JP2019122375A - 食品用品質改良剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】起泡性が向上された小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤を提供すること。【解決手段】小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤が開示され、該小麦たん白分解物は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られる1,355〜66,338の分子量範囲内のクロマトグラム曲線において、分子量17,000を境界とした高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(A/B)が、0.25〜0.5である。このような食品用品質改良剤を用いて、例えば、撹拌を通じて製造される食品の食感、外観などの品質を改良することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、食品用品質改良剤に関する。
食品の品質改良のために、小麦たん白分解物が食品に添加され得る。例えば、特許文献1には、油調済冷凍フライ食品の風味、食感などの品質の改良のため、水溶性窒素指数が50以上でありかつトリクロル酢酸可溶率が20%以下の程度に加水分解された小麦たん白粉末を用いて調製されるバッターを、当該フライ食品の材料に添加することが記載されている。
特開昭52−031843号公報
本発明は、起泡性が向上された小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤を提供することを目的とする。
本発明は、小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤であって、該小麦たん白分解物が、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られた1,355〜66,338の分子量範囲内のクロマトグラム曲線において、分子量17,000を境界とした高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(A/B)が、0.25〜0.5である、食品用品質改良剤を提供する。
1つの実施形態では、上記食品用品質改良剤は食感改良剤である。
1つの実施形態では、上記食品用品質改良剤は風味改良剤である。
本発明はさらに、上記食品用品質改良剤を含む、食品を提供する。
1つの実施形態では、上記食品は、バッターミックスまたは食品ミックス粉である。
本発明はさらに、食品の製造方法を提供し、この方法は、上記食品用品質改良剤を該食品の原材料と混合する工程を含む。
1つの実施形態では、上記混合する工程は、撹拌下で行われる。
本発明によれば、起泡性が向上された小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤が提供される。本発明の食品用品質改良剤を用いて、例えば、撹拌を通じて製造される食品の食感、外観などの品質を改良することができる。本発明の食品用品質改良剤は、添加される食品本来の味質や香気をより濃厚なものとし、持続させることもできる。
調製例1の小麦たん白分解物粉末について、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られたクロマトグラム(a)および当該クロマトグラムにおいて、1,355〜66,338の分子量範囲内から分子量66,338までの範囲内において、分子量17,000の境界分子量マーカー垂線で分けられた高分子量領域(A)および低分子量領域(B)を表した図(b)である。 比較例1の小麦たん白分解物粉末について、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られたクロマトグラム(a)および当該クロマトグラムにおいて、1,355〜66,338の分子量範囲内から分子量66,338までの範囲内において、分子量17,000の境界分子量マーカー垂線で分けられた高分子量領域(A)および低分子量領域(B)を表した図(b)である。 比較例2の小麦たん白分解物粉末について、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られたクロマトグラムを示す。 検討例1における調製例1、比較例1および比較例2の小麦たん白分解物粉末のそれぞれを用いて作製した炭酸水を注ぎ終えた直後および3分後の起泡量を示すグラフである。 検討例1における調製例1、比較例1および比較例2の小麦たん白分解物粉末のそれぞれを用いて作製した炭酸水を注ぎ終えた直後から泡が消えるまでの泡保持時間を示すグラフである。 検討例22における比較例22、実施例41、実施例42および実施例43のわさびの香気成分をGC−MSによって定量した結果を示すグラフである。 検討例23における無添加区および試験区1〜4(調製例1の小麦たん白分解物粉末または各種分画ペプチドの添加区)における起泡量の経時変化を示すグラフである。 検討例24におけるブランク(蒸留水)、試験区S1〜S4(各種添加物添加区)および試験区1〜4(調製例1の小麦たん白分解物粉末または各種分画ペプチドの添加区)における水溶液の表面張力の測定結果を示すグラフである。 検討例25におけるブランク(蒸留水)、比較例36および実施例83の各和風だしの表面張力の測定結果を示すグラフである。 検討例26における無添加区、試験区S1(乳化剤添加区)および試験区1〜4(調製例1の小麦たん白分解物粉末または各種分画ペプチドの添加区)における菜種油と水との混合物の静置による分離率の経時変化を示すグラフである。
本発明に用いられる小麦たん白分解物は、小麦たん白を加水分解して得られるものであり、起泡性を有する。「起泡性」は、泡立ちやすさおよび泡の消えにくさを包含し、起泡性の向上とは、起泡量の増大および気泡の安定化(泡が消えにくくなる)を包含していう。この「小麦たん白分解物」は、下述する特定の分子量分布(重量平均分子量(Mw)の分布曲線)を有するように、一群の種々の分子量の分解物(例えば、ペプチド群)からなる。
本発明に用いられる小麦たん白分解物の分子量分布は、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られたクロマトグラムにおいて決定され得る。HPLCの測定条件は、例えば、カラム:Superdex75 10/300GL、溶離液:0.05M Na−Pi(pH6.4)(0.15M NaClを含有)、温度:室温、流速:0.5ml/分、検出:UV214nm、注入:100μl、試料:0.1mg/mlが用いられる。
分子量分布の決定は、得られたクロマトグラム(チャート)から、分子量マーカーたん白との対比に基づき高分子量領域と低分子量領域とを決定することにより、行われ得る。用いる分子量マーカーの最小分子量と最大分子量との間(分子量が1,355〜66,338)の範囲内のクロマトグラム曲線を観察し、分子量17,000を境界にして高分子量領域(A)と低分子量領域(B)とを決定し、各領域の面積を求める(言い換えれば、分子量(Mw)17,000〜66,338のクロマトグラム曲線の積算値(A)および分子量(Mw)1,355〜17,000のクロマトグラム曲線の積算値(B)を求める)。分子量マーカーは、分子量17,000および最小分子量と最大分子量とが測定可能なマーカーたん白が用いられ得る。例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)(分子量66,338)、ミオグロビン(分子量17,000)、ビタミンB12(分子量1,355)が使用され得る。オボアルブミン(分子量45,000)、β−ラクトグロブリン(分子量35,000)、シトクロームC(分子量12,000)、アプロチニン(分子量6,511)などの1,355〜66,338の分子量範囲内の分子量を有する分子量マーカーをさらに用いてもよい。
高分子量領域(A)および低分子量領域(B)はいずれも、所定の分子量範囲に相当するクロマトグラム上の2つの垂線と、当該分子量範囲内のクロマトグラム曲線と、ベースラインとで囲まれた領域で表される。
ベースラインは、例えば、図1(a)を用いて説明すると、移動相のみが流動する状態(例えば、ほぼリニアな状態を示す)からピークの立ち上がりが最初に観察される時点(変曲点p)と、測定時間(例えば、横軸(保持時間軸)最大値の60分間)内に表されるクロマトグラム曲線の極小値のうち最も低い値を示す点(点q)とを通る直線から表される。なお、この点qは、クロマトグラム曲線に含まれる1つまたはそれ以上の極小値の中から選択される点で、得られたクロマトグラム曲線自体の最小値とは必ずしも一致するとは限らない点について留意すべきである。立ち上がりの観察は、クロマトグラムを形成する縦軸に表されるデータ値(紫外線(UV)検出の場合、UV吸収値)がゼロ近似(例えば、ゼロまたはゼロ付近の負の値)の停滞または減少傾向から増加傾向に転じた時点を、例えば検出器(例えば、UV検出器)によって検知することによってなされ、変曲点としてクロマトグラム曲線に表され得る。例えば、点pおよび点qが検出器によって自動で検知され、この検知された点を連結したベースラインが作成され得るか、あるいは、クロマトグラム曲線に基づいて点qを設定し、検出器で検出された点pと連結したベースラインを作成し得る。
高分子量領域(A)は、例えば、図1(b)を用いて説明すると、以下のように決定される。まず、クロマトグラムにおいて、境界分子量17,000のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(境界分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースライン(破線にて示す)との各交点10および12、そして最大分子量66,338のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(最大分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースラインとの各交点20および22を設定する。次いで、交点10と交点12との間の垂線14と、交点12と交点22との間のベースライン50と、交点20と交点22との間の垂線24と、交点10と20との間のクロマトグラム曲線40とで囲まれた領域(図1(b)中の点線部の領域「A」)を「高分子量領域」として決定する。同様に、低分子量領域(B)は、例えば、図1(b)を用いて説明すると、以下のように決定される。クロマトグラムにおいて、上記境界分子量マーカー垂線上の交点10および12に加えて、最小分子量1,355のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(最小分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースラインとの各交点30および32を設定する。次いで、交点10と交点12との間の垂線14と、交点12と交点32との間のベースライン52と、交点30と32との間の垂線34と、交点10と30との間のクロマトグラム曲線42とで囲まれた領域(図1(b)中の斜線部の領域「B」)を「低分子量領域」として決定する。
