JP6036237B2 - ユニバーサル圧延における圧延速度設定方法及び影響係数学習方法 - Google Patents

ユニバーサル圧延における圧延速度設定方法及び影響係数学習方法 Download PDF

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Description

本発明は、形鋼製品等を製造するユニバーサル圧延に関するものであり、特にユニバーサル圧延機を含む複数の圧延機をタンデム状態にして圧延を行う場合の圧延速度設定方法に関する。また当該圧延速度設定方法における影響係数学習方法に関する。
形鋼製品の製造には、上下方向及び左右方向から圧下が加えられるユニバーサル圧延機を用いることが知られている。以下では、図面を参照して従来より知られているユニバーサル圧延機を用いた形鋼製品の製造方法について説明する。図1は中間ユニバーサル圧延機5の概略的な説明図である。図1に示すように、中間ユニバーサル圧延機5は上下水平ロール1、1’と左右の竪ロール2、2’から構成され、上下水平ロール1、1’の隙間及び各水平ロール1、1’の側面と左右竪ロール2、2’との間の隙間を調整することでフランジ4、4’及びウェブ3の厚みの異なる製品を製造することができる。ここで、図1には上下左右対称形状の形鋼製品を製造する場合を図示しているが、非対称な形鋼製品を製造する場合でもユニバーサル圧延は適用される。その場合には、各ロール形状は単純な平坦形状には限定されず、形鋼製品形状に応じた孔型と呼ばれる溝がロールに付与される場合もある。
また、中間ユニバーサル圧延機5では、フランジ4、4’の幅方向は自由表面となり、寸法を規定することができないため、中間ユニバーサル圧延機5とエッジャー圧延機6とを対にして配置するような構成の圧延機列とすることが一般的である。図2には一般的なエッジャー圧延機6の概略的な説明図を示す。また、形鋼の製造では、ロールの負荷低減及びロール径の使用範囲を大きくするために、上流側の中間ユニバーサル圧延機ではフランジ部に勾配をつけたロールを用い、下流側に位置する仕上げユニバーサル圧延機にてフランジ部を製品角度とする構成が一般的である。図3には一般的な仕上げユニバーサル圧延機7の概略的な説明図を示す。
形鋼製品を製造する圧延機の具体的な配列は、例えば上流から順に中間ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機、仕上げユニバーサル圧延機の順番で配置される。図4及び図5は圧延機の具体的な配列の一例を示す説明図である。なお、図4は中間ユニバーサル圧延機5、5’を第1・第2の2機配置した場合を示している。図4、5に示すように、生産性の低下や温度低下による負担増を回避するために、中間ユニバーサル圧延機5、5’とエッジャー圧延機6は近接して配置される。この場合、中間ユニバーサル圧延機5、5’とエッジャー圧延機6における被圧延材はタンデム状態となる。また、圧延長が長い製品を製造する場合には、中間ユニバーサル圧延機5、5’とエッジャー圧延機6だけでなく、下流の仕上げユニバーサル圧延機7までタンデム状態となる場合もある。
上述したようなユニバーサル圧延機を含むタンデム圧延における圧延速度制御としては、例えば特許文献1に開示されているように、上流スタンドの圧延トルク(あるいは電流、トルクアーム)を非タンデム状態で記憶し、被圧延材が下流スタンドに噛み込んだ際に、圧延トルク(あるいは電流、トルクアーム)の変化を測定し、当該変化が0となるように回転数を制御する技術が知られている。
また、特許文献2には、圧延荷重モデル式と圧延トルクモデル式を用いて、圧延条件に対応した圧延トルクを推定し、圧延トルクが設備許容値を超えないように速度設定を行う技術が開示されている。
また、特許文献3には、タンデム圧延において上流スタンドを被圧延材が抜けて張力が0となった時の荷重及びトルク変化からスタンド間張力を推定し、これを0(無張力)にするように次材の回転数を設定する技術が開示されている。
