JP2018018597A - ダイスユニット及びエナメル線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導体の進行方向に対するダイスの傾きを抑制し、均一なエナメル塗装膜厚を実現することができるダイスユニット及びエナメル線の製造方法を提供する。【解決手段】ダイスユニット1は、導体110、110mx−1の外周に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するための塗装ダイス100が先端側に取り付けられた帯板状アーム3と、帯板状アーム3の先端側に取り付けられ、塗装ダイス100を当該ダイスの重心を通る導体110、110mx−1の進行方向に平行な中心軸の回りに回転可能に保持するとともに、塗装ダイス100が当該ダイスの重心を水平方向に通る軸回りに回転すること及び当該ダイスの重心を垂直方向に通る軸回りに回転することを規制するダイスホルダ2とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、横型のエナメル線製造装置に適用されるダイスユニット及び当該ダイスユニットを用いたエナメル線の製造方法に関する。
横型のエナメル線製造装置に適用されるダイスホルダ治具として、心線(例えば銅線)に塗布されたエナメル塗料の厚さを調整するダイスを、心線の搬送方向に直交する方向等に移動可能にしたダイスホルダ治具が提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載されたダイスホルダ治具は、フッ素樹脂製のダイスホルダに上下方向に沿う長穴を設け、その長穴にダイスを挿入し、ダイスを上下方向に移動可能にしたものである。
特許文献2に記載されたダイスホルダ治具は、フッ素樹脂製のダイスホルダに上下方向に沿う長穴であって、その幅をダイスの幅よりもやや大きくした長穴を設け、その長穴にダイスを挿入し、ダイスを上下方向及び左右方向に移動可能にしたものである。
しかし、上記のダイスホルダ治具は、ダイスホルダの穴とダイスとの間に隙間を設け、ダイスホルダの材質をフッ素樹脂とすることで、塗装中の自由なダイスの上下、左右方向への可動を狙ったものであるが、心線が搬送方向に直交する方向に速く移動した場合など、心線の移動にダイスが反応良く摺動し、追従するのは難しいと思われる。また、ダイスホルダの穴とダイスとの隙間分が却って心線の進行方向に対してダイスの傾きを招く可能性があり、心線に対するダイスの所望のセンタリング(すなわち、心線がダイス穴の中心に来るようにすること)が実現できず、周方向の均一なエナメル塗装膜厚を実現できないおそれがある。
そこで、本発明の目的は、導体の進行方向に対するダイスの傾きを抑制し、均一なエナメル塗装膜厚を実現することができるダイスユニット及びエナメル線の製造方法を提供することにある。
[1]導体の外周に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するためのダイスが先端側に取り付けられたアーム部材と、前記アーム部材の先端側に取り付けられ、前記ダイスを当該ダイスの重心を通る前記導体の進行方向に平行な中心軸の回りに回転可能に保持するとともに、前記ダイスが当該ダイスの重心を水平方向に通る軸回りに回転すること及び当該ダイスの重心を垂直方向に通る軸回りに回転することを規制する保持部材と、を備えたダイスユニット。
[2]前記アーム部材を回転可能に支持するための回転軸部材を備えた、前記[1]に記載のダイスユニット。
[3]前記アーム部材は、前記ダイスが前記回転軸部材の軸心と前記導体の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸を中心に円弧運動可能に構成された、前記[1]又は[2]に記載のダイスユニット。
[4]前記[1]から[3]のいずれかに記載されたダイスユニットを複数用いて前記導体に繰り返し塗装された前記エナメル塗料を横型焼付け炉で焼き付けてエナメル線を製造するエナメル線の製造方法。
[2]前記アーム部材を回転可能に支持するための回転軸部材を備えた、前記[1]に記載のダイスユニット。
[3]前記アーム部材は、前記ダイスが前記回転軸部材の軸心と前記導体の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸を中心に円弧運動可能に構成された、前記[1]又は[2]に記載のダイスユニット。
[4]前記[1]から[3]のいずれかに記載されたダイスユニットを複数用いて前記導体に繰り返し塗装された前記エナメル塗料を横型焼付け炉で焼き付けてエナメル線を製造するエナメル線の製造方法。
