JP2019112815A - 補強具及びこれを用いた鉄筋コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工を短時間で行うことが可能となり、コンクリートに作用する応力を負担させる鋼材との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物の補強を行うことが可能となる補強具を提供する。【解決手段】補強具1は、鉄筋コンクリート構造物6のコンクリート面7に当接させるための棒状の第1部材2と、第1部材2に長さ調整自在に接続されて、鉄筋コンクリート構造物6に両端が固定された鋼材8にコンクリート面7側から当接させるための第2部材とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、補強具及びこれを用いた鉄筋コンクリート構造物の補強方法に関する。
従来、橋梁等の鉄筋コンクリート構造物において、劣化や衝撃等によるコンクリートの断面の欠損及び剥落した場合の修復や、中性化、凍害、塩害等の劣化因子を含んだ部分を除去した場合の修復を目的とした補修工法である断面修復工法が知られている。従来の断面修復工法によれば、打設した断面修復材が硬化することで、硬化した断面修復材がコンクリートと鉄筋との一体性を確保して、鉄筋コンクリート構造物の耐力の低減を抑制することができるとされている。
しかしながら、供用中の鉄筋コンクリート構造物は、その構造物自体の自重や車両の通行等に伴って、コンクリートに撓み変形や振動等が作用する。このような供用中の鉄筋コンクリート構造物において従来の断面修復工法を実施した場合、打設した断面修復材が硬化するまでの期間は、コンクリートに作用する応力を鉄筋に十分伝達することができず、コンクリートと鉄筋との一体性が消失している。即ち、コンクリートに撓み変形等が作用したとしても、そのコンクリートの挙動に合わせて鉄筋が一体となって動くことができない。このため、断面修復材が硬化するまでの間にコンクリートに撓み変形等が作用した場合、断面修復材とコンクリートとの間や断面修復材と鉄筋との間に隙間が生じる虞があり、ひいては、断面修復材とコンクリートとの間や断面修復材と鉄筋との間に隙間が生じた状態で断面修復材が硬化する虞がある。その結果、コンクリートと鉄筋との一体性を確保されないまま断面修復材が硬化することとなり、たとえ断面修復材が硬化していたとしても、コンクリートに作用した応力を断面修復材を介して鉄筋に十分に負担させることができず、コンクリートにひび割れ等が発生し、鉄筋コンクリート構造物の補強が十分でないという問題点があった。
また、削孔等により既設橋桁に悪影響を与えることなく、死荷重による応力を軽減し、活荷重による応力に対する十分な耐力が得られることを目的として、特許文献1に開示される既設橋桁の補強方法が提案されている。特許文献1に開示された既設橋桁の補強方法は、両端が橋脚等の橋桁支持構造体に支持された既設橋桁の下面にシート状の引張補強材を貼着することにより補強する既設橋桁の補強方法において、橋桁中央部分をジャッキにより上向きに持ち上げて橋桁内の既設鉄筋の引っ張り応力を緩和させ、この状態を維持させて引張補強材を既設橋桁下面に貼り付け、しかる後ジャッキによる持ち上げを解除する。
しかしながら、特許文献1に開示される既設橋脚の補強方法は、ジャッキにより上向きに持ち上げる必要があり、施工が大掛かりになるため、施工を短時間で行うことができないという問題点があった。
特開2006−194025号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工を短時間で行うことが可能となり、コンクリートに作用する応力を負担させる鋼材との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物の補強を行うことが可能となる補強具及び鉄筋コンクリート構造物の補強方法を提供することにある。
第1発明に係る補強具は、鉄筋コンクリート構造物を補強するための補強具であって、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート面に当接させるための棒状の第1部材と、前記第1部材に長さ調整自在に接続されて、前記鉄筋コンクリート構造物に両端が固定された鋼材に前記コンクリート面側から当接させるための第2部材とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る補強具は、第1発明において、前記第2部材は、前記コンクリート面側に向けて窪ませた窪み部が形成され、前記窪み部を挟んで両側の複数の前記第1部材に架設されることを特徴とする。
第3発明に係る補強具は、第1発明又は第2発明において、基端部が他の部分よりも拡径され、前記基端部に前記第2部材が掛け止められるされることを特徴とする。
第4発明に係る補強具は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記第1部材は、基端部が他の部分よりも拡径され、前記基端部に前記第2部材が掛け止められることを特徴とする
第5発明に係る補強具は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記第1部材と前記第2部材とは、前記鋼材よりも卑な金属で構成されることを特徴とする。
第6発明に係る補強具は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記第1部材と前記第2部材とは、前記鋼材よりも貴な金属で構成されることを特徴とする。
第7発明に係る補強具は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記第1部材と前記第2部材とは、樹脂で構成されることを特徴とする。
第8発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、鉄筋コンクリート構造物を補強するための鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリートを斫って前記コンクリート構造物に両端が固定された鋼材を露出させる斫り工程と、棒状の第1部材と、前記第1部材に長さ調整自在に接続される第2部材とを備えた補強具を、前記斫り工程により露出させた前記鋼材に取り付ける取付工程とを備え、前記取付工程では、前記鋼材に前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート面側から前記第2部材を当接させ、前記第2部材に前記第1部材を接続し、前記第1部材を前記コンクリート面に当接させることを特徴とする。
