圧延トルクGE*と、ΔGU1=GU1*−GU1を記憶する。その後、GU1=GU1*となるように、圧延機の回転数を制御する。回転数を制御する圧延機はU1であることが望ましい。これは、Eの回転数を制御すると過剰応答となる懸念があるからである。
3)図4に示す状況Cの時点では、上記2)の回転数の制御により、U1−E間が無張力に静定される。この時点でのEの圧延トルクGE**と、E噛み込み時のEの圧延トルクGE*との差ΔGEを算出し、影響係数比γ=−ΔGU1/ΔGEを算出する。また、無張力状態(静定状態)での各圧延機U1、Eの圧延トルクとして、GU1**及びGE**を記憶する。
4)図4に示す状況Dの時点では、図5(d)に示すように、U2に噛み込んでいる。上記記憶した値に基づき、この時点での状況Cとの圧延トルク変化であるΔGU1’=(GU1**−GU1)と、ΔGE’=(GE**−GE)を算出する。そして、ΔGU1’+γΔGE’=0となるように圧延機の回転数を制御する。ΔGU1’+γΔGE’はE−U2間の張力に比例するので、EあるいはU2の回転数を制御する必要があるが、Eの回転数を制御すると過剰応答となる懸念があるため、U2の回転数を制御することが望ましい。
以上、図4及び図5を参照して1)〜4)で説明した張力制御方法を圧延機列30でのタンデム圧延において採用することで、各圧延スタンド間(U1−E間及びE−U2間)で張力制御が高精度で行われ無張力状態を維持しつつ圧延を実施することが可能となる。これにより、圧延スタンド間での被圧延材の通材性が向上し、寸法精度の悪化やスリップ、圧縮力によるたくれ等が防止される。
また、本実施の形態では、上記式(1)〜(11)を用いて説明したように、圧延条件ごとのテーブル値等を使用せず、測定可能な圧延トルクやその変化、あるいは算出可能な影響係数比γといった数値を用いた単純な制御系でもってU1−E−U2からなる圧延機列30での各スタンド間張力を高精度で制御することができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態に係る張力制御方法では、被圧延材Sの圧延時の温度変化については特に言及していない。しかしながら、被圧延材Sの寸法が長手方向に長い場合に、U1−E−U2との圧延機列30でタンデム圧延を行う際に被圧延材Sの温度が変化し、その温度変化に伴い各圧延機の圧延トルクが変動してしまう恐れがある。温度変化による圧延トルクの変動を考慮せずに上記実施の形態に係る張力制御方法を適用すると、当該変動に伴う誤差が生じてしまう恐れがある。
このような事情に鑑み、上記実施の形態に係る張力制御方法の変形例として、式(1)〜(10)等で用いられる圧延トルク(G)の値に替えて、圧延トルク(G)を荷重(P)で除した値であるトルクアーム係数(G/P)を用いても良い。トルクアーム係数(G/P)を圧延トルクに替えて用い、本発明に係る張力制御方法を実施することで、被圧延材Sの温度変化に伴う圧延トルク変化の影響を除外し、スタンド間張力の制御を行うことができる。
また、上記実施の形態では、U1−E−U2からなる圧延機列30を含む製造ラインTにおいてH形鋼製品を製造する場合を例示して図示、説明したが、本発明に係る張力制御方法の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、本発明の適用範囲は、2機のユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機からなるU1−E−U2との圧延機列を採用した製造ラインであれば良く、例えばI形鋼、T形鋼、軌条といったフランジとウェブを有するような各種形鋼の製造技術に適用可能である。
上記実施の形態において図3を参照して説明したU1−E−U2からなる構成の圧延機列を用いてH形鋼製品の製造を行う場合に、本発明に係る張力制御方法と従来技術に係る張力制御方法の両方によってE−U2間の張力制御を行い、E−U2間の張力状態を比較した。なお、従来技術に係る張力制御方法としては、特許文献2「特開平5−336792号公報」に記載された制御方法を用いた。
比較例の場合、U1−E間で無張力制御を行わず、γに相当する配分比としてU2への噛み込み前後の圧延トルク変化δGU1、δGEの比αを用いている。
上記実施の形態で式(1)〜(3)を挙げて説明した定義に従い、比較例で用いるδGU1、δGEの比αは以下の式(12)で示される。
α=δGE/δGU1=(−b21ΔT12+a2323)/a12ΔT12=−b21/a12+a2323/a12ΔT12 ・・・(12)
ここで、ΔT12はU2への被圧延材噛み込み前後のU1−E間の張力変化である。
上記実施の形態の式(6)と、上記式(12)を比較すると、式(12)の右辺第2項に記載された「a2323/a12ΔT12」が相違点であり、この分だけ誤差を生じることが推定される。
実施例及び比較例として、E−U2間の張力状態を評価した。その方法としては、3スタンド噛み込み状態のU2の圧延トルクとU1およびEを蹴出した後のU2の圧延トルクを比較した。
上記実施の形態で説明したように、U2の圧延トルクとE−U2間の張力の関係は以下の式(3)で与えられる。
GU2=GU20+b3223 ・・・(3)
