JP2019106446A - 研磨パッド及び研磨加工物の製造方法 - Google Patents

研磨パッド及び研磨加工物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐汚染性に優れる上、研磨レートにも優れる研磨パッド及びそれを用いた研磨加工物の製造方法を提供する。【解決手段】研磨パッドは、被研磨物を研磨するための研磨面を有する無発泡の樹脂シート12を備る。研磨面は、織物又は編物200の表面の凹凸形状21に対応する凸凹形状11を有する。この形状は、凹部11aが繊維22の起伏の規則的な並びに対応するように複数形成されたものである。これにより、研磨スラリーの保持、排出に優れ、高い研磨レートを発揮することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨パッド及び研磨加工物の製造方法に関する。
現在、次世代パワー半導体素子材料として、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などが用いられている。これらの半導体基板の加工プロセスでは、表面の粗さを大まかに取り除くために、1次ラッピング研磨(粗ラッピング)、2次ラッピング研磨(仕上げラッピング)を行い、その後、表面の平坦性を更に向上させ、かつ、表面の微細な傷を除去して鏡面化するために、化学機械研磨(CMP)による1次研磨(粗研磨)、2次研磨(仕上げ研磨)が行われる。
炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの半導体材料は、比較的に硬度が高く、耐腐食性に優れる。そのため、CMPを行うにあたっては、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を含む研磨スラリーが用いられることがある(例えば、特許文献1)。
しかしながら、用いる研磨パッドが、織布又は不織布を用いた研磨パッドである場合や、多孔質の樹脂シートを研磨面として使用する研磨パッドである場合、研磨工程において酸化剤等を含む研磨スラリーが研磨パッド内に浸潤しやすくなる(例えば、特許文献2)。
特開2012−248569号公報 特表2009−504426号公報
研磨スラリーの研磨パッドへの浸潤は、研磨スラリーの保持力向上に伴う研磨レート向上という点からは、有利なものと考えられる。しかしながら、研磨パッドに浸潤した研磨スラリーは洗浄等で容易に除去することはできず、研磨パッドの劣化(寿命短縮)をもたらす汚染の原因となる。このような研磨スラリーの研磨パッドへの浸潤を回避するため、非多孔質の樹脂シートを研磨面として使用することが考えられるが、このような樹脂シートはかえって研磨スラリーの保持力に劣るものとなり、研磨レートの点から問題がある。
このような問題を回避するために、非多孔質の樹脂シートの表面に凹凸パターンを付与し、凹凸パターンが形成する溝にスラリーを保持させることが考えられる。しかしながら、織布又は不織布を用いた研磨パッド等が有する表面の微細形状に相当する凹凸パターンを、非多孔質の樹脂シートの表面に形成することは容易ではなく、研磨レートの向上という観点においては、さらに改善の余地がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐汚染性に優れる上、研磨レートにも優れる研磨パッド及びそれを用いた研磨加工物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討した。その結果、所定の凸凹形状を有する無発泡樹脂シートを用いることにより、上記問題点を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
被研磨物を研磨するための研磨面を有する無発泡の樹脂シートを備え、
前記研磨面が、織物又は編物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有する、
研磨パッド。
〔2〕
前記樹脂シートを構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、
〔1〕に記載の研磨パッド。
〔3〕
前記樹脂シートのASTM D570に基づく吸水率が、0.050%以下である、
〔1〕又は〔2〕に記載の研磨パッド。
〔4〕
前記研磨面が、織物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有するものである、
〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔5〕
前記織物が、平織組織、綾織組織、又は朱子織組織を有するものである、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔6〕
前記織物の経糸間又は緯糸間の目開きが、100〜5000μmである、
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔7〕
