以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。図1は、本発明の一実施形態であるステップチェーン組込装置1の正面図である。図2は、図1に示すA−A線を含む平面で破断して矢視したステップチェーン組込装置1の断面図であり、図3は、図1に示すB−B線を含む平面で破断して矢視したステップチェーン組込装置1の断面図である(説明の関係上、図3における受動ローラ受け部材36やスプロケット39等の一部の構成要素の位置は、図1とは対応していない)。
ステップチェーン組込装置1は、乗客コンベアの製造工場に設置されて、乗客コンベアの製造工程において、作業者が、乗客コンベアのフレーム100(図6等参照)にステップチェーン7(図4等参照)を組み込む作業において使用される。また、本実施形態のステップチェーン組込装置1は、ステップチェーン7にステップ9(図5等参照)を取り付ける工程においても機能するように構成されているという特徴を有している。
ステップチェーン組込装置1は、製造工場の床に平行に敷設された一対のガイドレール11と、これらガイドレール11に沿って走行自在に設けられた第1ユニット2と第2ユニット5とを備えている。第1ユニット2は、水平に配置された矩形板状の第1ベース21と、その下面に設けられた複数(本実施形態では4つ)の第1走行ローラ22とを備えている。第1走行ローラ22は、第1ベース21を支持すると共に、ガイドレール11に沿って転動する。なお、図示を省略した保持機構により、ガイドレール11に対する第1ユニット2の位置を固定することができる。
第1ベース21の上面には、第1のチェーン装着アセンブリ23Lと、第2のチェーン装着アセンブリ23Rとが対向するように配置されている。第1のチェーン装着アセンブリ23Lと、第2のチェーン装着アセンブリ23Rとは、図1の視点から見て、実質的に左右対称に構成されている。以下、第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rの特定の構成要素についての言及は、特に明記しない限り、第1のチェーン装着アセンブリ23Lの構成要素と第2のチェーン装着アセンブリ23Rの構成要素の両方について説明するものとし、これら構成要素には、同一の符号を使用する。
第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rとは、第1ベース21の上面に平行に配置された一対のリニアガイド24に案内されて移動自在に設けられた板状の基部25と、基部25上に立設された支持板26とを備えている。即ち、第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rとは、ステップチェーン組込装置1の機械幅方向に接近離間自在に設けられている。第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rには、第1ベース21に対する第1のチェーン装着アセンブリ23L又は第2のチェーン装着アセンブリ23Rの位置をロックするロック機構27が設けられている。
第2ユニット5に対して反対側に位置する支持板26の端部は、半円状に突出しており、その半円部の内面には、後述するようにステップチェーン7を構成するローラチェーン71L,71R(図4等参照)が走行するローラチェーン走行路を規定する第1チェーンガイド部28が固定されている。第1チェーンガイド部28は、半円状に湾曲した帯状の板材であって、支持板26の半円部と同心状に配置されるが、第1チェーンガイド部28の曲率半径は、支持板26の半円部の縁の曲率半径よりも若干小さくされている。このように、第1チェーンガイド部28のローラチェーン走行路に対して支持板26によって段差が生じていることで、本発明に係るステップチェーンのガイド機構、つまり、ステップチェーン7が装着され、且つ、ステップチェーン7の走行を案内するガイド機構が実現されている。なお、図2等において、ステップチェーン7は破線で示されている。
第1チェーンガイド部28の上端は、支持板26の内面に固定されており、且つ、ローラチェーン71L,71Rが走行するローラチェーン走行路を規定する第2チェーンガイド部29の一端と繋がっている。第2チェーンガイド部29は、略水平に配置された水平部分と、当該水平部分と第1チェーンガイド部28とを繋ぐ移行部とを含んでいる。水平部分の高さが、第1チェーンガイド部28の上端よりも若干高いことから、第2チェーンガイド部29の移行部は、第2ユニット5に向かって高くなるように傾斜しており、傾斜したローラチェーン走行路を規定している。第2チェーンガイド部29の水平部の第2ユニット5側の端部は、支持板26の第2ユニット5側の縁まで延びている。支持板26の上側の縁は、第2チェーンガイド部29から若干高くなるように配置されており、本実施形態では、第2チェーンガイド部29の上面と類似した形状にされている。このように、第2チェーンガイド部29のローラチェーン走行路に対して支持板26によって段差が生じていることで、本発明に係るステップチェーンのガイド機構が実現されている。
第2チェーンガイド部29の下方には、受動ローラガイド部31が設けられている。受動ローラガイド部31は、支持板26の内面に固定された帯状の部材であって、水平部と傾斜部とを含んでおり、傾斜部は、水平部の一端から支持板26の半円部側に向かって下方に傾斜するように配置されている。水平部の他端は、支持板26の第2ユニット5側の縁まで延びている。受動ローラガイド部31は、本発明に係る受動ローラ走行路を規定しており、当該受動ローラ走行路を、後述するようにステップ9の受動ローラ93(図5等参照)が転動する。
第1チェーンガイド部28の下端は、支持板26の内面に固定されており、ローラチェーン71L,71Rが走行するローラチェーン走行路を規定する第3チェーンガイド部32の下端と繋がっている。第3チェーンガイド部32は、半円状に湾曲した帯状の板材であるが、第2ユニット5に向かって突出するように配置されており、その曲率半径は、第1チェーンガイド部28の曲率半径よりもかなり小さくなっている。なお、第3チェーンガイド部32の周面の下側部分だけが、後述するように、ステップチェーン7の走行に使用される。