第9発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、第8発明において、前記斫り工程では、前記コンクリートの下面側を斫ることを特徴とする。
第10発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、第8発明又は第9発明において、前記取付工程の後に、前記コンクリートを斫った部分に経時硬化性材料を充填する後工程を更に備えることを特徴とする。
第11発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、第8発明又は第9発明において、前記取付工程の後に、前記第1部材と前記第2部材とが露出された状態で残置する後工程を更に備えることを特徴とする。
第12発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、第11発明において、前記取付工程では、前記第1部材と前記第2部材とが金属で構成される前記補強具を前記鉄筋コンクリート構造物に取り付け、前記後工程では、前記第1部材と前記第2部材とに防錆剤を塗布することを特徴とする。
第13発明に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法は、第11発明において、前記取付工程では、前記第1部材と前記第2部材とが樹脂で構成される前記補強具を前記鉄筋コンクリート構造物に取り付けることを特徴とする。
第1発明〜第7発明によれば、鉄筋コンクリート構造物のコンクリート面に当接させるための棒状の第1部材と、第1部材に長さ調整自在に接続されて、鉄筋コンクリート構造物に両端が固定された鋼材にコンクリート面側から当接させるための第2部材とを備える。これにより、第1発明〜第7発明によれば、コンクリートに応力が作用したとき、その応力をコンクリート面から第1部材及び第2部材を介して鋼材に伝達させることができる。即ち、第1発明〜第7発明によれば、コンクリートが変形等した場合であってもコンクリートの挙動に追従するように鋼材を変形させることができ、コンクリートと鋼材との一体性が確保されることとなる。その結果、コンクリートにひび割れ等が発生するのを抑制することができ、コンクリートに作用する応力を負担させる鋼材との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物を補強することが可能となる。
特に、第1発明〜第7発明によれば、従来の断面修復工法のように断面修復材が硬化するまでの期間を経ることなく、鉄筋コンクリート構造物に取り付けた直後から、鉄筋コンクリート構造物を補強する効果を発揮させることが可能となる。その結果、供用中の鉄筋コンクリート構造物であっても効果的に補強することが可能となる。
また、第1発明〜第7発明によれば、第1部材の先端部をコンクリート面に当接させ、鋼材にコンクリート面側から第2部材を当接させるだけで鉄筋コンクリート構造物に取り付けることができ、施工を短時間で行うことが可能となる。
第2発明〜第7発明によれば、第2部材は、コンクリート面側に向けて窪み部が形成され、窪み部を挟んで両側の複数の第1部材に架設される。これにより、第2発明〜第7発明によれば、窪み部に鋼材を嵌め込むことができ、コンクリートから鋼材に応力が伝達されたとしても、鋼材に当接させた第2部材が脱落するのを抑制することが可能となる。その結果、第2部材を鋼材に当接させた状態を安定させることが可能となる。
また、第2発明〜第7発明によれば、窪み部を挟んで両側の複数の第1部材の先端部がそれぞれコンクリート面に当接されるため、コンクリートから鋼材に応力が伝達されたとしても、窪み部を挟んで両側の第1部材に対してそれぞれほぼ等しい応力が作用するため、第1部材をコンクリート面に当接させた状態を安定させることが可能となる。
第3発明〜第7発明によれば、第1部材は、先端部が他の部分よりも拡径される。これにより、第3発明〜第7発明によれば、コンクリート面に当接される先端部の面積を増大させることができ、より安定した状態で第1部材の先端部をコンクリート面に当接させることができる。また、第3発明〜第7発明によれば、先端部が他の部分よりも拡径されることにより、コンクリートに作用する応力をコンクリート面から第1部材に効率よく伝達することが可能となる。
第4発明〜第7発明によれば、第1部材は、コンクリート面から鋼材に向けて延びる延伸部を有し、基端部が他の部分よりも拡径され、基端部に第2部材が掛け止められる。これにより、第4発明〜第7発明によれば、第2部材が第1部材の基端部に係止されることとなり、第2部材が脱落するのを抑制することが可能となる。
第5発明によれば、第1部材と第2部材とは、鋼材よりも卑な金属で構成されることにより、鋼材に当接される第2部材と、第2部材に当接される第1部材と、を鋼材の犠牲陽極として機能させることができる。このため、第5発明によれば、鋼材の腐食の進行を低減させることが可能となる。
第6発明によれば、第1部材と第2部材とは、鋼材よりも貴な金属で構成されることにより、第1部材と第2部材との腐食を抑制することが可能となる。このため、第6発明によれば、長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物の補強をより安価に行うことが可能となる。
第7発明によれば、第1部材と第2部材とは、樹脂で構成されることにより、第1部材と第2部材とが腐食しないものとなる。このため、第7発明によれば、長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物の補強をより安価に行うことが可能となる。
