以下、本発明を適用した画像形成装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、除電部80、カール検知部90、剛度検知部95、および制御部100等を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に 応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sにトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、記憶部72内の階調補正データ(階調補正テーブルLUT)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データ等に基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo−conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(線速度)で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるクリーニング部材としてのドラムクリーニングブレード(以下、単にクリーニングブレードと称する)416等を有する。ドラムクリーニング装置415は、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーをクリーニングブレード416によって除去する。本実施の形態では、クリーニングブレード416は、ウレタンゴム製の板状部材である。
中間転写ユニット42は、像担持体としての中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。中間転写ベルト421および二次転写ローラー424は、各々、本発明の「第1転写部材」および「第2転写部材」に対応する。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード427等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62、および上加圧ローラー63を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、加熱ローラー62と上加圧ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、400N)で張架されている。定着ベルト61は、例えばPI(ポリイミド)からなる基体の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに、表層に耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のチューブを被覆またはコーティングをしてなる。定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、当該トナー像を用紙Sに定着許容温度範囲で加熱定着する。ここで、定着許容温度範囲とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Sの紙種等によって異なる。
加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する。加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する加熱源60Cを内蔵している。加熱ローラー62は、例えば、ハロゲンヒーターであり、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金における外周面をPTFEでコーティングした樹脂層で被覆された構成である。加熱源60Cの温度は、制御部100によって制御される。加熱源60Cによって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。
上加圧ローラー63は、例えば鉄等の金属から形成された中実の芯金を、弾性層で被服したものである。弾性層の材質として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用いることができる。また、弾性層として、耐熱性のシリコンゴムを、低摩擦で耐熱性樹脂であるPTFEでコーティングした樹脂層で被覆した構成とすることができる。上加圧ローラー63は、定着ベルト61を介して下加圧ローラー65に圧接される。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である下加圧ローラー65を有する(ローラー加圧方式)。下加圧ローラー65は、PI(ポリイミド)からなる基材層の外周面を弾性層で被覆したものである。弾性層の材質として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用いることができる。また、弾性層として、耐熱性のシリコンゴムを、表面離型層としてPFAチューブの樹脂層で被覆した構成とすることができる。
