JP2019104326A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボールねじ機構を構成する複数のボールの円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感に悪影響を与えてしまうことを抑制することが可能なステアリング装置を提供する。【解決手段】ステアリング装置1は、軸方向への進退移動により左右の前輪を転舵させるラックシャフト2と、ラックシャフト2の外周面に形成された螺旋状のねじ溝21に複数のボール42を介して螺合する円筒状のナット部材5と、ナット部材5に掛け回されたベルト6と、ベルト6を介してナット部材5を回転させる電動モータ40と、ナット部材5を収容するハウジング3と、ナット部材5をハウジング3に対して回転可能に支持する複数の転動体7とを備える。ナット部材5は、その内周面に複数のボール42が転動するねじ溝521が形成された本体部52と、複数の転動体7が転動する軌道面53a,54aが形成された一対の軌道部53,54とを一体に有する。【選択図】図2
Description
本発明は、車両の転舵輪を転舵させるステアリング装置に関する。
従来、車両のステアリング装置には、電動モータのトルクがベルトを介して伝達されるナット部材の回転によって、外周面にねじ溝が形成された転舵軸に軸方向の移動力が付与されるものがある。ナット部材は、その内周面にねじ溝が形成されており、同ねじ溝と転舵軸のねじ溝との間に配置された複数のボールによってボールねじ機構が構成されている。電動モータは、ステアリングホイールの操舵トルクに応じた電流がコントローラから供給され、ベルトを循環回転させるトルクを発生する。電動モータのトルクによってナット部材が回転すると、転舵軸に軸方向の移動力が付与され、運転者によるステアリングホイールの操舵操作がアシストされる。
特許文献1,2に記載のステアリング装置は、ナット部材が軸受によってハウジングに対して回転可能に支持されている。軸受は、ナット部材の外周面に嵌合された内輪と、ナット部材を収容するハウジングに内嵌された外輪と、内輪と外輪との間に配置された複数の球状の転動体とを有している。
上記のように構成されたステアリング装置において、内輪がナット部材に対して偏心して組み付けられたり、軸受の内輪や外輪に寸法誤差があると、ハウジングに対してナット部材が偏心して回転してしまい、複数のボールの円滑な転動が妨げられ、ステアリングホイールの操舵感に悪影響を与えてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、ボールねじ機構を構成する複数のボールの円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感に悪影響を与えてしまうことを抑制することが可能なステアリング装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、軸方向への進退移動により車両の転舵輪を転舵させる転舵軸と、前記転舵軸の外周面に形成された螺旋状のねじ溝に複数のボールを介して螺合する円筒状のナット部材と、前記ナット部材に掛け回されたベルトと、前記ベルトを介して前記ナット部材を回転させる電動モータと、前記ナット部材を収容するハウジングと、前記ナット部材を前記ハウジングに対して回転可能に支持する複数の転動体とを備え、前記ナット部材は、その内周面に前記複数のボールが転動するねじ溝が形成された本体部と、前記複数の転動体が転動する軌道面が形成された軌道部とを一体に有する、ステアリング装置を提供する。
本発明に係るステアリング装置によれば、ボールねじ機構を構成する複数のボールの円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感に悪影響を与えてしまうことを抑制することが可能となる。
[第1の実施の形態]
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
(ステアリング装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るステアリング装置の全体構造を示す構造図である。図2は、ステアリング装置の要部の構成を示す断面図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るステアリング装置の全体構造を示す構造図である。図2は、ステアリング装置の要部の構成を示す断面図である。
