JP2019104211A - 未加硫タイヤ及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
未加硫タイヤの成型の工程では、タイヤ成型ドラムの外周に、インナーライナーを貼り付け、続いて、カーカス部材を貼り付ける。次いで、インナーライナー及びカーカス部材をタイヤ半径方向外側に膨張させるとともに、カーカス部材のタイヤ外面側にベルト部材及びトレッドゴムを貼り付ける。これにより、未加硫タイヤが得られる。また、従来、カーカスシート(カーカス部材)の端部同士を重ね合わせて、接合部(ジョイント部)を形成する空気入りタイヤの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
従来、未加硫タイヤの成型時において、図示のように、カーカス部材52(ここでは、カーカスプライのみを有する)は、インナーライナー51のタイヤ外面側に貼り付けられ、タイヤ周方向における一方の端部52aの上側に他方の端部52bを重ねている。カーカス部材52は、タイヤ周方向に間隔を開けて並列する複数のコード53を有する。このカーカス部材52の重なる場所をジョイント部55という。また、上側に重ねるカーカス部材52のジョイント部55に隣接する場所を境界部56といい、境界部56では、カーカス部材52とインナーライナー51の間に空隙が形成される。図7において、左右方向は、カーカス部材52の長さ方向である。カーカス部材52の長さ方向は、タイヤ周方向に相当する。
即ち、本発明は、タイヤ周方向に間隔を開けて並列する複数のコードを有するカーカス部材と、カーカス部材のタイヤ内面側に配置されるインナーライナーを備える未加硫タイヤであって、カーカス部材は、タイヤ周方向における一方の端部と他方の端部とが重なるジョイント部と、ジョイント部以外でインナーライナーに密着する本体部と、ジョイント部と本体部の境の境界部とを有し、カーカス部材のジョイント部の厚さをt、インナーライナーの厚さをTとしたときに、0.85<(t/2)/T<2.0であり、カーカス部材の本体部でのコード間隔をD、カーカス部材の境界部でのコード間隔の最大値をdとしたときに、1.0≦d/D<1.8であり、(t/T)2+(d/D)2=L2としたときに、1.25<L<1.75であることを特徴とする。
また、本発明は、加硫された未加硫タイヤからなるタイヤである。
なお、本実施形態のタイヤは、空気を充填した空気入りタイヤである。ただし、空気入りタイヤに限らず、窒素やヘリウム等を充填したタイヤでもよい。
図1に示すように、未加硫タイヤ10の成型の工程では、回転する円筒状のタイヤ成型ドラム(図示せず)の外周に、インナーライナー1を貼り付け、続いて、カーカス部材2を貼り付ける。一対のビードコア3を配置して、ビードコア3の周りにカーカス部材2を折り返し、一対のビード部4を形成する。次いで、サイドウォールゴム5を貼り付け、筒状のグリーンケース6を得る。
インナーライナー1は、タイヤ内部に充填される空気等の気体の透過を防止する機能を有する。インナーライナー1の厚さは、好ましくは、0.7mm以上、1.0mm以下であり、より好ましくは、0.7mm以上、0.9mm以下である。これにより、インナーライナー1の薄ゲージ化を実現しつつ、インナーライナー1の割れの発生をより確実に防止できる。インナーライナー1には、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物を使用する。ただし、これに限定されず、インナーライナー1は、樹脂フィルムなどでもよい。
また、カーカス部材2において、ジョイント部31以外でインナーライナー1に密着する部分が本体部32である。本体部32は、ジョイント部31と後述する境界部33を除いたカーカス部材2の全周に存在する。
また、ジョイント部31と本体部32の境の部分が境界部33である。なお、境界部33では、カーカス部材2とインナーライナー1の間に空隙が形成される。また、境界部33は、ジョイント部31と本体部32の間に位置しており、例えば、ジョイント部31の幅と同じ幅の部分である。
タイヤ成型ドラム(図示せず)にインナーライナー1及びカーカス部材2を貼り付けた状態(図3参照)からインナーライナー1及びカーカス部材2を取り外したときは、図4に示すように、カーカス部材2は、ジョイント部31において、タイヤ半径方向内側に変位(図中に示す矢印A)する。カーカス部材2の変位量は、最小で、1枚のカーカス部材2におけるカーカスプライ20の厚さであり、最大で、1枚のカーカス部材2の厚さである。なお、ここでは、カーカス部材2の変位量は、1枚のカーカス部材2(スキージゴム21、カーカスプライ20、スキージゴム22、ベルト下貼りゴム23)の厚さの約半分である。
それにより、カーカス部材2のタイヤ内面側に配置されるインナーライナー1も、タイヤ半径方向内側に変位する。
即ち、カーカス部材2の境界部33では、インナーライナー1及びカーカス部材2のタイヤ半径方向外側への膨張によって、インナーライナー1及びカーカス部材2が伸びる。このとき、ジョイント部31ではカーカス部材2が重なることで、ジョイント部31での伸びが規制され、その分、境界部33での伸びが大きくなる。これとともに、インナーライナー1及びカーカス部材2でのタイヤ半径方向内側への変位によってもインナーライナー1及びカーカス部材2が伸びる。この2つの要因によって、カーカス部材2の境界部33では、本体部32及びジョイント部31での伸びと比べてインナーライナー1及びカーカス部材2が大きく伸びる(図5中に示す矢印B)。これにより、カーカス部材2の境界部33において、インナーライナー1の割れが発生するおそれがでてくる。
