JP2019112384A - 油系分散体及びそれを用いた化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハードケーキングや相分離(色わかれ、廃液等)のない良好な分散状態を長時間安定して維持することができる油系分散体およびこれを含む化粧料を提供する。【解決手段】A)平均粒径0.05μm以上の疎水化処理された粉体と、B)平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカと、C)分散剤と、D)油剤とを配合する。【選択図】なし
Description
本発明は、油系分散体及びその用途に関する。より詳しくは、疎水化処理された粉体を含む油系分散体、及びこれを用いた化粧料に関する。
無機粉体は、着色剤や充填材等として様々な用途に使用されており、例えば顔料級酸化チタンや酸化鉄等は、化粧料や塗料用途で着色顔料として好適に用いられている。これらの無機粉体は、綺麗な発色を促すべく、分散媒に分散させた分散体の状態で使用することが知られている(例えば特許文献1)。また、一般的に無機粉体の表面は親水性であり、油剤中に分散しても凝集して良い分散状態が得られないため、表面を疎水化処理し、分散性を向上させるのが一般的に良く行われている(例えば特許文献2)。また、分散剤に工夫を凝らし、凝集が起こりにくくしている分散体も報告されている(例えば特許文献3)
しかし、一般的に化粧料に使用されている市販の分散体は、そこで使用される油剤と顔料の比重差が大きいため、顔料の沈降、あるいは油剤の廃液(相分離)が見られ、使用時に撹拌するのが一般的となっている。また沈降によりハードケーキングした場合は、撹拌しても元に戻らず使用不可となるケースが生じる。
しかし、一般的に化粧料に使用されている市販の分散体は、そこで使用される油剤と顔料の比重差が大きいため、顔料の沈降、あるいは油剤の廃液(相分離)が見られ、使用時に撹拌するのが一般的となっている。また沈降によりハードケーキングした場合は、撹拌しても元に戻らず使用不可となるケースが生じる。
無機粉体、中でも特に微粒子に比べて粒子径が大きい(例えば粒子径が約50nm以上の)無機粉体は、分散媒中で沈降しやすいため、分散安定性が良好でなく、ケーキングや相分離(色わかれ、廃液等)等が生じるといった課題があり、安定した液状分散体として提供することが困難であった。
特許文献1〜3には、有機表面処理された微粒子無機粉体を油に分散させた分散体が記載されている。この分散体は、感触や取扱い性が良好で、化粧料原料として特に有用なものであるが、経時での安定性にはまだ課題があった。さらに、使用されている無機粉体はいずれも微粒子であるため、顔料級の、例えば50nm以上の平均粒子径を有する無機粉体を用いた場合にも、より安定な液状分散体とするための工夫の余地があった。
本発明の課題は、長時間安定してハードケーキングや相分離(色わかれ、廃液等)のない良好な分散状態を維持することができる油系分散体を提供すること、および、この油系分散体を使用することにより、生産性の良好な化粧料を提供することである。
本発明者らは、平均粒径0.05μm以上の疎水化処理された粉体(疎水化処理粉体と称す)、分散剤、及び油剤を含む油系分散体に、平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカを併用することで、長時間安定して分散状態を維持でき、経時のケーキングや相分離が充分に抑制されることを見いだした。
すなわち、本発明は、A)平均粒径0.05μm以上の疎水化処理粉体、B)平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカ、C)分散剤、及びD)油剤、を含有する油系分散体である。
また本発明は、上記油系分散体を含む化粧料である。
すなわち、本発明は、A)平均粒径0.05μm以上の疎水化処理粉体、B)平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカ、C)分散剤、及びD)油剤、を含有する油系分散体である。
また本発明は、上記油系分散体を含む化粧料である。
本発明により、廃液(油剤の相分離)や沈降、凝集が起こりにくく、分散性が良く長期安定性に優れた疎水化処理粉体の油系分散体が得られる。また、それを使用することにより、容易に、顔料分散性に優れ、感触の良いメーキャップ化粧料を得ることができる。
本発明で使用される平均粒径0.05μm以上の疎水化処理粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば、その形状(球状、針状、紡錘状、扇状、板状等)や粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。