このステアリング装置1は、車両に搭載され、運転者の操舵操作に応じて転舵輪である左右の前輪を転舵させる。図1では、ステアリング装置を車両の前方から見た状態を示し、図面左側が車両の右側にあたり、図面右側が車両の左側にあたる。なお、図1における符号中の文字「R」は車両の右側を示し、文字「L」は車両の左側を示している。以下の説明において「左」「右」とは、車両左右方向における各方向をいう。
ステアリング装置1は、運転者が操舵操作するステアリングホイール10が連結されたステアリングシャフト11と、ステアリングホイール10の操舵操作によって車幅方向に沿って軸方向に進退移動する転舵軸としてのラックシャフト2と、ラックシャフト2を収容するハウジング3と、ハウジング3に固定された電動モータ40と、電動モータ40によって駆動され、ラックシャフト2に軸方向の移動力を付与する移動力付与機構4とを備えている。
ハウジング3は、移動力付与機構4及びラックシャフト2の一部を収容している。電動モータ40及び移動力付与機構4は、運転者によるステアリングホイール10の操舵操作を補助する操舵補助装置100を構成する。ステアリング装置1は、ラックシャフト2が軸方向に移動することで、転舵輪である左右の前輪を転舵させる。
ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10が一端部に固定されたコラムシャフト12と、コラムシャフト12に自在継手151を介して連結されたインターミディエイトシャフト(中間シャフト)13と、インターミディエイトシャフト13に自在継手152を介して連結されたピニオンシャフト14とを有している。自在継手151,152は、例えばカルダンジョイントからなる。
ピニオンシャフト14には、その先端部にピニオン歯140が形成されている。ラックシャフト2には、ピニオン歯140に噛み合うラック歯20、及び螺旋状のねじ溝21が形成されている。ピニオンシャフト14は、その一部がステアリングホイール10に付与される操舵トルクによって捩じれる可撓性を備えたトーションバー141として構成されており、トーションバー141の捩じれ角がトルクセンサ41によって検出される。トルクセンサ41は、操舵トルクをトーションバー141の捩じれ角の大きさによって検出する。
ラックシャフト2は、左右のタイロッド17L,17Rや図略のナックルアームを含むリンク機構を介して左右の前輪に連結されている。ハウジング3の両端部とタイロッド17L,17Rとの間には、伸縮可能な蛇腹構造を有するベローズ18L,18Rがそれぞれ設けられている。ラックシャフト2の両端部には、図1に示すように、ボールジョイント16L,16Rを介して左右のタイロッド17L,17Rの一端部が連結されている。ラックシャフト2が車幅方向(左右方向)に進退移動すると、左右のタイロッド17L,17Rによって左右の前輪がそれぞれ転向される。
図2に示すように、移動力付与機構4は、ラックシャフト2の外周面に形成されたねじ溝21に複数のボール42を介して螺合する円筒状のナット部材5と、ナット部材5に掛け回された合成ゴムからなるベルト6と、ナット部材5をハウジング3に対して回転可能に支持する複数の転動体7と、転動体7を保持する一対の保持器70と、転動体7が転動する第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72とを有している。
電動モータ40は、図1に示すように、固定子及び回転子を有する駆動部401と、駆動部401の固定子にモータ電流を供給する制御部402とを有している。制御部402は、トルクセンサ41によって検出された操舵トルクや車速に応じたモータ電流を駆動部401に供給する。駆動部401は、制御部402から供給されるモータ電流によってトルクを発生し、ベルト6を介してナット部材5を回転させる。ベルト6は、内周面に複数のベルト歯61が設けられた歯付きの無端ベルトである。
ハウジング3は、第1部材31及び第2部材32を有し、第1部材31と第2部材32とが複数のボルト33によって締結されている。図2では、このうち1つのボルト33を図示している。第1部材31は、移動力付与機構4を収容する移動力付与機構収容部311と、移動力付与機構4よりも右側(図面左側)でラックシャフト2を収容する第1筒部312と、車体への取り付けのための取付部313と、第1軌道輪部材71を支持する第1軸受支持部314とを一体に有している。
第2部材32は、移動力付与機構4よりも左側(図面右側)でラックシャフト2を収容する第2筒部321と、ピニオンシャフト14の一端部を収容するピニオンシャフト収容部322(図1参照)と、第2軌道輪部材72を支持する第2軸受支持部324とを一体に有している。電動モータ40は、第2部材32における第1部材31側の端部に複数のボルト34によって固定されている。
