WO2022153928A1

WO2022153928A1 - 粉末分散組成物及びこれを用いた化粧料

Info

Publication number: WO2022153928A1
Application number: PCT/JP2022/000316
Authority: WO
Inventors: 春明文; 隆志福原; クアンティン林
Original assignee: 株式会社資生堂
Priority date: 2021-01-12
Filing date: 2022-01-07
Publication date: 2022-07-21
Also published as: CN116635002A; US20240041709A1; JPWO2022153928A1

Abstract

本発明は、高い粉末分散性を備えた粉末分散組成物、並びに、それを用いることによって使用性に優れ良好な経時安定性を有する化粧料を提供することを目的とする。本発明に係る粉末分散組成物は、（Ａ）粉末、（Ｂ）油分、及び（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルを含み、　（Ｂ）油分が（ｂ１）極性油と（ｂ２）揮発性油とを含み、　（ｂ１）極性油は（Ｂ）油分全量の３５～８０質量％を占め、　（ｂ２）揮発性油の２０質量％以上は揮発性炭化水素油であり、　（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルは粉末分散組成物の全量に対し０．５～１０質量％であることを特徴とする。

Description

粉末分散組成物及びこれを用いた化粧料

　本発明は、高い粉末分散性を備えた粉末分散組成物、並びに、それを用いることによって使用性に優れ、良好な経時安定性を有する化粧料に関する。

　酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等に代表される顔料やマイカ、セリサイト等の粉末は化粧料に広く用いられるものの、凝集性が高く化粧料中で経時安定性を保つのが難しいことから、製品中に均一に分散させるための様々な検討がなされている。
　例えば、特許文献１には、粉末を均一に分散させるための分散剤としてポリグリセリン変性シリコーンおよび／またはアルキルポリグリセリン共変性シリコーンを用いた油系分散体組成物及びそれを含む化粧料が開示されている。
　また、特許文献２及び特許文献３には、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルからなる粉体分散剤を用いて油剤に粉体を分散させた粉末分散組成物及びそれを含む化粧料が開示されている。

　しかし、油分に揮発性油と極性油の両方が存在する場合には粉末が凝集を起こしやすく、十分に分散させることが難しくなる。また一方で、粉末の凝集を避けるために分散剤を多量に配合すると、べたつきを生じて使用性が損なわれる場合がある。特に、揮発性油におけるシリコーン油の比率が高い場合にこの問題が顕著となる傾向がある。

　従って、油分として揮発性油と極性油の両方が存在しても粉末を安定に分散でき、しかも、化粧料に使用した際にべたつかず使用性に優れた粉末分散組成物が依然として求められている。

特開２０１２－０１２３０２号公報国際公開第２０１６／０８０２７０号特開２０１３－１２１９４０号公報

　本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、高い粉末分散性を備えた粉末分散組成物、並びに、それを用いることによって使用性に優れ、良好な経時安定性を有する化粧料を提供することを目的とする。

　本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、分散剤としてポリリシノレイン酸ポリグリセリルを用い、なおかつ、油分に含まれる極性油の比率、及び、揮発性油における揮発性炭化水素油の比率を所定の範囲に調節することにより、高い分散性を示し、べたつきを生じにくく、使用性にも優れた粉末分散組成物を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。

　すなわち、本発明は、
（Ａ）粉末、（Ｂ）油分、及び、（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルを含む粉末分散組成物であって、
（Ｂ）油分が（ｂ１）極性油と（ｂ２）揮発性油とを含み、
（ｂ１）極性油は（Ｂ）油分全量の３５～８０質量％を占め、
（ｂ２）揮発性油の２０質量％以上は揮発性炭化水素油であり、
（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルは粉末分散組成物の全量に対し０．５～１０質量％である粉末分散組成物、並びに、この粉末分散組成物を用いた化粧料を要旨とするものである。

　本発明に係る粉末分散組成物は、上記構成とすることによって、油分に揮発性油と極性油の両方を含有するにもかかわらず、高い粉末分散性を備えることができる。そのうえ、分散剤を多量に配合する必要が無いため、べたつきを生じて使用性が損なわれることもない。
　また、この粉末分散組成物を用いた化粧料は、良好な経時安定性を有するほか、優れた使用性を実現することができる。