疎水化処理粉体は、疎水化処理剤としては、フッ素化合物、シリコーン化合物、アルキルシラン、脂肪酸(塩)、アミノ酸(塩)及びアルキルリン酸(塩)、ワックス、ロウからなる群より選択される少なくとも1種で表面処理された無機粉体である。
無機粉体の具体例を挙げると、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、ガラス、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、群青、紺青、等が挙げられる。これらの疎水化処理粉体は1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
より好ましくは、平均粒径が0.05μm以上の疎水化処理酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、黒酸化鉄が好ましい。
配合量としては、40質量%から80質量%が好ましく、40質量%以下の場合は、分散体の粘度が低くなり廃液などの問題が起こりやすく、また80質量%以上は油剤に粉体が濡れず分散体が作れない。
疎水化処理粉体は、疎水化処理剤としては、フッ素化合物、シリコーン化合物、アルキルシラン、脂肪酸(塩)、アミノ酸(塩)及びアルキルリン酸(塩)、ワックス、ロウからなる群より選択される少なくとも1種で表面処理された無機粉体である。
無機粉体の具体例を挙げると、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、ガラス、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、群青、紺青、等が挙げられる。これらの疎水化処理粉体は1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
より好ましくは、平均粒径が0.05μm以上の疎水化処理酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、黒酸化鉄が好ましい。
配合量としては、40質量%から80質量%が好ましく、40質量%以下の場合は、分散体の粘度が低くなり廃液などの問題が起こりやすく、また80質量%以上は油剤に粉体が濡れず分散体が作れない。
疎水化処理シリカは粒径が顔料より小さい平均粒径0.05μm以下が好ましい。平均粒径が0.05μmより大きいと、化粧料へ配合した場合、膜の平滑性が失われ、ツヤがなくなるなど化粧料としての使用性が悪くなる。
平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカとしては、その表面がオルガノシラン系化合物やシリコーン化合物等で疎水化処理されたシリカであり、例えばヘキサメチルジシラザンで処理されたトリメチルシリル化シリカ(キャボット社製、キャボジルTS−530、平均粒子径8nm)、(エボニック社製、アエロジルRX−200、平均粒子径12nm)、ジメチルシリル化シリカ(エボニック社製、アエロジルR−972、平均粒子径16nm)、オクチルシリル化シリカ(エボニック社製、アエロジルR−805、平均粒子径12nm)、シリコーンオイル処理シリカ(エボニック社製、アエロジルRY−300、平均粒子径7nm)等が挙げられる。
配合量としては、0.01質量%から5質量%が好ましく、0.01質量%以下の場合は、添加効果が現れず廃液や凝集などの問題が起こり、また5質量%以上加えても安定性の効果は変わらない。
平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカとしては、その表面がオルガノシラン系化合物やシリコーン化合物等で疎水化処理されたシリカであり、例えばヘキサメチルジシラザンで処理されたトリメチルシリル化シリカ(キャボット社製、キャボジルTS−530、平均粒子径8nm)、(エボニック社製、アエロジルRX−200、平均粒子径12nm)、ジメチルシリル化シリカ(エボニック社製、アエロジルR−972、平均粒子径16nm)、オクチルシリル化シリカ(エボニック社製、アエロジルR−805、平均粒子径12nm)、シリコーンオイル処理シリカ(エボニック社製、アエロジルRY−300、平均粒子径7nm)等が挙げられる。
配合量としては、0.01質量%から5質量%が好ましく、0.01質量%以下の場合は、添加効果が現れず廃液や凝集などの問題が起こり、また5質量%以上加えても安定性の効果は変わらない。