下加圧ローラー65には、ハロゲンヒーター等の加熱源が内蔵されている。この加熱源が発熱することにより、下加圧ローラー65は加熱される。制御部100は、加熱源に供給する電力を制御し、下加圧ローラー65を所定温度に制御する。
下加圧ローラー65は、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重で圧接される。このようにして、上加圧ローラー63および定着ベルト61と下加圧ローラー65との間には、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット60Dが配置されている。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー、用紙Sの両面に画像形成するための両面搬送経路等を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
他方、用紙Sの両面印刷が実行される場合、第1面を上にして定着部60を抜けた用紙Sは、両面搬送経路を通って第2面を上として再び画像形成部40に送られるように、制御部100によって搬送制御される。かくして、第2面に画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、図1および図3等を参照して、除電部80の構成を説明する。
除電部80は、二次転写ニップで用紙Sに帯電した電荷(転写電界)を除電することによって、二次転写ニップを構成する転写部材から用紙Sを分離しやすくする機能、および後の定着プロセスでの静電オフセット等の不具合を防止する機能を有する。
除電部80は、用紙Sの除電を行う除電部材としての除電針81と、かかる除電針81を二次転写ニップに対する離接方向に移動可能に保持する保持部材(図1参照)と、を備える。
除電針81は、金属で構成され、保持部材の上側に保持されている。除電針81は、保持部材の幅方向に沿って、櫛状ないし鋸歯状に複数配列されている。除電針81は、図示しない交流バイアス電源と接続され、制御部100の制御の下、除電針81の先端から二次転写ニップに向けて交流バイアスを出力することにより、二次転写ニップを通過した用紙Sの帯電電荷を除電する。
より具体的には、除電針81は、制御部100の制御の下、例えば3kVpp、Vdc0v、500Hzの矩形波の固定値による交流電圧が印加される。除電針81は、このような高電圧の交流バイアスが印加されることにより、二次転写ニップに搬送される用紙Sに対して放電を行い、かかる用紙Sの帯電電荷を除去するように除電する。具体的には、除電針81からの放電により発生したマイナス電荷が、転写部でプラス電荷を注入された用紙Sに到達し、用紙Sのプラス電荷を打ち消すことによって、用紙Sの帯電電荷を除電する。
除電針81を保持する保持部材は、樹脂などの絶縁体で構成され、二次転写ローラー424と略同一の幅を有し、二次転写ローラー424に対向して配置されている。詳細な図示を省略するが、保持部材は、二次転写ローラー424の回転軸に取り付けられており、二次転写ローラー424の回転軸を中心として回転可能となっている。また、保持部材は、図示しないモーターやギアなどの駆動源に連結されており、かかる駆動源が制御部100から出力される制御信号に従って駆動されることにより、除電針81を、二次転写ローラー424の回転軸を中心とした回転方向(図1中の両矢印方向)に移動させる。
また、二次転写ニップに向かう搬送路には、発光素子と受光素子からなるカール検知部90と、圧力センサーを含む剛度検知部95と、が設置されている。カール検知部90および剛度検知部95についての構成は後述する。
ところで、上述のように、近年では、厚さの薄い用紙(薄紙)に対する印字の需要が高まっており、用紙が薄いほど用紙の剛度が小さくなる傾向がある。そして、用紙の剛度が小さくなるほど、上述した曲率分離の作用が低下し、転写部材からの分離不良による用紙のジャム、折れ、しわが発生しやすいという問題が生じる。