本発明によれば、導体の進行方向に対するダイスの傾きを抑制し、均一なエナメル塗装膜厚を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
〔エナメル線製造装置〕
図1は、本発明の実施の形態に係るダイスユニットを複数用いたエナメル線製造装置の要部を示し、(a)は平面図、(b)は正面方向の断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係るダイスユニット1を備えた塗装装置の要部を示し、(a)は平面方向から見た(b)のA−A線断面図、(b)は正面図、(c)は(b)のD方向矢視図(塗料塗布用ロールの上部のみ)である。
図1は、本発明の実施の形態に係るダイスユニットを複数用いたエナメル線製造装置の要部を示し、(a)は平面図、(b)は正面方向の断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係るダイスユニット1を備えた塗装装置の要部を示し、(a)は平面方向から見た(b)のA−A線断面図、(b)は正面図、(c)は(b)のD方向矢視図(塗料塗布用ロールの上部のみ)である。
なお、図1及び図2において、xaは離間して対向配置された一対の回転軸部材5の軸心と導体110の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸であり、yaは対向配置された一対の回転軸部材5の軸心と一致する軸であり、xaとyaとは互いに直交する軸である。xbは塗装ダイス100の重心を垂直方向に通る軸であり、ybは塗装ダイス100の重心を水平方向に通る軸であり、xbとybとは互いに直交する軸である。zは塗装ダイス100の重心を通る導体110の進行方向に平行な中心軸である。また、Rxは軸xa回りの回転方向を示し、Ryは軸ya回りの回転方向を示す。αは軸xb回りの回転方向(ヨーの方向)を示し、βは軸yb回りの回転方向(ピッチの方向)を示し、γは中心軸z回りの回転方向(ロールの方向)を示す。Xは垂直方向、Yは水平方向を示す。xa、xbは垂直方向Xに平行な軸であり、ya、ybは水平方向Yに平行な軸である。
このエナメル線製造装置10は、導体110にエナメル塗料131の塗布と乾燥・硬化(所謂、焼付け)とをn回(nは2以上の整数)繰り返し行って、導体上に所望の厚さを有する絶縁被膜が形成されたエナメル線111を製造するものである。エナメル線製造装置10は、図示しない供給ボビンから供給された導体110の搬送路上にエナメル塗料131が収容された塗料バス130と、塗料バス130に収容されたエナメル塗料131を導体110又はエナメル塗料131が塗布され乾燥・硬化されて塗装膜が形成された導体110mx−1(x=2〜n)に塗布するとともに、導体110、110mx−1を送り出す複数の塗料塗布用ロール120と、それぞれの塗料塗布用ロール120の上側に配置された複数の本発明の実施の形態に係るダイスユニット1と、導体110に塗布されたエナメル塗料131、又は導体110mx−1にさらに塗装されたエナメル塗料131を乾燥し、硬化させる横型焼付け炉としての乾燥・硬化炉140と、乾燥・硬化炉140の後段に配置された複数のロール150と、ロール150の下流に配置され、エナメル線111を巻き取る図示しない巻取りボビンとを備える。なお、本発明の実施の形態に係る塗装装置は、塗料バス130と、複数の塗料塗布用ロール120と、複数のダイスユニット1とを含んで構成される。
複数のダイスユニット1の各々、複数の塗料塗布用ロール120の各々及び複数のロール150の各々は、図1(a)に示されるように、水平方向Yに並列配置されている。
エナメル線製造装置10は、ダイスユニット1に最も特徴がある。
すなわち、本発明の実施の形態に係るダイスユニット1は、導体110の外周に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するためのダイス(塗装ダイス100)が先端側に取り付けられたアーム部材(帯板状アーム3)と、帯板状アーム3の先端側に取り付けられ、塗装ダイス100を当該ダイスの重心を通る導体110、110mx−1の進行方向に平行な中心軸の回りに回転可能に保持するとともに、塗装ダイス100が当該ダイスの重心を水平方向に通る軸回りに回転すること及び当該ダイスの重心を垂直方向に通る軸回りに回転することを規制するダイスホルダ2とを備える。アーム部材を回転軸部材に対して回転可能に支持することにより、導体の動きにほぼ合致あるいは追従したダイスの動きが可能になる。また、ダイスは、ダイスの重心を水平方向に通る軸回り及びダイスの重心を垂直方向に通る軸回りにほぼ回転しないように規制されているので、導体の進行方向に対するダイスの傾きを抑制することができる。