第8発明〜第13発明によれば、コンクリートに応力が作用したとき、その応力をコンクリート面から第1部材及び第2部材を介して鋼材に伝達させることができる。即ち、第8発明〜第13発明によれば、コンクリートと鋼材との一体性が確保されることとなる。その結果、コンクリートにひび割れ等が発生するのを抑制することができ、コンクリートに作用する応力を負担させる鋼材との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物を補強することが可能となる。
第8発明〜第13発明によれば、従来の断面修復工法のように断面修復材が硬化するまでの期間を経ることなく、鉄筋コンクリート構造物に補強具を取り付けた直後から、コンクリートに作用する応力を鉄筋にも負担させることができるため、施工を短時間で行うことが可能となる。
第9発明〜第13発明によれば、コンクリートの下面側を斫る斫り工程を備える。これにより、第9発明〜第13発明によれば、取付工程において鋼材の上側に第2部材を載置した状態で、第2部材に第1部材を接続することができる。このため、第9発明〜第13発明によれば、施工をより短時間で行うことが可能となる。
第10発明によれば、取付工程の後に、斫り工程において形成した斫り部にモルタル等の経時硬化性材料を充填する後工程を備える。これにより、経時硬化性材料を硬化させることで、コンクリートに作用する応力を第1部材、第2部材及び硬化させた経時硬化性材料を介して鋼材に負担させることができる。特に、第10発明によれば、コンクリートに変形等が作用したとしても、コンクリートの挙動に追従するように鋼材を変形させることができ、コンクリートと経時硬化性材料との間及び鋼材と経時硬化性材料との間に隙間が生じるのを防止することが可能となる。このため、第10発明によれば、コンクリートと経時硬化性材料との間の付着及び鋼材と経時硬化性材料との間の付着を強固に確保することができる。その結果、第10発明によれば、コンクリートに作用する応力を負担させる鋼材との一体性を一層確保することができ、鉄筋コンクリート構造物をより効果的に補強することが可能となる。
また、第10発明によれば、第1部材と、第2部材と、鋼材とが経時硬化性材料で被覆されるため、これらの腐食等の劣化を抑制することが可能となる。
第11発明〜第13発明によれば、第1部材2と第2部材とが露出された状態で残置する後工程を備える。これにより、第11発明〜第13発明によれば、従来のように断面修復材を打設するための型枠を組み立てる型枠作業や断面修復材を打設する打設作業を省略することができ、施工を短時間で行うことが可能となる。
また、第11発明〜第13発明によれば、仮に残置した第1部材又は第2部材が腐食等の劣化をしていれば、すぐにそれを目視で確認することが可能となる。第11発明〜第13発明によれば、補強具をコンクリート面と鋼材とに容易に取り付けることができるため、劣化した第1部材又は第2部材を新たなものに交換する作業も容易に行うことが可能となる。
第12発明によれば、金属で構成される第1部材と第2部材とに防錆剤を塗布する後工程を備える。これにより、第12発明によれば、第1部材と第2部材が露出された状態で残置したとしても、これらの腐食を抑制することが可能となる。このため、第12発明によれば、補強具を長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物の補強をより安価に行うことが可能となる。
第13発明によれば、第1部材と第2部材とが樹脂で構成される補強具をコンクリート面と鋼材とに取り付ける取付工程と、第1部材と第2部材とが露出された状態で残置する後工程を備える。これにより、第13発明によれば、樹脂で構成される第1部材と第2部材とが露出された状態で残置したとしても、第1部材と第2部材とが腐食しないものとなる。このため、補強具を長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物の補強をより安価に行うことが可能となる。
本発明を適用した補強具が用いられる鉄筋コンクリート構造物を示す側面図である。 (a)は、本発明を適用した補強具を示す正面図であり、(b)は、その変形例を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した補強具を斫り面と鉄筋とに取り付けた状態を示す正面図であり、(b)は、(a)の側面図である。 本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法の斫り工程を示す図である。 本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法の取付工程を示す図であり、(a)は、鉄筋に斫り面側から第2部材の窪み部を当接させる図であり、(b)は、第1部材の先端部を斫り面に当接させる図である。 本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法の後工程において、斫り部に経時硬化性材料を充填する図である。 本発明を適用した補強具が用いられる鉄筋コンクリート構造物の第1変形例を示す側面図である。 (a)は、本発明を適用した補強具をコンクリートの下面と緊張材とに取り付けた状態を示す正面図であり、(b)は、(a)の側面図である。 本発明を適用した補強具が用いられる鉄筋コンクリート構造物の第2変形例を示す側面図である。
以下、本発明を適用した補強具を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した補強具1が用いられる鉄筋コンクリート構造物6を示す側面図である。
鉄筋コンクリート構造物6は、補強対象となる鉄筋コンクリート構造物であり、例えば橋梁等に用いられる橋桁や床版である。鉄筋コンクリート構造物6は、コンクリート60の内部に鋼材8としての鉄筋80が配置される。鉄筋80は、例えば、日本工業規格(JIS G 3112)で規定される鉄筋コンクリート用棒鋼等が用いられる。図1に示す形態において、鉄筋80は、長手方向が水平方向に延びるコンクリート60の主鉄筋であるが、これに限らず、あばら筋であってもよい。