　本発明の粉末分散組成物は、所定の配合比率のもと、（Ａ）粉末、（Ｂ）油分、及び（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルを含み、（Ｂ）油分が所定の組成を有することを特徴とする。以下に詳述する。

＜（Ａ）粉末＞
　（Ａ）粉末は、化粧料等に汎用されている粉末成分であればよく、特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト等の無機粉末；ポリアミド樹脂粉末（ナイロン粉末）、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末、トリメチルシルセスキオキサン粉末等のシリコーン粉末；二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料；酸化鉄（ベンガラ）等の無機赤色系顔料；黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料；黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料；酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料；群青、紺青等の無機青色系顔料；酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料；アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料；赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２０４号、赤色２０５号、赤色２２０号、赤色２２６号、赤色２２８号、赤色４０５号、橙色２０３号、橙色２０４号、黄色２０５号、黄色４０１号、及び青色４０４号、赤色３号、赤色１０４号、赤色１０６号、赤色２２７号、赤色２３０号、赤色４０１号、赤色５０５号、橙色２０５号、黄色４号、黄色５号、黄色２０２号、黄色２０３号、緑色３号及び青色１号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料；これらの処理粉末などが含まれる。処理剤としては、シリコーン類、フッ化化合物、高級脂肪酸等があるが、これらに限られない。

　また、紫外線防御効果を付与するために、（Ａ）粉末として、反射・散乱により紫外線を物理的に遮蔽する粉体（紫外線散乱剤）を含有してもよい。紫外線散乱剤の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム、酸化鉄、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、シリカ、酸化セリウム等が挙げられる。

　本発明の粉末分散組成物における（Ａ）粉末の配合量の下限としては、粉末分散組成物全量に対して５質量％以上であり、さらに好ましくは１０質量％以上であり、特に好ましくは１５質量％以上である。また、（Ａ）粉末の配合量の上限としては、５０質量％以下であり、さらに好ましくは４０質量％以下であり、特に好ましくは３０質量％以下である。（Ａ）粉末の配合量が５質量％未満では粉末配合による効果が十分に得られない場合があり、５０質量％を超えて配合すると分散性や使用感が悪くなる場合がある。

＜（Ｂ）油分＞
　（Ｂ）油分は、化粧料に用いられるあらゆる油分を指し、（Ｂ）油分の一部として（ｂ１）極性油と（ｂ２）揮発性油とを必須に含む。以下、（ｂ１）極性油、（ｂ２）揮発性油、その他の油分の順序で説明する。

＜（ｂ１）極性油＞
　（ｂ１）極性油は、ＩＯＢ値が０．１～０．８の範囲であるものが好ましく、さらにＩＯＢ値が０．１５～０．６の範囲のものがより好ましい。
　ここでＩＯＢ値とは、有機概念図における有機性値（ＯＶ）に対する無機性値（ＩＶ）の比（ＩｎｏｒｇａｎｉｃＯｒｇａｎｉｃＢａｌａｎｃｅ）であり、「無機性値（ＩＶ）／有機性値（ＯＶ）」をいう。

　有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は“Ｐｈａｒｍａｃｅｕｔｉｃａｌ　Ｂｕｌｌｅｔｉｎ”，ｖｏｌ．２，２，ｐｐ．１６３－１７３（１９５４）、「化学の領域」ｖｏｌ．１１，１０，ｐｐ．７１９－７２５（１９５７）、「フレグランスジャーナル」，ｖｏｌ．５０．ｐｐ．７９－８２（１９８１）等に説明されている。すなわち、すべての有機化合物の根源をメタン（ＣＨ_４）とし、他の化合物は、すべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、結合様式（単結合、二重結合、三重結合の違い）、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、有機性値をＸ軸、無機性値をＹ軸にとった図上にプロットしていくものである。有機概念図については、「有機概念図－基礎と応用－」（甲田善生著、三共出版、１９８４）等にも示されている。

　（ｂ１）極性油の典型例としては、エステル油、油溶性紫外線吸収剤、及びエーテル油が挙げられる。
　エステル油の具体例としては、特に限定されないが、セバシン酸ジイソプロピル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ラウロイルグルタミン酸ジ（フィトステリル／オクチルドデシル）、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸エチルへキシル、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル－２、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ネオペンタン酸イソデシル、安息香酸アルキル（Ｃ１２－１５）、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。