特許第3309595号 特開2002−1409号公報 特開平4−127906号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、被圧延材の先端が圧延機に噛み込んでからの圧延トルク(あるいは電流、トルクアーム)の変化を測定して速度制御を行うため、速度制御によってスタンド間張力が無張力状態になる間は、初期設定の速度比によってスタンド間張力が発生し、このスタンド間張力による被圧延材の先端部における寸法変化が生じてしまう。図6はその先端部の寸法変動の一例を示す説明図であり、先端部(製品TOPとも呼称する)におけるフランジ幅の変動をグラフで示したものである。ここで、図6にcase1〜case5として示した圧延条件については、後述する実施例に具体的に記載している。図6に示すように、同一の条件においてもロールロット毎に定常部との寸法差が生じていることが分かる。
また、初期設定の回転数比によっては、スタンド間の圧縮力が過大となり、スタンド間で被圧延材が座屈し、圧延の継続が不可能になるといった問題がある。各スタンド速度の初期設定は過去の圧延実績等に基いてオペレーターが実施していたが、圧延チャンス毎に適正値が変化し、被圧延材の先端部分の寸法変動や座屈が発生してしまう。
また、上記特許文献2に記載の技術では、圧延トルクを所定値以下にするためにのみ回転数を制御するものであり、タンデム圧延おけるスタンド間張力を所定の状態にするための圧延速度を設定することはできないといった問題がある。
また、上記特許文献3に記載の技術では、圧延チャンス毎の条件変化によって所定の精度を得るまでに数回の圧延を必要とし、例えばロール替え直後等に精度良く回転数を設定することはできず、効率的ではない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、ユニバーサル圧延機を少なくとも1台含むタンデム圧延機列において、ロール替え直後から回転数の設定を精度良く実施することができ、例えば製品端部における形状不良等を抑制して歩留を向上させ、寸法精度の高い形鋼製品を効率的に製造することが可能な圧延の速度設定方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも1台のユニバーサル圧延機を含む複数の圧延機によって行われるタンデム圧延でのユニバーサル圧延機と当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機との間における圧延速度設定方法であって、前記ユニバーサル圧延機での基準条件におけるロール径での先進fを予め求め、前記基準条件におけるロール径からのロール径変化率に基づいて先進変化率を推定するに際し、当該先進変化率は、前記ユニバーサル圧延機の水平ロール径の変化率ΔD 及びその影響係数α と、
当該ユニバーサル圧延機の竪ロール径の変化率ΔD 及びその影響係数α に基づいて推定され、推定された先進変化率に基づいて前記先進fを修正し、修正された先進に基づいて前記ユニバーサル圧延機と当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機との間のスタンド間張力が所定の目標値となるように当該ユニバーサル圧延機及び当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機のロール回転数を設定する、圧延速度設定方法が提供される。
前記先進変化率はΔfとして以下の式(1)で定義され、ロール径変化後の先進はfとして以下の式(1)’によって推定されても良い。
Δf=αΔD+αΔD ・・・(1)
f=f(1+Δf)=f(1+αΔD+αΔD) ・・・(1)’
また、本発明によれば、上記記載の圧延速度設定方法において推定される先進変化率Δfと、実測された先進変化率Δfとを比較し、比較結果に基づいて前記影響係数αおよびαを個別に学習する、ロール径変化率の影響係数の学習方法が提供される。
本発明によれば、ユニバーサル圧延機を少なくとも1台含むタンデム圧延機列において、ロール替え直後から回転数の設定を精度良く実施することができ、例えば製品端部における形状不良等を抑制して歩留を向上させ、寸法精度の高い形鋼製品を効率的に製造することが可能な圧延の速度設定方法が提供される。