前記織物又は編物の繊維径が、20〜1000μmである、
〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔8〕
前記織物の目開き率が、30〜80%である、
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔9〕
前記樹脂シートのD硬度が、20〜60度である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔10〕
研磨スラリーの存在下、〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する研磨工程を有する、
研磨加工物の製造方法。
本発明によれば、耐汚染性に優れる上、研磨レートにも優れる研磨パッド及びそれを用いた研磨加工物の製造方法を提供することができる。
本実施形態の研磨パッドの凸凹形状を説明するための概略図である。 本実施形態の研磨パッドの一態様を表す概略図である。 本実施形態の研磨パッドの製造工程を表す概略図である。 実施例1の洗浄後の研磨パッドの表面を表す写真である。 比較例3の洗浄後の研磨パッドの表面を表す写真である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔研磨パッド〕
本実施形態の研磨パッドは、被研磨物を研磨するための研磨面を有する無発泡の樹脂シートを備え、前記研磨面が、織物又は編物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有する。
図1を参照しつつ、織物又は編物の表面の凹凸形状、及び、それに対応する凸凹形状を説明する。図1の(a)は織物又は編物の断面から見た凹凸形状と、研磨パッドの研磨面の凸凹形状とが対応している状態を示す断面図であり、図1の(b)は研磨パッドの研磨面の凸凹形状を示す断面図であり、図1の(c)は図1の(b)においてPで示した範囲の凹部を示す斜視図である。織物又は編物の表面の凹凸形状21とは、織物又は編物200の表面に存在する繊維22が構成する立体的な形状であり、編み方又は織り方に応じた繊維22の起伏の形状ということができる(図1(a))。また、樹脂シート12の研磨面に形成される凹凸形状21に対応する凸凹形状11とは、凹凸形状21の凸部21aに対応する箇所が凹部11aとして形成されていることにより、凹凸形状21の凸部21aを凸凹形状11の凹部11aに嵌めあわせた時に、凹凸形状と凸凹形状とが嵌合する形状をいう(図1(a)、(b))。言い換えると、凹凸形状21の凸部21aと凸凹形状11の凹部11aとは、互いに補完し合う形状(研磨面の凹形状が織物又は編物の表面の凸形状に対応する形状)であり、一方の凹凸が他方に凸凹として転写された形状ということもできる。なお、本実施形態においては、凹凸形状21の凹部21bと、凸凹形状11の凸部bとが完全に補完し合う形状であることまでは要しない。
織物又は編物の表面の凹凸形状の凸部の一つ一つは、それぞれが一本の繊維の起伏により構成される。そのため、これに対応する凸凹形状の凹部の一つ一つは、一本の繊維の起伏に対応する形状となる。すなわち、凸凹形状の凹部の一つ一つは、研磨面と平行な面(研磨面に対向する方向)から見れば、扁平率の大きい楕円に近い形状を有するものとなり、半楕円体に近い形状(略半楕円体)を有する溝と理解することができる(図1(c))。
図2に、本実施形態の研磨パッド100の一態様を表す概略図を示す。図2の上側は、研磨パッドを研磨面に対向する方向から見た概略平面図であり、図2の下側は上側のA−A’断面で切断したときに表される断面図を概略的に示すものである。図2に示すように、本実施形態の研磨パッド100の樹脂シート12の研磨面に存在する凸凹形状は、織物又は編物の表面の繊維の起伏に対応する凹部11aが、織物又は編物の表面を構成する繊維の規則的な並びに対応するように、複数形成されてなるものである。また、凹部11a以外の部分が、凸部11b(被研磨物に接触する部分)となる。
このような略半楕円体の凹部11a(被研磨物に接触しない部分)は、研磨スラリーの保持力に優れる。また、略半楕円体の凹部は、短径方向D2と比較して長径方向D1に研磨スラリーを排出しやすく、研磨スラリーの排出と保持のバランスに優れたものとなる。このような凹部11aが規則的に配された研磨面を有することにより、本実施形態の研磨パッドはより高い研磨レートを発揮することが可能となる。なお、このような凹部が規則的に配された研磨面を有する研磨パッドは、例えば、凸部(被研磨物に接触する部分)が互いに独立して(例えば、ドット状)に配されたパターンを有する研磨面を有する研磨パッドと比較して、研磨スラリーの保持力に優れるものとなる。
また、上記凹部が織物又は編物の表面を構成する繊維の規則的な並びに対応するように複数形成されることにより、より均質な研磨が可能となり、得られる被研磨物の面品位もより向上する。