面積の算定は、当業者が通常用いる解析ソフトを用いて行われ得る。このような解析ソフトとしては、例えば、ImageJ(米国国立衛生研究所(NIH)で開発されたオープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトウェア)が挙げられる。
本発明に用いられる小麦たん白分解物は、上記クロマトグラムにおける高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(「A/B」)が、0.25〜0.5である。高分子/低分子比(A/B)は、好ましくは、0.3〜0.5であり、より好ましくは、0.34〜0.5である。上記面積比(A/B)が上記範囲内にあることにより、小麦たん白分解物が向上された起泡性を有し、そのような向上した起泡性に基づき、食品の品質改良が良好なものとなり得る。
本発明に用いられる小麦たん白分解物は、小麦たん白を加水分解することによって調製され得る。このような加水分解の方法としては、例えば、酸処理、強アルカリ処理または酵素処理が挙げられる。酵素処理が好ましい。酵素としては、例えば、たん白分解酵素(プロテアーゼ)、ペプチド分解酵素(ペプチダーゼ)などが挙げられる。例えば、エンド型プロテアーゼが用いられる。予め加水分解された小麦たん白(小麦たん白分解物)をさらに加水分解して調製してもよい。小麦たん白分解物は、上記分子量分布を有するように、酵素処理の条件(例えば、使用酵素の種類および加水分解のための酵素処理時間)が設定され得る。本発明に用いられる小麦たん白分解物の調製のため、例えば、小麦たん白を、エンド型プロテアーゼで1時間〜3時間加水分解処理することが行われ得る。また、多数種の小麦たん白分解物(例えば、種々の分子量の小麦たん白分解物)を組み合わせることによって、上記分子量分布を有するような小麦たん白分解物を調製してもよい。
本発明に用いられる小麦たん白分解物の起泡力は、好ましくは、重量平均分子量(Mw)に基づく分子量30,000以上のペプチドを含むことに起因し得る。本発明に用いられる小麦たん白分解物は、水または液状食品(例えば、スープ類)に添加することで、それらの液体の表面張力を低下させる能力を示し得る。本発明に用いられる小麦たん白分解物は、乳化能を示し得る。これらの能力もまた、重量平均分子量(Mw)に基づく分子量30,000以上のペプチドを含むことに起因し得る。本発明に用いられる小麦たん白分解物は、例えば、重量平均分子量(Mw)に基づく分子量30,000以上で分画して回収される分画ペプチドであってもよい。
本発明に用いられる小麦たん白分解物は、液状または粉末状のいずれでもよいが、好ましくは粉末状である。
本発明の食品用品質改良剤は、上述した特定の分子量分布を有する小麦たん白分解物を含む。本発明の食品用品質改良剤は、上述した特定の分子量分布を有する小麦たん白分解物を含む。本明細書で用いられる用語「食品用品質改良剤」とは、食品の品質を改変または向上させるために、当該食品またはその原材料と混合または付与させることにより使用される製剤をいう。本発明の食品用品質改良剤は、ヒトが喫食した際に口腔および鼻腔を通じて触覚、味覚および/または嗅覚により知覚することができる食品の品質を改変または向上させるために使用することができる。本明細書で用いられる用語「食感改良剤」は、上記「食品用品質改良剤」の一形態であって、当該食感改良剤を含有するまたは含有しない同一の食品の対比において、サクサク感、ふんわり感、口溶け、ソフト感、滑らかさなどの主に口腔内(例えば舌上)の触覚を通じて感知することができる食品の品質を改変または向上させるための製剤を指して言う。本明細書で用いられる用語「風味改善剤」は上記「食品用品質改良剤」の他の形態であって、当該風味改良剤を含有するまたは含有しない同一の食品の対比において、呈味、臭気などの主に口腔および/または鼻腔内の味覚および/または嗅覚を通じて感知することができる食品の品質を改変または向上させるための製剤を指して言う。本発明の食品用品質改良剤は、食品の外観の改変(例えば、ボリュームの増大、油または水との分離に起因する現象(離水、油の滲み出しなど)の抑制)のために用いることもできる。
本発明の食品用品質改良剤は、固形剤または液剤の剤形で調製され得、必要に応じて、製剤化助剤および賦形剤などの食品添加製剤の製造上許容され得る成分をさらに含有してもよい。固形剤は、好ましくは粉末剤である。例えば、小麦たん白分解物を液状で調製した後、例えばスプレードライによって粉末化し得る。
本発明の食品用品質改良剤は、食品の製造に際して、その食品の原材料と混合され得る。本明細書で用いられる用語「原材料」は、食品を構成する材料全般を包含し、例えば、素材、原料などを包含していう。本発明の食品用品質改良剤は、製造された食品に対して添加してもよい。食品用品質改良剤は、食品の原材料または食品と均一に混合されることが好ましい。混合の方法については、食品またはその原料の種類、食品の製造の手順などの要因に依存するが、例えば、混和させる、混捏する、練り込む、まぶす、溶解させる、予め調製した水溶液を加える等によって行われる。このような混合は、食品またはその原材料の種類に依存するが、例えば、ミキサーを用いる撹拌またはホイッパーを用いるホイップ(撹拌して泡立て)によってなされ得るか、あるいはへらなどを用いた撹拌によってなされ得る。撹拌は、その食品またはその原材料の種類に依存するが、室温、加熱下、冷却下のいずれでもよい。撹拌、ホイップなどは、起泡性の向上に関与し得る。
本発明の食品用品質改良剤を用いて製造される食品は、例えば、その製造過程に撹拌を含む食品であり、さらに加熱を通じて製造される食品(本明細書中では、「加熱食品」ともいう)であってもよい。「加熱」とは、材料に熱が加わる任意の方法、例えば、フライ(油調)、焼成、煮るなどの調理による加熱を包含する。
本発明は、上記食品用品質改良剤を含む食品を提供する。本発明はさらに、食品の製造方法を提供し、この方法は、上記食品用品質改良剤を当該食品の原材料と混合する工程を含む。1つの実施形態では、この混合する工程は撹拌下で行われる。撹拌は、食品の製造に通常用いられる撹拌条件下で行うことができる。
本発明の食品としては、菓子類(例えば、洋菓子、和菓子、中華菓子、氷菓子など)、パン類、フライ食品類、水産練り製品などが挙げられ、これらの食品は、その製造過程に撹拌および必要に応じて加熱を含む。本発明の食品としては、スープ類、乳製品・チーズ製品、香辛料系製品(例えば、唐辛子系食品、カレー系食品)、調味料(例えば、わさび、おろししょうが、からし、生にんにく))、ソース類、菓子類(例えば、スナック菓子)なども挙げられる。本発明の食品は、製造された食品またはその生地などが冷凍または半冷凍の状態であってもよく、そのような冷凍または半冷凍食品も包含する。本発明の食品としては、例えば、フライ食品に用いられるバッターミックス、および例えば、アメリカンドックミックス粉、ホットケーキミックス粉などの食品ミックス粉もまた挙げられる。例えば、フライ食品のためのバッター、またはアメリカンドックミックス粉を用いたバッターの調製の際には、その原材料の撹拌混合がなされ得る。例えば、ホットケーキミックス粉を用いて生地を調製する際に、その材料の撹拌混合がなされ得る。
本発明の食品用品質改良剤の添加量は、添加される食品の原材料の種類、所望される品質の種類とその改変または改良の程度などによって変動するため、必ずしも限定されない。本発明の食品用品質改良剤は、その有効成分である小麦たん白分解物が、例えば、粉製品の食品または粉を原材料として製造される食品の場合、粉の重量100重量部に対して、例えば0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部で添加される(あるいは、粉の重量を100%とした場合の、粉重量に対する小麦たん白分解物の重量の割合が、例えば0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%である)。卵白を主成分とする食品(例えばメレンゲ)の場合、卵白の重量100重量部に対して、例えば0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部で添加される(あるいは、卵白の重量を100%とした場合の、卵白重量に対する小麦たん白分解物の重量の割合が、例えば0.01〜5%、好ましくは0.1〜2%である)。糖(例えば、水飴、上白糖、グラニュー糖、黒糖、きび砂糖、てんさい糖、三温糖、中ザラ糖など)を主成分とする食品(例えば、キャラメル)の場合、煮詰め後の重量100重量部に対して、例えば0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部で添加される。さらに、他の食品の場合、本発明の食品用品質改良剤は、その有効成分である小麦たん白分解物が、食品原材料の総重量(この「食品原材料」は、小麦たん白分解物無添加の場合の食品の原材料であり、この「総重量」は、小麦たん白分解物の重量を含まない)100重量部に対して、例えば0.0003〜5重量部、好ましくは0.001〜2重量部で、その食品の原材料に添加される。本発明の食品用品質改良剤は、上記範囲内で、その起泡性を食品中でよりよく向上させ得る。
本発明の食品用品質改良剤を含む食品は、このような起泡性の向上を通じて、食感、外観などが、当該食品用品質改良剤を含まない食品に比べて改良されたものとなり得る。本発明の食品用品質改良剤を含む食品は、当該食品用品質改良剤を含まない同一種類の食品に比べて、食品の種類に依存するが、例えば、食感面では、サクサク感、ふんわり感、口溶け、ソフト感、滑らかさなどの向上、外観面では、ボリュームの増大、油または水との分離に起因する現象(離水、油の滲み出しなど)の抑制が見られ得る。本発明の食品用品質改良剤を含む食品は、該食品用品質改良剤を含まない同一種類の食品に比べて、食品の味質および/または香気の改変(例えば、味の濃厚感の向上、風味の持続性の向上、より強い香気の発生および持続)が見られ得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<調製例1:小麦たん白分解物粉末の調製>