ナット部材5は、樹脂製の従動プーリ50と金属製のボールねじナット51とを組み合わせてなる。ボールねじナット51は、その内周面に複数のボール42が転動する螺旋状のねじ溝521が形成された本体部52と、複数の転動体を転動させる一対の軌道部53,54とを一体に有する。複数のボール42は、ラックシャフト2のねじ溝21及びボールねじナット51のねじ溝521によって形成される転動路400を転動する。また、ボールねじナット51には、転動路400の2箇所に開口して複数のボール42を転動路400に還流させる図略の環流路が形成されている。複数のボール42は、ボールねじナット51の回転により、環流路を介して転動路400を循環転動する。
図3は、ラックシャフト2及びベルト6を省略してナット部材5及びその周辺部を示す断面図である。ナット部材5は、電動モータ40の駆動力により、回転軸線Oを中心として回転する。以下の説明において、「軸方向」とは、回転軸線Oに平行な方向をいう。一対の軌道部53,54の内周面には、複数の転動体7が転動する軌道面53a,54aがそれぞれ形成されたている。ねじ溝521の内面521a及び軌道面53a,54aは研削加工されている。
本体部52の外周面52aには、従動プーリ50を相対回転不能に連結するための複数の係合突起522が形成されている。従動プーリ50は、ボールねじナット51に外嵌された円筒状であり、その内周面には、ボールねじナット51の係合突起522に係合する複数の係合突起501が形成されている。また、ボールねじナット51には、従動プーリ50の軸方向端面に当接してボールねじナット51に対する従動プーリ50の軸方向移動を規制する一対の止め輪551,552が嵌着されている。
従動プーリ50の外周面には、ベルト6のベルト歯61が噛み合う複数の噛み合い歯502が形成されている。ベルト6は、電動モータ40のシャフト403に結合された駆動プーリ404と従動プーリ50との間に掛け回され、駆動プーリ404の回転力を従動プーリ50に伝達する。従動プーリ50は駆動プーリ404よりも大径であり、駆動プーリ404の回転力がベルト6によって減速されて従動プーリ50に伝達される。
なお、本実施の形態では、ナット部材5の従動プーリ50とボールねじナット51とが別体であるが、これらを一体としてもよい。この場合、ボールねじナット51の外周面にベルト6のベルト歯61が噛み合う複数の噛み合い歯が形成される。ただし、操舵補助装置100の作動音を低減するためには、本実施の形態のように、樹脂製の従動プーリ50をボールねじナット51に固定してナット部材5を構成することが望ましい。
ボールねじナット51において、一対の軌道部53,54は、本体部52の軸方向両側に設けられている。より詳細には、一対の軌道部53,54が本体部52の軸方向両端面52b,52cから軸方向に突出している。一対の軌道部53,54は円環状であり、それぞれの内周面の一部が軌道面53a,54aとして形成されている。
転動体7は軸受鋼等の鋼材からなる球状であり、複数の転動体7が保持器70に周方向等間隔に保持されている。複数の転動体7は、複列に配置され、このうち一方列の複数の転動体7は、ボールねじナット51の軌道部53と第1軌道輪部材71との間に挟まれ、軌道部53の内周面に形成された軌道面53a及び第1軌道輪部材71の外周面に形成された軌道面71aを転動する。また、他方列の複数の転動体7は、ボールねじナット51の軌道部54と第2軌道輪部材72との間に挟まれ、軌道部54の内周面に形成された軌道面54a及び第2軌道輪部材72の外周面に形成された軌道面72aを転動する。
第1軌道輪部材71は、ハウジング3の第1部材31の第1軸受支持部314に支持されている。第1軸受支持部314は、第1部材31の軸端面31aからボールねじナット51の本体部52の軸方向端面52bに向かって軸方向に突出した円筒状であり、その外周面314aが第1軌道輪部材71の内周面71bに対向している。ハウジング3と第1軌道輪部材71との間、より具体的には、第1部材31の軸端面31aと、この軸端面31aと軸方向に向かい合う第1軌道輪部材71の側面71cとの間には、弾性体としての皿ばね73が軸方向に圧縮された状態で配置されている。
第2軌道輪部材72は、ハウジング3の第2部材32の第2軸受支持部324に支持されている。第2軸受支持部324は、第2部材32の軸端面32aからボールねじナット51の本体部52の軸方向端面52cに向かって軸方向に突出した円筒状であり、その外周面324aが第2軌道輪部材72の内周面72bに対向している。ハウジング3と第2軌道輪部材72との間、より具体的には、第2部材32の軸端面32aと、この軸端面32aと軸方向に向かい合う第2軌道輪部材72の側面72cとの間には、弾性体としての皿ばね74が軸方向に圧縮された状態で配置されている。