さらに、本実施形態の研磨パッドは、織物又は編物そのものを基材として用いた研磨パッドではなく、無発泡の樹脂シートの表面を研磨面とするものである。そのため、例えば、織物若しくは編物、又は不織布等の繊維基材に樹脂を含浸させた研磨パッド、又は、発泡型若しくは有孔型の樹脂シートを用いた研磨パッドにおいて見られるような、研磨スラリーが研磨過程で研磨パッド内に浸潤し、研磨パッドが汚染されるという問題は、本実施形態の研磨パッドにおいては生じることがない。また、このような研磨パッドの構造に起因する耐汚染性は研磨パッドの洗浄の観点からも有利であり、本実施形態の研磨パッドであれば、研磨加工後の研磨スラリーが付着した研磨パッドの研磨面をより容易に洗浄することができ、研磨加工前に近い状態に戻すことができる。そして、このような研磨加工時の耐汚染性及び研磨加工後の洗浄性に優れる結果として、本実施形態の研磨パッドは、研磨スラリーによる劣化に対して優れた耐性を有することとなる。
また、本実施形態の研磨パッドは無発泡の樹脂シートを用いるため、気泡を有することに起因する塑性変形や破損の問題を回避することも可能となる。なお、本実施形態において「無発泡」とは、樹脂シートの内部及び表面に気泡を有しないことをいう。
なお、本実施形態においては、織物の織り方や編物の編み方の種類、繊維の太さ、織物の目開き(織物の経糸間及び緯糸間の目開き)及び目開き率、編物のカバーファクター、度目、編み込み長、ゲージや密度、並びに、1inch当たりの打ち込み本数を調整することで、任意の大きさ及び分布で凹部を構成することができる。
〔樹脂シート〕
樹脂シートを構成する樹脂は、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、及びこれらの共重合体等のポリアクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂:又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの上記樹脂を構成するモノマー同士の共重合体が挙げられる。このなかでも、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体がより好ましい。このような樹脂を用いることにより、研磨スラリーに対する耐薬品性がより向上し、研磨パッドの研磨レートもより向上する傾向にある。また、後述する製造方法において、凸凹形状の成形性がより向上する傾向にある。なお、これらの樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂シートのASTM D570に基づく吸水率は、好ましくは0.050%以下であり、より好ましくは0.045%以下であり、さらに好ましくは0.040%以下である。吸水率の下限は、特に制限されないが、検出限界まで含むものとする。樹脂シートのASTM D570に基づく吸水率が上記範囲内であることにより、研磨スラリーの浸潤が抑制され又洗浄性にも優れるため、耐劣化性がより向上する傾向にある。また、吸水率が低く比較的疎水傾向の樹脂を用いた場合、研磨パッドの研磨スラリーの保持力は低下する傾向にあるが、本実施形態の凸凹形状を有する研磨面であれば研磨スラリーの保持力を維持することが可能となる。なお、樹脂シートのASTM D570に基づく吸水率は、例えば、樹脂シートを構成する樹脂の選択により調製することができる。また、ASTM D570に基づく吸水率は、3.18mm厚に成形した樹脂シートの試験片を、室温(23℃)、24時間水中に浸漬し、浸漬前の試験片の重量および24時間浸漬後の試験片の重量を測定し、以下式に従い算出することができる。
吸水率(%)=(24時間浸漬後の試験片の重量−浸漬前の試験片の重量)/浸漬前の試験片の重量×100
樹脂シートのD硬度は、好ましくは20〜60度であり、より好ましくは25〜55度であり、さらに好ましくは30〜50度である。D硬度が20以上であることにより、研磨レートがより向上する傾向にある。また、D硬度が60以下であることにより、被研磨物との密着性がより向上する傾向にある。なお、D硬度は、JIS K 6253に準じて測定することができる。また、D硬度は、例えば、樹脂シートを構成する樹脂の選択により、調整することができる。
(凸凹形状)
樹脂シートは、被研磨物を研磨するための研磨面を有し、その研磨面は、織物又は編物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有する。本実施形態の凸凹形状について、これに対応する凹凸形状を備える織物の織り方や編物の編み方の種類、繊維の太さ、織物の目開き及び目開き率、編物のゲージや密度、並びに、1inch当たりの打ち込み本数の観点から、以下説明する。
織物は、緯糸及び経糸で構成されたものであり、特に限定されないが、基本的には張った経糸に緯糸を通すことにより構成され、この緯糸の通し方が即ち織り方となる。織物を構成する組織としては、経糸と緯糸が1本おき(もしくは同数おき)に交差する平織組織;経糸と緯糸のいずれかが他方の上を1本、下を複数本通過させることを繰り返し、経糸と緯糸の交差する組織点が斜めの文様を形成する綾織組織;経糸か緯糸のいずれかがもっぱら表面に出るとともに、組織点が連続しないように計算された朱子織組織;平織組織、綾織組織、及び朱子織組織(三原組織)を変化させた変化組織及び特別組織が挙げられる。また、織り方は、これら組織を単体又は組み合わせて構成するものであれば制限されない。このなかでも、織物が、平織組織、綾織組織、又は朱子織組織を有するものであることが好ましい。織物がより規則的な組織構成である平織組織、綾織組織、又は朱子織組織を有することにより、研磨面の凸凹形状(特に凹部)がより規則的に構成され、結果として研磨レート及び得られる研磨物の面品位がより向上する傾向にある。
