JP2002001535A - 自動溶接装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、溶接機を盛り換えることなく、全
溶接箇所を自動で溶接することができ、箱型断面形状の
鋼構造物の組立作業性を向上させることが可能な自動溶
接装置を提供することにある。 【解決手段】 本発明では、内面に複数の縦リブ２およ
び横リブ３を溶接し、周囲の上下フランジパネル５，６
および左右ウェブパネル７，８を互いに溶接することに
より箱型断面形状の鋼構造物１を組立てる自動溶接装置
において、フランジパネル５，６の内面に並設される縦
リブ２の上部にレール部材１１を掛け渡すことにより設
置し、レール部材１１を横リブ３に沿って配置すると共
に、レール部材１１にロボット溶接機１２を横リブ３に
沿って走行可能に取付ける一方、レール部材１１側の下
部に縦リブ２と係合する駆動車輪１３およびガイド車輪
１４を設け、駆動車輪１３およびガイド車輪１４によっ
てレール部材１１が縦リブ２上を走行し得るように構成
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁等、箱型断面
形状の鋼構造物を組立てる際に使用される自動溶接装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】箱型断面形状の鋼構造物である橋梁箱桁
ブロックの外周囲は、図５に示すように、上下フランジ
パネル５１，５２および左右ウェブパネル５３，５４を
互いに間隔を開けて配置することにより組立てられてい
る。また、橋梁箱桁ブロックの内面には、これを補強す
る複数の縦リブ５５、Ｔ字形横リブ５６およびダイアフ
ラム５７等が配設されている。これら上下フランジパネ
ル５１，５２および左右ウェブパネル５３，５４や縦リ
ブ５５、Ｔ字形横リブ５６およびダイアフラム５７等
は、図示しない部材上を走行する様々な自動・半自動の
溶接機を用いて溶接することにより、固着されて組付け
られている。

【０００３】すなわち、上記縦リブ５５は、仮組立前の
上下フランジパネル５１，５２にそれぞれ溶接されるも
のであり、長手方向に沿って延び、かつ幅方向に間隔を
置いて配設されている。また、上記横リブ５６は、Ｔ字
形に溶接された状態で、仮組立後の上下フランジパネル
５１，５２、左右ウェブパネル５３，５４および縦リブ
５５にそれぞれ溶接されるものであり、幅方向に沿って
延び、かつ長手方向に間隔を置いて配設されている。さ
らに、上記ダイアフラム５７は、仮組立後の上下フラン
ジパネル５１，５２および左右ウェブパネル５３，５４
にそれぞれ溶接されるものであり、上下および幅方向に
沿って延び、かつ横リブ５６間で長手方向に間隔を置い
て配設されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た仮組立後の溶接適用対象である橋梁箱桁ブロックの内
部は、仮組立前の上下フランジパネル５１，５２に溶接
された縦リブ５５によって約２６０〜７００ｍｍ間隔に
仕切られているので、横リブ５６やダイアフラム５７な
どを溶接する際に、重量のある溶接機を頻繁に持ち上げ
て各縦リブ５５を飛び越して移動する盛り換え作業を行
う必要があり、溶接作業が非常に煩雑であった。しか
も、各縦リブ５５間の狭いスペース内では、自動溶接機
によって縦リブ５５と横リブ５６との立向きの溶接箇所
や、横リブ５６と上下フランジパネル５１，５２との隅
部の水平溶接箇所を隅肉溶接することができず、作業者
が手作業で隅肉溶接を行っており、橋梁箱桁ブロックの
組立作業の能率向上を図ることができないという不具合
を有していた。

【０００５】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、溶接機を盛り換えることな
く、全溶接箇所を自動で溶接することができ、箱型断面
形状の鋼構造物の組立作業性を向上させることが可能な
自動溶接装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明は、内面に複数の縦リブお
よび横リブを溶接し、周囲の上下フランジパネルおよび
左右ウェブパネルを互いに溶接することにより箱型断面
形状の鋼構造物を組立てる自動溶接装置において、前記
フランジパネルの内面に並設される前記縦リブの上部に
レール部材を掛け渡すことにより設置し、該レール部材
を前記横リブに沿って配置すると共に、前記レール部材
に溶接機を前記横リブに沿って走行可能に取付ける一
方、前記レール部材側の下部に前記縦リブと係合する駆
動車輪およびガイド車輪を設け、これら駆動車輪および
ガイド車輪によって前記レール部材が前記縦リブ上を走
行し得るように構成している。また、本発明の駆動車輪
およびガイド車輪は、前記縦リブを間に挟んで左右両側
に位置し、前記縦リブの断面形状に応じてそれぞれ回動
可能に支持された状態で前記レール部材側に取付けられ
ている。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。ここで、図１は本発明の実
施形態に係る自動溶接装置の正面図、図２は本実施形態
に係る自動溶接装置の側面図、図３は本実施形態の自動
溶接装置を用いて橋梁箱桁ブロック内の下フランジパネ
ルとウェブパネルとの水平隅肉溶接を行っている状態の
概略図、図４は本実施形態の自動溶接装置を用いて橋梁
箱桁ブロック内の横リブと下フランジパネルおよびウェ
ブパネルとの水平および立向隅肉溶接を行っている状態
の概略図である。