水に分散させた小麦たん白をプロペラミキサーにセットして撹拌しながら、ウォーターバスで加温した。液温が50℃に達したとき、エンド型プロテアーゼ(対小麦たん白0.1%量)を投入し、50℃にて1時間分解した。分解後、遠心分離にて上澄みを回収し、上澄み液をpH5.0にpH調整した。pH調整後、液温を70℃まで昇温し、70℃にて30分間プロペラミキサーで撹拌しながら酵素を失活させた。失活後、液温を50℃まで冷却してから活性炭を投入し、精製した。精製終了後、珪藻土濾過し、水溶性部分を回収した。回収後、80℃で30分間加熱殺菌してから、スプレードライにより粉末化した。得られた粉末を、調製例1の小麦たん白分解物粉末とした。
小麦たん白分解物粉末について、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、分子量分布(重量平均分子量(Mw)基準)を測定した。分子量(Mw)マーカーとして、ウシ血清アルブミン(BSA)(分子量66,338)、オボアルブミン(分子量45,000)、β−ラクトグロブリン(分子量35,000)、ミオグロビン(分子量17,000)、シトクロームC(分子量12,000)、アプロチニン(分子量6,511)、ビタミンB12(分子量1,355)の7種類を使用した。
HPLCの測定条件は、カラム:Superdex75 10/300GL(GEヘルスケア社製)、溶離液:0.05M Na−Pi(pH6.4)(0.15M NaClを含有)、温度:室温、流速:0.5ml/分、検出:UV214nm、注入:100μl、試料:0.1mg/mlとした。
クロマトグラムのチャートから、分子量17,000を境界にして高分子量領域(「A」:分子量(Mw)17,000〜66,338)と低分子量領域(「B」:分子量(Mw)1,355〜17,000)とを決定し、ImageJ解析ソフトを用いて各領域の面積を求め、高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(A/B)を算出した(小数点第4位以下を四捨五入して小数点第3位までで求めた)。
図1は、調製例1の小麦たん白分解物粉末について、上記HPLCにより得られたクロマトグラム(a)を示す。クロマトグラムのベースラインを、ピークの立ち上がりが最初に観察された時点(変曲点p)と、横軸(保持時間軸)最大値の60分間内に表されるクロマトグラム曲線の極小値のうち最も低い値を示す点(点q)とを通る直線として作成した。図1(b)に示すように、クロマトグラムにおいて、境界分子量17,000のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(境界分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースライン(破線にて示す)との各交点10および12、そして最大分子量66,338のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(最大分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースラインとの各交点20および22を設定し、次いで、交点10と交点12との間の垂線14と、交点12と交点22との間のベースライン50と、交点20と22との間の垂線24と、交点10と20との間のクロマトグラム曲線40とで囲まれた領域(点線部の領域「A」)を「高分子量領域」として決定した。同様に、クロマトグラムにおいて、上記境界分子量マーカー垂線上の交点10および12に加えて、最小分子量1,355のマーカー位置にて保持時間軸(横軸)に対して付した垂線(最小分子量マーカー垂線)とクロマトグラム曲線またはベースラインとの各交点30および32を設定し、次いで、交点10と交点12との間の垂線14と、交点12と交点32との間のベースライン52と、交点30と32との間の垂線34と、交点10と30との間のクロマトグラム曲線42とで囲まれた領域(斜線部の領域「B」)を「低分子量領域」として決定した。
なお、比較のために比較例1および2の小麦たん白分解物粉末を入手し、同様に分子量分布を測定し、高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(A/B)を算出した。図2および図3はそれぞれ比較例1および2の小麦たん白分解物粉末のクロマトグラムを示す(図2は(a))。図2および3においても、図1の場合と同様にしてベースラインを作成した。図2では、図1の場合と同様にして高分子量領域(図2(b)中の点線部の領域「A」)および低分子量領域(図2(b)中の斜線部の領域「B」)を決定した。図3では、分子量17,000以上では、ピークは検出限界以下のもの以外は見られず、高分子量領域を決定することができなかった。
図1に示されるように、調製例1の小麦たん白分解物粉末は、1,355〜66,338の分子量範囲の中にピークを有し、面積比(A/B)は0.341であった。図2に示されるように、比較例1の小麦たん白分解物粉末は、1,355〜66,338の分子量範囲の中にピークを有したが、面積比(A/B)は0.226であった。図3に示されるように、比較例2の小麦たん白分解物粉末は、1,355〜66,338の分子量範囲ののうち低分子量領域にのみピークを有し、上記の通り高分子量領域を決定することができなかったため、面積比(A/B)を求めることができなかった。
<検討例1:起泡の評価>
炭酸水を以下の表1に示す配合にて作製した。ビーカーに水飴と水道水を計量し、水飴を溶解した後、素材添加区は小麦たん白分解物を添加、混合した。混合後、炭酸飲料用500ml容ペットボトルに溶液を150g計量し、5℃のインキュベーターで1時間冷却した。冷却後、インキュベーターから取り出し、ドライアイスを3g入れてから20秒静置した後、蓋をしっかり閉め、5℃のインキュベーターで1晩保管した。
Figure 2019122375
作製した炭酸水を100ml容ビーカーに50g計量した。計量後、1分間静置した後、200ml容メスシリンダーの上部にセットした漏斗から15秒かけて注ぎ入れ、注ぎ終えた直後および3分後の起泡量(ml)を測定した。この結果を表2および図4に示す。同時に、注ぎ終えた直後から泡が消えるまでの泡保持時間を測定した。この結果を表3および図5に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表2に示す起泡量に基づき注ぎ終えた直後の無添加区の起泡量を容積基準にて100%として換算すると、各添加区の起泡量(容積基準)は、調製例1では159%、比較例1では147%、比較例2では103%であった。このように、調製例1は、無添加区と比較して容積が1.5倍以上の起泡量であり、比較的起泡量の高い比較例1と対比してもなお起泡量が高かった。3分後では、無添加区および比較例2においては起泡が見られなかったのに対し、調製例1および比較例1で起泡が続いていた(表2および図4)。表2に示す3分後の起泡量に基づき比較例1の起泡量を容積基準にて100%として換算すると、調製例1の起泡量(容積基準)は130%であった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末を炭酸水に添加した場合に、注ぎ終えた直後および3分後の起泡量はともに高かった。比較例2の小麦たん白分解物粉末では、注ぎ終えた直後および3分後の起泡量ともに無添加の場合とほぼ変化がなかった。比較例1の小麦たん白分解物粉末では、注ぎ終えた直後および3分後の起泡量とも無添加に比較して向上していたが、調製例1に比較すると劣るものであった。表3および図5に示されるように、泡保持時間に関して、調製例1の小麦たん白分解物粉末は、比較例1および2に比べて長い時間、泡を安定して保持した。
このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末では、起泡量が増大し、かつ気泡安定性も向上しており、向上した起泡性を示したことが観察された。
以下、調製例1の小麦たん白分解物粉末を用いて、種々の食品に対する品質改良効果を試験した。
<検討例2:メレンゲ菓子における品質改良効果確認試験>
以下の表4に示す配合の原料を、家庭用ハンドミキサーを用いて、比重が0.17g/mlになるまでホイップし、メレンゲを作製した(表4中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対卵白量)」は、卵白重量(100重量部)を100%とした場合の、卵白重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.1重量部(実施例1)または0.2重量部(実施例2))の割合(%)を示す:表4の配合では、卵白100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例1)または0.2重量部(実施例2)で添加されている)。このメレンゲを絞り袋に入れて4gずつ天板に絞り出し、オーブンを用いて100℃で90分間焼成してメレンゲ菓子を得た。得られたメレンゲ菓子を室温で一晩保管した後、外観(ボリューム)および食感(サクサク感、口溶け)について官能評価を行った。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例3の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表5に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表5から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末によるメレンゲの高い品質改良効果が認められた。
<検討例3:ホットケーキミックス粉における品質改良効果確認試験>
以下の表6に示す配合の原料を、万能ミキサーを用いて撹拌混合し、生地を作製した(表6中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対粉類)」は、小麦たん白分解物粉末無添加のホットケーキミックス粉(比較例4)の全粉原料(強力粉、薄力粉、グラニュー糖、粉末油脂、ブドウ糖、脱脂粉乳、膨脹剤および食塩)の合計重量(100重量部)を100%とした場合の、当該合計重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.5重量部(実施例3)または1重量部(実施例4))の割合(%)を示す:表6の配合では、比較例4の全粉原料の合計重量100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.5重量部(実施例3)または1重量部(実施例4)で添加されている)。この生地を50gずつホットプレートに流し入れ、160℃にて3分焼成後、生地を裏返して2分焼成し、ホットケーキを得た。得られたホットケーキを室温で一晩保管したものについて、外観(ボリューム)および食感(ふんわり感、口溶け)の官能評価を行った。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例4の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表7に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表7から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をホットケーキミックス粉に添加することでの高い品質改良効果が認められた。