第3チェーンガイド部32から第2ユニット5側に離間した位置に、第1チェーンガイドローラ33が、機械幅方向に沿った水平軸回りで回転自在に支持板26の内面に枢支されている。本実施形態では、第1チェーンガイドローラ33は、2重円筒型の部材であって、その内側の円筒部には、支持板26の内面に固定された第1ベアリング34が嵌められている。
第3チェーンガイド部32の側方には、本発明に係るアクチュエータ機構を構成するエアシリンダ35が設けられている。エアシリンダ35は、そのピストンロッドを上にして、且つ、受動ローラガイド部31側に傾いて配置されている。エアシリンダ35のピストンロッドの先端には、本発明に係るローラ載置機構を構成する受動ローラ受け部材36が固定されている。受動ローラ受け部材36は、く字状に形成された帯状の部材であって、上側が凹むように配置されている。図2に示すように、エアシリンダ35のピストンロッドが伸長位置にある場合、受動ローラ受け部材36における第2ユニット5の側の端部が、受動ローラガイド部31の傾斜部の端部に近接するように配置されており、受動ローラガイド部31の傾斜部の上面と、受動ローラ受け部材36における第2ユニット5の側の部分の上面とは、ほぼ同一面内に配置される。エアシリンダ35が駆動して、ピストンロッドが収縮位置に至ると、受動ローラ受け部材36は、斜め下向きに移動して、受動ローラガイド部31から離れた位置で停止する。図3は、エアシリンダ35のピストンロッドが収縮位置にあって、受動ローラ受け部材36が下降している模様を示している。
第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの支持板26の外側には、支持柱37が基部25に立設されており、その上端には、チェーン駆動部38が設けられている。チェーン駆動部38は、ステップチェーン7を構成するローラチェーン71L,71Rと噛み合うスプロケット39と、本発明に係る駆動手段であって、スプロケット39を回転駆動するモータ41と、モータ41を支持する取付板42とを備えており、本発明に係るステップチェーン駆動機構を構成する。スプロケット39は、第2チェーンガイド部29の上方に配置されており、ステップチェーン組込装置1の機械幅方向に沿った水平軸回りで回転する。本実施形態では、スプロケット39は、直角台形状に形成された複数の歯(本実施形態では5つ)を有している。
スプロケット39は、第2チェーンガイド部29に対して上下動可能に構成されている。本実施形態では、取付板42の第2ユニット5側の端部は、支持柱37に水平に固定された底板43に、ステップチェーン組込装置1の機械幅方向に沿った水平軸回りで枢転可能に取り付けられていることで、スプロケット39の上下動が実現されている。この水平軸回りで、スプロケット39、モータ41及び取付板42を上向きに回転させた状態で、図3に示すように、楔形のスペーサ44を取付板42と底板43の間に挿入することで、スプロケット39を、第2チェーンガイド部29に対してより高い位置で保持することができる。
第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第2チェーンガイド部29における第2ユニット5の側の端部は、チェーンガイドレール45L,45Rの一端と夫々連結される。また、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの受動ローラガイド部31における第2ユニット5の側の端部は、受動ローラガイドレール46L,46Rの一端と連結されている。後述するように、チェーンガイドレール45L,45Rに沿って、ステップチェーン7のローラチェーン71L,71Rが走行し、受動ローラガイドレール46L,46Rに沿って、ステップチェーン7に取り付けられたステップ9の受動ローラ93が転動する。
チェーンガイドレール45L,45Rは、L字状の断面を有する長尺の部材であって、対向するように並置されることで、ステップチェーン7の走行路を規定すると共に機械幅方向、或いは、ステップチェーン7の幅方向についてステップチェーン7の移動が規制される。受動ローラガイドレール46L,46Rも、L字状の断面を有する長尺の部材であって、対向するように並置されることで、ステップ9の受動ローラ93の走行路を規定すると共に機械幅方向、或いは、ステップ9の幅方向についてステップ9の移動が規制される。本実施形態では、チェーンガイドレール45L,45Rは略水平に配置されており、受動ローラガイドレール46L,46Rは遠位端側が高くなるように緩やかに傾斜して配置されている。
本実施形態では、チェーンガイドレール45Lと受動ローラガイドレール46Lは、複数の連結部材47で連結されてユニット化されて、レールアセンブリ48Lを形成しており、チェーンガイドレール45Rと受動ローラガイドレール46Rは、複数の連結部材47で連結されてユニット化されて、レールアセンブリ48Rを形成している。レールアセンブリ48L,48Rは、本発明に係る連結機構を構成しており、図示を省略した取付機構を介して、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの支持板26に夫々着脱自在に装着されている。
ステップチェーン組込装置1の第2ユニット5は、水平に配置された矩形板状の第2ベース51と、その下面に設けられた複数(本実施形態では4つ)の第2走行ローラ52とを備えている。第2走行ローラ52は、第2ベース51を支持すると共に、床に敷設されたレール11に沿って転動する。なお、図示を省略した保持機構により、ガイドレール11に対する第2ユニット5の位置を固定することができる。