【０００８】本発明の実施形態に係る自動溶接装置は、
図１〜図４に示す如く、橋梁箱桁等の箱型断面形状の鋼
構造物１を組立てる際に使用される溶接装置であり、こ
の鋼構造物１の内面には、これを補強するために複数の
縦リブ２、Ｔ字形横リブ３およびダイアフラム４等が溶
接されていると共に、同鋼構造物１の外周囲壁は、上下
左右に間隔を開けた状態で、上下フランジパネル５，６
および左右ウェブパネル７，８を互いに溶接することに
より形成されている。

【０００９】縦リブ２は、逆Ｕ字形や立板状等、断面が
種々の形状に形成され、基端部が仮組立前の上下フラン
ジパネル５，６にそれぞれ隅肉溶接されるものであり、
長手方向に沿って延び、かつ幅方向に一定の間隔を置い
て配設されている。また、横リブ３は、水平に配置する
フランジ片３ａと垂直に配置するウェブ片３ｂとを互い
に溶接することによりＴ字形に形成され、基端部、側端
部および中間部が仮組立後の上下フランジパネル５，
６、左右ウェブパネル７，８および縦リブ２にそれぞれ
隅肉溶接されるものであり、幅方向に沿って延び、かつ
長手方向に一定の間隔を置いて配設されている。さら
に、ダイアフラム４は、上下端部および両側端部が仮組
立後の上下フランジパネル５，６および左右ウェブパネ
ル７，８にそれぞれ溶接されるものであり、上下および
幅方向に沿って延び、かつ横リブ３間で長手方向に一定
の間隔を置いて配設されている。なお、横リブ３のウェ
ブ片３ｂの中間部には、縦リブ２を通す複数の切欠き９
が幅方向に間隔を置いて配設されている。また、ダイア
フラム４は、外形寸法が鋼構造物１の内部寸法とほぼ同
一に形成されており、その中央部には、作業者や装置等
が出入りするための開口部１０が設けられ、その上下部
には縦リブ２を通す複数の切欠き９ａが幅方向に間隔を
置いて配設されている。

【００１０】本実施形態の自動溶接装置は、図１および
図２に示す如く、予め上下フランジパネル５，６の上面
に並設された縦リブ２の上部に掛け渡すことにより、鋼
構造物１の内部でほぼ全幅にわたって設置されるレール
部材１１と、同レール部材１１に横リブ３に沿って走行
可能に取付けられるロボット溶接機１２と、同レール部
材１１側の下部に設けられ、縦リブ２の左右両側面と係
合する駆動車輪１３および前後一対のガイド車輪１４と
を備えている。

【００１１】上記レール部材１１は、横リブ３に沿って
配置されており、縦リブ２間のピッチに対応して左右両
側の駆動車輪１３およびガイド車輪１４の位置を調整で
きるように構成されている。このため、レール部材１１
は、二重構造のスライド式受け台１５と、同受け台１５
の本体部１５ａに設けられる位置合わせモータ１６と、
同位置合わせモータ１６の駆動力を受け台１５の左右各
摺動部１５ｂに伝達する左右一対の伝達機構１７とを備
えており、位置合わせモータ１６によって摺動部１５ｂ
が左右方向へ移動するようになっている。また、レール
部材１１の片側の複数箇所には、ロボット溶接機１２を
支持する支持台１８がレール部材１１に対して移動可能
に取付けられている。

【００１２】一方、上記駆動車輪１３および前後一対の
ガイド車輪１４は、縦リブ２，２ａを間に挟んで左右両
側に位置しており、駆動車輪１３は受け台１５に枢支さ
れた支持アーム１９の先端に一体的に取付けられ、各ガ
イド車輪１４は受け台１５に枢支された支持アーム２０
の先端に回転自在に取付けられている。しかも、駆動車
輪１３およびガイド車輪１４は、受け台１５に設けられ
たエアシリンダ２１で支持アーム１９，２０を作動させ
ることにより、縦リブ２，２ａの断面形状に応じて回動
可能に支持されている。そして、駆動車輪１３は、受け
台１５に設けられた駆動モータ２２により、支持アーム
１９を介して縦リブ２の側面上で回転駆動されるように
なっている。

