JP2013256450A - 粉末化粧料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低粘度でも沈降速度が遅いため、粉末凝集しにくい粉末化粧料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 (a)〜(d)成分を含み、粘度が3000mPa・s以下であることを特徴とする粉末化粧料。
(a)無機粉末
(b)油性成分
(c)シリコーン系界面活性剤
(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤
【選択図】 なし

Description

本発明は粉末化粧料およびその製造方法に関し、特に低粘度でも粉末の沈降速度が遅いため、粉末が凝集しにくい粉末化粧料およびその製造方法に関する。
従来、化粧料に無機粉末を配合することにより、紫外線からの肌の保護、シミやソバカスなどの隠蔽、皮脂吸収等の機能を付与することが行われてきた。
しかし、これらの無機粉末は、油性基剤中に分散しづらく、そのまま油性基剤に配合することは困難である。また、乳化化粧料とする際、粉末を含む油相部に、界面活性剤を添加し水相部を加えて乳化すると、粉末と界面活性剤、水との相互作用により、凝集を生じることがある。この結果、安定性に問題を生じるとともに、粉末が本来有する機能にも支障を生じる。
HLBの低い界面活性剤や両親媒性物質(イソステアリン酸等、特許文献1参照)、アルコール(エタノール、イソステアリルアルコール等)が、無機粉末の分散性を向上させることはよく知られている。
しかし、これらの従来から汎用されている成分を組み合わせても、低粘度領域における無機粉末の沈降を抑制することは困難である。
また、有機変性粘土鉱物や高分子ゲル化剤等を配合することにより、化粧料を増粘させ、無機粉末の沈降を抑制できることが知られている。
しかし、化粧料の粘度が高いと、のびが悪くなり、肌上に薄く均一に塗布することが困難である。このため、厚付きになって色ムラが生じ、自然な仕上がりにはならない場合がある。また、サンスクリーンにおいては、全身に塗布するのが困難であり、塗布ムラにより部分的に日焼けをしてしまう場合がある。
特開平8−259418号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、低粘度でも粉末の沈降速度が遅いため、粉末が凝集しにくい粉末化粧料およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、(a)無機粉末と、(b)油性成分と、(c)シリコーン系界面活性剤と、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤を配合することで、低粘度でも粉末の沈降速度が遅いため、粉末が凝集しにくい粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる粉末化粧料は、(a)〜(d)成分を含み、粘度が3000mPa・s以下であることを特徴とする。
(a)無機粉末
(b)油性成分
(c)シリコーン系界面活性剤
(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤
前記粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量が0.1〜3質量%であることが好適である。
前記粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量がノニオン界面活性剤中50%以上であることが好適である。
前記粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤にPOEアルキルエーテルおよび/またはPOEグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好適である。
前記粉末化粧料において、(b)成分に油溶性増粘剤を含むことが好適である。
前記粉末化粧料において、沈降速度が0.25μm/s以下であることが好適である。
前記粉末化粧料において、(a)成分の配合量が0.1〜50質量%、(b)成分の配合量が10〜80質量%、(c)成分の配合量が0.1〜15質量%、(d)成分の配合量が0.2〜6質量%であることが好適である。
前記粉末化粧料において、水性成分を含むことが好適である。
本発明にかかる油性粉末化粧料は、前記粉末化粧料からなることが好適である。
本発明にかかる油中水型粉末化粧料は、水性成分を含む前記粉末化粧料からなることが好適である。
前記油中水型粉末化粧料において、(a)〜(d)成分を混合後、水性成分を添加し、乳化して得られることが好適である。
本発明にかかる、粘度3000mPa・s以下の粉末化粧料の製造方法は、(a)無機粉末、(b)油分、(c)シリコーン系界面活性剤、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤を加熱溶解および分散後、水性成分を添加および乳化することを特徴とする。
本発明にかかる粉末化粧料は、(a)無機粉末と、(b)油性成分と、(c)シリコーン系界面活性剤と、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤を含むことにより、低粘度でも粉末の沈降速度が遅いため、粉末が凝集しにくい粉末化粧料が得られる。
本発明の粉末化粧料は、(a)無機粉末と、(b)油性成分と、(c)シリコーン系界面活性剤と、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤と、を含み、粘度が3000mPa・s以下であることを特徴とする。
以下、各成分について詳細に説明する。
((a)無機粉末)
無機粉末は、化粧料に通常配合可能なものが使用できる。