これに対し、従来の技術では、上述のように、除電針81を薄い用紙Sに近づけるように移動させる制御を行っていた。しかしながら、この場合、用紙Sに対する除電作用が過度に強くなり、二次転写ニップで転写されたトナー像と用紙Sとの付着力が低下し、後の定着プロセス時に静電オフセットが発生する問題があった。
上述した問題に対し、本発明者らは、画像形成装置1の機内環境や用紙Sの種類等を様々に変えて用紙Sの分離性および搬送性等に関する試験を行い、次のような知見を得るに至った。
二次転写ニップにおける用紙Sの分離作用に影響する要因(誤差因子)は、用紙Sの厚さ以外にも、種々のものがあり得ることが判明した。具体的には、かかる誤差因子としては、用紙Sの水分率、用紙Sの第1面が定着部60を通過した後に生じる当該用紙Sのカールの状態、印字率、用紙Sの剛度、などが挙げられる。
この内、用紙Sの水分率は、印刷時における搬送路や二次転写ニップを構成する部材(中間転写ベルト421など)の湿度環境によって左右されるが、さらに、同一の湿度環境であっても、両面印刷時における1面目か2面目かによっても異なってくる。また、剛度の値は、通常、用紙Sに対して1つの値(gsm)が割り当てられるが、実際には、目方向すなわち搬送方向が用紙Sの長辺か短辺かによっても剛度の値は異なって来る。
さらに、上述した様々な誤差因子の内、両面印刷時における用紙Sの第2面目のカール(方向および量)は、当該用紙Sの用紙束を開封した際の開封面と用紙Sの表裏との関係でも左右されることが分かり、正確に予測することが困難であることが判明した。
総じて、上述した誤差因子のため、両面印刷ジョブの実行時において、用紙Sの第2面目を印刷する際に、当該用紙Sのカールの状態を予測して除電針81の位置を最適化することが困難であることが分かった。
ここで、予測できない用紙Sのカール量の誤差に対処するため、一定の安全係数を用いて除電針81の位置制御を行うことも考えられる。しかしながら、この場合、除電針81による用紙Sの除電が必要以上に行われる可能性があるため、従来技術と同様に、定着プロセス時に静電オフセットが生じる虞がある。
加えて、従来技術では、用紙Sの紙厚が薄いと判断された場合に像担持体(この例では中間転写ベルト421)とは逆方向となる下向きのカールが発生している場合、近付けた除電針81が当該用紙Sに引っ掛かりやすい問題がある。このような下向きのカールは、例えば用紙Sの湿度が高い場合に発生しやすい。ここで、用紙Sが除電針81に引っ掛かると、当該用紙Sに皺や紙折れが発生する虞があり、ひいては搬送不良やジャム発生等の虞がある。
さらに、図4を参照して、本発明者らが行った実験および従来構成の画像形成装置における問題点等をより詳しく説明する。本発明者らは、従来構成の画像形成装置を用いて種々の剛度の用紙Sへの両面印刷を行い、用紙Sの第2面(裏面)へのトナー像の転写後における搬送不良の有無を調べる実験を行った。
より具体的には、温度20℃、相対湿度50%Rhの環境で、用紙Sの搬送方向の先端から10mm内の印字率を0%(余白領域)に設定して第1面の印字を行い、定着部60を通過した後の搬送路で当該用紙Sのカールの状態(方向および量)を測定した。さらに、この用紙Sの第2面に二次転写ニップでトナー像を転写した後、当該用紙Sの搬送不良が生じるか否かを確認する試験を行った。
本発明者らは、この試験を通じて、用紙Sの剛度と、当該用紙Sの裏面へのトナー像転写後の搬送不良の発生の有無と、の関係について調査した。この調査結果を図4の特性図に示す。
図4中、用紙Sの剛度を縦軸に示し、用紙Sの第2面が二次転写ニップに到達する前のカール量を横軸に示し、搬送不良が発生した場合を×で、搬送不良が発生しなかった場合を○で示している。また、カール量(mm)の正負表記に関し、用紙Sが像担持体すなわち中間転写ベルト421側にカールする方向を正(+方向)とし、この反対方向すなわち用紙Sが二次転写ローラー424側にカールする方向を負(−方向)で表している。さらに、図4中、搬送不良が発生しない領域(○の領域)と搬送不良が発生する領域(×の領域)との境界を、点線で区分けしている。なお、後述する図6、図8A〜8C、図9A〜9Cに示す実験も、特記する事項以外は上述と同様の条件で行った。
図4から分かるように、用紙Sは、その剛度が小さくなるほど、より少ないカール量で搬送不良が発生する。
ここで、用紙Sが正方向(上向きすなわち中間転写ベルト421側)にカールする場合、カール量が大きくなるほど用紙Sの剛性による曲率分離の作用は低下し、中間転写ベルト421からの分離性が悪くなり、搬送不良が発生しやすくなった。そして、用紙Sの剛度が小さくなるほど、許容できるカール量が小さくなることが確認された。