鉄筋コンクリート構造物6は、コンクリート60の下面71側が斫られて形成された斫り部61を有する。鉄筋コンクリート構造物6は、斫り部61において鉄筋80が露出されており、鉄筋80の両端部80aがそれぞれコンクリート60に埋設固定される。また、鉄筋コンクリート構造物6は、斫り部61において鉄筋80よりも深い位置に鉄筋80に対向するコンクリート面7としての斫り面72が形成される。このため、斫り面72から所定の間隔を空けて鉄筋80が配置されることとなる。なお、斫り面72は、斫ることによって形成されることから、不陸となっている。
鉄筋コンクリート構造物6は、斫り面72と鉄筋80とに本発明を適用した補強具1が鉄筋80の長手方向で所定の間隔を空けて複数取り付けられる。本発明を適用した補強具1は、鉄筋コンクリート構造物6を補強するために用いられるものであり、コンクリート面7に当接させるための棒状の第1部材2と、第1部材2に接続されて、鋼材8にコンクリート面7側から当接させるための第2部材3とを備える。コンクリート面7は、第1部材2の先端部2aが当接されるコンクリートの面であり、鋼材8は、第2部材3が当接される鋼材である。
図2(a)は、本発明を適用した補強具1を示す正面図であり、図2(b)は、その変形例を示す正面図である。
第1部材2は、コンクリート面7から鋼材8に向けて延びる棒状の延伸部2cを有し、第1部材2の先端部2aと基端部2bとが第1部材の延伸部2cよりも拡径される。
第1部材2は、例えば、ボルト21とワッシャ22が用いられる。このとき、ボルト21の頭部211が第1部材2の基端部2bとなり、ボルト21の軸部212が第1部材2の延伸部2cとなる。また、ボルト21の先端部21aにワッシャ22が取り付けられることで、第1部材2の先端部2aが第1部材の延伸部2cよりも拡径される。ワッシャ22の孔の内面がねじ切りされて、ねじ切りされたワッシャ22の孔の内面にボルト21の軸部212を螺着させることで、ボルト21の先端部21aに取り付けられてもよい。なお、第1部材2の先端部2aが延伸部2cよりも拡径されていれば、ワッシャ22に限らず、ナット、板材等の如何なるものが用いられてもよい。
第1部材2は、腐食電位が鋼材8の腐食電位よりも貴な金属で構成され、例えば、チタン合金、白金合金等で構成される。なお、第1部材2は、腐食電位が鋼材8の腐食電位よりも卑な金属で構成され、例えば、亜鉛合金、アルミニウム合金等で構成されてもよい。また、第1部材2は、鋼材8と同種の金属が用いられてもよい。第1部材2は、金属で構成される場合には、防錆剤が塗布されてもよい。また、第1部材2は、樹脂で構成されてもよい。
第2部材3は、例えば、板材が用いられる。第2部材3は、2つの第1部材2に架設され、第1部材2に応力伝達可能に接続される。第2部材3は、2つの貫通孔31が形成され、貫通孔31には第1部材2が挿通される。第2部材3は、貫通孔31の内面がねじ切りされて形成され、ねじ切りされた貫通孔31にボルト21の軸部212を螺着させることで、第1部材に長さ調整自在に接続される。第2部材3は、第1部材2の基端部2bに掛け止められる。なお、第2部材3は、第1部材2に着脱自在に取り付けられるが、これに限らず、第1部材2に一体化させて接続されてもよい。
第2部材3は、第1部材2の先端部2a側に向けて窪ませた窪み部32を有する。第2部材3は、窪み部32を挟んで両側にそれぞれ貫通孔31が形成される。窪み部32は、円弧状等の緩やかな曲線状に形成される。なお、窪み部32は、図3(b)に示すように、所定の角度で折れ曲がって形成されてもよい。
第2部材3は、腐食電位が鋼材8の腐食電位よりも貴な金属で構成され、例えば、チタン合金、白金合金等で構成される。なお、第2部材3は、腐食電位が鋼材8の腐食電位よりも卑な金属で構成され、例えば、亜鉛合金、アルミニウム合金等で構成されてもよい。また、第2部材3は、鋼材8と同種の金属が用いられてもよい。第2部材3は、金属で構成される場合には、防錆剤が塗布されてもよい。また、第2部材3は、樹脂で構成されてもよい。
図3(a)は、本発明を適用した補強具1を斫り面72と鉄筋80とに取り付けた状態を示す正面図であり、図3(b)は、図3(a)の側面図である。本発明を適用した補強具1は、図3に示すように、第1部材2の先端部2aがコンクリート面7としての斫り面72に当接され、鋼材8としての鉄筋80に斫り面72側から第2部材3が当接される。また、本発明を適用した補強具1は、鋼材8を挟んで両側に第1部材2が配置され、第2部材3の窪み部32には鉄筋80が嵌め込まれている。窪み部32は、コンクリート面7側に向けて窪ませた態様とはなっている。
鉄筋コンクリート構造物6が供用中である場合、その自重や車両の走行等による振動、撓み変形等により、コンクリート60に応力が作用する。
従来の断面修復工法では、断面修復材が硬化するまでの期間は、コンクリートを斫った部分においてコンクリートと鉄筋との一体性が消失しており、車両の走行等による応力がコンクリートに作用した場合にはその応力を断面修復材を介して鉄筋に十分負担させることができなかった。このため、従来の断面修復工法では、断面修復材が硬化するまでの期間、特に断面修復材を打設した直後は、鉄筋コンクリート構造物の補強が十分ではなく、コンクリートにひび割れ等が発生してしまう虞があった。また、従来の断面修復工法では、断面修復材が硬化するまでの期間が長く、施工を短時間で行うことができなかった。
これに対して、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート面7に当接させるための棒状の第1部材2と、第1部材2に長さ調整自在に接続されて、鉄筋コンクリート構造物6に両端が固定された鋼材8に対してコンクリート面7側から当接させるための第2部材3とを備える。これにより、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート60に応力が作用したとき、その応力をコンクリート面7から第1部材2及び第2部材3を介して鋼材8に伝達させることができる。即ち、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート60が変形等した場合であってもコンクリート60の挙動に追従するように鋼材8を変形させることができ、コンクリート60と鋼材8との一体性が確保されることとなる。その結果、コンクリート60にひび割れ等が発生するのを抑制することができ、コンクリート60に作用する応力を負担させる鉄筋80との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物6を補強することが可能となる。