皿ばね73,74は、第1部材31と第2部材32とが複数のボルト33によって締結されることにより軸方向に圧縮され、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72を軸方向に予圧している。これにより、ボールねじナット51における軌道部53の軌道面53a及び第1軌道輪部材71の軌道面71aに複数の転動体7がアンギュラコンタクトすると共に、ボールねじナット51における軌道部54の軌道面54a及び第2軌道輪部材72の軌道面72aに複数の転動体7がアンギュラコンタクトする。図2及び図3では、ボールねじナット51の軌道部53及び第1軌道輪部材71と転動体7との接触部に作用する力の作用方向に伸びる接触線L1、ならびにボールねじナット51の軌道部54及び第2軌道輪部材72と転動体7との接触部に作用する力の作用方向に伸びる接触線L2を一点鎖線で示している。また、皿ばね73,74は、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72ならびにボールねじナット51を軸方向に弾性支持する機能も併せ持っている。
(ボールねじナット51の製造方法)
次に、ボールねじナット51の製造方法について、図4A乃至図4Cを参照して説明する。なお、以下に示す製造方法は、ボールねじナット51の好適な製造方法の一例として説明するものであり、他の製造方法によってもボールねじナット51を形成することが可能である。
次に、ボールねじナット51の製造方法について、図4A乃至図4Cを参照して説明する。なお、以下に示す製造方法は、ボールねじナット51の好適な製造方法の一例として説明するものであり、他の製造方法によってもボールねじナット51を形成することが可能である。
図4Aは、軌道部53の軌道面53aを研削する工程を示す説明図であり、図4Bは、軌道部54の軌道面54aを研削する工程を示す説明図である。また、図4Cは、ねじ溝521の内面521aを研削する工程を示す説明図である。
これらの研削加工は、被加工物であるボールねじナット51の外周面51aを固定装置により締め付けて固定して行われる。図4A乃至図4Cでは、固定装置としてのコレットチャックの複数のチャック爪81を図示している。ボールねじナット51は、複数のチャック爪81により外径把握されている。
軌道部53の軌道面53a及び軌道部54の軌道面54aは、共通の軌道面研削砥石91を用いて行われる。軌道面研削砥石91は、その外周面における研削面91aが軌道面53a,54aに適合する曲率で凸状に湾曲しており、砥石軸92の回転に伴って回転する。
軌道面53a,54aは、ボールねじナット51の軸方向両端の開口51b,51cのうち一方から軌道面研削砥石91を導入して研削加工される。図4A及び図4Bに示す例では、軌道部54側の開口51cから軌道面研削砥石91を導入する場合について図示している。軌道部53の軌道面53aを研削する際には、軌道面研削砥石91及び砥石軸92を軸方向移動させて本体部52の内側を通過させ、その後に軌道面研削砥石91を径方向に移動させて研削面91aを被加工面に当接させる。なお、軌道部54の軌道面54aを研削する際には、砥石軸92を本体部52の内側に通過させることなく、研削面91aを被加工面に当接させる。
ねじ溝521の内面521aは、図4Cに示すように、溝面研削用砥石93により研削される。溝面研削用砥石93は、研削面93aがねじ溝521の内面521aに適合する曲率で凸状に湾曲しており、砥石軸94の回転に伴って回転する。また、溝面研削用砥石93は、軌道面研削砥石91と同様に、軌道部54側の開口51cから本体部52の内側に導入される。
このように、ボールねじナット51の製造方法は、被加工物としてのボールねじナット51をコレットチャックの複数のチャック爪81により外径把握して固定するクランプ工程と、軸方向両端の開口51b,51cのうち一方の開口51cから軌道面研削砥石91を導入して両軌道面53a,54aを研削する第1研削工程と、同じく一方の開口51cから溝面研削用砥石93を導入してねじ溝521の内面521aを研削する第2研削工程とを有している。なお、第1研削工程及び第2研削工程は、クランプ工程の後に行われるが、第1研削工程と第2研削工程とは何れを先に行ってもよい。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、ボールねじナット51の本体部52と軌道部53,54とが一体であるので、例えばこれらが別体である場合に生じ得る組み付け誤差の発生を防ぐことができる。