編物は、経編又は緯編で構成されたものであり、表裏面を形成する表裏面繊維と前記表裏面を連結する中間繊維とを有するものである。経編としては、特に限定されないが、例えば、シングルトリコット、ダブルトリコット等のトリコット;シングルラッセル、ダブルラッセル等のラッセル;及びミラニーズが挙げられる。また、緯編としては、特に限定されないが、例えば、シングル編、ダブル編等の丸編;リブ編、両面編、両頭編等の横編が挙げられる。また、シングル編としては、特に限定されないが、例えば、シンカー台丸編、吊り編、トンプキン編が挙げられる。ダブル編としては、特に限定されないが、例えば、フライス編、スムース編、ダンボール編が挙げられる。
上記のなかでも、比較的伸縮性がなく製造上有利であること、編み糸のループにより組織形成する編物に比較して直線的な織り糸による組織形成する織物の方がより好ましい略半楕円体の凹部を形成しやすいこと、略半楕円体の凹部の長径方向の向きを経糸及び緯糸の本数により調整しやすいことから、研磨面は織物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有するものであることが好ましい。このような研磨面を備えることにより、研磨レート及び得られる研磨物の面品位がより向上する傾向にある。
織物の経糸間及び緯糸間の目開きは、それぞれ、好ましくは100〜5000μmであり、より好ましくは200〜3000μmであり、さらに好ましくは300〜1000μmである。織物の経糸間又は緯糸間の目開きが100μm以上であることにより、研磨面の凸部(被研磨物に接触する部分)の面積がより向上し、研磨レートがより向上する傾向にある。また、織物の経糸間又は緯糸間の目開きが5000μm以下であることにより、研磨面の凹部の密度(単位面積当たりの数)がより向上し、研磨スラリーの保持及び排出がより適切に行われ、結果として研磨レートがより向上する傾向にある。織物の経糸間及び緯糸間の目開きは、下記式により算出することができる。
織物の経糸間又は緯糸間の目開き(μm)=25400/(1inchあたりの経糸又は緯糸の数)−(1inchあたりの経糸又は緯糸の総径)
編物のカバーファクターは、好ましくは35〜75であり、より好ましくは40〜70であり、さらに好ましくは45〜65である。編物のカバーファクターが35以上であることにより、研磨面の凸部(被研磨物に接触する部分)の面積がより向上し、研磨レートがより向上する傾向にある。また、編物のカバーファクターが75以下であることにより、研磨面の凹部の密度(単位面積当たりの数)がより向上し、研磨スラリーの保持及び排出がより適切に行われ、結果として研磨レートがより向上する傾向にある。編物のカバーファクターは、編物をフラットベッドスキャナーあるいはデジタルカメラにより画像データを取得し、得られた画像データに二値化処理をし、糸部分に相当する面積の割合を求めて算出した。なお、二値化処理は、一般的な二値化処理ソフトを用いて算出することができるが、例えば、「PickMap Version2.4」を用いて閏値を170に設定することで算出することができる。
織物の経糸間及び緯糸間の目開き率は、好ましくは30〜80%であり、より好ましくは35〜75%であり、さらに好ましくは40〜70%である。織物の目開き率が30%以上であることにより、研磨面の凸部(被研磨物に接触する部分)の面積がより向上し、研磨レートがより向上する傾向にある。また、織物の目開き率が80%以下であることにより、研磨面の凹部の密度(単位面積当たりの数)がより向上し、研磨スラリーの保持及び排出がより適切に行われ、結果として研磨レートがより向上する傾向にある。織物の経糸間及び緯糸間の目開き率は、下記式により算出することができる。
織物の目開き率(%)=(経糸間及び緯糸間の目開き)2/(目経糸間及び緯糸間の目開き+経糸又は緯糸の総径)2×100
織物又は編物の繊維径は、好ましくは20〜1000μmであり、より好ましくは30〜800μmであり、さらに好ましくは40〜500μmである。繊維径が20μm以上であることにより、研磨面の凹部の短径方向D2の長さがより長く、凹部の最大深さHがより深くなり、研磨スラリーの保持力がより向上する傾向にある。また、繊維径が1000μm以下であることにより、研磨面の一つ一つの凹部が相対的に小さくなるが、単位面積当たり相対的に小さい凹部をより多く形成でき、得られる被研磨物の面品位がより向上する傾向にある。