分散剤としては、IOB値が0.8以下の物質が好ましく、より好ましくは、その構造中にポリオキシアルキレン鎖を有することがない分散剤が望ましい。IOB値が0.8を超えると、油剤に溶解しづらくなり、さらに構造中にポリオキシアルキレン鎖を有すると、化粧料に使用した場合乳化剤として機能してしまうため、本来のみずみずしい感触が得られなくなり、また安定性に不都合が生じる場合等があるため、ポリオキシアルキレン鎖を有しない分散剤で分散させた分散体の方がより使い勝手に優れている。たとえば、R1 3SiO0.5単位とSiO2単位から構成される樹脂、R1 3SiO0.5単位とR1 2SiO単位及びSiO2単位から構成される樹脂、R1 3SiO0.5単位とR1SiO1.5単位から構成される樹脂、R1 3SiO0.5単位とR1 2SiO単位及びR1SiO1.5単位から構成される樹脂、R1 3SiO0.5単位、R1 2SiO単位、R1SiO1.5単位及びSiO2単位から構成される樹脂からなるシリコーン網状化合物、アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のシリコーン変性アクリル樹脂、ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられ、例えば、シリコーン網状化合物であれば、信越化学工業(株)製のKF−7312J(シクロペンタシロキサン溶解品)、X−21−5595(イソドデカン溶解品)、KF−9021(シクロペンタシロキサン溶解品)、X−21−5249L(ジメチコン溶解品)、東レ・ダウコーニング(株)製のMQ1600、DC593(ジメチコン溶解品)、モメンティブ社製のSilForm Flexible resin、FR−5(ジメチコン溶解品)旭化成ワッカーシリコーン(株)製のTMS 803等が挙げられる。
シリコーン変性アクリル樹脂であれば、信越化学工業(株)製のKP−545(シクロペンタシロキサン溶解品)、KP−578、東レ・ダウコーニング(株)製のFA4001 CM Silicone Acrylate(シクロペンタシロキサン溶解品、FA4002ID Silicone Acrylate(イソドデカン溶解品)、FA4003 DM Silicone Acrylate(ジメチコン溶解品)等、ポリグリセリン変性シリコーンであれば、信越化学工業(株)製のKF−6104、KF−6105、KF−6106等が挙げられる。
配合量としては、0.5質量%から15質量%が好ましく、0.5質量%以下の場合は、分散剤としての量が足りず分散性の良い分散体が作れず、また15質量%以上加えても分散性の効果は変わらない。
シリコーン変性アクリル樹脂であれば、信越化学工業(株)製のKP−545(シクロペンタシロキサン溶解品)、KP−578、東レ・ダウコーニング(株)製のFA4001 CM Silicone Acrylate(シクロペンタシロキサン溶解品、FA4002ID Silicone Acrylate(イソドデカン溶解品)、FA4003 DM Silicone Acrylate(ジメチコン溶解品)等、ポリグリセリン変性シリコーンであれば、信越化学工業(株)製のKF−6104、KF−6105、KF−6106等が挙げられる。
配合量としては、0.5質量%から15質量%が好ましく、0.5質量%以下の場合は、分散剤としての量が足りず分散性の良い分散体が作れず、また15質量%以上加えても分散性の効果は変わらない。
油剤としては、常温で液状の油剤であれば何でも使用可能であり、炭化水素油、エステル油、トリグリセライド油、シリコーン油が挙げられ、好ましくは、常温で揮発性であるシリコーン油、及び/又は炭化水素油を含むことが好ましい。例えば、シクロペンタシロキサン、トリシロキサン、メチルトリメチコン、2cs以下のジメチコン、ドデカン、ヘキサデカン、イソドデカン等が挙げられる。
本発明の化粧料は、上述した本発明の油系分散体を含む。このような化粧料の製造方法は特に限定されず、通常の化粧料の製法に従って作成することができる。
上記化粧料としては特に限定されず、例えば、スキンケア製品、頭髪製品、メークアップ製品、紫外線防御用製品等が挙げられる。化粧料の形状も特に限定されず、例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等が挙げられる。
上記化粧料には、必要に応じて化粧品分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分を1種又は2種以上含んでもよい。水性成分及び油性成分としては特限定されないが、例えば、水、アルコール類、保湿剤、水溶性高分子、界面活性剤、固体、半固体、液状の油剤、高級アルコール、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、粉体、顔料、染料、色素、防腐剤、抗菌剤、殺菌剤、酸化防止剤、塩類、pH調整剤、キレート剤、香料、清涼剤、制汗剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤、美肌用成分、各種抽出物等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。尚、特に断りがない限り、以下に記載する「%」は「質量%」を意味する。
表1に示す原料を均一に混合し、実施例1〜6、及び比較例1〜4の分散体を得た。このようにして得られた各分散体について下記の評価を行った。また、得られた分散体をW/O乳化物に添加した時の官能評価を行った。その結果は表2に示す。