カーカス部材2とインナーライナー1の厚さにおいて、カーカス部材2のジョイント部31の厚さをt、インナーライナー1の厚さをTとしたときに(図3参照)、(t/2)/Tを0.85<(t/2)/T<2.0にする。
カーカス部材2のジョイント部31の厚さtは、カーカス部材2の一方の端部2aと他方の端部2bとを重ねた部分の厚さであり、1枚のカーカス部材2の厚さの2倍である。
(t/2)/Tが0.85以下であると、カーカス部材2の厚さに対するインナーライナー1の厚さの比率が高くなるため、インナーライナー1の薄ゲージ化が難しくなる。
また、(t/2)/Tが2.0以上であると、カーカス部材2のジョイント部31での厚さが厚くなる。このことから、タイヤ成型ドラムからインナーライナー1及びカーカス部材2を取り外したときのインナーライナー1及びカーカス部材2のタイヤ半径方向内側への変位量、及び、境界部33でのインナーライナー1の伸びが大きくなるおそれがある。
これに対し、(t/2)/Tが0.85<(t/2)/T<2.0の条件を満たすときには、カーカス部材2の厚さに対するインナーライナー1の厚さの比率が高くなるのを抑えることができ、インナーライナー1の薄ゲージ化を実現することができる。また、タイヤ成型ドラムからインナーライナー1及びカーカス部材2を取り外したときのインナーライナー1及びカーカス部材2のタイヤ半径方向内側への変位量も小さくすることができる。その結果、境界部33でインナーライナー1の伸びが大きくなるのを抑えることができる。
カーカス部材2(カーカスプライ20)の複数のコード24において、カーカス部材2の本体部32でのコード間隔をD、カーカス部材2の境界部33でのコード間隔の最大値をdとしたときに(図5参照)、d/Dを1.0≦d/D<1.8にする。
コード間隔とは、並列した複数のコード24において隣接するコード24の間隔である。カーカス部材2の境界部33でのコード間隔の最大値とは、成型時においてカーカス部材2が伸びたとき、境界部33で一番大きく伸びたところのコード間隔である。
未加硫タイヤ10の成型において、d/Dは必ず1以上になり、一般的な未加硫タイヤ10の成型工程で、d/Dを1.0よりも小さいくするのは困難である。
また、d/Dが1.8以上であると、境界部33でのコード間隔が本体部32でのコード間隔に対して広くなり、境界部33でのインナーライナー1の割れを抑制する効果に影響が生じるおそれがある。
これに対し、d/Dが1.0≦d/D<1.8の条件を満たすときには、一般的な成型工程で、未加硫タイヤ10を容易に成型することができる。また、境界部33でのインナーライナー1の割れを抑制する効果を高くすることができる。
インナーライナー1及びカーカス部材2の厚さとカーカス部材2のコード間隔との関係において、(t/T)2+(d/D)2=L2としたときに、Lを1.25<L<1.75にする。
一般的な未加硫タイヤ10の成型工程で、Lを1.25以下にするのは困難である。
また、Lが1.75以上であると、境界部33でのインナーライナー1の伸びが大きくなるおそれがある。
これに対し、Lが1.25<L<1.75の条件を満たすときには、一般的な成型工程で、未加硫タイヤ10を容易に成型することができる。また、境界部33でのインナーライナー1の伸びが大きくなるのを抑えることができる。
本発明の未加硫タイヤ10の効果を確認するため、上記の3つの条件を満たす実施例1、2と、比較例1、2、3を用いて試験を行った。
試験を行う未加硫タイヤ10は、乗用車用ラジアルタイヤ(195/70R14)用である。インナーライナー1の材料は、ブロムブチルゴムであり、その厚さは、1.0mmと0.9mmである。カーカス部材2は、スキージゴム21、カーカスプライ20、ベルト下貼りゴム23の3層構造である。スキージゴム21の厚さは0.3mm、カーカスプライ20の厚さは0.8mm、ベルト下貼りゴム23の厚さは1.5mmである。従って、カーカス部材2の厚さは2.6mmである。
Claims (3)
- タイヤ周方向に間隔を開けて並列する複数のコードを有するカーカス部材と、カーカス部材のタイヤ内面側に配置されるインナーライナーを備える未加硫タイヤであって、
カーカス部材は、タイヤ周方向における一方の端部と他方の端部とが重なるジョイント部と、ジョイント部以外でインナーライナーに密着する本体部と、ジョイント部と本体部の境の境界部とを有し、
カーカス部材のジョイント部の厚さをt、インナーライナーの厚さをTとしたときに、
0.85<(t/2)/T<2.0であり、
カーカス部材の本体部でのコード間隔をD、カーカス部材の境界部でのコード間隔の最大値をdとしたときに、
1.0≦d/D<1.8であり、
(t/T)2+(d/D)2=L2としたときに、
1.25<L<1.75である、ことを特徴とする未加硫タイヤ。 - 請求項1に記載された未加硫タイヤにおいて、
インナーライナーの厚さは、0.7mm以上、0.9mm以下であることを特徴とする未加硫タイヤ。 - 加硫された請求項1又は2に記載された未加硫タイヤからなるタイヤ。
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