第2ベース51の上面には、機械幅方向に沿って設けられた一対のガイドレール53と、機械幅方向に離間して配置された一対の矩形板状の基部54とが設けられている。各基部54は、ガイドレール53に沿って機械幅方向に移動自在に構成されている。各基部54の下側には、基部54を支持する複数の(例えば、4つの)フリーボールベアリング55が設けられている。機械幅方向について、各基部54の位置は、図示を省略した保持機構によって保持可能である。
各基部54の上面には、第2チェーンガイドローラ56が内側に設けられた第1ローラ支持柱57が立設されている。これらの第2チェーンガイドローラ56は、対向するように配置されており、機械幅方向に沿った共通の水平軸回りに回転自在に構成されている。本実施形態では、各第2チェーンガイドローラ56は、2重円筒型の部材であって、その内側の円筒部には、第1ローラ支持柱57に固定された第2ベアリング58が嵌められている。
各第1ローラ支持柱57の第1ユニット2側には、第3チェーンガイドローラ59が内側に設けられた第2ローラ支持柱61が、各基部54に立設されている。これらの第2ローラ支持柱61は対向するように配置されており、各第3チェーンガイドローラ59は、機械幅方向に沿った水平軸回りに回転自在に構成されている。本実施形態では、第3チェーンガイドローラ59は、2重円筒型の部材であって、その内側の円筒部には、軸体62に固定された第3ベアリング63が嵌められている。軸体62、ひいては第3チェーンガイドローラ59は、第2ローラ支持柱61に形成されたガイドスリット64に沿って昇降自在に構成されており、各第3チェーンガイドローラ59の位置は、図示を省略したロック機構を用いて固定される。通常、これらの第3チェーンガイドローラ59の高さは同じになるように調節されて、これらの第3チェーンガイドローラ59は、対向配置されて共通の水平軸回りに回転可能とされる。
図4は、本実施形態のステップチェーン組込装置1を用いて、乗客コンベアのフレーム100に組み込まれるステップチェーン7の一部を示す平面図である。ステップチェーン7は、一対のローラチェーン71L,71Rを組み合わせることで構成されている。各ローラチェーン71L,71Rは、その長さ方向に所定の間隔で離間して配置された複数のローラ72と、これらローラ72を繋げる複数対の内側リンクプレート73と複数対の外側リンクプレート74とを備えている。各ローラ72の両側には、それを貫通する軸ピン75の端部が突出しており、軸ピン75の端部は、内側リンクプレート73の端部と、外側リンクプレート74の端部を貫通するように配置される。図4には図示していないが、クリップや割りピン等の周知の手段を用いて、各軸ピン75の抜け止めがなされている。
一対のローラチェーン71L,71Rは、複数のステップ取付用軸部材76を介して連結されている。ステップ取付用軸部材76は、細長い円筒状の部材であって、ステップ取付用軸部材76の一端には、一方のローラチェーン71L,71Rの1つの軸ピン75の端部が挿入されて、図示を省略した固定手段により、当該端部に固定されており、ステップ取付用軸部材76の他端には、他方のローラチェーン71L,71Rの1つの軸ピン75の端部が挿入されて、上記固定手段により、当該端部に固定されている。図4には示されていないが、ステップ取付用軸部材76が固定される軸ピン75の端部は、ステップ取付用軸部材76が固定されない軸ピン75の端部よりも、より長く内側リンクプレート73から突出するように構成されている。
ステップ取付用軸部材76は、所定の間隔で配置されるように一対のローラチェーン71L,71Rに取り付けられている。本実施形態では、ローラチェーン71L,71Rの3ローラピッチに1本のステップ取付用軸部材76が取り付けられている。
各ステップ取付用軸部材76には、ステップ9の取付けに使用される一対のスリーブ77と、それらスリーブ77の間に配置された一対の第1クランプ78とが挿入されている。各スリーブ77は、ステップ取付用軸部材76回りに回転自在に挿入されており、各スリーブ77の内側の端部にはフランジが形成されており、更に、スリーブ77の胴部には凸部79が形成されている。加えて、各ステップ取付用軸部材76には、一方のローラチェーン71Lに近接する位置に、第2クランプ81が挿入されている。
図5は、ステップ取付用軸部材76に取り付けられるステップ9を示す斜視図である。ステップ9は、平板状の踏板部91と、踏板部91の一端側から下方に延びる湾曲したライザ部92とを有する本体を備えている。ライザ部92の下端には、一対の受動ローラ93が、部分的に本体から下方に突出するように枢着されている(図5では、一方の受動ローラ93のみが図示されている)。これら受動ローラ93は、ステップ9の幅方向に沿った共通の回転軸回りで回転するように配置されている。踏板部91の端部とライザ部92の端部を連結する一対のヨーク部94が形成されており、各ヨーク部94の端部には、円弧状の切欠き95が下向きに形成されている。これら切欠き95は、ステップ9の幅方向に沿った共通の軸を切欠き95の円弧中心とするように形成されている。切欠き95は、半円よりもより真円に近い形状を有しており、切欠き95の隙間は、ステップチェーン7のステップ取付用軸部材76を切欠き95内に挿入可能な大きさにされている。
ステップチェーン7へのステップ9の取付けは、以下のように行われる。まず、ステップ9をステップ取付用軸部材76に係合させる工程、具体的には、ステップ9の切欠き95にステップ取付用軸部材76を嵌める工程がなされる。この際、第2クランプ81は、既に締め付けられており、ステップ取付用軸部材76上の所定の位置に、一方のローラチェーン71Lに近接して位置決め固定されている。一方のヨーク部94の外側表面が第2クランプ81と当接することで、ステップチェーン7の幅方向、或いはステップ取付用軸部材76の軸方向に対するステップ9の位置決めがなされる。なお、一対のスリーブ77と、一対の第2クランプ81とは、ステップ9のヨーク部94の間に配置される。