無機粉末としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、群青、紺青、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、酸化クロム、水酸化クロム等が挙げられる。
(a)無機粉末として、無機粉末表面を疎水化処理した疎水化処理無機粉末を用いることが好ましい。
疎水化処理無機粉末は、無機粉末を、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、またはスクワラン、パラフィン等の炭化水素類を、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等により疎水化処理したものである。
(a)無機粉末の配合量は、化粧料全量に対して0.1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。配合量が少なすぎると、粉末の沈降速度が速くなる場合がある。また、(a)成分の配合量は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。配合量が多すぎると、粘度が高くなる場合がある。
((b)油性成分)
(b)油性成分は、化粧料に通常配合可能なものが使用できる。
油性成分としては、例えば、油溶性増粘剤、シリコーン油分、極性油分、非極性油分、固形油分、半固形油分、油溶性紫外線吸収剤、油溶性薬剤等が挙げられる。
本発明の(b)成分には、油溶性増粘剤を含むことが好ましい。
油溶性増粘剤としては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、ジベンジリデンソルビトール等のベンズアルデヒド類等と5価以上のアルコールとの縮合物、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド等のN−アシルアミノ酸のアミド、エステル、アミン塩等の誘導体等、12−ヒドロキシステアリン酸、有機変性ベントナイト等が挙げられる。
油溶性増粘剤を配合する場合、その配合量は0.1質量%以上であることが好ましい。配合量が少なすぎると、沈降速度が速くなる場合がある。また、油溶性増粘剤の配合量が3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。配合量が多すぎると、粘度が高くなる場合がある。
シリコーン油分としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどの鎖状シリコーン油、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン油等が挙げられる。
極性油分としては、例えば、ジイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ピバリン酸トリプロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソデシル、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、エチルヘキサン酸セチルなどのエステル油等が挙げられる。
非極性油分としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソヘキサデカン等の炭化水素油等が挙げられる。
固形油分としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油などの固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプスワックスなどの炭化水素類、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール等が挙げられる。
半固形油分としては、例えば、ワセリン、ラノリン、シア脂、部分水添ヤシ油などの植物脂、部分水添ホホバ油、ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6−エステルズベヘネート、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等が挙げられる。
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
油溶性薬剤としては、例えば、ビタミンA(レチノール)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよびそれらの誘導体等の油溶性ビタミン類(ビタミンA油、パルミチン酸レチノール等)、ビタミンCやアルブチン等の水溶性薬剤の油溶性誘導体(ビタミンCパルミテート等)、油溶性植物抽出物、油溶性香料、表面を疎水化処理した物質、シクロスポリン等が挙げられる。
(b)油性成分の配合量は、化粧料全量に対して10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。配合量が少なすぎると、粘度が高くなり使用感に劣る場合がある。また、(b)成分の配合量は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。配合量が多すぎると、粘度が高くなり使用感に劣る場合がある。
((c)シリコーン系界面活性剤)
本発明に用いられる(c)シリコーン系界面活性剤は、疎水性基としてポリシロキサン構造を有する界面活性剤であれば、特に限定されるものではない。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、下記一般式(1)に示すポリオキシアルキレン変性シリコーンが挙げられる。
(式中、Rは、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。Aは、少なくともその1つが式: −(CH−(CO)−(CO)−R (式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、aは1〜6、bは0〜50、cは0〜50の整数であり、b+cは少なくとも5以上である。)で示されるポリオキシアルキレン基であり、その他のAは水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。mは1〜200、nは0〜50の整数である。)