【００１３】また、受け台１５の左右摺動部１５ｂの下
面には、下向き配置の断面コ字状のブラケット２３が固
定されており、同ブラケット２３には、縦リブ２の上部
に載置するローラ２４が回転自在に取付けられている。
したがって、レール部材１１は、駆動車輪１３およびガ
イド車輪１４を縦リブ２の左右両側面に係合させ、かつ
ローラ２４を縦リブ２の上部に載置した状態で駆動モー
タ２２を駆動させることによって、縦リブ２上を走行し
得るように構成されている。

【００１４】本実施形態に係る自動溶接装置を使用して
鋼構造物１を組立てるには、先ず、必要な数の縦リブ２
を並べて仮組立前の上下フランジパネル５，６の内面に
それぞれ隅肉溶接を行って、予め部組しておく。また、
フランジ片３ａとウェブ片３ｂとを溶接することによ
り、横リブ３を組立てておく。次いで、このような上下
フランジパネル５，６と左右ウェブパネル７，８とを組
合わせて断面箱型形状に配置し、図示しない治具などを
用いて仮止めすると共に、横リブ３およびダイアフラム
４を所定の位置に設置して仮組立を行う。この状態で、
図３および図４に示す如く、レール部材１１を複数の縦
リブ２に掛け渡し、ローラ２４を縦リブ２の上部に載せ
ながら横リブ３に沿って配置する。そして、左右両側の
駆動車輪１３およびガイド車輪１４を縦リブ２の左右両
側面に係合させ、ロボット溶接機１２をレール部材１１
の支持台１８に搭載する。なお、仮組立された鋼構造物
１の内部には、装置搬出入ガイドレール２５がダイアフ
ラム４の開口部１０を貫通しながら配置されている。

【００１５】しかる後、レール部材１１の端部にロボッ
ト溶接機１２を移動させ、同レール部材１１を縦リブ２
に沿って走行させながら、同ロボット溶接機１２によっ
て下フランジパネル６と左右ウェブパネル７，８との水
平隅肉溶接を行う。そして、同じ位置のロボット溶接機
１２によって、ダイアフラム４と左右ウェブパネル７，
８との立向隅肉溶接を行うと共に、横リブ３と左右ウェ
ブパネル７，８との立向隅肉溶接を行う。また、ロボッ
ト溶接機１２をレール部材１１に沿って移動させなが
ら、同ロボット溶接機１２によって下フランジパネル６
とダイアフラム４および横リブ３との水平隅肉溶接を行
うと共に、各縦リブ２とそれに対応する横リブ３との立
向隅肉溶接（上部回し溶接を含む）を行う。

【００１６】下フランジパネル６とこれに組付けられる
各部材との隅肉溶接が終了したら、ロボット溶接機１２
およびレール部材１１等を取り外し、仮組立の鋼構造物
１を上下逆に反転させる。次いで、上記と同様の手順で
レール部材１１およびロボット溶接機１２を設置し、同
ロボット溶接機１２によって上フランジパネル５側につ
いても上記と同様に各部材との隅肉溶接を行う。そし
て、この作業を繰り返してダイアフラム４等の部材で囲
まれた区間を１区間として全区間の隅肉溶接を行えば、
鋼構造物１の組立作業は完了することになる。

【００１７】本発明の実施形態に係る自動溶接装置で
は、上下フランジパネル５，６の内面に一定の間隔を置
いて並べた縦リブ２の上部にレール部材１１を掛け渡し
て設置し、同レール部材１１にロボット溶接機１２を横
リブ３に沿って走行可能に取付けると共に、レール部材
１１の下部に縦リブ２の左右両側面および上面に係合す
る駆動車輪１３、ガイド車輪１４およびローラ２４を設
け、駆動モータ２２で駆動車輪１３を駆動させることに
よりレール部材１１が縦リブ２上を走行するようになっ
ているため、仮組立した箱型断面形状の鋼構造物１内で
も、ロボット溶接機１２により縦リブ２、横リブ３、上
下フランジパネル５，６および左右ウェブパネル７，８
の全溶接箇所を迅速かつ確実に隅肉溶接することができ
る。しかも、本実施形態の自動溶接装置では、縦リブ２
の左右両側に位置する駆動車輪１３およびガイド車輪１
４が支持アーム１９，２０を介してレール部材１１の受
け台１５に回動可能に支持されているため、立板状断面
形状の縦リブ２や逆Ｕ字形断面形状の縦リブ２ａに応じ
て、駆動車輪１３およびガイド車輪１４をエアシリンダ
２１により動かして縦リブ２の左右両側面にしっかりと
係合させることができ、レール部材１１が縦リブ２から
外れるということは起こらず、かつ汎用性に優れてい
る。