特に、本発明を適用した補強具1によれば、従来の断面修復工法のように断面修復材が硬化するまでの期間を経ることなく、鉄筋コンクリート構造物6に取り付けた直後から、鉄筋コンクリート構造物6を補強する効果を発揮させることが可能となる。その結果、供用中の鉄筋コンクリート構造物6であっても効果的に補強することが可能となる。
また、本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2の先端部2aをコンクリート面7としての斫り面72に当接させ、鋼材8としての鉄筋80に斫り面72側から第2部材3を当接させるだけで鉄筋コンクリート構造物6に取り付けることができ、施工を短時間で行うことが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第2部材3が第1部材2に長さ調整自在に接続される。これにより、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート面7に第1部材2を確実に当接させることが可能となる。特に、本発明を適用した補強具1によれば、不陸が形成される斫り面72であっても、第1部材2を確実に当接させることが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第2部材3は、コンクリート面7側に向けて窪ませた窪み部32が形成され、窪み部32を挟んで両側の複数の第1部材2に架設される。これにより、本発明を適用した補強具1によれば、窪み部32に鋼材8を嵌め込むことができ、コンクリート60から鋼材8に応力が伝達されたとしても、鋼材8に当接させた第2部材3が脱落するのを抑制することが可能となる。その結果、第2部材3を鋼材8に当接させた状態を安定させることが可能となる。
また、本発明を適用した補強具1によれば、窪み部32を挟んで両側の複数の第1部材2の先端部2aがそれぞれコンクリート面7に当接されるため、コンクリート60から鋼材8に応力が伝達されたとしても、窪み部32を挟んで両側の第1部材2に対してそれぞれほぼ等しい応力が作用するため、第1部材2をコンクリート面7に当接させた状態を安定させることが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2は、先端部2aが延伸部2cよりも拡径される。これにより、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート面7に当接される先端部2aの面積を増大させることができ、より安定した状態で第1部材2の先端部2aをコンクリート面7に当接させることができる。また、本発明を適用した補強具1によれば、先端部2aが延伸部2cよりも拡径されることにより、コンクリート60に作用する応力をコンクリート面7から第1部材2に効率よく伝達することが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2は、コンクリート面7から鋼材8に向けて延びる延伸部2cを有し、基端部2bが延伸部2cよりも拡径され、基端部2bに第2部材3が掛け止められる。これにより、本発明を適用した補強具1によれば、第2部材3が第1部材の基端部2bに係止されることとなり、第2部材3が脱落するのを抑制することが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2と第2部材3とは、鋼材8よりも卑な金属で構成されることにより、鋼材8に当接される第2部材3と、第2部材3に当接される第1部材2と、を鋼材8の犠牲陽極として機能させることができる。このため、本発明を適用した補強具1によれば、鋼材8の腐食の進行を低減させることが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2と第2部材3とは、鋼材8よりも貴な金属で構成されることにより、第1部材2と第2部材3との腐食を抑制することが可能となる。このため、本発明を適用した補強具1によれば、長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物6の補強をより安価に行うことが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2と第2部材3とに防錆剤が塗布されることで、これらの腐食を抑制することが可能となる。
本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2と第2部材3とは、樹脂で構成されることにより、第1部材2と第2部材3とが腐食しないものとなる。このため、本発明を適用した補強具1によれば、長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物6の補強をより安価に行うことが可能となる。
次に、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法について説明する。本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法では、本発明を適用した補強具1が用いられる。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法では、斫り工程と、取付工程と、後工程を備える。
斫り工程では、図4に示すように、先ず、補強対象となる鉄筋コンクリート構造物6におけるコンクリート60の下面71側を斫って斫り部61を形成し、コンクリート60の内部に配置される鋼材8としての鉄筋80を露出させる。また、斫り工程では、鉄筋80よりも深い位置に鉄筋80に対向するコンクリート面7としての斫り面72を形成する。なお、斫り工程では、コンクリート60の下面71に予め打設された断面修復材を斫ることによって、斫り部61を形成してもよい。
次に、取付工程では、図5に示すように、鉄筋コンクリート構造物6に補強具1を取り付ける。取付工程では、第1部材2の先端部2aをコンクリート面7に当接させるとともに、鋼材8にコンクリート面7側から第2部材3を当接させる。