一般式(1)において、Rは、主鎖のポリシロキサン構造における側鎖であって、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、これらは同一であっても、あるいは異なっていてもよい。例えば、Rがすべてメチル基である場合にはジメチルポリシロキサン構造、メチル基及びフェニル基である場合には、メチルフェニルポリシロキサン構造となる。また、Aは、主鎖のポリシロキサン構造において、ポリオキシアルキレン基が導入され得る箇所であり、少なくともその1つが式: −(CH−(CO)−(CO)−R (式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、aは1〜6、bは0〜50、cは0〜50の整数であり、b+cは少なくとも5以上である。)で示されるポリオキシアルキレン基である。
一般式(1)において、Aの一部が前記ポリオキシアルキレン基である場合に、その他のAは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であってもよい。例えば、末端の2つのAがポリオキシアルキレン基である場合、A−B−A型で示されるポリオキシアルキレン変性シリコーンとなる。他方、非末端のAのみがポリオキシアルキレン基である場合、ペンダント型のポリオキシアルキレン変性シリコーンとなる。ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン基のいずれであってもよい。
非置換ポリシロキサン構造のモル数を示すmは1〜200であり、ポリオキシアルキレン置換ポリシロキサン構造のモル数を表すnは0〜50である。なお、nが0の場合には、末端の2つのAのいずれかあるいは両方が、ポリオキシアルキレン基である必要がある。
このような(c)シリコーン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン(12)変性ジメチルポリシロキサン(直鎖状ジメチルポリシロキサンの側鎖メチル基をポリオキシエチレン(12モル)基により置換したペンダント型のポリオキシアルキレン変性シリコーン)、ポリオキシエチレン(8)変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン(20)変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。この他にABAタイプポリオキシエチレン−メチルシロキサン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーなどがある。これらのポリオキシエチレン変性シリコーンの場合、全分子量中に占めるエチレンオキサイドの分子量は20〜60%であることが望ましい。
また、(c)シリコーン系界面活性剤として、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを用いることもできる。ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンとは、直鎖構造のポリオキシアルキレン変性シリコーンを基本として、シロキサン鎖が分岐した構造を有し、さらに、シロキサン主鎖に長鎖アルキル基を共変性したものを示す。
ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンとしては、具体的には、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン等が挙げられる。
本発明に用いられる(c)シリコーン系界面活性剤は、公知の製法により製造しても、市販品を用いてもよい。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、KF−6028、KF−6038(以上、信越化学工業社製)、SH0938B、SH3772M、SH3773M、SH3775M(以上、東レ・ダウコーニング社製)、IM−22(Wacker Chemical社製)等が挙げられる。また、これらの(c)シリコーン系界面活性剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(c)シリコーン系界面活性剤の配合量は、化粧料全量に対して0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。配合量が少なすぎると、粉末の沈降速度が速くなる場合がある。また、(c)成分の配合量は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。配合量が多すぎると、粘度が高くなる場合がある。
((d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤)
本発明の(d)分散剤として、HLB8以上のノニオン界面活性剤を含むことが必要である。HLB8以上のノニオン界面活性剤は、化粧料に通常配合可能なものが使用できる。
HLB8以上のノニオン界面活性剤としては、例えば、POEアルキルエーテル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
HLB8以上のノニオン界面活性剤としては、POEアルキルエーテルおよび/またはPOEグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
これらのうち、POEベヘニルエーテル、POEイソステアリルエーテル、トリイソステアリン酸PEGグリセリルから選択される1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