<検討例4:アメリカンドックミックス粉における品質改良効果確認試験>
以下の表8に示す配合の原料を用い、ハンドミキサーで均一に撹拌混合してバッターを調製した(表8中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、小麦たん白分解物粉末無添加のアメリカンドックミックス粉(比較例5)の全原料の合計重量(300重量部)を100%とした場合の、当該合計重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末重量(0.3重量部(実施例5)または0.9重量部(実施例6))の割合(%)を示す:表8の配合では、比較例5の全原料の合計重量を100重量部とした場合に、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例5)または0.3重量部(実施例6)で添加されている)。このバッターに串刺しソーセージを浸漬し、串刺しソーセージを衣付けした後、180℃で3分間油調してから−35℃で急速凍結して冷凍アメリカンドックを作製した。この冷凍アメリカンドックを家庭用電子レンジでレンジアップしたものを試食し、食感(衣のソフト感、口溶け)について官能評価を行った。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例5の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表9に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表9から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をアメリカンドックミックス粉に添加することでの品質改良効果が認められた。
<検討例5:フライ用バッターにおける食感改良効果確認試験>
以下の表10に示す配合の原料を用い、家庭用ハンドミキサーで均一に撹拌混合してバッターを調製した(表10中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対粉類)」は、調製例1の小麦たん白分解物粉末無添加のフライ用バッター(比較例6)の全粉原料(加工デンプン、α化デンプン、乾燥卵白および増粘剤)の合計重量(100重量部)を100%とした場合の、当該総重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末重量(1重量部(実施例7)または5重量部(実施例8))の割合(%)を示す:表10の配合では、比較例6の全粉原料の合計重量100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が1重量部(実施例7)または5重量部(実施例8)で添加されている)。次いで蒸煮して潰したジャガイモに食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムを混合し、成形して冷凍庫で凍結したポテトコロッケの具(40g/個)をホイップしたバッターに浸した後、パン粉を衣付けした。175℃で5分間油調した後、−30℃で急速凍結してそれぞれ冷凍コロッケを作製した。この冷凍コロッケを家庭用電子レンジでレンジアップしたものを試食し、食感(衣のサクミ、衣の硬さ)について評価した。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例6の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表11に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表11から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をフライ用バッターに添加することでの高い品質改良効果が認められた。
<検討例6:ソフトクッキーにおける食感改良効果確認試験>
以下の表12に示す配合の原料を万能ミキサーにて撹拌混合し、生地を作製した(表12中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対小麦粉)」は、小麦粉(薄力粉)重量(100重量部)を100%とした場合の、小麦粉重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末重量(0.2重量部(実施例9)または0.5重量部(実施例10))の割合(%)を示す:表12の配合では、小麦粉(薄力粉)100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.2重量部(実施例9)または0.5重量部(実施例10)で添加されている)。この生地を20gずつに成型し、オーブンを用いて170℃にて15分焼成し、ソフトクッキーを得た。得られたソフトクッキーを室温で一晩保管したものを試食し、食感(サクサク感、口溶け)について官能評価を行った。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例7の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表13に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表13から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をソフトクッキーに添加することでの高い食感改良効果が認められた。
<検討例7:カスタードクリームにおける食感改良効果確認試験>
表14に示す配合の原料を用い、ホイッパーで撹拌混合した後、加熱して練り上げ、カスタードクリームを調製した(表14中の「小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、調製例1の小麦たん白分解物無添加のカスタードクリーム(比較例8)の原料全部の合計重量(253重量部)を100%とした場合の、当該総重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.2重量部(実施例11)または0.3重量部(実施例12))の割合(%)を示す:表14の配合では、比較例8の全原料の合計253重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.2重量部(実施例11)または0.3重量部(実施例10)で添加されている(比較例8の全原料の合計重量を100重量部とした場合に、調製例1の小麦たん白分解物粉末約0.08重量部(実施例11)または約0.1重量部(実施例10)である))。得られたカスタードクリームを5℃で一晩もしくは5日間保管し、外観(離水の有無)について目視で評価した。また、食感(滑らかさ、口溶け)について官能評価を行った。なお、官能評価は、パネラー10名によって、比較例8の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表15に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表15から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をカスタードクリームに添加することでの高い食感改良効果が認められた。
<検討例8:キャラメルにおける品質改良効果確認試験>
表16に示す配合の原料を用い、加熱しながら最終水分量が7%になるまで練り上げた後、型枠に流し込み、冷却してから切り分け、キャラメルを調製した(表16中の「小麦たん白分解物粉末添加量(煮詰め後の対全量)」は、上記のように煮詰めた後の重量を100%とした場合の、この煮詰めた後の重量に対する、添加した調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量の割合(%)を示す:本検討例では、実施例13の全原料を上記のように煮詰めた後の重量を100重量部とした場合に、実施例13における調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が0.5重量部となる)。得られたキャラメルを常温で一晩もしくは20日間保管し、食感(滑らかさ、口溶け)について官能評価を行った。また、40℃のインキュベーターで7日間保管したものについて、外観(油の滲み出し:滲み出しが少ないほど良好である)の評価を行った。なお、評価は、パネラー10名によって、比較例9の各評価項目をそれぞれ5点として、これらに対する1〜10の10段階の相対評価で行い(点数が高いほど良好であることを示す)、そしてパネラーによる評価点数の平均点(小数点以下は四捨五入した)を算出して比較した。この結果を表17に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表17から明らかなように、調製例1の小麦たん白分解物粉末をキャラメルに添加することで高い品質改良効果が認められた。
<検討例9:豚骨スープにおける品質改良効果確認試験>
表18に示す配合の原料を用い、豚骨スープを調製した。表18の配合では、豚骨スープ粉末の重量(5g)を100%とした場合、豚骨スープ粉末の重量に対する各たん白分解物粉末の添加重量(0.01g)は0.2%であり、豚骨スープ粉末100重量部に対し、各たん白分解物粉末が0.2重量部で添加されている。それぞれ調製した豚骨スープの官能評価を行った。「基本五味(甘味、苦味、酸味、塩味およびうま味)」と「濃厚感」、「風味の持続性」を指標とし、無添加区を4点として、以下の表19の評価基準をもとに評価した。評価した結果を以下の表20に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物は、比較例2の小麦たん白分解物および大豆たん白分解物と比較し、基本五味と併せて、濃厚感や風味の持続性といった味質向上効果が高いことが確認できた。
<検討例10:豚骨スープにおける品質改良効果確認試験2>
<10−1:限外ろ過による分子量分画>