すなわち、本発明の実施の形態に係るダイスユニット1は、導体110の外周に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するためのダイス(塗装ダイス100)が先端側に取り付けられたアーム部材(帯板状アーム3)と、帯板状アーム3の先端側に取り付けられ、塗装ダイス100を当該ダイスの重心を通る導体110、110mx−1の進行方向に平行な中心軸の回りに回転可能に保持するとともに、塗装ダイス100が当該ダイスの重心を水平方向に通る軸回りに回転すること及び当該ダイスの重心を垂直方向に通る軸回りに回転することを規制するダイスホルダ2とを備える。アーム部材を回転軸部材に対して回転可能に支持することにより、導体の動きにほぼ合致あるいは追従したダイスの動きが可能になる。また、ダイスは、ダイスの重心を水平方向に通る軸回り及びダイスの重心を垂直方向に通る軸回りにほぼ回転しないように規制されているので、導体の進行方向に対するダイスの傾きを抑制することができる。
ダイスユニット1は、例えば、図1〜2に示されるように、塗装ダイス100を保持する保持部材の一例としてのダイスホルダ2と、乾燥・硬化炉140側の端部にダイスホルダ2を該ダイスホルダ2の水平方向Yに位置する部分を両側から把持して固定する互いに平行なアーム部材としての一対の帯板状アーム3と、一対の帯板状アーム3の後端側の端部(ダイスホルダ2が固定された端部と反対側の端部)に設けられた調整部材としてのバランスウェイト4と、一対の帯板状アーム3を回転可能に支持し、水平方向Yに対して平行に延びるように設けられた一対の回転軸部材5とを備える。ダイスユニット1は、例えば、回転軸部材5を回転可能に支持する支持部材(図示せず)を介して、支持部材がネジ止めや溶接等によって取り付けられた固定部材(図示せず)に固定される。
塗装ダイス100は、その内部に孔が中心軸zに沿うように設けられており、この孔に導体110、110mx−1を挿通させることによって導体110、110mx−1の表面に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するものである。塗装ダイス100は、一対の帯板状アーム3の先端側に取り付けられたダイスホルダ2によって保持されている。
導体110は、例えば、銅や銅合金等の金属からなる断面円形の心線を用いる。なお、導体110は、角部が丸い矩形状の断面を有するもの等の他の形状の心線でもよい。
帯板状アーム3は、例えば、帯状の板(以下「帯板」という。)により構成され、帯板状アーム3が水平位置のときに帯板の幅方向が垂直方向X(厚さ方向が水平方向Y)となるようにダイスユニット1に組み込まれる。これにより、帯板の厚さ方向、すなわち水平方向Yに撓みやすくなり、帯板の幅方向、すなわち垂直方向Xに撓みにくくなり、捩れやすくなる。なお、帯板状アーム3は、ダイスユニット1に組み込んだ後は、実際は図1(b)に示すように、帯板状アーム3の自重やダイスホルダ2等の重さによってダイスホルダ2側が下方向に傾く。
一対の帯板状アーム3は、対向する位置であって、帯板の幅方向の中央付近に、回転軸部材5を回転可能に支持する穴3aが形成されている。帯板は、厚さをt、幅をwとしたとき、例えば、20≦w/t≦250が好ましく、40≦w/t≦100がより好ましい。帯板は、例えば、厚さ0.2〜1mm、幅20〜50mmのサイズを有する。帯板は、例えば、ステンレス鋼、リン青銅(ばね材料)等の金属からなる金属板を用いることができる。一対の帯板状アーム3の間隔は、例えば、10〜50mmである。帯板状アーム3において、回転軸部材5が挿入される穴3aからダイスホルダ2が固定される位置までの長さは、塗料塗布用ロール120によるエナメル塗料131の汲み上げによってエナメル塗料131が塗装ダイス100まで飛ばない長さ、例えば、塗料塗布用ロール120の直径よりも長くすることが好ましい。帯板の当該部分の長さは、例えば、40〜200mmである。
一対の回転軸部材5は、例えば、図示していない一対の支持部材に形成された孔に軸方向に移動しないように圧入され、各支持部材の孔から各回転軸部材5の両端部が突出した状態で設けられる。各支持部材の孔から突出した各回転軸部材5の一方の端部(走行する導体側の端部)が各帯板状アーム3の穴3aに挿入され(図1(a)、図2(a)参照)、各回転軸部材5の他方の端部(走行する導体とは反対側の端部)が各支持部材の孔から外側へ突出している。このとき、帯板状アーム3が回転軸部材5に対して回転可能となるように回転軸部材5の一方の端部が帯板状アーム3の穴3aに挿入されている。そのため、帯板状アーム3は一対の回転軸部材5の軸心と導体110の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸xaを中心軸として回転方向Rxに回転可能な状態で支持部材に支持されることになる。回転軸部材5は、例えば金属から形成されている。