分散体の評価
[分散性]○:良い ×:悪い
[廃 液]○:ない △:少しある ×:ある
[凝集性]○:ない △:少しある ×:悪い
W/O乳化物に添加した時の官能評価
[表面のツヤ]○:ある ×:ない
[みずみずしさ]○:ある ×:ない
分散体の評価
[分散性]○:良い ×:悪い
[廃 液]○:ない △:少しある ×:ある
[凝集性]○:ない △:少しある ×:悪い
W/O乳化物に添加した時の官能評価
[表面のツヤ]○:ある ×:ない
[みずみずしさ]○:ある ×:ない
*2)疎水化シリカ:アエロジルR972(日本アエロジル(株)製):平均粒径:0.016nm
*3)シリカ:ゴッドボールE−16C(鈴木油脂工業(株)製):平均粒径:5nm のハイドロゲンジメチコン処理品
*4)アクリルシリコーン:KP−545(信越化学工業(株)製):樹脂分30% シクロペンタシロキサン溶解品
*5)トリメチルシロキシケイ酸:MQ−1600 Solid Resin(東レ・ダウコーニング(株)製)
*6)グリセリン変性シリコーン:KF−6104(信越化学工業(株)製)
*7)ポリエーテル変性シリコーン:KF−6017(信越化学工業(株)製) IOB値:0.45
*8)ポリエーテル変性シリコーン:KF−6004(信越化学工業(株)製) IOB値:0.9
以上のように、実施例1〜6の分散体は、顔料の分散性に優れ、経時での廃液や沈降、凝集も起こらず、非常に安定性の良いものであった。またそれらの分散体を用いてW/O乳化物に添加したところ、塗布膜の表面にはツヤがあり、またW/O本来のみずみずしい感触のある乳化物であった。
一方、疎水化シリカを使用しなかった比較例1は、分散性の良い分散体はできるものの、経時で沈降、油の廃液が起こり、顔料の凝集がひどく、均一の分散体にするのが非常に困難であった、時間をかけて再分散させ、その分散体を乳化物に添加した場合は、塗布膜表面のツヤもあり、みずみずしさもあるものとなった。しかし、再分散させることは非常に時間と労力がかかり大変で、実質的ではないことがわかった。
疎水化処理を行った粒径が5μmのシリカを用いた比較例2は、実施例と同様、分散性の良い分散体はできたが、経時で少し廃液が起こり顔料が沈降した。顔料の凝集はそれほどひどくはなく、分散体を均一にすることはできたが、それをW/O乳化物に添加した場合、W/O乳化物本来のみずみずしさはあるものの表面のツヤがなく、くすんだ感じの塗膜となった。
また、比較例3に用いた分散剤は、IOB値が0.8以下で、油に簡単に溶解するが、骨格内にポリオキシアルキレン鎖を有するものである。これを用いた分散体は分散性も経時での安定性も優れたものであったが、乳化物に配合した場合、分散剤が乳化剤としても働いてしまうため、W/O乳化物本来のみずみずしさに欠け、形状の異なるものとなってしまった。
IOB値が0.8より大きい分散剤を用いた比較例4は、分散剤が油に溶解せず、均一の分散体が作れなかった。
一方、疎水化シリカを使用しなかった比較例1は、分散性の良い分散体はできるものの、経時で沈降、油の廃液が起こり、顔料の凝集がひどく、均一の分散体にするのが非常に困難であった、時間をかけて再分散させ、その分散体を乳化物に添加した場合は、塗布膜表面のツヤもあり、みずみずしさもあるものとなった。しかし、再分散させることは非常に時間と労力がかかり大変で、実質的ではないことがわかった。
疎水化処理を行った粒径が5μmのシリカを用いた比較例2は、実施例と同様、分散性の良い分散体はできたが、経時で少し廃液が起こり顔料が沈降した。顔料の凝集はそれほどひどくはなく、分散体を均一にすることはできたが、それをW/O乳化物に添加した場合、W/O乳化物本来のみずみずしさはあるものの表面のツヤがなく、くすんだ感じの塗膜となった。
また、比較例3に用いた分散剤は、IOB値が0.8以下で、油に簡単に溶解するが、骨格内にポリオキシアルキレン鎖を有するものである。これを用いた分散体は分散性も経時での安定性も優れたものであったが、乳化物に配合した場合、分散剤が乳化剤としても働いてしまうため、W/O乳化物本来のみずみずしさに欠け、形状の異なるものとなってしまった。
IOB値が0.8より大きい分散剤を用いた比較例4は、分散剤が油に溶解せず、均一の分散体が作れなかった。
酸化チタンをシリコーン処理黄酸化鉄に変更し、実施例4と同様の処方で分散体を作成した。
酸化チタンをシリコーン処理酸化鉄(ベンガラ)に変更し、実施例4と同様の処方で分散体を作成した。
酸化チタンをシリコーン処理黒酸化鉄に変更し、実施例5と同様の処方で分散体を作成した。
W/Oリキッドファンデーション
(成分) (%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 12.0
2.イソステアリン酸イソトリデシル 8.0