3スタンド噛み込み状態のU2の圧延トルクをGU2とし、U1、E蹴出し後のU2の圧延トルクをGU2とすると、GU2=GU20なので、ΔGU2=GU2−GU2=b3223 となり、U2のトルク変化量ΔGU2はE−U2間の張力に比例するので、これをスタンド間張力制御誤差を示す指標として用いる。ΔGU2が+(正)の場合には、E−U2間に圧縮力が作用し、ΔGU2が−(負)の場合には、E−U2間の張力が作用していたことになる。
同一ロット内での被圧延材の圧延において、張力制御方式を本発明技術(実施例)と従来技術(比較例)とで切り替えて、ΔGU2を調査した。調査は、H200×100×5.5/8、H250×125×6/9、H300×150×9/13、H400×200×7/11の4サイズの被圧延材で実施した。ここでの各数値は、「ウェブ高×フランジ幅×ウェブ厚/フランジ厚(mm)」である。
(実施例)
実施例として、上記実施の形態で説明した1)〜4)の張力制御方法を用いて張力制御を行い、全3スタンドがタンデム状態である場合のU2の圧延トルクGU2と、被圧延材がU1、Eを蹴出した後のU2の圧延トルクGU2を比較した。実施例では、タンデム状態とU1、E蹴出し後とでは、U2の圧延トルクの変化は±2%以内と極わずかな変化であり、被圧延材の振動もなく安定した通材であった。
(比較例)
一方、比較例として、特許文献2に記載の張力制御方法を用いて張力制御を行い、全3スタンドがタンデム状態である場合のU2の圧延トルクGU2と、被圧延材がU1、Eを蹴出した後のU2の圧延トルクGU2を比較した。比較例では、タンデム状態とU1、E蹴出し後とでは、U2の圧延トルクの変化は条件毎に大きく変化し、その範囲は±30%であった。また、比較例では、ΔGU2が20%以上の時に、圧延時にE−U2間で圧縮力に起因すると考えられる被圧延材の振動が生じていた。
実施例と比較例の結果に鑑み、本発明に係る張力制御方法を用いることで、従来に比べ圧延機の圧延トルクの変動を抑えることが可能となり、圧延スタンド間での被圧延材の通材性や寸法精度の向上が図られることが分かった。
本発明は、例えばH形鋼、T形鋼、I形鋼といった形鋼を製造するユニバーサル圧延機を用いた形鋼圧延での張力制御方法に適用できる。
2…加熱炉
4…粗圧延機
5…(第1)中間ユニバーサル圧延機(U1)
6…(第2)中間ユニバーサル圧延機(U2)
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機(E)
30…圧延機列
S…被圧延材
T…製造ライン

Claims (2)

  1. ユニバーサル圧延機を用いた形鋼圧延での張力制御方法であって、
    第1ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機、第2ユニバーサル圧延機、がこの順に配置される製造ラインにおいて被圧延材に対しタンデム圧延を行う場合に、
    被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込む前に記憶した前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1*と、被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込んだ後の前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1と、の差分ΔGU1=GU1*−GU1に基づき、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となるように前記第1ユニバーサル圧延機の回転数を制御し、
    被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込む前であり、且つ、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となった後の、前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1**及び前記エッジャー圧延機の圧延トルクGE**を記憶し、
    前記圧延トルクGU1**と被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後の前記第1ユニバーサル圧延機の圧延トルクGU1との差分である圧延トルク偏差ΔGU1’=GU1**−GU1と、
    前記圧延トルクGE**と被圧延材が前記第2ユニバーサル圧延機に噛み込んだ後の前記エッジャー圧延機の圧延トルクGEとの差分である圧延トルク偏差ΔGE’=GE**−GEと、が以下の式(11)を満たすように前記第2ユニバーサル圧延機の回転数を制御することを特徴とする、張力制御方法。
    ΔGU1’+γΔGE’=0 ・・・(11)
    但し、γは以下の式(6)で表される影響係数比であり、ΔGEは被圧延材が前記エッジャー圧延機に噛み込んだ直後の当該エッジャー圧延機の圧延トルクと、前記第1ユニバーサル圧延機と前記エッジャー圧延機との間が無張力状態となった後の当該エッジャー圧延機の圧延トルクと、の差分である
    −ΔGU1/ΔGE=γ ・・・(6)
  2. 前記第1ユニバーサル圧延機、前記エッジャー圧延機、前記第2ユニバーサル圧延機のそれぞれの圧延トルクの値に替えて、各圧延機の圧延トルクを当該圧延機の圧延荷重で除した値であるトルクアーム係数(G/P)を用いて制御を行うことを特徴とする、請求項1に記載の張力制御方法。
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