中間ユニバーサル圧延機の概略的な説明図である。 エッジャー圧延機の概略的な説明図である。 仕上げユニバーサル圧延機の概略的な説明図である。 圧延機の具体的な配列の一例を示す説明図である。 圧延機の具体的な配列の一例を示す説明図である。 被圧延材の先端部の寸法変動の一例を示す説明図である。 ユニバーサル圧延機の水平ロール径及び竪ロール径を変化させた時の先進変化率Δfを示すグラフである。 ロール径の変化率に基づいて変化した先進変化率Δfを線形近似式によって近似した値と、FEMによって測定した先進変化率を比較するグラフである。 本実施の形態にかかる圧延速度設定方法を示すフローチャートである。 本発明にかかる実施例について測定されたデータをグラフ化したものである。
以下、本発明の実施の形態にかかる圧延の速度設定方法について説明する。なお、本実施の形態では、図5に示すように、圧延上流側から順に中間ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機及び仕上げユニバーサル圧延機が配置される構成の圧延機列において、中間ユニバーサル圧延機と仕上げユニバーサル圧延機との間での圧延の速度設定を行う場合を例示して説明する。
一般的に、圧延機(以下、圧延スタンドとも呼称する)における被圧延材の圧延速度と圧延ロールの回転数との関係は以下の式(2)で与えられることが知られている。
out=f・N・2πR ・・・(2)
ここで、Voutは被圧延材の圧延機出側速度(m/s)、fは先進、Nはロール回転数(rps)、Rはロール半径である。なお、ユニバーサル圧延機においては、一般的にロール半径Rとして駆動ロールである水平ロールの半径が用いられる。
また、圧延機での延伸をλとした場合に、被圧延材の圧延機入側速度Vinは以下の式(3)で求められる。
in=Vout/λ ・・・(3)
なお、タンデム圧延においては、Vout =Vin i+1とすることでタンデム状態の2機の圧延スタンド間でのスタンド間張力を0(即ち、無張力状態)とすることができる。ここで、Vout は上流側の圧延機での出側速度、Vin i+1は下流側の圧延機での入側速度を示している。
また、圧延機における先進fについては、板圧延での先進fを推定する式として以下の式(4)〜(6)に示すSimsの式等が知られている。
f=2R(1−cosφ)/h+1 ・・・(4)
φ=(h/R)0.5tan{0.5tan−1δ−π/8(h/R)0.5ln(1/1−r)} ・・・(5)
δ=(r/(1−r))0.5 ・・・(6)
ここで、hは出側板厚、hは入側板厚、Rはロール半径、rは圧下率である。
従来より知られている一般的な圧延においては、圧延に用いる水平ロールのロール径が使用に伴い小さくなっていく場合(即ち、初期径から廃棄径となる場合)であっても、上記式(4)〜(6)に示したSimsの式を用いて先進fの変化率Δfを算定すると、その変化率はごくわずかであり、圧延速度の設定に影響を及ぼす程の変化率ではない。具体的には、例えば入側板厚h=40mm、圧下率r=0.2の条件での圧延において、水平ロール径が1300mmから1100mmまで変化した場合であっても、先進fは1.0465から1.0457に変化するのみであり、先進変化率は0.1%に満たない。従って、従来の圧延では、先進は水平ロール径が変化した場合でも一定であるものと仮定して圧延速度の設定が行われていた。
一方、ユニバーサル圧延機を用いた圧延においては、ユニバーサル圧延機の水平ロールの側面と、無駆動の竪ロールとの間で鋼材を圧下するといったように、一般的な板圧延とは機構が異なっている。そこで、本発明者らは、ユニバーサル圧延機を用いた圧延において水平ロール径ならびに竪ロール径の変化が先進変化率Δfに及ぼす影響について鋭意研究を行った。具体的には、ユニバーサル圧延において、剛塑性有限要素法の数値解析を用いて上記式(4)〜(6)のSimsの式から予想される先進fとの比較検討を行った。以下では本検討について説明する。
図7(a)、(b)は、ウェブ高さ380mm、フランジ幅200mm、ウェブ厚40mm、フランジ厚60mmのH形鋼をウェブ圧下率20%、フランジ圧下率20%でユニバーサル圧延機を用いて圧延する場合に、ユニバーサル圧延機の水平ロール径及び竪ロール径を変化させた時の先進変化率Δfを示すグラフである。なお、図7(a)は水平ロール径の変化率(%)を横軸にとったグラフ、図7(b)は竪ロール径の変化率(%)を横軸にとったグラフである。ここで、先進変化率Δfは以下の式(7)で定義されるが、図7に示すグラフにおいては百分率表記のために、式(7)’に示すようにΔfに100を掛けた値Δf’を記載している。