調製例1の小麦たん白分解物5%(w/w)水溶液を作製し、遠心分離にて不溶物を取り除いた(10,000rpm、10分間)。調製例1の小麦たん白分解物水溶液を分画分子量30,000の遠心式フィルターユニット(Amicon Ultra-15、Merck Millipore製)のフィルターカップ部分に投入し、キャップをした後、遠心分離した(5000G、10分間)。遠心分離後、フィルター上に残った濃縮液を分子量(分子量は重量分子量基準(Mw)である)30,000以上のペプチド、フィルターを通過した濾液を分子量30,000未満のペプチドとして回収した。分子量30,000未満のペプチドをさらに分画し、分画分子量10,000の遠心式フィルターユニット(Amicon Ultra-15、Merck Millipore製)で遠心分離した(5000G、10分間)。遠心分離後、フィルター上に残った濃縮液を分子量10,000〜30,000(分子量30,000は含まず)のペプチド、フィルターを通過した濾液を分子量10,000未満のペプチドとして回収した(これらをまとめて「分画ペプチド」ともいう)。それぞれ回収した分画ペプチドを凍結乾燥し、粉末化した。
<10−2:豚骨スープにおける官能評価>
表21に示す配合の原料を用い、豚骨スープを調製した。たん白分解物も分画ペプチドも添加しない試験区を無添加区とし、調製例1の小麦たん白分解物添加区を試験区1、分子量30,000以上の分画ペプチド添加区を試験区2、分子量10,000〜30,000の分画ペプチド添加区を試験区3、分子量10,000未満の分画ペプチド添加区を試験区4とした。それぞれ調製した豚骨スープの官能評価を行った。表21の配合では、豚骨スープ粉末の重量(5g)を100%とした場合、豚骨スープ粉末の重量に対する各試験区の添加物(たん白分解物粉末または分画ペプチド粉末)の添加重量(0.01g)は0.2%であり、豚骨スープ粉末100重量部に対し、各添加物が0.2重量部で添加されている。「基本五味」と「濃厚感」、「風味の持続性」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。評価した結果を以下の表22に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末を添加することで、基本五味と併せて、濃厚感や風味の持続性が向上し、豚骨スープの味質向上効果が確認できた。また、調製例1の小麦たん白分解物を分子量分画して得たペプチド粉末については、分子量30,000以上のペプチド添加区(試験区2)が最も味質の変化が大きく、調製例1の小麦たん白分解物粉末の味質向上効果は、分子量30,000以上の寄与が大きいことが確認できた。
<検討例11:基本五味に対する向上効果確認試験>
以下の表23に示す基本五味(甘味、苦味、酸味、塩味およびうま味)の各水溶液を作製し、以下の表24に示すようにそれぞれに調製例1の小麦たん白分解物粉末を加え、スパーテルで攪拌した。無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。評価した結果を以下の表25に示す。表24および表25中の添加区の「%」は、水溶液重量(100g)を100%とした場合、水溶液重量に対する小麦たん白分解物粉末の添加重量(0.01g、0.02gまたは0.04g)の割合(%)を示す。「0.01%添加区」では、各水溶液重量100重量部に対し小麦たん白分解物粉末0.01重量部を添加し、「0.02%添加区」では、各水溶液100重量部に対し小麦たん白分解物粉末0.02重量部を添加し、「0.04%添加区」では、各水溶液100重量部に対し小麦たん白分解物粉末0.04重量部を添加した。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加により、基本五味の向上効果が確認できた。
<検討例12:スープ類での味質向上効果確認試験>
コンソメスープ、和風だしおよび減塩味噌汁を、それぞれ以下の表26、表27および表28に示す配合にて調製した。それぞれの結果を表29〜表31に示す。
Figure 2019122375
表26中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対粉末)」は、コンソメ粉末重量(2.5g)を100%とした場合の、当該粉末重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.00125g(実施例15)、0.0025g(実施例16)または0.005g(実施例17))の割合(%)を示す。表26の配合では、コンソメ粉末100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例15)、0.1重量部(実施例16)または0.2重量部(実施例17)で添加されている。
Figure 2019122375
表27中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対粉末)」は、だしの素粉末重量(1g)を100%とした場合の、当該粉末重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.0005g(実施例18)、0.001g(実施例19)または0.002g(実施例20))の割合(%)を示す。表27の配合では、粉末だしの素100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例18)、0.1重量部(実施例19)または0.2重量部(実施例20)で添加されている。
Figure 2019122375
表28中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対ペースト)」は、減塩味噌汁ペースト重量(17g)を100%とした場合の、当該ペースト重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.0017g(実施例21)、0.0034g(実施例22)または0.0068g(実施例23))の割合(%)を示す。表28の配合では、減塩味噌汁ペースト100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.01重量部(実施例21)、0.02重量部(実施例22)または0.04重量部(実施例23)で添加されている。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、コンソメスープの塩味やうま味、味の深み、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるコンソメスープの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、和風だしの塩味やうま味、味の深み、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による和風だしの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、減塩味噌汁の甘味以外の項目がすべて向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による減塩味噌汁の味質向上効果が確認できた。
<検討例13:乳・チーズ製品での味質向上効果確認試験>
乳・チーズ製品として、カルボナーラソース、クリームチーズおよび粉チーズを用いて、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による味質向上効果について試験した。
<13−1:カルボナーラソースの調製>
以下の表32に示す配合にて、容器に市販カルボナーラソースと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、スパーテルで混合した(表32中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対ソース)」は、カルボナーラソースの重量(120g)を100%とした場合の、該ソースの重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.12g(実施例24)、0.24g(実施例25)または0.48g(実施例26))の割合(%)を示す:表32の配合では、カルボナーラソース100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例24)、0.2重量部(実施例25)または0.4重量部(実施例26)で添加されている)。混合後、電子レンジで加温(500W・1分間)し、茹でたパスタに絡め、試験品とした。
Figure 2019122375
<13−2:クリームチーズの調製>
以下の表33に示す配合にて、容器に市販クリームチーズと調製例1の小麦たん白分解物とを計量し、スパーテルで混合したものを試験品とした(表33中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、クリームチーズ全重量(100g)を100%とした場合の、クリームチーズ全重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.1g(実施例27)、0.2g(実施例28)または0.4g(実施例29))の割合(%)を示す:表33の配合では、クリームチーズ100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例27)、0.2重量部(実施例28)または0.4重量部(実施例29)で添加されている)。
Figure 2019122375
<13−3:粉チーズの調製>
以下の表34に示す配合にて、ポリチャック袋に粉チーズと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、手混ぜで混合したものを試験品とした(表34中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、粉チーズ全重量(100g)を100%とした場合の、粉チーズ全重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.05g(実施例30)、0.1g(実施例31)または0.2g(実施例32))の割合(%)を示す:表34の配合では、粉チーズ100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例30)、0.1重量部(実施例31)または0.2重量部(実施例32)で添加されている)。
Figure 2019122375
<13−4:各試験品の官能評価>