織物の経糸及び緯糸の打ち込み本数(「メッシュ」ともいう)は、それぞれ、5〜800本/inchであり、より好ましくは20〜500本/inchであり、さらに好ましくは30〜300本/inchである。打ち込み本数が5本/inch以上であることにより、単位面積当たりの研磨面の凹部の数が多くなり、研磨スラリーの保持力がより向上する傾向にある。また、打ち込み本数が800本/inch以下であることにより、研磨面の凸部(被研磨物に接触する部分)の面積がより向上し、研磨レートがより向上する傾向にある。
(凹部)
次いで、本実施形態の研磨パッドの研磨面に形成される凹部の形態について以下説明する。上記のとおり凸凹形状の凹部の一つ一つは、一本の繊維の起伏に対応する形状となり、研磨面と平行な面から見れば、扁平率の大きい楕円に近い形状を有するものとなり、略半楕円体を有する溝と理解することができる(図1(b)、(c))。
略半楕円体の短径方向D2の長さは、好ましくは10〜700μmであり、より好ましくは20〜500μmであり、さらに好ましくは30〜300μmである。また、略半楕円体の長径方向D1の長さは、好ましくは100〜30000μmであり、より好ましくは200〜15000μmであり、さらに好ましくは300〜10000μmである。短径方向と長径方向の長さから算出される扁平率は、好ましくは0.05〜0.9であり、好ましくは0.1〜0.8であり、好ましくは0.1〜0.7である。また、研磨面表面からの凹部の最大深さHは、10〜500μmであり、より好ましくは15〜400μmであり、さらに好ましくは20〜250μmである。さらに、略半楕円体における短径方向D2の曲線は、略半楕円体の短径を結ぶ2点と凹部の最大深さとなる点を結んで得られる三角形の斜辺に近似する。また、略半楕円体における長径方向D1の曲線は、略半楕円体の長径を結ぶ2点と凹部の最大深さとなる点を結んで得られる三角形の斜辺に近似する。凹部が上記形状を有することにより、研磨スラリーの保持と排出のバランスが良くなり、研磨レート、及び得られる研磨物の面品位がより向上する傾向にある。
本実施形態の研磨パッドの研磨面に形成される凹部は、織物又は編物の態様によっては略半楕円体とは異なる形状を有することがあるが、そのような凹部であっても長尺な繊維の起伏に対応する形状である点においては相違しない。したがって、繊維の径方向に対応する短径と、繊維の長尺方向に対応する長径と、また、その繊維の起伏に由来する最大深さを有するという点においては、略半楕円体の凹部とそれ以外の凹部とを同視することが可能である。
研磨面1cm2あたりに存在する凹部の数は、好ましくは10〜250であり、より好ましくは15〜200であり、さらに好ましくは20〜170である。凹部の数が上記範囲内であることにより、研磨レート、及び得られる研磨物の面品位がより向上する傾向にある。
〔クッション層〕
本実施形態の研磨パッドは、樹脂シートの研磨面と反対側の面に、発泡樹脂からなるクッション層を備えてもよい。
〔接着層〕
本実施形態の研磨パッドは、研磨装置と対抗する面に、研磨装置に研磨パッドを設置するための接着層を有してもよい。接着層としては、従来知られている研磨パッド用の接着剤又は粘着剤を使用することができる。このような接着剤等としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系接着剤、ニトリル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等の各種熱可塑性接着剤が挙げられる。また、両面テープを接着層として用いてもよい。
〔研磨パッドの製造方法〕
本実施形態の研磨パッドの製造方法としては、特に制限されないが、例えば、樹脂シートを成形する成形工程と、前記樹脂シートの表面と織物又は編物の表面とを圧接させて、前記樹脂シートの表面に織物又は編物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を形成する圧接工程と、樹脂シートと前記織物又は編物とを分離する分離工程と、を有する方法が挙げられる。当該方法においては、主に、樹脂シートの表面と織物又は編物の表面との圧接により、凸凹形状を形成することを目的とし、当該目的の範囲において、圧接工程時の樹脂シートの温度や、圧接圧力を調整することができる。
図3に、本実施形態の研磨パッドの製造工程の一態様を表す概略図を示す。図3のB−B’は、織物又は編物200の切断面を示すものである。圧接工程においては、樹脂シート12’の表面と織物又は編物200の表面とを圧接させて、樹脂シートの表面に織物又は編物の表面の凹凸形状(凸部21a)に対応する凸凹形状(凹部11a)を形成し、その後分離することで、本実施形態の研磨パッドを得ることができる。
〔研磨加工物の製造方法〕