詳細には、取付工程では、図5(a)に示すように、先ず斫り工程により露出させた鉄筋80に斫り面72側から第2部材3の窪み部32を当接させる。斫り工程においてコンクリート60の下面71側を斫った場合には、鉄筋80の上側に第2部材3の窪み部32を載置し、窪み部32に鉄筋80を嵌め込むこととなる。
そして、取付工程では、図5(b)に示すように、第2部材3の貫通孔31に下方側から上方側に向けて第1部材2を挿通するとともに螺着させ、第2部材3に第1部材2を接続する。そして、取付工程では、第2部材3の貫通孔31に挿通した第1部材2の先端部2aにワッシャ22を取り付け、ワッシャ22を取り付けた第1部材2の先端部2aを斫り面72に当接させる。なお、取付工程では、第1部材2が接続された第2部材3を鉄筋80に当接させた上で、第1部材2の先端部2aを下面71に当接させてもよい。また、取付工程では、第1部材2の基端部2bを第2部材3に当接させる。
取付工程の後に、後工程を行う。後工程では、取付工程で取り付けた第1部材2と第2部材3とが金属で構成される場合には、第1部材2と第2部材3と鉄筋80とに防錆剤を塗布して、第1部材2と第2部材3と鉄筋80が露出された状態で残置する。そして、鉄筋コンクリート構造物6の補強が完了する。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2の先端部2aを斫り面72に当接させるとともに、第2部材3を鉄筋80に斫り面72側から当接させることにより、コンクリート60に応力が作用したとき、その応力を斫り面72から第1部材2及び第2部材3を介して鉄筋80に伝達させることができる。その結果、コンクリート60にひび割れ等が発生するのを抑制することができ、コンクリート60に作用する応力を負担させる鉄筋80との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物6を補強することが可能となる。
特に、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、従来の断面修復工法のように断面修復材が硬化するまでの期間を経ることなく、鉄筋コンクリート構造物6に補強具1を取り付けた直後から、コンクリート60に作用する応力を鉄筋80にも負担させることができるため、施工を短時間で行うことが可能となる。さらに、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、鉄筋80に載置した第2部材3の貫通孔31に、第1部材2を挿通して第1部材2の先端部2aを斫り面72に当接させるだけで補強具1を容易に取り付けることができるため、施工をより短時間で行うことが可能となる。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、コンクリート60の下面71側を斫る斫り工程を備える。これにより、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、取付工程において鉄筋80の上側に第2部材3を載置した状態で、第2部材3に第1部材2を接続することができる。このため、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、施工をより短時間で行うことが可能となる。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2と第2部材3とが露出された状態で残置する後工程を備える。これにより、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、従来のように断面修復材を打設するための型枠を組み立てる型枠作業や断面修復材を打設する打設作業を省略することができ、施工を短時間で行うことが可能となる。
また、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2と第2部材3とが露出された状態で残置する後工程を備えることにより、仮に残置した第1部材2又は第2部材3が腐食等の劣化をしていれば、すぐにそれを目視で確認することが可能となる。また、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、本発明を適用した補強具1をコンクリート面7と鋼材8とに容易に取り付けることができるため、劣化した第1部材2又は第2部材3を新たなものに交換する作業も容易に行うことが可能となる。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、金属で構成される第1部材2と第2部材3とに防錆剤を塗布する後工程を備える。これにより、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2と第2部材3が露出された状態で残置したとしても、これらの腐食を抑制することが可能となる。このため、補強具1を長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物6の補強をより安価に行うことが可能となる。また、後工程において、鋼材8に防錆剤を塗布することで、鋼材8の腐食も抑制することが可能となる。
本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2と第2部材3とは、鋼材8よりも卑な金属で構成されることにより、鋼材8に当接される第2部材3と、第2部材3に当接される第1部材2と、を鋼材8の犠牲陽極として機能させることができる。このため、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、鋼材8の腐食の進行を低減させることが可能となる。
なお、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法では、第1部材2と第2部材3とが樹脂で構成される補強具1をコンクリート面7と鋼材8とに取り付ける取付工程と、第1部材2と第2部材3とが露出された状態で残置する後工程を備えていてもよい。これにより、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、樹脂で構成される第1部材2と第2部材3とが露出された状態で残置したとしても、第1部材2と第2部材3とが腐食しないものとなる。このため、補強具1を長期間に亘って使用することができ、鉄筋コンクリート構造物6の補強をより安価に行うことが可能となる。