次に、各スリーブ77を外向きにスライドさせて、スリーブ77の胴部を、対応するヨーク部94の切欠き95に挿入する。スリーブ77のフランジは、ヨーク部94の側面と当接し、スリーブ77の凸部79は、切欠き95の隙間に嵌められる。スリーブ77の胴部の外周面は、切欠き95に合致するように構成されており、切欠き95が上述した形状を有していることから、各スリーブ77を対応する切欠き95に挿入することで、ステップ取付用軸部材76からのステップ9の抜け止めがなされる。その後、各第1クランプ78をスライドさせて、対応するスリーブ77と当接させた後、第1クランプ78のボルトを締め付けて、第1クランプ78をステップ取付用軸部材76に固定する。これにて、ステップ9の取付けが完了する。なお、スリーブ77の挿入作業や第1クランプ78の固定作業中においては、ステップ9(又はその受動ローラ93)を支持しておく必要がある。
次に、本実施形態のステップチェーン組込装置1を用いて、乗客コンベアのフレーム100にステップチェーン7を組み込む工程について説明する。図6a及び図6bは、ステップチェーン組込み工程の初期段階の概要を示す説明図である。乗客コンベアの製造工場の床には、ピット200が掘られており、トラス構造を有するフレーム100は、施設への乗客コンベア設置時に水平に配置される上側セグメント101が、床に掘られたピット200に部分的に配置されるように、図示を省略した支持機構を用いて配置される。フレーム100の中間セグメント102は、床の上方にて略水平に配置され、フレーム100の下側セグメント103は、中間セグメント102から斜め上方に延出する。ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2と第2ユニット5は、フレーム100の上側セグメント101側にて、床上に設置されている。
フレーム100には、完成した乗客コンベアにおいて無端状に構成されたステップチェーン7を案内する一対のチェーン用往路側ガイドレール111L,111Rと、チェーン用復路側ガイドレール112L,112Rとが設けられている。これらは、本発明におけるステップチェーンのガイド手段を構成する。更に、フレーム100には、ステップチェーン7に装着されているステップ9の受動ローラ93を案内する受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113Rと、受動ローラ用復路側ガイドレール114L,114Rとが設けられている。これらは、本発明における受動ローラのガイド手段を構成する。
ステップチェーン及び受動ローラのガイド手段を構成するこれらのガイドレールは、対となるレールが、フレーム100の長手方向に沿った鉛直面に対して対称性を有するように配置されている。ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2及び第2ユニット5は、レールアセンブリ48L,48Rが第1ユニット2に取り付けられていない状態で、例えば、その機械幅中心が当該鉛直面に位置するように配置されている。図6aは、この鉛直面でフレーム100とステップチェーン組込装置1を破断して、ステップチェーン組込装置1の第1のチェーン装着アセンブリ23L側を見た模様を簡略化して示しており、下側セグメント103側から見て、左側に位置するチェーン用往路側ガイドレール111L、チェーン用復路側ガイドレール112L、受動ローラ用往路側ガイドレール113L、受動ローラ用復路側ガイドレール114Lとが示されている。また、図6bは、上述した鉛直面でフレーム100とステップチェーン組込装置1を破断して、ステップチェーン組込装置1の第2のチェーン装着アセンブリ23R側を見た模様を簡略化して示しており、下側セグメント103側から見て、右側に位置するチェーン用往路側ガイドレール111R、チェーン用復路側ガイドレール112R、受動ローラ用往路側ガイドレール113R、受動ローラ用復路側ガイドレール114Rとが示されている。
フレーム100の上側セグメント101には、ステップチェーン7の一対のローラチェーン71L,71Rと夫々歯み合う一対のスプロケット115が設けられている。これらスプロケット115は共通の軸体に同軸状に固定されており、上側セグメント101に設けられた駆動モータ116が作動することで正逆回転する。
図6a及び図6bに示すように、フレーム100が配置された後、図7a及び図7bに示すように、レールアセンブリ48L,48Rが、ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2とフレーム100の間に取り付けられる。レールアセンブリ48L,48Rの基端側は、上述したように、ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2の第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rとに夫々取り付けられる。一方のレールアセンブリ48Lのチェーンガイドレール45Lの先端側は、チェーン用往路側ガイドレール111Lにおける略水平に配置された水平部分と繋がるように配置され、一方のレールアセンブリ48Lの受動ローラガイドレール46Lの先端側は、受動ローラ用往路側ガイドレール113Lにおける略水平に配置された水平部分と繋がるように配置される。また、他方のレールアセンブリ48Rのチェーンガイドレール45Rの先端側は、チェーン用往路側ガイドレール111Rにおける略水平に配置された水平部分と繋がるように配置され、他方のレールアセンブリ48Rの受動ローラガイドレール46Rの先端側は、受動ローラ用往路側ガイドレール113Rにおける略水平に配置された水平部分と繋がるように配置される。上述したように、ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2はガイドレール11に沿って走行自在に構成されていることから、レールアセンブリ48L,48Rを用いてフレーム100とステップチェーン組込装置1が適切に連結されるように、フレーム100の仕様に合わせて、第1ユニット2の位置を調節することができる。