3.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 6.0
4.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0
5.アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン(注1) 1.5
6.架橋型シリコーン架橋物(注2) 3.0
7.ジステアルジモニウムヘクトライト 1.0
8.酸化チタン分散体(実施例5) 12.0
9.黄酸化鉄分散体(実施例7) 2.0
10.酸化鉄(ベンガラ)分散体(実施例8) 0.6
11.黒酸化鉄分散体(実施例9) 0.1
12.1,3−ブチレングリコール 8.0
13.塩化Na 0.5
14.防腐剤 適 量
15.精製水 残 量
(注1)アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン:ES−5300(東レ・ダウコーニング(株)製)
(注2)架橋型シリコーン架橋物:KSG−15(信越化学工業(株)製)
(成分) (%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 12.0
2.イソステアリン酸イソトリデシル 8.0
3.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 6.0
4.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0
5.アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン(注1) 1.5
6.架橋型シリコーン架橋物(注2) 3.0
7.ジステアルジモニウムヘクトライト 1.0
8.酸化チタン分散体(実施例5) 12.0
9.黄酸化鉄分散体(実施例7) 2.0
10.酸化鉄(ベンガラ)分散体(実施例8) 0.6
11.黒酸化鉄分散体(実施例9) 0.1
12.1,3−ブチレングリコール 8.0
13.塩化Na 0.5
14.防腐剤 適 量
15.精製水 残 量
(注1)アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン:ES−5300(東レ・ダウコーニング(株)製)
(注2)架橋型シリコーン架橋物:KSG−15(信越化学工業(株)製)
(製造方法)
A:成分12〜15を均一混合する。
B:成分1の一部と、成分8〜11を混合する。
C:成分1の残部、及び成分2〜7を加温して均一にした後、Aを添加して乳化する。
D:CにBを添加、混合してW/Oリキッドファンデーションを得た。
A:成分12〜15を均一混合する。
B:成分1の一部と、成分8〜11を混合する。
C:成分1の残部、及び成分2〜7を加温して均一にした後、Aを添加して乳化する。
D:CにBを添加、混合してW/Oリキッドファンデーションを得た。
実施例10のW/Oリキッドファンデーションは、粉体の凝集もなく、分散安定性に優れ、また肌へののび広がりが良く、均一でなめらかなツヤのある塗膜ができ、べたつきのない、化粧持続性にも優れた使用性を有するW/Oリキッドファンデーションであった。
W/Oクリームファンデーション
(成分) (%)
1.イソステアリン酸ポリグリセリル−2(注3) 1.2
2.ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6(注4) 0.2
3.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 4.0
4.マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6エステルズベヘネート(注5) 1.0
5.ドデカン 10.0
6.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.5
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.5
8.ジステアルジモニウムヘクトライト 2.0
9.酸化チタン分散体(実施例5) 12.0
10.黄酸化鉄分散体(実施例7) 2.0
11.酸化鉄(ベンガラ)分散体(実施例8) 0.6
12.黒酸化鉄分散体(実施例9) 0.1
13.1,3−ブチレングリコール 10.0
14.硫酸Mg 0.5
15.防腐剤 適 量
16.精製水 残 量
(注3)イソステアリン酸ポリグリセリル−2:S Face IS−201P(阪本薬品工業(株)製)
(注4)ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6:S Face CR−1001(阪本薬品工業(株)製)
(注5)マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6エステルズベヘネート:S Face VL−211(阪本薬品工業(株)製)