反対に、用紙Sが負方向(下向きすなわち二次転写ローラー424側)にカールする場合、カール量が大きくなると、当該用紙Sの先端が除電針81に接触し、この結果、用紙Sに皺や紙折れが発生して、搬送不良やジャム発生等が生じやすくなった。また、用紙Sが負方向にカールする場合も、用紙Sの剛度が小さくなるほど、許容できるカール量が小さくなることが確認された。
上述した問題点に鑑みて、本実施の形態では、二次転写ニップに搬送される用紙Sのカールの状態(カール方向およびカール量)を検知するカール検知部90を設け、制御部100は、カール検知部90の検知結果に応じて、除電針81と中間転写ベルト421(第1転写部材)との距離を変更する制御を行う。
より具体的には、本実施の形態では、制御部100は、両面印刷の実行時に用紙Sの第2面目が二次転写ニップに搬送される際に、当該用紙Sのカール状態をカール検知部90で検知し、カール検知部90の検知結果に応じて除電針81の位置を変える制御を行う。
本実施の形態において、カール検知部90は、用紙Sの搬送方向先端側のカールの方向およびカール量を検知するものであり、二次転写ニップよりも上流側の搬送経路に配置されている。この例では、カール検知部90は、搬送される用紙Sに光を照射する発光部と、発光部からの光を受光する受光部を有する光学式の構成であり、受光部で受光される光量に基づいて、用紙Sの搬送方向先端側のカール方向およびカール量を検知する。
本実施の形態における除電針81の位置変更制御について、図4、図5(図5A、図5B)、および図6を参照して説明する。ここで、図5A及び図5Bは、用紙Sのカール方向と除電針81の移動方向(位置変更の方向)との関係を示すものであり、中間転写ベルト421の図示を省略している。また、図6は、本実施の形態の除電針81の移動(位置制御)により得られた結果を示す。
本実施の形態では、図5Aに示すように、用紙Sの先端が正方向(中間転写ベルト421側)にカールしている場合であって、かつ、図4中の右側に×で示す通紙NG領域に該当する場合には、除電針81を中間転写ベルト421に近付ける方向に移動させる。本実施の形態では、上述した保持部材を二次転写ローラー424の回転軸を中心に図5中の時計方向に回転させることで、除電針81は、保持部材とともに上方に移動して、中間転写ベルト421に近付く。
この動作により、除電針81と中間転写ベルト421(二次転写ニップ)との距離が近くなることで、除電針81から用紙Sの先端に印加されるマイナス電荷の量が増加し、除電作用が強化される。そして、この除電作用の強化により、中間転写ベルト421と用紙Sと間の静電吸着力が低減し、用紙Sの剛性による曲率分離が果たされ、図6中の右側に示す結果(○)に示すように、当該用紙Sの搬送不良が防止される。
図4および図6の右側の領域を比較して分かるように、本実施の形態によれば、従来構成では中間転写ベルト421への巻付きが生じてジャム等の搬送不良が生じていた領域における用紙Sの搬送性が向上され、ジャム等の搬送不良を防止することができる。言い換えると、本実施の形態によれば、従来は中間転写ベルト421からの分離性が悪く通紙NG(×)であった用紙Sの正方向のカール量および剛度の領域を、除電針81の位置を用紙Sに近付ける制御を行うことで、通紙可能領域(○)に変えることができる。
また、本実施の形態では、図5Bに示すように、用紙Sの先端が負方向(二次転写ローラー424側)にカールしている場合であって、かつ、図4中の左側に×で示す通紙NG領域に該当する場合には、除電針81を中間転写ベルト421から遠ざける方向に移動させる。本実施の形態では、上述した保持部材を二次転写ローラー424の回転軸を中心に図5中の反時計方向に回転させることで、除電針81は、保持部材とともに下方に移動して、中間転写ベルト421および用紙Sの搬送経路から遠ざかる。
この動作により、除電針81と用紙Sの搬送経路との距離が離れることで、除電針81と用紙Sとの接触が回避され、図6中の左側に示す結果(○)に示すように、当該用紙Sの搬送不良が防止される。言い換えると、本実施の形態によれば、従来は除電針81との干渉が生じて通紙NG(×)となっていた用紙Sの負方向のカール量および剛度の領域を、除電針81の位置を二次転写ニップ(用紙S)から遠ざける制御を行うことで、通紙可能領域(○)に変えることができる。