図7a及び図7bに示すように、フレーム100には更に、一対のステップチェーン取出レール121L,121Rが取り付けられる。一方のステップチェーン取出レール121Lの基端側は、一方のチェーン用復路側ガイドレール112Lにおける上側セグメント101側の端部と連結され、他方のステップチェーン取出レール121Rの基端側は、他方のチェーン用復路側ガイドレール112Rにおける上側セグメント101側の端部と連結される。ステップチェーン取出レール121L,121Rは、略S字状の概形を有しており、L字状の断面を有する部材であって、スプロケット115の下方を通って、フレーム100の外方へと延出している。一対のステップチェーン取出レール121L,121Rは、対向するように並置されることで、ステップチェーン7の走行路を規定すると共に、フレーム100又はステップチェーン7の幅方向についてステップチェーン7の移動が規制される。
レールアセンブリ48L,48Rとステップチェーン取出レール121L,121Rが設置された後、作業者は、ステップチェーン7の先端側の部分をステップチェーン組込装置1に配置する。上述したように第1ユニット2が構成されていることで、第1ユニット2の第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rの間の間隔は、フレーム100に組み込まれるステップチェーン7の幅に合わせて調整可能である。
ステップチェーン7は、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第1チェーンガイド部28及び第2チェーンガイド部29に案内されるように第1チェーンガイド部28側から送り込まれる。作業者が、第2ユニット5側に向けてステップチェーン7を押し進めると、ステップチェーン7の一方のローラチェーン71Lが、第1のチェーン装着アセンブリ23Lの第1チェーンガイド部28及び第2チェーンガイド部29に沿って移動し、ステップチェーン7の他方のローラチェーン71Rが、第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第1チェーンガイド部28及び第2チェーンガイド部29に沿って移動する。なお、第1ユニット2に装着されたステップチェーン7の幅方向は、ステップチェーン組込装置1の機械幅方向と一致することとなる。
ステップチェーン7を手動である程度進ませると、ステップチェーン7の一方のローラチェーン71Lは、第1のチェーン装着アセンブリ23Lのチェーン駆動部38のスプロケット39と噛み合い、他方のローラチェーン71Rは、第2のチェーン装着アセンブリ23Rのチェーン駆動部38のスプロケット39と歯み合う。その後、作業者は、例えばリモートコントローラを用いて、これらチェーン駆動部38のモータ41を駆動させる。モータ41が駆動して各スプロケット39が回転することで、ステップチェーン7は、フレーム100に向かって進んでいく。図7a及び図7bは、ステップチェーン7(破線で示す)の先端が、レールアセンブリ48L,48Rの中間部分に差し掛かった状態を示している。
ステップチェーン組込装置1の構成上、チェーン駆動部38には、比較的小さいスプロケット39が設けられることが好ましい。本実施形態では、スプロケット39の各歯が直角台形状に形成されている。各歯の縁の傾斜部分が、ステップチェーン7のローラチェーン71L,71Rのローラ72に当接する。本実施形態では、あるローラ72と当接している歯が鉛直方向に沿って配置されると同時に、後続の歯が、後続のローラ72と当接するように構成されているので、本実施形態では、比較的小さいスプロケット39を用いても、ステップチェーン7をスムーズに走行させることが可能とされている。
ステップチェーン組込装置1の第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rのスプロケット39の回転を継続させることで、ステップチェーン7の先端部は、フレーム100のチェーン用往路側ガイドレール111L,111Rの水平部分に至り、更には、これら水平部分に案内されて下側セグメント103に向けて進む。本実施形態では、下側セグメント103において、チェーン用往路側ガイドレール111L,111Rの端部と、チェーン用復路側ガイドレール112L,112Rの端部とは、オーバーラップするように構成されており、所謂ターンレール構造になっていることで、ステップチェーン7を案内するガイドレールの移行が下側セグメント103内で行われる。ステップチェーン7のある部分を案内するガイドレールは、当該部分が下側セグメント103に入る際には、チェーン用往路側ガイドレール111L,111Rであるが、当該部分が下側セグメント103から出る際には、チェーン用復路側ガイドレール112L,112Rとなる。
本実施形態では、ステップチェーン7の後端側に、ステップチェーン7と同じ構造をしている第2のステップチェーン、即ちダミーチェーン130(図8乃至図10、図15において点線で示す)が取り付けられる。ダミーチェーン130が設けられることで、ステップチェーン7の後端部が、ステップチェーン組込装置1のスプロケット39を過ぎても、ステップチェーン7の走行が可能とされる。なお、ダミーチェーン130は、後述するように適時に取り外されて、最終的にフレーム100には組み込まれない。
ステップチェーン7の走行を継続させることで、ステップチェーン7の先端部は、チェーン用復路側ガイドレール112L,112Rに案内されて上側セグメント101へと進み、フレーム100の上側セグメント101に設けられたスプロケット115に至る。ステップチェーン7の先端部がスプロケット115に至って、スプロケット115と噛み合わされると、作業者は、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rのチェーン駆動部38のモータ41を停止し、ステップチェーン7の走行を一旦終了させる。そして、ステップチェーン組込装置1の第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rのスプロケット39が、上述した手法で上方に退避させられて、スプロケット39とステップチェーン7のローラチェーン71L,71Rとの噛み合わせ状態が解除される。その後、作業者は、スプロケット115の回転によってステップチェーン7が更に進むように、フレーム100に設けられている駆動モータ116を回転させる。作業者は、例えば、リモートコントローラ(図示省略)を用いて駆動モータ116のオン・オフを制御する。図8は、図7aに対応した図であって、ステップチェーン7の先端部が、ステップチェーン取出レール121L,121Rの先端側に到達した模様を示す説明図である。