複数の塗料塗布用ロール120は、同一の回転軸(不図示)上に設けられており、図示しないモータによって当該回転軸を回転(図1(b)において右回転)させることで、エナメル塗料131を塗料バス130から塗料塗布用ロール120の周面に形成された溝120aに表面張力により汲み上げて導体110、110mx−1に塗布するとともに、導体110、110mx−1を送り出すように構成されている。
塗料塗布用ロール120は、図2(a)に示すように、その上部が一対の帯板状アーム3の間に収容されるように設けられる。また、塗料塗布用ロール120は、図2(b)に示すように、厚さが一様の円盤状を有し、図2(c)に示すように、導体110、110mx−1を収容し得る溝120aが周面に連続して形成されている。すなわち、溝120aは、導体110の直径よりもやや広い幅、例えば導体110の直径の1.1〜2倍程度の最大幅を有する。図2(c)に示す溝120aの断面形状は、底面が平坦な矩形状になっているが、V字状やU字状でもよい。
複数のロール150(図1(a)の最上列のものを除く)は、図1(a)に示すように、導体110、110mx−1を隣の列(搬送路)に送り出すように構成されている。図1(a)の最上列のロール150は、エナメル線111を図示しない巻取りボビンに送るように構成されている。なお、図1(a)の左端で導体110mx−1の進行方向を逆方向に転換するための複数のロールが設けられているが、図示を省略した。
(塗装ダイスの動きを許容する構造)
図3は、回転軸部材5の位置を説明するための図である。導体110、110mx−1は、図3に示すように、点a(以下、「接触開始点」ともいう。)で塗料塗布用ロール120の溝120aの底面に接触し、点b(以下、「導体排出点」ともいう。)で溝120aの底面から離れ、その後は自重によって撓む。塗料塗布用ロール120の回転中心Oから溝120aの底面までの半径をr、導体110の太さをdとする。接触開始点aは、回転中心Oから垂直方向Xに延びた点であってr+(d/2)の位置にある。導体排出点bは、回転中心Oと点aを結ぶ線から角度θ進んだ位置であって、回転中心Oからr+(d/2)の位置にある。
図3は、回転軸部材5の位置を説明するための図である。導体110、110mx−1は、図3に示すように、点a(以下、「接触開始点」ともいう。)で塗料塗布用ロール120の溝120aの底面に接触し、点b(以下、「導体排出点」ともいう。)で溝120aの底面から離れ、その後は自重によって撓む。塗料塗布用ロール120の回転中心Oから溝120aの底面までの半径をr、導体110の太さをdとする。接触開始点aは、回転中心Oから垂直方向Xに延びた点であってr+(d/2)の位置にある。導体排出点bは、回転中心Oと点aを結ぶ線から角度θ進んだ位置であって、回転中心Oからr+(d/2)の位置にある。
導体排出点bは、導体110、110mx−1が自重による弛みが始まる位置でもある。したがって、回転軸部材5を導体排出点bに配置することが、導体110、110mx−1の弛みに帯板状アーム3の傾きを一致させやすい点で望ましい。
一対の帯板状アーム3の先端側に塗装ダイス100を配置し、当該先端側とは逆の端部方向に離れた位置に回転軸部材5を配置することにより、塗装ダイス100が一対の回転軸部材5の軸心と一致する軸ya回りの回転方向Ryに移動(円弧運動)可能に構成され、一対の回転軸部材5の軸心と導体110の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸xa回りの回転方向Rxに移動(首振り又は円弧運動)可能に構成されることになる。
バランスウェイト4は、塗装ダイス100の位置において導体110、110mx−1の進行方向に塗装ダイス100の中心軸zがほぼ合致するように塗装ダイス100と反対側の帯板状アーム3の端部の位置のバランスを調整する。帯板状アーム3の後端側にバランスウェイト4を設けないと、塗装ダイス100及び帯板状アーム3の重さが塗装ダイス100の部分に下向きに働くため、塗装ダイス100の孔101の内壁面と孔101を通過する導体110、110mx−1の外周面との間のクリアランスが上下方向で不均等になるおそれがある。これを解消するためにバランスウェイト4を使用して、塗装ダイス100に設けられた孔101の全長にわたって当該孔101の断面中央部を導体110、110mx−1が走行するように回転軸部材5に対する帯板状アーム3のバランスを調整する。