Δf=(f−f)/f ・・・(7)
Δf’=(f−f)/f×100 ・・・(7)’
ここで、fは基準条件となるロール径での先進、fは各条件での先進である。
図7(a)に示すように、ユニバーサル圧延においては、先進fに対する駆動ロール、即ち、水平ロールのロール径変化の影響は非常に大きい。また、図7(b)に示すように、先進fに対する竪ロールのロール径変化の影響も非常に大きい。
また、図8は、ロール径の変化率に基づいて変化した先進変化率Δfを以下に示す線形近似式(8)によって近似した値と、FEMによって計算した先進変化率(真値)を比較するグラフである。この図8のグラフから例えばロール径の変化が10%以下程度の範囲においては、ロール径の変化率に基づいて先進変化率Δfを線形式で近似することが可能であることが分かる。但し、図8においては、上記図7と同様に百分率表記のために、式(8)’に示すようにΔfに100を掛けた値Δf’を記載している。
Δf=αΔD+αΔD ・・・(8)
Δf’=(αΔD+αΔD)×100 ・・・(8)’
ここで、ΔDは水平ロールのロール径変化率、ΔDは竪ロールのロール径変化率、α及びαは影響係数である。なお、影響係数α、αとは、予め定められる所定の圧延条件(基準条件)において被圧延材のサイズや圧下率によって定まる係数である。
上述したように、従来の一般的なユニバーサル圧延では、圧延機のロール径変化に伴う先進変化率は考慮せずに圧延速度設定を行っていた。しかしながら、上記図7等から分かるように、ユニバーサル圧延機を用いた圧延では水平ロール径ならびに竪ロール径の変化が先進変化率Δfに大きな影響を与えることが知見された。そこで、本発明者らは、本知見に基づき、予め定められる所定の圧延条件について、基準となるロール径(以下、基準条件とも呼称する)における先進fを求めておき、基準条件からのロール径変化率から先進変化率Δfを推定し、推定された先進変化率Δfに基づいてロール回転数を設定することで、ロールチャンス毎に(例えばロール替え直後)安定した初期圧延速度の設定が可能となることを見出した。以下では、本実施の形態にかかる圧延速度設定方法について図9を参照してより詳細に説明する。
図9は本実施の形態にかかる圧延速度設定方法を示すフローチャートである。形鋼圧延においては、ロール組み替え後には同一寸法の品種(鋼種)を連続して圧延することが一般的であるため、製品サイズ毎に圧下スケジュールや圧延速度(被圧延材速度)を操業テーブルとして整備することが一般的である。
そこで、本実施の形態にかかる圧延速度設定方法では、先ずステップ1として、操業テーブルを整備するに際して、各スタンドi(以降、iは任意のi番目のスタンドを示す値である)、パスj(以降、jはパス回数を示す値である)についてロール径の基準条件における先進f ijと、水平ロールのロール径の影響係数α ij及び竪ロールのロール径の影響係数α ijを求め、予めテーブルとして整備する。形鋼の圧延においては、新しい製品形状を製造する場合に実機での試験圧延を実施することが一般的であり、この試験圧延時に基準条件を定め上述したように先進(基準先進f ij)を測定し、影響係数α ij及びα ijを求めることができる。
なお、基準条件の先進は有限要素法等の数値計算によって求めることも可能であり、影響係数についても有限要素法等の数値計算によって効率的に求めることも可能である。即ち、上述した試験圧延時の基準条件での先進、影響係数の測定が行われない場合でも、本技術を適用することができる。また、影響係数はロール径の異なる圧延チャンスにおいてそれぞれの場合の先進を実測することで求めることもできる。
そして、ステップ2として圧延チャンス毎に組み込まれるロールのロール径テーブルが入力される。次いで、ステップ3として整備された操業条件テーブルと入力されたロール径テーブルから、組み込まれた水平ロールのロール径変化率(基準条件の水平ロール径DH0 からの水平ロール径変化率)ΔD と、組み込まれた竪ロールのロール径変化率(基準条件の竪ロール径DV0 からの竪ロール径変化率)ΔD を算出する。水平ロール径変化率ΔD 、竪ロール径変化率ΔD はそれぞれ以下の式(9)、(10)によって算出される。