図8に示す状態から、ステップチェーン7が、ステップチェーン取出レール121L,121Rを介して適切な長さだけ取り出された後、作業者は、駆動モータ116によるスプロケット115の回転を停止させる。そして、作業者は、ステップチェーン取出レール121L,121Rから取り出されたステップチェーン7の部分を、ステップチェーン組込装置1の第2ユニット5の2つの第2チェーンガイドローラ56と、2つの第3チェーンガイドローラ59と、第1ユニット2の第1のチェーン装着アセンブリ23Lと第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第1チェーンガイドローラ33と、第3チェーンガイド部32と、第1チェーンガイド部28とに掛け渡す。なお、上述したように第2ユニット5が構成されていることで、第2ユニット5に設けられている第2チェーンガイドローラ56の間隔と、第3チェーンガイドローラ59間の間隔とは、ステップチェーン7の幅に合わせて調整される。
その後、作業者によって、ステップチェーン7の先端と、ダミーチェーン130の後端とが連結用のリンク部材等(図示せず)を用いて連結されることで、ステップチェーン7とダミーチェーン130とが無端状にされる。図9は、図8に対応した図であって、ステップチェーン7とダミーチェーン130とが無端状にされた模様を示す説明図である。
図9に示すように、ステップチェーン7とダミーチェーン130が無端状にされた後、ステップチェーン7にステップ9を取り付ける工程が行われる。作業者は、ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2の第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第1チェーンガイド部28の付近に身を置いて、ステップチェーン7の先端側のステップ取付用軸部材76から順番に、個々のステップ取付用軸部材76にステップ9を取り付ける作業を行う。ステップ9を取り付ける工程では、最先のステップ取付用軸部材76が好適に配置される初期位置にステップチェーン7を配置し、その後、ステップ9が取り付けられる個々のステップ取付用軸部材76を所望の位置に配置するために、また、ステップチェーン7を進めてステップ9をフレーム100に組み込むために、無端状にされたステップチェーン7及びダミーチェーン130を走行させる必要がある。
本実施形態では、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の組合せは、上述したようにフレーム100に設けたスプロケット115と噛み合わされており、駆動モータ116を駆動してスプロケット115を回転させることで、ステップチェーン7を走行させることができる。略S字状に形成されたステップチェーン取出レール121L,121Rの基端側の領域は、下に凸状に配置されており、これらの領域は、各スプロケット115の下側からステップチェーン7及びダミーチェーン130を導き出すように構成されている。このような構成によって、フレーム100に設けられた駆動モータ116及びスプロケット115を利用したステップチェーン7及びダミーチェーン130の組合せの走行がスムーズに実現されている。
また、本実施形態では、ステップチェーン取出レール121L,121Rは、ステップチェーン組込装置1と連結されてはおらず、ステップチェーン組込装置1から離間して配置されている。これにより、ステップチェーン取出レール121L,121Rの先端と、ステップチェーン組込装置1の第2ユニット5の第2チェーンガイドローラ56との間にて、ステップチェーン7及びダミーチェーン130は、その自重によって下方に撓む。これによって、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の組合せに張力が加わって、ステップチェーン組込装置1におけるステップチェーン7及びダミーチェーン130の弛みの発生が抑制される。
更に、本実施形態では、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の組合せは、ステップチェーン組込装置1の第1チェーンガイドローラ33、第2チェーンガイドローラ56、及び第3チェーンガイドローラ59に巻架又は張架されて案内されるが、上述したように、これらのガイドローラは、ベアリングを介して、ステップチェーン組込装置1に取り付けられている。これによって、走行時にステップチェーン7及びダミーチェーン130に加わる抵抗が低下して、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の走行がスムーズにされている。
上述したように、ステップチェーン組込装置1の第2ユニット5はガイドレール11に沿って走行自在に構成されており、第2ユニット5の第3チェーンガイドローラ59は上下に昇降可能である。第2ユニット5の位置を調節することで、並びに/或いは、第3チェーンガイドローラ59の高さを調節することで、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の組合せの張力が調節されてよい。