　また、油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、メトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾイル誘導体、カンファー誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、及びポリシリコーン系紫外線吸収剤が挙げられる。より具体的には、パラメトキシケイヒ酸２－エチルヘキシル、オキシベンゾン、４－ｔ－ブチル－４’－メトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコーン－１５、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、ｐ－メチルベンジリデンカンファーなどが挙げられる。
　さらに、エーテル油としては、ポリオキシアルキレン系エーテル油が好ましく、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。

　本発明に係る粉末分散組成物における（ｂ１）極性油の配合量は、（Ｂ）油分全量に対して、３５～８０質量％である。下限としては、３５質量％以上であり、さらに好ましくは５０質量％以上であり、特に好ましくは６０質量％以上である。上限としては、８０質量％以下であり、さらに好ましくは７５質量％以下であり、特に好ましくは７０質量％以下である。（ｂ１）極性油の配合量が（Ｂ）油分全量の３５質量％未満ではなめらかな使用感触が得られない場合があり、８０質量％を超えるとべたつきを生じて伸びが悪くなる場合がある。

＜（ｂ２）揮発性油＞
　（ｂ２）揮発性油としては、常圧（１気圧）における沸点が６０～２６０℃の範囲である油分を意味するものとする。本発明で用いられる揮発性油としては、揮発性の炭化水素油およびシリコーン油等が挙げられるが、揮発性炭化水素油を必須に含む。
　揮発性炭化水素油としては、直鎖状、分岐状のいずれのものを用いてもよい。具体的には、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテン等のＣ８～Ｃ１６イソアルカン（イソパラフィンとしても知られる）等が例示される。
　また、揮発性シリコーン油としては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、またはカプリリルメチコン等が例示される。
　本発明に係る粉末分散組成物における（ｂ２）揮発性油の配合量は、（Ｂ）油分全量に対して、２０質量％以上が好ましく、２５質量％以上がさらに好ましく、３０質量％以上が最も好ましい。また、６５質量％以下が好ましく、６０質量％以下がさらに好ましく、５０質量％以下が最も好ましい。

　（ｂ２）揮発性油に占める揮発性炭化水素油の配合量は２０質量％以上であり、さらに好ましくは３０質量％以上であり、特に好ましくは５０質量％以上である。配合量の上限は特に限定されないが、好ましくは９０質量％以下であり、さらに好ましくは８０質量％以下であり、特に好ましくは７０質量％以下である。揮発性炭化水素油の配合量が（ｂ２）揮発性油全量の２０質量％未満では粉末分散性に劣る傾向がある。

＜その他の油分＞
　（Ｂ）油分のうち、（ｂ１）極性油、（ｂ２）揮発性油以外としては、特に限定されないが、例えば、スクワラン、水添ポリデセン、ワセリンなどの不揮発性の炭化水素油や、室温（２５℃）で液状のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの不揮発性のシリコーン油等が挙げられる。

　本発明の粉末分散組成物における（Ｂ）油分の配合量の下限としては、粉末分散組成物全量に対して、５５質量％以上であり、さらに好ましくは６０質量％以上であり、特に好ましくは７０質量％以上である。（Ｂ）油分の配合量が５５質量％未満では十分な安定性が得られない場合がある。また、（Ｂ）油分の配合量の上限は特に限定されないが、好ましくは９５質量％以下であり、さらに好ましくは９０質量％以下であり、特に好ましくは８５質量％以下である。

＜（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリル＞
　本発明の粉末分散組成物に配合される（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルは、炭素数１８の高級脂肪酸であるリシノレイン酸同士がエステル結合した縮合物（縮合リシノレイン酸）と平均重合度２～１０のポリグリセリンとのエステルである。典型的には、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６を挙げることができる。
　（Ｃ）成分は市販品を用いることができ、好ましい市販品としては、例えば、ＮＩＫＫＯＬ　Ｄｅｃａｇｌｙｎ　ＰＲ－２０（日光ケミカルズ株式会社）、ＳＹグリスター　ＣＲ－３１０、ＣＲ－５００、ＣＲＳ－７５（いずれも阪本薬品工業株式会社）等が挙げられる。