ΔD =(D −DH0 )/DH0 ・・・(9)
ΔD =(D −DV0 )/DV0 ・・・(10)
続いて、ステップ4として、既にステップ1において求められている影響係数α ij及びα ijを用いて、先進変化率Δfijを求め、各スタンド、各パスの先進fijをf ijに対して修正する。即ち、この修正された先進fijは以下の式(11)によって算出される。
ij=f ij(1+Δfij)=f ij(1+α ij・ΔD +α ij・ΔD ) ・・・(11)
そして、ステップ5として、上記ステップ4で算出された先進に基づいて、スタンドi、パスjにおけるロール回転数Nijと、スタンドi+1、パスj+1におけるロール回転数Ni+1j+1の計算が行われる。なお、スタンドiとスタンドi+1はタンデム状態にある所定のスタンドiとその一基下流にあるスタンドi+1を示している。また、パスj+1はパスjの次パスを示している。圧延時には、スタンドiとスタンドi+1との間ではスタンド間張力を0とするために以下の式(12)が成立するような条件とする必要がある。
out ij=fij・Nij・πD =Vin i+1j+1=fi+1j+1・Ni+1j+1・πD i+1/λi+1j+1 ・・・(12)
即ち、上記式(12)を満たすような回転数Nij、Ni+1j+1を計算することで、設定すべきロール回転数が求まることとなる。この求まったロール回転数を圧延機に適用させることで、好適に圧延速度が設定される(ステップ6)。
また、通材の安定性等の観点からスタンド間に一定の張力を付与して圧延する場合には、次式(13)に示すように、上流スタンドの出側速度を下流スタンドの入側速度に対して一定比率γで遅くなるように設定すればよい。
γVout ij=γfij・Nij・πD =Vin i+1j+1=fi+1j+1・Ni+1j+1・πD i+1/λi+1j+1 ・・・(13)
なお、図9のフローチャートに示した圧延速度設定方法(ロール回転数設定方法)は、圧延機に備えられるプロセスコンピューター等に組み込んで実施することが好ましいが、これに限られるものではなく、例えば基準条件での先進f と影響係数α ij及びα ijからオフラインで計算を行い、圧延時の各パス毎に手動でロール回転数の設定を行うといった方法でも実施可能である。
以上、図9を参照して説明した圧延速度設定方法によって圧延速度を設定することで、ロールチャンス毎のロール組み替え1本目から、被圧延材の非定常部(端部)の形状不良を抑制し、被圧延材を全長に亘って、寸法精度良く圧延することが可能となる。具体的には、ロール組み替え1本目から、スタンド間において被圧延材の端部などにおいてフランジ幅等が定常部に比べて極端に変化しているといった形状不良箇所が発生してしまう部分を減少させ、また、スタンド間において被圧延材が座屈してしまうといった事象を予防することができる。従って、歩留まりの低下を防止し、形鋼製品を効率的に製造することができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は上記の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態における説明では、形鋼の先進率が一般的な板圧延の先進率と異なり、先進率が1以下になるため、また、煩雑化を避けるため、先進変化率Δfを用いて説明したが、(7)式を用いている。従って、(7)式で定義される先進変化率Δfを用いずに、以下の式(7)’’で定義される先進変化量Δfとロール径の関係を予め求め、先進の修正を行うことも可能である。
Δf=f−f ・・・(7)’’
この場合、先進fijは、以下の式(11)’’で表すことができる。
ij=f ij+(α ij’ΔD +α ij’ΔD ) ・・・(11)’’
式(11)と式(11)’’の比較からα ij’=α ij・f ij、α ij’=α ij・f ijであり、上記実施の形態と全く等価となる。このような理由から本発明において先進変化率を先進変化量と読み替えて先進の修正を行うことも本発明の適用範囲である。