作業者は、ステップチェーン7の所望のステップ取付用軸部材76にステップ9を取り付けて、その後、駆動モータ116を駆動してステップチェーン7を所定の距離だけ走行させて、次のステップ取付用軸部材76を所望の位置に配置し、そのステップ取付用軸部材76にステップ9を取り付ける作業を繰り返す。図10は、図9に対応した図であって、ステップチェーン7の先端がフレーム100のチェーン用往路側ガイドレール111L,111Rの水平部分の付近に至っており、最先のステップ9の受動ローラ93が、受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113Rの水平部分の付近に至った模様を示す説明図である(簡単のため、図10以降の図面では、チェーン駆動部38の図示は省略されている)。
図11乃至図14は、図2に対応した図であって、1つのステップ9をステップ取付用軸部材76に取り付ける手順を示す説明図である。まず、図11に示すように、ステップ9が取り付けられるステップ取付用軸部材76(以下、対象ステップ取付用軸部材)が所定の位置に配置される。この位置にて、対象ステップ取付用軸部材76は、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第1チェーンガイド部28側にて、受動ローラ受け部材36の斜め上にあるように配置される。対象ステップ取付用軸部材76の位置は、取り付けられるステップ9の形状等に基づいて適宜調整されてよい。
対象ステップ取付用軸部材76が所定の位置に配置された後、図12に示すように、ステップ9の受動ローラ93の一方が、第1のチェーン装着アセンブリ23Lの受動ローラ受け部材36に載置され、ステップ9の受動ローラ93の他方が、第2のチェーン装着アセンブリ23Rの受動ローラ受け部材36に載置されるように、作業者は、ステップ9を配置する。受動ローラ受け部材36は、く字状に形成されており、上側が凹むように配置されているので、受動ローラ受け部材36に対する受動ローラ93のずれが抑制されている。
ステップ9の(切欠き95側の)端部は、作業者の手によって保持されている。図12に示すように、ステップ9が配置された後、作業者は、ステップ9の端部を支持する手を下げることで、受動ローラ93の回転軸回りでステップ9を下向きに回転させて、ステップ9の2つの切欠き95を対象ステップ取付用軸部材76に嵌める。この際、ステップ9を手で前後に動かして、微妙な位置調整がなされてよい。
図13は、ステップ9の切欠き95が対象ステップ取付用軸部材76に嵌められた状態を示している。この後、作業者は、第1ユニット2に設けられたスイッチ(図示せず)を操作することで、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rのエアシリンダ35を駆動させる。これらエアシリンダ35が駆動すると、そのピストンロッドが収縮位置に移動する。これに伴い、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの受動ローラ受け部材36が斜め下向きに下降し、ステップ9は、対象ステップ取付用軸部材76を回転軸体として、ライザ部92が下がるように回転する。
図14は、エアシリンダ35のピストンロッドが収縮位置にあって、ステップ9が回転し終えた模様を示している。対象ステップ取付用軸部材76回りでステップ9が回転することで、図13に示す状態と比較して、ステップ9の切欠き95、対象ステップ取付用軸部材76、それに取り付けられたスリーブ77及び第1クランプ78は、作業者が上方から視認可能であって、作業者にとってアクセスし易い状態になっている(図13及び図14では、スリーブ77及び第1クランプ78等の図示は省略されている)。図14に示す状態で、作業者は、スリーブ77及び第1クランプ78に対して上述した作業を行い、対象ステップ取付用軸部材76へのステップ9の取付けを完了する。なお、ステップチェーン組込装置1には、作業中の作業者の安全を確保するために、ピストンロッドが収縮位置にある場合に、エアシリンダ35の誤作動を防止する安全装置(図示省略)が設けられてよい。
その後、作業者は、上記のスイッチ(図示せず)を操作することで、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rのエアシリンダ35を駆動させて、そのピストンロッドを伸長位置に戻す。受動ローラ受け部材36は、図13に示す位置に戻される。
その後、作業者は、リモートコントローラ(図示省略)を用いて、フレーム100の駆動モータ116を駆動することで、所定の距離だけステップチェーン7及びダミーチェーン130を走行させる。これにより、ステップ9が取り付けられる次の対象ステップ取付用軸部材76が、図11に示すように所定の位置に配置される。その後、その対象ステップ取付用軸部材76にステップ9を取り付ける作業が、上記のように繰り返される。
上述したように、本実施形態では、第1のチェーン装着アセンブリ23L及び第2のチェーン装着アセンブリ23Rの第2チェーンガイド部29は、水平に配置された水平部分と、水平部分と第1チェーンガイド部28とを繋ぐ移行部とを含んでおり、水平部分の高さが、第1チェーンガイド部28の上端よりも若干高くされている。このような構成により、既にステップチェーン7に取り付けられているステップ9の中で最も後ろにあるステップ9(図11等にて左側に示されているステップ9)は、その後端がより起き上がるように配置されることとなり、上述した取り付け工程中において、対象ステップ取付用軸部材76に取り付けられるステップ9との干渉を避ける点で有利になっている。
ステップ取付用軸部材76に取り付けられたステップ9は、ステップチェーン7及びダミーチェーン130が走行するにつれて、フレーム100に向かって進む。最先のステップ9の受動ローラ93は、受動ローラ受け部材36から、受動ローラガイド部31、レールアセンブリ48L,48Rの受動ローラガイドレール46L,46Rを通って、フレーム100の受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113Rの水平部分に至り、受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113R、更には、受動ローラ用復路路側ガイドレール114L,114Rに案内されて、スプロケット115の近傍まで移動する。
