JP2019122974A - エナメル線用導体の製造方法及び製造装置並びにエナメル線の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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[2]前記所定の減面率は、10%未満である、前記[1]に記載のエナメル線用導体の製造方法。
[3]前記圧延する工程は、複数回に亘って前記所定の減面率で前記導体を圧延する、前記[1]又は[2]に記載のエナメル線用導体の製造方法。
[4]導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する工程と、前記偶数角形状の導体を円形状又は平角形状にする工程と、前記円形状又は平角形状の導体からなるエナメル線用導体の表面に皮膜を形成する工程と、を含む、エナメル線の製造方法。
[5]前記所定の減面率は、10%未満である、前記[4]に記載のエナメル線の製造方法。
[6]前記圧延する工程は、複数回に亘って前記所定の減面率で前記導体を圧延する、前記[5]又は[6]に記載のエナメル線の製造方法。
[7]導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する一対の圧延ロールを含む偶数角成形機と、前記偶数角形状の導体を伸線する伸線ダイスと、を備える、エナメル線用導体の製造装置。
[8]前記一対の圧延ロールは、外周面に区画された平坦な面で構成された凹部を有し、前記凹部と前記導体とが接触することにより前記導体を前記偶数角形状に圧延する、前記[7]に記載のエナメル線用導体の製造装置。
[9]前記偶数角成形機は、前記一対の圧延ロールを複数備え、互いに隣接する前記一対の圧延ロール同士は、前記導体の長手方向を中心軸として互いに90度ずつ回転して設けられている、前記[7]又は[8]に記載のエナメル線用導体の製造装置。
[10]導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する一対の圧延ロールを含む偶数角成形機と、前記偶数角形状の導体を伸線する伸線ダイスと、伸線された前記導体からなるエナメル線用導体にエナメル線塗料を塗布する塗料塗布機と、前記エナメル線用導体に塗布された前記エナメル線塗料の焼付を行う焼付炉とを備える、エナメル線の製造装置。
[11]前記焼付炉は、前記エナメル線塗料中の樹脂を硬化させずに前記エナメル線塗料中の溶剤を蒸発させるための乾燥炉を備える、前記[10]に記載のエナメル線の製造装置。
[12]前記一対の圧延ロールは、外周面に区画された平坦な面で構成された凹部を有し、前記凹部と前記導体とが接触することにより前記導体を偶数角形状に圧延する、前記[10]又は[11]に記載のエナメル線の製造装置。
[13]前記偶数角成形機は、前記一対の圧延ロールを複数備え、互いに隣接する前記一対の圧延ロール同士は、前記導体の長手方向を中心軸として互いに90度ずつ回転して設けられている、前記[10]から[12]のいずれか1つに記載のエナメル線用導体の製造装置。
図1は、本発明の実施の形態に係る導体及びエナメル線の製造装置10の一例を示す概略図である。図1に示されるように、エナメル線の製造装置10は、例えば、導体1が巻き付けられているボビン100と、ボビン100から供給された導体1を偶数角形状に圧延する偶数角成形機11と、偶数角形状の導体1を平角形状に圧延する平角圧延機12と、平角形状の導体1を伸線する平角伸線機13と、伸線された導体1を洗浄する洗浄装置14と、洗浄後の導体1にエナメル線塗料を塗布する塗料塗布機15と、導体1に塗布されたエナメル線塗料中の溶剤の蒸発及びエナメル線塗料中の樹脂の硬化、すなわち乾燥・焼付けを行いエネメル線2にする焼付炉16と、エナメル線2を巻き取る巻取機17とを備えて構成されている。ここで、「偶数角形状」とは、偶数個の辺により形成された多角形の形状をいう。また、以下では、エナメル線塗料を塗布する直前の状態の導体1を他の状態の導体1と区別して特に「エナメル線用導体1A」ともいう。