バランスウェイト4の位置は、塗装ダイス100とは反対側の帯板状アーム3の端部に設けるのが望ましい。これにより、塗装ダイス100周辺の構造を簡素化し、導体110、110mx−1の通線などの作業性向上を図ることができる。また、回転軸部材5は、塗装ダイス100とバランスウェイト4の間であって、かつバランスウェイト4寄りに配置されていることが望ましい。
(塗装ダイスの動きを規制する構造)
塗装ダイス100が軸xb回りの回転方向αに回転しないように、かつ、塗装ダイス100が軸yb回りの回転方向βに回転しないように、塗装ダイス100を挿入するダイスホルダ2は上述した一対の帯板状アーム3に固定される。
塗装ダイス100が軸xb回りの回転方向αに回転しないように、かつ、塗装ダイス100が軸yb回りの回転方向βに回転しないように、塗装ダイス100を挿入するダイスホルダ2は上述した一対の帯板状アーム3に固定される。
一方、後述するように、塗装ダイス100は中心軸z回りの回転方向γに回転することは許容されている。すなわち、ダイスホルダ2の孔2aは、塗装ダイス100の小径部103の外径よりも若干大きい内径に形成されているので、塗装ダイス100は導体110の回転に追従してダイスホルダ2内で滑らかに回転することができる。
(塗装ダイス及びダイスホルダの構成)
図4は、塗装ダイス100及びダイスホルダ2を示し、図4(a)は、図2(a)のB−B線断面図、図4(b)は、図2(b)のC−C線断面図である。
図4は、塗装ダイス100及びダイスホルダ2を示し、図4(a)は、図2(a)のB−B線断面図、図4(b)は、図2(b)のC−C線断面図である。
塗装ダイス100は、入口側が広くなった孔101を有し、一方の端部に設けられた円形の大径部102と、大径部102に続く円形の小径部103とを備える。孔101とこの孔101を通過する導体110との間には、エナメル塗料131の膜厚に対応する隙間が設けられている。
ダイスホルダ2は、塗装ダイス100を中心軸z回りに回転可能に保持するように構成されている。すなわち、ダイスホルダ2は、塗装ダイス100の小径部103の外径よりも若干大きい内径を有する孔2aを有する。ダイスホルダ2は、一対の帯板状アーム3に挟まれた状態に図示しないネジによって固定されている。塗装ダイス100は、小径部103をダイスホルダ2の孔2aに差し込むことにより、ダイスホルダ2に組み込まれる。
帯板状アーム3の構造により、ダイスホルダ2及び塗装ダイス100は、水平方向Y及び垂直方向Xに移動可能に構成されている。塗装ダイス100は、帯板状アーム3の捩れによって中心軸z回りの回転方向γに回転可能に構成されていてもよい。
〔エナメル線の製造方法〕
次に、エナメル線の製造方法の一例について図1を参照して説明する。
次に、エナメル線の製造方法の一例について図1を参照して説明する。
上述したように構成されたエナメル線製造装置10において、供給ボビンから導体110を搬送路に供給すると、導体110が塗料塗布用ロール120を通過する。塗料塗布用ロール120は、図示しないモータによって回転することにより、エナメル塗料131を塗料バス130から汲み上げて導体110に塗布するとともに、導体110を下流側に送り出す。
エナメル塗料131が塗布された導体110は、図1(b)に示すように、塗料塗布用ロール120とロール150との間で導体110の自重によって撓むとともに、導体110が持っている加工歪などにより図1(a)に示す平面視において進行方向に対して右側(又は左側)に湾曲する場合がある。
導体110の自重によって撓む動きに追従して塗装ダイス100は軸yaを中心に下向きの回転方向Ryに回転する。また、導体110の図1(a)に示す平面視において進行方向に対して右側に湾曲する動きに追従して塗装ダイス100は軸xaを中心に右方向の回転方向Rxに回転する。
導体110が中心軸z回りに捻じれる動きをしたときは、塗装ダイス100がダイスホルダ2内で導体110の捻じれる動きに追従して回転する。導体110の帯板状アーム3がその導体110の捻じれる動きに追従して捻じられるようにしてもよい。
以上のようにして導体110の動きに追従して塗装ダイス100が移動し、適量のエナメル塗料131が塗装され乾燥・硬化されて塗装膜が形成された導体110mx−1は乾燥・硬化け炉140で乾燥、硬化され、その導体110mx−1はロール150の回転に従って隣の列(搬送路)に送られ、塗装膜が所望の膜厚になるまで塗装と乾燥・硬化とが複数回(n回)行なわれた後、下流に送られ、巻取りボビンに巻き取られる。このようにして、導体の周囲に所望の厚さの絶縁被膜を有するエナメル線が得られる。
〔実施の形態の作用、効果〕
本実施の形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