上側セグメント101及び下側セグメント103にて、受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113Rと、受動ローラ用復路側ガイドレール114L,114Rとは、オーバーラップするように構成されており、所謂ターンレール構造にされている。これによって、下側セグメント103では、往路側ガイドレール113L,113Rと復路側ガイドレール114L,114Rとの間でステップ9の受動ローラ93を案内するレールの切り替えがなされており、上側セグメント101では、復路側ガイドレール114L,114Rと往路側ガイドレール113L,113Rとの間で受動ローラ93を案内するレールの切り替えがなされている。
最後のステップ9がステップチェーン7に取り付けられた後、駆動モータ116を駆動して、ステップチェーン7及びダミーチェーン130を走行させることで、図15に示すように、ステップチェーン7の先端を、チェーン用復路側ガイドレール112,L112Rの先端まで移動させる。この際、最先のステップ9の受動ローラ93は、受動ローラ用往路側ガイドレール113L,113Rと受動ローラ用復路側ガイドレール114L,114Rのオーバーラップ領域にある(図15では、幾つかのステップ9の図示は省略されている。図16についても同様)。
図15に示す位置までステップチェーン7の先端が進むと、作業者は、コントローラを操作して、駆動モータ116を停止させる。これにより、ステップチェーン7及びダミーチェーン130の走行が終了する。その後、図16に示すように、ステップチェーン取出レール121L,121Rがフレーム100から取り外されて、ダミーチェーン130がステップチェーン7から取り外される。
次に、スプロケット115に巻架されて、先端がチェーン用往路側ガイドレール111L,111Rの水平部分に至るように、ステップチェーン7が、例えば手動で進められる。その後、レールアセンブリ48L,48Rが撤去される。そして、ステップチェーン7の前端と後端が連結されて、ステップ9が取り付けられたステップチェーン7が無端状にされる。これにて、本実施形態のステップチェーン組込装置1を用いた一連の工程は終了する。
上記実施形態において、ステップ9をステップチェーン7に取り付ける機構は、図4に示したスリーブ77や第1クランプ78や、図5に示したステップ9の切欠き95等を使用したものに限定されることはなく、ステップ9をステップ取付用軸部材76と係合させて、その後、ステップ9の抜けを防止するための作業を必要とする任意の機構であってよい。
上記実施形態では、受動ローラ受け部材36を移動させるためにエアシリンダ35が使用されているが、本発明に使用されるアクチュエータ機構には、エアシリンダではなく、電動リニアアクチュエータ等のアクチュエータが使用されてよい。
上記実施形態では、ステップチェーン組込装置1の第1ユニット2と第2ユニット5において、第1チェーンガイドローラ33、第2チェーンガイドローラ56、及び第3チェーンガイドローラ59からなる第1のチェーンガイドローラ群と、当該第1ローラ群に対向するように配置された第1チェーンガイドローラ33、第2チェーンガイドローラ56、及び第3チェーンガイドローラ59からなる第2のチェーンガイドローラ群とが設けられている。本発明において、これら第1及び第2チェーンガイドローラ群を構成するチェーンガイドローラの数は、限定されない。
上記実施形態では、第2チェーンガイドローラ56及び第3チェーンガイドローラ59は、ステップチェーン組込装置1の機械幅方向(即ちステップチェーン7の幅方向)に直交する水平方向の位置について調節可能に構成されており、第3チェーンガイドローラ59については更に、鉛直方向の位置が調節可能に構成されている。しかしながら、本発明においては、第1のチェーンガイドローラ群を構成する任意のチェーンガイドローラとそれに対応する第2のチェーンガイドローラ群のチェーンガイドローラが、機械幅方向に直交する水平方向及び/又は鉛直方向の位置について調節可能に構成されてよい。
本発明のステップチェーン組込装置は、上記のような乗客コンベアの製造工程に加えて、施設に既に設置されている乗客コンベアのリニューアル工程においても使用されてよい。この場合、上記のステップチェーン組込装置1は、乗客コンベアが設置されている施設に配置されることとなる。レールアセンブリ48L,48Rを構成するチェーンガイドレール45L,45R及び受動ローラガイドレール46L,46Rの形状は、施設に設置されたステップチェーン組込装置1の第1ユニット2から、既設の乗客コンベアのフレームにステップチェーン7を導入するのに適した形状に変更されてよい。
乗客コンベアのリニューアル工程では、上記実施形態のように、ステップチェーン取出しレール121L,121Rをフレーム100に取り付けて、ダミーチェーン130を利用したステップ9の取り付け作業ができない場合もある。その場合、本発明のステップチェーン組込装置は、新たなステップチェーン7を既設のフレームに導入するためだけに使用されてよい。この場合、ステップチェーン7にダミーチェーン130を連結して、ステップチェーン7が既設のフレームにある程度組み込まれた後に、ダミーチェーン130が取り外されるであろう。なお、このような工程に使用される場合、上記実施形態のステップチェーン組込装置1は簡略化されてよく、例えば、第2ユニット5、第1チェーンガイドローラ33,エアシリンダ35、受動ローラ受け部材36等は削除されてよい。
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を減縮する様に解すべきではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。