なお、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法では、図6に示すように、取付工程の後に、斫り工程において形成した斫り部61にモルタル等の経時硬化性材料9を充填する後工程を備えていてもよい。これにより、経時硬化性材料9を硬化させることで、コンクリート60に作用する応力を第1部材2、第2部材3及び硬化させた経時硬化性材料9を介して鋼材8に負担させることができる。
特に、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、コンクリートに変形等が作用したとしても、コンクリートの挙動に追従するように鋼材8を変形させることができ、コンクリート60と経時硬化性材料9との間及び鋼材8と経時硬化性材料9との間に隙間が生じるのを防止することが可能となる。このため、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、コンクリート60と経時硬化性材料9との間の付着及び鋼材8と経時硬化性材料9との間の付着を強固に確保することができる。その結果、鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、コンクリート60に作用する応力を負担させる鋼材8との一体性を一層確保することができ、鉄筋コンクリート構造物6をより効果的に補強することが可能となる。
また、本発明を適用した鉄筋コンクリート構造物の補強方法によれば、第1部材2と、第2部材3と、鋼材8とが経時硬化性材料9で被覆されるため、これらの腐食等の劣化を抑制することが可能となる。なお、後工程において、経時硬化性材料9を充填する前に、必要に応じて、第1部材2と第2部材3と鋼材8とに防錆剤を塗布してもよい。
上述した実施形態において、本発明を適用した補強具1をコンクリート60の斫り面72とコンクリート60の内部に配置される鉄筋80とに取り付ける形態について説明したが、他の形態であってもよい。
図7は、本発明を適用した補強具1が用いられる鉄筋コンクリート構造物6の第1変形例を示す側面図である。図7に示す形態において、本発明を適用した補強具1は、コンクリート60の下面71と、下面71から所定の間隔を空けてコンクリート60の外部に配置された緊張材81とに取り付けられることとなる。
鉄筋コンクリート構造物6は、コンクリート面7としての下面71と、下面71から所定の間隔を空けてコンクリート60の外部に配置された鋼材8とを有する。下面71は、鋼材8に対向して配置される。鋼材8は、例えば、PC鋼棒等が用いられ、その長手方向に向けて緊張力が付与される緊張材81が用いられる。緊張材81は、例えば、日本工業規格(JIS G 3109)で規定されるPC棒鋼が用いられる。
緊張材81は、長手方向の両端部81a側にそれぞれ定着部材89が設けられる。定着部材89は、コンクリート60に埋設固定されており、緊張材81は、両端部81a側が定着部材89を介してコンクリート60に固定される。なお、コンクリート60の内部には、鉄筋80が配置される。
鉄筋コンクリート構造物6は、コンクリート60の下面71と緊張材81とに本発明を適用した補強具1が緊張材81の長手方向で所定の間隔を空けて複数取り付けられる。また、本発明を適用した補強具1は、緊張材81の両端部81aにそれぞれ設けられた定着部材89の間に取り付けられることとなる。
図8は、本発明を適用した補強具1をコンクリート60の下面71と緊張材81とに取り付けた状態を示す正面図であり、図8(b)は、図8(a)の側面図である。本発明を適用した補強具1は、第1部材2の先端部2aがコンクリート面7としての下面71に当接されるとともに、第2部材3の窪み部32が鋼材8としての緊張材81に下面71側から当接される。
これにより、本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート60に応力が作用したとき、その応力をコンクリート60の下面71から第1部材2及び第2部材3を介して緊張材81に伝達させることができる。その結果、コンクリート60にひび割れ等が発生するのを抑制することができ、コンクリート60に作用する応力を負担させる緊張材81との一体性を確保して鉄筋コンクリート構造物6を補強することが可能となる。
特に、本発明を適用した補強具1によれば、従来の断面修復工法のように断面修復材が硬化するまでの期間を経ることなく、コンクリート60の下面71と緊張材81とに補強具1を取り付けた直後から、鉄筋コンクリート構造物6を補強する効果を発揮させることが可能となる。その結果、供用中の鉄筋コンクリート構造物6であっても効果的に補強することが可能となる。
また、本発明を適用した補強具1によれば、第1部材2の先端部2aがコンクリート面7としてのコンクリート60の下面71に当接され、鋼材8としての緊張材81にコンクリート60の下面71側から第2部材3が当接されるだけで鉄筋コンクリート構造物6に取り付けることができ、施工を短時間で行うことが可能となる。
このように本発明を適用した補強具1によれば、コンクリート60を斫ることなく、コンクリート60の下面71に取り付けることで、鉄筋コンクリート構造物6を補強することも可能となる。
図9は、本発明を適用した補強具1が用いられる鉄筋コンクリート構造物6の第2変形例を示す側面図である。鉄筋コンクリート構造物6は、コンクリート面7としての下面71と、下面71から所定の間隔を空けてコンクリート60の外部に配置された緊張材81とを有する。
図9に示す形態において、コンクリート面7としての下面71は、予め打設された断面修復材91が硬化することにより形成される。本発明を適用した補強具1は、断面修復材91が硬化することにより形成された下面71に第1部材2の先端部2aが当接され、この下面71から所定の間隔を空けてコンクリート60の外部に配置された緊張材81に下面71側から第2部材3が当接される。
このように本発明を適用した補強具1は、断面修復材91が硬化することにより形成された下面71に取り付けることで、鉄筋コンクリート構造物6を補強することも可能となる。また、断面修復材91を補強具1で支持することができ、断面修復材91の剥落を防止することが可能となる。