上記のように調製したカルボナーラソース、クリームチーズおよび粉チーズの各試験品の官能評価を行った。「基本五味」と「濃厚感」、「風味の持続性」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表35〜表37に示す。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、カルボナーラソースの塩味やうま味、濃厚感、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるカルボナーラソースの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、クリームチーズの酸味、塩味が大きく向上し、うま味や濃厚感も向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるクリームチーズの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、粉チーズの酸味や塩味、うま味、風味の持続性が向上し、特に高い風味の持続性効果が確認できた。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による粉チーズの味質向上効果が確認できた。
<検討例14:香辛料系製品での味質向上効果確認試験>
香辛料系製品として、唐辛子系辛味スープ、レトルトカレーおよびカレーうどんスープを用いて、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による味質向上効果について試験した。
<14−1:唐辛子系辛味スープの調製>
以下の表38に示す配合にて、市販の即席唐辛子系辛味ラーメンの粉末スープに調製例1の小麦たん白分解物粉末を混合し、麺とかやくが入ったカップに投入した(表38中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対粉末)」は、唐辛子系辛味スープ(粉末)の重量(8.5g)を100%とした場合の、当該粉末重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.0043g(実施例33)、0.0085g(実施例34)または0.017g(実施例35))の割合(%)を示す:表38の配合では、唐辛子系辛味スープ(粉末)100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例33)、0.1重量部(実施例34)または0.2重量部(実施例35)で添加されている)。投入後、熱湯を加え、3分間湯戻ししたものを試験品とした。
Figure 2019122375
<14−2:レトルトカレーの調製>
以下の表39に示す配合にて、容器にカレールーと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、スパーテルで混合した(表39中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末加量(対全量)」は、カレールー全重量(80g)を100%とした場合の、カレールー全重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.08g(実施例36)または0.16g(実施例37))の割合(%)を示す:表39の配合では、カレールー100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例36)または0.2重量部(実施例37)で添加されている)。混合後、レトルト袋に入れて真空包装し、120℃で15分殺菌したものを試験品とした。
Figure 2019122375
<14−3:カレーうどんスープの調製>
以下の表40に示す配合にて、市販のカレーうどんスープ粉末に調製例1の小麦たん白分解物粉末を混合し、カップに投入した(表40中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対粉末)」は、カレーうどんスープ粉末の重量(8.5g)を100%とした場合の、当該スープ粉末の重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.0085g(実施例38)、0.017g(実施例39)または0.034g(実施例40))の割合(%)を示す:表40の配合では、カレーうどんスープ粉末100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例38)、0.2重量部(実施例39)または0.4重量部(実施例40)で添加されている)。投入後、熱湯を加え、スパーテルで撹拌したものを試験品とした。
Figure 2019122375
<14−4:各試験品の官能評価>
上記のように調製した唐辛子系辛味スープ、レトルトカレーおよびカレーうどんスープの各試験品の官能評価を行った。「基本五味」と「味の深み」、「風味の持続性」、「辛味」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表41〜表43に示す。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、唐辛子系辛味スープの辛味が大きく向上し、塩味やうま味、味の深み、風味の持続性も向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による唐辛子系辛味スープの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、レトルトカレーの辛味が大きく向上し、酸味や塩味、うま味、味の深み、風味の持続性も向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるレトルトカレーの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、カレーうどんスープの辛味や味の深みが大きく向上し、塩味やうま味、風味の持続性も向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるカレーうどんスープの味質向上効果が確認できた。
<検討例15:粉わさびでの味質向上効果確認試験>
以下の表44に示す配合にて、ポリチャック袋に粉末わさびと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、手混ぜで混合した後、水を加えてよく練り合わせたものを試験品とした(表44中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対粉末)」は、粉末わさびの重量(3g)を100%とした場合の、粉末わさびの重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.0015g(実施例41)、0.003g(実施例42)または0.006g(実施例43))の割合(%)を示す:表44の配合では、粉末わさび100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例41)、0.1重量部(実施例42)または0.2重量部(実施例43)で添加されている)。試験品の官能評価については、「辛味」、「風味の持続性」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。結果を表45に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、粉末わさびの辛味、風味の持続性ともに大きく向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による粉末わさびの味質向上効果が確認できた。
<検討例16:スナック菓子類での味質向上効果確認試験>
スナック菓子類として、以下の表46に示すように、8品のスナック菓子(馬鈴薯をフライした菓子)で、各指標について評価した。各スナック菓子の配合を表47〜表54に示す。各スナック菓子を細かく砕いた後、調製例1の小麦たん白分解物粉末と混合し、試験品とした(表47〜表54中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、各スナック菓子全体の重量(100g)を100%とした場合の、各スナック菓子全体の重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末重量(0.1g(実施例44、47、50、53、56、59、62および65)、0.2g(実施例45、48、51、54、57、60、63および66)または0.4g(実施例46、49、52、55、58、61、64および67))の割合(%)を示す)。無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表55〜表62に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表47の配合では、うすしお味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例44)、0.2重量部(実施例45)または0.4重量部(実施例46)で添加されている。
Figure 2019122375
表48の配合では、コンソメ味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例47)、0.2重量部(実施例48)または0.4重量部(実施例49)で添加されている。
Figure 2019122375
表49の配合では、だし醤油味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例50)、0.2重量部(実施例51)または0.4重量部(実施例52)で添加されている。
Figure 2019122375
表50の配合では、蜂蜜バター風味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例53)、0.2重量部(実施例54)または0.4重量部(実施例55)で添加されている。
Figure 2019122375
表51の配合では、チーズ風味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例56)、0.2重量部(実施例57)または0.4重量部(実施例58)で添加されている。
Figure 2019122375
表52の配合では、梅風味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例59)、0.2重量部(実施例60)または0.4重量部(実施例61)で添加されている。
Figure 2019122375
表53の配合では、わさび風味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例62)、0.2重量部(実施例63)または0.4重量部(実施例64)で添加されている。
Figure 2019122375