POEベヘニルエーテル、POEイソステアリルエーテル、トリイソステアリン酸PEGグリセリルのオキシエチレン基の平均付加モル数は、それぞれ、2〜30、2〜10、3〜60であることが好ましく、5〜20、3〜8、3〜30であることがより好ましい。
HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量は、化粧料全量中0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。また、配合量が3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。配合量が少なすぎる場合や、多すぎる場合、粉末の沈降速度が速くなり、粉末が凝集する場合がある。
また、HLB8以上のノニオン界面活性剤は、ノニオン界面活性剤中50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。HLB8未満のノニオン界面活性剤が多すぎると、粉末の沈降速度が速くなり、粉末が凝集する場合がある。
また、本発明の(d)分散剤として、イソステアリン酸を含むことも必要である。
イソステアリン酸の配合量は、化粧料全量中0.1質量%以上であることが好ましい。配合量が少なすぎると、粉末の分散性が悪くなる場合がある。また、イソステアリン酸の配合量は、化粧料全量中3質量%以下であることが好ましい。配合量が多すぎると、粘度が高くなる場合がある。
本発明の粉末化粧料は、粘度が3000mPa・s以下であることを特徴とする。本発明の粉末化粧料は、従来困難であった低粘度領域での沈降速度の抑制を実現できたものである。
このような粘度を有する粉末化粧料は、上記必須成分である(a)〜(d)成分を適宜配合した場合に得ることができる。しかし、粘度が3000mPa・sを超えるように、例えば増粘剤を高配合した粉末化粧料等は、本発明には含まれない。
また、本発明の粉末化粧料は、沈降速度が0.25μm/s以下であることが好ましく、沈降速度が0.2μm/s以下であることがより好ましい。
本発明の粉末化粧料の剤型は任意であり、乳化系、水−油二層系等、任意の形態で提供することができる。
本発明の粉末化粧料は、そのまままたは油性成分で希釈して油性粉末化粧料とすることができるが、粉末化粧料を水性成分と公知の方法により乳化処理して、油中水型乳化粉末化粧料とすることが好ましい。
水性成分を用いる場合、化粧料に通常配合可能なものを、化粧料の安定性を損なわない範囲で使用することができる。
このような水性成分としては、例えば、水、低級アルコール、保湿剤、水溶性増粘剤、水溶性紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、水溶性薬剤等が挙げられる。
本発明の粉末化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧料に配合される他の成分(例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、皮膜剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止助剤、香料等)を配合することもできる。
本発明の粉末化粧料は、常法により製造することができる。
しかし、油中水型乳化粉末化粧料を得る場合には、HLB8以上のノニオン界面活性剤を油相に添加することが好ましい。すなわち、(a)無機粉末、(b)油分、(c)シリコーン系界面活性剤、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤を加熱溶解および分散後、水性成分を添加および乳化して油中水型乳化粉末化粧料を得ることが好ましい。HLB8以上のノニオン界面活性剤を油相に添加することで、より沈降速度が遅く、分散性に優れた化粧料を得ることができる。
本発明の粉末化粧料は、油性粉末化粧料、油中水型乳化粉末化粧料、固形粉末化粧料等に適用することができる。そのような粉末化粧料としては、例えば、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、化粧下地、サンスクリーン、ボディーパウダー、パフュームパウダー、ベビーパウダー、プレストパウダー、デオドラントパウダー、おしろい、アイシャドウ等が挙げられる。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた試験の評価方法について説明する。
評価(1):粘度
調製直後の試料における粘度を、ビスメトロンVDA2型(芝浦システムズ社製)にて、温度30℃、回転速度12rpmの条件で測定した。
評価(2):沈降速度
調製直後の試料における粉末の沈降速度を、分散安定性分析装置LUMiSizer611(ドイツL.U.M.社製)にて、温度25℃、回転速度4000rpm、試験時間60分の条件で測定した。
本発明者らは、これまで検討がなされていなかった、粉末化粧料中の粉末の沈降速度に注目した。すなわち、粉末の凝集を防ぎ、分散性および再分散性に優れた粉末化粧料を得るために、沈降速度が遅い試料の組成および製造方法について検討を行った。
はじめに、下記表1に示す配合組成で油中水型乳化粉末化粧料を、下記製造方法により製造した。そして、評価項目(1)および(2)について、上記評価方法で評価した。結果を表1に示す。
・油中水型乳化粉末化粧料(リキッドファンデーション)製造方法
油性成分に、界面活性剤および分散剤を添加し、加熱溶解・分散させた。この混合物に無機粉末を添加・分散することで油相を得た。次に、油相中に水性成分を添加し、乳化することで、油中水型乳化粉末化粧料を得た。
(*1):BENTON 38VCG(エレメンティススペシャリティーズ社製)をデカメチルシクロペンタシロキサン中に高分散処理したサンプル(有機変性ベントナイト10重量%品)。表中、配合量は実分で示してある。
(*2):KF-6028(信越化学工業社製)
表1によると、試験例Aの試料は、粘度が低いが、沈降速度には改善の余地があった。