また、ボールねじナット51は、コレットチャックの複数のチャック爪81による1回のクランプ動作によって固定された後、持ち替えによる再度のクランプ動作を行うことなく、両軌道面53a,54a及びねじ溝521の内面521aを研削することが可能であるので、両軌道面53a,54aとねじ溝521の内面521aとの相対的な位置関係を高精度にすることができる。これにより、複数のボール42の円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感を良好にすることができる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、ボールねじナット51の本体部52と軌道部53,54とが一体であるので、例えばこれらが別体である場合に生じ得る組み付け誤差の発生を防ぐことができる。また、ボールねじナット51は、コレットチャックの複数のチャック爪81による1回のクランプ動作によって固定された後、持ち替えによる再度のクランプ動作を行うことなく、両軌道面53a,54a及びねじ溝521の内面521aを研削することが可能であるので、両軌道面53a,54aとねじ溝521の内面521aとの相対的な位置関係を高精度にすることができる。これにより、複数のボール42の円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感を良好にすることができる。
また、ボールねじナット51の軌道部53,54は、本体部52の軸方向両側に設けられているので、例えば本体部52の軸方向一側に軌道部53が設けられて軸方向他側に軌道部54が設けられていない場合や、軌道部53,54が本体部52を挟むことなく互いに隣り合って設けられている場合に比較して、ベルト6の張力によってボールねじナット51が傾くこと等がなく、ボールねじナット51を安定して支持することができる。
またさらに、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72が軸方向に予圧されているため、ボールねじナット51の軌道部53と第1軌道輪部材71との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面53a,71aとの隙間(内部ガタ)、及びボールねじナット51の軌道部54と第2軌道輪部材72との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面54a,72aとの隙間をゼロにすることができ、複数の転動体7が転動する際の異音(ラトル音:rattling noise)の発生を抑制することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、ボールねじナット51Aの形状ならびにその軸受構造が第1の実施の形態と異なる他は、第1の実施の形態と同様であるので、この違いの部分について重点的に説明する。また、本実施の形態において、第1の実施の形態のものと共通又は対応する部材等については、第1の実施の形態で用いた符号や名称を援用する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、ボールねじナット51Aの形状ならびにその軸受構造が第1の実施の形態と異なる他は、第1の実施の形態と同様であるので、この違いの部分について重点的に説明する。また、本実施の形態において、第1の実施の形態のものと共通又は対応する部材等については、第1の実施の形態で用いた符号や名称を援用する。
図5は、本実施の形態に係るステアリング装置の要部の構成を示す断面図である。図6は、ラックシャフト2及びベルト6を省略し、本実施の形態に係るナット部材5A及びその周辺部を示す断面図である。
本実施の形態に係るナット部材5Aは、第1の実施の形態に係るナット部材5と同様、ボールねじナット51Aに従動プーリ50を組み合わせて構成されているが、ボールねじナット51Aの形状が第1の実施の形態に係るボールねじナット51と異なっている。すなわち、第1の実施の形態に係るボールねじナット51は、軌道部53,54の内周面に軌道面53a,54aがそれぞれ形成されていたが、本実施の形態に係るボールねじナット51Aでは、軌道部53,54の外周面に軌道面53a,54aがそれぞれ形成されている。また、第1の実施の形態に係るボールねじナット51は、軌道部53,54が本体部52の外径側の端部から軸方向に突出して形成されていたが、本実施の形態に係るボールねじナット51Aでは、軌道部53,54が本体部52の内径側の端部から軸方向に突出して形成されている。