(1)塗装ダイス100が回転軸部材5を中心とする上下方向の回転方向Ry、及び左右方向の回転方向Rxに移動可能に構成されているので、導体110、110mx−1の本来の動き、すなわちカテナリ(懸垂線)にほぼ合致した塗装ダイス100の動きが可能となり、導体110、110mx−1の進行方向に対する塗装ダイス100の傾きを抑制し、心線に対する塗装ダイス100の所望のセンタリング及び均一なエナメル塗装膜厚を実現することができる。
(2)塗装ダイス100は、ヨーの方向、すなわち軸xb回りの回転方向αにほぼ回転しないように規制され、ピッチの方向、すなわち軸yb回りの回転方向βにほぼ回転しないように規制されているので、導体110、110mx−1の進行方向に対する塗装ダイス100の傾きを抑制することができる。
(3)塗装ダイス100を導体110、110mx−1の回転に追従してダイスホルダ2内で回転することができるようにしているので、断面円形の導体のみならず、断面矩形状の平角導体等を使用した場合にも、心線に対する塗装ダイス100の所望のセンタリング及び均一なエナメル塗装膜厚を実現することができる。
本実施の形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
(1)塗装ダイス100が回転軸部材5を中心とする上下方向の回転方向Ry、及び左右方向の回転方向Rxに移動可能に構成されているので、導体110、110mx−1の本来の動き、すなわちカテナリ(懸垂線)にほぼ合致した塗装ダイス100の動きが可能となり、導体110、110mx−1の進行方向に対する塗装ダイス100の傾きを抑制し、心線に対する塗装ダイス100の所望のセンタリング及び均一なエナメル塗装膜厚を実現することができる。
(2)塗装ダイス100は、ヨーの方向、すなわち軸xb回りの回転方向αにほぼ回転しないように規制され、ピッチの方向、すなわち軸yb回りの回転方向βにほぼ回転しないように規制されているので、導体110、110mx−1の進行方向に対する塗装ダイス100の傾きを抑制することができる。
(3)塗装ダイス100を導体110、110mx−1の回転に追従してダイスホルダ2内で回転することができるようにしているので、断面円形の導体のみならず、断面矩形状の平角導体等を使用した場合にも、心線に対する塗装ダイス100の所望のセンタリング及び均一なエナメル塗装膜厚を実現することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されず、種々な実施の形態が可能である。例えば、本実施の形態では、アーム部材として一対の帯板状アームを用いたが、1つの帯板状アームでもよい。
また、一対の帯板状アーム3の少なくとも一方は、図5(a)及び(b)に示す変形例のように、回転軸部材5が通される穴3aが設けられた一方の端部と塗装ダイス100を保持するダイスホルダ2が固定された他方の端部との間の部分(中間領域31A,31B)が当該部分以外の部分(例えば、ダイスホルダ2が固定された他方端部)よりも幅が狭い(細い)形状の帯板状アーム30A,30Bであってもよい。帯板状アームをこのような形状とすることにより、導体110の捻じれる動きに追従して塗装ダイス100を回転しやすくすることができる。上記中間領域の幅は、図5(a)(変形例1)に示すように、端部の幅W1よりも狭い一様な幅W2にしてもよく、また、図5(b)(変形例2)に示すように、一方端部から他方端部にわたって上記中間領域の幅を徐々に(なだらかに)変化させてもよい(図5(b)ではW1>W3>W4)。更には、図5(a)の中間領域31Aで切除されている両端部を残し、残っている中央部を切除した形状、すなわち、中間領域に開口を有する形状としてもよい。
また、本実施の形態では、導体110は断面円形のものを用いたが、断面矩形状の平角導体や扁平状の導体でもよい。
また、本実施の形態では、塗装ダイス100の小径部103がダイスホルダ2の孔2aに対して滑りやすくしておき、塗装ダイス100がダイスホルダ2に対して中心軸z回りに回転できるようにしたが、導体110、110mx−1の中心軸z回りの捩れに追従して帯板状アーム3が捻じれるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、調整部材としてバランスウェイトを用いたが、調整部材として、圧縮コイルばね、引張りコイルばね、ぜんまいばね等のばね部材でもよい。ばね部材として、圧縮コイルばねを用いるときは、圧縮コイルばねを帯板状アーム3の後端の上側に配置し、ばね力を帯板状アーム3の後端に下方向に作用させる。ばね部材として、引張りコイルばねを用いるときは、帯板状アーム3の後端の下側に配置し、ばね力を帯板状アーム3の後端に下方向に作用させる。ばね部材として、ぜんまいばねを用いるときは、回転軸部材5の回りに配置し、ばね力を帯板状アーム3を回転方向Ryの上方向に作用させる。