また、例えば、上記実施の形態において本発明にかかる圧延速度設定方法を適用させる圧延機列として、上流側から順に中間ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機及び仕上げユニバーサル圧延機が配置される構成(図5参照)を例示して説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。本発明にかかる圧延速度設定方法は、少なくとも1台のユニバーサル圧延機を含む複数の圧延機から構成される圧延機列においてタンデム圧延を実施する場合には適用可能である。また、上記実施の形態では上下左右対称なH形鋼をユニバーサル圧延する場合を例に挙げて説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、例えば非対称形状の形鋼のユニバーサル圧延や、ロールに孔型を付与したユニバーサル圧延においても適用可能である。
また、上記実施の形態において説明した圧延速度設定方法によって圧延速度制御を行った際に、所望の圧延速度と多少の誤差が出た場合には、先進を推定する計算過程において誤差があるものと考えられる。先進の推定は上記式(11)によって行われ、誤差は影響係数α ij及びα ijに起因しているものと考えられる。そこで、上記実施の形態において説明した圧延速度設定方法に加え、更に、影響係数α ij及びα ijの学習を行うことでより高精度に圧延速度の設定を実施することが可能となる。
具体的には、誤差が出た際の計算過程において用いた影響係数α ij及びα ijから求まる先進変化率Δfijと、実際に被圧延材の速度測定や張力制御の結果から求まる先進変化率Δfとを比較し、その比較結果から影響係数α ij及びα ijにおける誤差を算出し、その結果を次回圧延時に反映することで、その後の圧延時には、より高精度な圧延速度設定を行うことが可能となる。
影響係数α ij及びα ijは独立した係数であり、先進率の推定値と実測値の誤差に対して等価な補正を実施することは、推定精度の向上にならない可能性が高い。従って、少なくとも2回のロールチャンスでの推定値と実測値の比較をもって影響係数α ij及びα ijを学習する必要がある。そこで、以下では2回のロールチャンスの結果をもって影響係数の学習を行う方法について具体例を例示する。
先ず、予め求められた影響係数がα=0.080、α=0.085であったとする。ここで、水平ロール径及び竪ロール径の変化率が−6.9%及び−8.6%である時に先進変化率の推定値Δf=−1.28に対して、先進変化率の実測値Δf=−1.31となり、水平ロール径及び竪ロール径の変化率が−8.5%及び−9.8%である時に先進変化率の推定値Δf=−1.51に対して、先進変化率の実測値Δf=−1.55となった場合について影響係数の学習を行う。
上記2回の圧延チャンスの実測値から次式(14)に基づいて式(15)、(16)が得られる。
Δf=αΔD+αΔD ・・・(14)
−1.31=−6.9α−8.6α ・・・(15)
−1.55=−8.5α−9.8α ・・・(16)
そして、上記式(15)、(16)の連立方程式を解くことで、α=0.090、α=0.080が得られる。
そこで、次回の影響係数としては、α=0.080+β(0.090−0.080)、α=0.085+β(0.080−0.085)が算定される。なお、ここでβは学習係数である。
一方、影響係数α、αを独立変数として学習しない場合は、補正係数cあるいはdを用いて、以下の式(17)あるいは式(18)に基づいて、推定値と実測値との差から補正係数c、dを学習する。
Δf=αΔD+αΔD+c ・・・(17)
Δf=d(αΔD+αΔD) ・・・(18)
但し、α、αの現在値と適正値との差の符号が逆の場合には、学習を実施しても推定精度は向上しない。また、ここではロールチャンス2回から影響係数を学習する例を示したが、それ以上のロールチャンス回数から学習を行う場合には、最小二乗法で影響係数α、αを求めることが可能である。
ウェブ高さ380mm、フランジ幅200mm、ウェブ厚40mm、フランジ厚60mmの中間材から、第1ユニバーサル圧延機でウェブ圧下率20%、フランジ圧下率20%の圧延を実施し、第2ユニバーサル圧延機でウェブ圧下率10%、フランジ圧下率10%の圧延を実施し、ウェブ高さ350mm、フランジ幅200mm、ウェブ厚30mm、フランジ厚45mmの製品を製造する場合について本発明にかかる圧延速度設定方法を適用させた場合(実施例)と、適用させない場合(比較例)をそれぞれ比較した。なお、本発明を適用しない場合とは、ロール径の変化率に伴う先進の補正を行わない方法である。