なお、上述した実施形態において、コンクリート60の下面71側を斫ることにより形成された斫り面72又はコンクリート60の下面71に第1部材2の先端部2aが当接される形態について説明したが、これに限らず、コンクリート60の側面側を斫ることにより形成された斫り面72又はコンクリート60の側面に第1部材2の先端部2aが当接されてもよい。
また、上述した実施形態において、鉄筋コンクリート構造物6は、橋桁、床版等を例に取り説明したが、柱材であってもよい。鉄筋コンクリート構造物6が柱材の場合には、コンクリート60の側面側を斫ることによって形成されたコンクリート面7として斫り面72に第1部材2の先端部2aが当接され、コンクリート60の内部に配置された鋼材8としての鉄筋80にコンクリート60の側面側から第2部材3が当接される。もちろん、鉄筋コンクリート構造物6が柱材の場合には、コンクリート面7としてのコンクリート60の側面に第1部材2の先端部2aが当接され、この側面に対向して配置されてコンクリート60の外部に配置された鋼材8としての緊張材81にコンクリート60の側面側から当接されてもよい。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :補強具
2 :第1部材
2a :先端部
2b :基端部
2c :延伸部
21 :ボルト
21a :先端部
22 :ワッシャ
211 :頭部
212 :軸部
3 :第2部材
31 :貫通孔
32 :窪み部
6 :鉄筋コンクリート構造物
60 :コンクリート
61 :斫り部
7 :コンクリート面
71 :下面
72 :斫り面
8 :鋼材
80 :鉄筋
80a :両端部
81 :緊張材
81a :両端部
89 :定着部材
9 :経時硬化性材料
91 :断面修復材

Claims (13)

  1. 鉄筋コンクリート構造物を補強するための補強具であって、
    前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート面に当接させるための棒状の第1部材と、
    前記第1部材に長さ調整自在に接続されて、前記鉄筋コンクリート構造物に両端が固定された鋼材に前記コンクリート面側から当接させるための第2部材とを備えること
    を特徴とする補強具。
  2. 前記第2部材は、前記コンクリート面側に向けて窪ませた窪み部が形成され、前記窪み部を挟んで両側の複数の前記第1部材に架設されること
    を特徴とする請求項1記載の補強具。
  3. 前記第1部材は、先端部が他の部分よりも拡径されること
    を特徴とする請求項1又は2記載の補強具。
  4. 前記第1部材は、基端部が他の部分よりも拡径され、前記基端部に前記第2部材が掛け止められること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の補強具。
  5. 前記第1部材と前記第2部材とは、前記鋼材よりも卑な金属で構成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の補強具。
  6. 前記第1部材と前記第2部材とは、前記鋼材よりも貴な金属で構成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の補強具。
  7. 前記第1部材と前記第2部材とは、樹脂で構成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の補強具。
  8. 鉄筋コンクリート構造物を補強するための鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、
    前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリートを斫って前記コンクリート構造物に両端が固定された鋼材を露出させる斫り工程と、
    棒状の第1部材と、前記第1部材に長さ調整自在に接続される第2部材とを備えた補強具を、前記斫り工程により露出させた前記鋼材に取り付ける取付工程とを備え、
    前記取付工程では、前記鋼材に前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート面側から前記第2部材を当接させ、前記第2部材に前記第1部材を接続し、前記第1部材を前記コンクリート面に当接させること
    を特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
  9. 前記斫り工程では、前記コンクリートの下面側を斫ること
    を特徴とする請求項8記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
  10. 前記取付工程の後に、前記コンクリートを斫った部分に経時硬化性材料を充填する後工程を更に備えること
    を特徴とする請求項8又は9記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
  11. 前記取付工程の後に、前記第1部材と前記第2部材とが露出された状態で残置する後工程を更に備えること
    を特徴とする請求項8又は9記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
  12. 前記取付工程では、前記第1部材と前記第2部材とが金属で構成される前記補強具を前記鉄筋コンクリート構造物に取り付け、
    前記後工程では、前記第1部材と前記第2部材とに防錆剤を塗布すること
    を特徴とする請求項11載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
  13. 前記取付工程では、前記第1部材と前記第2部材とが樹脂で構成される前記補強具を前記鉄筋コンクリート構造物に取り付けること
    を特徴とする請求項11記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
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