　本発明の粉末分散組成物における（Ｃ）成分の配合量は、粉末分散組成物全量に対して０．５～１０質量％である。下限としては、０．５質量％以上であり、さらに好ましくは２質量％以上であり、特に好ましくは３質量％以上である。上限としては、１０質量％以下であり、さらに好ましくは６質量％以下であり、特に好ましくは４質量％以下である。（Ｃ）成分の配合量が０．５質量％未満では、粉末分散性が悪くなる傾向がある。また、（Ｃ）成分の配合量が１０質量％を超えると粉末分散組成物を化粧料として用いた場合に、べたつきを生じたり、のびが重くなったりするなど、使用性に劣る場合がある。

＜任意配合成分＞
　本発明の粉末分散組成物は、主として粉末を油剤に分散させた油性分散物であり、上記（Ａ）～（Ｃ）成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤等の油性化粧料に通常配合される各種成分を含有可能である。

　本発明の粉末分散組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、成分（Ｂ）と成分（Ｃ）を混合し、これに成分（Ａ）を添加し、均一分散することにより得ることができる。この際に、均一分散する機器としては、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。

＜化粧料＞
　本発明の粉末分散組成物は、そのまま油性の化粧料として用いることができる。また、水相成分と公知の方法により乳化処理して、粉末分散組成物を油相とする乳化化粧料として用いることもできる。
　本発明の化粧料は、上記の粉末分散組成物そのもの、又は、これを配合したものであるため、粉末分散性及び使用性に優れる。

　本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用される成分、例えば、水、アルコール類、水溶性高分子、界面活性剤、香料、塩類、酸化防止剤、ｐＨ調整剤、キレート剤、着色剤、化粧料用成分等を添加することができる。
　本発明の化粧料は、日焼け止め化粧料のほか、メーキャップ製品、ヘア製品等にも広く応用が可能である。

　以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量％で示す。

＜実施例１及び比較例１～７＞
　種々の分散剤を用いて以下の表１に記載の組成を有する粉末分散組成物を調製し、後述する方法で粉末分散性を調べた。

＊１「ＷＯＧＥＬ－１８ＤＶ」松本製薬工業株式会社
＊２「エステモール１８２Ｖ」日清オイリオグループ株式会社
＊３「ＫＦ－６１０９」信越化学工業株式会社
＊４「Ｓフェイス　ＳＣＩＳ－１０１」阪本薬品工業株式会社
＊５「ＡＢＩＬ　ＥＭ９０」ＥＶＯＮＩＣ社
＊６「シリコンＳＣ９４５０Ｎ」信越化学工業株式会社
＊７「ＫＦ－８００４」信越化学工業株式会社
＊８「ＳＹグリスター　ＣＲＳ－７５」阪本薬品工業株式会社

＜粉末分散性＞
　調製した各粉末分散組成物を、ストレス制御型レオメータ装置（Ａｔｏｎ　Ｐａａｒ社製）の試料投入部に入れ、コーンプレート型治具ＣＰ５０－１を用いて、せん断速度０．１Ｓ^－１から１０００Ｓ^－１におけるせん断応力を測定した。下記の関係式：
　［せん断粘度］＝［せん断応力］／［せん断速度］
を用いてせん断粘度を求め、せん断粘度とせん断速度の関係を表すフローカーブを得た。得られたフローカーブにおいて、１０Ｓ^－１及び１０００Ｓ^－１における粘度値η（１０／Ｓ）及びη（１０００／Ｓ）を用いて以下の関係式より粘度減衰率を算出した。

　粘度減衰率の値が小さいほど、せん断速度増加に伴う粘度変化の度合いが小さく、粉体の分散性が高いと評価できる。算出した粘度減衰率を用いて以下のような基準で粉末分散性について判定した。
Ａ：粘度減衰率が０．２以下
Ｂ：粘度減衰率が０．２より大きく０．４以下
Ｃ：粘度減衰率が０．４より大きく０．７以下
Ｄ：粘度減衰率が０．７より大きい

　表１に示されるように、化粧料に広く使用されている種々の分散剤と比べて、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６を配合した場合に、粉末分散性が特に優れることが確認された。

＜実施例２～４及び比較例８～９＞
　ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６の配合比率を変えて以下の表２に記載の組成を有する粉末分散組成物を調製し、粉末分散性を評価した。
　また、以下の方法で使用性についても調べた。