総じて、図4中に×で示す領域と、対応する図6の領域を比較して分かるように、用紙Sのカール方向に応じた除電針81の位置制御を行う本実施の形態によれば、従来構成ではジャム等の搬送不良が発生していた通紙NG領域における用紙Sの搬送性が向上する。また、本実施の形態によれば、用紙Sのカール状態に応じた位置に除電針81が移動することにより、除電針81と用紙Sとの干渉を回避し、用紙Sに帯電された電荷を適切に除去することができる。この結果、後の定着プロセスにおける静電オフセットの発生を抑え、用紙Sの皺、折れ、ジャム等を防止して搬送性を確保し、印刷の生産性向上を図ることができる。
本実施の形態において、上述した通紙NG領域であるかを制御部100で判別できるようにするため、通紙NG領域(図4中に×で示す領域)に該当する用紙Sのカール量(±mmの値)と剛度の値を、記憶部72等のメモリに予め登録しておく。また、制御部100は、用紙Sの印刷ジョブ実行の際に、当該用紙Sの剛度の情報を取得する。かかる剛度の情報は、例えば図示しないユーザー設定画面等を通じて予め登録しておくことができ、或いは、剛度検知部95を通じて取得することができる。
本実施の形態において、剛度検知部95は、図示しない圧力センサーを備えた構成であり、図3に示すように、二次転写ニップの上流側における屈曲した搬送経路(以下、「屈曲経路」という。)に設けられている。この例では、用紙Sが屈曲経路に搬送されると、かかる経路の形状に従って用紙Sが屈曲することで、当該用紙Sの屈曲部分が剛度検知部95の一部を押圧し、用紙Sの剛度に応じた圧力が剛度検知部95の圧力センサーによって検出される。剛度検知部95は、検出された圧力の値から、当該用紙Sの剛度の値を特定して制御部100に出力する。かくして、制御部100は、剛度検知部95の検知結果を通じて剛度の値を取得することにより、用紙Sの実際の使用状態(搬送方向と目方向との関係等)に応じたより正確な剛度の値を取得することができる。
なお、上述した搬送不良等は、用紙Sの剛度が大きくなるほど発生する可能性が低くなる。言い換えると、用紙Sがコシの強い厚紙等の場合、二次転写ニップを構成する部材からの分離性が良くなり、通紙NG領域(×)に該当しなくなる。このため、制御部100は、用紙Sの剛度が大きい場合、除電針81の位置変更の制御を行わないようにする。すなわち、制御部100は、用紙Sの剛度が閾値よりも小さい場合に限り、除電針81と中間転写ベルト421との距離を変更する制御を行う。
以下、図7のフローチャートを参照して、両面印刷ジョブの実行時における除電針81の位置制御に関する処理の流れの一例を説明する。
両面印刷ジョブ実行時のステップS100において、制御部100は、上述した剛度を含む用紙Sの情報を取得する。制御部100は、用紙Sの剛度を、図示しないユーザー設定画面で設定した値を用いることができ、或いは上述した剛度検知部95から取得してもよい。
ステップS120において、制御部100は、用紙Sの第1面に対する印刷の制御を実行する。かかる制御において、制御部100は、用紙Sが定着部60を通過すると、当該用紙Sを両面搬送路に搬送するように制御する。
ステップS140において、制御部100は、ステップS100で取得された用紙Sの剛度が予め定められた規定値(閾値)以下であるかを判定する。ここで、制御部100は、用紙Sの剛度が閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS140、NO)、後述するステップS160以下の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。この場合、制御部100は、除電針81の位置制御を行わない。したがって、除電針81は、通常の位置(初期位置)のままに保持される。
他方、制御部100は、用紙Sの剛度が規定値以下であると判定した場合(ステップS140、YES)、ステップS160に移行する。ステップS160において、制御部100は、カール検知部90の検知信号に基づいて、用紙Sの第2面の搬送方向先端側のカール方向およびカール量を特定する。
続くステップS180において、制御部100は、ステップS160で特定されたカール量が閾値を超えているか否かを判定する。ここで、制御部100は、用紙Sのカール量が閾値を超えていないと判定した場合(ステップS180、NO)、後述するステップS200以下の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。この場合、除電針81の位置制御は行われず、除電針81は、通常の位置(初期位置)のままに保持される。