図2は、偶数角成形機11の一例を示す概略図であり、(a)は、上面から見た図、(b)は、導体1の進行方向(すなわち、長手方向)に直交する断面図(図2(a)のA−A断面図)である。図2(a)に示すように、偶数角成形機11は、導体1の外周面1aを中心方向に圧延する一対の圧延ロール110を備えている。この一対の圧延ロール110は、導体1を挟んで互いに対向する位置に設けられている。
平角圧延機12は、厚さと幅とが所定の寸法になるように導体1の上下及び左右を圧延し、導体1の断面を平角形状の形状に加工する。平角圧延機12には、例えば、カセットローラダイス(Cassette Roller Dice:CRD)を用いることができる。なお、平角圧延機12を設けることは必須ではない。平角伸線機13は、導体1を所望の寸法(例えば、製品の仕様に係る寸法)に加工する。平角伸線機13には、例えば、伸線ダイスを用いることができる。
洗浄装置14は、伸線後の導体1を洗浄する洗浄液を備えている。洗浄液には、例えば、純水(例えば、RO水)等の水を用いることができる。塗料塗布機15は、例えば、エナメル線塗料を収容する塗料タンク(不図示)と、塗料タンクからエナメル線塗料を汲み上げてエナメル線用導体1Aの外周面1aを被覆する塗料塗布ロール(不図示)と、エナメル線塗料の厚みが均一になるように調整する塗装ダイス(不図示)とを備えている。
焼付炉16は、エナメル線塗料の乾燥(すなわちエナメル線塗料中の溶剤の蒸発)と、エナメル線塗料中の樹脂の硬化(すなわち皮膜の焼付)とを行う。なお、焼付炉16は、エナメル線塗料中の樹脂を硬化させずにエナメル線塗料中の溶剤を蒸発させることのみを行う乾燥炉(不図示)を備えるものであってもよい。
図1〜図3を参照してエナメル線用導体1A及びエナメル線2の製造方法の概容を説明する。なお、以下では、エナメル線用導体1A及びエナメル線2用に供給される心線として、断面が円形状の導体1を用いる場合を例に挙げて説明する。また、本実施の形態において使用される導体1の素材には、例えば、銅、銅合金等を使用することができる。
図1に示されるように、まず、ボビン100に巻きつけられた導体1が偶数角成形機11に導入される。上述のように、偶数角成形機11では、導体1の断面が円形状から偶数角形状に変形される。偶数角成形機11による減面率は、好ましくは、10%未満、より好ましくは、8%未満である。なお、従来の丸伸線加工では、減面率は、約15〜20%である。本発明に係る偶数角成形機11によると、上述した形状を有する圧延ロール110を用いて、従来の丸伸線加工と比較して小さな減面率で導体1を偶数角形状に加工することにより、加工硬化を低減することができる。
次に、偶数角形状の断面を有する導体1に平角圧延を施す。平角圧延は、1回のみでなく、例えば、多段圧延機を用いて複数に亘って段階的に行ってもよい。
次に、平角形状の導体1に平角伸線加工を施す。この工程では、導体1を伸線ダイス(不図示)に円滑に通すために、例えば、エマルジョンを含む潤滑油を用いることができる。なお、平角伸線における減面率は、一例として、約20%〜25%とすることができる。
次に、伸線された平角形状の導体1を洗浄する。洗浄により、前述の平角伸線工程で潤滑油を用いた場合に導体1に付着する潤滑油を除去することができる。
次に、洗浄後の導体1、すなわちエナメル線用導体1Aを塗装する。具体的には、エナメル線用導体1Aの外周にエナメル線塗料を塗布し、塗布したエナメル線塗料を乾燥及び硬化、つまり、乾燥・焼付を行うことによって、エナメル線用導体1Aの外周に所望の厚さからなる皮膜を有するエナメル線2を形成する。導体1の表面へのエナメル線塗料の塗布、エナメル線塗料を乾燥、及びエナメル線塗料中の樹脂を硬化は、皮膜が所望の厚さとなるまで繰り返し行ってもよい。
塗装が終了したエナメル線2は、巻取機17によって巻き取られる。