＜使用性＞
　調製した各粉末分散組成物について、肌に塗布した際の使用性（滑らかさ、きしみ感の無さ）を以下の方法で評価した。
　化粧品評価専門パネル２０名に粉末分散組成物を使用してもらい、使用性の良さを以下の基準に従って５段階評価し、粉末分散組成物毎に評点を付し、さらに全パネルの評点の平均点を以下の４段階の判断基準に従って判定した。
（評価基準）
評価結果　　　　　：　評点
非常に良好　　　　：　５点
良好　　　　　　　：　４点
普通　　　　　　　：　３点
やや不良　　　　　：　２点
不良　　　　　　　：　１点
（判定基準）
判定　　　　　　　：　評点の平均点
Ａ　　　　　　　　：　４．５以上
Ｂ　　　　　　　　：　３．５以上～４．５未満
Ｃ　　　　　　　　：　１．５以上～３．５未満
Ｄ　　　　　　　　：　１．５未満

　表２に示されるように、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６を０．５質量％以上配合した場合に、粉末分散性が優れることが確認された。
　一方で、表には示していないものの、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６を１０質量％より多く配合すると、粉末分散性は良いものの、べたつきが生じ、使用性に劣る結果となった。

＜実施例５～９及び比較例１０～１６＞
　油分に占める揮発性炭化水素油（イソドデカン）、揮発性シリコーン油（ジメチルポリシロキサン）、極性油（ミリスチン酸イソプロピル）の配合比率を変えて、以下の表３及び表４に記載の組成を有する粉末分散組成物を調製し、上記と同様に粉末分散性と使用性を調べた。

　表３及び表４に示されるように、極性油が油分全量の３５～８０質量％を占め、かつ、揮発性油の２０質量％以上が揮発性炭化水素油である場合には、優れた粉末分散性と使用性を有することが確認された。
　一方で、全油分に占める極性油の配合量又は揮発性油に占める揮発性炭化水素油の配合量のいずれかが上記範囲を外れると、粉末分散性や使用性が悪くなる傾向があることが認められた。

　以下に、本発明の化粧料の処方を例示する。本発明はこれらの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。なお、配合量は全て化粧料全量に対する質量％で表す。

処方例１：サンスクリーン
（成分名）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　配合量（質量％）
（１）イソドデカン　　　　　　　　　　　　　　　　　１０．０
（２）ジメチルポリシロキサン(1.5cs) 　　　　　　　　１５．０
（３）ミリスチン酸イソプロピル　　　　　　　　　　　１８．７
（４）オクトクリレン　　　　　　　　　　　　　　　　　５．０
（５）サリチル酸エチルヘキシル　　　　　　　　　　　　５．０
（６）ＰＥＧ－９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン　１．５
（７）ポリリシノレイン酸ポリグリセリル－６　　　　　　２．０
（８）ジステアルジモニウムヘクトライト　　　　　　　　０．３
（９）酸化チタン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２．０
（１０）酸化亜鉛　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１．０
（１１）タルク　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７．０
（１２）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残余
（１３）ＥＤＴＡ－３Ｎａ　　　　　　　　　　　　　　　０．１
（１４）エタノール　　　　　　　　　　　　　　　　　　６．０
（１５）グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　１．０

Claims

　（Ａ）粉末、（Ｂ）油分、及び（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルを含む粉末分散組成物であって、
　（Ｂ）油分が（ｂ１）極性油と（ｂ２）揮発性油とを含み、
　（ｂ１）極性油は（Ｂ）油分全量の３５～８０質量％を占め、
　（ｂ２）揮発性油の２０質量％以上は揮発性炭化水素油であり、
　（Ｃ）ポリリシノレイン酸ポリグリセリルは粉末分散組成物の全量に対し０．５～１０質量％である、粉末分散組成物。
　（ｂ１）極性油が油溶性紫外線吸収剤及びＩＯＢ値が０．１～０．８であるエステル油から選択されることを特徴とする、請求項１に記載の粉末分散組成物。
　（ｂ２）揮発性油が揮発性シリコーン油を含有することを特徴とする、請求項１又は２に記載の粉末分散組成物。
　揮発性炭化水素油が、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び水添ポリイソブテンから選択される一種以上であることを特徴とする、請求項１～３のいずれか一項に記載の粉末分散組成物。
　請求項１～４のいずれか一項に記載の粉末分散組成物からなる化粧料。
　請求項１～４のいずれか一項に記載の粉末分散組成物を油相とする乳化化粧料。