本実施形態の研磨加工物の製造方法は、研磨スラリーの存在下、上記研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する研磨工程を有する方法であれば、特に限定されない。本実施形態の研磨加工物の製造方法における研磨工程は、被研磨物の表面の粗さを大まかに取り除くための1次ラッピング(粗ラッピング)、2次ラッピング(仕上げラッピング)であってもよいし、その後、被研磨物の表面の平坦性を更に向上させ、かつ、表面の微細な傷を除去して鏡面化するための1次研磨(粗研磨)、2次研磨(仕上げ研磨)であってもよく、これらのうち複数の研磨を兼ねるものであってもよい。このなかでも、本実施形態の研磨加工物の製造方法は、研磨スラリーの存在下、被研磨物を研磨する1次研磨(粗研磨)及び/又は2次研磨(仕上げ研磨)であることが好ましく、具体的な研磨方法として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を採用することがより好ましい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(炭化珪素)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨加工物の製造方法は、パワーデバイス、LEDなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。これらの中では、本実施形態の研磨パッドによる作用効果をより有効に活用できる観点から、半導体ウエハが好ましく、SiC基板、又はGaN基板が好ましい。その材質としては、SiC単結晶及びGaN単結晶等の難削材が好ましいが、サファイア、窒化珪素、窒化アルミニウムの単結晶などであってもよい。
〔研磨工程〕
研磨工程は、研磨スラリーの存在下、上記研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する工程である。研磨方法としては、1次ラッピング(粗ラッピング)、2次ラッピング(仕上げラッピング)、1次研磨(粗研磨)、及び2次研磨(仕上げ研磨)において従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。
研磨方法では、まず、研磨装置の所定位置に研磨パッドを装着する。この装着の際には、上述の接着層を介して、研磨パッドが研磨装置に固定されるよう装着される。そして、装着された研磨パッドと対向するように配置された保持定盤に被研磨物を保持し、保持させた被研磨物を研磨面側へ押し付けると共に、外部から研磨スラリーを供給しながら、研磨パッド及び/又は保持定盤を回転させる。これにより、研磨パッドと被研磨物との間に供給された砥粒の作用で、被研磨物の加工面(被研磨面)に研磨加工を施す。
研磨スラリーの組成は、1次ラッピング(粗ラッピング)、2次ラッピング(仕上げラッピング)、1次研磨(粗研磨)、及び2次研磨(仕上げ研磨)に応じて適宜適宜選択することが可能である。一般的な、CMP用の研磨スラリーの組成としては、特に制限されないが、例えば、砥粒、分散媒、酸化剤が挙げられ、及び必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。
研磨において用いる砥粒としては、特に制限されないが、例えば、ダイヤモンド粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子が挙げられる。
分散媒としては、例えば、水及び有機溶剤が挙げられ、被研磨物の変質をより抑制する観点から、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、一般的に沸点110〜300℃程度の有機溶剤が適する。有機溶剤の種類には、脂肪族及び芳香族、環状炭化水素やエステル系溶剤、エーテル系溶剤、アミン系溶剤、アミド系溶剤、ケトン系溶剤等の市販の有機溶剤を樹脂や作業的性に応じて適宜選択できる。溶剤は、1種を単独でもちいても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、その他の添加剤としては、例えば極性化合物が挙げられ、具体的には、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びカルボン酸が挙げられる。さらに、消泡剤、分散剤、レベリング剤、粘性改良材として、各種シリコーン、無機微粉末を添加することもできる。
なお、研磨加工時に研磨パッドと被研磨物との間の摩擦に伴う温度上昇を抑制する観点から、砥粒を含まず、添加剤を含んでもよい溶剤を研磨パッドの研磨面に適宜供給してもよい。その溶剤及び添加剤の例としては上記のものが挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔吸水率〕
吸水率の測定はASTM D570に準じて行った。3.18mm厚に成形した樹脂シートの試験片を、室温(23℃)、24時間水中に浸漬し、浸漬前の試験片の重量および24時間浸漬後の試験片の重量を測定し、以下式に従い算出した。
吸水率(%)=(24時間浸漬後の試験片の重量−浸漬前の試験片の重量)/浸漬前の試験片の重量×100
〔D硬度〕
D硬度の測定はJIS K6253に準じて行った。測定に際しては、研磨パッドの下に金属版を敷いて、実際の研磨工程と同様の条件(研磨パッドを研磨装置の金属定盤に貼付した状態)でテクロック社製D硬度計を用いて測定した。
〔CMP研磨試験〕