他方、制御部100は、用紙Sのカール量が閾値を超えていると判定した場合(ステップS180、YES)、ステップS200に移行する。ステップS200において、制御部100は、ステップS160で特定されたカール方向が上(すなわち中間転写ベルト421側)であるか否かを判定する。ここで、制御部100は、用紙Sのカール方向が上であると判定した場合(ステップS200、YES)、ステップS300に移行する。他方、制御部100は、用紙Sのカール方向が上でない(すなわち下である)と判定した場合(ステップS200、NO)、ステップS320に移行する。
ステップS300において、制御部100は、除電針81を二次転写ローラー424に近付ける方向に移動させる制御を行う(図5A参照)。他方、ステップS320において、制御部100は、除電針81を二次転写ローラー424から遠ざける方向に移動させる制御を行う(図5B参照)。
このような制御を行う本実施の形態の画像形成装置1によれば、薄紙等の剛度が小さい用紙Sの印刷時に、定着部60での静電オフセットの発生を抑制しつつ、用紙Sの折れ、皺、ジャムなどの搬送不良の問題を解消することができる。したがって、本実施の形態によれば、損紙が低減され、装置の稼働率ひいては生産性の向上を図ることができる。
次に、本実施の形態の画像形成装置1の他の構成例について説明する。
まず、図8(図8A〜C)および図9(図9A〜C)を参照して、本発明者らが行ったさらなる実験の内容を説明する。本発明者らが従来構成の画像形成装置を用いて行った、用紙Sの搬送不良の有無を調べる実験の結果を図8及び図9に示す。
ここで、図8A及び8Cは、相対湿度を各々20%Rh及び80%Rhの使用環境としたこと以外は、上述と同様の条件下で実験した結果を示す。比較を容易にするため、図8Bは、図4に示す実験結果を再掲している。
図8A〜8Cに示すように、用紙Sの搬送方向の先端から10mmの領域における印字率を0%(余白領域)に設定して第1面の印字を行った場合、相対湿度が高くなるに従って、第2面の印刷時における通紙NG領域が表の右側にシフトして行くことが判明した。すなわち、相対湿度が高くなるほど、用紙Sは、負方向(下方)にカールしている場合は除電針81と干渉しやすくなり(×の領域が増える)、正方向(上方)にカールしている場合は中間転写ベルト421からの分離不良が生じにくくなる(×の領域が減る)ことが分かった。
図9A、9B、及び9Cは、用紙Sの搬送方向の先端から10mm内の印字率を20%に設定して第1面の印字を行って、他は図8A、8B(図4)及び8Cの場合と同様の条件下で行った実験の結果を示す。
図9A〜9Cに示すように、用紙Sの搬送方向の先端側の印字率を20%に設定して第1面の印字を行った場合、相対湿度が高くなるに従って、第2面の印刷時における通紙NG領域が増えることが判明した。すなわち、相対湿度が高くなるほど、用紙Sは、負方向(下方)にカールしている場合は除電針81と干渉しやすくなり、また、正方向(上方)にカールしている場合は中間転写ベルト421からの分離不良も生じやすくなることが分かった。
上記実験を通じて、本発明者らは、湿度や用紙Sの先端側の印字率を考慮することにより、上述した種々の不具合が生じやすい通紙NG領域(×の領域)に該当するか否かを、より正確に判別することができることを見出した。
上記の知見に基づいて、画像形成装置1の他の例では、画像形成装置1の周囲の湿度を検知する湿度検知部を設ける構成とする。ここで、湿度検知部として、画像形成装置1内に備えられている既存の温湿度センサーを用いることができ、あるいは湿度検知に特化した公知の湿度センサー(図示せず)を用いてもよい。他方、通紙NG領域か否かの判別をより高精度に行う観点からは、湿度検知部は、二次転写ニップの構成部材の近傍、特に像担持体(この例では中間転写ベルト421)の近傍に配置されていることが好ましい。
また、通紙NG領域であるか否かを高精度に行うために、制御部100は、印刷ジョブの実行の際に、入力画像データおよびユーザーにより設定された余白情報から、用紙Sの搬送方向の先端側に形成する画像の印字率を求めるようにする。
図10は、上述した他の構成例における除電針81の位置制御に関する処理の流れを示すフローチャートである。図10中、ステップS100からステップS180までは、上述した図7と同等であり、その説明を省略する。
制御部100は、用紙Sのカール量が閾値を超えている(ステップS180でYES)と判定した場合、ステップS190に移行する。ステップS190において、制御部100は、上述した湿度検知部(湿度センサー等)から湿度の値を取得するとともに、入力画像データおよび余白情報から印字率の値を取得して、上述したステップS200に移行する。