またさらに、第1の実施の形態では、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72が軌道部53,54の径方向内側に配置されていたが、本実施の形態では、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72が軌道部53,54の径方向外側に配置されており、その内周面に軌道面71a,72aが形成されている。第1軌道輪部材71は、ハウジング3の第1部材31に形成された環状の凹部310に内嵌され、第2軌道輪部材72は、ハウジング3の第2部材32に形成された環状の凹部320に内嵌されている。
第1軌道輪部材71は、その外周面71dが凹部310の内周面310aに対向し、側面71cと凹部310の底面310bとの間には、皿ばね73が軸方向に圧縮された状態で配置されている。第2軌道輪部材72は、その外周面72dが凹部320の内周面320aに対向し、側面72cと凹部320の底面320bとの間には、皿ばね74が軸方向に圧縮された状態で配置されている。
皿ばね73,74は、第1部材31と第2部材32とが複数のボルト33によって締結されることにより軸方向に圧縮され、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72を軸方向に予圧している。これにより、ボールねじナット51Aにおける軌道部53の軌道面53a及び第1軌道輪部材71の軌道面71aに複数の転動体7がアンギュラコンタクトすると共に、ボールねじナット51Aにおける軌道部54の軌道面54a及び第2軌道輪部材72の軌道面72aに複数の転動体7がアンギュラコンタクトする。
(ボールねじナット51Aの製造方法)
次に、ボールねじナット51Aの製造方法について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。なお、以下に示す製造方法は、ボールねじナット51Aの好適な製造方法の一例として説明するものであり、他の製造方法によってもボールねじナット51Aを形成することが可能である。
次に、ボールねじナット51Aの製造方法について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。なお、以下に示す製造方法は、ボールねじナット51Aの好適な製造方法の一例として説明するものであり、他の製造方法によってもボールねじナット51Aを形成することが可能である。
図7Aは、軌道部53の軌道面53aを研削する工程を示す説明図であり、図7Bは、軌道部54の軌道面54aを研削する工程を示す説明図である。また、図7Cは、ねじ溝521の内面521aを研削する工程を示す説明図である。
軌道部53の軌道面53a及び軌道部54の軌道面54aを研削する工程は、軌道部53の内周面53bをコレットチャックの複数のチャック爪82により内径把握して行う。軌道部53の軌道面53a及び軌道部54の軌道面54aは、軌道面研削砥石95により研削される。軌道面研削砥石95は、その外周面における研削面95aが軌道面53a,54aに適合する曲率で凸状に湾曲しており、砥石軸96の回転に伴って回転する。砥石軸96を回転させる駆動源は、複数のチャック爪82により内径把握されるボールねじナット51Aの一方の端部とは反対側に配置され、軌道面研削砥石95により軌道部53の軌道面53aを研削する際には、砥石軸96が本体部52の外周側に延在する。
ねじ溝521の内面521aを研削する工程は、ボールねじナット51Aを持ちかえ、軌道部53の内周面53bを内径把握する上記のコレットチャックとは異なるコレットチャックにより、軌道部53の外周面53cを複数のチャック爪83により外径把握して行う。ねじ溝521の内面521aは、第1の実施の形態と同様に、溝面研削用砥石93により研削される。溝面研削用砥石93は、軌道部54側の開口51cから本体部52の内側に導入される。
(第2の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第2の実施の形態によっても、ボールねじナット51Aの本体部52と軌道部53,54とが一体であるので、第1の実施の形態と同様に、複数のボール42の円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感を良好にすることができる。また、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72が軸方向に予圧されているため、ボールねじナット51Aの軌道部53と第1軌道輪部材71との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面53a,71aとの隙間(内部ガタ)、及びボールねじナット51Aの軌道部54と第2軌道輪部材72との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面54a,72aとの隙間をゼロにすることができ、複数の転動体7が転動する際の異音の発生を抑制することができる。