研磨パッドを研磨装置の所定位置に両面テープを介して設置し、被研磨物である炭化珪素(SiC)ウエハに対して、下記条件にて研磨を施す研磨試験を行った。なお、以下に示す実施例及び比較例については、研磨試験の際には、まず、下記ドレス条件に示す条件にて研磨パッドのドレスエ程を行い、下記研磨条件に示す条件にて研磨を実施した。
(ドレス条件)
ドレス番手 :#270
回転数 :70rpm
ドレス圧 :350gf/cm2
ドレス時間 :30分
(研磨条件)
装置 :ハイテクノス社 HT15
定盤回転数 :公転100rpm、自転30rpm
面圧力 :495gf/cm2
研磨スラリー:過マンガン酸カリウム系スラリー(FUJIMI社:DSC−201)pH2に調整したもの
スラリー流量:5ml/min
〔DMP研磨試験〕
研磨パッドを研磨装置の所定位置に両面テープを介して設置し、被研磨物である炭化珪素(SiC)ウエハに対して、下記条件にて研磨を施す研磨試験を行った。なお、以下に示す実施例及び比較例については、研磨試験の際には、まず、下記ドレス条件に示す条件にて研磨パッドのドレスエ程を行い、下記研磨条件に示す条件にて研磨を実施した。
(ドレス条件)
ドレス番手 :#270
回転数 :70rpm
ドレス圧 :350gf/cm2
ドレス時間 :5分
(研磨条件)
装置 :ハイテクノス社 HT15
定盤回転数 :公転100rpm、自転27rpm
面圧力 :495gf/cm2
研磨スラリー:ルブリカント(共栄社化学社 PD1126L)に多結晶ダイヤモンド砥粒(粒径7μm)を0.3wt%配合したもの
スラリー流量:2.5ml/min
〔研磨レート〕
CMPの研磨レート(単位:μm/h)は、上記CMP研磨試験前後における被研磨物の質量減少から求めた研磨量、被研磨物の研磨面積及び比重から、研磨により除去された厚さを算出し、時間当たりの除去された厚さとして評価した。また、DMPの研磨レート(単位:μm/h)は、上記DMP研磨試験前後における被研磨物の厚さから、研磨により除去された厚さを算出し、時間当たりの除去された厚さとして評価した。なお、研磨試験は、3枚の炭化珪素(SiC)ウエハに対して行い、その加重平均を研磨レートとした。
〔面品位〕
面品位は、上記CMP及びDMP研磨試験後の被研磨物の表面に傷(スクラッチ)等の欠陥がないかを目視で確認して評価した。
○:各々の試験においてスクラッチ等の欠陥が見られなかった(個数:0)
△:各々の試験においてスクラッチ等の欠陥がほぼ見られなかった(個数:1〜5)
×:各々の試験においてスクラッチ等の欠陥が複数認められた(個数:6〜)
〔耐汚染性〕
耐汚染性は、上記CMP研磨試験後の研磨パッドを水とブラシを用いて洗浄し、洗浄後の研磨パッドに研磨スラリーが浸潤しているかを目視で確認して評価した。なお、図4に実施例1の洗浄後の研磨パッドを示し、図5に比較例3の洗浄後の研磨パッドを示す。
○:洗浄後において、研磨パッドに研磨スラリーが浸潤していない
×:洗浄後において、研磨パッドに研磨スラリーが浸潤している
〔実施例1〕
成形機にポリエチレンを投入し、溶融したポリエチレンを押出成形より樹脂シートを成形した。成形した樹脂シートの表面とポリエチレンのメッシュクロス(PE14目)とを圧接させた後、樹脂シートとメッシュクロスとを分離することにより、樹脂シートの表面にメッシュクロスの表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を形成した。その後、樹脂シートの研磨面と反対側に接着層として両面テープ(3M社、フィルム基材両面粘着テープ 442JS)を貼り付けて、実施例1の研磨パッドを得た。なお、ポリエチレンのメッシュクロスPE14目は、平織組織を有し、目開きが1572μm、繊維径が545μm、目開き率が55%、メッシュが12本/inchのものを使用した。
〔比較例1〕
圧接工程及び分離工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により比較例1の研磨パッドを得た。
〔比較例2〕
分離工程を行わず、樹脂シートとメッシュクロス(PE14目)とを圧接させて一体化した状態のもの作製したこと以外は、実施例1と同様の方法により比較例2の研磨パッドを得た。なお、比較例2の研磨パッドにおいては、メッシュクロス面側を研磨面として用いた。
〔比較例3〕
注型によりブロック状のポリウレタン樹脂発泡体を形成し、そのポリウレタン樹脂発泡体をスライスして、樹脂シートを作製した。ポリウレタン製の樹脂シートには同心円状の凹部を形成した後、樹脂シートの研磨面と反対側に接着層として両面テープ(3M社、フィルム基材両面粘着テープ 442JS)を貼り付けて、比較例3の研磨パッドを得た。
〔比較例4〕