表54の配合では、唐辛子風味スナック菓子100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例65)、0.2重量部(実施例66)または0.4重量部(実施例67)で添加されている。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、うすしお味スナック菓子の塩味や味の広がりが向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるうすしお味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、コンソメ味スナック菓子のうま味や味の広がりが向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるコンソメ味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、だし醤油味スナック菓子のうま味や味の広がり、味の厚みが向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるだし醤油味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、蜂蜜バター風味スナック菓子の甘味や味の広がり、濃厚感が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による蜂蜜バター風味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、チーズ風味スナック菓子の塩味や味の広がり、濃厚感が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるチーズ風味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、梅風味スナック菓子の酸味や塩味、うま味、味の広がり、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による梅風味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、わさび風味スナック菓子の辛味や塩味、うま味、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による梅風味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、唐辛子風味スナック菓子の辛味や塩味、うま味、風味の持続性が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による唐辛子風味スナック菓子の味質向上効果が確認できた。
<検討例17:氷菓子での味質向上効果確認試験>
アイスクリームおよびアイスミルクについてそれぞれ以下の表63および表64に示す配合にて、下記手順にて試験品を調製した。
(17−1:アイスクリームの調製方法)
(1)500mlトールビーカーに牛乳を注ぎ、ウォーターバスにて40℃まで加温
(2)プロペラミキサーにて900rpmで撹拌しながら粉体を投入
(3)45℃になったら生クリームを投入
(4)68℃で30分間保持
(5)ホモミキサーにて700rpmで5分間撹拌
(6)5℃以下まで冷却
(7)アイスクリームメーカー(デロンギ社;型番IC4000S)を用いてアイスを作製
調製例1の小麦たん白分解物を、上記(2)の工程で添加した。表63中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、調製例1の小麦たん白分解物無添加のアイスクリーム(比較例31)の全原料の合計重量(100g)を100%とした場合の、当該合計重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.1g(実施例68)、0.3g(実施例69)または0.5g(実施例70))の割合(%)を示す(表63の配合では、比較例31のアイスクリームの全原料100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例68)、0.3重量部(実施例69)または0.5重量部(実施例70)で添加されている)。
Figure 2019122375
(17−2:アイスミルクの調製方法)
(1)500mlトールビーカーに牛乳を注ぎ、ウォーターバスにて40℃まで加温
(2)プロペラミキサーにて900rpmで撹拌しながら粉体を投入
(3)45℃になったら生クリームを投入
(4)68℃で30分間保持
(5)バニラ香料を添加し、ホモミキサーにて7000rpmで5分間撹拌
(6)5℃以下まで冷却
(7)アイスクリームメーカーを用いてアイスを作製
調製例1の小麦たん白分解物粉末を、上記(2)の工程で添加した。表64中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、調製例1の小麦たん白分解物無添加のアイスミルク(比較例32)の全原料の合計重量(101.05g)を100%とした場合の、当該合計重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.1g(実施例71)、0.3g(実施例72)または0.5g(実施例72))の割合(%)を示す(表64の配合では、比較例32のアイスミルクの全原料101.05重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例71)、0.3重量部(実施例72)または0.5重量部(実施例73)で添加されており、比較例32のアイスクリームの全原料100重量部当たり、調製例1の小麦たん白分解物粉末がそれぞれ約0.1重量部(実施例71)、約0.3重量部(実施例72)または約0.5重量部(実施例73)である)。
Figure 2019122375
(17−3:試験品の官能評価方法)
調製した各試験品について、「甘味」、「ミルク感」、「濃厚感」、「滑らかさ」、「後味」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表65および表66に示す。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、アイスクリームの甘み、濃厚感が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による、アイスクリームの味質向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、アイスミルクの甘味、濃厚感、後味が向上した。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるアイスミルクの味質向上効果が確認できた。
<検討例18:わさび風味スナック菓子の風味維持効果確認試験>
以下の表67に示す配合にて、わさび風味スナック菓子(馬鈴薯をフライした菓子)を細かく砕いた後、調製例1の小麦たん白分解物粉末と混合し、試験品とした(表67の配合は、検討例16のわさび風味スナック菓子と同様である)。
Figure 2019122375
作製直後の試験品および常温にて1ヶ月保管した試験品について、「基本五味」と「風味の持続性」、「辛味」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表68および表69に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加により、わさび風味スナック菓子の塩味や辛味、風味の向上効果が確認できた。また、常温にて1ヶ月保管後も同様に、わさび風味スナック菓子の味質向上効果が確認され、風味が維持されていた。
<検討例19:レトルトカレーの香気向上、風味維持効果確認試験>
以下の表70に示す配合にて、容器にカレールーと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、スパーテルで混合した(表70の配合は、検討例14のレトルトカレーと同様である)。混合後、レトルト袋に入れて真空包装し、120℃で15分殺菌したものを試験品とした。
Figure 2019122375
レトルト直後の試験品および常温にて1ヶ月保管した試験品について、封を開けた時の「香り」と、試食した際の「基本五味」、「風味の持続性」、「辛味」を指標とし、無添加区を4点として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表71〜表74に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加により、レトルトカレーの封を開けた時の香りや試食時の呈味、辛味、風味の向上効果が確認できた。また、常温にて1ヶ月保管後も同様に、香気向上と風味改善効果が確認され、効果が維持されていた。
<検討例20:香気向上効果確認試験>
粉末わさびおよびチューブ入り香辛料(ねりからし、おろししょうが、おろし生にんにく)に調製例1の小麦たん白分解物粉末を添加し、それぞれの香気向上効果を確認した。
わさびについては、ポリチャック袋に粉末わさびと調製例1の小麦たん白分解物粉末とを計量し、手混ぜで混合した後、水を加えてよく練り合わせたものを試験品とした。配合を表75に示す(表75の配合は、検討例15の粉末わさびと同様である)。
各チューブ入り香辛料(ねりからし、おろししょうが、おろし生にんにく)については、各香辛料と調製例1の小麦たん白分解物粉末とを混合し、試験品とした。各配合を表76〜78に示す(表76〜表78中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対全量)」は、各香辛料の重量(10g)を100%とした場合の、各香辛料の重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量(0.005g(実施例74、77および80)、0.01g(実施例75、78および81)または0.02g(実施例76、79および82))の割合(%)を示す)。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
表76の配合では、ねりからし100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例74)、0.1重量部(実施例75)または0.2重量部(実施例76)で添加されている。
Figure 2019122375
表77の配合では、おろししょうが100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例77)、0.1重量部(実施例78)または0.2重量部(実施例79)で添加されている。
Figure 2019122375
表78の配合では、生にんにく100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.05重量部(実施例80)、0.1重量部(実施例81)または0.2重量部(実施例82)で添加されている。