(成分) (%)
1.イソステアリン酸ポリグリセリル−2(注3) 1.2
2.ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6(注4) 0.2
3.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 4.0
4.マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6エステルズベヘネート(注5) 1.0
5.ドデカン 10.0
6.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.5
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.5
8.ジステアルジモニウムヘクトライト 2.0
9.酸化チタン分散体(実施例5) 12.0
10.黄酸化鉄分散体(実施例7) 2.0
11.酸化鉄(ベンガラ)分散体(実施例8) 0.6
12.黒酸化鉄分散体(実施例9) 0.1
13.1,3−ブチレングリコール 10.0
14.硫酸Mg 0.5
15.防腐剤 適 量
16.精製水 残 量
(注3)イソステアリン酸ポリグリセリル−2:S Face IS−201P(阪本薬品工業(株)製)
(注4)ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6:S Face CR−1001(阪本薬品工業(株)製)
(注5)マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6エステルズベヘネート:S Face VL−211(阪本薬品工業(株)製)
(製造方法)
A:成分1〜12を加温し、均一に混合する。
B:成分13〜16を均一にする。
C:AにBを添加して乳化し、W/Oクリームファンデーションを得た。
A:成分1〜12を加温し、均一に混合する。
B:成分13〜16を均一にする。
C:AにBを添加して乳化し、W/Oクリームファンデーションを得た。
実施例11のW/Oクリームファンデーションは、粉体の凝集もなく、分散安定性に優れ、また肌へののび広がりが良く、均一でなめらかなツヤのある塗膜ができ、べたつきのないしっとりとした、化粧持続性にも優れた使用性を有するW/Oクリームファンデーションであった。
本発明の油系分散体は、長時間安定して分散状態を維持でき、経時のケーキングや相分離が充分に抑制され、分散体として保管や輸送が容易であるため、有用である。
また、本発明の油系分散体は油系に簡単に分散でき、取り扱いが簡単で、発色や感触が良好なため、この油系分散体を含む化粧料は有用である。
また、本発明の油系分散体は油系に簡単に分散でき、取り扱いが簡単で、発色や感触が良好なため、この油系分散体を含む化粧料は有用である。
Claims (6)
- 以下A〜Dを含有することを特徴とする油系分散体。
A)平均粒径0.05μm以上の疎水化処理粉体:40−80質量%
B)平均粒径0.05μm以下の疎水化処理シリカ:0.01−5質量%
C)分散剤:0.5−15質量%
D)油剤 - 前記A)平均粒径0.05μm以上の疎水化処理粉体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、及び/又は黒酸化鉄であることを特徴とする請求項1の油系分散体。
- 前記C)分散剤が、IOB値が0.8以下の分散剤であることを特徴とする請求項1及び2の油系分散体。
- 前記C)分散剤が、その構造中にポリオキシアルキレン鎖を有することがない分散剤であることを特徴とする請求項1〜3の油系分散体。
- 前記D)油剤が、常温で揮発性であるシリコーン油、及び/又は炭化水素油を含むことを特徴とする請求項1〜4の油系分散体。
- 請求項1〜5に記載の油系分散体を含むことを特徴とする化粧料。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2021241444A1 (ja) * | 2020-05-29 | 2021-12-02 | 株式会社Dnpファインケミカル | 分散液 |
WO2022153928A1 (ja) * | 2021-01-12 | 2022-07-21 | 株式会社 資生堂 | 粉末分散組成物及びこれを用いた化粧料 |
WO2022176811A1 (ja) * | 2021-02-17 | 2022-08-25 | 株式会社 資生堂 | 液状油性化粧料 |
-
2017
- 2017-12-21 JP JP2017255377A patent/JP2019112384A/ja active Pending
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