感光性樹脂層及び該感光性樹脂層を挟む支持体と、該支持体に積層されたマスクと、を備える版材(日本電子精機社製)を用意し、そのマスク側から感光性樹脂層側へ光を照射した。そして、光が照射されなかった部分を取り除くことにより凹凸パターンを形成した凹凸版を作製した。得られた凹凸版に形成された凹凸パターンに対して、シリコーンゴム(信越シリコン社製)を接触させた状態で、シリコーンゴムを硬化させ、その硬化物から凹凸版を剥離することにより、凹凸パターンが転写されたシリコーンゴムを作製した。さらに、凹凸パターンが形成されたシリコーンゴムに不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、その硬化物からシリコーンゴムを剥離することにより、樹脂シートを作製した。その後、その後、樹脂シートの研磨面と反対側に接着層として両面テープ(3M社、フィルム基材両面粘着テープ 442JS)を貼り付けて、比較例4の研磨パッドを得た。
〔比較例5〕
成形機に熱可塑性ポリウレタンを投入し、溶融した熱可塑性ポリウレタンに所定の温度及び圧力下で二酸化炭素ガスを注入し押出成形より樹脂シートを成形した(超臨界ガス発泡法)。成形した樹脂シートの表面とメッシュクロス(PE14目)とを圧接させた後、樹脂シートとメッシュクロスPE14目とを分離することにより、樹脂シートの表面にメッシュクロスの表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を形成した。その後、樹脂シートの研磨面と反対側に接着層として両面テープ(3M社、フィルム基材両面粘着テープ 442JS)を貼り付けて、比較例5の研磨パッドを得た。
実施例及び比較例の研磨パッドの物性、研磨レート、スクラッチ、耐汚染性を表1に示す。
*1:スクラッチが発生したため、試験を中断した。
*2:耐汚染性に著しく劣ったため、試験を中断した。
比較例1は、樹脂シートに凸凹形状がないため、被研磨物が滑ってしまい実質上測定できるレベルの研磨レートが発揮されなかった。比較例2は、埋め込まれたメッシュが露出しているため、被研磨物にスクラッチが発生してしまった。比較例3は、発泡内に浸入した研磨スラリーを洗浄により除去することができず、耐汚染性に劣っていた。また、発泡を有するパッドは、その発泡の部分的な粗密により、メッシュの表面の凹凸形状を均一に転写することができず、結果として、スラリーの保持と排出のバランスが悪く、研磨レートが低かった。比較例4は、被研磨物にスクラッチが発生してしまった。比較例5は、発泡内に浸入した研磨スラリーを洗浄により除去することができず、耐汚染性に劣っていた。
一方、実施例1は、被研磨物にスクラッチが発生せず、研磨レートも良好であった。また、無発泡であるため、研磨後に研磨パッドを洗浄すると、研磨スラリーが排出されて残らなかった。
本発明の研磨パッドは、光学材料、半導体デバイス、ハードディスク用のガラス基板等のラッピングや研磨、特に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのラッピングや研磨用の研磨パッドとして産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. 被研磨物を研磨するための研磨面を有する無発泡の樹脂シートを備え、
    前記研磨面が、織物又は編物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有する、
    研磨パッド。
  2. 前記樹脂シートを構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、
    請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記樹脂シートのASTM D570に基づく吸水率が、0.050%以下である、
    請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記研磨面が、織物の表面の凹凸形状に対応する凸凹形状を有するものである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  5. 前記織物が、平織組織、綾織組織、又は朱子織組織を有するものである、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  6. 前記織物の経糸間及び緯糸間の目開きが、100〜5000μmである、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  7. 前記織物又は編物の繊維径が、20〜1000μmである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  8. 前記織物の目開き率が、30〜80%である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  9. 前記樹脂シートのD硬度が、20〜60度である、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  10. 研磨スラリーの存在下、請求項1〜9のいずれか1項に記載の研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する研磨工程を有する、
    研磨加工物の製造方法。
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