1…ダイスユニット、2…ダイスホルダ、2a…孔、
3,30A,30B…帯板状アーム、3a…穴、4…バランスウェイト、
5…回転軸部材、31A,31B…中間領域
10…エナメル線製造装置、100…塗装ダイス、101…孔、
102…大径部、103…小径部、
110…導体、110mx−1…塗装膜が形成された導体、111…エナメル線、
120…塗料塗布用ロール、120a…溝、130…塗料バス、
131…エナメル塗料、140…乾燥・焼付け炉、150…ロール、
Rx、Ry…回転方向、X…垂直方向、Y…水平方向、
xa、xb、ya、yb、z…軸、α、β、γ…回転方向、θ…角度
3,30A,30B…帯板状アーム、3a…穴、4…バランスウェイト、
5…回転軸部材、31A,31B…中間領域
10…エナメル線製造装置、100…塗装ダイス、101…孔、
102…大径部、103…小径部、
110…導体、110mx−1…塗装膜が形成された導体、111…エナメル線、
120…塗料塗布用ロール、120a…溝、130…塗料バス、
131…エナメル塗料、140…乾燥・焼付け炉、150…ロール、
Rx、Ry…回転方向、X…垂直方向、Y…水平方向、
xa、xb、ya、yb、z…軸、α、β、γ…回転方向、θ…角度
Claims (4)
- 導体の外周に塗布されたエナメル塗料の膜厚を調整するためのダイスが先端側に取り付けられたアーム部材と、
前記アーム部材の先端側に取り付けられ、前記ダイスを当該ダイスの重心を通る前記導体の進行方向に平行な中心軸の回りに回転可能に保持するとともに、前記ダイスが当該ダイスの重心を水平方向に通る軸回りに回転すること及び当該ダイスの重心を垂直方向に通る軸回りに回転することを規制する保持部材と、
を備えたダイスユニット。 - 前記アーム部材を回転可能に支持するための回転軸部材を備えた、請求項1に記載のダイスユニット。
- 前記アーム部材は、前記ダイスが前記回転軸部材の軸心と前記導体の進行経路とが直交する点を垂直方向に通る軸を中心に円弧運動可能に構成された、請求項1又は請求項2に記載のダイスユニット。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のダイスユニットを複数用いて前記導体に繰り返し塗装された前記エナメル塗料を横型焼付け炉で焼き付けてエナメル線を製造するエナメル線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016145548A JP2018018597A (ja) | 2016-07-25 | 2016-07-25 | ダイスユニット及びエナメル線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016145548A JP2018018597A (ja) | 2016-07-25 | 2016-07-25 | ダイスユニット及びエナメル線の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2018018597A true JP2018018597A (ja) | 2018-02-01 |
Family
ID=61081973
Family Applications (1)
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JP2016145548A Pending JP2018018597A (ja) | 2016-07-25 | 2016-07-25 | ダイスユニット及びエナメル線の製造方法 |
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JP (1) | JP2018018597A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111570185A (zh) * | 2020-05-21 | 2020-08-25 | 先登高科电气有限公司 | 漆包线漆膜控制方法及其装置 |
CN112439637A (zh) * | 2020-11-19 | 2021-03-05 | 象山县恒力机械铸钢厂 | 一种五金管材用刷涂式除锈装置 |
-
2016
- 2016-07-25 JP JP2016145548A patent/JP2018018597A/ja active Pending
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