また、試験例Aの油溶性増粘剤を増量した試験例Bや、異なる油溶性増粘剤を配合した試験例Cは、沈降速度を抑制することができた。しかし、その粘度は大幅に高くなり、粘度由来ののびの悪さを有していた。
また、試験例AにPOE(20)ベヘニルエーテルを添加した試験例Dは、粘度が非常に低いままで、沈降速度を抑制できた。
そこで、POE(20)ベヘニルエーテルのような、試料を低粘度に維持したままで、沈降速度を抑制することができる成分の検討を行った。
本発明者らは、下記表2に示す配合組成の比較例(試験例A)に、分散剤として各種ノニオン界面活性剤を配合したものを検討試験例とした。
本発明者らは、検討試験例の組成で、下記表3〜表5に示す各種ノニオン界面活性剤を用いて、上記製造方法により油中水型乳化粉末化粧料を製造した。そして、評価項目(1)および(2)について、上記評価方法で評価した。結果を表3〜5に示す。
表3〜5によると、POE(20)ベヘニルエーテル以外にも、さまざまなノニオン界面活性剤を分散剤として配合した場合に、沈降速度の抑制が可能であることがわかった。また、ノニオン界面活性剤のうち、POEアルキルエーテルおよびPOEグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましいことが明らかになった。
次に、分散剤として配合されるノニオン界面活性剤のHLBについて検討を行った。
本発明者らは、検討試験例の組成で、下記表6に示す各種ノニオン界面活性剤を用いて、上記製造方法により油中水型乳化粉末化粧料を製造した。そして、評価項目(1)および(2)について、上記評価方法で評価した。結果を表6に示す。
表6によると、HLBが低いノニオン界面活性剤のみを配合した試験例2および3は、沈降速度の抑制が見られなかった。
以上のことから、本発明にかかる粉末化粧料は、(a)無機粉末と、(b)油分と、(c)シリコーン系界面活性剤と、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤と、を含み、粘度が3000mPa・s以下であることが必要である。
また、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量がノニオン界面活性剤中50%以上であることが好ましいことが明らかになった。
次に、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量について検討を行った。
本発明者らは、上記製造方法により、下記表7に示す配合組成の油中水型乳化粉末化粧料を製造した。そして、評価項目(1)および(2)について、上記評価方法で評価した。結果を表7に示す。
表7によると、HLB8以上のノニオン界面活性剤を適宜配合した試験例2、2−2、3は、沈降速度を抑制することができた。
したがって、本発明にかかる粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量が0.1〜3質量%であることが好ましい。
次に、油中水型乳化粉末化粧料の製造方法について検討を行った。
本発明者らは、検討試験例の組成で、下記表8に示す各種ノニオン界面活性剤を用いて、上記製造方法と同様の製法である製法1または、下記に示す製法2により、油中水型乳化粉末化粧料(リキッドファンデーション)を製造した。そして、評価項目(1)および(2)について、上記評価方法で評価した。結果を表8に示す。
・製法1(ノニオン界面活性剤を油相に添加する方法)
油性成分を混合し、界面活性剤および分散剤を添加し、加熱溶解・分散させた。この混合物に無機粉末を添加・分散することで油相を得た。次に、油相中に水性成分を添加し、乳化することで、油中水型乳化粉末化粧料を得た。
・製法2(ノニオン界面活性剤を水相に添加する方法)
油性成分を混合し、界面活性剤、イソステアリン酸、無機粉末を添加・分散し、油相を得た。次に、水性成分に各種ノニオン界面活性剤を加熱溶解させ、水相を得た。油相中に水相を添加し、乳化することで、油中水型乳化粉末化粧料を得た。
表8によると、組成が同じでも、ノニオン界面活性剤を添加する相(製造方法)により、得られる粉末化粧料の沈降速度が異なることがわかる。
したがって、本発明にかかる油中水型乳化粉末化粧料は、通常水相に添加されるPOEアルキルエーテル等の親水性のノニオン界面活性剤を、油相に添加して得られることが好ましい。
以下に、本発明にかかる粉末化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって限定されるものではない。
処方例1 W/Oリキッドファンデーション
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 20 質量%
(2)イソヘキサデカン 10
(3)ジメチルポリシロキサン 5
(4)ポリエーテル変性シリコーン 2
(5)イソステアリン酸 0.5
(6)有機変性ベントナイト 0.1
(7)ポリメチルメタクリレート球状粉末 5
(8)疎水化処理黄酸化鉄 2
(9)疎水化処理赤酸化鉄 1
(10)疎水化処理黒酸化鉄 0.2
(11)疎水化処理酸化チタン 8
(12)イオン交換水 残量
(13)ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル(HLB14.6)

(14)グリセリン 2
(15)1,3−ブチレングリコール 5
(16)フェノキシエタノール 0.5
・製造方法
(1)〜(5)を混合し、そこに(6)〜(11)を添加し分散させる。その後(12)〜(16)の水相を添加し乳化させ、目的のリキッドファンデーションを得た。
処方例2 W/O化粧下地
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 37 質量%
(2)ジメチルポリシロキサン 5
(3)ポリエーテル変性シリコーン 3
(4)イソステアリン酸 0.5
(5)有機変性ベントナイト 0.2
(6)疎水化処理酸化チタン 2
(7)オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉末 5