以上説明した第2の実施の形態によっても、ボールねじナット51Aの本体部52と軌道部53,54とが一体であるので、第1の実施の形態と同様に、複数のボール42の円滑な回転を確保し、以ってステアリングホイールの操舵感を良好にすることができる。また、第1軌道輪部材71及び第2軌道輪部材72が軸方向に予圧されているため、ボールねじナット51Aの軌道部53と第1軌道輪部材71との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面53a,71aとの隙間(内部ガタ)、及びボールねじナット51Aの軌道部54と第2軌道輪部材72との間の軸受内部空間における転動体7と軌道面54a,72aとの隙間をゼロにすることができ、複数の転動体7が転動する際の異音の発生を抑制することができる。
(付記)
以上、本発明を第1及び第2の実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、本発明はステアリング装置1とステアリングホイール10とが機械的に接続されないステアバイワイヤ装置にも適用できる。
以上、本発明を第1及び第2の実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、本発明はステアリング装置1とステアリングホイール10とが機械的に接続されないステアバイワイヤ装置にも適用できる。
1…ステアリング装置 11…ステアリングシャフト
2…ラックシャフト(転舵軸) 3…ハウジング
40…電動モータ 42…ボール
5,5A…ナット部材 52…本体部
521…ねじ溝 53,54…軌道部
53a,54a…軌道面 6…ベルト
7…転動体 71,72…軌道輪部材
73,74…皿ばね(弾性体)
2…ラックシャフト(転舵軸) 3…ハウジング
40…電動モータ 42…ボール
5,5A…ナット部材 52…本体部
521…ねじ溝 53,54…軌道部
53a,54a…軌道面 6…ベルト
7…転動体 71,72…軌道輪部材
73,74…皿ばね(弾性体)
Claims (6)
- 軸方向への進退移動により車両の転舵輪を転舵させる転舵軸と、
前記転舵軸の外周面に形成された螺旋状のねじ溝に複数のボールを介して螺合する円筒状のナット部材と、
前記ナット部材に掛け回されたベルトと、
前記ベルトを介して前記ナット部材を回転させる電動モータと、
前記ナット部材を収容するハウジングと、
前記ナット部材を前記ハウジングに対して回転可能に支持する複数の転動体とを備え、
前記ナット部材は、その内周面に前記複数のボールが転動するねじ溝が形成された本体部と、前記複数の転動体が転動する軌道面が形成された軌道部とを一体に有する、
ステアリング装置。 - 一対の前記軌道部が前記本体部の軸方向両側に設けられている、
請求項1に記載のステアリング装置。 - 前記軌道面が前記軌道部の内周面に形成されている、
請求項1又は2に記載のステアリング装置。 - 前記軌道面が前記軌道部の外周面に形成されている、
請求項1又は2に記載のステアリング装置。 - 前記軌道部との間に前記複数の転動体を挟む軌道輪部材が前記ハウジングに保持され、
前記軌道輪部材に軸方向の予圧が付与されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のステアリング装置。 - 前記軌道輪部材と前記ハウジングとの間に、前記軌道輪部材を軸方向に予圧する弾性体を備える、
請求項5に記載のステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017237071A JP2019104326A (ja) | 2017-12-11 | 2017-12-11 | ステアリング装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2017
- 2017-12-11 JP JP2017237071A patent/JP2019104326A/ja active Pending
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