本発明の実施の形態によれば、導体1を伸線する前に、圧延ロール110により、伸線による減面率よりも小さい減面率で導体1の断面を偶数角形状に圧延するため、例えば、導体1を丸伸線するときよりも加工硬化を低減することができる。このため、従来必要であった焼鈍工程を不要とすることができる。この結果、焼鈍に必要な焼鈍炉や、焼鈍後の加熱された導体1を冷却するための冷却機を撤廃することができ、焼鈍機構による敷地コスト及び設備コストを大幅に削減することができる。また、加熱エネルギー及び冷却エネルギーの消費量を大幅に削減することができる。これらにより、エナメル線用導体1A及びエナメル線2の製造コストを低減することができる。
図4の各図は、比較例に係る丸線圧延機によって導体1丸型(円形状)に圧延する工程の一例を説明する図である。かかる工程は、図4(a),(b),(c)に示す順で行われる。丸線圧延機21は、導体1をその中心方向に向かって略均一に圧延し導体1の断面のサイズを縮小する。この目的の実現のために、図4各図に示すように、丸線圧延機21は、外周面に半円状の形状を有する凹部210aが区画された円柱形状を有する一対の圧延ロール210を備えている。
Claims (13)
- 導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する工程と、
前記偶数角形状の導体を円形状又は平角形状にする工程と、
を含む、エナメル線用導体の製造方法。 - 前記所定の減面率は、10%未満である、
請求項1に記載のエナメル線用導体の製造方法。 - 前記圧延する工程は、複数回に亘って前記所定の減面率で前記導体を圧延する、
請求項1又は2に記載のエナメル線用導体の製造方法。 - 導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する工程と、
前記偶数角形状の導体を円形状又は平角形状にする工程と、
前記円形状又は平角形状の導体からなるエナメル線用導体の表面に皮膜を形成する工程と、
を含む、エナメル線の製造方法。 - 前記所定の減面率は、10%未満である、
請求項4に記載のエナメル線の製造方法。 - 前記圧延する工程は、複数回に亘って前記所定の減面率で前記導体を圧延する、
請求項5又は6に記載のエナメル線の製造方法。 - 導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する一対の圧延ロールを含む偶数角成形機と、
前記偶数角形状の導体を伸線する伸線ダイスと、
を備える、エナメル線用導体の製造装置。 - 前記一対の圧延ロールは、外周面に区画された平坦な面で構成された凹部を有し、前記凹部と前記導体とが接触することにより前記導体を前記偶数角形状に圧延する、
請求項7に記載のエナメル線用導体の製造装置。 - 前記偶数角成形機は、前記一対の圧延ロールを複数備え、
互いに隣接する前記一対の圧延ロール同士は、前記導体の長手方向を中心軸として互いに90度ずつ回転して設けられている、
請求項7又は8に記載のエナメル線用導体の製造装置。 - 導体の断面を所定の減面率で6角形以上の偶数角形状に圧延する一対の圧延ロールを含む偶数角成形機と、
前記偶数角形状の導体を伸線する伸線ダイスと、
伸線された前記導体からなるエナメル線用導体にエナメル線塗料を塗布する塗料塗布機と、
前記導体に塗布された前記エナメル線塗料の焼付を行う焼付炉と、
を備える、エナメル線の製造装置。 - 前記焼付炉は、前記エナメル線塗料中の樹脂を硬化させずに前記エナメル線塗料中の溶剤を蒸発させるための乾燥炉を備える、
請求項10に記載のエナメル線の製造装置。 - 前記一対の圧延ロールは、外周面に区画された平坦な面で構成された凹部を有し、前記凹部と前記導体とが接触することにより前記導体を前記偶数角形状に圧延する、
請求項10又は11に記載のエナメル線の製造装置。 - 前記偶数角成形機は、前記一対の圧延ロールを複数備え、
互いに隣接する前記一対の圧延ロール同士は、前記導体の長手方向を中心軸として互いに90度ずつ回転して設けられている、
請求項10から12のいずれか1項に記載のエナメル線用導体の製造装置。
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