(8)疎水化処理黒酸化鉄 0.2
(9)疎水化処理タルク 5
(10)イオン交換水 残量
(11)ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル(HLB9.0)

(12)グリセリン 2
(13)1,3−ブチレングリコール 2
(14)フェノキシエタノール 0.5
・製造方法
(1)〜(5)を混合し、そこに(6)〜(9)を添加し分散させる。その後(10)〜(14)の水相を添加し乳化させ、目的の化粧下地を得た。
処方例3 W/Oサンスクリーン
(1)ジメチルポリシロキサン 5 質量%
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 25
(3)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
(4)イソノナン酸イソノニル 5
(5)トリメチルシロキシケイ酸 5
(6)アミノ置換2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体 2
(7)ベンゾトリアゾール誘導体 5
(8)ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1
(9)イソステアリン酸 1
(10)球状ポリアクリル酸アルキル粉体 5
(11)疎水化酸化亜鉛 15
(12)精製水 残量
(13)ジプロピレングリコール 5
(14)イソステアリン酸PEG−20グリセリル(HLB15.4) 0.8
(15)グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
(16)グルタチオン 0.1
(17)チオタウリン 0.05
(18)クララエキス 0.1
(19)パラベン 0.1
(20)フェノキシエタノール 0.3
・製造方法
(1)〜(9)を混合し、そこに(10)〜(11)を分散させる。その後(12)〜(20)までの水相を添加し乳化させ、目的のサンスクリーンを得た。
処方例4 油性リキッドファンデーション
(1)ジメチルポリシロキサン 10 質量%
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
(3)イソヘキサデカン 10
(4)ポリエーテル変性シリコーン 2
(5)イソステアリン酸 0.5
(6)ポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル(HLB12.4)
0.5
(7)有機変性ベントナイト 0.1
(8)ポリメチルメタクリレート球状粉末 5
(9)疎水化処理黄酸化鉄 3
(10)疎水化処理赤酸化鉄 1.5
(11)疎水化処理黒酸化鉄 0.3
(12)疎水化処理酸化チタン 12
・製造方法
(1)〜(6)を加熱溶解し、そこに(7)〜(12)を添加し分散させる。その後、室温にまで冷却し、目的の油性リキッドファンデーションを得た。

Claims (12)

  1. (a)〜(d)成分を含み、粘度が3000mPa・s以下であることを特徴とする粉末化粧料。
    (a)無機粉末
    (b)油性成分
    (c)シリコーン系界面活性剤
    (d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤
  2. 請求項1に記載の粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量が0.1〜3質量%であることを特徴とする粉末化粧料。
  3. 請求項1または2に記載の粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤の配合量がノニオン界面活性剤中50%以上であることを特徴とする粉末化粧料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粉末化粧料において、HLB8以上のノニオン界面活性剤にPOEアルキルエーテルおよび/またはPOEグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする粉末化粧料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の粉末化粧料において、(b)成分に油溶性増粘剤を含むことを特徴とする粉末化粧料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粉末化粧料において、沈降速度が0.25μm/s以下であることを特徴とする粉末化粧料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の粉末化粧料において、(a)成分の配合量が0.1〜50質量%、(b)成分の配合量が10〜80質量%、(c)成分の配合量が0.1〜15質量%、(d)成分の配合量が0.2〜6質量%であることを特徴とする粉末化粧料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の粉末化粧料において、水性成分を含むことを特徴とする粉末化粧料。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の粉末化粧料からなることを特徴とする油性粉末化粧料。
  10. 請求項8に記載の粉末化粧料からなることを特徴とする油中水型粉末化粧料。
  11. 請求項10に記載の油中水型粉末化粧料において、(a)〜(d)成分を混合後、水性成分を添加し、乳化して得られることを特徴とする油中水型粉末化粧料。
  12. (a)無機粉末、(b)油分、(c)シリコーン系界面活性剤、(d)HLB8以上のノニオン界面活性剤およびイソステアリン酸を含む分散剤を加熱溶解および分散後、水性成分を添加および乳化することを特徴とする、粘度3000mPa・s以下の粉末化粧料の製造方法。
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