ここで、実際に比較を行った圧延条件は以下の表1に示すcase2〜5の条件であり、case1は基準となる圧延条件である。
なお、表1には、それぞれの条件において本発明を適用した場合(実施例:表中の本発明)に製造された製品における定常部と端部でのフランジ幅差の最大値と、本発明を適用しない場合(比較例:表中の従来技術)に製造された製品における定常部と端部でのフランジ幅差の最大値も記載している。また、比較例には、端部において定常部とのフランジ幅差が0.5mm超となった箇所の長さ(m)も併せて記載している。ここで、定常部とのフランジ幅差が0.5mm超となってしまう箇所とは、製品として良好な形状とは判断できない形状不良箇所である。
図6は、上記表1の従来技術について測定されたデータをグラフ化したものである。この図6から分かるように、水平ロールと竪ロールの組み合わせによってフランジ幅の定常部に対する変化量が−1.2mm〜1.5mmまで測定されており、また定常部とのフランジ幅差が製品許容範囲である0.5mm以下となるまでに最大で1.5mの長さを要している。
また、図10は、上記表1の本発明について測定されたデータをグラフ化したものである。図10に示すように、本発明を適用した場合には、定常部と端部におけるフランジ幅差は0.1mm〜0.3mmとなっており、いずれの場合も製品許容範囲である0.5mm以下となり、良好な寸法の製品が製造された。
以上、表1を参照して説明したように、同条件の圧延条件において本発明にかかる圧延速度設定方法を適用した場合と、適用しない場合とを比較すると、圧延後の製品形状に大きな差異が出ており、適用しない場合には製品許容範囲を逸脱した形状不良箇所が生じていることが分かった。即ち、本発明にかかる圧延速度設定方法を適用することで寸法精度の優れた製品を製造することが可能となり、歩留まりの低下が抑制される。
本発明は、形鋼製品等を製造するユニバーサル圧延に関するものであり、特にユニバーサル圧延機を含む複数の圧延機をタンデム状態にして圧延を行う場合の圧延速度設定方法に適用できる。
1、1’…上下水平ロール
2、2’…左右竪ロール
3…ウェブ
4、4’…(左右)フランジ
5、5’…中間ユニバーサル圧延機
6…エッジャー圧延機
7…仕上げユニバーサル圧延機

Claims (3)

  1. 少なくとも1台のユニバーサル圧延機を含む複数の圧延機によって行われるタンデム圧延でのユニバーサル圧延機と当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機との間における圧延速度設定方法であって、
    前記ユニバーサル圧延機での基準条件におけるロール径での先進fを予め求め、
    前記基準条件におけるロール径からのロール径変化率に基づいて先進変化率を推定するに際し、当該先進変化率は、前記ユニバーサル圧延機の水平ロール径の変化率ΔD 及びその影響係数α と、
    当該ユニバーサル圧延機の竪ロール径の変化率ΔD 及びその影響係数α に基づいて推定され、
    推定された先進変化率に基づいて前記先進fを修正し、修正された先進に基づいて前記ユニバーサル圧延機と当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機との間のスタンド間張力が所定の目標値となるように当該ユニバーサル圧延機及び当該ユニバーサル圧延機とタンデム状態である圧延機のロール回転数を設定する、圧延速度設定方法。
  2. 前記先進変化率はΔfとして以下の式(1)で定義され、
    ロール径変化後の先進はfとして以下の式(1)’によって推定される、請求項1に記載の圧延速度設定方法。
    Δf=α ΔD +α ΔD ・・・(1)
    f=f (1+Δf)=f (1+α ΔD +α ΔD ) ・・・(1)’
  3. 請求項1又は2記載の圧延速度設定方法において推定される先進変化率と、実測された先進変化率とを比較し、
    比較結果に基づいて前記影響係数α およびα を個別に学習する、ロール径変化率の影響係数の学習方法。
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