【００１８】以上、本発明の実施の形態につき述べた
が、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではな
く、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更
が可能である。例えば、ロボット溶接機１２による溶接
手順は、既述の実施形態の順序でなく、他の手順で隅肉
溶接を行っても良い。また、既述の実施形態では、レー
ル部材１１の受け台１５の下面にローラ２４を設け、レ
ール部材１１の走行が円滑となるように構成したが、ロ
ーラ２４以外の他の支持手段を設けても、あるいは受け
台１５を直接縦リブ２の上部に設置しても良い。

【００１９】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係る自動溶接装置
は、内面に複数の縦リブおよび横リブを溶接し、周囲の
上下フランジパネルおよび左右ウェブパネルを互いに溶
接することにより箱型断面形状の鋼構造物を組立てるも
のであって、前記フランジパネルの内面に並設される前
記縦リブの上部にレール部材を掛け渡すことにより設置
し、該レール部材を前記横リブに沿って配置すると共
に、前記レール部材に溶接機を前記横リブに沿って走行
可能に取付ける一方、前記レール部材側の下部に前記縦
リブと係合する駆動車輪およびガイド車輪を設け、これ
ら駆動車輪およびガイド車輪によって前記レール部材が
前記縦リブ上を走行し得るように構成しているので、煩
雑で重労働な溶接機の盛り換え作業を行わずに済み、か
つ従来において手作業で溶接を行っていた箇所を含む全
溶接箇所を自動で溶接することができ、組立作業の能率
向上によって鋼構造物の施工期間の短縮化およびコスト
ダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る自動溶接装置を示す正
面図である。

【図２】本発明の実施形態に係る自動溶接装置を示す側
面図である。

【図３】本実施形態の自動溶接装置を用いて橋梁箱桁ブ
ロック内の下フランジパネルとウェブパネルとの水平隅
肉溶接を行っている状態を示す概略図である。

【図４】本実施形態の自動溶接装置を用いて橋梁箱桁ブ
ロック内の横リブと下フランジパネルおよびウェブパネ
ルとの水平および立向隅肉溶接を行っている状態を示す
概略図である。

【図５】溶接によつて組立てられる橋梁箱桁ブロックを
示す概略図である。

【符号の説明】

１ 鋼構造物 ２，２ａ 縦リブ ３ 横リブ ４ ダイアフラム ５，６ フランジパネル ７，８ ウェブパネル １１ レール部材 １２ ロボット溶接機 １３ 駆動車輪 １４ ガイド車輪 １５ スライド式受け台 １８ 支持台 １９，２０ 支持アーム ２１ エアシリンダ ２２ 駆動モータ ２３ ブラケット ２４ ローラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上村 道夫 神奈川県横浜市中区錦町12番地 三菱重工 業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 盛 新一 神奈川県横浜市中区錦町12番地 三菱重工 業株式会社横浜製作所内 Ｆターム(参考） 4E081 AA12 EA12 EA17 EA24 EA34 YY01 YY02 YY20

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内面に複数の縦リブおよび横リブを溶接
   し、周囲の上下フランジパネルおよび左右ウェブパネル
   を互いに溶接することにより箱型断面形状の鋼構造物を
   組立てる自動溶接装置において、前記フランジパネルの
   内面に並設される前記縦リブの上部にレール部材を掛け
   渡すことにより設置し、該レール部材を前記横リブに沿
   って配置すると共に、前記レール部材に溶接機を前記横
   リブに沿って走行可能に取付ける一方、前記レール部材
   側の下部に前記縦リブと係合する駆動車輪およびガイド
   車輪を設け、これら駆動車輪およびガイド車輪によって
   前記レール部材が前記縦リブ上を走行し得るように構成
   したことを特徴とする自動溶接装置。
2. 【請求項２】 前記駆動車輪およびガイド車輪は、前記
   縦リブを間に挟んで左右両側に位置し、前記縦リブの断
   面形状に応じてそれぞれ回動可能に支持された状態で前
   記レール部材側に取付けられていることを特徴とする請
   求項１に記載の自動溶接装置。