制御部100は、ステップS200でYES(カール方向が上)と判定した場合、ステップS210に移行する。ステップS210において、制御部100は、ステップS190で取得された湿度の値が用紙Sの剛度に対応した規定値(図8A〜C、図9A〜C中の各右側の点線(境界線)参照))以下であるか否かを判定する。
ここで、制御部100は、湿度の値が規定値以下ではない(規定値を超えている)と判定した場合(ステップS210、NO)、通紙可能領域(○の領域)であるとみなし、除電針81の位置を変更しない旨を決定する。この場合、制御部100は、後述するステップS230以下の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。
他方、制御部100は、湿度の値が規定値以下であると判定した場合(ステップS210、YES)、さらに、用紙Sの先端側の印字率が規定値(例えば20%)以下であるか否かを判定する(ステップS230)。そして、制御部100は、印字率が規定値以下ではない(規定値を超えている)と判定した場合(ステップS230、NO)、通紙可能領域(○の領域)であるとみなし、除電針81の位置を変更しない旨を決定する。この場合、制御部100は、ステップS300の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。他方、制御部100は、印字率が規定値以下であると判定した場合(ステップS230、YES)、上述したステップS300に移行して、除電針81を二次転写ローラー424に近付ける方向に移動させる制御を行う(図5A参照)。
他方、制御部100は、ステップS200でNO(カール方向が下)と判定した場合、ステップS220に移行する。ステップS220において、制御部100は、ステップS190で取得された湿度の値が用紙Sの剛度に対応した規定値(図8A〜C、図9A〜C中の各左側の点線(境界線)参照))以上であるか否かを判定する。
ここで、制御部100は、湿度の値が規定値に達していない(規定値以上ではない)と判定した場合(ステップS220、NO)、通紙可能領域(○の領域)であるとみなし、除電針81の位置を変更しない旨を決定する。この場合、制御部100は、後述するステップS240以下の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。
他方、制御部100は、湿度の値が規定値以上であると判定した場合(ステップS220、YES)、さらに、印字率が規定値以上であるか否かを判定する(ステップS240)。
そして、制御部100は、印字率が規定値以上ではない(規定値に達していない)と判定した場合(ステップS240、NO)、通紙可能領域(○の領域)であるとみなし、除電針81の位置を変更しない旨を決定する。この場合、制御部100は、ステップS320の処理をスキップして、通常通りの制御を行う。他方、制御部100は、印字率が規定値以上であると判定した場合(ステップS240、YES)、上述したステップS320に移行して、除電針81を二次転写ローラー424から遠ざける方向に移動させる制御を行う(図5B参照)。
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、二次転写ニップに搬送される用紙Sのカールの状態(方向と量)をカール検知部90で検知し、かかる検知結果に応じて二次転写ニップに対する除電針81の位置を、当該カールの状態に応じて変更する制御を行う。かかる構成の本実施の形態によれば、用紙Sのカールの状態に従った最適の位置に除電針81を移動させることができるので、静電オフセットの発生を抑え、印刷の生産性向上が図られる。
また、本実施の形態の画像形成装置1では、用紙Sのカールの状態に加えて、湿度および用紙Sの先端側の印字率の情報を取得することにより、除電針81を初期位置から移動させる必要性の有無をより高精度に判別することができる。この結果、除電針81の位置制御をより高精度に行うことができるので、静電オフセットの発生を抑え、印刷の生産性向上が図られる。
上述した実施の形態では、用紙Sの両面印刷を行う場合に除電針81の位置を移動する制御例について説明した。他方、本実施の形態における除電針81の位置の制御は、用紙Sの片面印刷を行う場合に実行してもよい。
また、上述した実施の形態では、除電針81の位置を移動することにより、除電針81と中間転写ベルト421との距離を制御する構成例について説明した。他にも例えば、除電針81を固定とし、バックアップローラー423Bを除電針81の離接方向に移動可能な構成として、除電針81と中間転写ベルト421との距離を制御してもよい。
上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。