試験品の官能評価については、「香り」を指標として、上記検討例9と同様の評価基準(表19)をもとに評価した。それぞれの結果を表79〜表82に示す。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、わさびの香りが強くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による、粉末わさびの香気向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、からしの香りが強くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による、ねりからしの香気向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、しょうがの香りが強くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による、おろししょうがの香気向上効果が確認できた。
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加量が増えるにつれて、にんにくの香りが強くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による、生にんにくの香気向上効果が確認できた。
<検討例22:ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によるわさびの香気成分向上効果確認試験>
検討例21と同様に調製したわさび(実施例41〜43(調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加区:「調製例1添加区」)および比較例22(「無添加区」))について、GC−MSによって香気成分を定量した。
調製したわさびをヘッドスペースボトルに1g入れ、GC−MS(Clarus 680, Clarus SQ 8T, Turbo Matrix40 Trap:Parkin Elmer製)で分析した。本装置にて全ピークからわさび香気成分(アリルイソチオシアネート)のピークを自動で抽出してそのピークの面積を自動で算出した。このピーク面積を表83に示す。次いで、得られたピーク面積から、下記の式を用いて、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加に伴うわさび香気成分(アリルイソチオシアネート)の増加率を算出した。その増加率から、調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加による香気成分の増加効果を確認した。結果を以下の表83および図6に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
GC−MSにて分析した結果、調製例1添加区は無添加区よりもアリルイソチオシアネートのピーク面積が増大していた。調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加によるわさびの香気成分の向上が確認できた。
<検討例23:分子量別起泡力確認試験>
調製例1の小麦たん白分解物粉末を、検討例10と同様に分画し、各分画ペプチド粉末を得た(分子量30,000以上のペプチド、分子量10,000〜30,000(分子量30,000は含まず)のペプチド、および分子量10,000未満のペプチド)。
以下の5つの試験区を準備し、起泡力を確認した:
無添加区:調製例1の小麦たん白分解物も分画ペプチド粉末も添加なし
試験区1:調製例1の小麦たん白分解物粉末を添加
試験区2:分子量30,000以上の分画ペプチド粉末を添加
試験区3:分子量10,000〜30,000(分子量30,000は含まず)の分画ペプチド粉末を添加
試験区4:分子量10,000未満の分画ペプチド粉末を添加
以下の手順にて起泡力を調べた。調製例1の小麦たん白分解物粉末および各分画ペプチド粉末の0.1%(w/w)水溶液を50ml容量の遠心チューブに20ml入れ、50回振り混ぜて静置した。静置後、泡の状態を観察し、0分後、5分後、15分後、30分後の泡の高さを計測した。泡の状態の結果を以下の表84に示し、そして起泡量測定結果を以下の表85および図7に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末(試験区1)について、起泡量が高く、時間経過に伴う、気泡安定性も良いことが確認できた。また、分画ペプチドについては、分子量が大きいほど起泡量が高く、分子量30,000以上(試験区2)が最も数値が高くなった。以上の結果から、調製例1の小麦たん白分解物粉末の起泡力は、分子量30,000以上の寄与が大きいことが確認できた。
<検討例24:分子量別表面張力低下能確認試験>
以下の試験区(ブランク以外は、蒸留水を用いて0.1%(w/w)水溶液を調製した)を準備し、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製DY-300)にて表面張力を3回ずつ測定し、平均値を算出した。結果を以下の表86および図8に示す:
ブランク:蒸留水
試験区S1:乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(モノエステル体含量:70%、HLB15、構成脂肪酸:ステアリン酸70%+パルミチン酸30%))
試験区S2:比較例2の小麦たん白分解物粉末
試験区S3:大豆たん白分解物粉末(低分子量ペプチド:検討例9と同じ)
試験区S4:とうもろこしたん白分解物粉末(低分子量ペプチド:分子量10,000以下)
試験区1:調製例1の小麦たん白分解物粉末
試験区2:分子量30,000以上の分画ペプチド粉末
試験区3:分子量10,000〜30,000(分子量30,000は含まず)の分画ペプチド粉末
試験区4:分子量10,000未満の分画ペプチド粉末
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末について、乳化剤と同じように表面張力が低下することが確認できた。これに対し、他の植物性たん白分解物品では表面張力が低下しなかった。また、分画ペプチド粉末については、分子量が大きいほど表面張力の値が低くなり、分子量30,000以上が最も数値が低くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の表面張力低下能が確認され、そしてこの表面張力低下能は、分子量30,000以上の寄与が大きいことが確認できた。
<検討例25:食品における表面張力低下能確認試験>
ビーカーに下記表87の配合にて和風だしを調製した(表87中の「調製例1の小麦たん白分解物粉末添加量(対湯量)」は、熱湯重量(150g)を100%とした場合の、熱湯重量に対する調製例1の小麦たん白分解物粉末の重量の割合(%)を示す:表87の配合では、熱湯重量100重量部に対し、調製例1の小麦たん白分解物粉末が0.1重量部(実施例83)で添加されている)。調製した和風だしを常温まで自然冷却した。冷却後、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製DY-300)にて表面張力をそれぞれ3回測定し、平均値を算出した。結果を以下の表88および図9に示す。
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末の添加により、和風だしの表面張力低下が確認できた。このことから、調製例1の小麦たん白分解物粉末を食品へ添加することで表面張力が低下し、液の広がりが良くなることが確認できた。
<検討例26:乳化能確認試験>
ビーカーに蒸留水50gとオイルブルーで着色した菜種油50gを計量し、湯浴中で70℃になるまでホモミキサーで撹拌した(回転数;3000rpm)。下記試験区の試料を液全量に対して0.5重量%にて添加してから、回転数を5000rpmにし、3分間撹拌した。撹拌後、溶液をメスシリンダーに入れた後、室温で静置し、0時間後、1時間後、3時間後の分離状態を観察した。メスシリンダーの目盛から、溶液全体積と分離した無着色溶液の体積を読み取り、下記の式から分離率を算出した。結果を以下の表89および図10に示す:
無添加区:添加物なし
試験区S1:乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(モノエステル体含量:70%、HLB15、構成脂肪酸:ステアリン酸70%+パルミチン酸30%))
試験区1:調製例1の小麦たん白分解物粉末
試験区2:分子量30,000以上の分画ペプチド粉末
試験区3:分子量10,000〜30,000(分子量30,000は含まず)の分画ペプチド粉末
試験区4:分子量10,000未満の分画ペプチド粉末
Figure 2019122375
Figure 2019122375
調製例1の小麦たん白分解物粉末について、乳化剤に近い分離率を示し、乳化能があることが確認できた。また、分画ペプチド粉末については、分子量が大きいほど分離率が低くなり、分子量30,000以上が最も数値が低くなった。このように、調製例1の小麦たん白分解物粉末の乳化能が確認され、そしてこの乳化能は、分子量30,000以上の寄与が大きいことが確認できた。
本発明は、例えば、食品添加剤および食品の製造分野、ならびに食品加工分野において有用である。
10,12,20,22,30,32 交点
14,24,34 垂線
40,42 クロマトグラム曲線
50,52 ベースライン

Claims (7)

  1. 小麦たん白分解物を含む食品用品質改良剤であって、該小麦たん白分解物が、ゲル濾過担体を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による重量平均分子量(Mw)基準の分子量分布測定により得られる1,355〜66,338の分子量範囲内のクロマトグラム曲線において、分子量17,000を境界とした高分子量領域(A)の低分子量領域(B)に対する面積比(A/B)が、0.25〜0.5である、食品用品質改良剤。
  2. 前記食品用品質改良剤が食感改良剤である、請求項1に記載の食品用品質改良剤。
  3. 前記食品用品質改良剤が風味改良剤である、請求項1に記載の食品用品質改良剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の食品用品質改良剤を含む、食品。
  5. 前記食品が、バッターミックスまたは食品ミックス粉である、請求項4に記載の食品。
  6. 食品の製造方法であって、請求項1から3のいずれかに記載の食品用品質改良剤を該食品の原材料と混合する工程を含む、方法。
  7. 前記混合する工程が撹拌下で行われる、請求項6に記載の方法。
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